JP6378919B2 - 圧着端子の電線に対する接続構造 - Google Patents
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図9〜図11に、特許文献1に記載された、従来の圧着端子の電線に対する接続構造の一例を示す。なお、図中の方向については、端子の長手方向(電線の長手方向と一致)の一方側である相手側端子に向かう向きを前方、その反対方向を後方、圧着端子に対して電線を載せる側を上方、その反対方向を下方、前方に向かって端子の幅方向の一方側及び他方側を左側及び右側とする。
(1) 導体と、前記導体を覆う被覆と、を有する電線と、
相手側端子に電気的に接続されるための電気接続部が前部に形成され、前記電線の端末部に圧着される電線接続部が後部に形成された圧着端子と、
を備え、
前記電線接続部は、前記電線の端末部の被覆が除去されて導体が露出した導体露出部に圧着される導体圧着部と、前記電線の端末部に残された被覆の一部に圧着される被覆圧着部と、を有し、前記導体圧着部が前側に、前記被覆圧着部が後側に形成され、該導体圧着部の前端から該被覆圧着部の後端まで連続する断面U字状に形成され、
前記電線の端末部に圧着された状態の前記電線接続部が、前記導体露出部の前端よりも前方側から前記被覆の一部の前端よりも後方側までを覆う、
前記圧着端子の前記電線に対する接続構造であって、
前記電線接続部の内面に配置された、前記導体露出部に対応する位置に開口部を有する止水シートをさらに備え、
前記止水シートは、該止水シートの前端が前記導体圧着部の前端よりも前側に位置し、該止水シートの後端が前記被覆圧着部の後端よりも後側に位置し、
前記電線の端末部に圧着された状態の前記電線接続部は、前記止水シートに形成された前記開口部を通して、前記導体圧着部と前記導体露出部とが電気的に接続されると共に、前記導体圧着部と前記導体露出部との接続部分の前後が前記止水シートによって塞がれ、前記電線接続部の一対の加締片が前記電線の端末部を包み込むように内側に丸めて加締められた際に前記導体圧着部の前方に生じる略円筒形状の箇所が、同時に丸められて圧縮された前記止水シートの前端部によって塞がれていること。
(2) 上記(1)の構成の圧着端子の電線に対する接続構造であって、
前記止水シートが、基材シートの表面に設けられた接着層によって前記電線接続部の内面に貼り付けられていること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の圧着端子の電線に対する接続構造であって、
前記止水シートにおける前記電線に接する面には、接着層が設けられていること。
これにより、圧着端子が電線の導体に対して異種金属で構成された場合にも、異種金属間に電解液が供給されなくなる。そこで、銅や銅合金製の導体圧着部に圧着した例えばアルミニウムやアルミニウム合金製の電線に生じようとするガルバニック腐食が抑制される。
また、電線接続部の一対の加締片を、電線の端末部を包み込むように内側に丸めて加締めるだけで、止水シートによって導体露出部の前方を塞ぐことができる。このため、加締め工程後に更に、導体露出部の前方に生じる開口を塞ぐための潰し工程を追加する必要がない。その工程が無くなる分、工数や加工費の削減が図れる。また、電線に圧着した後の状態において、電線接続部の前端と後端とから止水シートがはみ出すので、止水シートの組み付けの有無や組み付け状態の異常などを外から見て即座に確認することができる。このため、止水性能の保証の判断を容易に下すことができる。
上記(2)の構成の圧着端子の電線に対する接続構造によれば、止水シートが接着層を介して電線接続部の内面に貼り付けられているので、圧着時に止水シートがずれるおそれがなく、止水信頼性が高まる。
上記(3)の構成の圧着端子の電線に対する接続構造によれば、圧着時に電線がずれるおそれがなく、圧着品質の向上が図れる。
図1は、本発明の第1実施形態の圧着端子の電線に対する接続構造を説明する説明図であって、圧着端子の電線接続部に止水シートを配置する様子を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の圧着端子の電線に対する接続構造を説明する説明図であって、図1の次の工程として、圧着端子の電線接続部に止水シートの上から電線の端末部を配置する様子を示す斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態の圧着端子の電線に対する接続構造を説明する説明図であって、圧着端子の電線接続部に止水シートの上から電線の端末部を配置するに際し、導体露出部をどの位置に配置するかを示す斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態の圧着端子の電線の対する接続構造の外観斜視図である。
