以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態におけるパネル構造体PAを示す正面図である。このパネル構造体PAは、室内の間仕切等に用いることのできる組立式のものであり、骨格となるフレーム1を中心として表裏の両面に複数のパネル要素2や巾木3を取付けることで矩形状に構成される。図中では省略しているが、床面上で自立させるために高さ調整可能なベースを設けている。
図2は、このパネル構造体PAを分解した状態を示す斜視図である。フレーム1の表側には3つのパネル要素2A〜2Cと巾木3が取り付けられ、フレーム1の裏側にもそれらと同形状のパネル要素2D〜2Fと巾木3が取り付けられる。さらに、フレーム1の上部には、被取付部材としての笠木4が取り付けられ、フレーム1の両側部にはそれぞれ側部カバー5,5が取り付けられる。
フレーム1は、枠要素としての2本の縦枠11と、これらの間をつなぐ枠要素としての3本の横枠12より構成されている。3本の横枠12である上枠12A、中間枠12B、下枠12Cはいずれも断面略矩形状となっており、金属材料として一般に用いられる角パイプを利用して構成されている。なお、ここでいう断面略矩形状とは、断面が完全な矩形状となったものや、断面が矩形状のものをベースとして四隅に面取りやR加工を行ったものを含む。
さらに、縦枠11は、金属板を折り曲げることで断面コ字形に形成されており、内側を開放される向きに配置され、側板11cに接続された前板11aと後板11b(図3参照)とが横枠12の端部を覆った形態で溶接されることで、フレーム1が構成されている。なお、溶接に代えてネジによる締結などの周知の技術を用いて縦枠11と横枠12との接続を行うようにしても良い。
このようなフレーム1に対して、笠木4は後述の取付補助部材6(図3参照)を介して取り付けられ、パネル要素2A〜2Fは取付補助部材6及びパネル保持部材7(図10参照)を介して取り付けられ、側部カバー5はカバー保持部材81(図20参照)を介して取り付けられる。さらに、この実施形態のパネル構造体PAは、パネル要素2A〜2Fが振動等によって、前後方向すなわち面外方向に変位することを防止するための連結部材86(図16参照)を備えている。
以下、各取付構造について順に説明を行う。
図3は、被取付部材である笠木を上枠12Aに取り付けるため部材取付構造としての笠木取付構造MSを示す分解斜視図である。フレーム1を構成する横枠の一つである上枠12Aは、上述したように断面略矩形状をなす角パイプを用いて構成されており、四面をなす前板12a、後板12b、上板12c、下板12dがほぼ同じ厚さで形成されている。そして、上枠12Aの端部は縦枠11を構成する前板11aと後板11bの間に挟まれて溶接によって固定されている。縦枠11は金属板の折曲げ加工によって構成されるのに対して、横枠12は角パイプを切断することによって構成され、孔加工等の複雑な加工を施されていないことから、製造コストの増大を招かない上に、材料が持つ機械的強度を落とすこともない。
上枠12Aに対しては前述した取付補助部材6を取り付け、この取付補助部材6を介して上枠12Aに笠木4を取り付ける。また、取付補助部材6には、表裏それぞれの最上部に位置するパネル要素2A,2Dの上部を係合させ、保持させることもできることから、この笠木取付構造MSは、一部のパネル要素2を取り付けるためのパネル取付構造PMとしても機能している。
ここで、フレーム1に取り付けるパネル要素2の形状について説明を行う。図11は、パネル要素2をフレーム1(図3参照)側である裏面方向から見た場合の斜視図である。
パネル要素2は、金属板を素材として、パネル構造体PA(図1参照)とした場合に外側に面する矩形状の本体部21を中心に、その四辺に折曲げ加工を施すことで構成されている。なお、表面に装飾を施すため布や弾性シート等の別部材を貼り付けることや、予め表面に別部材を貼り付けられた金属板を素材として用いて構成することも可能である。
本体部21の両側部には、裏面側に約90°折り曲げて矩形状の側折曲げ部22を形成している。さらに、本体部21の上縁21aには上折曲げ部23を形成し、下縁21bには下折曲げ部24を形成している。上折曲げ部23は、本体部21より裏面側に約90°折り曲げることで形成された水平方向に延出する延出片23aと、その先端をさらに下方に向かって約90°折り曲げることで形成された垂下片23bとから構成されている。また、下折曲げ部24は、本体部21より裏面側に約90°折り曲げることで形成された水平方向に延出する延出片24aと、その先端をさらに下方に向かって約90°折り曲げることで形成された垂下片24bとから構成されている。この下折曲げ部24の延出片24aは、上折曲げ部23の延出片23aよりも延出方向の寸法が大きく設定されていることから、パネル要素2を2つ上下方向に重ね合わせた場合には、下折曲げ部24が上折曲げ部23の背後に回り込むような位置関係となる。さらに、この下折曲げ部24には、両端近傍に切欠き部24cが形成されることにより、下折曲げ部24の両端はそれぞれ独立した差込片24b1となっている。
パネル要素2は、上述した構成としながら寸法を異ならせて製作することができ、本実施形態でもパネル要素2A(2D),2B(2E),2C(2F)の上下方向の寸法を互いに異ならせている。
図4は取付補助部材6を拡大して示す斜視図であり、図5はこの取付補助部材6の正面図である。なお、図5に示す正面図は、パネル構造体PAとして組み立てた際(図3参照)に側面方向から見たものに対応する。
図4,図5に示すように、取付補助部材6は、厚み方向のいずれの位置における断面も同一形状とされており、樹脂による一体成形によって構成されている。なお、図4及び図5において実線で示される形状は、外力を与えない自然状態におけるものである。
組み立てた際に上枠12Aの上板12c(図3参照)上に位置する部分には、矩形ブロック状に本体壁61が形成され、この本体壁61の裏面61cには、幅方向一端側、すなわち組み立て時における前側において裏面61cとほぼ直交して延出壁62が延出し、本体壁61の幅方向他端側、すなわち組み立て時における後側において裏面61cとほぼ直交して延出壁63が延出している。そして、延出壁62,63の先端にはそれぞれ掛止片65,66が互いに対向する向きに設けられている。
これら本体壁61、延出壁62,63、掛止片65,66によって囲まれることで上枠12Aを収容するための内部空間6sが形成されており、掛止片65,66の間で形成される開口部6opによって内部空間6sは下方に向かって開放されている。すなわち、掛止片65,66は、開口部6opを挟んで互いに対向している。
また、延出壁62,63の表側には、それぞれ幅方向、すなわち外側に向かって突出するブロック状の掛止体64がそれぞれ設けられており、その上部にはパネル要素2(図3)を掛止させるための溝64aが形成されている。
