JP6213840B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クランク式の無段変速機構よりなる複数の動力伝達ユニットを軸方向に並置した車両用動力伝達装置に関する。
かかるクランク式の動力伝達ユニットを備えた車両用動力伝達装置において、出力軸の駆動力出力部に近い位置にあるワンウェイクラッチと、出力軸の駆動力出力部から遠い位置にあるワンウェイクラッチとで伝達トルクが異なるのを補償するために、ワンウェイクラッチのインナー部材の傾斜面の傾斜角、つまりワンウェイクラッチのストラット角を出力軸の駆動力出力部からの距離に応じて異ならせたものが、下記特許文献1により公知である。
特開2014−9793号公報
しかしながら、上記従来のものは、各ワンウェイクラッチ毎にインナー部材の外周面の傾斜角が異なっており、傾斜角が小さい外周面ほどローラとの間に大きな荷重が作用するため、各ワンウェイクラッチ毎にインナー部材の外周面の寿命が不均一になるという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の動力伝達ユニットを複数個並置した車両用動力伝達装置において、各ワンウェイクラッチのインナー部材の外周面の寿命を均一化することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の動力伝達ユニットを軸方向に並置し、前記動力伝達ユニットは、前記入力軸の軸線からの偏心量が可変であって該入力軸と共に回転する入力側支点と、前記出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、前記ワンウェイクラッチのアウター部材に設けられた出力側支点と、前記入力側支点および前記出力側支点に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッドと、前記出力軸に設けられて該出力軸の駆動力を駆動輪に出力する駆動力出力部とを備え、前記ワンウェイクラッチは、前記アウター部材と、前記出力軸と一体に回転するインナー部材と、前記アウター部材の内周面および前記インナー部材の外周面間に形成された複数の楔状空間にそれぞれ配置された複数のローラとを備え、前記インナー部材に対する前記アウター部材の一方向の相対回転により前記ローラが前記楔状空間に係合して駆動力を伝達する車両用動力伝達装置であって、前記インナー部材の前記外周面は、前記楔状空間に前記ローラが係合する直前の基準位置と、前記楔状空間に前記ローラが完全に係合する係合完了位置と、前記基準位置および前記係合完了位置の間の係合中間領域とを備え、前記基準位置における前記外周面の第1曲率半径および前記係合完了位置における前記外周面の第2曲率半径に対して、前記係合中間領域における前記外周面の第3曲率半径を大きく設定するとともに、前記外周面が前記第3曲率半径から前記第2曲率半径に移行する移行点の位置を、前記駆動力出力部からの距離が小さい前記ワンウェイクラッチほど前記係合完了位置側にずらしたことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態の偏心ディスク18は本発明の入力側支点に対応し、実施の形態のピン19cは本発明の出力側支点に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、入力軸と共に入力側支点が偏心回転すると、コネクティングロッドを介してワンウェイクラッチのアウター部材が往復揺動し、アウター部材が一方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合し、アウター部材が他方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合解除することで、出力軸が一方向に回転する。入力側支点の偏心量を変更するとコネクティングロッドの往復移動のストロークが変化し、それに伴ってアウター部材の往復揺動のストロークが変化することで変速比が変更される。
インナー部材の外周面は、楔状空間にローラが係合する直前の基準位置と、楔状空間にローラが完全に係合する係合完了位置と、基準位置および係合完了位置の間の係合中間領域とを備え、基準位置における外周面の第1曲率半径および係合完了位置における外周面の第2曲率半径に対して、係合中間領域における外周面の第3曲率半径を大きく設定するので、中負荷高サイクルの荷重が作用するために耐久性が低下する係合中間領域近傍の外周面の曲率半径を大きくして耐久性を高め、外周面全体の耐久性を均一化することができる。
また駆動力出力部からの距離が小さいワンウェイクラッチほどアウター部材の揺動角が大きくなって中負荷高サイクルの荷重が作用する領域が広くなるが、インナー部材の外周面が第3曲率半径から第2曲率半径に移行する移行点の位置を、駆動力出力部からの距離が小さいワンウェイクラッチほど係合完了位置側にずらしたので、駆動力出力部からの距離が異なる全てのワンウェイクラッチについて耐久性を均一化することができる。
車両用動力伝達装置のスケルトン図。 図1の2部詳細図。 図2の3−3線断面図(OD状態)。 図2の3−3線断面図(GN状態)。 OD状態での作用説明図。 GN状態での作用説明図。 ワンウェイクラッチのローラの位置の定義を示す図。 駆動力出力部に近いワンウェイクラッチおよび駆動力出力部から遠いワンウェイクラッチの係合中間領域の差を示す図。 駆動力出力部からの距離に応じた出力軸の捩れ角の説明図。 インナー部材の外周面のSN線図。 駆動力出力部からの距離に応じたインナー部材の外周面におけるローラの通過頻度の差を示す図。 駆動力出力部からの距離に応じたインナー部材の外周面の曲率半径、面圧および伝達トルクを示す図。
