JP6378018B2 - 車両の駆動力配分装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の駆動力配分装置に関する。特に、本発明は、差動制限機構を備えた駆動力配分装置に関する。
車両には、フロントデフやリヤデフ、センターデフ等、エンジンから出力される駆動力を、左右あるいは前後の駆動輪間に配分する駆動力配分装置が備えられている。かかる車両の駆動力配分装置には、差動制限装置(リミテッドスリップデフ)が組み込まれている。差動制限装置は、ぬかるみや凍結路面等の路面摩擦係数の小さい路面で駆動輪の一方が空転したり、車両の旋回時に駆動輪の一方が浮いたりした場合に、駆動トルクを他方の駆動輪に伝達して、走行性能の低下を防止する機能を有する。
例えば、特許文献1及び2には、従来の差動制限装置が開示されている。特許文献1に開示された差動制限装置は、遊星歯車式の駆動力配分装置におけるリングギヤ、サンギヤ及びピニオンギヤがヘリカルギヤからなり、それらの噛み合いに伴ってピニオンギヤにスラスト力を発生可能な装置である。かかる差動制限装置は、各ピニオンギヤの軸方向いずれか一方の端面が、キャリアの径方向に沿う壁部の内面にすべり接触することにより、差動制限力としての摩擦力を発生する。
また、特許文献2に開示された差動制限装置は、遊星歯車式の駆動力配分装置に設けられたビスカスカップリングからなる装置である。かかるビスカスカップリングは、複数のプレート間にシリコンオイルが充填されて形成され、各プレートとシリコンオイルとの剪断摩擦によって、プラネタリギヤユニットによる差動を制限する。
特開2011−241903号公報 特開平10−239217号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示された差動制限装置は、構造が複雑であり、駆動力配分装置が大型化するおそれがあった。そのため、車両への搭載性が低下したり、生産コストが増加する場合があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡易な構成からなる差動制限機構を有し、小型化が可能な、車両の駆動力配分装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、リングギヤに噛合する複数のプラネタリギヤと、前記複数のプラネタリギヤを回転可能に支持し前記第1の出力軸の外周に固定されて前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能なキャリアと、前記複数のプラネタリギヤに噛合し前記第2の出力軸の外周に固定されて前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能なサンギヤと、を備えた遊星歯車式の駆動力配分装置において、前記キャリアの第1の面と、前記サンギヤの第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備える、車両の駆動力配分装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、リングギヤに噛合する複数のプラネタリギヤと、前記複数のプラネタリギヤを回転可能に支持し前記第1の出力軸の外周に固定されて前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能なキャリアと、前記複数のプラネタリギヤに噛合し前記第2の出力軸の外周に固定されて前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能なサンギヤと、少なくとも前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、を備えた遊星歯車式の駆動力配分装置において、前記キャリアの第1の面と、前記ケースの第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備える、車両の駆動力配分装置が提供される。
前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、前記キャリアの面及び前記ケースの面からなる一対の対向面は、前記軸線の延在方向に対して交差する方向に形成された面であってもよい。
前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、前記キャリアの面及び前記ケースの面からなる一対の対向面は、前記軸線の延在方向に沿って形成された面であってもよい。
前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、前記複数の永久磁石が、前記ケース、前記キャリア又は前記サンギヤの径方向外周側の領域に備えられてもよい。
