JP7436778B2 - 処理システム、処理方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
本実施形態の処理システムは、目標信号波形決定装置100と、駆動装置700と、モータMとを有する。
目標信号波形決定装置100は、目標信号波形を生成する。目標信号波形は、駆動装置700からモータMに印加される励磁信号の時間波形の目標値である。本実施形態では、PWM(Pulse Width Modulation)制御により得られるパルス信号(パルス電圧)をモータのステータコイルに印加する場合を例に挙げて説明する。従って、本実施形態では、モータのステータコイルに印加する励磁電圧の時間波形の目標値として、PWM制御により得られるパルス信号の時間波形の目標値が、目標信号波形になる。目標信号波形は、電気一周期の各時刻における値が特定されればよい。例えば、目標信号波形を、電気一周期の各時刻における値とし、当該値から、各周期の各時刻における値を導出することができる。また、例えば、電気半周期の各時刻における値から、残りの半周期の各時刻における値を導出する場合、目標信号波形は、電気半周期の各時刻における値とすればよい。以下の説明では、電気一周期の各時刻における電圧値を、目標信号波形とする場合を例に挙げて説明する。
候補解設定部101は、モータMの速度指令値およびトルク指令値として想定される値を入力する。以下の説明では、モータMの速度指令値として想定される値を、必要に応じて、モータMの速度指令の想定値と称する。また、モータMのトルク指令値として想定される値を、必要に応じて、モータMのトルク指令の想定値と称する。モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値の入力の形態としては、例えば、目標信号波形決定装置100のユーザインタフェースのオペレータによる入力操作、外部装置からの受信、または、可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
また、候補解設定部101は、2回目以降に候補解を設定する際には、例えば、複数の候補解のうち、後述する電磁場解析部102により導出される鉄損が小さくなるものから順に所定数の候補解を選択する。このとき、候補解設定部101は、後述する電磁場解析部102により導出される磁束密度の実効値が、トルク指令の想定値に対応する値以上になる候補解のみを選択する。即ち、候補解設定部101は、後述する電磁場解析部102により導出される磁束密度の実効値が、トルク指令の想定値に対応する値以上になる候補解を、鉄心が小さくなるものから順番に並べ、並べた候補解を鉄損が小さいものから順に所定数だけ選択する。
電磁場解析部102は、候補解設定部101により設定された複数の候補解(目標信号波形)のそれぞれでモータM(ステータコア)を励磁した際の鉄損を、マクスウェル(Maxwell)の方程式に基づく電磁場解析を行うことにより導出する。
一般に、電気自動車やハイブリッド車等の駆動用モータのように、可変速、可変トルクで運転するモータは、インバータによって駆動し、モータの損失はインバータの駆動条件によって異なる。そのため、インバータの電圧パルスパターンを適切に制御することで、モータ効率を向上できる可能性がある。モータでの損失は、銅損、機械損、鉄損に大別される。これらのうち、銅損、機械損は、インバータ条件によって大きく変動しないのに対し、鉄損は、インバータ条件によって大きく変動する。鉄損は、渦電流損およびヒステリシス損に分類され、渦電流損は電磁鋼板などの磁性体内部の渦電流密度によって決定され、ヒステリシス損は磁束密度によって決定される。
このような着想の下、本実施形態では、励磁信号の時間波形を擬似正弦波に限定せず、擬似正弦波に限定されない励磁信号でモータMのステータコアを励磁した場合のモータMの磁束密度および渦電流密度の板厚方向の分布を導出し、当該磁束密度および渦電流密度に基づいて鉄損を導出し、当該鉄損をモータMの鉄損として推定する。このようにして推定した鉄損が小さくなる励磁信号を探索することにより、モータMの鉄損を低減することができる励磁信号を得ることができる。尚、モータMの鉄損は、厳密には、ステータコアの鉄損とロータの鉄損との和で表される。従って、このようにしてモータMの鉄損を表してもよいが、後述するようにロータコアにおいては時間高調波による影響は小さいので、ステータコアの鉄損のみでモータMの鉄損を評価しても、相対的な鉄損の大小関係を評価するのには十分である。そこで、本実施形態では、ステータコアの鉄損を、モータMの鉄損として表す場合を例に挙げて説明する。
図3は、実際のモータM(のモデル)の一例を示す図である。図4は、図3のI-I断面図である。尚、図4では、表記の都合上、断面以外の部分の表記を省略する。図4~図7において、x-y-z座標は、各図における向きを表すものであり、x-y-z座標の原点は、各図に示す位置に限定されない。