まず、図1及び図2に示すように、圧着端子10の断面U字状に形成された電線接続部20の内面に、導体露出部Wapに対応する位置に開口部34を有した止水シート30を配置する。
本第1実施形態に係る止水シート30は、後述する第3実施形態に係る止水シート40(図7参照)と同様に、基材シートの両面に接着層が設けられた両面粘着シートである。そして、使用前の止水シート30の各接着層には、剥離層を介して剥離シートが設けられている。
そこで、止水シート30は、該止水シート30の一方の面における剥離シートを剥がして露出させた接着層によって、電線接続部20の内面に貼り付けられる。
これにより、圧着端子10が電線Wの導体Waに対して異種金属で構成された場合にも、異種金属間に電解液が供給されなくなる。そこで、銅や銅合金製の導体圧着部21に圧着したアルミニウムやアルミニウム合金製の導体Waに生じようとするガルバニック腐食が抑制される。
また、止水シート30の電線Wに接する面にも接着層を設けたので、圧着時に電線Wがずれるおそれをなくすことができ、圧着品質の向上を図ることができる。
さらに詳しくは、止水シート30の一方の面に接着層を設けてその一方の面と電線接続部20の内面とを貼り付けるとともに、止水シート30の他方の面にも接着層を設けてその他方の面と電線Wの被覆Wbと接着することにより、次の効果を奏する。
電線Wの端末部に圧着端子10が圧着される前の状況において、止水シート30の一方の面の接着層によって電線接続部20に対して配置された止水シート30が移動し難くなり、止水シート30の他方の面の接着層によって止水シート30に対して配置された電線Wが移動し難くなる。このように電線接続部20、止水シート30及び電線Wの配置位置が安定的に固定されていることにより、これらの部材の位置ずれに伴う圧着時の接続不良を防ぐことができる。
また、高温環境下では、電線Wが長手方向に伸長して該電線Wの断面が細くなることが起き得る。止水シートに接着層が設けられていない場合には、該電線の断面が細くなることによって、止水シートと被覆との間に隙間が形成される虞がある。しかし、止水シート30の両面に接着層が設けられている場合には、圧着端子10が圧着された電線Wの端末部において電線Wが細くなろうとしても、止水シート30が電線Wの変形に追従して変形する。このため、電線接続部20と止水シート30との間及び止水シート30と被覆Wbとの間に隙間が形成されることを防ぐことができる。こうして、電線接続部20と止水シート30との間または止水シート30と被覆Wbとの間を通して圧着端子10の内部に水が浸入することが防がれるため、止水性能の向上が図られる。
また、圧着端子10は、加締められた電線接続部20の加締片26、27が時間の経過とともに加締片26、27の保持力が弱まる向きに僅かながら開くことが起き得る。止水シートに接着層が設けられていない場合には、加締片が開くことによって、電線接続部と止水シートとの間に隙間が形成される虞がある。しかし、止水シート30の両面に接着層が設けられている場合には、加締められた電線接続部20の加締片26、27が開こうとしても、被覆Wbに接合された止水シート30が加締片26、27の変形に抗する応力を加締片26、27に与える。このため、電線接続部20と止水シート30との間及び止水シート30と被覆Wbとの間に隙間が形成されることを防ぐことができる。こうして、電線接続部20と止水シート30との間または止水シート30と被覆Wbとの間を通して圧着端子10の内部に水が浸入することが防がれるため、止水性能の向上が図られる。
尚、本発明は、止水シート30の両面に接着層を設けるものに限られない。止水シート30の上述した一方の面及び他方の面のいずれか1つに接着層を設けるものであってもよい。止水シート30のいずれか1つの面に接着層を設ける構成であっても、圧着時の接続不良の防止、及び止水性能の向上という効果を奏する。更に、上述した止水シート30のように基材シートに接着層を設けた粘着シートに限らず、ブチルシートや、基材シートの一方の面に接着剤が塗布された止水シートを電線接続部20の内面に貼り付けることもできる。
