JP6168523B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、往復運動するコネクティングロッドおよびワンウェイクラッチを介して入力軸から出力軸に駆動力を伝達するクランク式の無段変速機を備える車両用動力伝達装置に関する。
エンジンに接続された入力軸と一体に回転する偏心ディスクにコネクティングロッドの大端部を接続するとともに、コネクティングロッドの小端部をワンウェイクラッチを介して出力軸に接続し、偏心ディスクの偏心回転により発生するコネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチによって出力軸の一方向の回転運動に変換する車両用動力伝達装置が、下記特許文献1により公知である。
DE102009039993
ところで、上記従来の車両用動力伝達装置は、入力軸に設けた偏心ディスクの外周面にボールベアリングのインナーレースを圧入し、このボールベアリングのアウターレースにコネクティングロッドの大端部の内周面を圧入している。コネクティングロッドは大端部および小端部を連結する連結部を有するため、コネクティングロッドの大端部の剛性は円周方向に一定にはならず、連結部に接続する部分の剛性が局部的に高くなる。そのため、ボールベアリングのアウターレースにコネクティングロッドの大端部を圧入したとき、大端部の剛性が高い部分に接するアウターレースは大きい圧入反力を受け、大端部の剛性が低い部分に接するアウターレースは小さい圧入反力を受けることになり、この圧入反力の差によりボールベアリングが歪んで真円度が低下してしまい、ボールベアリングのフリクションが増加したり耐久性が低下したりする問題がある。
これを回避するには、コネクティングロッドの大端部の肉厚を全体的に増加させて剛性を高めれば良いが、このようにするとコネクティングロッドの重量や寸法が増加する問題がある。そこで、コネクティングロッドの連結部に貫通孔を形成し、コネクティングロッドの大端部の肉厚を連結部に臨む部分とその他の部分とで均一化すれば、重量の増加を回避しながらボールベアリングの真円度を高めることができる。
しかしながら、上述のように構成しても、コネクティングロッドの大端部は、貫通孔の周方向両端の2カ所で連結部に接続されるため、その2カ所の剛性が局部的に高くなってボールベアリングのアウターレースが大きい圧入反力を受け、ボールベアリングの真円度が依然として損なわれる可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両用動力伝達装置のコネクティングロッドの重量増加を最小限に抑えながら、そのコネクティングロッドの大端部に圧入されるベアリングの真円度を確保することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸と、前記入力軸と平行に配置された出力軸と、前記出力軸に揺動可能に支持された揺動リンクと、前記出力軸および前記揺動リンク間に配置され、該揺動リンクが一方向に揺動したときに係合して他方向に揺動したときに係合解除するワンウェイクラッチと、前記入力軸と一体に偏心回転する偏心ディスクと、前記偏心ディスクの偏心量を変更する変速アクチュエータと、前記偏心ディスクおよび前記揺動リンクを接続するコネクティングロッドとを備える車両用動力伝達装置であって、前記コネクティングロッドは、前記偏心ディスクの外周面に設けたベアリングに圧入される環状の大端部と、前記揺動リンクに接続される小端部と、前記大端部および前記小端部を連結する連結部とを備え、前記連結部には軸方向両表面に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の前記大端部に臨む内縁部を構成する円弧の中心は、前記大端部の外周面の中心に対して前記小端部側に偏心しており、前記内縁部の径方向肉厚は該内縁部の周方向中央で大きく周方向両端で小さいことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記連結部の外縁部は前記大端部の外周面に接線状に連なることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態のボールベアリング20は本発明のベアリングに対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、駆動源に接続された入力軸が回転すると、入力軸と一体に偏心回転する偏心ディスクに大端部を接続されたコネクティングロッドが往復運動し、コネクティングロッドの小端部に接続された揺動リンクが往復揺動する。揺動リンクが一方向に揺動するとワンウェイクラッチが係合し、揺動リンクが他方向に揺動するとワンウェイクラッチが係合解除するため、コネクティングロッドの往復運動が出力軸の一方向回転運動に変換される。変速アクチュエータで偏心ディスクの偏心量を変更すると、コネクティングロッドの往復運動のストロークが変化して揺動リンクの揺動角が変化するため、入力軸の回転が変速されて出力軸に伝達される。
コネクティングロッドは、偏心ディスクの外周面に設けたベアリングに圧入される環状の大端部と、揺動リンクに接続される小端部と、大端部および小端部を連結する連結部とを備えるので、コネクティングロッドの大端部の剛性が連結部に接続する部分で局部的に高くなり、コネクティングロッドの大端部をベアリングに圧入したときに、圧入反力の不均衡によりベアリングが撓んで真円度が低下する可能性がある。
