JP2018144412A - シート - Google Patents

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JP2018144412A JP2017043554A JP2017043554A JP2018144412A JP 2018144412 A JP2018144412 A JP 2018144412A JP 2017043554 A JP2017043554 A JP 2017043554A JP 2017043554 A JP2017043554 A JP 2017043554A JP 2018144412 A JP2018144412 A JP 2018144412A
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Kaneo Yoda
兼雄 依田
加藤 真一
Shinichi Kato
真一 加藤
関 俊一
Shunichi Seki
関  俊一
上野 芳弘
Yoshihiro Ueno
芳弘 上野
加藤 洋
Hiroshi Kato
洋 加藤
美和 掛村
Miwa KAKEMURA
美和 掛村
市川 和弘
Kazuhiro Ichikawa
和弘 市川
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Abstract

【課題】カールを抑えることができるシートを提供する。【解決手段】樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で27dB以上減少する、シート。【選択図】図9

Description

本発明は、シートに関する。
インクジェットプリンターに用いられるインクジェット用紙は、シートに吸収されたインクによるカールが問題となる。シートがカールすると、プリンターの排紙スタッカー上にシートを重ねて排紙することが困難となる。
例えば特許文献1には、CD方向での水中伸度の標準偏差が30%以下である抄紙シート上に、高吸水性顔料と水溶性高分子接着剤を主成分とする水性インク受容性被覆層を、0.5〜15g/cmの割合で設けて、カールを軽減することが記載されている。
特開平3−38376号公報
しかしながら、特許文献1のように湿式で製造されたシートでは、例えば、インクの吐出量が多い場合や、印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインクの量が多い場合には、カール量が大きくなってしまう場合があった。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、カールを抑えることができるシートを提供することにある。
本発明に係るシートの一態様は、
樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で27dB以上減少する。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートにおいて、
測定開始から30秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上であってもよい。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートにおいて、
前記インクジェット用インクは、染料インクであり、
測定開始から6秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上であってもよい。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートにおいて、
前記インクジェット用インクは、顔料インクであり、
測定開始から14秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上であってもよい。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートの一態様は、
樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
インクジェット用インクに対する、測定開始から30秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上である。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートの一態様は、
樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
染料インクに対する、測定開始から6秒間における超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上である。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本発明に係るシートの一態様は、
樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
顔料インクに対する、測定開始から14秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上である。
このようなシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「実験例」参照)。
本実施形態に係るシートの複合体を模式的に示す断面図。 動的浸透性試験を説明するための図。 超音波伝達強度を説明するためのグラフ。 本実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。 本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置を模式的に示す図。 本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置を模式的に示す図。 本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置の繊維凝集抑制剤分離部を模式的に示す図。 本実施形態のシート製造方法を説明するためのフローチャート。 実験結果を示す表。 実験結果を示す表。 シートのSEM像。 シートのSEM像。 シートのSEM像。 シートのSEM像。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. シート
まず、本実施形態に係るシートについて説明する。本実施形態に係るシートは、結合材により繊維同士が結合されたシートである。具体的には、本実施形態に係るシートは、繊維が繊維凝集抑制剤と一体となって複合体を構成し、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体同士が、樹脂を含む結合材で結合されたものである。本実施形態に係るシートは、例えば、単層である。
1.1. 繊維
本実施形態に係るシートは、繊維を含む。本実施形態に係るシートに含まれる繊維(繊維材)としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などが挙げられ、さらに詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維や、レーヨン、リヨセル、キュプラ、ビニロン、アクリル、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、炭素、ガラス、金属からなる繊維が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。また、繊維は、乾燥されていてもよいし、水、有機溶剤等の液体が含有又は含浸されていてもよい。また、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物、添加物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。
本実施形態に係るシートに含まれる繊維は、基本的な形状として、ひも(string)状、平ひも(ribbon)状のものであり、独立した1本の繊維でもよく、また複数本が互いに絡み合って全体としてひも状又は平ひも状となっているものでもよい。また、繊維材としては、綿状の形態を形成しているものであってもよい。また、繊維の構造としては、1種の材質からなるいわゆる単繊維であってもよいし、中心部から外周部に向って、材質が連続的又は段階的に変化するようなものであってもよい。繊維の中心部から外周部に向って、材質が段階的に変化するものとしては、いわゆる芯鞘構造の繊維が挙げられる。さらに繊維は、曲線状の形状であってもよく、縮れた形状であってもよい。また、繊維の断面の形状についても特に限定されず、円形、楕円形、多角形、又はこれらを組み合わせた形状であってもよい。また、フィブリル化された繊維であってもよい。
本実施形態に係るシートに含まれる繊維は、独立した1本の繊維としたときに、その平均的な直径(断面が円でない場合には長手方向に垂直な方向の長さのうち、最大のもの、又は、断面の面積と等しい面積を有する円を仮定したときの当該円の直径(円相当径))が、平均で、1μm以上1000μm以下、好ましくは、2μm以上500μm以下、より好ましくは3μm以上200μm以下である。