前記第1の出力軸の外周に設けられ、前記第1の面を有する第1の回転部材と、前記第2の出力軸の外周に設けられ、前記第2の面を有する第2の回転部材と、を備え、前記第1の面又は前記第2の面に前記複数の永久磁石が配置されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能な第1の面と、前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能な第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備え、前記複数の永久磁石は、互いに対向する前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸の端面のうちのいずれか一方の面に配置される、車両の駆動力配分装置が提供される。
前記複数の永久磁石は前記軸線を中心とした円周上に所定間隔で配置されてもよい
以上説明したように本発明によれば、駆動力が分配される第1の出力軸及び第2の出力軸それぞれの回転に合わせて回転可能な一対の対向面のいずれか一方の面に設けられた複数の永久磁石により渦電流が生じ、差動制限力が付与される。このように、本発明の駆動力配分装置は、簡易な構成の差動制限機構を有しており、装置を小型化することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる車両の駆動力配分装置を示す断面図である。 図2は、永久磁石を備えるキャリアの正面図である。 図3は、発生する渦電流及び差動制限力を示す説明図である。 図4は、出力軸の回転速度差と発生する差動制限力との関係を示す説明図である。 図5は、永久磁石の別の配置例を示す断面図である。 図6は、永久磁石のさらに別の配置例を示す断面図である。 図7は、永久磁石のさらに別の配置例を示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.駆動力配分装置の全体構成例>
図1は、本実施形態にかかる車両の駆動力配分装置100の構成の一例を示す断面図である。図1では、駆動力が分配される第1の出力軸60及び第2の出力軸70の軸線を含む断面が示されている。
本実施形態にかかる車両の駆動力配分装置100は、互いに接合されて一体化され、図示しないハウジング内に軸回転可能に支持されたデフケース12,14と、遊星歯車組110によって駆動力を第1の出力軸60及び第2の出力軸70に配分する差動機構とを備える。デフケース12,14には、内周面に歯面50bを有するリングギヤ50がボルト18により締結されている。かかるリングギヤ50の外周面にはクラウンギヤ50aが一体化して設けられている。
かかるクラウンギヤ50aには、エンジンから出力される駆動力を伝達する駆動軸に結合されたドライブピニオンギヤ等が噛合し、エンジンの駆動力がリングギヤ50に伝達可能になっている。リングギヤ50はボルト18によりデフケース12,14に固定されているため、リングギヤ50の回転に伴って、デフケース12,14も一体となって回転する。デフケース12の回転軸部分には、第2の出力軸70が摺動可能に挿入されている。また、デフケース14の回転軸部分には、第1の出力軸60が摺動可能に挿入されている。
遊星歯車組110からなる差動機構は、リングギヤ50に伝達された駆動力を第1の出力軸60と第2の出力軸70とに分配する。遊星歯車組110は、リングギヤ50と、プラネタリギヤ30a,30b・・・と、プラネタリキャリア20と、サンギヤ40とを備える。
複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・は、それぞれプラネタリキャリア20に固定された回転軸部32a,32b・・・によって回転可能に支持され、リングギヤ50に噛合する。サンギヤ40は、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・の内側で、当該複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・とそれぞれ噛合する。
プラネタリキャリア20の回転軸部分には、第1の出力軸60の端部が、例えばスプライン嵌合により結合されている。また、サンギヤ40の回転軸部分には、第2の出力軸70の端部が、例えばスプライン嵌合により結合されている。第1の出力軸60及び第2の出力軸70は同一軸線上に配置されている。
リングギヤ50、プラネタリキャリア20、プラネタリギヤ30a,30b・・・及びサンギヤ40は、例えば、合金鋼等の金属材料により構成することができる。また、デフケース12,14は、例えば鋳鉄等により構成することができる。
駆動力配分装置100がセンターデフとして使用される場合には、例えば、第1の出力軸60が前輪駆動軸に駆動力を伝達し、第2の出力軸70が後輪駆動軸に駆動力を伝達する。また、駆動力配分装置100がフロントデフあるいはリヤデフとして使用される場合には、例えば、第1の出力軸60が右側の駆動輪に駆動力を伝達し、第2の出力軸70が左側の駆動輪に駆動力を伝達する。以下、駆動力配分装置100がフロントデフあるいはリヤデフとして使用される場合を例に採って説明する。
デフケース14とプラネタリキャリア20、デフケース12とサンギヤ40、及び、デフケース12とプラネタリギヤ30a,30b・・・の回転軸部32a,32b・・・は、それぞれスラスト軸受等の摺接部材80a,80b,80cにより互いに位置決めされて支持されている。