そして、各延出壁62,63における掛止体64より上側の部分を第1弾性壁62a,63aと設定しており、掛止体64よりも下側の部分を第2弾性壁62b,63bと設定している。第1弾性壁62a,63a及び第2弾性壁62b,63bはいずれも可撓性を有し、主として面外方向に撓むことができるように構成されている。
本体壁61の裏面61cと、延出壁62,63を構成する第1弾性壁62a,63a及び掛止体64の内側に設定された当接面62c,63cとは、自然状態において上枠12A(図3参照)の外周に沿った形状とされており、上枠12Aの外周に嵌め合わせることで前後方向及び回転方向への位置規制を行うことが可能となっている。さらに、第2弾性壁62b,63bは自然状態において先端側が互いに離間する方向に広がるように形成されており、外力を加えない場合には、延出壁62,63先端の掛止片65,66同士は互いに離間し、両者の間で上述した開口部6opが形成されるようになっている。
掛止片65,66の間の開口部6opは、第1弾性壁62a,63a及び第2弾性壁62b,63bの少なくとも何れかを変形させ、延出壁62,63を互いに離間させる方向に変位させることでさらに拡大することができる。
また、第1弾性壁62a,63aが変位しないように固定した状態で第2弾性壁62b,63bを上記とは逆方向に変形させ、延出壁62,63を互いに近接させる方向に変位させることで、掛止片65と掛止片66とを近接させて開口部6opを閉止させることもできる。そして、図5に想像線で示すように、掛止片65の先端に形成した内向きフック状の掛止部65aと、掛止片66先端に形成した外向きフック状の掛止部66aとを互いに掛止させることにより、この状態を保持させることができる。すなわち、これらの掛止片65,66は、開口部6opを閉止させた状態で保持する保持手段HM1を構成している。掛止片65,66は、上枠12Aの外周に沿った状態となることで、掛かり合いをより強固にすることができる。この状態において、本体壁61の裏面61cと、延出壁62,63の内側に設定された当接面62c,63cが上枠12Aの外周に沿った形状となるとともに、第2弾性壁62b,63bはそれぞれ上枠12Aを構成する前板12a又は後板12bに沿った形状となり、掛止片65の内面65bと掛止片66の内面66bもそれぞれ上枠12Aを構成する下板12dに沿った形状となる。すなわち、開口部6opを閉じた状態において、内部空間6sは上枠12Aと同様の断面略矩形状となる。
また、取付補助部材6を構成する本体壁61の表面61aには、笠木4(図3参照)を取り付けるため、厚み方向、すなわち、内部空間6sに収める上枠12Aの長手方向に沿って延びる一対の溝61b,61bが形成されている。そして、溝61b,61bによって本体壁61が上枠12Aの長手方向に直交する方向に分割されることで、各溝61b,61bの外側にそれぞれ起立片67が形成される。さらに、各起立片67の先端には、溝61b,61bの内部に向かって突出する爪状の係止部67a,67aが設けられており、各溝61b,61bは開口側が狭く奥側が広く構成されている。
さらに、各溝61b,61bの底部は可撓性を備える弾性部61b1,61b1とされており、上述した延出壁62,63が前後方向に変位する際に併せて変形することで、延出壁62,63の変位をより大きく変位させることができるようになっている。
図7は、上述した取付補助部材6(図3参照)を介してフレーム1に取り付けられる被取付部材としての笠木4を示す説明図である。具体的には、図7(a)は、笠木4の斜視図を示し、図7(b)は図7(a)のA−A位置における笠木4の断面図を示している。笠木4は、長手方向の何れの箇所においても同じ断面を有しており、引き抜きや押し出しによる金属成形によって好適に製作することが可能となっている。
笠木4は、平板状に構成される本体壁41と、その裏面41aの中央付近においてほぼ垂直に延出する一対の延出片42,42とを備えている。延出片42,42は上述した取付補助部材6に形成された溝61b,61b同士の間隔に合わせて併行して配されており、それぞれの先端には互いに反対向きとされ、外部に向かって突出する爪状の被係止部42a,42aが設けられている。
さらに、長手方向と直交する方向における本体壁41の両端には、後述する付帯部材91(図9参照)を取り付けるための係合部43がそれぞれ設けられており、この係合部43は、内側よりに設けられた内規制部44と、外側よりに設けられた外規制部45とから構成されている。
内規制部44は、裏面41aに垂直に延出する垂直壁部44aと、その先端より外側に向けて本体壁41にほぼ平行に延出する水平壁部44bとから構成される。さらに、外規制部45は、本体壁41の端部より裏面41aに垂直に延出する垂直壁部45aとその先端より内側に向けて本体壁41とほぼ平行に延出する水平壁部44bとから構成される。垂直壁部45aの長さは垂直壁部44aの約半分程度に設定されており、これらの先端に設けられる水平壁部45bは水平壁部44bよりも裏面41aよりに位置している。このように構成されることで、水平壁部44b,45b間の隙間を入口とする側面視略コ字形の係合空間ESが形成されている。
以下、上述した取付補助部材6を利用して、上枠12Aに笠木4を取り付ける場合について図6及び図8を用いて説明を行う。
図6は、取付補助部材6を変形させて上枠12Aに取り付ける場合を示す説明図であり、図8は、上枠12Aに取り付けた取付補助部材6に、さらに笠木4を取り付けた状態を示す断面図である。本実施形態では、この取付補助部材6を上枠12Aの長手方向両端と中央の3箇所に設けているが、使用する個数は適宜変更することができる。
図6に示すように、取り付け作業を行う場合には、取付補助部材6の掛止片65,66を前後に広げるように力を加えればよく、こうすることで第1弾性壁62a,63a及び第2弾性壁62b,63bが外側に向かって撓み、開口部6opを大きく開くことができる。これと同時に、溝61bの底部である弾性部61b1も撓むことで、延出壁62,63の変位をより大きくすることができる。なお、この際、各起立片67は溝61bを閉じるように内側に向けて変位する。
そして、開口部6opを上枠12A(図3参照)の前後寸法よりも十分に大きく開き、この開口部6opを通過させ、内部空間6sに上枠12Aを収容するように取付補助部材6を上枠12Aに嵌め合わせる。さらに、掛止片65,66を前後に広げる方向に加えていた力を緩めることで、本体壁61の裏面61cと、延出壁62,63内側の各当接面62c,63cとがそれぞれ上枠12Aの上板12c、前板12a、後板12bに沿うことから、前後方向及び回転方向の位置決めを行うことができる。この状態とすることで、延出壁62,63を構成する第1弾性壁62,63及び掛止体64,64を、上枠12Aによってこれ以上内側に向けて変位しないように支持させ、上枠12Aの外周より離間する位置にある第2弾性壁62b,63bのみを内側に向けて動かすことができる。