以下、図1〜図12に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、エンジンEの駆動力を左右の車軸10,10を介して駆動輪W,Wに伝達する車両用動力伝達装置は、クランク式の無段変速機TおよびディファレンシャルギヤDを備える。本実施の形態の無段変速機Tは同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の動力伝達ユニットU…を軸方向に重ね合わせたもので、それらの動力伝達ユニットU…は平行に配置された共通の入力軸11および共通の出力軸12を備えており、入力軸11の回転が減速または増速されて出力軸12に伝達される。
次に、図2〜図6に基づいて無段変速機Tの構造を説明する。
先ず、代表として一つの動力伝達ユニットUの構造を説明する。エンジンEに接続されて回転する入力軸11は、電動モータのような変速アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。変速アクチュエータ14のロータ14bは回転軸14aに固定されており、ステータ14cはケーシングに固定される。変速アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
変速アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐように変速アクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15および第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
出力軸12の外周に設けられたワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aにピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22とインナー部材23との間に形成された楔状の空間に配置されてエンゲージスプリング24…で付勢されたローラ25…とを備える。尚、ワンウェイクラッチ21の具体的な構造は後から詳述する。
図2から明らかなように、4個の動力伝達ユニットU…はクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の動力伝達ユニットUで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の動力伝達ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の動力伝達ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目および4番目の動力伝達ユニットU,Uの偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
次に、図7〜図9に基づいて、本実施の形態のワンウェイクラッチ21の特徴を説明する。
ワンウェイクラッチ21のローラ25は、アウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間に形成された楔状空間26に周方向に移動可能に配置される。楔状空間26に配置されたローラ25の位置には、周方向両端のエンゲージポイントおよびダンピングポイントと、エンゲージポイントおよびダンピングポイント間のデイタムポイントとがある。
エンゲージポイント(係合完了位置)は、ローラ25がアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間に噛み込んでワンウェイクラッチ21が完全に係合する位置である。ダンピングポイントは、ワンウェイクラッチ21が係合解除してアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23a間から押し出されたローラ25がエンゲージスプリング24を圧縮して限界まで後退する位置である。デイタムポイント(係合直前位置)は、ワンウェイクラッチ21が非係合状態にあるときに、次の係合に備えてローラ25が待機する係合直前の位置である。更に、デイタムポイントおよびエンゲージポイント間に係合中間領域が設定される。
ストラット角とは、ローラ25がアウター部材22の内周面22aおよびインナー部材23の外周面23aに接する点をA,Bとし、ローラ25の中心をOとしたとき、∠OABあるいは∠OBAで定義される。ストラット角が大きいときに楔状空間26の楔角は大きくなり、アウター部材22あるいはインナー部材23とローラ25との接点に作用する法線荷重は小さくなる。またストラット角が小さいときに楔状空間26の楔角は小さくなり、アウター部材22あるいはインナー部材23とローラ25との接点に作用する法線荷重は大きくなる。
アウター部材22の内周面22aはワンウェイクラッチ21の中心と同じ中心を有する単純な円形であるが、インナー部材23の外周面23aにおける各々のローラ25が接する部分は曲率半径が異なる複数の円弧の組み合わせにより構成される。尚、外周面23aの所定点における曲率半径とは、外周面23aの所定点を通る法線上に中心を有して所定点に接する円の半径である。
図8は、インナー部材23の外周面23aの係合直前位置および係合完了位置間の形状を示すものであり、係合直前位置における曲率半径は第1曲率半径R1であり、係合完了位置における曲率半径は第2曲率半径R2であり、係合直前位置および係合完了位置間の係合中間領域における曲率半径は第3曲率半径R3である。第1曲率半径R1および第2曲率半径R2の大小関係は任意であるが、第3曲率半径R3>第1曲率半径R1、且つ第3曲率半径R3>第2曲率半径R2に設定されている。即ち、係合中間領域の第3曲率半径R3は、係合直前位置の第1曲率半径R1および係合完了位置の第2曲率半径R2の何れよりも大きく設定される。
