JP6379088B2 - 錠剤検査装置及び錠剤検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薬包体に封入された錠剤を検査する錠剤検査装置及び錠剤検査方法に関する。
病院施設や薬局などでは、処方箋に対して正確な調剤作業を行う必要がある。そのために、調剤作業の後に調剤の検査が行なわれている。この調剤作業として、まず、錠剤分包機が、異なる種類の錠剤を薬袋である薬包体に包む分包作業を行なう。そして、調剤の検査として、錠剤検査装置が、その薬包体を撮影して得た画像を2値化した後、2値化画像の中にある錠剤個数を計数して錠剤検査を行なう。
錠剤には、光を通す半透明錠剤と光を遮断する不透明錠剤がある。
また、半透明錠剤は、その種類によって透過度のバラつきがあり、半透明錠剤の画像上の明度も異なる。半透明錠剤の種類によっては、半透明錠剤の明度分布が背景の明度分布と部分的に重複するものがある。従って、正確に検査を行いにくい。
図6に、照明として拡散光を用いた場合における半透明錠剤の透過の概念図と撮影画像を示す。
図6(a)に示すように、撮像部11で受光できる光は、線35a、35b、35c、35d、35e、35f、35gに沿って進むものに限られる。半透明錠剤22の中心部を通る光は、直線的に線35dに沿って進み、線35c、35b、35aの順に、外周部に近くなる程、半透明錠剤22での屈折が大きくなる。このように、発光部31より照射される光が拡散光であると、光の照射角が様々であるため、線35a、35b、35c、35d、35e、35f、35gのどの角度においても発光部31より照射された光は撮像部11に届く。よって、半透明錠剤22を示す明度の低い画素は生成されず、撮像部11で取得される透過画像に、半透明錠剤22の輪郭は明瞭に写らない。
照明として拡散光を用いた場合には、図6(b)に示す透過画像のように、薬包体20内の不透明錠剤21は明瞭に写っている。しかし、背景となる薬包体20の透明フィルムは光を透過し、半透明錠剤22も透過度によっては同様に光を透過する。そのため、背景と半透明錠剤22の明度が同程度になる。よって、撮像画像に2値化やエッジ抽出等の処理を行っても、半透明錠剤22の外周部のみを若干抽出できるだけで、背景との明確な切り分けが難しい。このような場合、撮像画像の2値化による閾値の調整は難しく、また、半透明錠剤22の輪郭が途切れてしまうことも多い。さらに、その他のノイズの除去処理のために撮像画像に平滑化処理を施すことで、ノイズと同様に半透明錠剤22の輪郭が除去されてしまう。そのため、画像処理を行っても正確に半透明錠剤22として検出することができない。なお、ここで、背景とは、撮像画像において錠剤が存在しない領域を示し、透明フィルムのみを透過する領域のことである。
図7に、照明として平行光を用いた場合における半透明錠剤の透過の概念図と撮影画像を示す。
図7では、照明部30は、平行光を発光するために、拡散光を平行光へ変換する平行光変換部32と発光部31とを有する。
図7(a)に示すように、照明部30より照射される光が平行光であると、照射角のバラツキが小さいため、光を透過することのできない箇所が半透明錠剤22に生じる。線35dのような照射角に近い角度の光は撮像部11に到達する。しかし、線35a、35b、35c、35e、35f、35gのように角度を持っている光は、平行光変換部32より照射されている照射光が角度を持たないため、撮像部11に入射する光が弱くなり、半透明錠剤22の外周部の明度が低くなる。
よって、図7(b)に示すように、半透明錠剤22の中心部の明度が高く、外周部の明度が低くなるため、撮像部11で取得される透過画像に、半透明錠剤22の輪郭が明瞭に写る。
また、図8は、照明部から照射される平行光を説明する図である。
図8に示すように、照明部30から照射される平行光のうち、薬包体を透過する光(線36a、36g)は屈折を起こさないため直進する。しかし、透明錠剤を透過する光(線36b〜36f)のうち、半透明錠剤22の外周部を透過する光は顕著に屈折するために、撮像部11へその光が到達せず、半透明錠剤22の外周部の明度が低下する。一方、半透明錠剤22の中心部付近を透過する光は屈折量が少ないため、撮像部11で光を受光して明度が高くなる。
ここで、半透明錠剤22の曲率によって屈折率が決まるため、半透明錠剤22の透過度とは関係なく半透明錠剤22の外周部の明度は低くなる。平行光により半透明錠剤22の外周部の明度が低くなることを利用して、半透明錠剤22を背景と明確に切り分け、正確に検出することができる。