そしてさらに、図8に示すように、第2弾性壁62b,63bを近接させる向きに変形させることで保持手段HM1を構成する掛止片65,66同士を重ね合わせて開口部6opを閉止する。それから、これらの先端に設けられた掛止部65a,66aを互いに掛止させることで、開口部6opを閉止した状態で保持することができる。この際、掛止部65a,66aは、上枠12Aの下方に位置していることから、フレーム1を起立させた状態でも容易に作業を行うことが可能である。なお、第2弾性壁62b,63bは外側に開いた形状が自然状態とされているため、掛止部65a,66aを掛止させた状態では、これらを離間させ、互いに噛み合わせを強める方向に力が作用することから、掛止部65a,66aの間で隙間が生じることはなく、安定した状態を保つことが可能となっている。
このように上枠12Aに取付補助部材6を取り付けた後に、この取付補助部材6に対してパネル要素2,2と笠木4を取り付ける。なお、当然のことながら、取付補助部材6に対してパネル要素2,2と笠木4の何れかのみを取り付けることもできる。
パネル要素2,2は、取付補助部材6の前後に設けられている掛止体64に上折曲げ部23を掛止させる。この際、上折曲げ部23を構成する垂下片23bが、掛止体64に形成された溝64a内に挿入されることから、パネル要素2,2は前後方向に位置規制がなされる。そのため、この取付補助部材6を幅方向中央に取り付けた際には、パネル要素2の中央の面外方向への変位を抑制して揺れ止めの効果を得ることができる。なお、パネル要素2,2の下縁21b側は、後述する別のパネル取付構造PMによってフレーム1に取付ける。
このようにパネル要素2,2を掛止体64に取り付けると、上折曲げ部23は取付補助部材6の第1弾性壁62aに当接または極めて近接した状態となる。そのため、上折曲げ部23によって、第1弾性壁62aの外側に向かっての変形を抑制することができる。すなわち、パネル要素2を取り付けることで、このパネル要素2を取付補助部材6の補強部材として機能させることができる。
笠木4は、裏面41a側に設けた一対の延出片42を取付補助部材6の本体壁61に形成された一対の溝61bに挿入することで、取付補助部材6に取り付けられる。延出片42は溝61bに対して緊密に挿入される寸法にされており、延出片42は溝61b側に形成されている起立片67を外側に向かって僅かに弾性変形させながら進入し、先端の被係止部42aが起立片67先端の係止部67aにより係止されることで、その状態を保持することができる。また、起立片67の外側には笠木4に形成された垂下壁部44aが位置し、垂下壁部44aより内側に向かって僅かに突出させた支持部44a1がこの起立片67の外側を支持することで、起立片67の弾性変形を抑制するようになっている。
こうした構成となっていることから、笠木4は取付補助部材6簡単に取り付けることができる上に、取付補助部材6によってしっかりと保持させることができる。
さらには、笠木4が備える各延出片42の先端には外側に向かって突出する被係止部42aが設けられるともに、取付補助部材6が備える各起立片67の先端には内側に向かって突出する係止部67aが設けられており、これらの被係止部42と係止部67aとが係り合う構造となっていることから、笠木4を斜め方向に引っ張る場合には、少なくとも一方側の被係止部42aが係止部67a側に変位することになる。同様に、笠木4の前後何れかの位置を中心に回転力を付与した場合、半径方向外側に位置する被係止部42aが係止部67a側に変位することになる。そのため、笠木4を斜め方向に引っ張る場合及び回転させる場合の何れにおいても、少なくとも一方側の被係止部42aと係止部67aとの係合がより強くなり、これらの係止状態を容易に解除することはできなくなる。従って、笠木4は、上下方向に真っ直ぐ引っ張った場合には取外し可能であるものの、斜め方向に引っ張ったり、回転させたりすることでは取付補助部材6より外すことは困難となっている。
また、延出片42が溝61b内に挿入されることによって、起立片67の内側への変位が禁止されるため、溝61bの底部をなす弾性部61b1の変形が阻害され、これによって変位が増大される関係にあった延出壁62,63は外側方向への変位が抑制される。すなわち、笠木4を取り付けることで、上枠12Aに対する取付補助部材6の取付強度をより高めることもできる。
また、取付補助部材6にパネル要素2と笠木4とを取り付けた場合、笠木4を構成する水平壁部44bと、パネル要素2の上縁21aの延出片23aとの上下方向の隙間が、掛止体64の溝64aの深さよりも小さくなるようにしている。そのため、取付補助部材6にパネル要素2を取り付けた後に笠木4を取り付けると、パネル要素2を取り外す際に笠木4が干渉することになる。そして、前後に取り付けたパネル要素2の一方のみを持ち上げようとして、笠木4に偏荷重を作用させた場合、笠木4には回転モーメントが作用することになるが、上述したように笠木4を回転させても、延出片42先端の被係止部42aと起立片67先端の係止部67aとの係止状態を容易に解除することはできず、笠木4は外れることはない。そのため、パネル要素2を持ち上げて笠木4ごと取り外すこともできない。従って、笠木4を先に取り外さない限り、パネル要素2を取り外すことはできず、笠木4はパネル要素2の外れ抑制手段としても機能している。また、上述したように、パネル要素2を取り付けることで取付補助部材6の延出壁62,63の変形が抑制されるため、取付補助部材6と笠木4とは互いに変形を抑制し合う関係となっている。
これらを上枠12Aより取り外す場合には、上記と逆の手順で行えばよく、笠木4、パネル要素2、取付補助手段6の順に取り外せば良い。具体的には、笠木4は上方に向かって真っ直ぐ引き上げることで取付補助手段6より取り外すことができ、こうすることでパネル要素2も上方に向かって変位させて掛止状態を解除することができるため、簡単に取り外すことができる。さらに、取付補助部材6は、延出壁62,63の第2弾性壁62b,63bを変形させながら掛止部65a,66aにより掛止状態を解除させ、第1弾性壁62a,63a及び第2弾性壁62b,63bを変形させることで延出壁62,63同士を離間させて再び開口部6opを開き、上枠12Aより取り外すことが可能となる。
上記のようにフレーム1の上枠12Aに取り付けた笠木4には、係合部43を利用して、さらに上述した付帯部材91を取り付けることができる。図9は付帯部材91を係合部43に取り付けた例を示す断面図である。
この付帯部材91は、上部に係合部91aを備え、この係合部91aより下方に吊下される本体部91bを備えるものであり、本体部91bの上部には物品を引っ掛けるための上部フック91cが設けられるとともに、下部には下部フック91dが設けられている。係合部91aは本体部91bより前後方向に延び、水平壁部44bに当接する水平部91a1と、その先端より起立する起立部91a2と、その先端より外側に向かって僅かに突出する突出部91a3とから形成されている。そして、この係合部91aを傾けた状態で、突出部91a3を係合部43内の係合空間ESに差込み、本体91bを直立させることにより、係合部43,91aを係合させることができ、本体91bを斜めにしない限り係合は解除されることなく係合状態は安定的に保持される。逆に、本体91bを斜めにすることで、両者の係合は容易に解除することができ、付帯部材91を簡単に取り外すことができる。