これらのデフケース12,14、リングギヤ50、プラネタリキャリア20、サンギヤ40、第1の出力軸60及び第2の出力軸70は、すべて同一軸心を中心に軸回転可能になっている。また、デフケース14とプラネタリキャリア20、デフケース14とサンギヤ40、及び、プラネタリキャリア20とサンギヤ40は、それぞれ相対回転可能になっている。
かかる駆動力配分装置100は、リングギヤ50の回転を、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・を介して、サンギヤ40に同方向の回転として伝達する。また、プラネタリキャリア20には、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・の公転が伝達され、プラネタリキャリア20も同方向に回転する。
駆動力配分装置100がフロントデフあるいはリヤデフとして使用される場合、以下のように動作する。車両の直進時には、駆動軸のドライブピニオンギヤ及びクラウンギヤ50aを介してリングギヤ50に伝達される駆動力は、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・を介して、プラネタリキャリア20とサンギヤ40とに均等に分配される。したがって、第1の出力軸60及び第2の出力軸70は、同一の回転数で回転する。
また、車両の旋回時には、リングギヤ50から駆動力が伝達されると、左右の駆動輪がそれぞれ路面から受ける反力の違い等により、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・が自転する。これにより、旋回の外側の駆動輪が連結された出力軸が、旋回の内側の駆動輪が連結された出力軸よりも多く回転する。そのため、第1の出力軸60と第2の出力軸70との回転数差が発生する。
<2.差動制限機構>
かかる構成の駆動力配分装置100において、例えば、左右の駆動輪のうち、第2の出力軸70に連結された一方の駆動輪が側溝等に脱輪して空転状態になったとする。この場合、当該駆動輪が路面から受ける抵抗が減少し、第2の出力軸70の反力が小さくなることで、第1の出力軸60と第2の出力軸70との反力のバランスが崩れる。これにより、複数のプラネタリギヤ30a,30b・・・が自転する。
その結果、第2の出力軸70に連結されたサンギヤ40の回転速度が上昇する一方、第1の出力軸60に連結されたプラネタリキャリア20の回転速度は減速する。このようにして、第1の出力軸60に伝達される駆動力は第2の出力軸70側に逃げてしまう。その結果、車両は走行が不能になって、側溝等から抜け出せなくなる。
そのため、第1の出力軸60と第2の出力軸70との回転速度差Δωが過大にならないように、駆動力配分装置100には、回転速度差Δωを抑制する差動制限機構が設けられている。差動制限機構は、第1の出力軸60の回転に合わせて回転可能な第1の面S1と、第2の出力軸70の回転に合わせて回転可能な第2の面S2とからなる一対の対向面S1,S2のうちのいずれか一方の面に、回転速度差Δωに応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石90を配置することにより構成される。かかる一対の対向面S1,S2は、第1の出力軸60の回転速度と第2の出力軸70の回転速度との回転速度差Δωを生じ得る対向面である。
本実施形態にかかる駆動力配分装置100では、互いに対向するプラネタリキャリア(第1の回転部材に相当)20の面(第1の面に相当)S1及びサンギヤ(第2の回転部材に相当)40の面(第2の面に相当)S2のうちのプラネタリキャリア20の面S1に複数の永久磁石90が接合固定されている。上述のように、プラネタリキャリア20とサンギヤ40とは相対回転可能であり、一対の対向面S1,S2は回転速度差Δωを生じ得る対向面である。複数の永久磁石90は、対向する面S2側にN極及びS極が交互に位置するように、軸心を中心とした円周上に配置されている。永久磁石90は、接着剤による接着、焼嵌め等の従来公知の接合方法によりプラネタリキャリア20に接合固定されている。
図2は、複数の永久磁石90が接合固定されたプラネタリキャリア20の面S1を示す正面図である。図2に示すように、表面がN極の磁石90Nと、表面がS極の磁石90Sとが、円周上に交互に配置されている。そのため、第1の出力軸60と第2の出力軸70との間に回転速度差Δωが生じた場合に、サンギヤ40との間で、複数の永久磁石90の磁界の変化による渦電流が発生する。かかる渦電流は、回転速度が上昇しているサンギヤ40の回転に対する抵抗力である差動制限力を付与する。
図3は、相対回転により発生する渦電流と差動制限力とを示す説明図である。例えば、第2の出力軸70に連結された駆動輪が脱輪する等してサンギヤ40の回転速度が上昇する一方、プラネタリキャリア20の回転速度が減少して、矢印Aの方向に相対回転が生じたとする。そのため、複数の永久磁石90N,90Sの磁界の変化によって渦電流Eが発生するとともに、かかる渦電流Eは矢印Bの方向の差動制限力をサンギヤ40に付与する。