ただし、当該現物のモータMを駆動することを模擬するためのモータのモデルを、実際のモータMとして扱ってもよい。モデルとは、数値解析を行うために、離散化領域(いわゆるメッシュ)の設定対象となるモータMの各部の領域(形状、大きさ、および位置)を特定する情報を含む。また、当該モータMの領域に対する物性値、および、数値解析を行う際の境界条件を示す情報をモデルに含めてもよい。例えば、非特許文献1に記載のいわゆる電気学会Dモデルモータを、実際のモータMとして扱ってもよい(図3では、いわゆる電気学会Dモデルモータを示す)。このようなモデルを実際のモータMとする場合の数値解析においては、モータMの対称性を利用して、いわゆる1/4モデルが使用される。尚、1/4モデルとは、モータMの回転軸の中心を原点0とし、原点0から径方向に伸びる2つの線であって、相互になす角度が90[°]となる2つの仮想線でモータMを切ったものである。
ロータコア310には、モータMの回転軸に平行な方向(Z軸方向)において貫通する貫通穴311、312a~312d、313a~313h、314a~314dを有する。
貫通穴312a~312dは、貫通穴311を取り巻くように、モータMの周方向において間隔を有して配置される。貫通穴312a~312dの形状および大きさは同じである。貫通穴312a~312dには、永久磁石315a~315dが配置される。貫通穴312a~312dに永久磁石315a~315dが配置された状態で、永久磁石315a~315dの両側方に空隙が形成される。当該空隙は、貫通穴312a~312dの一部の領域である。尚、永久磁石315a~315dの側方とは、永久磁石315a~315dの面に沿う方向のうち、モータMの回転軸に平行な方向と、モータMの径方向とに垂直な方向である。
貫通穴314a~314dは、貫通穴312a~312dよりもモータMの外周側の領域に配置される。貫通穴314a~314dの形状および大きさは同じである。
貫通穴313a~313h、314a~314dには、何も配置されない。
尚、図3および図4から明らかなように、本実施形態では、モータMが、インナーロータ型のIPM(Interior Permanent Magnet)モータである場合を例に挙げて説明する。
図5および図6において、簡略化モータモデルM'は、ロータとステータとを有する。
ロータは、ロータコア510を有する。ロータコア510は、ロータコア310に対し、貫通穴312a~312dが配置される部分を、その周囲の材料と同じ材料としたものである。図6に示すように、ロータコア510は、複数の電磁鋼板を積み重ねたものをモデル化したものではなく、ロータコア510に合った形状を有する1つの軟磁性体をモデル化したものである。従って、実際のモータMにおける、貫通穴312a~312dが配置される部分は(永久磁石315a~315dが配置される部分も含めて)、当該軟磁性体の一部の領域となる。
一方、図5および図6に示す例では、簡略化モータモデルM'のステータは、実際のモータMのステータと同じである。
次に、電磁場解析の手法について説明する。
本実施形態では、電磁場解析部102は、数値解析の一例として、非線形非定常有限要素法を用いた電磁場解析を行うことにより、簡略化モータモデルM'に対して設定した要素(メッシュ)のそれぞれにおいて、目標信号波形に従って励磁された場合のステータコアの磁束密度Bと渦電流密度Jeを導出する場合を例に挙げて説明する。
尚、電磁場解析を行う手法は、非特許文献3等に記載されているように一般的な手法であるので、その詳細な説明を省略する。
そして、電磁場解析部102は、簡略化モータモデルM'(のステータコア320)の各要素における磁束密度Bおよび渦電流密度Jeを用いて、簡略化モータモデルM'(のステータコア320)のヒステリシス損および渦電流損(古典的渦電流損)を導出する。
電磁場解析部102は、以上のヒステリシス損Whの導出を全ての要素に対して行い、全ての要素におけるヒステリシス損Whの総和を簡略化モータモデルM'のヒステリシス損として導出する。尚、ヒステリシス損は、公知の方法で導出することができ、各要素の磁束密度を用いて導出する方法であれば、どのような方法で導出してもよい。
電磁場解析部102は、以上の渦電流損Weの導出を全ての要素に対して行い、全ての要素における渦電流損Weの総和を電磁鋼板の渦電流損として導出する。尚、渦電流損は、公知の方法で導出することができ、各要素の渦電流密度を用いて導出する方法であれば、どのような方法で導出してもよい。
そして、電磁場解析部102は、簡略化モータモデルM'(のステータコア320)のヒステリシス損と渦電流損の和を、簡略化モータモデルM'(のステータコア320)の鉄損として導出する。
終了判定部103は、電磁場解析部102における鉄損の導出の終了条件を満足したか否かを判定する。終了条件としては、例えば、所定数の世代交代が行われたことや、前回と今回とでの候補解の差が所定の条件になったこと(例えば、前回と今回とでの候補解が変わらなくなったこと)等、遺伝的アルゴリズムの手法で一般的に採用されている条件を用いることができる。
尚、遺伝的アルゴリズム自体は公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
前述した候補解設定部101における候補解の設定と、電磁場解析部102における簡略化モータモデルM'(のステータコア320)の鉄損の導出は、終了判定部103により終了条件を満足すると判定されるまで繰り返し実行される。
出力部104は、終了判定部103により終了条件を満足したと判定された直前に電磁場解析部102により導出された鉄損のうち、最小の鉄損に対応する候補解(目標信号波形)を最適解(最適な目標信号波形)として出力する。出力の形態としては、例えば、外部装置への送信、コンピュータディスプレイへの表示、または目標信号波形決定装置100の外部または内部の記憶媒体への記憶が挙げられる。