上記のように笠木4に付帯部材91を取り付けることで、付帯部材91の重量とこれに取り付ける物品の重量分の垂直荷重Fが係合部43に作用することとなり、この垂直荷重Fは笠木4に偏荷重として作用して、付帯部材91の反取付け側を上方に移動させる向きのモーメントMが発生する。しかしながら、上述したように笠木4は、垂直方向に引っ張らないことには取り外すことは困難であるため、こうしたモーメントMが生じても笠木4は容易に外れることはなく、取付状態を安定的に維持することが可能となっている。
図10は、縦枠11にパネル要素2を取り付けるためのパネル取付構造PMを示す分解斜視図である。フレーム1を構成する枠要素の一つである縦枠11の前後には、パネル保持部材7が取り付けられており、このパネル保持部材7を介してフレーム1にパネル要素2を取り付けることが可能となっている。
縦枠11は、上述したように、金属板の折曲げによって前板11aと後板11bとが側板11cにより接続された断面コ字形に形成されている。縦枠11を構成する前板11a、後板11b、側板11cの間には内部空間11sが形成されるとともに、前板11a及び後板11bにはパネル保持部材7を取り付けるための開口13が形成されている。また、前板11a及び後板11bには、オプション取付孔16が設けられており、このオプション取付孔16に引っ掛ける形態で、適宜、天板取付用のブラケットなどのオプション部材(図示せず)を取り付けることが可能となっている。
パネル要素2は、上述したように上縁21aに上折曲げ部23を備え、下縁21bに下折曲げ部24を備えるものとなっている。そして、上下に隣接する2つのパネル要素2,2のうち、上側のパネル要素2の下折曲げ部24と、下側のパネル要素2の上折曲げ部23とを一つのパネル保持部材7に掛止することができるようになっている(図11参照)。
図12は、パネル保持部材7を拡大して示したものであり、図12(a)は、パネル保持部材7の斜め上方から見た際の斜視図であり、図12(b)は、パネル保持部材7を側方から見た側面図となっている。なお、以下においてパネル保持部材7の形状を説明するために使用する方向を示す用語は、特に述べることがない限り、このパネル保持部材7を縦枠11の前板11aに取り付けた場合を基準としており、図12(b)における図中左方向を前方向とし、図中右方向を後方向とする。
パネル保持部材7は、樹脂による一体成形によって構成されるものであり、略矩形をなすブロック状に形成された基体部71を中心として、上下方向に延び、側面視略S字状(図中では左右反転したS字状)をなしている。
具体的には、基体部71の後面側より上方に向かって起立壁72が延出され、この起立壁72の先端より前方に向かって突出する突出片73が形成されている。この突出片73は、後述するようにパネル要素2の下折曲げ部24を掛止させるための上側掛止部UHとして機能する。さらには、基体部71の前面側より下方に向かって垂下壁74が延出され、この垂下壁74の先端より後方に向かって延びる係止片75が形成されており、このような基本形状を備えることで、上述した側面視略S字状をなしている。
より具体的な形状について詳細に説明すると、基体部71は、上部が幅方向に3つに分割されており、中央は、断面が逆L字状に形成された弾性片71bとなっている。弾性片71bのうち、起立壁72近くの部分は上面が低く設定された掛止部71b1となっており、後述するようにパネル要素2の上折曲げ部23を掛止させるための下側掛止部DHとして機能する。また、弾性片71bを挟んで両側に位置する部位は、それぞれやや幅方向に突出する突出部71aとして形成されており、開口13(図13参照)に取り付ける際の位置決めを行うために機能する。
起立壁72及び突出片73は、突出部71aを除いた基体部71全体と同一の幅に形成されており、側面は滑らかに連続して形成されている、また、起立壁72の前面72aには僅かに前方に向かって突出させた当接部72cが形成されている。突出片73は上面73aが平面状に構成されるとともに、後面73bを起立壁72の後面72bよりもやや前方に位置させている。
垂下壁74は基体部71よりも幅方向寸法を小さく形成されており、基体部71の下側には、垂下壁74につながる段差面71cが形成されている。係止片75は、一端を垂下壁74に接続されるとともに他端を自由端とされ、開放側を前方向に設定した略U字形状をなしている。さらに、その下側には、下方向に突出する爪状の係止部75aが形成されている。係止片75は、U字が閉じる方向に弾性変形可能となっており、係止片75は弾性変形を伴いながら開口13(図13参照)に挿入され、係止部75aによって係止可能となっている。
このように構成されるパネル保持部材7を取り付ける開口13は、図13に示す正面図のように構成されている。なお、この図は、図中手前側に位置するパネル要素2を取外し、図中奥側に位置するパネル要素2を取り付けた状態を示している。
開口13は、上下方向に近接して設けられた上開口13a、中開口13b、下開口13cの三つが組となって構成されるものであり、縦枠11を構成する前板11a及び後板11bの高さ方向の複数箇所に設けられている(図2参照)。そのため、パネル要素2は、取り付ける開口13を変更することによって、異なる高さ位置に設けることが可能となっている。
以下、上開口13a、中開口13b、下開口13cの具体的な形状に関し、図12を参照しつつ図13を用いて説明する。
上段に設けられた開口である上開口13aは略矩形状をなし、その幅方向寸法はパネル保持部材7の突出片73の幅方向寸法よりもやや大きく設定されている。さらに高さ方向寸法は、パネル保持部材7の突出片73の高さ方向寸法と、パネル要素2の下折曲げ部24の垂下片24bの長さとを足し合わせた寸法より、やや大きく設定されている。
中段に設けられた開口である中開口13bは、上開口13aとほぼ同じ幅寸法に設定された矩形状の幅広部13b1と、これよりも幅寸法を小さく設定された矩形状の幅狭部13b2とが上下方向に連続して形成されることで凸形状をなしている。幅広部13b1の幅方向寸法は、突出部71aを含めた基体部71の幅方向寸法よりも小さく、突出部71aを含めない基体部71の幅方向寸法よりもやや大きく設定されている。また、幅広部13b1の高さ方向寸法は、突出片73の前後方向寸法よりもやや大きく設定されている。さらに、幅狭部13b2は、幅方向寸法を、パネル保持部材7の弾性片71bの幅方向寸法よりもやや大きく設定されるとともに、高さ方向寸法を幅広部13b1とほぼ同じ寸法に設定されている。