これにより、サンギヤ40の回転速度が抑えられ、プラネタリキャリア20とサンギヤ40との間で生じている回転速度差、すなわち、第1の出力軸60と第2の出力軸70との回転速度差Δωが減少する。その結果、駆動力が第1の出力軸60側にも伝達される。
図4は、回転速度差Δωと、発生する差動制限力との関係を示す説明図である。図4に示すように、回転速度差Δωが大きくなるにしたがって、発生する差動制限力は略比例的に大きくなる。例えば、第2の出力軸70に連結された駆動輪が脱輪等した場合に、エンジンの駆動力が大きくなるほど回転速度差Δωが大きくなって、第1の出力軸60に伝達される駆動力は大きくなる。したがって、脱輪していない駆動輪によって、車両の走行が可能となる。
また、第1の出力軸60及び第2の出力軸70のそれぞれの回転数が同じ場合であっても、永久磁石90が、プラネタリキャリア20の面S1の径方向外側に位置するほど、回転速度差Δωは大きくなる。したがって、差動制限力を大きく作用させたい場合には、永久磁石90が、サンギヤ40に対向するプラネタリキャリア20の面S1の径方向外側の領域に備えられるとよい。
さらに、図4に示すように、回転速度差Δωが同じ場合であっても、永久磁石90の磁力が大きいほど、サンギヤ40に付与される差動制限力は大きくなる。したがって、発生させたい差動制限力に応じて適切な磁力の永久磁石90を用いてもよい。例えば、直進安定性を高くしたい場合等、差動制限力を作用させやすくしたい場合には、磁力の大きい永久磁石90を用いるようにするとよい。また、脱輪時等の走行不能状態を回避することを主たる目的とする場合には、比較的磁力の小さい永久磁石90であってよい。それぞれの永久磁石90の大きさや、永久磁石90と対向面S2との距離を変更することにより、発生させる差動制限力を調節するようにしてもよい。
複数の永久磁石90は、一対の対向面S1,S2のいずれか一方の面に配置されていればよく、図1の駆動力配分装置100の例では、プラネタリキャリア20に対向するサンギヤ40の面S2に複数の永久磁石90が備えられてもよい。サンギヤ40の面S2に複数の永久磁石90が備えられていても、図3に示すように差動制限力が発生する。
このように構成された差動制限機構は、遊星歯車式の駆動力配分装置に対して複数の永久磁石90を追加的に設けるだけで構成される。渦電流による発熱も生じる場合があるが、ハウジング内に満たされたオイル等による従来の冷却構造を変更することなく、発熱領域の冷却が可能である。したがって、簡易な構成の差動制限機構を備えた駆動力配分装置100が得られ、駆動力配分装置100の大型化を防ぐことができる。
<3.永久磁石の配置例>
次に、図5〜図7を参照して、複数の永久磁石の配置位置の変形例について説明する。以下の説明においても、左右の駆動輪に駆動力を分配するフロントデフあるいはリヤデフを例に採って説明する。
(3−1.変形例1)
図5は、変形例1にかかる駆動力配分装置100Aの構成例を示す断面図である。変形例1にかかる駆動力配分装置100Aは、互いに対向するプラネタリキャリア(第1の回転部材に相当)20の面(第1の面に相当)S1及びデフケース(第2の回転部材に相当)14の面(第2の面に相当)S2のうちの一方の面S2に複数の永久磁石92が配置された例である。かかる駆動力配分装置100Aでは、それぞれ軸線の延在方向に対して交差する方向に形成された一対の対向面である、プラネタリキャリア20の面S1及びデフケース14の面S2のうちのデフケース14の面S2に、複数の永久磁石92が配置されている。
例えば、変形例1にかかる駆動力配分装置100Aにおいて、第1の出力軸60に連結された駆動輪が脱輪する等して、第1の出力軸60の抵抗力が著しく小さくなったとする。この場合、サンギヤ40の回転速度が減少する一方、プラネタリキャリア20の回転速度が上昇する。これにより、プラネタリキャリア20の回転速度がデフケース14の回転速度よりも大きくなって、回転速度差Δω’が生じる。そうすると、複数の永久磁石92の磁界の変化によって渦電流Eが発生し、プラネタリキャリア20の回転に対して抵抗力が付与される。その結果、プラネタリキャリア20の回転速度が抑えられるとともに、プラネタリキャリア20とサンギヤ40との間の回転速度差も減少し、サンギヤ40を介して第2の出力軸70にも駆動力が伝達される。
一方、変形例1にかかる駆動力配分装置100Aにおいて、第2の出力軸70に連結された駆動輪が脱輪する等して、第2の出力軸70の抵抗力が著しく小さくなったとする。この場合、プラネタリキャリア20の回転速度が減少する一方、サンギヤ40の回転速度が上昇する。これにより、プラネタリキャリア20の回転速度がデフケース14の回転速度よりも小さくなって、回転速度差Δω’が生じる。そうすると、複数の永久磁石92の磁界の変化によって渦電流Eが発生し、デフケース14の回転に対して抵抗力が付与されるが、デフケース14はエンジンの駆動軸にギヤを介して連結されているために、かかる抵抗力はプラネタリキャリア20を連れ回す力となる。その結果、プラネタリキャリア20の回転速度が上昇するとともに、プラネタリキャリア20とサンギヤ40との間の回転速度差も減少し、第1の出力軸60にも駆動力が伝達される。