しかしながら、コネクティングロッドの連結部には軸方向両表面に貫通する貫通孔が形成され、貫通孔の大端部に臨む内縁部を構成する円弧の中心は、大端部の外周面の中心に対して小端部側に偏心しており、内縁部の径方向肉厚は該内縁部の周方向中央で大きく周方向両端で小さいので、大端部が内縁部の周方向両端で連結部に接続して剛性が高まる2カ所の近傍で内縁部の径方向肉厚を減少させて剛性を低下させることで、大端部の剛性が円周方向に急変するのを防止して圧入反力を円周方向に緩やかに変化させ、ベアリングの真円度を高めることができる。しかも大端部の全体を肉厚にしてベアリングの真円度を高める場合に比べて、コネクティングロッドの重量や寸法の増加を最小限に抑えることができる。
また請求項2の構成によれば、連結部の外縁部は大端部の外周面に接線状に連なるので、大端部および連結部が接続する部分におけるコネクティングロッドの径方向肉厚の変化を最小限に抑え、ベアリングが大端部から受ける圧入反力を円周方向に更に均一化してベアリングの真円度を一層高めることができる。
車両用動力伝達装置のスケルトン図。 図1の2部詳細図。 図2の3−3線断面図(OD状態)。 図2の3−3線断面図(GN状態)。 OD状態での作用説明図。 GN状態での作用説明図。 実施の形態のコネクティングロッドの形状を示す図。 実施の形態のボールベアリングの荷重分布を示すグラフ。 比較例のコネクティングロッドの形状を示す図。 比較例のボールベアリングの荷重分布を示すグラフ。
以下、図1〜図10に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、エンジンEの駆動力を左右の車軸10,10を介して駆動輪W,Wに伝達する車両用動力伝達装置は、クランク式の無段変速機TおよびディファレンシャルギヤDを備える。
次に、図2〜図6に基づいて無段変速機Tの構造を説明する。
図2および図3に示すように、本実施の形態の無段変速機Tは同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の動力伝達ユニットU…を軸方向に重ね合わせたもので、それらの動力伝達ユニットU…は平行に配置された共通の入力軸11および共通の出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて出力軸12に伝達される。
以下、代表として一つの動力伝達ユニットUの構造を説明する。エンジンEに接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。
コネクティングロッド19は、大端部19aと、小端部19bと、大端部19aおよび小端部19bを連結する連結部19cとを備える。大端部19aは偏心ディスク18の外周にボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合し、小端部19bは出力軸12の外周に揺動可能支持された揺動リンク13にピン26を介して枢支される。
出力軸12および揺動リンク13間に配置されたワンウェイクラッチ21は、揺動リンク13の内周面に圧入された環状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22とインナー部材23との間に形成された楔状の空間に配置されてエンゲージスプリング24…で付勢されたローラ25…とを備える。
図2から明らかなように、4個の動力伝達ユニットU…はクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の動力伝達ユニットUで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の動力伝達ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の動力伝達ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の動力伝達ユニットU,Uの偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
図1〜図6ではコネクティングロッド19の形状が模式的に示されているが、コネクティングロッド19の実際の形状を図7に基づいて詳細に説明する。
実施の形態のコネクティングロッド19の大端部19aは、半径Raの内周面Paと、Raよりも大きい半径Rbの外周面Pbとを備えており、内周面Paの中心Oaに対して外周面Pbの中心Obは距離aだけ小端部19b側に偏倚している。従って、大端部19aの径方向肉厚は円周方向に不均一であり、小端部19bから遠い側で肉厚が小さくなり、小端部19bに近い側で肉厚が大きくなる。
三角形状の連結部19cの中央には、コネクティングロッド19の軸方向両面に貫通する三角形状の貫通孔19dが形成されており、貫通孔19dが大端部19aに臨む内縁部Eaは、外周面Pbの中心Obから小端部19b側に更に距離bだけ偏倚した点を中心Ocとする半径Rcの円弧で構成される。貫通孔19dの内縁部Eaの半径Rcは、大端部19aの外周面Pbの半径Rbよりも小さく設定されている。その結果、貫通孔19dに臨む内縁部Eaの径方向肉厚tは、内縁部Eaの周方向中央で大きくなり、周方向両端で小さくなる。
連結部19cは、小端部19b側から大端部19a側に向けて相互に拡開しながら延びる2つの外縁部Eb,Ebを備えており、外縁部Eb,Ebは大端部19aの外周面Pbに接線状に接続している。
