JP6379989B2 - シート製造装置及びシート製造方法 - Google Patents

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本発明は、シート製造装置及びシート製造方法に関する。
従来、シート製造装置においては、繊維を含む原料を水に投入し、主に機械的作用により離解して、抄き直す、いわゆる湿式方式が採用されている。このような湿式方式のシート製造装置は、大量の水が必要であり、装置が大きくなる。さらに、水処理施設の整備のメンテナンスに手間がかかる上、乾燥工程に要するエネルギーが大きくなる。そこで、小型化、省エネルギーのために、水を極力利用しない乾式によるシート製造装置が提案されている。例えば、特許文献1には、乾式解繊機において紙片を繊維状に解繊して、紙を成形する紙再生装置が記載されている。
特開2012−144819号公報
特許文献1に開示された装置では、堆積させたウェブに少量の水分を添加し、ヒーターローラーで加熱加圧をしている。しかし、係る装置では、堆積する前の段階でウェブの原料に水分を添加していない。そのため繊維が帯電しやすく、装置内で搬送中に装置の内壁にシートの材料が付着するなどして、繊維の流れの脈動等が懸念される。また、例えば材料を堆積(平積み)している状態で加湿空気等を当てるだけでは、堆積物の上部以外の部分に加湿空気が触れにくく、十分な加湿が期待できない。また、堆積された後に搬送される時間が短いため、加湿空気と繊維との接触時間を長くとれず、材料を必ずしも十分には加湿できないと考えられる。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、繊維を含む原料に対して十分に水分を付与することができ、製造されるシートの厚さの変動が小さく、安定に稼働できるシート製造装置及びシート製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係るシート製造装置の一態様は、
繊維を含む材料を乾式で解繊可能な解繊部と、
前記解繊部で解繊された解繊物を気中で滞留させる滞留部と、
前記解繊部から前記滞留部に向かって前記解繊物を搬送する第1搬送部と、
前記滞留部、又は、前記滞留部よりも上流側の前記第1搬送部に、調湿された空気を供給する水分供給部と、
前記滞留部から搬送された前記解繊物の少なくとも一部を用いてシートを形成する形成部と、
を有する。
このようなシート製造装置によれば、滞留部にて解繊物が滞留し、滞留部又は滞留部よりも上流側で調湿された空気が供給されるので、滞留している間に解繊物が調湿された空気に触れて、調湿のための時間を十分にとることができる。これにより解繊物が調湿され、解繊物の帯電等を抑制することができ、製造されるシートの厚さの変動が小さく、安定した稼働が可能である。
本発明に係るシート製造装置において、
前記滞留部は前記解繊物を撹拌してもよい。
このようなシート製造装置によれば、解繊物が撹拌されることで調湿された空気に解繊物がさらに触れやすく、解繊物がより調湿されやすい。
本発明に係るシート製造装置において、
前記滞留部は回転体を有してもよい。
このようなシート製造装置は、回転体を有することで解繊物が調湿された空気中を移動して調湿されるため、さらに空気に触れやすくなり解繊物をより効率よく調湿できる。
本発明に係るシート製造装置において、
前記回転体は、円筒状のふるいであってもよい。
このようなシート製造装置は、円筒状のふるいが回転することで解繊物が、調湿された空気中で移動するため調湿されやすいとともに、ふるいにより所定の長さにふるわれることができる。
本発明に係るシート製造装置において、
前記円筒状のふるいの内側に、前記解繊物に接触可能で固定された固定部材を有してもよい。
このようなシート製造装置は、円筒状のふるいの下部に滞留した解繊物のうち下側の解繊物が回転により移動し、固定部材に接触して滞留した解繊物の上に落ちるので、解繊物がかき混ぜられて調湿されやすくなる。
本発明に係るシート製造装置において、
前記回転体は、前記滞留部の内部で回転する回転子であってもよい。
このようなシート製造装置によれば、回転子が回転して滞留した解繊物をかき混ぜるため、解繊物をより効率よく調湿できる。
本発明に係るシート製造方法の一態様は、
繊維を含む材料を乾式で解繊する解繊工程と、
前記解繊された解繊物を気中で滞留させる滞留工程と、
前記解繊物の少なくとも一部を用いてシートを形成する形成工程と、
を有し、
前記滞留工程では、前記解繊物に対して、調湿された空気を供給する。
このようなシート製造方法によれば、解繊物を滞留させた状態で調湿された空気に接触させるため、調湿のための時間を十分にとることができる。これにより解繊物が調湿され、解繊物の帯電等を抑制することができ、製造されるシートの厚さの変動が小さく、安定したシートの製造が可能である。
実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。 実施形態に係る滞留部の構成例を示す模式図。 変形実施形態に係る篩の模式図。
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.シート製造装置
1.1.構成の概要
まず、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。
