JP6379865B2 - 水素化方法、水素化触媒の前処理方法及びこれを用いた水素化触媒 - Google Patents
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Description
2.常圧での沸点が300℃以下である、ケトン類及び/又はアルコール類に水素化触媒を接触させ過熱する水素化触媒の前処理方法。
3.水素化触媒が白金族金属を含有する水素化触媒である第1項又は第2項記載の方法。
4.水素化触媒がフェノールの水素化触媒である第1項又は第2項記載の方法。
5.第1項記載の方法により得られる水素化触媒。
6.第4項記載の方法により得られるフェノール水素化触媒。
7.第5項記載の触媒を用いる水素化方法。
8.第6項記載の触媒を用いるフェノールの水素化方法。
接触は、例えば、ケトン類及び/又はアルコール類に水素化触媒を浸漬させることによって行われる。
前記前処理方法の対象となる水素化触媒は特に限定されないが、シリカやアルミナなどの各種担体に白金族金属を担持したものが好ましく、担体はアルカリ金属、アルカリ土類金属などの塩基や、リン酸などの酸で処理したものが用いられる。
本発明の前処理を施した水素化触媒を用いるフェノール類の水素化反応に用いる装置の一態様を以下に示す。
予熱層は、反応管に充填された触媒のフェノール類導入側(縦型の反応管の場合、充填された触媒の上部)に、例えばガラスビーズ、石英ウール、繊維状のステンレス鋼(SUS)を充填する事により形成する事ができる。また、反応管の予熱層部分を細くする、或いは、外径の細い管を予熱層部位として触媒層が形成された反応管に接続し、これにガラスビーズ、石英ウール、繊維状のステンレス鋼(SUS)を充填して、或いは、反応管を流通するフェノール類や水素との熱交換が充分であれば、ガラスビーズ等の充填材を充填する事無く、予熱層とする事もできる。
ガラスビーズを使用する場合、ガラスビーズの粒径は、反応管の直径の1/10程度が目安であり、直径1mm又は2mmの球形のものを使用する事ができる。
予熱は、例えば予熱層の管外にヒーターを設置する等して外部加熱によって行われる。(図1 反応管の模式図 参照)
本発明の前処理を施した水素化触媒を用いるフェノール類の水素化反応により対応するシクロヘキサノン類を製造する方法の一態様を以下に示す。
気体状態での還元処理としては、例えば、水素を還元剤として用いる方法が挙げられ、その際、触媒層の温度は50〜500℃、好ましくは100〜200℃であり、触媒中の白金族金属が充分還元されるだけの水素量、時間にて実施される。なお、水素ガス供給前には、窒素或いはアルゴン等の不活性ガスが導通され反応系内は置換される。
液体状態での還元処理の方法としては、例えば、ギ酸、ギ酸のアルカリ金属塩、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の1〜20質量%の水溶液を用いて、同溶液中、室温〜100℃の温度で触媒中の白金族金属を還元する方法が挙げられる。
フェノール類の流速は、反応装置や製造規模、触媒中の白金族担持量にもよるが、触媒重量当りの供給速度で 0.2〜5 g・kg−cat−1・h−1である。
供給されたフェノール類またはフェノ―ル類とシクロヘキサノン類の混合物は、予熱層で加熱され、同じく供給される水素と混合し、触媒層へ供給される。別法として、反応条件によっては液体状のフェノール類中に水素ガスを導通し、気化したフェノール類を予熱層へ送る方法も適用できる。
水素のフェノール類に対するモル比は2〜100、好ましくは4〜50である。
定されるものではない。
フェノールの水素化反応で生成する各成分の生成量は、得られた反応液を冷却し捕集した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製「GC‐2014」、GCカラム:TC−WAX、GC検出器:FID)を用いて分析を行った。内部標準としてジエチレングリコールモノエチルエーテルを用い各成分の生成量を求めた。なお、図中のPhOHとはフェノールの転化率を、ONはシクロヘキサノンの選択率、OLはシクロヘキサノールの選択率、Otherはその他、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンなど副生成物の選択率の和を示す。
(触媒A:Pd/SiO2の製造)
SiO2(富士シリシア製、Q−50、球状 1.18−2.36mm)に対し、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させ、その後石英製の管に充填し、200℃で上部より水素ガスを50cc/minで供給し触媒の還元を行い、触媒A:Pd/SiO2を得た。
SiO2(富士シリシア製、Q−50、球状 1.18−2.36mm)に対し、Ca/Si mol比=0.1、P/Si mol比=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液、リン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成し触媒B前駆体を得た。
触媒B前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させ、その後石英製の管に充填し、200℃で上部より水素ガスを50cc/minで供給し触媒の還元を行い、触媒B:Pd/Ca−P−SiO2を得た。
(触媒A−1の調製:Pd/SiO2のアセトン処理(前処理))
触媒A:0.5wt%Pd/SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへアセトン(和光純薬製:沸点57℃)3.0gを加え50℃にて10h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h(時間)乾燥し触媒A−1を得た。
(触媒A−1によるフェノールの水素化反応)
触媒A−1 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140 ℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−1に示す。