以上のようにして、モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値に対応する目標信号波形の最適値が1つ導出される。モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値の組として想定される組のそれぞれに対して候補解設定部101、電磁場解析部102、終了判定部103、および出力部104の処理を行う。これにより、モータMの速度指令値およびトルク指令値に対応する目標信号波形の最適値が得られる。
駆動装置700は、速度指令値およびトルク指令値に対応する目標信号波形を取得して、モータMに印加される励磁電圧が目標信号波形になるようにインバータの動作を制御する。
図7は、駆動装置700の機能的な構成の一例を示す図である。駆動装置700のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、各種のインターフェース、およびインバータ回路、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<目標信号波形記憶部701>
目標信号波形記憶部701は、モータMの速度指令値およびトルク指令値と目標信号波形の情報とを相互に関連付けて記憶する。モータMの速度指令値およびトルク指令値に関連付けられて記憶される目標信号波形の情報は、出力部104から出力される、モータMの当該速度指令値および当該トルク指令値に対応する目標信号波形の最適値を特定する情報である。目標信号波形記憶部701は、モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値の組として想定される組のそれぞれに対する目標信号波形の情報を記憶する。このようにして、モータMの速度指令の想定値およびトルク指令の想定値の組として想定される組のそれぞれに対する目標信号波形の情報が記憶された後に、目標信号波形取得部702およびインバータ部703の動作が開始する。
目標信号波形取得部702は、モータMの速度指令値およびトルク指令値の現在値に対応する目標信号波形の情報を、目標信号波形記憶部701から取得する。モータMの速度指令値およびトルク指令値の現在値は、モータMの運転中に駆動装置700の外部で発せられるものである。モータMが三相モータである場合、目標信号波形取得部702は、例えば、モータMの速度指令値およびトルク指令値の現在値に対応する目標信号波形の位相をずらすことにより、各相の目標信号波形を導出することができる。
インバータ部703は、インバータ回路と、当該インバータ回路を制御する制御回路とを有する。本実施形態では、目標信号波形は、パルス信号の時間波形である。インバータ回路は、スイッチング素子を有する。モータMが三相モータである場合、スイッチング素子を、例えば、上アームおよび下アームを有する三相フルブリッジ型回路とすることができる。制御装置は、目標信号波形取得部702により取得された目標信号波形がインバータ回路から出力されるように各スイッチング素子の開閉動作を制御する。これにより、目標信号波形(または目標信号波形に近い時間波形)の励磁電圧がモータM(のステータコイル)に印加される。
次に、図8のフローチャートを参照しながら、目標信号波形決定装置100による目標信号波形の決定方法の一例を説明する。図8のフローチャートは、モータMの(1つの)速度指令の想定値および(1つの)トルク指令の想定値の組ごとに繰り返し実行される。ここでは、モータMの(1つの)速度指令の想定値および(1つの)トルク指令の想定値の組を運転条件と称する。
次に、ステップS802において、候補解設定部101は、初期の候補解を設定する。このとき、候補解設定部101は、ステップS801で入力した運転条件に含まれるモータMの速度指令の想定値に応じた電気周期(電気周波数)になるように、複数の候補解(目標信号波形)を初期の候補解として設定する。
次に、ステップS804において、候補解設定部101は、ステップS803で導出された簡略化モータモデルM'(のステータコア320)の鉄損および磁束密度の実効値に基づいて、ステップS802で設定された複数の候補解から、所定数の候補解を選択すると共に交叉や突然変異を行い、新たな候補解を設定する(複数の候補解を更新する)。
処理がステップS902に進むと、目標信号波形取得部702は、ステップS901で取得したモータMの速度指令値およびトルク指令値に対応する目標信号波形の情報を、目標信号波形記憶部701から取得する。
次に、計算例を説明する。本計算例では、実際のモータを同一のモータ(集中巻のIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)とし、本実施形態の手法で求めた目標信号波形(電圧パルスパターン)をIPMSMに印加した場合(発明例)の鉄損と、擬似正弦波の目標信号波形をIPMSMに印加した場合(比較例)の鉄損とを電磁場解析により求めた。このとき、何れの手法においても、トルク指令値を3.5[Nm]、速度指令値を10000[rpm]とした。