一方、図9には比較例のコネクティングロッド19が示される。比較例のコネクティングロッド19は、貫通孔19dが大端部19aに臨む内縁部Eaが、大端部19aの外周面Pbと中心Obを共有する半径Rc′の円弧で構成されており、貫通孔19dの内縁部Eaの半径Rc′は、大端部19aの外周面Pbの半径Rbよりも距離cだけ小さく設定されている。その結果、貫通孔19dに臨む内縁部Eaの径方向肉厚は周方向の全域で一定になる。
厳密に言うと、図9の比較例は、内周面Paの中心Oaに対して外周面Pbの中心Obが距離aだけ小端部19b側に偏倚しているため、大端部19aの径方向肉厚は円周方向に不均一であり、小端部19bから遠い側で肉厚が小さくなり、小端部19bに近い側で肉厚が大きくなる。よって、貫通孔19dに臨む内縁部Eaの径方向肉厚tは、該内縁部Eaの周方向中央で僅かに大きく、周方向両端で僅かに小さくなるが、その差は無視できるほど僅かである。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
先ず、無段変速機Tの一つの動力伝達ユニットUの作用を説明する。変速アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3および図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって無段変速機Tのレシオは最小のOD状態になる。図4および図6は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最小になって無段変速機Tのレシオは無限大のGN(ギヤドニュートラル)状態になる。
図5に示すOD状態で、エンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(A)から図5(B)を経て図5(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周に大端部19aをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、その小端部19bにピン26で枢支された揺動リンク13を反時計方向(矢印B参照)に揺動させる。図5(A)および図5(C)は、揺動リンク13の前記矢印B方向の揺動の両端を示している。
このようにして揺動リンク13が矢印B方向に揺動すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25…が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して出力軸12に伝達されるため、出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(C)から図5(D)を経て図5(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周に大端部19aをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、その小端部19bにピン26で枢支された揺動リンク13を時計方向(矢印B′参照)に揺動させる。図5(C)および図5(A)は、揺動リンク13の前記矢印B′方向の揺動の両端を示している。
このようにして揺動リンク13が矢印B′方向に揺動すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25…がエンゲージスプリング24…を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして出力軸12は回転しない。
以上のように、揺動リンク13が往復揺動したとき、揺動リンク13の揺動方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、出力軸12は間欠回転することになる。
図6は、GN状態で無段変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる。この状態でエンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のOD状態と図4のGN状態との間に設定すれば、無限大レシオおよび所定レシオ間の任意のレシオでの運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の動力伝達ユニットU…の偏心ディスク18…の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の動力伝達ユニットU…が交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21…の何れかが必ず係合状態にあることで、出力軸12を連続回転させることができる。
ところで、コネクティングロッド19の大端部19aの内周面Paにボールベアリング20の外周面を圧入するとき、ボールベアリング20は大端部19aの内周面Paから径方向内向きの圧入反力を受けて変形する。このとき、径方向内向きの圧入反力が円周方向に均一であれば、圧入後のボールベアリング20の真円度が確保されるが、実際には大端部19aの剛性は円周方向に不均一であり、大端部19aおよび連結部19cが接続する部分の近傍で剛性が局部的に高まるため、圧入荷重でボールベアリング20が歪んで真円度が低下する問題がある。
