JP2016016789A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧入時の焼き付きに起因する組立不良の発生を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】電動パワーステアリング装置が電動モータの回転を減速してシャフト72に伝達するウォーム減速機15を備える。ウォーム減速機15はウォームシャフト20とウォームホイール30とリング部材40とを含む。ウォームホイール30は、環状歯部32と、環状歯部32を支持しシャフト72よりも軟らかい材料からなる環状支持体33とを含む。リング部材40は、環状支持体33の内周33bに部分的に塑性変形部34を形成するように圧入嵌合された外周40aと、シャフト72の外周72aが圧入嵌合された内周40bとを含み、シャフト72の硬さと同等の硬さを有する材料からなる。【選択図】図2

Description

本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
一般に、ウォーム減速機を介してモータトルクを伝達する電動パワーステアリング装置では、ウォームホイールとして、鉄材の芯金部の外周に、樹脂材製のギヤ部を一体化したものが用いられている。
近年、電動パワーステアリング装置の高出力化の要請に伴って、ウォームホイールが大型化する傾向にある。このため、芯金部が大型化し、芯金部の重量が重くなる。これにより、操舵時の慣性力が増加して、操舵フィーリングが低下するおそれがある。
そこで、ウォームホイールの芯金部として、鉄よりも比重の小さいアルミニウム等を用いる電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1では、鉄製のシャフトとアルミニウム製の芯金との間に、トルクリミッタ用の弾性力付与部材を介在させている。
一方、特許文献2には、ウォームホイールを、オーガ軸にスプライン嵌合したギヤ部と、ボス部との2部品で構成する動力伝達装置が提案されている。ボス部およびギヤ部は、ともに鉄系材料からなり、ボス部がギヤ部に圧入されていて、両者は、過大トルク負荷時に相対回転してトルクリミッタ機能を果たす。
特開2002−2509号公報 特開2001−271903号公報
仮に、組立時において、鉄製のシャフトの円筒面からなる外周と、鉄よりも軟らかい材料(例えばアルミニウム)製の芯金の円筒面からなる内周とを、周方向の全面で、圧入嵌合させる場合、圧入嵌合面に焼き付きを生じ、組立不良となるおそれがある。
これは、圧入時に、軟らかい材料の側の表層の塑性流動によって新生面が露出するために、硬い材料と軟らかい材料との間で金属接触が発生することが原因と考えられる。特に、硬い材料と軟らかい材料とが周方向の全面で圧入嵌合される場合には、塑性流動の逃げ場がなく、塑性流動による塑性変形部が圧入嵌合面に噛み込むことで金属接触を発生し易く、そのため、焼き付きを生じ易い。
本発明の目的は、圧入時の焼き付きに起因する組立不良の発生を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
請求項1の発明は、操舵力を伝達するシャフト(72)と、操舵補助用の電動モータ(14)と、前記電動モータの回転を減速して前記シャフトに伝達するウォーム減速機(15)と、を備え、前記ウォーム減速機は、前記電動モータにより回転駆動されるウォームシャフト(20)と、歯(31)が環状に配列された外周(32a)を有する環状歯部(32)と、前記環状歯部の内周(32b)を支持し前記シャフトよりも軟らかい材料からなる環状支持体(33)と、を有するウォームホイール(30)と、前記環状支持体の内周(33b)に部分的に塑性変形部を形成するように前記環状支持体の内周に圧入嵌合された外周(40a;50a,60a)と、前記シャフトの外周(72a)が圧入嵌合された内周(40b;50b,60b)と、を有し、前記シャフトの硬さと同等の硬さを有する材料からなるリング部材(40;50,60)と、を含む、電動パワーステアリング装置(1)を提供する。
請求項2のように、前記リング部材の内周と前記シャフトの外周とが、制限トルクを超えるトルクが入力されるときに互いの間に滑りを生じるトルクリミッタ(TL)を構成していてもよい。
請求項3のように、前記リング部材の線膨張係数と、前記シャフトの線膨張係数とが、同等であってもよい。