なお、本第2実施形態の圧着端子10Aの電線Wに対する接続構造は、上述した第1実施形態に係る止水シート30に代えて止水シート30Aを用いたものであるので、その他の構成部材については同符号を付して詳細な説明を省略する。
止水シート30Aは、開口部34よりも前側の位置に電線接続部20の幅方向に延在する前側シート部31Aを有し、開口部34よりも後側の位置に電線接続部20の幅方向に延在する後側シート部33Aを有し、開口部34の側方の位置に前側シート部31Aと後側シート部33Aを繋ぐ側方シート部32Aを有している。この止水シート30Aは、第1実施形態に係る止水シート30よりも短い長さ(端子の軸方向長さ)で形成されている。
そこで、止水シート30Aは、該止水シート30Aの一方の面における剥離シートを剥がして露出させた接着層によって、電線接続部20の内面に貼り付けられる。
そしてその状態で、電線接続部20を電線Wの端末部に対して圧着する。つまり、図示しない圧着装置によって左右の加締片26、27を電線Wの端末部を包み込むように順番に内側に曲げて加締め、一方の加締片26の端部の上に他方の加締片27の端部を重ねる。
従って、止水シート30Aは、電線Wに圧着した後の状態において、電線接続部20の前端20aと後端20bとから前端30aと後端30bがはみ出すことができれば、電線接続部20の内面に配置された状態では、電線接続部20の前端20aと後端20bとから止水シート30Aの前端30aと後端30bがはみ出さない大きさとすることができ、止水シート30よりも小さくできる。その結果、止水シート30Aを形成する際の歩留まりを高めることができる。
なお、本第3実施形態の圧着端子10Bの電線Wに対する接続構造は、上述した第2実施形態に係る止水シート30Aに代えて止水シート40を用いたものであるので、その他の構成部材については同符号を付して詳細な説明を省略する。
止水シート40は、開口部44よりも前側の位置に電線接続部20Aの幅方向に延在する前側シート部41を有し、開口部44よりも後側の位置に電線接続部20Aの幅方向に延在する後側シート部43を有し、開口部44の側方の位置に前側シート部41と後側シート部43を繋ぐ側方シート部42を有している。更に、止水シート40の前端40aには、略矩形状の膨出部45が突出して形成されている。
そこで、止水シート40は、図7の(c)に示すように、該止水シート40の一方の面における剥離シート60を剥がして露出させた接着層54によって、電線接続部20の内面に貼り付けられる。本実施形態の両面粘着シート51は、図6に示したように、長尺の剥離シート58,60の間に複数の止水シート40が配置されており、止水シート40を連続して各圧着端子10Bの電線接続部20Aの内面に貼り付けることができる。
そしてその状態で、電線接続部20Aを電線Wの端末部に対して圧着する。つまり、図示しない圧着装置によって左右の加締片26A、27Aを電線Wの端末部を包み込むように順番に内側に曲げて加締め、一方の加締片26Aの端部の上に他方の加締片27Aの端部を重ねる。
従って、開口部44の開口面積を拡大すると共に止水シート40の接着面積を増大することで、圧着端子10Bの電気的性能を向上させると共に止水シート40の固着力を増大させることができる。
従って、本第3実施形態に係る止水シート40は、膨出部45を有しない上記第2実施形態に係る止水シート30Aの前側シート部31Aよりも接着面積が増大している。そこで、シート加工時に止水シート40を打ち抜いた残り部分を剥がす際に、特に後側シート部43よりも接着面積が小さい前側シート部41が残り部分と一緒に剥がれてしまうことを防止できる。
また、止水シート40の一方の面における剥離シート60を剥がして露出させた接着層54を電線接続部20の内面に貼り付け、剥離シート58を剥がす際に、前側シート部41が剥離シート58と一緒に剥がれてしまうことも防止できる。
[1] 導体(Wa)と、前記導体(Wa)を覆う被覆(Wb)と、を有する電線(W)と、
相手側端子に電気的に接続されるための電気接続部(11)が前部に形成され、前記電線(W)の端末部に圧着される電線接続部(20)が後部に形成された圧着端子(10)と、
を備え、