本実施形態に係るシートに含まれる繊維の長さは、特に限定されないが、独立した1本の繊維で、その繊維の長手方向に沿った長さは、1μm以上5mm以下、好ましくは、2μm以上3mm以下、より好ましくは3μm以上2mm以下である。繊維の長さが短い場合は、シートの強度が不足する場合があるが、上記範囲であれば十分な強度のシートを得ることができる。繊維の長手方向に沿った長さとは、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張り、その状態でほぼ直線状の状態に置いたときの両端間の距離(繊維の長さ)であってもよい。また、繊維の平均の長さは、長さ−長さ加重平均繊維長(Lw)として、20μm以上3600μm以下、好ましくは200μm以上2700μm以下、より好ましくは300μm以上2300μm以下である。さらに、繊維の長さは、ばらつき(分布)を有してもよく、独立した1本の繊維の長さについて、100以上のn数で得られる分布において、正規分布を仮定した場合に、σが1μm以上1100μm以下、好ましくは1μm以上900μm以下、より好ましくは1μm以上600μm以下であってもよい。
繊維の太さ、長さは、各種の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、ファイバーテスター等により測定することができる。また顕微鏡観察の場合には、必要に応じて観察試料の前処理を適宜施すことにより、断面観察、独立した1本の繊維の両端を必要に応じて破断しないように引張った状態での観察を行うことが可能である。
なお、「綿状」とは、1本の長い繊維又は複数の繊維が、互いに絡み合い又は部分的に互いに接触することにより、三次元の嵩高い外形を有する状態のことをいう。すなわち、綿状とは、繊維の絡み合いや部分的な接触によって形成される立体的な形状であって、当該形状の中に気体を包含した状態をいう。さらに、綿状との文言は、複数の繊維間が結着されているかいないかに関わらず用いられる。
1.2. 繊維凝集抑制剤
本実施形態に係るシートは、繊維凝集抑制剤を含む。繊維凝集抑制剤は、繊維に配合された場合、配合されない場合に比較して、繊維を凝集させにくくする機能を有する。繊維凝集抑制剤としては、無機物からなる微粒子が挙げられ、これを繊維の表面に配置することで、非常に優れた凝集抑制効果を得ることができる。 なお、「凝集」とは、同種又は異種の物体が、静電気力やファンデルワールス力によって物理的に接して存在する状態をいう。
繊維凝集抑制剤は、例えば、炭酸カルシウム、クレー、二酸化チタン、ホワイトカーボン、カオリン、タルクのうちの少なくとも1つを含む。繊維凝集抑制剤は、好ましくは、炭酸カルシウムである。繊維凝集抑制剤として用いられる炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム(GCC)であってもよいし、軽質炭酸カルシウム(PCC)であってもよい。
繊維凝集抑制剤の粒子の平均粒子径(数平均粒子径)は、特に限定されないが、例えば、0.001μm以上30μm以下であり、好ましくは0.003μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.008μm以上0.6μm以下である。繊維凝集抑制剤の粒子の平均粒子径は、例えば、繊維の平均の長さより小さい。凝集抑制剤の粒子は、いわゆるナノパーティクルの範疇に近く、粒子径が小さいことから、一次粒子となっていることが一般的であるが、一次粒子の複数が結合して高次の粒子となっていてもよい。繊維凝集抑制剤の一次粒子の粒子径が上記範囲内であれば、繊維の表面に良好にコーティングを行うことができ、十分な凝集抑制効果を付与することができる。
本実施形態に係るシートは、繊維凝集抑制剤を内部に含む。繊維凝集抑制剤は、シートの表面に付着していてもよい。本実施形態に係るシートでは、繊維凝集抑制剤の存在比率は、内部の方が両表面のうちの少なくとも一方よりも大きい。すなわち、シートは、第1表面と、第1表面と反対側の第2表面と、を有し、シートの内部の繊維凝集抑制剤の存在比率は、シートの第1表面の繊維凝集抑制剤の存在比率、及びシートの第2表面の繊維凝集抑制剤の存在比率の少なくとも一方よりも大きい。繊維凝集抑制剤の存在比率は、内部の方が両表面のうちの少なくとも一方よりも大きくなる理由については、後述する「2. シート製造装置」で説明する。
なお、「表面の繊維凝集抑制剤の存在比率」とは、シートの表面における単位面積当たりの繊維凝集抑制剤の数である。また、「内部の繊維凝集抑制剤の存在比率」とは、シートの最表面(例えば第1表面又は第2表面)を切削、スクレーパーや紙ヤスリなどで除去して新たな表面を露出させ、該新たな表面における単位面積当たりの繊維凝集抑制剤の数である。このように「内部」とは、最表面以外の部分であり、例えば、第1表面と第2表面との間の部分である。単位面積当たりの繊維凝集抑制剤の数は、SEMによって測定することができる。
繊維凝集抑制剤の含有量は、繊維100部に対して、例えば、5部以上25部未満であり、好ましくは10部以上20部未満である。そのため、本実施形態に係るシートでは、より確実に、繊維の凝集が抑えられ、繊維の分布の均一性が高い。繊維100部に対する繊維凝集抑制剤の含有量は、例えば、シートを燃やす前の質量と、シートを燃やして繊維を蒸発させた後の質量と、を測ることによって求めることができる。この場合、シートを燃やす前の質量を繊維と繊維凝集抑制剤との合計の質量とみなし、シートを燃やした後の質量を繊維凝集抑制剤の質量とみなすことができる。
1.3. 複合体
本実施形態に係るシートは、複合体を含む。ここで、図1は、本実施形態に係るシートの複合体1を模式的に示す断面図である。複合体1は、図1に示すように、繊維1aと繊維凝集抑制剤1bとを一体に有する。図示の例では、繊維1aは、曲線状の形状であるが、直線状の形状でもよい。図示の例では、繊維凝集抑制剤1bの全ては、繊維1aに付着しており、例えば繊維1aに付着していない繊維凝集抑制剤1bは、存在していない。
なお、「繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する」とは、繊維凝集抑制剤が繊維の表面にファンデルワールス力、静電気力、粘着力等で密着して被覆した状態をいう。繊維の表面に繊維凝集抑制剤を配置すると、繊維と、該繊維と異なる繊維と、の間には繊維凝集抑制剤が存在することになり、繊維の凝集を抑制することができる。
繊維の表面に対して繊維凝集抑制剤が被覆している割合(繊維の全表面の面積に対する、繊維の繊維凝集抑制剤と接している面の面積の比)は、例えば、20%以上100%以下であり、好ましくは50%以上100%以下であり、より好ましくは80%以上100%以下である。該割合は、各種の電子顕微鏡により測定することもできる。
複合体は、繊維と繊維凝集抑制剤とを混合することにより形成される。繊維と繊維凝集抑制剤とを混合する方法としては、例えば、回転ドラムによる混合、ブロアーによって発生する気流による混合、ミキサーによる混合などが挙げられる。特に種類の異なる混合方法を複数用いることにより(例えば、回転ドラムによる混合と、ブロアーによって発生する気流による混合と、を併用することにより)、より確実に、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成することができる。このような混合によって、繊維凝集抑制剤は、少なくとも一部が繊維の表面に食込むような状態又はめり込んだ状態で配置されてもよく、この場合は、繊維から繊維凝集抑制剤が脱落しにくくすることができ、より安定して凝集抑制効果を奏することができる。
複合体は、エネルギー分散型X線分光法SEM(SEM−EDX)を用いて確認することができる。具体的には、EDX(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)にてSEM画像の微小領域スポットを行い、繊維に付着している粉体の元素分析を行うことで、例えば、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体の存在を確認することができる。EDXは、電子線照射により発生する特定X線を検出し、エネルギーで分光することによって、元素分析や組成分析を行う手法である。特定X線のエネルギーは、元素固有なので、試料を構成する元素の同定が行え、また、強度から組成に関する情報が得られる。なお、EDXがTEMに付属したTEM−EDXを用いて、複合体を確認することもできる。
なお、シートを高温の溶媒(例えばキシレン)に浸して結合材を蒸発させ、残った繊維に繊維凝集抑制剤が付着していることによって、複合体を確認してもよい。
1.4. 結合材
本実施形態に係るシートは、結合材を含む。複合体同士は、結合材で結合されている。「複合体同士は結合材で結合されている」とは、複合体と複合体との間に結合材が配置され、複合体と複合体とが結合材を介して離れ難くなっている状態をいう。結合材は、樹脂を含む。具体的には、結合材は、樹脂によって構成されている。樹脂は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。樹脂は、例えば、疎水性である。