図9に示すように、出力軸12の外周に複数個のワンウェイクラッチ21…が並置されている場合、出力軸12の図中右端をディファレンシャルギヤDに駆動力を出力する駆動力出力部12aとすると、ワンウェイクラッチ21…が係合してエンジンEの駆動力を駆動輪W,Wに伝達しているとき、駆動輪W,W側から逆伝達される負荷は出力軸12の駆動力出力部12aの回転を阻止するように作用する。各ワンウェイクラッチ21から入力するエンジンEのトルクで出力軸12は捩じり変形するが、その捩れ角は駆動力出力部12aに近い出力軸12の右端側で最小になり、駆動力出力部12aから遠い出力軸12の左端側で最大になる。その理由は、駆動力出力部12aから遠い出力軸12の左端側ほど、各ワンウェイクラッチ21から入力されるトルクによる捩じれが積算されるためである。
駆動力出力部12aから遠い出力軸12の左端側では出力軸12の捩れ角が最大になるため、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22の揺動角が一定であるとすると、出力軸12の捩れ角が大きい分だけ、ワンウェイクラッチ21が係合するときのアウター部材22およびインナー部材23の相対回転角が小さくなり、ワンウェイクラッチ21が伝達する伝達トルクが小さくなる。逆に 駆動力出力部12aに近い出力軸12の右端側では出力軸12の捩れ角が最小になるため、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22の揺動角が一定であるとすると、出力軸12の捩れ角が小さい分だけ、ワンウェイクラッチ21が係合するときのアウター部材22およびインナー部材23の相対回転角が大きくなり、ワンウェイクラッチ21が伝達する伝達トルクが大きくなる。
このように、駆動力出力部12aからの距離に応じてワンウェイクラッチ21の伝達トルクが異なることから、第3曲率半径R3を有する係合中間領域の広さが駆動力出力部12aからの距離に応じて変更される。図8(A)は駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21を示すもので、第3曲率半径R3を有する係合中間領域の終端(係合完了位置側の端部)が係合完了位置に寄っている。図8(B)は駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21を示すもので、第3曲率半径R3を有する係合中間領域の終端(係合完了位置側の端部)が係合完了位置から離れている。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
先ず、無段変速機Tの一つの動力伝達ユニットUの作用を説明する。変速アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15および2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3および図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量が最大になって無段変速機Tの変速比は最小のOD(オーバドライブ)状態になる。図4および図6は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量がゼロになって無段変速機Tの変速比は無限大のGN(ギヤドニュートラル)状態になる。
図5に示すOD状態で、エンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(A)から図5(B)を経て図5(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B参照)に回転させる。図5(A)および図5(C)は、アウター部材22の前記矢印B方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B方向に回転すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22およびインナー部材23間の楔状の空間にローラ25…が噛み込み、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して出力軸12に伝達されるため、出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11および第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15および第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5(C)から図5(D)を経て図5(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B′参照)に回転させる。図5(C)および図5(A)は、アウター部材22の前記矢印B′方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B′方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25…がエンゲージスプリング24…を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、出力軸12は間欠回転することになる。
図6は、GN状態で無段変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量はゼロになる。この状態でエンジンEで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度で変速アクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17および偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、出力軸12は回転しない。