請求項4のように、前記リング部材の線膨張係数と、前記環状支持体の線膨張係数とが、互いに異なり、前記リング部材の前記外周に、セレーションが設けられていてもよい。 請求項5のように、前記リング部材は、前記環状支持体の軸方向端面(43c;43c,43d)に係合するフランジ(42;52,62)を含んでいてもよい。
請求項6のように、前記リング部材として、軸方向に対向する一対のリング部材(50,60)を含み、前記一対のリング部材のリング部材本体(51,61)は、互いに軸方向に対向する第1端部(511,611)と、前記第1端部とは反対側の第2端部(512,612)と、を含み、前記フランジ(52,62)は、各前記リング部材本体の前記第2端部から径方向外方に延びて前記環状支持体の対応する軸方向端面(33c,33d)に係合していてもよい。
請求項7のように、前記一対のリング部材の前記第1端部の間に、隙間空間(CS)が形成されていてもよい。
請求項1の発明によれば、組立時において、リング部材の外周が、リング部材よりも軟らかい材料からなる環状支持体の内周に部分的に塑性変形部を形成するように、環状支持体の内周に圧入嵌合されるので、圧入時の焼き付きの発生を抑制して、組立不良の発生を抑制することができる。シャフトとリング部材との両者は、同等の硬さを有しているので、両者を圧入嵌合させるときに焼き付きが生じにくい。
請求項2によれば、過大トルクが入力されるときに、シャフトとリング部材との間に滑りが発生することにより、伝達トルクが制限トルク以下に制限される。これにより、歯の損傷を防止して、操舵機能を担保することができる。
請求項3の発明によれば、温度が変化しても、リング部材とシャフトとの間の締め代が変化しない。したがって、リング部材とシャフトとの両者の間の滑りトルク(トルクリミッタの制限トルクに相当)が変化したり、両者の間の軸方向の滑り荷重が変化したりすることがない。
請求項4の発明によれば、環状支持体よりも硬い材料からなるリング部材が、その外周のセレーションを、環状支持体の内周に部分的に塑性変形部を形成するようにして、環状支持体の内周に圧入嵌合させている。したがって、温度変化によって、リング部材の外周と環状支持体の内周との間に締め代の変化が生じても、その締め代の変化を、セレーション嵌合領域により吸収することができる。これにより、リング部材の外周と環状支持体の内周との間に、回転方向の滑りが生ずることを抑制することができる。
請求項5の発明によれば、リング部材のフランジが、環状支持体の軸方向端面に係合することにより、リング部材と環状支持体との間に、軸方向の滑りが発生することを防止することができる。
請求項6の発明によれば、各リング部材のフランジが環状支持体の対応する軸方向端面に係合することにより、リング部材と環状支持体との間に、軸方向の滑りが発生することを防止することができる。
請求項7のように、一対のリング部材をシャフトに外嵌圧入するときに生ずる削り粉をリング部材間の隙間空間に収容することができる。仮に、リング部材間に削り粉の逃げ場となる隙間がないとすると、リング部材間に削り粉が溜まり、その分だけリング部材のフランジと環状支持体との間に軸方向の隙間が生じてしまう。そうすると、リング部材のフランジにより環状支持体の軸方向の滑りを防止できなくなるという事態が発生するおそれがある。これに対して、本発明では、リング部材間に削り粉の逃げ場となる隙間空間を設けることにより、前記事態の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態の電動パワーステアリング装置の断面を含む模式図である。 (a)は、電動パワーステアリング装置のウォーム減速機の要部の拡大断面図である。(b)は、ウォームイールの環状支持体とリング部材との圧入嵌合部分の模式的断面図である。 本発明の第2実施形態の電動パワーステアリング装置のウォーム減速機の要部の拡大断面図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、運転者のステアリングホイール2(操舵部材)の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構4と、運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構5を備えている。
操舵機構4は、ステアリングホイール2の回転軸となるステアリングシャフト6を備えている。ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2の中心に連結されるコラムシャフト7と、コラムシャフト7の一端(軸方向下端)に自在継手8を介して連結されるインターミディエイトシャフト9と、インターミディエイトシャフト9の一端(軸方向下端)に自在継手10を介して連結されるピニオンシャフト11とを含む。
