JP6369267B2 - 鉄損測定装置、鉄損測定方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
このように、従来の技術では、PWMインバータからの出力電圧で励磁された磁気特性の比較評価を行うことが容易ではない。
図1は、磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。図1では、複数の電磁鋼板を積み重ねてリング状にしたリング試料Sの磁気特性を測定する場合を例に挙げて示す。ただし、軟磁性材料に代表される磁性材料であれば、磁気特性の測定対象は、リング試料Sに限定されるものではない。
磁気特性測定システムは、直流電圧発生部100と、PWMインバータ200と、励磁コイル300と、Bコイル400と、シャント抵抗500と、磁気特性測定装置600と、を有する。
尚、図2では、変調波・搬送波の値を相対値で示す。
尚、図2では、出力電圧260の値を相対値で示す。
PWMインバータ200から励磁コイル300に出力電圧260が印加されると、励磁コイル300に励磁電流が流れる。この励磁電流によりリング試料Sは励磁され、Bコイル400に誘導起電力が生じる。本実施形態では、図1に示すように、励磁コイル300の一端とPWMインバータ200の出力端子の一端との間にはシャント抵抗500が配置される。シャント抵抗500は、励磁コイル300に流れる励磁電流を検出するためのものである。
磁束密度導出部601は、Bコイル400の両端に生じる誘導起電力を入力して、リング試料Sの磁束密度を導出する。本実施形態では、磁束密度導出部601は、時刻t(j)におけるリング試料Sの磁束密度B(j)[T]を、以下の(1)式により導出する。尚、jは、時刻ステップを表す変数jであり、0(ゼロ)を初期値として、前述した時間間隔Δtが経過するたびにインクリメントされる。
磁束密度導出部601は、以上のようにして、リング試料Sの磁束密度B(j)を少なくとも一周期分、導出する。
尚、Bコイル400の両端に生じる誘導起電力を増幅器で増幅した上で磁束密度導出部601に入力するようにしてもよい。
磁界強度導出部602は、シャント抵抗500に流れる励磁電流を入力して、リング試料Sの磁界強度を導出する。本実施形態では、磁界強度導出部602は、時刻t(j)におけるリング試料Sの磁界強度H(j)[A/m]を、以下の(2)式により導出する。
磁界強度導出部602は、以上のようにして、リング試料Sの磁界強度H(j)を少なくとも一周期分、導出する。
尚、励磁コイル300に流れる励磁電流を増幅器で増幅した上で磁界強度導出部602に入力するようにしてもよい。
目標磁束密度入力部603は、リング試料Sにおける一周期分の目標磁束密度を特定するための情報を入力して(一時的に)記憶する。
本実施形態では、リング試料Sにおける磁束密度の時間波形の目標を正弦波とする(尚、以下の説明では、この目標となる時間波形を、必要に応じて、目標波形と称する)。また、リング試料Sにおける磁束密度の周波数の目標値を励磁基本周波数とする。
目標磁束密度入力部603は、リング試料Sにおける磁束密度の目標波形と、励磁基本周波数とを、リング試料Sにおける一周期分の目標磁束密度を特定するための情報として入力する。さらに目標磁束密度入力部603は、リング試料Sにおける磁束密度の大きさ(波高値(最大値)または実効値)の目標値を、リング試料Sにおける一周期分の目標磁束密度を特定するための情報として入力する。
かかる情報の入力は、例えば、オペレータによるユーザインタフェースの操作、外部装置との通信、または可搬型記憶媒体からの読み出しにより実現される。
また、前述したように、Bコイル400の両端における一周期分の目標誘導起電力を特定するための情報を入力する構成にすれば、実装が簡便になる。しかしながら、Bコイル400の両端における一周期分の目標誘導起電力を特定するための情報ではなく、リング試料Sにおける一周期分の目標磁束密度を特定するための情報を入力してもよい。
収束判定部604は、磁束密度導出部601から出力された、リング試料Sの少なくとも一周期分の磁束密度B(j)の波形と、目標波形である正弦波との類似度に基づいて、リング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)の波形が正弦波である(と見なせる)か否かを判定する。
第1の方法として、収束判定部604は、リング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)から波形率を導出する。次に、収束判定部604は、リング試料Sにおける磁束密度B(j)の波形率と、正弦波の波形率(=π/(2・√2))との差を導出する。