このように構成された変形例1にかかる駆動力配分装置100Aも、簡易な構成の差動制限機構によって、車両の走行不能状態を回避することができる。また、簡易な構成の差動制限機構を備えることにより、駆動力配分装置100Aの大型化を防ぐことができる。なお、図5に示す例では、デフケース14の面S2に永久磁石92が備えられているが、当該デフケース14の面S2に対向するプラネタリキャリア20の面S1に永久磁石92が備えられていてもよい。
(3−2.変形例2)
図6は、変形例2にかかる駆動力配分装置100Bの構成を示す断面図である。変形例2にかかる駆動力配分装置100Bも、互いに対向するプラネタリキャリア20の面S1及びデフケース14の面S2のうちの一方の面S2に複数の永久磁石94が配置された例である。ただし、駆動力配分装置100Bでは、それぞれ軸線の延在方向に沿って形成された一対の対向面である、プラネタリキャリア20の外周面S1及びデフケース14の内周面S2のうちのデフケース14の内周面S2に複数の永久磁石94が配置されている。
永久磁石94が、かかる一対の対向面S1,S2のうちのいずれか一方の面に備えられていても、変形例1と同様の作用によって、第1の出力軸60と第2の出力軸70との間の回転速度差Δωが抑えられて、車両の走行不能状態が回避される。特に、変形例2にかかる駆動力配分装置100Bは、永久磁石94の配置位置が、軸心から離れた径方向外側に位置している。かかる位置は、デフケース14とプラネタリキャリア20との回転速度差が大きくなりやすいため、比較的大きな渦電流Eを発生させて、差動制限力を確実に付与することができる。
なお、変形例2にかかる駆動力配分装置100Bにおいても、プラネタリキャリア20の外周面S1及びデフケース14の内周面S2のうちのプラネタリキャリア20の外周面S1に永久磁石94が備えられていてもよい。
(3−3.変形例3)
図7は、変形例3にかかる駆動力配分装置100Cの構成を示す断面図である。変形例3にかかる駆動力配分装置100Cは、互いに対向する第1の出力軸60の端面(第1の面に相当)S1及び第2の出力軸70の端面(第2の面に相当)S2のうちの一方の端面S2に複数の永久磁石96が配置された例である。かかる駆動力配分装置100Cでは、第1の出力軸60の端面S1及び第2の出力軸70の端面S2のうちの第2の出力軸70の端面S2に、複数の永久磁石96が配置されている。
例えば、変形例3にかかる駆動力配分装置100Cにおいて、第1の出力軸60に連結された駆動輪が脱輪する等して、第1の出力軸60の抵抗力が著しく小さくなったとする。この場合、第2の出力軸70の回転速度が減少する一方、第1の出力軸60の回転速度が上昇し、回転速度差Δωが生じる。そうすると、複数の永久磁石96の磁界の変化によって渦電流Eが発生し、第1の出力軸60の回転に対して抵抗力が付与される。
その結果、第1の出力軸60の回転速度が抑えられるとともに、第1の出力軸60と第2の出力軸70との間の回転速度差Δωも減少し、第2の出力軸70にも駆動力が伝達される。第2の出力軸70に連結された駆動輪が脱輪する等して、第2の出力軸70の抵抗力が著しく小さくなった場合においても、同様の作用によって回転速度差Δωが減少し、第1の出力軸60にも駆動力が伝達される。
このように構成された変形例3にかかる駆動力配分装置100Cも、簡易な構成の差動制限機構によって、車両の走行不能状態を回避することができる。また、簡易な構成の差動制限機構を備えることにより、駆動力配分装置100Cの大型化を防ぐことができる。なお、図7に示す例では、第2の出力軸70の端面S2に永久磁石96が備えられているが、第1の出力軸60の端面S1に永久磁石96が備えられていてもよい。
ただし、第2の出力軸70の端面S2に永久磁石96を配置する場合、かかる配置位置は軸心に近い位置であり、回転速度差Δωが大きくなりにくい。したがって、変形例3にかかる駆動力配分装置100Cに使用する永久磁石96は、比較的磁力の大きい永久磁石96とすることが好ましい。
<4.まとめ>
以上説明したように本実施形態によれば、遊星歯車式の駆動力配分装置における、第1の出力軸60と第2の出力軸70との間の回転速度差Δωに起因する回転速度差を生じ得る一対の対向面S1,S2のいずれか一方の面に永久磁石を配置するのみで、簡易な構成の差動制限機構が構成される。そのため、駆動力配分装置の大型化を防ぐとともに、生産コストを抑えることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、デフケース12の外周に設けられたクラウンギヤ50aに対して入力されるエンジンの駆動力が、プラネタリキャリア20に連結された第1の出力軸60とサンギヤ40に連結された第2の出力軸70とに分配されていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、サンギヤに対して、ギヤ等を介してエンジンの駆動力が入力されるとともに、遊星歯車組によって、プラネタリキャリアに連結された第1の出力軸と、デフケースに連結された第2の出力軸とに駆動力が分配されるように構成してもよい。かかる構成の駆動力配分装置においても、上記実施形態あるいは変形例で例示したように永久磁石を配置することによって、簡易な構成の差動制限機構を有する駆動力配分装置とすることができる。