下段に設けられた開口である下開口13cは、略矩形状をなし、その幅方向寸法はパネル保持部材7の係止片75よりもやや大きく設定されている。さらには、下開口13cの高さ方向寸法は、係止片75の高さ方向寸法よりもやや小さく、係止片75が弾性変形することで挿入し得る程度にしている。
以下、上述したパネル保持部材7を利用して、縦枠11にパネル要素2を取り付ける場合について説明を行う。図14は、パネル保持部材7を縦枠11に取り付ける手順を説明するものである。
最初に、パネル保持部材7は、図14(a)に示すように、突出片73の先端が上方を向くように90°回転させた状態として、突出片73及び起立壁72を縦枠11に形成された中開口13bに挿入する。そして、図14(b)に示すように、パネル保持部材7を、突出片73が上側に位置するように90°回転させる。こうすることで、突出片73は、縦枠11内の内部空間11sより上開口13aを通過して前方に突出する。これとともに、係止片75は弾性変形を伴いながら下開口13c内に挿入され、係止部75aが下開口13cよりも内側に位置することで係止される。そして、係止片75が係止されることで、パネル保持部材7は起立して開口13に取り付けられた状態で保持される。
この際、起立壁72に設定された当接部72cは前板11aの内面に当接し、基体部71に設けられた突出部71aの後面と、垂下壁74に設定された当接部74aとが前板11aの外面に当接するため、正確に位置決めがなされるとともに、直立した状態を安定して保持することができるようになっている。
縦枠11の後面11bに対しても、前面11aと同じ高さ位置に開口13が形成されており、前面11aと同様にパネル保持部材7を取り付けることができる。なお、パネル保持部材7を取り外す際には、縦枠11の内側より係止片75を上下方向に摘んで変形させることにより下開口13cよりも小さくして係止状態を解除し、上記と反対方向に回転させればよい。
図15は、上記のようにして縦枠11に取り付けたパネル保持部材7に、さらにパネル要素2を取り付けた状態を示す断面図である。
一つのパネル保持部材7に対しては、上下に隣接するパネル要素2,2のうち一方の下折曲げ部24を掛止させるとともに、他方の上折り曲げ部23を掛止させることができる。具体的には、下側に位置するパネル要素2の上折り曲げ部23を、弾性片71bと突出片73との間に挿入する。この際、弾性片71bは下方に向かって弾性変形するとともに、突出片73は上方に向かって弾性変形し、上折り曲げ部23を構成する垂下片23bが弾性片71b上の掛止部71b1にまで押し込まれると、弾性片71bと突出片73がもとの形状に復元して上折曲げ部23を掛止させることができる。また、上側に位置するパネル要素2の下折曲げ部24を構成する垂下片24bの一部である差込片24b1を上開口13a内に通して下方に変位させることで、突出片73の上面73aに下折曲げ部24を掛止させることができる。このように、上側のパネル要素2を取り付けることで、突出片73の上方への変形を抑制することができるため、下側のパネル要素2を簡単に取り外すことはできない。
ただし、上側のパネル要素2を取り付けた状態であっても、下側のパネル要素2を一定以上の力で強く引っ張った場合には取り外しを可能に構成している。そのため、上下に隣接して複数のパネル要素2〜2を取り付けた場合(図1参照)に、最上部に位置するパネル要素2以外を取外すことで、一部のパネル要素のみが取り外された、いわゆる中抜け状態とすることが可能である。なお、上述したように最上部のパネル要素2は、笠木4(図3参照)を取り外すことによって取外し可能となる。
また、下側に位置するパネル要素2を前方に引っ張った場合、掛止部71b1を介してパネル保持部材7全体には、当接部74a回りの回転力が発生する。この方向は、パネル保持部材7を取り外す方向とは逆方向であるため、下側のパネル要素2を引っ張ったとしても、パネル保持部材7が縦枠11より外れることはない。
さらに、上側に位置するパネル要素2を前方に引っ張った場合においても、突出片73を介してパネル保持部材7全体には、当接部74a又は当接部72c回りの回転力が発生する。この方向も、パネル保持部材7を取り外す方向とは逆方向であるため、上側のパネル要素2を引っ張ったとしても、パネル保持部材7が縦枠11より外れることはなく、取付状態をより安定的に維持することが可能となっている。
さらには、パネル要素2と縦枠11とはそれぞれ金属によって構成されているものの、パネル要素2は樹脂によって構成されるパネル保持部材7を介して縦枠11にとりつけられていることから、金属同士が直接接触することはない。そのため、振動等によってこれらの部材が相対変位した場合でも、部材間での摩擦を和らげ、騒音を抑えるとともに摩耗による部材の損傷を抑えることが可能となっている。
ここで、上記のようにフレーム1(図2参照)の表側と裏側にパネル要素2を取り付けた場合、各パネル要素2は四隅により支持されているに過ぎないため、パネル要素2の材質等によっては振動等が加わることにより、幅方向の中心が前後方向すなわち面外方向に変位することも考えられる。そこで、本実施形態におけるパネル取付構造PMでは、パネル要素2の面外方向への変位を抑制するため、パネル要素2同士を連結する連結部材86を取り付けている。
図16は、パネル要素2の幅方向の適宜の位置に取り付けられる連結部材86周辺の断面図である。
この連結部材86は、フレーム1(図2参照)の表側において上下に隣接して配置されたパネル要素2A,2Bと、フレーム1の裏側において上下に隣接して配置されたパネル要素2D,2Eを前後方向(図中における左右方向)に連結する。連結部材86を取り付ける対象として例に挙げるパネル要素2A,2Bのつなぎ目の背面には、中間枠12B等の横枠12は存在しておらず、裏側パネル要素2D,2Eとの間で広い空間が存在する。
図17は、連結部材86を斜め上方から見た斜視図である。連結部材86は、取り付けた際にパネル構造体1(図1参照)の幅方向と一致する厚み方向のいずれの位置においても、同一の断面形状とされており、樹脂による一体成形によって構成されている。
断面が矩形状に形成された本体ブロック87を中心として、その前後には上方を斜めに傾斜させた案内部87c,87cを突出させている。そして、本体ブロック87と案内部87cとの間には、断面略V字状をなし、上方に向かって開放された厚み方向に延びる溝87bがそれぞれ形成されている。
また、本体ブロック87の上方には外側に向かって突出する一対の上下位置規制体88,88が形成されており、この上下位置規制体88,88より垂下する吊下片88a,88aによって、本体ブロック87が吊下される形状となっている。そして、本体ブロック87上における各吊下片88aとの接続部位には、断面略V字状をなし、上方に向かって開放された厚み方向に延びる溝87aがそれぞれ形成されている。さらに、本体ブロック87の下部には、下方に向かって開放されたコ字形の係合凹部89が形成されている。