すなわち、基本周波数をfs[Hz]、PWMインバータ200のキャリア周波数をfc[Hz]、(2×fc−fs)[Hz]よりも低い周波数成分であるi次の高調波成分の振幅をAi(iは2以上の整数)、基本波成分の振幅をA1とした場合に、全てのiにおいて以下の(3)式を満たす波形を正弦波であると定義する。
{Ai/A1}×100<ε ・・・(3)
(3)式において、εは、閾値[%]である。
磁束密度差分導出部605は、収束判定部604により、リング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)の波形が正弦波でない(正弦波であるとは見なせない)と判定されると、リング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)からリング試料Sにおける一周期分の目標磁束密度を減算することにより、一周期分の差分磁束密度を導出する。
したがって、磁束密度差分導出部605は、以下の(4)式の計算を、一周期分の各時刻t(j)について行うことにより、一周期分の差分誘導起電力を導出する。
(4)式において、es(j)は、時刻t(j)にBコイル400の両端に生じる誘導起電力[V]である。esr(j)は、時刻t(j)におけるBコイル400の両端の目標誘導起電力[V]である。Δes(j)は、時刻t(j)における差分誘導起電力[V]である。
電圧修正量導出部606は、磁束密度差分導出部605により導出された、一周期分の差分誘導起電力に基づいて、PWMインバータ200における目標励磁電圧(変調波)の一周期分の修正量を導出する。
前述したように、磁束密度差分導出部605では、(4)式により一周期分の差分誘導起電力(Δes(j)=(es(j)−esr(j))を導出する。時刻t(j)における目標励磁電圧の、修正前の値に対する修正量(補正量)の割合は、励磁コイル300に印加する電圧(励磁電圧)と、Bコイル400の両端に生じる誘導起電力とで同じである。励磁コイル300に印加される励磁電圧と、Bコイル400の両端に生じる誘導起電力とは比例関係にあると見なせるからである。したがって、電圧修正量導出部606は、以下の(5)式の計算を、一周期分の各時刻t(j)について行うことにより、PWMインバータ200における目標励磁電圧(変調波)の一周期分の修正量を導出する。
ΔV(j)=K・Nb・S・(1/(t(j)−t(j−1)))・(ΔB(j)−ΔB(j−1)) ・・・(6)
目標励磁電圧導出部607は、電圧修正量導出部606により導出された、PWMインバータ200における目標励磁電圧(変調波)の一周期分の修正量に基づいて、PWMインバータ200における目標励磁電圧(変調波)を変更する。リング試料Sにおける磁束密度(Bコイル400の両端に生じる誘導起電力)の実測値が目標値よりも大きい場合には、目標励磁電圧(変調波)を、電圧修正量導出部606により導出された修正量だけ減らす。一方、リング試料Sにおける磁束密度(Bコイル400の両端に生じる誘導起電力)の実測値が目標値よりも小さい場合には、目標励磁電圧(変調波)を、電圧修正量導出部606により導出された修正量だけ増やす。
Vnew(j)=Vold(j)−ΔV(j) ・・・(7)
図3(a)は、変更後の正相変調波310と、搬送波220と、変更後の正相ノッチ波320の一例を示す。変更後の正相ノッチ波320は、変更後の正相変調波310と搬送波220とにより生成されるものである。
図3(b)は、変更後の負相変調波330と、搬送波220と、変更後の負相ノッチ波340の一例を示す。変更後の負相ノッチ波340は、変更後の負相変調波330と搬送波220とにより生成されるものである。
図3(c)に示すように、Bコイル400の両端に生じる一周期分の誘導起電力(リング試料Sにおける一周期分の磁束密度)を正弦波にすることにより、目標励磁電圧は、正弦波から歪む波形となる。
鉄損導出部608は、収束判定部604により、リング試料Sにおける磁束密度B(j)の波形が正弦波である(と見なせる)と判定されると、当該判定されたタイミングに対応するリング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)を磁束密度導出部601から取得する。また、鉄損導出部608は、当該判定されたタイミングに対応するリング試料Sの一周期分の磁界強度H(j)を磁界強度導出部602から取得する。
(測定結果出力部609)
測定結果出力部609は、リング試料Sにおける磁気特性の測定結果を出力する。本実施形態では、磁気特性は、磁束密度B(j)の波形が正弦波である(と見なせる)と判定されたタイミングに対応するリング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)と、同じく磁束密度B(j)の波形が正弦波である(と見なせる)と判定されたタイミングに対応するリング試料Sの一周期分の磁界強度H(j)と、鉄損導出部608により導出されたリング試料Sにおける鉄損Wとを含む。
