JP6075506B2 - 水素化触媒及びその製造方法、並びにそれを用いたシクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素化触媒及びその製造方法に関する。より詳細には、逐次水素化や副反応を抑制し、高い選択性で水素化反応を進行させる水素化触媒及びその製造方法に関する。また、本発明は、シクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法に関する。より詳細には、フェノール又はその誘導体から一工程でシクロヘキサノン又はその誘導体を製造する方法に関する。
化学品を合成するための還元反応として、水素化反応が広く知られている。水素化反応は廃棄物等の発生が少なく有用な反応である。その具体例としては、フェノールの水素化によるシクロヘキサノンの合成が知られている。シクロヘキサノンは、ナイロン原料であるカプロラクタムの原料として有用な化合物である。
水素化反応としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア又は活性炭上に白金族金属を担持した触媒が広く用いられている(非特許文献1)。しかし、アルミナやシリカアルミナなど表面に酸点や塩基点を多く持つ担体を用いた触媒では、酸点や塩基点が逐次水素化反応や水素化反応以外の副反応を促進し、選択性を下げる原因となっている。一方、シリカなど表面に強い酸点・塩基点を持たない担体では副反応は進行しづらいが、白金族金属と担体の相互作用が小さいため反応中に白金族金属の凝集が起こり、触媒寿命が短いという問題点がある。
触媒担体による副反応を制御する手法としては、触媒担体上の酸点をアルカリ金属やアルカリ土類金属で処理する方法が知られている。例えば、フェノールの水素化反応では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属により処理されたAl上にパラジウムを担持した触媒を使用し、水素とフェノールを反応させることによってシクロヘキサノンを得る方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。
国際公開第2000/067902号パンフレット 英国特許第1332211号明細書 国際公開第2009/134514号パンフレット
S.Scire et.al.,Appl.Cat.A:General 235(2002)21. H.Liu et.al.,Science 326(2009)1250. Y.Wang et.al.,J.Am.Chem.Soc. 133(2011)2362.
しかしながら、特許文献1及び2に記載された方法を追試した結果、逐次水素化や副反応の進行の抑制は不十分であることが分かった。
フェノールの水素化反応によるシクロヘキサノン製造では、通常、逐次水素化反応によりシクロヘキサノールが生成する。副生したシクロヘキサノールは脱水素反応によりシクロヘキサノンへ誘導可能であるが、同反応は吸熱反応であるため反応を高温で行う必要がある。以上のことから、シクロヘキサノール副生が多いと設備コストならびにエネルギーがかかる。加えて、触媒担体上でのアルドール反応により生成する2−シクロヘキシルシクロヘキサノンはシクロヘキサノンへ誘導することが困難であり、燃料等として利用する他無く、炭素利用効率を低下させている。
水素化反応において、逐次水素化や副反応生成物の少ないプロセスを可能とする水素化触媒を見出すことができれば、設備コスト及び消費エネルギーの低減、炭素利用効率の向上につながり生産性の改善につながる。
そこで、本発明が解決しようとする課題の1つは、酸点や塩基点を制御することにより、逐次水素化や副反応を抑制し、高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させる水素化触媒を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題の1つは、フェノール又はその誘導体から高転化率かつ高選択率でシクロヘキサノン又はその誘導体を製造する方法を提供することにある。
本発明は、以下の事項に関する。
1.担体にリンとアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有させた触媒前駆体に、白金族金属が担持された水素化触媒であって、
前記触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量が、100μmol/g以下である水素化触媒。
2.上記の水素化触媒の製造方法であって、
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属供給源、水、担体及びリン供給源を混合する工程と、
前記水を蒸発させてから焼成することで、触媒前駆体を得る工程と、
前記触媒前駆体に白金族金属を担持させる工程と
を有する水素化触媒の製造方法。
3.上記の水素化触媒を用いてフェノール又はその誘導体を水素化するシクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法。
本発明の水素化触媒を用いることにより、逐次水素化や副反応を抑制し、高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させることができる。例えば、カプロラクタム等の原料として有用なシクロヘキサノンを高選択率で製造可能な、工業的に好適なフェノールの水素化方法を提供することができる。また、本発明のシクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法によれば、2−シクロヘキシルシクロヘキサノン、シクロヘキサノールなどの副生を抑制し、フェノール又はその誘導体から高転化率かつ高選択率でシクロヘキサノン又はその誘導体を製造することができる。
水素化装置の模式図である。
<水素化触媒>
本発明の水素化触媒は、担体にリンとアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有させた触媒前駆体に、白金族金属が担持されたものである。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられるが、好ましくはカルシウム、リチウム又はマグネシウムであり、更に好ましくはカルシウムである。なお、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒前駆体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とリンを担体へ担持させて調製される。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の担体への担持の際には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の供給源として、例えば、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、塩化物、酢酸塩、シュウ酸塩等を使用することができる。リンの担体への担持の際には、リン供給源として、例えば、リン酸(その水溶液も含む)又はそのアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩(その水溶液も含む)等を使用することができる。