こうした連結部材86を利用して各パネル要素2を連結する場合について、再び図16を用いて説明を行う。
まず、下側のパネル要素2B,2Eの一方をフレーム1(図2参照)に取り付けた状態として、そのパネル要素2B(2E)の上折曲げ部23に連結部材86を取り付ける。この際、上折曲げ部23は、案内部87cとその上方の上下位置規制体88との間を押し広げるように弾性変形させながら、これらの間に垂下片23bを進入させる。垂下片23bの先端が溝87b内に挿入されることで、案内部87cと上下位置規制体88とは元の状態に復元し、溝87bと上下位置規制体88によって垂下片23bが挟み込まれた状態となる。
さらに、もう一方のパネル要素2E(2B)をフレーム1に取り付け、その過程において、上記と同様に上折曲げ部23を案内部87cと上下位置規制体88との間に進入させ、これらの間で垂下片23bが挟み込まれた状態とする。こうすることで、双方の上下位置規制体88,88は、パネル要素2B,2Eの上折曲げ部23,23を構成する各延出片23a,23aの上面によって支持され、本体ブロック87は、2つの吊下片88a,88aを介して吊下された状態となる。
そして、上側のパネル要素2A,2Dをそれぞれフレーム1に取り付け、その過程において、下折曲げ部24を構成する垂下片24bの先端を溝87a内に挿入する。
このように取り付けることで、連結部材86はパネル要素2A,2B,2D,2Eによって前後方向及び上下方向に支持される。そして、連結部材86の各溝87a,87bに各パネル要素2の折曲げ部23,24の垂下片23b,24bの先端が挿入されることで、これらの溝15によって各パネル要素2の折曲げ部23,24は前後方向に位置規制される。そのため、各パネル要素2は連結部材86を介して連結される他の3つのパネル要素2によって前後方向に位置規制されることで、剛性を高めて面外方向への変位を抑制することができる。この際、溝87a,87bの底部に垂下片23b,24bの先端が当接することまでは必要なく、溝87a,87b内に収まっていればよい。さらには、垂下片23b,24bの先端が溝87a,87b内に収まっていない場合であっても、上下位置規制体88の上下に当接する水平片23a,24aに摩擦力を介して前後方向の力を相互伝達させることで、上記に準じて、パネル要素2の剛性を向上させる効果を得ることができる。
なお、上記の説明では連結部材86を4つのパネル要素2〜2間に一つ設けるものとしていたが、パネル要素2の幅方向の複数箇所に設けても良く、個数を増加させることで重量は増加するもののパネル要素2〜2同士をより強固に連結して一体感を高めることができる。
さらに、この連結部材86は、表側又は裏側の2つのパネル要素2,2に取り付けるだけでも前後方向及び上下方向に支持され、位置の安定を保つこともできる。そのため、連結部材86による連結強さを低減することが許容される場合には、例えば、表側の2つのパネル要素2,2には上下位置規制体88と案内部87cを用いて上記のように取り付けるとともに、裏側のパネル要素2,2には上下位置規制体88や案内部87cを当接部として裏面に当接させるのみで裏面側へのへこみ防止機能を持たせてもよい。
また、上記の説明では、連結するパネル要素2のつなぎ目の背面に横枠12が存在しない場合を例にしていたが、背面側に横枠12がある場合には以下のように連結部材86を取り付ける。
図18は、連結部材86によって、上下及び前後に配置されたパネル要素2B,2C,2E,2F(図2参照)を連結させた状態を示す断面図である。
取り付けに際して、まず連結部材86を、本体ブロック87の下部に形成されたコ字形の係合凹部89を中間枠12Bの上部に係合させる。こうすることで、中間枠12Bによって連結部材86は前後方向に位置規制される。
さらに、この連結部材86に対して、上記と同様の手順にてパネル要素2B,2C,2E,2Fを取り付ける。
こうすることで、連結部材86を介してパネル要素2B,2C,2E,2Fは連結され、前後方向に互いに支持し合うとともに、中間枠12Bによっても前後方向に支持される。そのため、各パネル要素2は剛性をより高めて、面外方向への変位を一層抑制することが可能となる。
上記のようにパネル要素2取り付けることで、フレーム1(図2参照)の前後でパネル要素2を適切に支持させることができる。さらに、この実施形態のパネル構造体PAは、図19に示すように、上下に配置されるパネル要素2の間に適宜、付帯部材92,93を取り付けることが可能となっている。図19は、一例として、パネル要素2B,2C間に付帯部材92,93を取り付けた状態を示す斜視図である。
付帯部材92は、天板等を固定するためのブラケットとして機能するものであり、下方を開放されたコ字形に形成され、中間枠12Bに上方より係合させることで取り付ける取付部92aと、取付部92aより上部に持ち出されてからパネル要素2B,2C間を通過して外側に持ち出される持出部92bと、この持出部92bより外方に向かって水平に延出された天板受け部92cとを備えている。天板受け部92c上には、適宜の形状の天板を載せて固定することにより、パネル構造体PAにデスクとしての機能を併せ持たせることができる。
付帯部材93は、上述した笠木4(図9参照)に設けられた係合部43と同じ形状の係合部93dを備えるものであり、上述したフック状の付帯部材91(図9参照)等の取付を可能とするものである。付帯部材93は、下方を開放されたコ字形に形成され、中間枠12Bに上方より係合させることで取り付ける取付部93aと、取付部93aより上部に持ち出されてからパネル要素2B,2C間を通過して外側に持ち出される持出部93bと、この持出部92bの先端に形成された他の付帯部材を連結させるために連結部93cを
備えており、この連結部93cは外側に向かって開口され、笠木4に設けられた係合部43と同様の係合部93dが形成されている。
このような、横枠12を利用した付帯部材92,93の取り付けは、パネル構造体PAの組み立て段階で行うことができるとともに、上述したようにパネル要素2の一部を中抜き状態とすることによって追加的に行うこともできる。付帯部材92,93を挟んで、上下にパネル要素を取り付けた場合には、パネル構造体PAとしての見栄えを損なうことなく、パネル要素2,2の間より付帯部材92,93を張り出させて取り付けることができ、付帯部材92,93に様々な機能を持たせることでパネル構造体全PA体の機能を向上させることもできる。この際、パネル要素2,2同士の間で形成される隙間は、上述した連結部材86を取り付けることで好適に保つことができるため、各パネル2が附帯部材92,93に衝突して損傷することを抑制することもできる。
図20は、パネル構造体PAを構成するフレーム1の側面に側部カバー5等の被取付部材を取り付ける側部取付構造SSについて説明する分解斜視図である。
この側部取付構造SSは、フレーム1を構成する縦枠11に対して側面側より隙間形成部材としてのカバー保持部材81を取り付け、側部カバー5を取り付けるものである。