前記電線接続部(20)は、前記電線(W)の端末部の被覆(Wb)が除去されて導体(Wa)が露出した導体露出部(Wap)に圧着される導体圧着部(21)と、前記電線(W)の端末部に残された被覆(Wb)の一部に圧着される被覆圧着部(22)と、を有し、前記導体圧着部(21)が前側に、前記被覆圧着部(22)が後側に形成され、該導体圧着部(21)の前端から該被覆圧着部(22)の後端まで連続する断面U字状に形成され、
前記電線(W)の端末部に圧着された状態の電線接続部(20)が、前記導体露出部(Wap)の前端(Wap1)よりも前方側から前記被覆(Wb)の一部の前端(Wb1)よりも後方側までを覆う、
前記圧着端子(10)の前記電線(W)に対する接続構造であって、
前記電線接続部(20)の内面に配置された、前記導体露出部(Wap)に対応する位置に開口部(34)を有する止水シート(30)をさらに備え、
前記止水シート(30)は、該止水シート(30)の前端(30a)が前記導体圧着部(21)の前端(20a)よりも前側に位置し、該止水シート(30)の後端(30b)が前記被覆圧着部(22)の後端(20b)よりも後側に位置し、
前記電線(W)の端末部に圧着された状態の前記電線接続部(20)は、前記止水シート(30)に形成された前記開口部(34)を通して、前記導体圧着部(21)と前記導体露出部(Wap)とが電気的に接続されると共に、前記導体圧着部(21)と前記導体露出部(Wap)との接続部分の前後が前記止水シート(30)によって塞がれることを特徴とする圧着端子(10)の電線(W)に対する接続構造。
[2] 前記止水シート(30)が、基材シート(52)の表面に設けられた接着層(54)によって電線接続部(20)の内面に貼り付けられていることを特徴とする[1]に記載の圧着端子(10)の電線(W)に対する接続構造。
[3] 前記止水シート(30)における前記電線(W)に接する面には、接着層(54)が設けられていることを特徴とする[1]または[2]に記載の圧着端子(10)の電線(W)に対する接続構造。
11 電気接続部
20 電線接続部
20a 前端
20b 後端
21 導体圧着部
22 被覆圧着部
25 底板部
26,27 加締片
30 止水シート
30a 前端
30b 後端
34 開口部
W 電線
Wa 導体
Wap 導体露出部
Wb 被覆
Claims (3)
- 導体と、前記導体を覆う被覆と、を有する電線と、
相手側端子に電気的に接続されるための電気接続部が前部に形成され、前記電線の端末部に圧着される電線接続部が後部に形成された圧着端子と、
を備え、
前記電線接続部は、前記電線の端末部の被覆が除去されて導体が露出した導体露出部に圧着される導体圧着部と、前記電線の端末部に残された被覆の一部に圧着される被覆圧着部と、を有し、前記導体圧着部が前側に、前記被覆圧着部が後側に形成され、該導体圧着部の前端から該被覆圧着部の後端まで連続する断面U字状に形成され、
前記電線の端末部に圧着された状態の前記電線接続部が、前記導体露出部の前端よりも前方側から前記被覆の一部の前端よりも後方側までを覆う、
前記圧着端子の前記電線に対する接続構造であって、
前記電線接続部の内面に配置された、前記導体露出部に対応する位置に開口部を有する止水シートをさらに備え、
前記止水シートは、該止水シートの前端が前記導体圧着部の前端よりも前側に位置し、該止水シートの後端が前記被覆圧着部の後端よりも後側に位置し、
前記電線の端末部に圧着された状態の前記電線接続部は、前記止水シートに形成された前記開口部を通して、前記導体圧着部と前記導体露出部とが電気的に接続されると共に、前記導体圧着部と前記導体露出部との接続部分の前後が前記止水シートによって塞がれ、前記電線接続部の一対の加締片が前記電線の端末部を包み込むように内側に丸めて加締められた際に前記導体圧着部の前方に生じる略円筒形状の箇所が、同時に丸められて圧縮された前記止水シートの前端部によって塞がれていることを特徴とする圧着端子の電線に対する接続構造。 - 前記止水シートが、基材シートの表面に設けられた接着層によって前記電線接続部の内面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧着端子の電線に対する接続構造。
- 前記止水シートにおける前記電線に接する面には、接着層が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧着端子の電線に対する接続構造。
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