コラムシャフト7は、ステアリングホイール2に連結される入力シャフト71と、インターミディエイトシャフト9に連結される出力シャフト72と、入力シャフト71および出力シャフト72を同軸上に連結するトーションバー73とを備えている。
ピニオンシャフト11の軸方向下端にはピニオン11aが設けられている。操舵機構4は、ピニオン11aと噛み合うラック12aを形成したラックシャフト12を備えている。ピニオン11aとラック12aとにより、運動変換機構であるラックアンドピニオン機構Aが形成されている。
運転者のステアリング操作に伴いステアリングシャフト6が回転すると、その回転運動が、ラックアンドピニオン機構Aを介して、ラックシャフト12の軸方向の往復直線運動に変換される。そのラックシャフト12の往復直線運動が、ラックシャフト12の両端に連結されたタイロッド13を介して転舵輪3に伝達される。これにより、転舵輪3の転舵角が変化し、車両の進行方向が変更される。
アシスト機構5は、コラムシャフト7にアシストトルクを付与する電動モータ14と、電動モータ14の回転をコラムシャフト7に伝達するウォーム減速機15と、電動モータ14の動作を制御するECU(Electronic Control Unit) 16とを備えている。
電動モータ14の回転が、ウォーム減速機15を介してコラムシャフト7に伝達されることによりステアリングシャフト6にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
また、電動パワーステアリング装置1には、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト6に付与されるトルクである操舵トルクTを、コラムシャフト7の入力シャフト71と出力シャフト72との相対回転に基づいて検出するトルクセンサ17が設けられている。一方、車両には、車速V(車両の走行速度)を検出する車速センサ18が設けられている。
ECU16は、検出される操舵トルクTおよび検出される車速Vに基づいて、目標アシスト力を設定し、電動モータ14からコラムシャフト7に付与されるアシストトルクが目標アシストトルクとなるように電動モータ14に供給される電流をフィードバック制御する。
本実施形態では、電動パワーステアリング装置1が、電動モータ14がコラムシャフト7に動力を付与する、いわゆるコラムアシストタイプである例に則して説明するが、これに限らず、本発明は、電動モータがピニオシャフトに動力を付与する、いわゆるピニオンアシストタイプの電動パワーステアリング装置に適用することができる。
ウォーム減速機15は、電動モータ14により回転駆動されるウォームシャフト20と、ウォームシャフト20の外周のウォーム20aと噛み合うウォームホイール30と、コラムシャフト7の出力シャフト72とウォームホイール30との間に介在するリング部材40とを備える。
ウォームホイール30は、リング部材40を介して、コラムシャフト7の出力シャフト72に一体回転可能に且つ軸方向移動不能に連結されている。
コラムシャフト7の一部は、ステアリングコラムの一部を構成するハウジング21に収容され支持されている。ハウジング21は、互いに嵌め合わされる第1ハウジング22と第2ハウジング23とを含む。
第1ハウジング22は、トルクセンサ17を収容するセンサハウジングとして機能する。第2ハウジング23は、ウォームシャフト20およびウォームホイール30を収容するギヤハウジングとして機能する。
コラムシャフト7の出力シャフト72は、第1ハウジング22に保持された第1軸受24と、第2ハウジング23に保持された第2軸受25とを介して回転可能に支持されている。第1軸受24および第2 軸受25は、例えば玉軸受である。ウォームホイール30は、出力シャフト72の軸方向Xに関して、第1軸受24と第2軸受25との間に配置されている。
図2(a)はウォーム減速機15の要部の拡大断面図である。図1および図2(a)に示すように、ウォームホイール30は、歯31が環状に配列された外周32aを有する樹脂製の環状歯部32と、金属製の環状支持体33とを備える。環状支持体33は、例えば環状歯部32の樹脂成形時に金型内にインサートされる。
図2(a)に示すように、環状支持体33は、環状歯部32の内周32bを支持する外周33aと、出力シャフト72の外周72aが圧入嵌合される内周33bとを含む。
コラムシャフト7の出力シャフト72が、例えば鉄製であるのに対して、環状支持体33は、出力シャフト72を形成する金属材料(例えば鉄ないし鉄合金)よりも軟らかい金属材料からなる。