シート製造装置100は、図1に示すように、供給部10と、製造部102と、制御部140と、を備える。製造部102は、シートを製造する。製造部102は、粗砕部12と、解繊部20と、分級部30と、選別部40と、混合部50と、堆積部60と、水分供給部120と、ウェブ形成部70と、シート形成部80と、切断部90と、を有している。本明細書では、ウェブ形成部70と、シート形成部と、を併せて形成部と称することがある。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、例えば、古紙やパルプシートなどである。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を、空気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部12は、粗砕刃14を有し、粗砕刃14によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部12としては、例えば、シュレッダーを用いる。粗砕部12によって裁断された原料は、ホッパー1で受けてから管2を介して、解繊部20に移送(搬送)される。
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色材や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、大気中(空気中)において乾式で解繊を行う。具体的には、解繊部20としては、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有している。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から、原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管3を介して、分級部30に移送される。
分級部30は、解繊部20を通過した解繊物を分級する。具体的には、分級部30は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色材や添加剤など)を分離して除去する。これにより、解繊物の中で比較的大きいもしくは密度の高いものである繊維の占める割合を高めることができる。
分級部30としては、気流式分級機を用いる。気流式分級機は、旋回気流を発生させ、分級されるもののサイズと密度とにより受ける遠心力の差によって分離するものであり、気流の速度及び遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部30としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特にサイクロンは、構造が簡便であるため、分級部30として好適に用いることができる。
分級部30は、例えば、導入口31と、導入口31が接続された円筒部32と、円筒部32の下方に位置し円筒部32と連続している逆円錐部33と、逆円錐部33の下部中央に設けられている下部排出口34と、円筒部32上部中央に設けられている上部排出口35と、を有している。
分級部30において、導入口31から導入された解繊物をのせた気流は、円筒部32で円周運動に変わる。これにより、導入された解繊物には遠心力がかかり、分級部30は、解繊物のうちで樹脂粒や色材や添加剤よりも大きく密度の高い繊維(第1分級物)と、解繊物のうちで繊維よりも小さく密度の低い樹脂粒や色材や添加剤など(第2分級物)と、に分離することができる。第1分級物は、下部排出口34から排出され、管4を介して、選別部40に導入される。一方、第2分級物は、上部排出口35から管5を介して受け部36に排出される。
選別部40は、分級部30を通過した第1分級物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40としては、例えば、円筒状の篩46(ふるい)(回転体)を用いる。選別部40は、網(フィルター、スクリーン)を有し、第1分級物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子(網を通過するもの、第1選別物)と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ(網を通過しないもの、第2選別物)と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、ホッパー6で受けてから管7を介して、混合部50に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して、解繊部20に戻される。具体的には、選別部40は、モーターによって回転することができる円筒の篩46である。選別部40の網は、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
混合部50は、選別部40を通過した第1選別物と、樹脂を含む添加物と、を混合する。混合部50は、形成部の一部を構成する。混合部50は、添加物を供給する添加物供給部52と、選別物と添加物とを搬送する管54と、ブロワー56と、を有している。図示の例では、添加物は、添加物供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
混合部50では、ブロワー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と添加物とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。また、混合部50は、回転する羽根を有する回転部を複数有し、第1選別物(繊維)と添加物(複合体(樹脂))とを係る回転部を通過させて混合してもよい。
添加物供給部52としては、図1に示すようなスクリューフィーダーや、図示せぬディスクフィーダーなどを用いる。添加物供給部52から供給される添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。樹脂が供給された時点では、複数の繊維は結着されていない。樹脂は、シート形成部80を通過する際に溶融して、複数の繊維を結着させる。