触媒前駆体の調製において使用される担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、ゼオライト及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の担体への担持量としては、担体1gに対して、好ましくは0.01〜2gであり、更に好ましくは0.02〜0.2gである。リンの担体への担持量としては、担体1gに対して、好ましくは0.001〜1g、更に好ましくは0.005〜0.1gである。担体に担持させたアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とリンのモル比は、任意の比率とすることができるが、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1.4〜4である。なお、リンとアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とが複合酸化物等を形成した状態で担体に担持されていてもよい。
本発明では、触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量は、100μmol/g以下である。触媒前駆体のアンモニアの化学吸着量を低くすることで、高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させる水素化触媒となる。触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量は、80μmol/g以下が好ましく、50μmol/g以下がより好ましい。触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量は、転化率及び選択率の観点では低いほど好ましいが、白金族金属との相互作用の観点から、例えば9μmol/g以上とすることができる。なお、触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量は、使用するアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の種類、又は/及びアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属とリンのモル比によって調整することができる。
触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量を制御することで、高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させることが可能となる理由は、次のとおりと考えられる。すなわち、担体にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を担持させることにより生じる塩基点を、リンを担持することにより酸点の量を制御してそれを中和することで、従来の担体より優れた所望の酸点および塩基点を有する触媒前駆体となる。これによりシクロヘキサノン又はその誘導体の水素化以外の副反応が抑制され、高選択率での水素化反応が可能となる。また、副反応による生成物は活性点を被毒し転化率低下の原因となるが、副反応による生成物が減少する結果、高転化率での水素化反応が可能となる。
本発明では、触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の化学吸着量は、15μmol/g以下であることが好ましい。触媒前駆体の二酸化炭素の化学吸着量を低くすることで、より高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させる水素化触媒となる。触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の化学吸着量は、10μmol/g以下がより好ましく、7μmol/g以下がさらに好ましい。触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の化学吸着量は、転化率及び選択率の観点では低いほど好ましいが、フェノール又はその誘導体の担体への吸着による反応促進の観点から、例えば0.4μmol/g以上とすることができる。なお、触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の吸着量は、使用するアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の種類、又は/及びアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属とリンのモル比によって調整することができる。
触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の化学吸着量を制御することで、より高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させることが可能となる理由は、次のとおりと考えられる。すなわち、塩基点の導入により白金族金属と担体との相互作用が強まり、白金族金属の凝集が抑制され、触媒の高活性を維持することが可能となる。さらに、塩基点の導入により酸性度の高いフェノール又はその誘導体の触媒への吸着が促進されることで、より酸性度の低いシクロヘキサノンおよびその誘導体の触媒への吸着が抑制される。その結果、転化率の向上と逐次水素化の抑制が可能となり、高転化率かつ高選択率の水素化反応を進行させることが可能となる。
アンモニアの化学吸着量及び二酸化炭素の化学吸着量の測定は、例えば、以下の手順によって行うことができる。
(1)触媒前駆体をヒーター等により50℃で保温しておき、高真空状態から徐々にアンモニア又は二酸化炭素に晒し、これらの吸着量を測定することで、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を得る。
(2)次に、触媒前駆体を高真空におき、物理吸着したアンモニア又は二酸化炭素だけを完全に除去した後、そのまま再度アンモニア又は二酸化炭素に晒すことで、同様に2度目の吸着等温線(物理吸着等温線に該当する)を得る。
(3)全吸着等温線(一度目の吸着等温線;化学吸着と物理吸着の両方を含む)と物理吸着等温線(二度目の吸着等温線)の差により化学吸着等温線を得る。
(4)化学吸着等温線はほぼ直線となるため、これを化学吸着等温線のP(絶対圧)=0に外挿することで、触媒前駆体に単分子層で化学吸着したアンモニア量又は二酸化炭素量(アンモニア又は二酸化炭素の化学吸着量)が定量される。
なお、アンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量の測定にあたっては、予め、触媒前駆体に吸着した水、酸性物質、塩基性物質を脱離させるための前処理を行うことが好ましい。この前処理の方法は、触媒前駆体の性状を考慮して適宜選択すればよく、その具体例としては、例えば、加熱処理、真空排気処理、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。加熱温度、真空度及び時間などの処理条件は、いずれも、触媒前駆体の性状を損なわない範囲であれば特に制限されない。