なお、平行光を照射することについては特許文献1に記載されている。
特開2008−18230号公報
以上のように、拡散光を用いる場合に比較して平行光を用いる場合には、半透明錠剤22の輪郭を明確にすることができる。
しかし、撮像部11の鉛直下方に半透明錠剤22が存在する場合には、輪郭を明確にすることができるが、半透明錠剤22が撮像部11の鉛直下方からずれた位置に存在する場合には、輪郭に偏りが生じる。
図9(a)は半透明錠剤22が撮像部11の鉛直下方からずれた位置に存在する場合の説明図であり、図9(b)は撮影画像である。
図9(b)に示すように、撮影位置が撮像部11の鉛直下方からずれた場合には、半透明錠剤22の輪郭に偏りが生じており、この偏りによって輪郭を認識できない場合が発生する。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するために、撮影位置に関係なく半透明錠剤の均等な輪郭を得ることで、透過度に関係なく半透明錠剤の検査を行なうことが可能な、錠剤検査装置および錠剤検査方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の錠剤検査装置は、少なくとも半透明錠剤が封入された薬包体に光を照射する照明部と、照射された前記薬包体の透過画像を取得する撮像部と、前記透過画像を用いて、中心部よりも外周部の明度が低い錠剤を前記半透明錠剤として検出する画像処理部とを備え、前記照明部は、発光部を有し、前記発光部と前記薬包体との間に、前記光を前記撮像部に集光する集光部を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の錠剤検査装置において、前記発光部では拡散光を発光し、前記発光部と前記集光部との間に、前記拡散光を平行光に変換する平行光変換部を設けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の錠剤検査装置において、前記集光部を、凸レンズ又はフレネルレンズとしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の錠剤検査装置において、前記薬包体と前記撮像部との間にドーム照明部を有することを特徴とする。
本発明は、撮影位置に関係なく半透明錠剤の均等な輪郭を得ることで、透過度に関係なく半透明錠剤の検査を行なうことが可能な、錠剤検査装置および錠剤検査方法を提供することができる。
本発明の一実施例による錠剤検査装置を示す構成図 同錠剤検査装置に用いる平行光変換部の斜視図 (a)光を撮像部に集光させた場合における半透明錠剤の透過の概念図、(b)撮影された半透明錠剤の透過画像を示す図 図1に示すドーム照明を有する場合の半透明錠剤の透過の概念図 本実施例にかかる錠剤検査装置を用いて錠剤検査を行なう方法を示すフローチャート 照明として拡散光を用いた場合における半透明錠剤の透過の概念図と撮影画像 照明として平行光を用いた場合における半透明錠剤の透過の概念図と撮影画像 照明部から照射される平行光を説明する図 半透明錠剤が撮像部の鉛直下方からずれた位置に存在する場合の説明図と撮影画像
本発明の第1の実施の形態による錠剤検査装置は、発光部と薬包体との間に、光を撮像部に集光する集光部を設けたものである。本実施の形態によれば、撮影位置に関係なく半透明錠剤の均等な輪郭を得ることで、透過度に関係なく半透明錠剤の検査を行なうことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による錠剤検査装置において、発光部では拡散光を発光し、発光部と集光部との間に、拡散光を平行光に変換する平行光変換部を設けたものである。本実施の形態によれば、拡散光を平行光に変換した後に平行光を集光することで、半透明錠剤の均等な輪郭を得ることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による錠剤検査装置において、集光部を、凸レンズ又はフレネルレンズとしたものである。本実施の形態によれば、フレネルレンズを用いることで照明部と薬包体との距離を短く構成することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による錠剤検査装置において、薬包体と撮像部との間にドーム照明部を有するものである。本実施の形態によれば、ドーム照明を有する場合にも、ドーム照明に影響されず半透明錠剤の均等な輪郭を得ることができる。