出力の形態は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、磁気特性測定装置600の内部の記憶媒体への記憶、可搬型記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを含む。
尚、目標励磁電圧(変調波)の初期値は、特に限定されない。例えば、目標励磁電圧(変調波)の初期値の波形を、励磁基本周波数を周波数とする正弦波にすることができる。また、リング試料Sにおける磁束密度の大きさ(波高値(最大値)または実効値)の目標値に、Bコイル400と励磁コイル300との巻き数比(N/Nb)を乗算した値を、目標励磁電圧(変調波)の大きさ(波高値(最大値)または実効値)にすることができる。
次に、ステップS403において、磁界強度導出部602は、リング試料Sの一周期分の磁界強度H(j)を導出する。
一方、リング試料Sにおける磁束密度B(j)の波形が正弦波ではない(正弦波であるとは見なせない)と判定された場合には、ステップS405に進む。
ステップS405に進むと、磁束密度差分導出部605は、一周期分の各時刻t(j)について(4)式の計算を行うことにより、一周期分の差分誘導起電力を導出する。
次に、ステップS407において、目標励磁電圧導出部607は、一周期分の各時刻t(j)について(7)式の計算を行うことにより、PWMインバータ200における変更後の目標励磁電圧(変調波)を導出する。
そして、ステップS401に戻り、目標励磁電圧導出部607は、ステップS407で導出した、変更後の目標励磁電圧(変調波)をPWMインバータ200に出力する。
ステップS408に進むと、鉄損導出部608は、ステップS404で、リング試料Sにおける磁束密度B(j)の波形が正弦波である(と見なせる)と判定されたタイミングの直前に実行されたステップS402、S403の導出結果を取得する。すなわち、正弦波である(と見なせる)と判定されたときの、リング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)・磁界強度H(j)を取得する。そして、鉄損導出部608は、取得したリング試料Sの一周期分の磁束密度B(j)・磁界強度H(j)に基づいて、(8)式の計算を行うことにより、リング試料Sにおける鉄損Wを導出する。
次に、実施例を説明する。尚、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではないということは勿論である。
ここでは、リング試料Sを以下のものとした。
材質:50A470
外径:47[mm]
内径:33[mm]
積厚:10[mm]
また、以下の測定条件で測定を行った。
リング試料Sにおける磁束密度の波高値の上限値:1.7[T]
励磁基本周波数:50[Hz]
キャリア周波数:5[kHz]
変調率m:0.4
尚、変調率mは、変調波の振幅E0を搬送波の振幅Esで割った値(=E0÷Es)である。
図6は、発明例における結果を示す図であり、リング試料Sにおける磁束密度の波形610を示す図である。リング試料Sにおける磁束密度の波形610は、最終的に得られた波形(図4のステップS404でYESと判定されたときの波形である)。
図8は、比較例における結果を示す図であり、リング試料Sにおける磁束密度の波形810を示す図である。
図9は、参考例における結果を示す図であり、リング試料Sにおける磁束密度の波形910を示す図である。
表1に、発明例、比較例、および参考例のそれぞれでの、リング試料Sにおける鉄損と、リング試料Sにおける磁束密度の波形率を示す。
図8に示すように、比較例では、リング試料Sにおける磁束密度の波形810は歪む。したがって、リング試料Sにおける磁束密度の波形810から導出される鉄損には、この歪みの影響が含まれる。このため、図8、図9に示すリング試料Sにおける磁束密度の波形810、910から導出した鉄損を比較しても、PWMインバータを励磁電源として用いることによる鉄損のみを評価することができない。