本発明では、上記のリンとアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する触媒前駆体に、更に白金族金属が担持される。白金族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金が挙げられるが、好ましくはパラジウムである。白金族金属の触媒前駆体への担持量としては、触媒前駆体1gに対して、好ましくは0.001〜0.05gであり、更に好ましくは0.002〜0.01gである。
<水素化触媒の製造方法>
触媒前駆体は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属供給源、水、担体及びリン供給源を混合し、その水を蒸発させてから焼成することで、調製される。その際の焼成温度は、好ましくは200〜1000℃、更に好ましくは400〜800℃であり、圧力は特に制限されない。また、焼成雰囲気も特に限定されないが、好ましくは酸素の存在下(例えば、空気中)で焼成が行われる。その後、触媒前駆体に白金族金属を担持させ、乾燥することで水素化触媒(固体触媒)を得ることができる。
担体及び触媒前駆体への担持は、定法で行われる。例えば、担持させる金属の金属塩水溶液に、担体又は触媒前駆体を浸漬させる等によって接触させることで行われる。
本発明の水素化触媒(固体触媒)の形状は、円柱型、押出し型、球状、粒状、粉末状、ハニカム状等と形態を問わず選択することができるが、工業的な利用を考えた場合、円柱型、押出し型、球状、粒状、ハニカム状等の成型体とすることが好ましい。
<シクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法>
本発明の水素化触媒を用いた水素化反応の一例として、フェノール又はその誘導体(フェノール類)の水素化反応によるシクロヘキサノン又はその誘導体(シクロヘキサノン類)の製造方法を示す。
原料化合物であるフェノール類は、下記式(1)で表される。
Figure 0006075506
[式(1)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、フェノール基、フェニル基、C1〜C10のアルキル基又はC1〜C10アルコキシ基である。]
C1〜C10アルキル基は、直鎖、分枝又は環状のアルキル基であってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノナニル、シクロデシル及びこれらの異性体が挙げられる。
C1〜C10アルコキシ基は、直鎖又は分枝のアルコキシ基であってもよく、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デシルオキシ及びこれらの異性体が挙げられる。
フェノール基の具体例としては、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基及び4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
フェノール類の具体例としては、フェノール、カテコール、o−クレゾール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−イソブチルフェノール、2−メトキシフェノール、ビスフェノール等が挙げられる。
フェノール類の水素化反応で得られるシクロヘキサノン類は、下記式(2)で表される。
Figure 0006075506
[式(2)中、R、R、R、R及びRは、式(1)と同義である。]
シクロヘキサノン類の具体例としては、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,5−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,3,6−トリメチルシクロヘキサノン、2−シクロヘキシルシクロヘキサノン、2−シクロペンチルシクロヘキサノン、2−フェニルシクロヘキサノン、2−イソプロピルシクロヘキサノン、2−t−ブチルシクロヘキサノン、2−t−ブチル−6−メチルシクロヘキサノン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、2−イソブチルシクロヘキサノン、2−メトキシシクロヘキサノン、2,2―ビス(4―オキソシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
フェノール類の水素化反応によるシクロヘキサノン類の製造方法を、代表的なフェノール類であるフェノールの水素化反応によるシクロヘキサノンの製造方法を例にして、以下説明する。
フェノールの水素化反応によるシクロヘキサノンの製造方法としては、一般に、溶媒としてシクロヘキサンや水を用いる方法と、フェノール及び主生成物であるシクロヘキサノン以外に溶媒を用いない方法がある。
溶媒を用いるフェノールの水素化反応としては、活性炭上にパラジウムを担持した触媒を用い、塩化アルミニウムの存在下で水素化する方法(非特許文献2)や、窒化カーボン上にパラジウムを担持した触媒を用い、溶媒として水を用いて水素化する方法(非特許文献3)などが知られている。
前者は、塩化アルミニウムを使用しているため、その処理に伴い多量の廃棄物が発生する問題があり、後者は、触媒の調製法が煩雑であり工業的に実施するのに適していない。加えて、溶媒を用いることは反応器の増大や溶媒分離コストの増加を招き、工業的な製法としては適さない。
一方、溶媒を用いないフェノールの水素化反応としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属により処理されたAl上にパラジウムを担持した触媒を使用し、水素とフェノールを反応させることによってシクロヘキサノンを得る方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。
このような溶媒を用いないフェノールの水素化反応は、生産性が高く工業的に実施されている。しかしながら、溶媒を用いないフェノールの水素化反応液中には、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、その他の生成物及び未反応のフェノールが含まれる。通常、未反応のフェノールは分離され再度フェノールの水素化反応工程へ導入されるが、シクロヘキサノンと共沸組成を形成するため、フェノールの分離・循環には多くの設備コストとエネルギーが必要となる。フェノール転化率を上げることで反応液中のフェノール含有量を低減させることは可能ではあるが、同時に生成するシクロヘキサノンの副反応が進行し選択性が低下する。また、生成したシクロヘキサノールは脱水素反応によりシクロヘキサノンへ誘導可能であるが、同反応は吸熱反応であるため反応を高温で行う必要があり、設備コストならびにエネルギーがかかる。加えて、その他の副生物として、触媒担体上でのアルドール反応により生成する2−シクロヘキシルシクロヘキサノンなどが挙げられるが、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンは、シクロヘキサノンへ誘導することが困難であり、燃料等として利用する他に無く、炭素利用効率を低下させている。