結合材として用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(軟化点)又は融点(結晶性ポリマーの場合)付近以上の温度に加熱すると、樹脂が軟化したり溶けたりし、温度が低下して固化する。樹脂が軟化して複合体に絡み合うように接触し、樹脂が固化することで繊維と複合体とを互いに結着(結合)することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。
結合材として用いられる樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂は、軟化点以上の温度に加熱してもよいし、硬化温度(硬化反応を生じる温度)以上に加熱しても複合体同士を結着することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。
なお、本実施形態に係るシートは、上述した繊維、繊維凝集抑制剤、及び結合材の他に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、着色剤、有機溶剤、界面活性剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤などが挙げられる。
1.5. 超音波伝達強度
超音波伝達強度は、動的浸透性試験機を用いて測定される。ここで、図2は、動的浸透性試験を説明するための図である。図3は、超音波伝達強度を説明するためのグラフである。図3において、横軸は時間を示しており、縦軸は超音波伝達強度を示している。
動的浸透性試験は、図2に示すように、サンプルホルダーHに配置されたシートSを液体(インク)Lに浸し、シートSの一方側に動的浸透性試験機の超音波発振部U1を配置し、シートSの他方側に動的浸透性試験機の超音波受信部U2を配置して、行われる。超音波発振部U1から発振された超音波は、シートSを通って、超音波受信部U2において受信される。サンプルホルダーHの材質は、超音波を透過可能なものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
図3に示すように、超音波伝達強度変化曲線において、時間C1の領域は、インクの繊維へのぬれの領域である。時間C1の領域では、シートの空隙部の空気が表面から浸透したインクに置換されることで密度が増加し、超音波伝達強度が増加する。インクのぬれ時間(時間C1)は、非常に短く、数10ms以上100ms以下であり、実質的に無視できる。
次に、時間C2領域は、インクの繊維中への浸透領域である。繊維がインクを吸収し始めると、紙のこわさが減少し、超音波伝達強度が減少する。超音波伝達強度の減少量の絶対値が大きいほど、シートは、多量のインクを吸収して柔らかくなる。また、超音波伝達強度の減少速度の絶対値が大きいほど、シートは多量のインクを吸収して、シートはすぐに柔らかくなる。
本実施形態に係るシートでは、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で27dB以上減少する。「超音波伝達強度は、測定開始からB時間でAdB以上減少する」とは、測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度と、測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度の最大値と、の差(絶対値)がAdB以上であるということである。なお、上記のように時間C1は、非常に短いため、「測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度の最大値」を、「測定開始時の超音波伝達強度」としてもよい。
インクジェット用インクは、染料インクであってもよいし、顔料インクであってもよい。染料インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で30dB以上減少してもよいし、38dB以上減少してもよい。
本実施形態に係るシートでは、測定開始から30秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上である。「測定開始からB時間における超音波伝達強度の減少速度は、VdB/s以上である」とは、測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度と、測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度の最大値と、の差(絶対値)Aを、C2で割った値である。なお、上記のように時間C1は、非常に短いため実質的に無視でき、「測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度の最大値」を、「測定開始時の超音波伝達強度」とし、測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度と、測定開始時の超音波伝達強度と、の差(絶対値)を、Bで割った値(すなわち、V=A/(C2)≒A/B)としてもよい。
インクジェット用インクとして、染料インクを用いる場合、測定開始から30秒間における超音波伝達強度の減少速度は、1.00dB/s以上であってもよく、好ましくは1.20dB以上であってもよい。インクジェット用インクとして、染料インクを用いる場合、測定開始から6秒間における超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上である。インクジェット用インクとして、顔料インクを用いる場合、測定開始から14秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上である。
本実施形態に係るシートは、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係るシートでは、インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で27dB以上減少する。そのため、本実施形態に係るシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「5. 実験例」参照)。ここで、インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、シートのインク吸収量に相関する。本実施形態に係るシートでは、超音波伝達強度が測定開始から60秒間で27dB以上減少し、インク吸収量が多い(インク吸収性がよい)。そのため、本実施形態に係るシートでは、シートの表面側のみならず裏面にも十分インクが浸透し、シートの表裏で(もしくはシートの表面と内部とで)吸収されたインク量の差が小さい。したがって、本実施形態に係るシートでは、シートの表裏でインク浸透による膨張歪の差が小さく、バイメタル効果によって、カール量が小さく、カールを抑えることができる。
なお、カールには、1次カールと2次カールとが存在する。1次カールとは、シートがインクを吸収することよって生じるカールのことである。1次カールは、シートにインクが着弾されてすぐに(例えば60秒以内に)生じる。2次カールとは、1次カールが生じたのち、シートから水分が蒸発して平坦となり、その後、1次カールが生じた側とは反対側に生じるカールのことである。2次カールは、シートにインクが着弾されて比較的長時間経った後に(例えば数時間後に)生じる。本発明において、「カール」とは、特に断りがない場合は、1次カールのことを指す。
本実施形態に係るシートでは、測定開始から30秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上である。そのため、本実施形態に係るシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「5. 実験例」参照)。本実施形態に係るシートでは本実施形態に係るシートでは、測定開始から30秒間における前記超音波伝達強度の減少速度が0.72dB/s以上であり、シートのインク浸透速度が大きい。そのため、本実施形態に係るシートでは、シートの表面側のみならず裏面にも十分インクが浸透し、シートの表裏で(もしくはシートの表面と内部とで)吸収されたインク量の差が小さい。したがって、本実施形態に係るシートでは、シートの表裏でインク浸透による膨張歪の差が小さく、カールを抑えることができる。特に、インクの吐出量が多い場合や、印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインクの量が多い場合には、インク浸透速度の効果は、さらに大きく影響し、カールを抑制することができる。さらに、インクは溢れることなく速やかにシートに浸透するため、表面においてひげ、にじみの発生を抑制することができ、解像度が優れ品質を向上さることができる。
本実施形態に係るシートでは、インクジェット用インクは、染料インクであり、測定開始から6秒間における超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上である。そのため、本実施形態に係るシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「5. 実験例」参照)。