縦枠11を構成する側板11cには、内部空間11sに連続する円形の係止孔14が設けられ、さらにその下方に係止孔14よりも小さな回転規制孔15が設けられている。
図21は、カバー保持部材81の形状を説明するためのものであり、図21(a)はカバー保持部材81の斜視図で、図21(b)は取り付け時における前後方向と一致する方向より見た場合の側面図である。
カバー保持部材81は、樹脂による一体成形によって形成されており、上下方向を長辺とする矩形板状の本体部82と、この本体部82に直交して同一方向に突出させた突部83、係止軸84及び回転規制軸85とを備えている。
突部83は、延出方向と直交する方向の断面がほぼ正方形となるように形成されており、本体部82の四隅よりやや内側の4箇所に設けられ、本体部82と同様に矩形状に配されている。
係止軸84は、上下方向を小さくしてやや扁平に形成された固定軸部84aと、この固定軸部84a先端の上下に接続されるとともに、本体部82に向かって延びながら上下方向に広がって形成される一対の係止片84bとから構成される。さらに、係止片84bの先端には上下の面、すなわち外側の面を切り欠かれた段差部84cが形成されている。係止片84b,84bは、固定軸部84aと接続された部位を起点に上下方向に弾性変形することができ、これによって係止軸84全体を縮径することができる。さらに、自然状態における係止軸84の最大外径は縦枠11に形成された係止孔14よりも大きくなり、上記のように弾性変形した際には係止孔14よりも小さくなるような寸法に設定されている。
回転規制軸85は、円柱状に構成されるとともに先端に面取りを施されている。
図22は、上述したカバー保持部材81(図20参照)を用いて縦枠11に取り付けることのできる側部カバー5を示す説明図である。具体的には、図22(a)は、側部カバー5の斜視図を示し、図22(b)は図22(a)のB−B位置における側部カバー5の断面図を示している。側部カバー5は、長手方向の何れの箇所においても同じ断面を有しており、引き抜きや押し出しによる金属成形によって好適に製作することが可能となっている。
側部カバー5は、平板状に構成される本体壁51と、その裏面51aの中央よりやや外側において、カバー保持部材81と係合するための一対の係合部53,53を備えている。係合部53は、本体壁51に対してほぼ垂直に延出する一対の延出片54,54と、その先端近傍に設けられる内側に向かって延びる差込片55によって構成されている。この延出片54,54同士の間隔は、カバー保持部材81を構成する本体部82の短辺方向の寸法よりもやや大きく設定されている。また、対向する差込片55,55の先端同士の間隔は、本体部82の短辺方向の寸法よりも小さく、本体部82の短辺方向に並んで配置された突部83,83の外側同士の間隔よりもやや大きく設定されている。さらに、長手方向と直交する方向における本体壁51の両端には、内側に向かって略L字状に折れ曲がった形状の端部壁52が形成されている。
以下、上述したカバー保持部材81を利用して、縦枠11に側部カバー5を取り付ける場合について説明を行う。
側部カバー5の取り付けに際し、まず、図23に示すように、縦枠11を構成する側板11cにカバー保持部材81を取り付ける。縦枠11に設けられた係止孔14に係止軸84を挿入させるとともに、回転規制孔15に回転規制軸85を挿入させる。この際、係止軸84は係止孔14に挿入する過程で、係止孔14よりも最大外径が小さくなり、段差部84cまで挿入することで自然状態まで再び拡径し、カバー保持部材81は縦枠11に係止される。また、回転規制孔15に回転規制軸85が挿入されることによって、係止軸84回りでの回転も規制され、本体部82の長手方向が縦枠11の長手方向と一致した状態で保持することができる。
このように縦枠11にカバー保持部材81を取り付けることで、カバー保持部材81の本体部82と縦枠11の側板11cとの間には、突部83の分だけの隙間が形成される。そして、この隙間が、本体部82の両端近傍において突部83の外側に上下方向に連続することで、側部カバー5を取り付けるためのガイド部Gpがそれぞれ形成される。
縦枠11の側板11cには、上述した係止孔14及び回転規制孔15が、上下方向に離間して複数個設けられており、これらを利用して複数のカバー保持部材81を取り付け、縦枠11の上部から下部に亘って、断続的にガイド部Gpを形成することができる。
図24は、カバー保持部材81を縦枠11に取り付け、さらに側部カバー5を取り付けた状態を示す断面図である。なお、この図は、係止軸84の中心を通る水平断面にて切断し、上方より見た場合を示している。
カバー保持部材81は、係合部53,53をカバー保持部材81の本体部82の短辺方向端部に沿わせて、上方より取り付ける。この際、縦枠11の側板11cと本体部82との間で形成されるガイド部Gp,Gpに係合部53を構成する差込片55を挿入させ、延出部54,54の間で本体部82の短辺方向両端を保持させることで、前後方向及び側方への位置決めを行うことができる。
側部カバー5を取り外す際には、上記と逆の手順で実行すれば良く、カバー保持部材81を縦枠11より取り外す場合には、縦枠11の内側において係止軸84の係止片84bを摘んで縮径させればよく、簡単に取り外すことが可能である。この場合、係止片84bが固定軸84aに対して上下方向に配置されていることから、係止片84bを摘む指が前板11a及び後板11bに干渉することなく、より簡単に取り外し作業を行うことができる。
また、上記のように側部カバー5は、縦枠11に係止孔14及び回転規制孔15といった単純な孔加工を施すのみで、カバー保持部材81を介して簡単に取り付けることができる。そのため、縦枠11の加工を少なくすることで、製造コストの低減を図るとともに、取り付け・取外しに要する作業時間を短縮して、作業効率を高めることもできる。
以上のように構成されるパネル構造体PAは、笠木4を取り付ける笠木取付構造MSに着目した場合、次のような特徴を有する。
すなわち、本実施形態における部材取付構造としての笠木取付構造MSは、断面略矩形状の枠要素である上枠12Aと、この上枠12Aの外周に沿って取り付けられる取付補助部材6と、取付補助部材6に着脱可能に取り付けられる被取付部材としての笠木4とを具備し、取付補助部材6は、上枠12Aを収容可能な略矩形状の内部空間6sと、内部空間6sの一部を開放して上枠12Aの通過を可能とする開口部6opと、開口部6opを閉止させた状態で保持する保持手段HM1とを備え、上枠12Aの外周に取付補助部材6を嵌め合わせて保持手段HM1により開口部6opを閉止させた状態で保持することで上枠12Aと取付補助部材6との相対位置を規制し、保持手段HM1による保持を解除して開口部6opを開放又は拡大させることで上枠12Aと取付補助部材6とを脱着可能に構成したものである。