従って、変速アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のOD状態と図4のGN状態との間に設定すれば、無限大変速比および最小変速比間の任意の変速比での運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の動力伝達ユニットU…の偏心ディスク18…の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の動力伝達ユニットU…が交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21…の何れかが必ず係合状態にあることで、出力軸12を連続回転させることができる。
次に、ワンウェイクラッチ21のインナー部材23の外周面23aの疲労寿命について説明する。ワンウェイクラッチ21が係合および係合解除を繰り返すと、ローラ25が繰り返し通過するインナー部材23の外周面23aが疲労する。外周面23aの疲労と、ローラ25および外周面23a間に作用する面圧との間には相関関係があり、所望の寿命を得ようとすると面圧の上限値が存在する。図10は、面圧および寿命の関係を示すSN線図であり、このSN線図から、高負荷低サイクル時のSNカーブと、中負荷高サイクル時のSNカーブとが存在することが分かる。
図10において鎖線で示す特性Aは、ワンウェイクラッチ21が所望の荷重伝達特性を持つようにインナー部材23の外周面23aの形状を設定した場合のものであり、特性Aのカーブは中負荷高サイクル時のSNカーブを超えてしまうため、その領域で必要な寿命が得られなかった。図10に点線で示す特性Bのラインは、上記問題を解消するためにインナー部材23の外周面23aの全域でストラット角を増加させて法線荷重(面圧)を減少させたものであり、中負荷高サイクル時のSNカーブを超えることが回避されるが、その代わりに高負荷低サイクル時のSNカーブとの間の間隔が広がりすぎてしまい、高負荷低サイクル時に面圧が無駄に低くなってワンウェイクラッチ21の動力伝達性能が低下する問題が発生する。
図10に実線で示す特性Cのカーブは本実施の形態のもので、特性Cのカーブは、特性Aのカーブが中負荷高サイクル時のSNカーブを超えてしまう領域(楕円で囲んだ領域)だけで面圧が低下している。これにより高負荷低サイクル時に面圧を無駄に低くすることなく、高負荷低サイクル時のSNカーブおよび中負荷高サイクル時のSNカーブの両方を全サイクル時に下回ることで、要求される寿命を確保することができる。
これを詳細に説明すると、インナー部材23の外周面23aのうち中負荷高サイクル時に疲労する部分は、係合直前位置と係合完了位置とに挟まれた領域、つまり外周面23aのうちの第3曲率半径R3を有する係合中間領域である。第3曲率半径R3の領域は第1曲率半径R1の領域および第2曲率半径R2の領域域に比べて曲率半径が大きいため、そことローラ25との間に発生するヘルツ面圧が低下する。その結果、図10の楕円で囲んで示す中負荷高サイクルの領域だけで、本実施の形態の特性Cのカーブを中負荷高サイクル時のSNカーブの下方に移動させることができる。
またインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向の相対回転角が大きくなるほど、ローラ25が楔状空間26に強く噛み込むため、インナー部材23の外周面23aに対するローラ25の通過頻度が高い領域が係合完了位置側に延長される。図11の横軸はインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向への相対回転角であり、DPは係合直前位置を示し、EPは係合完了位置を示している。係合直前位置および係合完了位置に挟まれた中負荷領域、つまり第3曲率半径R3の領域では、駆動力出力部12aに近いために相対回転角が大きいワンウェイクラッチ21の方が、駆動力出力部12aから遠いために相対回転角が小さいワンウェイクラッチ21よりも、ローラ25の通過頻度が高くなることが分かる。
図9で既に説明したように、出力軸12の捩れ角は駆動力出力部12aに近い右端側で最小になり、駆動力出力部12aから遠い左端側で最大になるため、各ワンウェイクラッチ21のアウター部材22の揺動角が同じであっても、出力軸12と一体のインナー部材23の揺動角が駆動力出力部12aからの距離に応じて異なることで、駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21のインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向への相対回転角は小さくなり、駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21のインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向への相対回転角は大きくなる。
言い換えると、駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21のインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向への相対回転角は小さいため、中負荷領域におけるローラ25の通過頻度が低くなり、また駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21のインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向への相対回転角は大きいため、中負荷領域におけるローラ25の通過頻度が高くなる。