本実施形態に係るシートでは、インクジェット用インクは、顔料インクであり、測定開始から14秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上である。そのため、本実施形態に係るシートでは、カールを抑えることができる(詳細は後述する「5. 実験例」参照)。
本実施形態に係るシートでは、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体同士が、樹脂を含む結合材で結合されている。そのため、本実施形態に係るシートでは、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有さない場合に比べて、繊維の凝集が抑えられ、繊維の分布の均一性が高い。このように、本実施形態に係るシートでは、繊維の凝集が抑えられているので、本実施形態に係るシートを製造するためのシート製造装置において、凝集した繊維が詰まることによって生じる装置不良(供給不良や排出不良等)を抑制することができ、シート製造装置の信頼性を高くすることができる。
さらに、本実施形態に係るシートでは、繊維の分布の均一性が高いので、例えばシートの面内方向において(例えばMD(Machine Direction)とCD(Cross Direction)とにおいて)、機械特性(例えば、弾性率、膨張率、水中伸度)の偏りを抑制してシートの等方性を向上させることができる。そのため、本実施形態に係るシートでは、印刷された際のカールやコックリングを抑制することができ、高い品質を有することができる。
さらに、本実施形態に係るシートは、適度に捲縮した繊維を含み、適度に捲縮した繊維がランダムに絡み合った構造を有している(詳細は後述する「5. 実験例」参照)。そのため、本実施形態に係るシートでは、面内方向におけるシートの等方性を、より向上させることができる。例えば、繊維が適度に捲縮していると、繊維が水分を含んで膨張したとしても、膨張は面内方向に分散され、一方向に偏った膨張を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るシートは、繊維の凝集が抑えられ、繊維の分布の均一性が高いため、嵩高で空隙が多く、さらに空隙の偏りが抑えられる。さらに、本実施形態に係るシートは、適度に捲縮した繊維が三次元的にランダムに絡み合った構造を有しているため、より嵩高で空隙が多い。そのため、本実施形態に係るシートは、インクジェットプリンターで印刷された際の印字品質を向上させることができる。さらに、本実施形態に係るシートは、インクジェットプリンターで印刷された際に、インク吸収量及びインク吸収速度を向上させることができる。これにより、本実施形態に係るシートは、膨潤や湿度による歪みを、シートの表裏において均一化することができ、カールやコックリングを抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るシートでは、樹脂を含む結合材を含む。そのため、インクの浸透によって複合体の結合力が低下することがなく、カールやコックリングを抑制することができる。例えば湿式方式で製造されたシートは、インクの浸透によって水素結合の結合力が低下する場合がある。
さらに、本実施形態に係るシートでは、後述する解繊部のせん断作用による繊維の短繊維長化と捲縮化との相互作用でインクの垂直方向(厚さ方向)への選択的な吸収が促進されるため、平面方向(面内方向)のにじみやブリードの少ない、解像度の高い品質を得ることができる。
なお、本発明に係るシートは、繊維を原料とし、シート状にされたものを主に指す。しかし、本発明に係るシートは、シート状のものに限定されず、ボード状、ウェブ状、凹凸を有する形状であってもよい。本発明に係るシートは、紙と不織布とに分類することができる。紙は、例えば、パルプや古紙を原料としシート状に成形した態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、画用紙、ケント紙などを含む。不織布は、紙より厚いものや低強度のものであり、一般的な不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
2. シート製造装置
2.1. 構成
次に、本実施形態に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係るシート製造装置100を模式的に示す図である。シート製造装置100は、本実施形態に係るシートを製造するための装置である。
本実施形態に記載のシート製造装置100は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、切断部90、及び、制御部110を備える。
また、シート製造装置100は、原料に対する加湿、及び/又は原料が移動する空間を加湿する目的で、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。
これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式又は温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を浸潤させるフィルター(図示略)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。また、加湿部202、204、206、208は、加湿空気の湿度を効果的に高めるヒーター(図示略)を備えてもよい。
また、本実施形態では、加湿部210及び加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する振動部(図示略)を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が古紙を原料とする構成を例示する。供給部10は、例えば、古紙を重ねて蓄積するスタッカーと、スタッカーから古紙を粗砕部12に送り出す自動投入装置とを備える構成とすることができる。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、大気中(空気中)等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。粗砕部12は、原料を、例えば1〜数cm四方又はそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向(進行する方向)において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。粗砕片は、例えばブロアー(図示略)が発生する気流により、管2中を解繊部20に向けて搬送される。
粗砕部12が有するシュート9、或いはシュート9の近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された(高湿度の)空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。また、加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。
また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。
ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色材や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転するローター(図示略)、及び、ローターの外周に位置するライナー(図示略)を備える。粗砕部12で裁断された粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、管3から解繊部20により解繊された解繊物が気流とともに流入する導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。詳細には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、予め定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維又は粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片(十分に解繊されていない粗砕片)、解繊された繊維が凝集し、或いは絡まったダマ等を含む。
本実施形態で、選別部40は、ドラム部(篩部)41と、ドラム部41を収容するハウジング部(覆い部)43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部(サクション機構)48と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色材や添加剤など)を含み、シート製造装置100がシートSの製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V1で移動する。ここで、通常動作中とは、シート製造装置100の始動制御、及び、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートSを製造している間を指す。