環状支持体33を形成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金を例示することができる。また、環状支持体33を形成する金属材料の熱膨張係数と、出力シャフト72を形成する金属材料の熱膨張係数係数とは、互いに異なる。具体的には、環状支持体33を形成する金属材料の熱膨張係数は、出力シャフト72を形成する金属材料の熱膨張係数係数よりも大きい。
リング部材40は、筒状のリング部材本体41と、リング部材本体41の一端411から径方向外方へ延び、環状支持体33の軸方向端面33cと係合するフランジ42とを備える。フランジ42は、環状であってもよいし、周方向の一部に形成されるものであってもよい。
リング部材40は、環状支持体33の内周33bに圧入嵌合された外周40a(リング部材本体41の外周に相当)と、出力シャフト72の外周72aが圧入嵌合された内周40b(リング部材本体41の内周に相当)とを備える。リング部材40は、出力シャフト72の硬さと同等の硬さを有する金属材料(例えば鉄ないし鉄合金)からなる。
リング部材40の内周40bと出力シャフト72の外周72aとが、制限トルクを超えるトルクが入力されるときに互いの間に滑りを生じるトルクリミッタTLを構成している。
図2(b)は、リング部材40と環状支持体33との圧入嵌合部分の模式的断面図である。図2(b)に示すように、リング部材40の外周40aは、環状支持体33の内周33bに部分的に塑性変形部34を形成するように、環状支持体33の内周33bに圧入嵌合されている。
具体的には、リング部材40の外周40aには、セレーション43が設けられている。セレーション43は、リング部材40の外周40aの周方向に離隔する多数の凸部43aを含む。各凸部43aの頂部43bが、環状支持体33の内周33bに食い込むことにより、環状支持体33の内周33bに、それぞれ塑性変形部34を形成している。すなわち、塑性変形部34は、環状支持体33の内周33bの周方向に離隔するようにして、環状支持体33の内周33bに、部分的に設けられている。
本実施形態によれば、リング部材40の外周40aが、リング部材40よりも軟らかい材料からなる環状支持体33の内周33bに、部分的に、塑性変形部34を形成するように、環状支持体33の内周33bに圧入嵌合される。したがって、ウォーム減速機15の組立時において、リング部材40を環状支持体33に圧入するときの焼き付きの発生を抑制して、ウォーム減速機15の組立不良の発生を抑制し、ひいては電動パワーステアリング装置1の組立不良の発生を抑制することができる。
すなわち、仮に、軟らかい材料の部材の嵌合面において、周方向の全面に塑性変形部を形成するように硬い材料の部材が圧入嵌合される場合には、圧入時に、軟らかい材料の部材の表層の塑性流動の逃げ場がないため、焼き付きを発生するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、軟らかい材料の環状支持体33の内周33bの周方向の一部の領域に、すなわち部分的に、塑性変形部34を形成するように、硬い材料のリング部材40が圧入嵌合されるので、圧入時に、環状支持体33の内周33bの表層の塑性流動の逃げ場が確保され易く、したがって、焼き付きの発生を抑制することができる。
リング部材40は、出力シャフト72が圧入される前に、環状支持体33の内周に圧入されることが好ましい。それは、リング部材40は、内径が拘束されていないので、圧入時に縮径し易く、焼き付きの発生を一層抑制することができるからである。
出力シャフト72とリング部材40との両者は、同等の硬さを有しているので、両者を圧入嵌合させるときに焼き付きが生じにくい。
また、同等の硬さを有する出力シャフト72とリング部材40との嵌合面がトルクリミッタTLを構成している。すなわち、過大トルクが入力されるときに、出力シャフト72の外周72aとリング部材40の内周40bとの間に滑りが発生することにより、伝達トルクが制限トルク以下に制限される。これにより、ウォームホイール30の歯31の損傷を防止して、操舵機能を担保することができる。
また、リング部材40の線膨張係数と出力シャフト72の線膨張係数が同等である。したがって、温度が変化しても、リング部材40と出力シャフト72との間の締め代が変化しない。したがって、リング部材40と出力シャフト72との間の滑りトルク(トルクリミッタTLの制限トルクに相当)が変化したり、リング部材40と出力シャフト72との間の軸方向Xの滑り荷重が変化したりすることがない。