添加物供給部52から供給される添加物は、樹脂とワックスとを一体にした複合体であってもよい。複合体は、単独又は適宜他の物質と混合して用いてもよい。また、添加物供給部52から供給される添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
なお、添加物供給部52から供給される添加物には、繊維を結着させる樹脂(複合体として供給されてもよい)の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、複合体や繊維の凝集を防止するための凝集抑制剤、繊維等が燃えにくくするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物(第1選別物と添加物との混合物)は、管54を介して、堆積部60に移送される。
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、気中で分散させながら降らせる。ここで気中とは、空気及び後述の水分供給部120から供給される調湿された空気の混合気中という意味である。堆積部60は、形成部の一部を構成する。また、堆積部60は、混合物を吐出してウェブ形成部70に降らせる吐出部ということができる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60としては、回転する円筒状の篩66を用いる。堆積部60は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子(網を通過するもの)を降らせる。堆積部60の構成は、例えば、選別部40の構成と同じである。なお、堆積部60の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、堆積部60として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、堆積部60では、堆積部60に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
本実施形態に係るシート製造装置100は、堆積部60の円筒の篩66(回転体)の内側に調湿された空気を導入する水分供給部120が設けられている。水分供給部120の詳細については後述する。
ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、ウェブWを形成する。ウェブ形成部70は、形成部の一部を構成し、エアレイドによってウェブWを形成する。ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有している。
メッシュベルト72は、移動しながら、堆積部60の開口(網の開口)を通過した通過物を堆積する。メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通しにくく空気を通す構成となっている。メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト72上にウェブWが形成される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72は、堆積部60から降ってきた混合物を含む気流を受け、混合物を捕集して気体を透過させる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられている。サクション機構76は、下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。サクション機構76によって、堆積部60により吐出され空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
以上のように、堆積部60及びウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウェブWが形成される。メッシュベルト72に堆積されたウェブWは、シート形成部80へと搬送される。
シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積したウェブWを加熱加圧してシートSを成形する。シート形成部80は、形成部の一部を構成する。シート形成部80では、ウェブWにおいて混ぜ合された解繊物及び添加物の混合物に、熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着することができる。また、シート形成部80では、ウェブWに熱を加える他に、圧力を加えてもよく、両者は、同時又は別個に行われてもよい。したがって、シート形成部80は、加熱加圧部とみなすことができる。
シート形成部80としては、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、加圧ローラー、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロワー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いる。図示の例では、シート形成部80は、第1結着部82と第2結着部84とを備え、結着部82,84がそれぞれ一対の加熱ローラー86を備えている。そして、一対の加熱ローラー86によって、ウェブWを加熱加圧するように構成されている。結着部82,84を加熱ローラー86として構成したことにより、結着部82,84を板状のプレス装置(平板プレス装置)として構成した場合に比べて、ウェブWを連続的に搬送しながらシートSを成形することができる。なお、加熱ローラー86の数、図示せぬ加圧ローラーの数、及びそれらの配置の順序は、特に限定されない。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。図示の例では、切断部90は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有している。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。