本実施形態では、Bコイル400の両端に生じる誘導起電力を用いてリング試料Sにおける磁束密度を導出する場合を例に挙げて説明した。また、シャント抵抗500に流れる電流を用いて(励磁電流法により)磁界強度を求める場合を例に挙げて説明した。しかしながら、磁性材料における磁束密度および磁界強度を導出する方法は、このような方法に限定されず、磁性材料における磁束密度および磁界強度を測定するその他の公知の技術を用いてもよい。また、磁気特性測定装置600が外部で測定・導出された、磁性材料における磁束密度および磁界強度を取得してもよい。すなわち、PWMインバータ200からの出力電圧によって励磁された磁性材料における磁束密度を導出するための検出を行っていれば、磁束密度検出装置は、必ずしも、Bコイル400に限定されない。また、PWMインバータ200からの出力電圧によって励磁された磁性材料における磁束密度を導出するための検出を行っていれば、磁界強度検出装置は、必ずしも、励磁コイル300およびシャント抵抗500に限定されない。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (8)
- 目標励磁電圧を変調波としてPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うことにより励磁電圧を生成するPWMインバータを用いて、電磁鋼板における鉄損を測定する鉄損測定装置であって、
前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせるか否かを判定する収束判定手段と、
前記収束判定手段により、前記磁束密度の時間波形が正弦波であるとは見なせないと判定されると、当該正弦波であるとは見なせない磁束密度と、前記電磁鋼板における磁束密度の目標値との差分を、少なくとも一周期の期間において導出する磁束密度差分導出手段と、
前記磁束密度差分導出手段により導出された前記差分に基づいて、前記目標励磁電圧の修正量を導出する電圧修正量導出手段と、
前記電圧修正量導出手段により導出された前記修正量に基づいて、前記目標励磁電圧を変更する目標励磁電圧導出手段と、
前記収束判定手段により、前記正弦波であると見なせる磁束密度と、前記励磁された電磁鋼板における磁界強度であって、当該磁束密度と同じタイミングにおける磁界強度と、の時間波形を用いて得られるヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出する鉄損導出手段と、
を有し、
前記PWMインバータは、前記目標励磁電圧導出手段により前記目標励磁電圧が変更されると、当該変更された後の前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより前記励磁電圧を生成し、
前記鉄損導出手段は、前記収束判定手段により、前記磁束密度の時間波形が正弦波でないと判定されることなく前記磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせると判定された場合には、前記PWMインバータが前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより生成された前記励磁電圧によって励磁された前記電磁鋼板における磁束密度および磁界強度の時間波形に基づく前記ヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出し、前記収束判定手段により、前記磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせないと判定された場合には、前記PWMインバータが、前記電圧修正量導出手段により導出された前記修正量に基づいて変更された後の前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより生成された前記励磁電圧によって励磁された前記電磁鋼板における磁束密度および磁界強度の時間波形に基づく前記ヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出することを特徴とする鉄損測定装置。 - 前記収束判定手段は、前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形と正弦波との類似度を導出し、導出した類似度に基づいて、前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の鉄損測定装置。
- 前記鉄損導出手段により導出される前記電磁鋼板における鉄損は、当該鉄損を導出したときと、励磁電源、励磁条件、または励磁対象の電磁鋼板を異ならせ、且つ、電磁鋼板における磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせる条件下で導出された当該電磁鋼板における鉄損と比較するために用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄損測定装置。
- 前記収束判定手段は、前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形の代わりに、前記電磁鋼板に巻き回されたコイルであって、前記励磁された前記電磁鋼板における磁束密度を検出するためのコイルであるBコイルの両端に生じる誘導起電力の時間波形を用い、