本実施の形態では、駆動力出力部12aから遠いために中負荷領域におけるローラ25の通過頻度が低いワンウェイクラッチ21は、曲率半径が大きい第3曲率半径R3の領域を短くし(図8(B)参照)、駆動力出力部12aに近いために中負荷領域におけるローラ25の通過頻度が高いワンウェイクラッチ21は、曲率半径が大きい第3曲率半径R3の領域を長くすることで(図8(A)参照)、駆動力出力部12aからの距離が異なる全てのワンウェイクラッチ21のインナー部材23の外周面23aの寿命を均一化することができる。
図12は、駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21(伝達トルクが高いワンウェイクラッチ21)と、駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21(伝達トルクが低いワンウェイクラッチ21)との特性の違いを示すグラフである。尚、横軸は各グラフに共通のインナー部材23に対するアウター部材22の係合方向の相対回転角、つまりインナー部材23の外周面23aにおけるローラ25の位置である。
図12(A)はインナー部材23の外周面23aの曲率半径を示すもので、伝達トルクが大きい駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21の方が、曲率半径が大きい第3曲率半径R3の領域が長くなっている。
図12(B)はインナー部材23の外周面23aの面圧最大値を示すもので、伝達トルクが大きい駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21と、伝達トルクが小さい駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21とで、面圧最大値が均一化されていることが分かる。
図12(C)はワンウェイクラッチ21の伝達トルクを示すもので、伝達トルクが大きい駆動力出力部12aに近いワンウェイクラッチ21と、伝達トルクが小さい駆動力出力部12aから遠いワンウェイクラッチ21とで、伝達トルクが均一化されていることが分かる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態の無段変速機Tは4個の動力伝達ユニットU…を備えているが、動力伝達ユニットU…の数は4個に限定されるものではない。
また実施の形態の出力軸12は軸方向一端部に駆動力出力部12aを備えているが、軸方向中間部に駆動力出力部12aを備えていても良い。この場合、駆動力出力部12aの両側に位置する2個の動力伝達ユニットU,Uが駆動力出力部12aに近い動力伝達ユニットになり、軸方向両端部に位置する2個の動力伝達ユニットU,Uが駆動力出力部12aから遠い動力伝達ユニットになる。
11 入力軸
12 出力軸
12a 駆動力出力部
18 偏心ディスク(入力側支点)
19 コネクティングロッド
19c ピン(出力側支点)
21 ワンウェイクラッチ
22 アウター部材
22a 内周面
23 インナー部材
23a 外周面
25 ローラ
26 楔状空間
E エンジン(駆動源)
R1 第1曲率半径
R2 第2曲率半径
R3 第3曲率半径
U 動力伝達ユニット
W 駆動輪
ε 偏心量

Claims (1)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(11)の回転を変速して出力軸(12)に伝達する複数の動力伝達ユニット(U)を軸方向に並置し、
    前記動力伝達ユニット(U)は、
    前記入力軸(11)の軸線からの偏心量(ε)が可変であって該入力軸(11)と共に回転する入力側支点(18)と、
    前記出力軸(12)に接続されたワンウェイクラッチ(21)と、
    前記ワンウェイクラッチ(21)のアウター部材(22)に設けられた出力側支点(19c)と、
    前記入力側支点(18)および前記出力側支点(19c)に両端を接続されて往復運動するコネクティングロッド(19)と、
    前記出力軸(12)に設けられて該出力軸(12)の駆動力を駆動輪(W)に出力する駆動力出力部(12a)とを備え、
    前記ワンウェイクラッチ(21)は、前記アウター部材(22)と、前記出力軸(12)と一体に回転するインナー部材(23)と、前記アウター部材(22)の内周面(22a)および前記インナー部材(23)の外周面(23a)間に形成された複数の楔状空間(26)にそれぞれ配置された複数のローラ(25)とを備え、前記インナー部材(23)に対する前記アウター部材(22)の一方向の相対回転により前記ローラ(25)が前記楔状空間(26)に係合して駆動力を伝達する車両用動力伝達装置であって、
    前記インナー部材(23)の前記外周面(23a)は、前記楔状空間(26)に前記ローラ(25)が係合する直前の基準位置と、前記楔状空間(26)に前記ローラ(25)が完全に係合する係合完了位置と、前記基準位置および前記係合完了位置の間の係合中間領域とを備え、
    前記基準位置における前記外周面(23a)の第1曲率半径(R1)および前記係合完了位置における前記外周面(23a)の第2曲率半径(R2)に対して、前記係合中間領域における前記外周面(23a)の第3曲率半径(R3)を大きく設定するとともに、前記外周面(23a)が前記第3曲率半径(R3)から前記第2曲率半径(R2)に移行する移行点の位置を、前記駆動力出力部(12a)からの距離が小さい前記ワンウェイクラッチ(21)ほど前記係合完了位置側にずらしたことを特徴とする車両用動力伝達装置。
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