1.2.繊維
本実施形態のシート製造装置100において、シートSの原料となる繊維としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などが挙げられ、更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維や、レーヨン、リヨセル、キュプラ、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属からなる繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。原料としては、例えば、古紙、古布等が挙げられるが、これらの繊維の少なくとも1種を含んでいればよい。また、繊維は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有又は含浸されていてもよい。また、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物、添加物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。
本実施形態で使用される繊維は、独立した1本の繊維としたときに、その平均的な直径(断面が円でない場合には長手方向に垂直な方向の長さのうち、最大のもの、又は、断面の面積と等しい面積を有する円を仮定したときの当該円の直径(円相当径))が、平均で、1μm以上1000μm以下、好ましくは、2μm以上500μm以下、より好ましくは3μm以上200μm以下である。
本実施形態のシート製造装置100で使用する繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維で、その繊維の長手方向に沿った長さは、1μm以上5mm以下、好ましくは、2μm以上3mm以下、より好ましくは3μm以上2mm以下である。繊維の長さが短い場合は、複合体と結着しにくいため、シートの強度が不足する場合があるが、上記範囲であれば十分な強度のシートを得ることができる。
また、繊維の平均の長さは、長さ−長さ加重平均繊維長として、20μm以上3600μm以下、好ましくは200μm以上2700μm以下、より好ましくは300μm以上2300μm以下である。さらに、繊維の長さは、ばらつき(分布)を有してもよく、独立した1本の繊維の長さについて、100以上のn数で得られる分布において、正規分布を仮定した場合に、σが1μm以上1100μm以下、好ましくは1μm以上900μm以下、より好ましくは1μm以上600μm以下であってもよい。
繊維の太さ、長さは、各種の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡、ファイバーテスター等により測定することができる。また顕微鏡観察の場合には、必要に応じて観察試料の前処理を適宜施すことにより、断面観察、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張った状態での観察を行うことが可能である。
1.3.樹脂
本実施形態のシート製造装置100において、添加物供給部52から供給される添加物は、樹脂を含有する。樹脂は、樹脂粒子として供給されてもよいし、他の物質と複合化された複合体として供給されてもよい。
樹脂の種類としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。本実施形態のシート製造装置100においては、複合体を構成する樹脂は、常温で固体である方が好ましく、プレ加熱部110やシート形成部80における熱によって繊維を結着することに鑑みれば熱可塑性樹脂がより好ましい。
天然樹脂としては、ロジン、ダンマル、マスチック、コーパル、琥珀、シェラック、麒麟血、サンダラック、コロホニウムなどが挙げられ、これらを単独又は適宜混合したものが挙げられ、また、これらは適宜変性されていてもよい。
合成樹脂のうち熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、合成樹脂のうち熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。また、共重合体化や変性を行ってもよく、このような樹脂の系統としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等が挙げられる。
なお、樹脂を複合体として添加する場合において、複合体とし得る樹脂以外の物質としては、繊維を着色するための着色剤、繊維等が燃えにくくするための難燃剤、複合体や繊維の凝集を防止するための凝集抑制剤、有機溶剤、界面活性剤、防黴剤・防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、酸素吸収剤等が挙げられる。
凝集抑制剤としては、各種使用しうるが、本実施形態のシート製造装置100において、供給部10から、ウェブ形成部70までにおいては、水を使用しない又はほとんど使用しないため、複合体の表面に配置される(コーティング(被覆)等でもよい。)種のものを使用することが好ましい。このような凝集抑制剤としては、無機物からなる微粒子が挙げられ、これを複合体の表面に配置することで、非常に優れた凝集抑制効果を得ることができる。凝集抑制剤の材質の具体例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウムを挙げることができる。