従って、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27に連結される。集塵部27はフィルター式或いはサイクロン式の集塵装置であり、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には捕集ブロアー28が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する集塵用吸引部として機能する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気とともに吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
従って、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制することができる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーを用いることができる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色材や添加剤など)を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で樹脂を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転(例えば図中矢印Rで示す方向への回転)により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、樹脂を含む添加物を供給する添加物供給部52、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、及び、混合ブロアー56を備える。
細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、樹脂を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52(樹脂収容部)は、添加物を蓄積する添加物カートリッジ(図示略)に接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉又は微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52a(樹脂供給部)を有する。
排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出するフィーダー(図示略)、及び、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉するシャッター(図示略)を備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路或いは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独又は適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一又は複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる樹脂は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。従って、樹脂を繊維と混合させた状態で、樹脂が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色、或いは無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、及び、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流及び/又は混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合され、この混合物(第1選別物と添加物との混合物)は管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前又は後に設置してもよい。
堆積部60は、解繊部20で解繊された解繊物を堆積させる。より具体的には、堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部(覆い部)63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部61は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、或いは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト72は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V2で移動する。通常動作中とは、上述した通りである。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77(堆積吸引部)は、サクション機構76から吸引した空気を、捕集フィルター(図示略)を通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。或いは、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
以上のように、堆積部60及び第2ウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウェブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウェブW2は、シート形成部80へと搬送される。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、ブロアー(図示略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。メッシュベルト72の移動速度と、メッシュベルト79aの移動速度とは、例えば、同じである。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウェブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
シート形成部80は、堆積部60で堆積させた堆積物からシートSを形成する。より具体的には、シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2(堆積物)を、加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維及び添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着させる。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、及び、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。一対のカレンダーローラー85の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85は、モーターの駆動力により回転して、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部又は外部に設置されるヒーターによって、予め設定された温度に加温される。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧された第2ウェブW2を挟んで熱を与え、シートSを形成する。
一対の加熱ローラー86の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、モーターの駆動力により回転して、加熱したシートSを、切断部90に向けて搬送する。
このように、堆積部60で形成された第2ウェブW2は、シート形成部80で加圧及び加熱されて、シートSとなる。
なお、加圧部82が備えるカレンダーローラー85の数、及び、加熱部84が備える加熱ローラー86の数は、特に限定されない。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。排出部96は、所定サイズのシートSを載せるトレイ或いはスタッカーを備える。
上記構成において、加湿部202、204、206、208を1台の気化式加湿器で構成してもよい。この場合、1台の加湿器が生成する加湿空気が、粗砕部12、ハウジング部43、管7、及びハウジング部63に分岐して供給される構成とすればよい。この構成は、加湿空気を供給するダクト(図示略)を分岐して設置することにより、容易に実現できる。また、2台或いは3台の気化式加湿器によって加湿部202、204、206、208を構成することも勿論可能である。
また、上記構成において、加湿部210、212を1台の超音波式加湿器で構成してもよいし、2台の超音波式加湿器で構成してもよい。例えば、1台の加湿器が生成するミストを含む空気が、加湿部210、及び加湿部212に分岐して供給される構成とすることができる。