前記磁束密度差分導出手段は、前記正弦波であるとは見なせない磁束密度と、前記電磁鋼板における磁束密度の目標値との差分の代わりに、前記Bコイルの両端に生じる誘導起電力であって、前記正弦波であるとは見なせない誘導起電力と、前記Bコイルの両端に生じる誘導起電力の目標値との差分を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鉄損測定装置。 - 前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の波高値は、1.4[T]以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の鉄損測定装置。
- 目標励磁電圧を変調波としてPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うことにより励磁電圧を生成するPWMインバータを用いて、電磁鋼板における鉄損を測定する鉄損測定方法であって、
前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせるか否かを判定する収束判定工程と、
前記収束判定工程により、前記磁束密度の時間波形が正弦波であるとはと見なせないと判定されると、正弦波であるとは見なせない磁束密度と、前記電磁鋼板における磁束密度の目標値との差分を、少なくとも一周期の期間において導出する磁束密度差分導出工程と、
前記磁束密度差分導出工程により導出された前記差分に基づいて、前記目標励磁電圧の修正量を導出する電圧修正量導出工程と、
前記電圧修正量導出工程により導出された前記修正量に基づいて、前記目標励磁電圧を変更する目標励磁電圧導出工程と、
前記収束判定工程により、前記正弦波であると見なせる磁束密度と、前記励磁された電磁鋼板における磁界強度であって、当該磁束密度と同じタイミングにおける磁界強度と、の時間波形を用いて得られるヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出する鉄損導出工程と、
を有し、
前記目標励磁電圧導出工程により前記目標励磁電圧が変更されると、前記PWMインバータにおいて、当該変更された後の前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより前記励磁電圧を生成し、
前記鉄損導出工程は、前記収束判定工程により、前記磁束密度の時間波形が正弦波でないと判定されることなく前記磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせると判定された場合には、前記PWMインバータが前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより生成された前記励磁電圧によって励磁された前記電磁鋼板における磁束密度および磁界強度の時間波形に基づく前記ヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出し、前記収束判定工程により、前記磁束密度の時間波形が正弦波であると見なせないと判定された場合には、前記PWMインバータが、前記電圧修正量導出工程により導出された前記修正量に基づいて変更された後の前記目標励磁電圧を変調波としてPWM制御を行うことにより生成された前記励磁電圧によって励磁された前記電磁鋼板における磁束密度および磁界強度の時間波形に基づく前記ヒステリシスループに基づいて、前記電磁鋼板における鉄損を導出することを特徴とする鉄損測定方法。 - 前記収束判定工程は、前記PWMインバータで生成された前記励磁電圧によって励磁された電磁鋼板における磁束密度の時間波形の代わりに、前記電磁鋼板に巻き回されたコイルであって、前記励磁された前記電磁鋼板における磁束密度を検出するためのコイルであるBコイルの両端に生じる誘導起電力の時間波形を用い、
前記磁束密度差分導出工程は、前記正弦波であるとは見なせない磁束密度と、前記電磁鋼板における磁束密度の目標値との差分の代わりに、前記Bコイルの両端に生じる誘導起電力であって、前記正弦波であるとは見なせない誘導起電力と、前記Bコイルの両端に生じる誘導起電力の目標値との差分を用いることを特徴とする請求項6に記載の鉄損測定方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載の鉄損測定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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