混合部50において、繊維と樹脂とが混ぜ合されるが、それらの混合比率は、製造されるシートSの強度、用途等により適宜調節されることができる。製造されるシートSがコピー用紙等の事務用途であれば、繊維に対する複合体の割合は、5質量%以上70質量%以下であり、混合部50において良好な混合を得る観点、及び混合物をシート状に成形した場合に、重力によって複合体がさらに脱離しにくくする観点からは、5質量%以上50質量%以下が好ましい。
1.4.水分供給部
本実施形態のシート製造装置100では、水分供給部120は、堆積部60の回転する篩66(回転体)の内側に調湿された空気を導入する。水分供給部120から供給される調湿された空気は、篩66の内側に滞留する解繊物に気中で接触される。
水分供給部120によって供給される調湿された空気は、例えば、微細水滴と混合された空気(水滴混合空気)によって生成される。水分供給部120は、微細水滴及び外部空気の供給量を制御して、所定の含水率(湿度)を有する空気を供給する。なお、図示しないが、水分供給部120は、原料空気中や、篩66の気中の水分量(湿度)を測定する湿度測定手段を有してもよく、係る湿度測定手段の測定結果に応じて空気に混合する水分量を調節(空気を調湿)してもよい。
水分供給部120によって供給される調湿された空気の相対湿度は、30%以上100%以下が好ましい。30%未満であると、解繊物が搬送される際に帯電しやすくなる。なお、調湿された空気には、繊維同士の付着を抑制する観点から、水滴が含まれないことが好ましい。本実施形態では微細水滴を空気に混合しているが、水滴の体積を小さいため、水滴は速やかに蒸発して水蒸気となる。また、水分の供給は、微細水滴の他に直接水蒸気(スチーム)を外部空気に混合して行ってもよい。なお、滞留部(本実施形態では堆積部60の回転する篩66(回転体))や下流側の構成の温度環境によっては、結露等を生じることがあるため、調湿された空気の相対湿度は100%(飽和)でないことがより好ましい。
水分供給部120で用いられる水としては、水道水、上水、再生水、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などを利用することができる。これらのうち、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水又は超純水を用い、特にこれらの水を紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理すると、長期間カビやバクテリアの発生を抑制することができるのでより好ましい。
水分供給部120から供給される調湿された空気は、繊維に接触することで、繊維に水分を与えることができる。本実施形態のシート製造装置100では、堆積部60の回転する篩66(回転体)の内側(滞留部)に調湿された空気が導入される。そのため、調湿された空気と繊維との接触時間が十分に長い。
また、図示しないが、例えば、堆積部60よりも上流側の、導入口62に接続する管7等に、調湿された空気を導入してもよい。このようにしても、滞留部が下流側に存在することになり、調湿された空気と繊維との接触時間を十分に長くとることができる。
また、堆積部60の上流側で直接接続している管7だけでなく、本実施形態では、堆積部60(滞留部)よりも上流側の各構成、例えば、管2,3,4,7などの滞留部に向かって解繊物(材料)を搬送する構成(第1搬送部に相当)の少なくとも1つに水分供給部120が接続されれば、調湿された空気と材料との接触時間を十分に長くとることができる。さらに第1搬送部には、材料を搬送する構成以外の構成が含まれてもよい。
そして、堆積部60(滞留部)から、解繊物(材料)の搬送方向の下流に向かって、ウェブ形成部70、シート形成部80及び切断部90等の形成部(第2搬送部に相当)を経て、シートSが製造される。なお、本明細書では、滞留部に向かって材料を搬送する構成を第1搬送部、滞留部から下流に向かって材料を搬送する構成を第2搬送部と称する。
1.5.滞留部
1.5.1.滞留部
本実施形態のシート製造装置100では、水分供給部120から導入される調湿された空気は、シートSの原料が滞留する堆積部60の回転する篩66(回転体)の内側に導入される。すなわち、堆積部60の回転する篩66(回転体)の内側は、シートSの材料が滞留する滞留部となっている。しかも、篩66は、回転するため、材料及び空気は、撹拌される。そのため、効率よく材料に対する水分の付与を行うことができる。すなわち、撹拌されることにより、繊維が空気中で移動する(微視的に見た繊維及び空気の相対的位置が変化する)ため、繊維の周囲の空気は絶えず入れ替わる(かき混ぜられる)ことができる。これにより、繊維の平衡水分量に達するまでの時間を短縮することができる。
本明細書において、「滞留」とは、篩66内に導入された混合物が篩66の目を通過するまでの最短時間よりも長い時間、篩66内に混合物が滞在する状態をいう。ここで、篩66内に導入された混合物のうちの50%以上が滞留することが望ましい。より多くの混合物が滞留した方が望ましいため、さらに好ましくは70%以上が滞留するのがよい。なお、篩66に混合物を気流で送る場合は、篩66内を通過する気流の速度よりも、混合物の速度の方が遅い状態を「滞留」としてもよい。
そのため、単に材料をほとんど滞留することなく搬送する管等に対して水分供給部120から調湿された空気を供給する場合と比較して、滞留部では調湿された空気と繊維との接触時間が十分に長い。これにより、特定の湿度雰囲気において、繊維に含まれる水分を、繊維の平衡水分量へと近づけるための時間を長くとることができる。