以上のように本実施形態では、目標信号波形を決定するためのモータMのモデルとして、ロータの構成要素の全部または一部を実際のモータMに対し簡略化した簡略化モータモデルM'を採用する。目標信号波形決定装置100は、目標信号波形で簡略化モータモデルM'のステータコアを励磁した場合の、当該簡略化モータモデルM'におけるステータコアの板厚方向における磁束密度および渦電流密度の分布を導出することにより、当該簡略化モータモデルM'のステータの鉄損が最小になる目標信号波形を目標信号波形の最適値として導出する。駆動装置700は、この目標信号波形の最適値の励磁電圧がモータMのステータコイルに印加されるようにインバータ回路を動作させる。したがって、モータMの鉄損を低減することができる励磁電圧の時間波形を、計算精度の低下と計算時間の増大とを抑制しつつ決定することができる。
また、本実施形態では、マルチレベルインバータにおける多段階の電圧レベルを有する候補解(目標信号波形)を設定することにより、シングルレベルインバータに限らず、マルチレベルインバータに対しても本実施形態の手法を適用することができる。
<変形例1>
本実施形態では、遺伝的アルゴリズムを用いて目標信号波形の最適値を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしも遺伝的アルゴリズムを用いて目標信号波形の最適値を導出する必要はない。例えば、遺伝的アルゴリズム以外のメタヒューリスティック手法による最適化計算を実行することにより、目標信号波形の最適値を導出してもよい。
本実施形態では、有限要素法を用いて電磁場解析を行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしも有限要素法を用いて電磁場解析を行う必要はない。例えば、有限要素法以外の数値解析の手法(離散化手法)を用いて電磁場解析を行ってもよい。
本実施形態では、PWM制御を実行する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)制御を実行するようにしてもよい。
<変形例4>
本実施形態では、目標信号波形決定装置100と駆動装置700とが別の装置である場合を例に挙げて示した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、目標信号波形決定装置100の機能を駆動装置700に含めてもよい。
<変形例5>
本実施形態では、モータMがインナーロータ型のモータである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、モータMはアウターロータ型のモータであってもよい。また、本実施形態では、モータMがラジアルギャップ型のモータである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、モータMはアキシャルギャップ型のモータであってもよい。また、本実施形態では、モータMがIPMモータである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、モータMは、IPMモータに限定されない。例えば、モータMは、誘導モータでも、リラクタンスモータ(reluctance motor)であってもよい。尚、誘導モータでは、磁極を構成する部分は、ロータの導体(かご形の導体や巻線)と、ロータコアの当該導体を間に挟む領域である。リラクタンスモータでは、磁極を構成する部分は、ロータコアの凸極の部分である。何れの場合においても、簡略化モータモデルにおけるロータの典型的な形状(中空円筒形状であって、中空部分以外の領域に穴が形成されていない形状)や、当該形状に対して変更が加えられた形状を適用することができる。アウターロータ型のモータにおいては、中空部分には、ステータが配置される。
尚、以上説明した本発明の実施形態のうち、目標信号波形決定装置100および駆動装置700のインバータ回路を除く部分は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (13)
- モータを動作させるための処理を行う処理システムであって、
実際のモータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定手段を有し、
前記目標信号波形決定手段は、数値解析を行うための簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の、少なくとも前記ステータコアにおける磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損のうち少なくともステータコアの鉄損を導出し、当該導出した鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、
前記簡略化モータモデルは、ロータコアの平均磁束密度が、前記実際のモータにおけるロータコアの平均磁束密度よりも低くなるように、前記実際のモータに対してロータの構成要素の全部または一部を簡略化したモデルであることを特徴とする処理システム。 - 前記目標信号波形決定手段は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損のうち少なくともステータコアの鉄損を導出する電磁場解析手段を有し、当該導出した鉄損が最小になる前記目標信号波形を、最適化計算を実行することにより決定することを特徴とする請求項1に記載の処理システム。