また、上記構成では、最初に粗砕部12が原料を粗砕し、粗砕された原料からシートSを製造するものとしたが、例えば、原料として繊維を用いてシートSを製造する構成とすることも可能である。
例えば、解繊部20が解繊処理した解繊物と同等の繊維を原料として、ドラム部41に投入可能な構成であってもよい。また、解繊物から分離された第1選別物と同等の繊維を原料として、管54に投入可能な構成とすればよい。この場合、古紙やパルプ等を加工した繊維をシート製造装置100に供給することで、シートSを製造できる。
2.2. 繊維凝集抑制剤供給部
シート製造装置100は、図4に示すように、さらに、繊維凝集抑制剤を供給する繊維凝集抑制剤供給部120を含む。
繊維凝集抑制剤供給部120は、例えば、繊維凝集抑制剤を蓄積する繊維凝集抑制剤カートリッジ(図示せず)に接続され、繊維凝集抑制剤カートリッジ内部の繊維凝集抑制剤を選別部40に供給する。繊維凝集抑制剤カートリッジは、繊維凝集抑制剤供給部120に着脱可能な構成であってもよい。また、繊維凝集抑制剤カートリッジに繊維凝集抑制剤を補充する構成を備えてもよい。繊維凝集抑制剤供給部120は、繊維凝集抑制剤カートリッジ内部の微粉又は微粒子からなる添加物をいったん貯留する。図示の例では、繊維凝集抑制剤供給部120は、いったん貯留した繊維凝集抑制剤を、管122を介して、選別部40に供給する。管122は、選別部40のハウジング部43に接続されている。
繊維凝集抑制剤供給部120は、シートSにおいて、繊維凝集抑制剤の含有量が、繊維100部に対して、例えば、5部以上25未満となるように、好ましくは10部以上20部未満となるように、繊維凝集抑制剤を供給する。繊維凝集抑制剤供給部120は、例えば、スクリューフィーダー、サークルフィーダー(図示せず)などを含んで構成されている。制御部110は、シートSにおける繊維凝集抑制剤の含有量が上記の範囲となるように、繊維凝集抑制剤供給部120のスクリューフィーダーやサークルフィーダーの回転数を制御してもよい。
繊維凝集抑制剤供給部120は、例えば、平均粒子径が繊維の平均の長さより小さい繊維凝集抑制剤を供給する。繊維凝集抑制剤供給部120は、例えば、フィルター(図示せず)を含んで構成されている。フィルターは、例えば、目開き30μmの網目を有しており、該フィルターによって、繊維凝集抑制剤供給部120は、平均粒子径が繊維の平均の長さより小さい繊維凝集抑制剤を供給することができる。
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物(繊維を含む解繊物)と、繊維凝集抑制剤供給部120により供給された繊維凝集抑制剤と、を混合し、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体(繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体)を形成する第1混合部である。選別部40において形成された複合体は、第1ウェブ形成部45を経て、混合部50に搬送される。
混合部50は、複合体と、樹脂を含む結合材と、を混合する第2混合部である。なお、選別部40において、解繊物に配置されていない繊維凝集抑制剤がある場合は、該繊維凝集抑制剤を混合部50において解繊物に配置させて、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成してもよい。混合部50において混合された複合体と結合材とを含む混合物は、堆積部60に搬送される。
堆積部60は、複合体と結合材とを含む混合物を、第2ウェブ形成部70のメッシュベルト72上に堆積させる。堆積部60は、絡み合った繊維(具体的には絡み合った複合体)、及び絡み合った樹脂を適度にほぐして、空気中で分散させながら降らせる。堆積部60の目開きの上限は、5mmである。目開きの大きさを5mm以下とすることで、複合体同士が重度に絡み合った大きなダマを通過させず、適度にほぐして通過させることができる。さらに、混合部50において混合される際に重度に絡み合った大きなダマ状の複合体や樹脂があったとしても、堆積部60を通過する際に適度にほぐされて通過することができる。なお、選別部40及び混合部50において、解繊物に配置されていない繊維凝集抑制剤がある場合は、該繊維凝集抑制剤を堆積部60において解繊物に配置させて、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成してもよい。
複合体は、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有しているため、堆積部60に搬送される前に、仮に絡み合っていたとしても、堆積部60においてほぐされて、繊維の分布の均一性が高い第2ウェブW2を形成することができる。さらに、複合体は、繊維と繊維凝集抑制剤とを一体に有しているため、混合部50において混合される際に重度に絡み合った大きなダマ状の複合体が形成される可能性を小さくすることができる。さらに、選別部40において混合される際に重度に絡み合った大きなダマ状の複合体が形成される可能性を小さくすることができる。
堆積部60において堆積された第2ウェブW2は、搬送部79を介して、シート形成部80に搬送される。シート形成部80は、堆積部60により堆積された第2ウェブW2(堆積物)を加熱加圧して、シートSを形成する。
第2ウェブW2は、第2ウェブ形成部70のメッシュベルト72と接する第1表面(図2において下面)A1と、搬送部79のメッシュベルト79aと接する第2表面(図2において上面)A2と、を有している。第2表面A2は、第1表面A1と反対側の面である。第2ウェブW2が第2ウェブ形成部70から、搬送部79を介して、シート形成部80に搬送される際は、まず、第2ウェブW2の第1表面A1がメッシュベルト72から離間し、次に、第2ウェブW2の第2表面A2がメッシュベルト79aから離間して、第2ウェブW2はシート形成部80に搬送される。
第1表面A1がメッシュベルト72から離間する際に、第1表面A1の繊維凝集抑制剤の一部は、メッシュベルト72に残る。メッシュベルト72に残る繊維凝集抑制剤の質量は、例えば、第1表面A1を形成していた繊維凝集抑制剤の質量の20%以上50%以下である。また、第2表面A2がメッシュベルト79aから離間する際に、第2表面A2の繊維凝集抑制剤の一部は、メッシュベルト79aに残る。メッシュベルト79aに残る繊維凝集抑制剤の質量は、例えば、第2表面A2を形成していた繊維凝集抑制剤の質量の20%以上50%以下である。
このように、表面A1,A2を形成していた繊維凝集抑制剤の一部は、メッシュベルト72,79aに残るため、シートSにおいて、繊維凝集抑制剤の存在比率は、内部の方が両表面A1,A2のうちの少なくとも一方よりも大きくなる。図示の例では、繊維凝集抑制剤の存在比率は、内部の方が両表面A1,A2よりも大きくなる。なお、図示はしないが、搬送部79を用いずに、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する場合は、シートSにおいて、繊維凝集抑制剤の存在比率は、内部の方が両表面のうちの一方の面(第1表面A1)よりも大きくなる。
シート製造装置100では、解繊部20により解繊された解繊物と、繊維凝集抑制剤と、を混合し、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成する選別部40を含む。そのため、シート製造装置100では、繊維の凝集が抑えられ、繊維の分布の均一性が高いシートを製造することができる。
3. シート製造装置の変形例
3.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るシート製造装置200を模式的に示す図である。
以下、本実施形態の第1変形例に係るシート製造装置200において、上述した本実施形態に係るシート製造装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、以下に示す本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置についても同様である。
上述したシート製造装置100では、図4に示すように、繊維凝集抑制剤供給部120は、選別部40に繊維凝集抑制剤を供給した。これに対し、シート製造装置200では、図5に示すように、繊維凝集抑制剤供給部120は、原料を裁断して細片にする粗砕部12に、繊維凝集抑制剤を供給する。解繊部20は、細片を解繊する。図示の例では、繊維凝集抑制剤供給部120は、粗砕部12の粗砕刃14に向けて繊維凝集抑制剤を供給する。なお、図示はしないが、繊維凝集抑制剤供給部120は、粗砕刃14ではなく、粗砕部12のシュート9に向けて繊維凝集抑制剤を供給してもよい。この場合、繊維凝集抑制剤は、粗砕刃14を通過しない。
粗砕部12に供給された繊維凝集抑制剤は、解繊部20に搬送される。そして、解繊部20を通過した繊維凝集抑制剤は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。解繊部20が発生する気流によって、解繊物と繊維凝集抑制剤とは、混合され、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体が形成される。この場合、解繊部20は、複合体を形成する第1混合部を兼ねていてもよい。