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本発明の一実施例による錠剤検査装置を示す構成図、図2は同錠剤検査装置に用いる平行光変換部の斜視図である。なお、同じ構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する場合もある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
錠剤検査装置は、薬包体20に対して、処方箋通りに適切な錠剤が包まれているか否かを検査する。なお、薬包体20は、図示しない錠剤分包機が処方箋に従った錠剤を包んだものである。
図1に示すように、錠剤検査装置は、検査作業を行うために、不透明錠剤及び半透明錠剤を含んだ薬包体20の画像を撮像部11にて取得する。そして、画像処理部12は、撮像部11にて取得した薬包体20の画像に基づいて錠剤を計数し、計数した個数と処方箋に記された錠剤の個数とを照合し、適切に薬包体20に錠剤が封入されているか否かを判定する。撮像部11には、例えばカメラ部が用いられ、撮像部11は、照明部30から光を照射された薬包体20の透過画像を取得する。撮像部11は、画像素子とレンズを有する。載置台13は、薬包体20を搬送する。
載置台13は、薬包体20を載置する載置面の端部に設けたガイド部15と、照明部30の光を通す透明板16を有する。ガイド部15は、内部に駆動ローラとガイドローラ(図示せず)を有する。そして、駆動ローラとガイドローラの間に薬包体20の端を挟み、駆動ローラを回転させることで、薬包体20をガイド部15に沿って移動させる。また、載置台13は、撮像部11と照明部30との間に配置される。
撮像部11は、薬包体20を載置する載置台13の載置面に対向し、照明部30の上方にある。撮像部11は、載置面の下方から光を照射された薬包体20を上方から撮影し、薬包体20の透過画像を取得する。
表示部14は、画像処理部12に接続することで、画像処理部12で検出された錠剤の画像を表示する。よって、検査者は、表示部14を用いて目視で検査することもできる。
撮像部11の下方、透明板16の上方には、ドーム照明部40を備えている。薬包体20は、ドーム照明部40から光を照射されることによって撮像部11で撮像される。
照明部30は、半透明錠剤22及び不透明錠剤21を封入した薬包体20に光を照射する。照明部30は、拡散光を発光する発光部31と、拡散光を平行光へ変換する平行光変換部32と、平行光を集光する集光部33とを有する。発光部31には、例えば拡散板を取り付けたLEDを用いる。集光部33には、例えば凸レンズ又はフレネルレンズを用いる。
撮像部11から集光部33までの距離は、集光部33の焦点距離と等しくする。なお、本実施例では、拡散光を平行光変換部32にて平行光に変換した後に集光部33にて集光する場合を説明するが、単一光源から拡散する光を集光してもよい。その場合、撮像部11から集光部33までの距離は、集光部33の焦点距離の2分の1と等しくする。
薬包体20には、光を遮断する不透明錠剤21と一定の透過率で光を通す半透明錠剤22が封入される。
不透明錠剤21は、光を遮断する錠剤である。一般的な錠剤の多くは、不透明錠剤21である。
半透明錠剤22は、薬液を透明膜で包んだ錠剤である。よって、光の透過の程度は、その薬液の透過の程度によって異なる。また、半透明錠剤22は、薬液を包んだものであるために、球、回転楕円体、カプセル等の丸みを帯びた形状をしている。
薬包体20は、印字を行なうために透明フィルムよりも透過度を低くした台紙領域20aと、透明フィルムの非台紙領域20bからなる。
図1に示すように、撮像部11は、薬包体20の透過画像を取得する。この透過画像は、得られる外周部の明度が低い半透明錠剤22を含む。画像処理部12では、半透明錠剤22の外周部の明度が低くなることを利用して、薬包体20の透過画像から、半透明錠剤22の輪郭を検出する。
そして、錠剤検査装置は、撮像部11で薬包体20の透過画像を取得した後、薬包体20の透過画像に含まれる半透明錠剤22を検出すると共に、薬包体20の透過画像に含まれる不透明錠剤21を検出する。そして、検出された半透明錠剤22の個数および不透明錠剤21の個数との和と処方箋の錠剤数とを比較して、適切な錠剤数が薬包体20にあるか否を判定することで、錠剤数のチェックを行なう。錠剤検査装置は、このような方法で錠剤の検査を行なう。錠剤検査装置で行う錠剤数のチェックの詳細については、図7のフローチャートで後述する。