それに対し、本発明の水素化触媒を用いたフェノールの水素化反応によるシクロヘキサノンの製造方法は、例えば図1に示す水素化装置のように、水素化触媒を充填した触媒層2と、フェノールの導入側に予熱層3を有する反応管1に、予熱層3側より水素8を流通させ前処理還元を行った後、水素8と、フェノール7(又はフェノールとシクロヘキサノンの混合物)を供給して行われる。こうすることで、高転化率かつ高選択率でシクロヘキサノンを得ることができる。
反応管1としては、直管が用いられる。材質としては、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、石英等が挙げられるが、工業的な製法の見地から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。
反応管1に本発明の水素化触媒が充填されるが、反応管1に水素化触媒を支える通気性を有する皿、網又はパンチングメタル等の底板5を設置し、これに石英ウール4等を敷き詰め、次いで水素化触媒が充填された触媒層2が形成される。これにより水素化触媒の抜けが防止される。
触媒層2のフェノールの導入側には、必要に応じて石英ウール4を敷き詰めた上で予熱層3を有する。予熱層3は、反応管1に充填された水素化触媒のフェノールの導入側(縦型の反応管の場合、充填された水素化触媒の上部)に、例えばガラスビーズ、石英ウール、繊維状のステンレス鋼(SUS)を充填することにより形成できる。また、反応管1の予熱層3部分を細くし、又は外径の細い管を予熱層3部位として触媒層2が形成された反応管1に接続し、これにガラスビーズ、石英ウール、繊維状のステンレス鋼(SUS)を充填する方法で予熱層3を形成することもでき、あるいは反応管1を流通するフェノールや水素との熱交換が充分であれば、ガラスビーズ等の充填材を充填することなく予熱層3とすることもできる。
ガラスビーズを使用する場合、ガラスビーズの粒径は、反応管1の直径の1/10程度が目安であり、反応管1の直径によるが、例えば、直径1mm又は2mmの球形のものを使用することができる。
予熱は、例えば、予熱層3の管外にヒーター6を設置して外部加熱によって行うことができる。
上記水素化装置の予熱層3側からフェノール7を供給することでシクロヘキサノンが製造されるが、フェノール7の供給前に気相又は液相で水素化触媒の還元処理が行われる。
気相での還元処理の方法としては、例えば、水素を還元剤として用いる方法が挙げられる。その際、触媒層2の温度は50〜500℃、好ましくは100〜200℃であり、水素化触媒中の白金族金属が充分還元されるだけの水素量及び時間にて還元処理が実施される。なお、水素供給前には、窒素やアルゴン等の不活性ガスが導通され反応系内が不活性ガスに置換される。
液相での還元処理の方法としては、例えば、ギ酸、ギ酸のアルカリ金属塩、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の1〜20質量%の水溶液を用いて、同溶液中、室温〜100℃の温度で水素化触媒中の白金族金属を還元する方法が挙げられる。
原料であるフェノール7は、その製法によらず用いることができ、フェノールとシクロヘキサノンとの混合物の状態でも問題ない。例えば、クメン法により得られたフェノールを用いることもでき、あるいは特許文献3に記載されたベンゼンの還元二量体を酸化分解して得られるフェノールとシクロヘキサノンの混合物を、分離することなくそのまま用いることもできる。フェノールとシクロヘキサンの比は特に限定されないが、副生成物であるシクロヘキサノールの生成抑制及び生産性の観点から、フェノール:シクロヘキサノン比(モル%)が100:0〜30:70であることが好ましい。
原料であるフェノール7(又はフェノールとシクロヘキサノンの混合物)は、必要に応じ120℃以下で加熱して液体状態とし、プランジャーポンプ、シリンジポンプ等のポンプによって予熱層3へ供給される。
フェノールの流速は、反応装置や製造規模、水素化触媒中の白金族金属の担持量にもよるが、水素化触媒重量あたりの供給速度で0.2〜5kg・kg−cat−1・h−1である。
供給されたフェノール7(又はフェノールとシクロヘキサノンの混合物)は、予熱層で加熱され、同じく供給される水素8と混合し、触媒層2へ供給される。別法として、反応条件によっては液体状のフェノール中に水素を導通し、気化したフェノールを予熱層3へ送る方法も適用できる。
触媒層2へ供給される水素8の量は、反応装置や製造規模、水素化触媒中の白金族金属の担持量にもよるが、水素化触媒重量あたりの供給速度で100〜130000L・kg−cat−1・h−1であり、予熱層3にて加熱される。予熱層3での好ましい温度は、100〜220℃である。
水素のフェノールに対するモル比は、2〜100、好ましくは4〜50である。
フェノールと水素は、触媒層2の温度が100〜220℃、好ましくは140〜160℃、圧力が0〜1MPa(ゲージ圧以下、G)、好ましくは0〜0.3MPa(G)で反応する。
得られる反応生成物を反応管1から冷却捕集し、その捕集液を、例えば蒸留等により精製することで、目的のシクロヘキサノンを得ることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
フェノール類の水素化反応で生成する各成分の生成量は、得られた反応液を冷却し捕集した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、商品名:「GC―2014」、GCカラム:TC−WAX、GC検出器:FID)を用いて分析を行い、内部標準としてジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いて算出した。
[実施例1]
(触媒A前駆体:0.1Ca−0.05P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.1、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒A前駆体を得た。触媒A前駆体のBET比表面積は49m/gであった。
(触媒A前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒A前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒A前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒A前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒A前駆体のアンモニア化学吸着量は47.1μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒A前駆体の二酸化炭素化学吸着量は6.1μmol/gであった。
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOの製造)