また、図2(b)に示すように、環状支持体33よりも硬い材料からなるリング部材40が、その外周40aのセレーション43を、環状支持体33の内周33bに部分的に塑性変形部34を形成するようにして、環状支持体33の内周33bに嵌合させている。したがって、温度変化によって、リング部材40の外周40aと環状支持体33の内周33bとの間に締め代の変化が生じても、その締め代の変化をセレーション嵌合領域で吸収することができる。これにより、リング部材40の外周40aと環状支持体33の内周33bとの間に、回転方向の滑りが生ずることを抑制することができる。
また、リング部材40に設けられたフランジ42が、環状支持体33の軸方向端面33cに係合することにより、リング部材40と環状支持体33との間に、軸方向Xの滑りが発生することを防止することができる。
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態を示している。図3の第2実施形態が図2(a)の第1実施形態と主に異なるのは、下記である。すなわち、図3に示すように、出力シャフト72の外周72aとウォームホイール30の環状支持体33の内周33bとの間に介在するリング部材として、軸方向Xに対向する一対のリング部材50,60が設けられている。
具体的には、各リング部材50,60は、図2(a)の第1実施形態のリング部材本体41に相当するリング部材本体51,61と、図2(a)の第1実施形態のフランジ42に相当するフランジ52,62とを備えている。
各リング部材50,60の外周50a,60a(リング部材本体51,61の外周に相当)が、環状支持体33の内周33bに部分的に塑性変形部[図示していないが、図2(b)と同じ構成に相当]を形成するように圧入嵌合されている。出力シャフト72の外周72aが、各リング部材50,60の内周50b,60b(リング部材本体51,61の内周に相当)に圧入嵌合されている。
一対のリング部材50,60のリング部材本体51,61は、互いに軸方向Xに対向する対向端部としての第1端部511,611と、第1端部511,611とは反対側の端部である第2端部512,612とを含む。
各リング部材50,60は、環状支持体33の内周33bに対して、リング部材本体51,61の第1端部511,611(対向端部)側から圧入されている。すなわち、リング部材50は、軸方向一方側X1に圧入され、リング部材60は、軸方向他方側X2に圧入されている。
一対のリング部材50,60のリング部材本体51,61の第1端部511,611(対向端部)の間に、隙間空間CSが設けられている。隙間空間CSは、出力シャフト72の外周72aと、環状支持体33の内周33bと、両リング部材50,60のリング部材本体51,61の第1端部511,611との間に区画される。
各フランジ52,62は、対応するリング部材本体51,61の第2端部512,612からそれぞれ径方向外方に延びて、環状支持体33の対応する軸方向端面33c,33dにそれぞれ係合している。
図3の第2実施形態の構成要素において、図2(a)の第1実施形態の構成要素と同じ構成要素には、図2(a)の第1実施形態の構成要素の参照符号と同じ参照符号を付してある。
本第2実施形態によれば、第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。さらに、一対のリング部材50,60が、環状支持体33の内周33bに互いに軸方向Xの反対側から外嵌圧入される。各リング部材50,60のフランジ52,62が、環状支持体33の対応する軸方向端面33c,33dにそれぞれ係合することにより、各リング部材50,60と環状支持体33との間に、軸方向Xの滑りが発生することを防止することができる。
また、一対のリング部材50,60を出力シャフト72に外嵌圧入するときに生ずる削り粉を、リング部材50,60間の隙間空間CSに収容することができる。仮に、リング部材50,60間に削り粉の逃げ場となる隙間がないとすると、リング部材50,60間に削り粉が溜まり、その分だけリング部材50,60のフランジ52,62と環状支持体33との間に軸方向の隙間が生じてしまう。そうすると、リング部材50,60のフランジ52,62により環状支持体33の軸方向の滑りを防止できなくなるという事態が発生するおそれがある。これに対して、本発明では、リング部材50,60間に削り粉の逃げ場となる隙間空間CSを設けることにより、前記事態の発生を抑制することができる。