図2に示すように、平行光変換部32は、拡散光を平行光に変換する部材である。平行光変換部32は、可視光を透過する透過帯32aと可視光を吸収する吸収帯32bとを、交互に積層した積層体32c、32dとにより形成される。ここで、積層体32cの透過帯32aと吸収帯32bの積層方向と、積層体32dの透過帯32aと吸収帯32bの積層方向とが直交する関係になるように、積層体32cと積層体32dは重ねられている。平行光変換部32は、発光部31より発光される拡散光のうち、所定の入射角で入射する光のみを透過して、それ以外の入射角で入射する光を吸収する。平行光変換部32は所定の入射角の光しか通さないために、平行光変換部32から放射する光は平行光となる。この平行光を集光部33で集光する。なお、平行光変換部32にはルーバーフィルムを用いることができる。
次に、撮像部11で取得された薬包体20の透過画像を用いて、半透明錠剤22を正確に検出できる理由について説明する。
図3(a)は光を撮像部11に集光させた場合における半透明錠剤22の透過の概念図、図3(b)は撮影された半透明錠剤22の透過画像を示す図である。
図3(a)では、撮像部11の鉛直直下にある半透明錠剤22Aと、撮像部11の鉛直直下からずれた位置にある半透明錠剤22Bとを示している。
半透明錠剤22は丸みを帯びた錠剤である。そのため、半透明錠剤22がレンズの役割となり、半透明錠剤22の外周部を通る透過光は屈折し、中心部を通る透過光は直進する。
撮像部11の鉛直直下にある半透明錠剤22Aでは、平行光と同様に、中心部を通る透過光は撮像部11に到達して明度が高くなるが、外周部を通る透過光は撮像部11に入射する光が弱くなり明度が低くなる。半透明錠剤22は球、回転楕円体、カプセル等の丸みを帯びた形状であり、半透明錠剤22の外周部から中心部にかけて屈折率が徐々に変化するため、明度が低くなる外周部がある程度の幅を持つ。さらに明度の低い領域は透明錠剤22の輪郭形状と一致するため、形状を比較する画像処理、例えばパターンマッチング等の画像処理が容易になる。
撮像部11の鉛直直下からずれた位置にある半透明錠剤22Bでは、平行光の場合には図9に示すように輪郭に偏りを生じる。しかし、本実施例では半透明錠剤22Bを通る透過光が全て撮像部11に向かうために、輪郭に偏りを生じることなく、中心部を通る透過光は撮像部11に到達して明度が高くなり、外周部を通る透過光は撮像部11に入射する光が弱くなり明度が低くなる。
図4は、図1に示すドーム照明を有する場合の半透明錠剤の透過の概念図である。図4(a)は、光を撮像部に集光させた本実施例による場合であり、図4(b)は半透明錠剤の透過画像を示す。また、図4(c)は拡散光を用いた比較例、図4(d)は平行光を用いた比較例である。図において矢印の太さは、光の強さを示している。
図4(a)では、集光部33によって光を撮像部11に集光させているため、集光部33からの光がドーム照明部40で反射されることは少ない。ドーム照明部40からの反射光が少ないため、平行光を用いた照明の特徴、すなわち、半透明錠剤22の中心部の明度が高く、外周部の明度が低いという特徴が強調される。
これに対して、図4(c)に示す拡散光を用いた比較例や、図4(d)に示す平行光を用いた比較例では、ドーム照明部40の周辺に強い光が当たるため、これらの光がドーム照明部40によって反射してしまう。そのため、ドーム照明部40からの反射光が半透明錠剤22にも均一に当たり、半透明錠剤22全体の明度が高くなる。これにより、平行光を用いた照明の特徴、すなわち、半透明錠剤22の中心部の明度が高く、外周部の明度が低いという特徴が、半透明錠剤22全体の明度が高くなることにより薄まり、半透明錠剤22の検出が困難となる。
以上のように、光を撮像部11に集光させて得られた本実施例の透過画像であれば、撮像部11の鉛直直下から離れた位置にある不透明錠剤21においても、輪郭が明瞭であると共に、半透明錠剤22の外周部の輪郭も均一で明瞭である。よって、画像処理部12は、透過画像より不透明錠剤21及び半透明錠剤22の輪郭を容易に検出することができる。本実施例において、半透明錠剤22の検出は、透過画像と半透明錠剤22のサンプル画像とのパターンマッチングにより行なわれ、検出された半透明錠剤22の個数が算出される。また、透過率の違いから、不透明錠剤21と半透明錠剤22の画像が異なるため、本実施例では、不透明錠剤21と半透明錠剤22とを、明確に区別することも可能となる。