上記の触媒A前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOを得た。
[実施例2]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を2.6cc/hで、水素ガスを26cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から16hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.8%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
[実施例3]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応:寿命評価)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(10cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで連続的に供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から25hの捕集液を切り捨て、その後30hにわたり2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、反応成績は安定しており、その平均値は、フェノールの転化率が>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率が97.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率が2.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率が<0.1%であった。
続いて、反応温度を135℃に下げ、15hの捕集液を切り捨て、その後60hにわたり2〜5hおきにサンプリングを行い、その捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、反応成績は安定しており、その平均値は、フェノールの転化率が>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率が98.7%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率が1.2%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率が<0.1%であった。
[実施例4]
(触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOによるp−クレゾールの水素化反応)
触媒A:Pd/0.1Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(10cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、135℃、0MPa(G)にてp−クレゾールと4−メチルシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、p−クレゾールの水素化反応を行った。
反応開始から14hの捕集液を切り捨て、その後2hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるp−クレゾールの転化率は99.4%であり、4−メチルシクロヘキサノンの選択率は98.3%であり、副生物である4−メチルシクロヘキサノールの選択率は1.7%であった。
[実施例5]
(触媒B前駆体:Li−P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Li/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸リチウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒B前駆体を得た。触媒B前駆体のBET比表面積は53m/gであった。
(触媒B前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒B前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒B前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒B前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒B前駆体のアンモニア化学吸着量は9.8μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒B前駆体の二酸化炭素化学吸着量は0.4μmol/gであった。
(触媒B:Pd/Li−P−SiOの製造)
上記の触媒B前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒B:Pd/Li−P−SiOを得た。
[実施例6]
(触媒B:Pd/Li−P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒B:Pd/Li−P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.6cc/hで、水素ガスを16cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から4hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.3%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.0%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.9%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.1%であった。
[実施例7]
(触媒C前駆体:Mg−P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Mg/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸マグネシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒C前駆体を得た。触媒C前駆体のBET比表面積は59m/gであった。
(触媒C前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒C前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒C前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒C前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒C前駆体のアンモニア化学吸着量は40.7μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒C前駆体の二酸化炭素化学吸着量は1.0μmol/gであった。