このように滞留部に水分供給部120から調湿された空気を供給することで、装置のスループットを低下させることなく、繊維への水分の付与を行うことができる。これにより、材料の帯電が抑制され、装置内への材料の付着を抑制できる。したがって、付着した材料が塊となって搬送されるような材料の流れの脈動を抑制することができ、厚さや坪量の変動の少ないシートSを安定して製造することができる。
1.5.2.滞留部の変形
上述のシート製造装置100の例では、堆積部60の回転する篩66(回転体)が滞留部であった。しかし、滞留部は、選別部40の篩46(回転体)であってもよい。篩46は、既に述べたとおり、篩66と同様の構造を有しており、材料の滞留部としても機能できる。したがって、水分供給部120から、篩66の内部に調湿された空気を導入した場合でも、上記実施形態と同様の作用機能を奏することができる。また、水分供給部120は、複数あってもよく、選別部40の篩46及び堆積部60の篩66の両者に対して調湿された空気を導入してもよい。さらに、篩46及び篩66は、いずれも滞留部となっているため、これらの上流側の管2,3,4,7等に、調湿された空気を導入しても同様の効果が得られる。
さらに、滞留部は、上述の管2,3,4,7等の材料を搬送する経路にも設けることができる。図2は、このような滞留部の一例としての、滞留部130を模式的に示している。図2(a)に例示する滞留部130は、流入口131、滞留管132及び流出口133が連結されており、流入口131から導入された材料及び空気が滞留管132を経て流出口133から排出されるようになっている。そして、滞留部130は、上述の管2,3,4,7の少なくとも1つに接続されることができる。また、管2,3,4,7の端部に設けられても、中間(途中の位置)に設けられてもよい。
さらに、係る滞留部130は、スクリュー形状の羽根135を有する回転子134を備えており、滞留管132の長手方向の軸に沿って回転子134が回転するように構成されている。回転子134の羽根135のピッチや、回転子134の回転方向や回転速度は、特に限定されず、装置の状況により適宜に設定され得る。
滞留部130は、流入口131よりも滞留管132の流路断面積が大きいため、流入口131から材料及び空気が導入されると、空気の流速が滞留管132において低下するため、気流に乗せて搬送できる材料の量が低下し、空気の流通速度よりも材料の流通速度のほうが小さくなる。そのため、滞留管132は、材料を滞留させることができる。この例では、水分供給部120から、滞留管132に対して調湿された空気が導入される。これにより、材料の調湿を効率よく行うことができる。
さらに、図示のように、回転子134を回転させることによって、材料が撹拌され、より効率よく材料に対する水分の付与を行うことができる。すなわち、かき混ぜられる(撹拌される)ことにより、繊維が空気中で移動する(微視的に見た繊維及び空気の相対的位置が変化する)ため、繊維の周囲の空気は絶えず入れ替わることができる。
なお、滞留部130の上流側の管2,3,4,7等の構成に、調湿された空気を導入しても同様の効果が得られる。また、滞留部130を通過する材料や空気の抵抗となりにくい観点からは、回転子134の羽根135と滞留管132との間に隙間が形成されていることが好ましい。さらに、ここでは螺旋型(スクリュー形状)の回転子134の羽根135は、同様の観点から、回転軸に平行な単数又は複数の平板状や、いわゆるパドル状(回転軸から放射状に延びる単数又は複数の棒状)の羽根形状であってもよい。
図2(b)は、回転子134の変形例を模式的に示している。図2(b)に示すように、回転子134の羽根135には、羽根135の表面から突出する突部136が設けられてもよい。回転子134に突部136が形成されることにより、滞留管132の中での材料及び空気の撹拌効率を高めることができる。例えば、図示のように突部136を形成すると、回転子134の回転により、滞留している材料を重力の作用する方向とは反対の方向に舞い上がらせる作用を高めることができる。これにより、下側に材料が溜まって調湿された空気に触れないことを抑制し、さらに調湿の効率を高めることができ、繊維の平衡水分量に達するまでの時間を短縮することができる。なお、突部136の形状は、特に限定されないが、材料が突部136によって捕獲されにくい形状とすることが望ましい。そのような形状としては、頂点や裾がなだらかな錐状、湾曲した板状など、断面において鋭角の輪郭が現れない形状が好ましい。
図3は、上述した堆積部60及び選別部40の篩の変形例を模式的に示している。変形例に係る篩800は、回転体としてのドラム部300の他に、固定部材600を備えている。なお、ドラム部300の内側の空間は、滞留部として機能する点は上述の篩66,46と同様である。
ドラム部300には、図3に示すように、少なくとも繊維を含む材料が空気中で通過する複数の開口311(篩の目)を有する開口部310と、開口311を有しない筒状部315とを有している。開口部310と筒状部315は溶接やネジなどで締結され、一体的に回転する。開口部310は、複数の開口311(パンチングメタル)が設けられている。当該開口311から分散された繊維を含む材料が通過するように構成され、繊維を含む材料の大きさ、種類等により開口311の大きさや形成領域等が適宜設定されている。なお、開口部310は、パンチングメタルに限定されず、金網材であってもよい。複数の開口311の大きさ(面積)は同じで、それぞれが等間隔で配置されている。本変形例では、ドラム部300が回転することで所定の材料が開口311を通過する。ドラム部300の回転中心軸Rは水平方向である。
また図3に示すように、篩800は、ドラム部300における回転中心軸Rの延接方向の両端には、回転しない2つの側部500(500a,500b)を有している。そして、一方の側部500aに備えられドラム部300に材料を導入する、導入部540を備えている。なお、ドラム部300は図示しない支持部により回転可能に支持されている。