また、画像処理部12では、透過画像と半透明錠剤22のサンプル画像とのパターンマッチングを行なう前に、透過画像に対して極値による細線化及びエッジ抽出を行い、透過画像より半透明錠剤22の輪郭を検出する処理を行う。このように、透過画像に対して極値による細線化及びエッジ抽出を行うことで、ノイズを除去して、錠剤の輪郭が明瞭になる。ここで、上述のとおり、半透明錠剤22の外周部の明度は低く、幅は一定である。しかし、集光を行なわない平行光を用いた場合、錠剤の姿勢及び撮像部11からの相対位置によって、撮像部11へ到達する光の屈折率が変わる。そのため、同種の錠剤であっても、明度の低い外周部の幅が広い部分と狭い部分が生じる。一方、平行光を集光することにより、撮像部11からの相対位置の影響が少なくなり、明度の低い外周部の幅が均一になる。パターンマッチング等の半透明錠剤22の検出の際に、外周部の幅が均一になることで、半透明錠剤22の輪郭が途切れるといった悪影響を最小限にすることが可能となる。半透明錠剤22の中心部から外周部にかけての屈折率は段階的に変わっていくため、半透明錠剤22の外周部の明度は中心部より段階的に変化する。ただし、半透明錠剤22の最も外側については、明度が極端に変化する。従って、透過画像を微分処理によってエッジ抽出する際に、変化量の大きい極値のみを残す細線化を行うことで、最も外側の外周部のみを残すことが可能となる。最も外側の外周部、すなわち半透明錠剤22の輪郭については、各錠剤の大きさにより輪郭の大きさも決定されるため、錠剤の位置や姿勢によって影響されない安定したパターンマッチング処理が可能となる。
ここで、薬包体20は、印字を行なうために透明フィルムよりも透過度を低くした台紙領域20aと、透明フィルムの非台紙領域20bよりなる。台紙領域20aは、照明部30の光を弱めるために、台紙領域20aと非台紙領域20bとの境界線上に半透明錠剤22があると、1つの半透明錠剤22の明度が台紙領域20a側と非台紙領域20b側で異なる。結果、半透明錠剤22の輪郭を検出しようとすると、誤検出を起こすことがある。そこで、薬包体20の透過画像より半透明錠剤22の輪郭を検出する上で、薬包体20の透過画像を台紙領域20aと非台紙領域20bに分け、台紙領域20aより半透明錠剤22の輪郭を検出する台紙領域閾値と非台紙領域20bより半透明錠剤22の輪郭を検出する非台紙領域閾値の二つの閾値を用いて、半透明錠剤22の輪郭を検出する。
このように、画像処理部12が半透明錠剤22の輪郭を検出すための二つの閾値を用いることで、半透明錠剤22が台紙領域20aと非台紙領域20bに存在していたとしても、半透明錠剤22を1つの錠剤として検出することができる。
なお、画像処理部12は、エッジ抽出を行なった際に、最も長い線と次に長い線を台紙領域20aの境界線として認識し、その2本の線の間を台紙領域20aとして識別する。台紙領域20aは目立つように広い範囲で形成されるため、最も長い線と次に長い線を検出することで、台紙領域20aを容易に識別することができる。
次に、上述した錠剤検査装置を用いて行なう錠剤検査方法について説明する。
図5は、本実施例にかかる錠剤検査装置を用いた錠剤検査方法を示すフローチャートである。
まず、錠剤検査装置は、平行光変換部32からの平行光を集光部33で撮像部11に集光させ、その平行光を半透明錠剤22を含む薬包体20に照射して、外周部の明度が低い半透明錠剤22を含む透過画像を取得する(ステップS01)。ここで透過画像は、不透明錠剤21の画像と半透明錠剤22の画像を含む。
次に、錠剤検査装置は、透過画像より半透明錠剤22の検出を行なう。半透明錠剤22の検出のための閾値を算出するために、錠剤検査装置は、薬包体20の透過画像に、Canny法によるエッジ抽出処理を施す。エッジ抽出処理により得られたエッジ画像からhaugh変換により直線を抽出する。直線抽出により得られた直線のうち、台紙領域20aの長手方向に伸びる最も長い2本の直線を組みにし、その内部を台紙領域20aとして抽出する。台紙領域20aと台紙領域20a以外の画素の最頻値を比較し、その比率によりステップS03のエッジ抽出のための閾値を算出する(ステップS02)。不透明錠剤21及び半透明錠剤22の輪郭を明瞭とするために、錠剤検査装置は、薬包体20の透過画像に、Canny法によるエッジ抽出及び極値による細線化を施す(ステップS03)。ステップS03でエッジ抽出が施されたエッジ抽出画像から、半透明錠剤22を、サンプル画像とのパターンマッチングにより検出する。詳細には、輪郭のみのサンプル画像を、処方箋に記された半透明錠剤22の大きさより画像処理部12で作成し、そのサンプル画像と薬包体20の透過画像のエッジ画像とをパターンマッチングし、透過画像中から半透明錠剤22を検出する。そして、この検出された半透明錠剤22の個数を、半透明錠剤22の個数として算出する(ステップS04)。ステップS01からステップS04により、薬包体20に包まれた半透明錠剤22の個数を正確に算出することができる。