(触媒C:Pd/Mg−P−SiOの製造)
上記の触媒C前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒C:Pd/Ca−P−SiOを得た。
[実施例8]
(触媒C:Pd/Mg−P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒C:Pd/Mg−P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から3hの捕集液を切り捨て、その後4hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は97.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は96.7%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.8%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.6%であった。
[実施例9]
(触媒D前駆体:0.07Ca−0.05P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.07、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒D前駆体を得た。触媒D前駆体のBET比表面積は56m/gであった。
(触媒D前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒D前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒D前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒D前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒D前駆体のアンモニア化学吸着量は55.7μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒D前駆体の二酸化炭素化学吸着量は4.8μmol/gであった。
(触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiOの製造)
上記の触媒D前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiOを得た。
[実施例10]
(触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒D:Pd/0.07Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から27hの捕集液を切り捨て、その後3hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は97.7%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
[実施例11]
(触媒E前駆体:0.2Ca−0.05P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.2、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒E前駆体を得た。触媒E前駆体のBET比表面積は49m/gであった。
(触媒E前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒E前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒E前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒E前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒E前駆体のアンモニア化学吸着量は91.7μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒E前駆体の二酸化炭素化学吸着量は7.5μmol/gであった。
(触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiOの製造)
上記の触媒E前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiOを得た。
[実施例12]
(触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒E:Pd/0.2Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から8hの捕集液を切り捨て、その後3hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は96.7%であり、シクロヘキサノンの選択率は98.3%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は1.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.1%であった。
[実施例13]
(触媒F前駆体:0.3Ca−0.05P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.3、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒F前駆体を得た。触媒F前駆体のBET比表面積は41m/gであった。
(触媒F前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒F前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒F前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒F前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒F前駆体のアンモニア化学吸着量は89.8μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒F前駆体の二酸化炭素化学吸着量は13.2μmol/gであった。
(触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiOの製造)
上記の触媒F前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiOを得た。
[実施例14]