側部500a、500bは筒状部315a、315bの外側に、図示せぬ固定のフランジ部をそれぞれ有し、筒状部315とパイルシールにより接している。側部500a、500bは、図示しない外部フレームに固定されている。側部500aには、繊維を含む材料をドラム部300内部に供給するための導入部540の一部を構成する材料供給口560が設けられている。材料供給口560の配置位置は、回転中心軸Rと同じ中央部、或いは、回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間する位置に配置される。
ドラム部300内の材料は下方に溜まるので、材料供給口560を回転中心軸Rと同じ位置に配置することにより、ドラム部300の側部500aのほぼ真ん中から材料が供給される。すなわち、材料が溜まっていない(密度の低い)空間に供給されるので、材料同士の衝突が低減され、円滑に材料を供給することができる。
そして、図3に示すように、ドラム部300内に固定部材600が固定して配置されている。固定部材600は、図3に示すように、ドラム部300内において、回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間して固定して配置されている。固定部材600は、回転するドラム部300とともに移動する材料と接触可能な部材である。回転中心軸Rの延設方向において、固定部材600は開口部310よりも大きく、ドラム部300よりも小さい。そのため、固定部材600は、少なくとも開口部310とともに移動する材料と接触することができる。
そして、図3に示すように、固定部材600は2つの側部500a,500bに固定されている。固定部材600と筒状部315の内側面との間に隙間(空間)660を設けた状態で、固定部材600と各側部500a,500bとが固定具610で接続固定されている。つまり、固定部材600はドラム部300とは離間して配置されている。これにより、ドラム部300は回転するが、固定部材600、側部500a,500bは回転しないように固定されている。また、固定具610は、固定部材600から固定部材600の長手方向に延びて各側部500a,500bに接続される。すなわち、固定部材600の鉛直方向における下方のドラム部300の回転中心軸R付近には固定具610等が配置しておらず、固定部材600に接触した材料は、障害物等に接触することなく下方に落下する。なお、固定具610は固定部材600よりも小さく、回転するドラム部300とともに移動する材料と接触しにくい。
また、固定部材600は、材料と接触する部分が面状である。本実施形態では、断面が四角い板状部材である。これにより、固定部材600に対して効率よく回転する繊維が接触する。固定部材の材料と接触する部分は、面状であればよく、平面でも曲面でもよい。面状は、その面に凸や凹が無い状態を言う。凸や凹があると材料が引っかかってしまう。引っかからないように凸や凹の端部をテーパ形状にしたり湾曲形状にしていれば面状とみなす。
ドラム部300を回転中心軸回りに回転させると、ドラム部300の回転に伴ってドラム部300内の繊維を含む材料もドラム部300の回転方向に回転する。また、材料は遠心力により開口部310の内周面に押し圧され、開口311の目開きの大きさよりも小さい繊維は開口311を通過する。ここで、ドラム部300内におけるドラム部300の回転中心軸Rよりも鉛直方向における上側に離間した位置には固定部材600が配置されており、開口部310の内周面に材料が貼り付いた状態で回転移動する材料は固定部材600に接触(衝突)する。そして、接触した材料は、開口部310の内周面から剥がれ落ち、剥がれ落ちた材料は、再度回転移動される。このとき、繊維が絡み合ったダマなどは衝突や落下の際に絡み合った状態が解けてほぐされる。これにより、開口311を通過しやすくなり、篩機能の効率を向上させることができる。また、開口部310の内周面に貼り付いた材料を剥がすことで、複数の開口を露出させることができ、材料が開口を通過しやすくすることができる。
このような変形例の篩800は、下部に滞留した解繊物を含む材料のうち、下側の材料が回転により移動し、固定部材600に接触して滞留した材料の上に落ちるので、材料がより効率よくかき混ぜられる。そのため、調湿された空気が導入された場合に、調湿されやすい。
1.5.3.滞留部の作用等
上記の通り、滞留部は、解繊物やこれを含む材料を気中で滞留させる。そして、滞留部に、又は、滞留部よりも上流側に調湿された空気が導入されることにより、材料が効率的に調湿される。材料が調湿されることにより、静電気の発生が抑制され、例えば、装置の内壁への付着が抑制される。これにより、材料が装置内に付着して集積することや、集積した材料が下流に一気に流れるような、材料の流れの脈動を抑制することができる。さらに、滞留部は、材料の搬送量の変動の影響を抑制する機能も有する。すなわち、仮に、滞留部よりも上流側で、搬送量の増減が生じたとしても、搬送量の増減を吸収して、滞留部よりも下流側における搬送量を安定化することができる。
2.シート製造方法
本実施形態のシート製造方法は、解繊工程と、滞留工程と、シートを形成する形成工程と、を有し、滞留工程で、解繊物に対して、調湿された空気を供給する。
本実施形態のシート製造方法の解繊工程は、繊維を含む材料を解繊する工程であり、例えば、上述のシート製造装置の項で述べた解繊部20を用いて行うことができる。また、滞留工程は、解繊された解繊物を気中で滞留させる工程であり、上述のシート製造装置の項で述べた選別部40の篩46、堆積部60の篩66、変形例に係る滞留部130、変形例に係る篩800により行うことができる。また、形成工程は、解繊物の少なくとも一部を用いてシートを形成する工程であり、上述の分級部30、選別部40、混合部50、堆積部60、ウェブ形成部70及びシート形成部80により行うことができる。そして、滞留工程で、解繊物に対して、調湿された空気を供給することは、上述の水分供給部120から、滞留部の上流側に調湿された空気を導入することにより行うことができる。各構成の詳細はシート製造装置の項で述べたと同様であり説明を省略する。