(触媒A−2の調製:Pd/SiO2の3−ペンタノン処理(前処理))
触媒A:0.5wt%Pd/SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製のオートクレーブ内槽管に充填し、そこへ3−ペンタノン(和光純薬製:沸点102℃)3.0gを加え窒素ガスにて1MPa(G)に加圧し、140 ℃にて10h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒A−2を得た。
触媒A−2 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140 ℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−2に示す。
(触媒A−3の調製:Pd/SiO2の2−シクロヘキシルシクロヘキサノン処理(前処理))
触媒A:0.5wt%Pd/SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへ2−シクロヘキシルシクロヘキサノン(和光純薬製:沸点269℃)3.0gを加え140℃にて10h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒A−3を得た。
(触媒A−3によるフェノールの水素化反応)
触媒A−3 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−3に示す。
(触媒B−1の調製:Pd/Ca−P−SiO2のシクロヘキサノール処理(前処理))
触媒B:0.5wt%Pd/Ca−P−SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへシクロヘキサノール(和光純薬製:沸点161℃)3.0gを加え140℃にて5h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒B−1を得た。
(触媒B−1によるフェノールの水素化反応)
触媒B−1 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−4に示す。
(触媒B−2の調製:Pd/Ca−P−SiO2の2−シクロヘキシルシクロヘキサノン処理(前処理))
触媒B:0.5wt%Pd/Ca−P−SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへ2−シクロヘキシルシクロヘキサノン(和光純薬製:沸点269℃)3.0gを加え140℃にて5h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒B−2を得た。
(触媒B−2によるフェノールの水素化反応)
触媒B−2 1 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−5に示す。
(触媒Aによるフェノールの水素化反応)
触媒A 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−6に示す。
(触媒A−4の調製:Pd/SiO2のデオキシベンゾイン処理(前処理))
触媒A:0.5wt%Pd/SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへデオキシベンゾイン(和光純薬製:沸点320℃)3.0gを加え140℃にて10h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒A−4を得た。
触媒A−4 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−7に示す。
(触媒A−5の調製:Pd/SiO2のヘキサン酸処理(前処理))
触媒A:0.5wt%Pd/SiO2 1.5gをパイレックス(登録商標)製の試験管に充填し、そこへヘキサン酸(和光純薬製:沸点205℃)3.0gを加え140℃にて10h加熱した。その後、室温まで冷却し30ccのアセトン(和光純薬製)により洗浄し、80℃減圧下により1h乾燥し触媒A−5を得た。
触媒A−5 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−8に示す。
(触媒Bによるフェノールの水素化反応)
触媒B 1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。140℃、0MPa(G)にてフェノール、シクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/h、水素ガスを10cc/minで連続的に供給した。反応開始後、2hの捕集液を切り捨て、その後2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を図2−9に示す。
一方、処理を行わなかった比較例1、4(図2−6、2−9)では水素化反応の初期には逐次水素化や副生成物が進行し、目的物の選択率が低下した。また、初期は反応成績の変動が大きく、定常状態になるまで10〜25h程度と長時間を要するため初期の目的物選択性が低いことがわかる。また、カルボン酸類や常圧での沸点が300℃を超えるケトン類により処理した比較2、3(図2−7,2−8)では水素化反応の初期から原料が残存しており、なおかつ初期の反応成績の変動が大きく原料の残存量が増加し目的物の収率が極めて低いことがわかる。
Claims (4)
- 常圧での沸点が300℃以下であるケトン類に、白金族金属を含有する水素化触媒を浸漬させ、50〜140℃で加熱する白金族金属を含有する触媒の前処理方法。
- 水素化触媒がフェノール水素化触媒である請求項1記載の方法。
- 常圧での沸点が300℃以下である、ケトン類が、アセトン、3−ペンタノン又は2−シクロヘキシルシクロヘキサノンである請求項1又は2に記載の方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法で前処理を施した白金族金属を含有する水素化触媒を用いてフェノールの水素化を行い、シクロヘキサノンを製造する方法。
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