- 前記目標信号波形決定手段は、前記目標信号波形の候補を前記簡略化モータモデルにおけるステータコイルに印加して当該簡略化モータモデルにおけるステータコアを励磁した際の磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損のうち少なくともステータコアの鉄損を導出することを、前記目標信号波形の複数の候補のそれぞれについて行う電磁場解析手段を有し、メタヒューリスティック手法による最適化計算を実行することにより、当該導出した鉄損が最小になる前記目標信号波形の候補を、前記目標信号波形として決定することを特徴とする請求項1または2に記載の処理システム。
- 前記目標信号波形の候補は、前記実際のモータの速度指令値に対応する周期を有し、
前記目標信号波形決定手段は、前記実際のモータのトルク指令値に対応する磁束密度を満足する磁束密度が得られる範囲内で前記簡略化モータモデルの鉄損のうち少なくともステータコアの鉄損が最小になる前記目標信号波形の候補を、前記目標信号波形として決定することを特徴とする請求項3に記載の処理システム。 - 前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記実際のモータに印加する駆動手段を更に有し、
前記駆動手段は、前記実際のモータの速度指令値およびトルク指令値と、前記目標信号波形を特定するための情報とを相互に関連付けて記憶する目標信号波形記憶手段と、
前記実際のモータの速度指令値およびトルク指令値に対応する前記目標信号波形を、前記目標信号波形記憶手段により記憶された前記情報に基づいて取得する目標信号波形取得手段と、を有し、
前記目標信号波形取得手段により取得された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記実際のモータに印加することを特徴とする請求項4に記載の処理システム。 - 前記簡略化モータモデルにおけるロータは、前記実際のモータのロータにおける磁極を構成する部分の全部または一部を含まないことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の処理システム。
- 前記簡略化モータモデルにおけるステータコアは、積み重なった複数の軟磁性体板のモデルを含み、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記軟磁性体板の面内方向の二次元分布と、前記軟磁性体板の板厚方向の一次元分布とを含むことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の処理システム。 - 前記簡略化モータモデルにおけるステータコアは、積み重なった複数の軟磁性体板のモデルを含み、
前記目標信号波形決定手段は、前記軟磁性体板の面内方向の磁束密度および渦電流密度の二次元分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出することと、前記軟磁性体板の板厚方向の磁束密度および渦電流密度の一次元分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出することと、を含む計算を行うことを特徴とする請求項7に記載の処理システム。 - 前記簡略化モータモデルにおけるステータは、前記実際のモータのステータと同じ構成を有することを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の処理システム。
- 前記目標信号波形は、インバータに対する目標信号波形であり、
前記励磁信号は、パルス信号であることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の処理システム。 - 前記目標信号波形決定手段により決定された前記目標信号波形を目標値として励磁信号の時間波形を生成して前記実際のモータに印加する駆動手段を更に有することを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の処理システム。
- モータを動作させるための処理を行う処理方法であって、
実際のモータのステータコイルに印加される励磁信号の時間波形の目標値である目標信号波形を決定する目標信号波形決定工程を有し、
前記目標信号波形決定工程は、数値解析を行うための簡略化モータモデルにおけるステータコアが励磁された際の、少なくとも前記ステータコアにおける磁束密度および渦電流密度の分布を、マクスウェルの方程式に基づいて導出し、当該磁束密度および渦電流密度の分布に基づいて、当該簡略化モータモデルの鉄損のうち少なくともステータコアの鉄損を導出し、当該導出した鉄損に基づいて、前記目標信号波形を決定し、
前記磁束密度および渦電流密度の分布は、前記簡略化モータモデルにおけるステータコアにおいて磁束および渦電流が浸透する深さ方向における分布を含み、
前記簡略化モータモデルは、ロータコアの平均磁束密度が、前記実際のモータにおけるロータコアの平均磁束密度よりも低くなるように、前記実際のモータに対してロータの構成要素の全部または一部を簡略化したモデルであることを特徴とする処理方法。 - 請求項1~11の何れか1項に記載の処理システムの各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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