さらに、図示の例では、解繊部20を通過した繊維凝集抑制剤は、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26が発生する気流によって、解繊物と繊維凝集抑制剤とは、混合され、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体が形成される。この場合、解繊部ブロアー26は、複合体を形成する第1混合部であってもよい。
シート製造装置200では、シート製造装置100と同様の効果を得ることができる。
シート製造装置200では、繊維凝集抑制剤供給部120は、粗砕部12に繊維凝集抑制剤を供給する。そのため、シート製造装置200では、例えば、解繊部20と解繊物が次に搬送される部分(図示の例では選別部40)とを連結する管3において、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成することができる。これにより、シート製造装置200では、管3において繊維が凝集してダマになり管3が詰まることを抑制することができる。
3.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係るシート製造装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るシート製造装置300を模式的に示す図である。
シート製造装置300は、図6に示すように、分級部30を含む点において、上述したシート製造装置100と異なる。シート製造装置300では、解繊部20において解繊された解繊物は、管3を介して、分級部30に搬送される。
分級部30は、解繊物と繊維凝集抑制剤とを分離する。分級部30としては、気流式分級機を用いる。気流式分級機は、旋回気流を発生させ、遠心力と分級されるもののサイズや密度によって分離するものであり、気流の速度及び遠心力の調整によって、分級点を調整することができる。具体的には、分級部30としては、サイクロン、エルボージェット、エディクラシファイヤーなどを用いる。特にサイクロンは、構造が簡便であるため、分級部30として好適に用いることができる。以下では、分級部30として、サイクロンを用いた場合について説明する。
分級部30は、例えば、導入口31と、下部に設けられている下部排出口34と、上部に設けられている上部排出口35と、を有している。分級部30において、導入口31から導入された解繊物をのせた気流は、円周運動せられ、これにより、導入された解繊物には、遠心力がかかって第1分級物(解きほぐされた繊維)と、第1分級物より小さく密度の低い第2分級物(例えば繊維凝集抑制剤及び着色剤)と、に分離される。シート製造装置300では、原料は古紙であるため、原料に繊維凝集抑制剤及び色剤が含まれている。第1分級物は、シートSの原料として用いられ、管36を介して、選別部40に搬送される。一方、第2分級物は、管37を介して、繊維凝集抑制剤分離部130に搬送される。
繊維凝集抑制剤分離部130は、第2分級物に含まれる繊維凝集抑制剤と着色剤とを分離することができる。ここで、図7は、繊維凝集抑制剤分離部130を模式的に示す図である。繊維凝集抑制剤分離部130は、図7に示すように、バッファー部131と、搬送ベルト132a,132bと、帯電部133a,133bと、ブレード134a,134bと、捕集部135a,135bと、管136a,136bと、を有している。
繊維凝集抑制剤分離部130に搬送された第2分級物は、バッファー部131において蓄積される。バッファー部131は、蓄積された第2分級物を、第1搬送ベルト132aに向けて落下させる。
第1搬送ベルト132aは、第2分級物を堆積して搬送する。搬送ベルト132a,132bは、ローラー137が回転することにより移動可能である。第1帯電部133aは、搬送ベルト132a上の第2分級物をマイナスに一括帯電する。これにより、着色剤は、強いマイナス帯電を有し、繊維凝集抑制剤は、着色剤よりも弱いマイナス帯電を有する。
第2搬送ベルト132bは、オーバーラップ部(オーバーラップ領域)132cにおいて、第1搬送ベルト132aとオーバーラップするように設けられている。第2搬送ベルト132bは、第2帯電部133bによってプラスに帯電している。帯電部133a,133bは、例えば、スコロトロン帯電器である。
第1搬送ベルト132aによって搬送される着色剤は、強いマイナス帯電を有しているため、搬送ベルト132a,132bのオーバーラップ部132cにおいて、第2搬送ベルト132bに移動する。一方、繊維凝集抑制剤は、弱いマイナス帯電を有しているため、第2搬送ベルト132bには移動しない。
第1搬送ベルト132aによって搬送される繊維凝集抑制剤は、第1ブレード134aによってかき落とされ、第1捕集部135aに収容される。第1捕集部135aに収容された繊維凝集抑制剤は、管136aを介して、繊維凝集抑制剤供給部120に搬送される。そして、繊維凝集抑制剤供給部120は、選別部40に、繊維凝集抑制剤(分級部30で分離された繊維凝集抑制剤)を供給する。
一方、第2搬送ベルト132bによって搬送される着色剤は、第2ブレード134bによってかき落とされ、第2捕集部135bに収容される。第2捕集部135bに収容された着色剤は、管136bを介して、例えば外部に搬送される。外部に搬送された着色剤は、再利用されてもよい。
以上のように、繊維凝集抑制剤分離部130は、繊維凝集抑制剤と着色剤とを分離することができる。
シート製造装置300では、シート製造装置100と同様の効果を得ることができる。
シート製造装置300では、解繊物と繊維凝集抑制剤とを分離する分級部30と、選別部40に、分級部30で分離された繊維凝集抑制剤を供給する繊維凝集抑制剤供給部120と、を含み、原料は、古紙である。そのため、シート製造装置300では、古紙に含まれる繊維凝集抑制剤を再利用することができる。したがって、シート製造装置300では、低コスト化を図ることができる。
なお、第2分級物に、繊維凝集抑制剤及び着色剤以外の添加剤が含まれている場合は、上記のように繊維凝集抑制剤分離部130を用いて、帯電性の差を利用して、繊維凝集抑制剤及び添加剤と、着色剤と、を分離した後、さらに、繊維凝集抑制剤分離部130と同様の分離部を用いて、繊維凝集抑制剤と添加剤との帯電性の差を利用して、繊維凝集抑制剤と添加剤とを分離してもよい。
また、図示はしないが、シート製造装置300において、繊維凝集抑制剤供給部120は、分級部30により分離された繊維凝集抑制剤を、上述したシート製造装置200のように、粗砕部12に供給してもよい。
4. シート製造方法
次に、本実施形態に係るシート方法について、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係るシート製造方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態に係るシート製造方法は、本発明に係るシート製造装置(例えばシート製造装置100)を用いて行われる。
本実施形態に係るシート製造方法は、図8に示すように、繊維を含む原料を解繊する工程(ステップS1)と、解繊された解繊物と、繊維凝集抑制剤と、を混合し、解繊物と繊維凝集抑制剤とを一体に有する複合体を形成する工程(ステップS2)と、複合体と、樹脂を含む結合材と、を混合する工程(ステップS3)と、複合体と結合材とを含む混合物を堆積させる工程(ステップS4)と、堆積された堆積物を加熱加圧して、シートを形成する工程(ステップS5)と、を含む。
上記の工程の詳細は、上述の「2. シート製造装置」で説明したとおりである。したがって、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係るシート製造方法では、繊維の凝集が抑えられ、繊維の分布の均一性が高いシートを製造することができる。
5. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
5.1. 第1実験例
5.1.1. 実験条件
シート製造装置100のような製造装置により、実施例1,2に係るシートを製造した。実施例1に係るシートの厚さは、102μmであった。実施例2に係るシートの厚さは、120μmであった。比較例1に係るシートとして、富士ゼロックス社製「XeroxP」(厚さ85μm、坪量64g/m)を用いた。比較例2に係るシートとして、富士ゼロックス社製「XeroxP(厚口)」(厚さ100μm、坪量64g/m)を用いた。比較例3に係るシートとして、セイコーエプソン社製「EPSON両面普通紙」(厚さ120μm)を用いた。比較例1〜3のシートは、湿式で製造されたシートである。 厚さは、インクジェット印刷(インクジェットプリンターによる印刷)する前に、マイクロメーターで測定した。シートは、A4サイズ(210mm×297mm)とした。