(触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒F:Pd/0.3Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、135℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から70hの捕集液を切り捨て、その後2hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は96.5%であり、シクロヘキサノンの選択率は95.2%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は4.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は<0.1%であった。
[比較例1]
(Pd−Na/Alによるフェノールの水素化反応1)
酸化アルミニウム(Al:住友化学製、球状)に、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で乾燥させた後、500℃で3h焼成して、2%Na/Alを得た。その後、2%Na/Alに、0.05wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.05wt%Pd−2%Na/Alを得た。
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.05wt%Pd−2%Na/Alの1.0gを充填し、その上部にガラスビーズ10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(13cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を0.5cc/hで、水素ガスを13cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から8hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.4%であり、シクロヘキサノンの選択率は90.3%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は0.7%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は8.7%であった。
[比較例2]
(Pd−Na/Alによるフェノール水素化反応2)
酸化アルミニウム(Al:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3h焼成して、2%Na/Alを得た。その後、2%Na/Alに、0.1wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.1wt%Pd−2%Na/Alを得た。
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.1wt%Pd−2%Na/Alの0.13gと2%Na/Alの0.37gの混合物を充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを25cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から1hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.8%であり、シクロヘキサノンの選択率は89.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は10.3%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.6%であった。
[比較例3]
(Pd−Na/Alによるフェノール水素化反応3)
酸化アルミニウム(Al:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3h焼成して、2%Na/Alを得た。その後、2%Na/Alに、0.05wt%となるように硝酸パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた後、450℃で3h焼成して、0.05wt%Pd−2%Na/Alを得た。
1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.05wt%Pd−2%Na/Alの1.3gを充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(25cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを25cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から1hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は93.1%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は5.1%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は1.8%であった。
[比較例4]
(触媒G前駆体:P−SiOの製法)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、P/Si(mol比)=0.05となるようにリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒G前駆体を得た。触媒G前駆体のBET比表面積は56m/gであった。
(触媒G前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒G前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒G前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒G前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒G前駆体のアンモニア化学吸着量は134μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒G前駆体の二酸化炭素化学吸着量は<0.1μmol/gであった。
(触媒G:Pd/P−SiOの製造)
上記の触媒G前駆体に、0.2wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒G:Pd/P−SiOを得た。
[比較例5]
(触媒G:Pd/P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒G:Pd/P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は5.2%であり、シクロヘキサノンの選択率は83.8%であり、副生物であるシクロヘキサノールは<0.1%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は16.1%であった。
[比較例6]
(触媒H前駆体:Ca−SiOの製法)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.1となるように硝酸カルシウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒H前駆体を得た。