12,14 デフケース
20 プラネタリキャリア
30a,30b 複数のプラネタリギヤ
40 サンギヤ
50 リングギヤ
50a クラウンギヤ
50b 歯面
60 第1の出力軸
70 第2の出力軸
80a,80b,80c 摺接部材
90,92,94,96 永久磁石
90N 永久磁石(N極)
90S 永久磁石(S極)
100,100A,100B,100C 車両の駆動力配分装置
110 遊星歯車組
E 渦電流
S1 面(第1の面)
S2 面(第2の面)

Claims (8)

  1. 入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、
    リングギヤに噛合する複数のプラネタリギヤと、
    前記複数のプラネタリギヤを回転可能に支持し前記第1の出力軸の外周に固定されて前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能なキャリアと、
    前記複数のプラネタリギヤに噛合し前記第2の出力軸の外周に固定されて前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能なサンギヤと、
    を備えた遊星歯車式の駆動力配分装置において、
    前記キャリアの第1の面と、前記サンギヤの第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備える、車両の駆動力配分装置。
  2. 入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、
    リングギヤに噛合する複数のプラネタリギヤと、
    前記複数のプラネタリギヤを回転可能に支持し前記第1の出力軸の外周に固定されて前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能なキャリアと、
    前記複数のプラネタリギヤに噛合し前記第2の出力軸の外周に固定されて前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能なサンギヤと、
    少なくとも前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、
    を備えた遊星歯車式の駆動力配分装置において、
    前記キャリアの第1の面と、前記ケースの第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備える、車両の駆動力配分装置。
  3. 前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、
    前記キャリアの面及び前記ケースの面からなる一対の対向面は、前記軸線の延在方向に対して交差する方向に形成された面である、請求項に記載の車両の駆動力配分装置。
  4. 前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、
    前記キャリアの面及び前記ケースの面からなる一対の対向面は、前記軸線の延在方向に沿って形成された面である、請求項に記載の車両の駆動力配分装置。
  5. 前記リングギヤは、前記プラネタリギヤ、前記キャリア及び前記サンギヤが収容されるケースに固定され、
    前記複数の永久磁石が、前記ケース、前記キャリア又は前記サンギヤの径方向外周側の領域に備えられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の駆動力配分装置。
  6. 前記第1の出力軸の外周に設けられ、前記第1の面を有する第1の回転部材と、
    前記第2の出力軸の外周に設けられ、前記第2の面を有する第2の回転部材と、を備え、
    前記第1の面又は前記第2の面に前記複数の永久磁石が配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の駆動力配分装置。
  7. 入力軸から入力される駆動力を、同一の軸線上に設けられた第1の出力軸及び第2の出力軸に分配する車両の駆動力配分装置であって、
    前記第1の出力軸の回転に合わせて回転可能な第1の面と、前記第2の出力軸の回転に合わせて回転可能な第2の面と、からなる一対の対向面であって、前記第1の出力軸の回転速度と前記第2の出力軸の回転速度との速度差を生じ得る対向面のうちのいずれか一方の面に、前記速度差に応じて渦電流を生成可能な複数の永久磁石を備え、
    前記複数の永久磁石は、互いに対向する前記第1の出力軸及び前記第2の出力軸の端面のうちのいずれか一方の面に配置される、車両の駆動力配分装置。
  8. 前記複数の永久磁石は前記軸線を中心とした円周上に所定間隔で配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の駆動力配分装置。
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