次に、錠剤検査装置は不透明錠剤21の検出を行なう。まず、薬包体20の透過画像より、半透明錠剤22を除去する(ステップS05)。続いて、半透明錠剤22を除去した透過画像に対して、2値化を施す(ステップS06)。そして、2値化が施された透過画像から、コーナー抽出によって不透明錠剤21の個数を算出する。2値化を施した薬包体20の透過画像には、不透明錠剤21が残るため、算出された錠剤数は不透明錠剤21の個数となる(ステップS07)。
次に、検出された半透明錠剤22の個数および不透明錠剤21の個数との和と、処方箋の錠剤数とを比較して、適切な錠剤数が薬包体20にあるか否を判定する(ステップS08)。ステップS04で算出された半透明錠剤22の個数とステップS07で算出された不透明錠剤21の個数との和が適切な錠剤数であるか否かを判定することで錠剤数のチェックを行なう。ステップS01からステップS08により、薬包体20に包まれた錠剤の総数を算出する。
このようにして、錠剤検査装置は、半透明錠剤22の透過度に関係なく半透明錠剤22の検査を行なうことができる。
なお、上述した錠剤検査装置では、薬包体20に光を照射するために、発光部31と平行光変換部32と集光部33とを組み合わせて照明部30を形成している。ただし、これは一例であって、例えば透明板をフレネルレンズとすることで、集光部33としてもよい。また、平行光変換部32はルーバーフィルム以外にも、ハニカムボードを使用してもよい。また、平行光変換部32を用いず、薬包体20から1m以上離れて発光部31から平行光を照らす構成でもよい。
なお、透過画像からパターンマッチングによって半透明錠剤22を検出しようとすると、外周部の形状が似た不透明錠剤21と半透明錠剤22とがある場合に、不透明錠剤21を半透明錠剤22として検出してしまうこともある。そこで、正確に半透明錠剤22を検出することができるように、画像処理部12は、透過画像において検出された錠剤の中心部に明度の高い画素があるものを半透明錠剤22として検出するのが望ましい。
本実施例における錠剤検査装置を用いると、半透明錠剤22には、必ず中心部に明度の高い画素が存在する。そのために、不透明錠剤21の形状と半透明錠剤22のサンプル画像の形状とが同じであったとしても、錠剤の中心部に明度の高い画素が存在しなければ、錠剤検査装置は、錠剤を不透明錠剤21として判定し、錠剤の中心部に明度の高い画素が存在すると半透明錠剤22として判定してもよい。
このようにすることで、不透明錠剤21と半透明錠剤22とを区別して検出することができる。
本発明の錠剤検査装置および錠剤検査方法は、調剤作業を行わなければならない薬局や病院施設等で有用である。
11 撮像部
12 画像処理部
13 載置台
14 表示部
15 ガイド部
16 透明板
20 薬包体
20a 台紙領域
20b 非台紙領域
21 不透明錠剤
22 半透明錠剤
30 照明部
31 発光部
32 平行光変換部
33 集光部
40 ドーム照明部

Claims (4)

  1. 少なくとも半透明錠剤が封入された薬包体に光を照射する照明部と、
    照射された前記薬包体の透過画像を取得する撮像部と、
    前記透過画像を用いて、中心部よりも外周部の明度が低い錠剤を前記半透明錠剤として検出する画像処理部とを備え、
    前記照明部は、発光部を有し、前記発光部と前記薬包体との間に、前記光を前記撮像部に集光する集光部を設けたことを特徴とする錠剤検査装置。
  2. 前記発光部では拡散光を発光し、前記発光部と前記集光部との間に、前記拡散光を平行光に変換する平行光変換部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
  3. 前記集光部を、凸レンズ又はフレネルレンズとしたことを特徴とする請求項2に記載の錠剤検査装置。
  4. 前記薬包体と前記撮像部との間にドーム照明部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の錠剤検査装置。
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