図10は、図9に示す比較例のボールベアリング20のボールが受ける荷重分布を示すグラフであり、その横軸は、ボールベアリング20の小端部19bから最も遠い側をθ=0゜とし、そこから反時計方向に測った円周方向位置を示している。0°≦θ<90°の範囲および270°<θ≦360°の範囲では荷重がゼロであり、90°≦θ≦270°の範囲で荷重が発生するが、θ=135゜の近傍およびθ=225°の近傍の二つの位置でピーク荷重が発生している。
その理由は、コネクティングロッド19に加わる圧縮荷重は大端部19aから連結部19cの2つの外縁部Eb,Ebを通って小端部19bに伝達されるが、外縁部Eb,Ebの付け根部分(つまりθ=135゜の近傍およびθ=225°の近傍)で大端部19aの剛性が局部的に高くなり、その部分に二山のピーク荷重が発生するからである。よって、二山のピーク荷重を低減することができれば、ボールベアリング20の真円度を向上させて耐久性を更に高めることができる。
図8は、図7に示す実施の形態のボールベアリング20の荷重分布を示すグラフであり、図10に示す比較例の二山のピーク荷重が概ね消失し、前記ピーク荷重よりも小さいフラットな荷重分布になっていることが分かる。
その理由は、貫通孔19dが大端部19aに臨む内縁部Eaが、外周面Pbの中心Obから小端部19b側に更に距離bだけ偏倚した点を中心Ocとする半径Rcの円弧で構成されるので、貫通孔19dに臨む内縁部Eaの径方向肉厚tが、内縁部Eaの周方向両端で周方向中央に比べて明確に小さくなり、コネクティングロッド19の外縁部Eb,Ebが大端部19aに連続する付け根部分の剛性が局部的に低くなることで、二山のピーク荷重が消滅するのである。
以上のように、本実施の形態によれば、コネクティングロッド19の重量増加を最小限に抑えながら大端部19aの剛性を円周方向に均一化し、大端部19aを支持するボールベアリング20の荷重を円周方向に均一化することで、フリクションの低下および耐久性の向上を図ることができる。
また連結部19cは、小端部19b側から大端部19a側に向けて相互に拡開しながら延びる2つの外縁部Eb,Ebを備えており、外縁部Eb,Ebは大端部19aの外周面Pbに接線状に接続するので、外縁部Eb,Ebの付け根部分で大端部19aの径方向肉厚が急変するのを防止することができ、それによりボールベアリング20の真円度を更に改善することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では大端部19aの内周面Paの中心Oaが大端部19aの外周面Pbの中心Obに対して偏心しているが、両中心Oa,Obは一致していても良い。
また本発明のベアリングは実施の形態のボールベアリング20に限定されず、ニードルベアリング、ローラベアリング、プレーンベアリング等の任意のベアリングであっても良い。
また本発明の駆動源は実施の形態のエンジンEに限定されず、モータ・ジェネレータ等の任意の駆動源であっても良い。
11 入力軸
12 出力軸
13 揺動リンク
14 変速アクチュエータ
18 偏心ディスク
19 コネクティングロッド
19a 大端部
19b 小端部
19c 連結部
19d 貫通孔
20 ボールベアリング(ベアリング)
21 ワンウェイクラッチ
E エンジン(駆動源)
Ea 貫通孔の大端部に臨む内縁部
Eb 連結部の外縁部
Ob 大端部の外周面の中心
Oc 貫通孔の大端部に臨む内縁部を構成する円弧の中心
Pb 大端部の外周面

Claims (2)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(11)と、
    前記入力軸(11)と平行に配置された出力軸(12)と、
    前記出力軸(12)に揺動可能に支持された揺動リンク(13)と、
    前記出力軸(12)および前記揺動リンク(13)間に配置され、該揺動リンク(13)が一方向に揺動したときに係合して他方向に揺動したときに係合解除するワンウェイクラッチ(21)と、
    前記入力軸(11)と一体に偏心回転する偏心ディスク(18)と、
    前記偏心ディスク(18)の偏心量を変更する変速アクチュエータ(14)と、
    前記偏心ディスク(18)および前記揺動リンク(13)を接続するコネクティングロッド(19)とを備える車両用動力伝達装置であって、
    前記コネクティングロッド(19)は、前記偏心ディスク(18)の外周面に設けたベアリング(20)に圧入される環状の大端部(19a)と、前記揺動リンク(13)に接続される小端部(19b)と、前記大端部(19a)および前記小端部(19b)を連結する連結部(19c)とを備え、
    前記連結部(19c)には軸方向両表面に貫通する貫通孔(19d)が形成され、前記貫通孔(19d)の前記大端部(19a)に臨む内縁部(Ea)を構成する円弧の中心(Oc)は、前記大端部(19a)の外周面(Pb)の中心(Ob)に対して前記小端部(19b)側に偏心しており、前記内縁部(Ea)の径方向肉厚は該内縁部(Ea)の周方向中央で大きく周方向両端で小さいことを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記連結部(19c)の外縁部(Eb)は前記大端部(19a)の外周面(Pb)に接線状に連なることを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
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