本発明は、各前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、環状支持体の内周に部分的に塑性変形部を形成するために、リング部材の外周にセレーションを設けることに代えて、リング部材の外周に、周方向に離隔する複数の凸部(図示せず)を設けてもよい。また、リング部材の外周の軸方向溝に保持されるキー(図示せず)の圧入により、環状支持体の内周に部分的に塑性変形部を設けるようにしてもよい。
また、本発明を、ピニオンシャフトに電動モータの駆動力を伝達するタイプの電動パワーステアリング装置に適用してもよい。その場合、ピニオンシャフトは、インターミディエイトシャフト側に連結される入力シャフトと、ピニオンを形成する出力シャフトと、入力シャフトおよび出力シャフトを同軸上に連結するトーションバーとで構成される。その出力シャフトの外周にリング部材が圧入嵌合され、そのリング部材の外周にウォームホイールの環状支持体の内周が圧入嵌合されることになる。
その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングホイール、3…転舵輪、6…ステアリングシャフト、7…コラムシャフト、72…出力シャフト、11…ピニオンシャフト、ラックシャフト12、14…電動モータ、15…ウォーム減速機、20…ウォームシャフト、20a…ウォーム、30…ウォームホイール、31…歯、32…環状歯部、32a…外周、32b…内周、33…環状支持体、33a…外周、33b…内周、33c,33d…軸方向端面、34…塑性変形部、40…リング部材、40a…外周、40b…内周、41…リング部材本体、411…一端、42…フランジ、43…セレーション、43a…凸部、43b…頂部、50…リング部材、51…リング部材本体、511…第1端部、512…第2端部、52…フランジ、60…リング部材、61…リング部材本体、611…第1端部、612…第2端部、62…フランジ、A…ラックアンドピニオン機構、CS…隙間空間、TL…トルクリミッタ、X…軸方向

Claims (7)

  1. 操舵力を伝達するシャフトと、
    操舵補助用の電動モータと、
    前記電動モータの回転を減速して前記シャフトに伝達するウォーム減速機と、を備え、 前記ウォーム減速機は、
    前記電動モータにより回転駆動されるウォームシャフトと、
    歯が環状に配列された外周を有する環状歯部と、前記環状歯部の内周を支持し前記シャフトよりも軟らかい材料からなる環状支持体と、を有するウォームホイールと、
    前記環状支持体の内周に部分的に塑性変形部を形成するように前記環状支持体の内周に圧入嵌合された外周と、前記シャフトの外周が圧入嵌合された内周と、を有し、前記シャフトの硬さと同等の硬さを有する材料からなるリング部材と、を含む、電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1において、前記リング部材の内周と前記シャフトの外周とが、制限トルクを超えるトルクが入力されるときに互いの間に滑りを生じるトルクリミッタを構成している電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1または2において、前記リング部材の線膨張係数と、前記シャフトの線膨張係数とが、同等である電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項において、前記リング部材の線膨張係数と、前記環状支持体の線膨張係数とが、互いに異なり、
    前記リング部材の前記外周に、セレーションが設けられている電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項1〜4の何れか一項において、前記リング部材は、リング部材本体と、前記リング部材本体から径方向外方に延びて前記環状支持体の軸方向端面に係合するフランジと、を含む電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項5において、前記リング部材として、軸方向に対向する一対のリング部材を含み、
    前記一対のリング部材のリング部材本体は、互いに軸方向に対向する第1端部と、前記第1端部とは反対側の第2端部と、を含み、
    前記フランジは、各前記リング部材本体の前記第2端部から径方向外方に延びて前記環状支持体の対応する軸方向端面に係合している電動パワーステアリング装置。
  7. 請求項6において、前記一対のリング部材の前記第1端部の間に、隙間空間が形成されている電動パワーステアリング装置。
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