3.シート
本実施形態のシート製造装置100又はシート製造方法によって製造されるシートSは、少なくとも上述の繊維を原料とし、シート状にしたものを主に指す。しかしシート状ものに限定されず、ボード状、ウェブ状、又は凹凸を有する形状であってもよい。本明細書におけるシートとは、紙と不織布に分類できる。紙は、例えば、パルプや古紙を原料としシート状に成形した態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙などを含む。不織布は、紙より厚いものや低強度のものであり、一般的な不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
なお、不織布の場合には、繊維と繊維との間の間隔が広い(シートの密度が小さい)。これに対して紙は、繊維と繊維との間の間隔が狭い(シートの密度が大きい)。そのため、本実施形態のシート製造装置100、又はシート製造方法によって製造されるシートSが紙であるほうが、シートSとしたとき密度が高く、本発明の作用、機能をより顕著に発現することができる。
4.その他の事項
本明細書において、「均一」との文言は、均一な分散や混合という場合には、2種以上又は2相以上の成分を定義できる物体において、1つの成分の他の成分に対する相対的な存在位置が、系全体において一様、又は系の各部分において互いに同一若しくは実質的に等しいことを指す。また、着色の均一性や色調の均一性は、シートを平面視したときに色の濃淡がなく、一様な濃度であることを指す。
本明細書において、「均一」「同じ」「等間隔」など、密度、距離、寸法などが等しいことを意味する言葉を用いている。これらは、等しいことが望ましいが、完全に等しくすることは難しいため、誤差やばらつきなどの累積で値が等しくならずにずれるのも含むものとする。
なお、本明細書では、シート製造装置において、製造されるシートの材料(原料、被解繊物、解繊物(繊維)、ウェブ等)の流れ(概念的な流れを含む)に対して、「上流」、「下流」等の表現を用いる。また、「上流側(下流側)」という表現は、構成等の位置を相対的に特定する場合に用い、例えば、「AがBの上流側(下流側)にある」などという場合には、Aの位置がBの位置に対して、シートの材料の流通方向に照らして上流(下流)にあることを指す。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…ホッパー、2,3,4,5…管、6…ホッパー、7,8…管、9…ホッパー、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、30…分級部、31…導入口、32…円筒部、33…逆円錐部、34…下部排出口、35…上部排出口、36…受け部、40…選別部、42…導入口、44…排出口、46…篩、50…混合部、52…添加物供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、62…導入口、66…篩、70…ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、80…シート形成部、82…第1結着部、84…第2結着部、86…加熱ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出部、100…シート製造装置、102…製造部、120…水分供給部、130…滞留部、131…流入口、132…滞留管、133…流出口、134…回転子、135…羽根、136…突部、300…ドラム部、306…開放口、310…開口部、311…開口、315,315a,315b…筒状部、500,500a,500b…側部、540…導入部、560…材料供給口、600…固定部材、610…固定具、W…ウェブ、S…シート

Claims (4)

  1. 繊維を含む材料を乾式で解繊可能な解繊部と、
    前記解繊部で解繊された解繊物を気中で滞留させる滞留部と、
    前記解繊部から前記滞留部に向かって前記解繊物を搬送する第1搬送部と、
    前記滞留部、又は、前記滞留部よりも上流側の前記第1搬送部に、調湿された空気を供給する水分供給部と、
    前記滞留部から搬送された前記解繊物の少なくとも一部を用いてシートを形成する形成部と、
    を有し、
    前記滞留部は円筒状のふるいで構成された回転体を有しており、前記円筒状のふるいの内側に、前記解繊物に接触可能で固定された固定部材を有することを特徴とする、シート製造装置。
  2. 前記滞留部は前記解繊物を撹拌することを特徴とする、請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 前記回転体は、前記滞留部の内部で回転する回転子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート製造装置。
  4. 繊維を含む材料を乾式で解繊する解繊工程と、
    円筒状のふるいで構成された回転体を用いて前記解繊された解繊物を気中で滞留させる滞留工程と、
    前記解繊物の少なくとも一部を用いてシートを形成する形成工程と、
    を有し、
    前記滞留工程では、前記解繊物に対して、調湿された空気を供給し、前記円筒状のふるいの内側に固定された固定部材を前記解繊物に接触させる、
    ことを特徴とする、シート製造方法。
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