(触媒H:Pd/Ca−SiOの製造)
上記の触媒H前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒H:Pd/Ca−SiOを得た。
[比較例7]
(触媒H:Pd/Ca−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒H:Pd/Ca−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(16cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から5hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は88.0%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は11.6%であり、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は0.4%であった。
[比較例8]
(触媒I前駆体:0.01Ca−0.05P−SiOの製造)
SiO(富士シリシア化学製、商品名:CARiACT Q−50、球状、1.18−2.36mm)に、Ca/Si(mol比)=0.01、P/Si(mol比)=0.05となるように硝酸カルシウム水溶液及びリン酸水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。その後、空気雰囲気下600℃で3h焼成して、触媒I前駆体を得た。触媒I前駆体のBET比表面積は53m/gであった。
(触媒I前駆体のアンモニア及び二酸化炭素の化学吸着量測定)
触媒I前駆体1.5gをガラス製サンプルセルに入れ、4Pa以下にて、380℃で2h加熱した(前処理)。次に、アンモニアの化学吸着量測定を行うため、前処理された触媒I前駆体を、サンプルセルのまま高性能・全自動ガス吸着量測定装置Autosorb−1−C型(商品名、ユアサアイオニクス社製)に設置した。
触媒I前駆体をヒーターにより50℃で保温し、真空状態から徐々にアンモニアガスをサンプルセルに導入し、絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、化学吸着量と物理吸着量を合わせた全吸着量)を測定(測定温度:50℃、熱平衡時間:60分、圧力公差:4、吸着平衡時間:2分)し、全吸着等温線(化学吸着と物理吸着の両方を含む)を作成した。
その後、高真空で排気することにより物理吸着したアンモニアを除去し、再度絶対圧5.3kPaから5.3kPa間隔で106.7kPaまで合計20点で吸着量(即ち、物理吸着量)を測定し、物理吸着等温線を作成した。全吸着量と物理吸着量の差から化学吸着等温線を作成し、これをP=0に外挿した。その結果、触媒I前駆体のアンモニア化学吸着量は148μmol/gであった。
また、吸着ガスをアンモニアガスから二酸化炭素に変えて、二酸化炭素の化学吸着量測定を行った。その結果、触媒I前駆体の二酸化炭素化学吸着量は<0.1μmol/gであった。
(触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiOの製造)
上記の触媒I前駆体に、0.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させることで、触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiOを得た。
[比較例9]
(触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiOによるフェノールの水素化反応)
触媒I:Pd/0.01Ca−0.05P−SiOの1gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200℃に加熱し、上部より水素ガス(26cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、140℃、0MPa(G)にて、フェノールとシクロヘキサノンの混合物(モル比=1:1)を1.0cc/hで、水素ガスを10cc/minで供給することで、フェノールの水素化反応を行った。
反応開始から2hの捕集液を切り捨て、その後1hの捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、出発原料であるフェノールの転化率は21.9%であり、シクロヘキサノンの選択率は95.9%であり、副生物であるシクロヘキサノールの選択率は0.1%であり、2−クロヘキシルシクロヘキサノンの選択率は4.0%であった。
Figure 0006075506
1 反応管
2 触媒層
3 予熱層
4 石英ウール
5 底板
6 ヒーター
7 フェノール
8 水素

Claims (7)

  1. 担体にリンとアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有させた触媒前駆体に、白金族金属が担持された水素化触媒であって、
    前記触媒前駆体の50℃におけるアンモニアの化学吸着量が、100μmol/g以下である水素化触媒。
  2. 前記触媒前駆体の50℃における二酸化炭素の化学吸着量が、15μmol/g以下である請求項1に記載の水素化触媒。
  3. 前記担体が、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア及び活性炭からなる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水素化触媒。
  4. フェノール又はその誘導体の水素化触媒である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素化触媒。
  5. 前記フェノール又はその誘導体が、下記式(1)で表される請求項4に記載の水素化触媒。
    Figure 0006075506
    [式(1)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに独立に、水素原子、ヒドロキシ基、フェノール基、フェニル基、C1〜C10のアルキル基又はC1〜C10アルコキシ基である。]
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素化触媒の製造方法であって、
    アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属供給源、水、担体及びリン供給源を混合する工程と、
    前記水を蒸発させてから焼成することで、触媒前駆体を得る工程と、
    前記触媒前駆体に白金族金属を担持させる工程と
    を有する水素化触媒の製造方法。
  7. 請求項4又は5に記載の水素化触媒を用いてフェノール又はその誘導体を水素化するシクロヘキサノン又はその誘導体の製造方法。
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