上記のようなシートに対し、動的浸透性試験機を用いて、測定開始から60秒間経過したときの超音波伝達強度、及び測定開始から6秒,14秒,30秒における超音波伝達強度の減少速度を求めた。動的浸透性試験機としては、emco社製「動的浸透性テスターDPMprint DPM33」(サンプルホルダー:PTFE、超音波周波数:2MHz)を用いた。時間C1(図3参照)は、100ms以下と短かったため、上記のように「測定開始してからB時間経過したときの超音波伝達強度の最大値」を、測定開始時の超音波伝達強度をとした。インクは、染料インクとしてセイコーエプソン社製「KUI−C」と、顔料インクとしてセイコーエプソン社製「ICC93L」と、の2種類を用いた。
さらに、上記のようなシートに対して、動的浸透性試験とは別に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製「PX−G930」)で印刷した。360×360dpiの解像度、25mg/sのインク吐出速度で、50%ベタ(ベタ濃度50%)で印刷した。インクは、動的浸透性試験と同様である。インクジェットプリンターで印刷したシートについて、カール特性、排紙性、及び印字品質の評価結果を評価した。
(1)カール特性
カール特性としては、排紙後30秒以内において、シートの最も高い部分の高さと最も低い部分の高さとの差を、メジャーで測定し、以下の基準で判断した。
A:10mm未満
B:10mm以上20mm未満
C:20mm以上30mm未満
D:30mm以上
(2)排紙性
排紙性としては、10枚印刷した直後の、排紙スタッカー上での10枚重ね合わせ性を以下の基準で判断した。
A:10枚のシートが平面を維持して、きれいに重なっている。
B:シートの端面の一部がカールしているが、きれいに重なっている。
C:シートの大部分がカールした状態で排紙するため、手作業でカールを抑えないと、重ねることができない。
D:各シートが筒状になって、散乱している。
(3)印字品質
印字品質としては、インクのひげ(インクが繊維に沿って移動することで発生するひげのようなもの)及びにじみの程度を以下の基準で判断した。
A:ほとんど認められない。
B:わずかに認められる。
C:認められる。
D:顕著に認められる。
5.1.2. 実験結果
図9に、染料インクを用いた場合の測定開始から60秒間経過したときの超音波伝達強度の減少度、及び測定開始から6秒,30秒における超音波伝達強度の減少速度を示す。さらに、図9に、染料インクを用いた場合のカール特性、排紙性、及び印字品質の評価結果を示す。図10に、顔料インクを用いた場合の測定開始から60秒間経過したときの超音波伝達強度の減少度、及び測定開始から14秒,30秒における超音波伝達強度の減少速度を示す。さらに、図10に、顔料インクを用いた場合のカール特性、排紙性、及び印字品質の評価結果を示す。
図9及び図10により、実施例1,2のシートでは、超音波伝達強度が測定開始から60秒間で27dB以上減少であり、カール特性、排紙特性、印字品質ともに良好であることがわった。一方、比較例3〜5のシートでは、超音波伝達強度が測定開始から60秒間で23dB以下であり、カール特性、排紙特性、及び印字品質は、実施例1,2のシートよりも悪化した。
さらに、図9及び図10に示すように、実施例1,2のシートは、比較例3〜5のシートよりも、測定開始から30秒間における超音波伝達強度の減少速度が大きく、0.72dB/s以上であった。また、図9に示すように、染料インクを用いた場合に、実施例1,2のシートでは、比較例3〜5のシートよりも、測定開始から6秒間における超音波伝達強度の減少速度が大きく、3.83dB/s以上であった。また、図10に示すように、染料インクを用いた場合に、実施例1,2のシートでは、比較例3〜5のシートよりも、測定開始から14秒間における超音波伝達強度の減少速度が大きく、0.96dB/s以上であった。
なお、染料インクを用いた場合では、比較例3〜5のシートは、測定開始から3秒間で急激に超音波伝達強度が減少したが、その後、飽和状態となり、インクを吸収できなくなった。一方、実施例1,2のシートは、測定開始から3秒を過ぎても超音波伝達強度が減少し、測定開始から6秒で、完全に、比較例3〜5のシートの超音波伝達強度よりも減少した。実施例1,2のシートは、測定開始から60秒間でほぼ飽和状態となった。
また、顔料インクを用いた場合では、比較例3〜5のシートは、測定開始から3秒間で急激に超音波伝達強度が減少したが、その後、飽和状態となり、インクを吸収できなくなった。一方、実施例1,2のシートは、測定開始から3秒を過ぎても超音波伝達強度が減少し、測定開始から14秒で、完全に、比較例3〜5のシートの超音波伝達強度よりも減少した。実施例1,2のシートは、測定開始から60秒間でほぼ飽和状態となった。
5.2. 第2実験例
シート製造装置100のような製造装置により製造したシート(実施例に係るシート)と、湿式方式で製造されたシート(比較例に係るシート)と、のSEM観察を行った。実施例に係るシートにおいて、繊維凝集抑制剤の含有量は、繊維100部に対して、10部以上20部未満である。
図11及び図12は、実施例に係るシートのSEM像である。図13及び図14は、比較例に係るシートのSEM像である。なお、図11及び図13では、シートの表面を観察しており、図11及び図14では、シートの表面及び断面を観察している。
図11〜図14に示すように、比較例に係るシートでは、繊維がほぼ直線状となっていることが確認され、実施例に係るシートでは、適度に屈曲した繊維(適度に捲縮した繊維)が確認された。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…複合体、1a…繊維、1b…繊維凝集抑制剤、2,3,7,8…管、9…シュート、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、23…管、24…排出口、26…解繊部ブロアー、27…集塵部、28…捕集ブロアー、29…管、30…分級部、31…導入口、34…下部排出口、35…上部排出口、36…管、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…ローラー、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、52a…排出部、54…管、56…混合ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、74…ローラー、76…サクション機構、77…サクションブロアー、79…搬送部、79a…メッシュベルト、79b…ローラー、79c…サクション機構、80…シート形成部、82…加圧部、84…加熱部、85…カレンダーローラー、86…加熱ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出部、100…シート製造装置、110…制御部、120…繊維凝集抑制剤供給部、122…管、130…繊維凝集抑制剤分離部、131…バッファー部、132a…第1搬送ベルト、132b…第2搬送ベルト、132c…オーバーラップ部、133a…第1帯電部、133b…第2帯電部、134a…第1ブレード、134b…第2ブレード、135a…第1捕集部、135b…第2捕集部、136a,136b…管、137…ローラー、200…シート製造装置、202,204,206,208,210,212…加湿部、300…シート製造装置

Claims (7)

  1. 樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
    インクジェット用インクに対する超音波伝達強度は、測定開始から60秒間で27dB以上減少する、シート。
  2. 請求項1において、
    測定開始から30秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上である、シート。
  3. 請求項1又は2において、
    前記インクジェット用インクは、染料インクであり、
    測定開始から6秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上である、シート。
  4. 請求項1又は2において、
    前記インクジェット用インクは、顔料インクであり、
    測定開始から14秒間における前記超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上である、シート。
  5. 樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
    インクジェット用インクに対する、測定開始から30秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.72dB/s以上である、シート。
  6. 樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
    染料インクに対する、測定開始から6秒間における超音波伝達強度の減少速度は、3.83dB/s以上である、シート。
  7. 樹脂により繊維同士が結合されたシートを、動的浸透性試験機を用いて測定した場合に、
    顔料インクに対する、測定開始から14秒間における超音波伝達強度の減少速度は、0.96dB/s以上である、シート。
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