このように構成しているため、取付補助部材6の開口部6opより上枠12Aを通過させて内部空間6sに収め、保持手段HM1により開口部6opを閉止又は縮小させた状態で保持することで上枠12Aに対して取付補助部材6を保持させることができ、保持手段HM1による保持を解除して開口部6opを開放又は拡大することで上枠12Aより取付補助部材6を脱着させることができる。そのため、取付補助部材6を介し、上枠12Aに対して笠木4を簡単に取り付けることが可能となる。従って、上枠12Aを単純な略矩形状にするのみで複雑な加工を行うことなく笠木4の取付け・取外しが可能となるため、上枠12Aの強度低下を招くことがない上に、製造コストを低減することも可能となる。また、部品点数が少なく、取付け・取外しを容易に行うことができるため、組立・分解に要する作業時間を短縮することも可能となる。
さらには、取付補助部材6には内側に係止部67aを備える溝61bが形成される一方で、笠木4には係止部67aに対応する被係止部42aを先端に備える延出片42が形成されており、溝61b内に延出片42を緊密に挿入して係止部67aに被係止部42aを係脱可能に係り合わせることで、取付補助部材6に対して笠木4を着脱可能に取り付けるように構成しているため、取付補助部材6に形成された溝61b内に、笠木4に形成された延出片42を挿入することで、取付補助部材6に対する笠木4の着脱を容易に行うことが可能となっている。
また、取付補助部材6は、併行する一対の溝61b,61bを形成されるとともに、各溝61b,61bの係止部67a,67aが互いに反対向きに形成されており、笠木4は、溝61b,61bに対応する少なくとも一対の延出片42,42を形成されるとともに、各延出片42,42には係り合う係止部67a,67aと対応して被係止部42a,42aがそれぞれ形成されるように構成しているため、取付補助部材6に対して笠木4を斜め方向に引っ張ると、いずれかの係止部67a・被係止部42aの係り合いが深くなるため、真っ直ぐ引っ張らない限り外すことは困難となる。そのため、笠木4を上枠12Aに取り付けた上で、他の付帯部材91を笠木4に取り付けるなどして偏荷重が作用した場合でも、意図に反して外れることを抑制することができる。
さらに、保持手段HM1は、開口部6opを挟んで形成される一対の掛止片65,66からなり、これらの掛止片65,66同士を互いに掛止させることによって開口部6opを閉止可能に構成されているため、保持手段HM1を簡単に実現することができ、より製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、上述した笠木取付構造MSを利用し、枠要素としての上枠12Aに笠木4を取り付けパネル構造体PAとして構成することにより、このパネル構造体PAは製造コストの低減を図るとともに、組み立て・分解を簡単に行うことができるものとなっている。
次に、以上のように構成されるパネル構造体PAについて、パネル要素2をフレーム1に取り付けるためのパネル取付構造PMに着目した場合、次のような特徴を有する。
すなわち、本実施形態におけるパネル取付構造PMは、フレーム1の一部を構成し、内部空間11sに繋がる開口13を形成された枠要素としての縦枠11と、開口13に脱着可能に取り付けられ、一部に掛止部UH,DHを設定された樹脂製のパネル保持部材7と、金属板を折曲げることで本体部21及び本体部21の裏面側に突出する折曲げ部23,24を形成されたパネル要素2とを備え、縦枠11の開口13に取り付けたパネル保持部材7の掛止部UH,DHにパネル要素2の折曲げ部23,24を掛止させることで、パネル要素2をフレーム1に対して取り付けるように構成したものである。
このように構成しているため、パネル要素2を構成する本体部21と折曲げ部23,24を金属板の折曲げによって容易に形成することができる上に、縦枠11に形成した開口13に取り付けたパネル保持部材7の掛止部UH,DHに折曲げ部23,24を掛止させることで、フレーム1に対してパネル要素2を簡単に取り付けることができる。そのため、パネル要素2に複雑な加工を行うことを要せず、製造コストを低減させすることが可能となる。さらには、金属板によって構成されるパネル要素2の折曲げ部23,24が、樹脂製のパネル保持部材7に掛止されることで取付けがなされることから、両者が接触することによる騒音を小さくするとともに、摩擦を和らげて部材の損傷を抑制することも可能となっている。
さらに、パネル要素2には、上縁21aに上折曲げ部23が形成されるとともに下縁21bに下折曲げ部24が形成され、パネル保持部材7には、上下に離間した位置に上側掛止部UHと下側掛止部DHが形成されており、下側掛止部DHにはパネル要素2の上折曲げ部23を掛止させ、上側掛止部UHには異なるパネル要素2の下折曲げ部24を掛止させるように構成しているため、同一のパネル保持部材7を利用して、異なるパネル要素2を取り付けることができるため、さらに部品点数を削減して製造コストの低減を図ることが可能となる。
パネル保持部材7は、複数の開口13a,13b,13cに跨がって回転を伴いながら装着されるように構成されており、パネル要素2に形成した折曲げ部23,24を掛止部UH,DHに掛止させることで、開口13a,13b,13cに取付けられたパネル保持部材7の回転が規制され、縦枠11からの取外しが禁止されるように構成しているため、パネル要素2をパネル保持部材7に掛止させることで、縦枠11からのパネル保持部材7の取外しを抑制することができるため、少ない部品点数でありながら取付状態を安定して維持することが可能となっている。
縦枠11には上下方向に近接して3つの開口13a,13b,13cが形成され、パネル保持部材7は、基体部71の後面側より上方に延出され、その先端より前方に向かって突出する突出片73と、基体部71の前面側より下方に延出され、その先端より後方に向かって延びる係止片75とが形成された側面視略S字状をなしており、パネル保持部材7を寝かした状態として、突出片73側を中段の開口13bに挿入した上で、パネル保持部材7を回転させて起立させることで、突出片73が上段の開口13aを介して前方に突出するとともに、係止片75が下段の開口13cに挿し込まれて係止されるように構成されているため、上述した縦枠11に対して回転を伴いながらパネル保持部材7を取り付ける構造を、より具体的に実現することが可能となっている。
さらに、突出片73に、折曲げ部24を掛止させるための掛止部UHを設定して構成しているため、パネル要素2をパネル保持部材7に掛止させることでパネル保持部材7の回転を禁止して、取外しを困難とする構造を、より具体的に実現することも可能となっている。
また、以上のように構成されるパネル構造体PAについて、パネル要素2同士を連結し得るパネル取付構造PMに着目した場合、次のような特徴を有する。
すなわち、本実施形態におけるパネル取付構造PMは、フレーム1と、フレーム1の表側及び裏側に取り付けられる複数のパネル要素2〜2と、パネル要素2〜2同士を連結するための連結部材86とを具備し、各パネル要素2は上縁21a及び下縁21bにフレーム1側に向かって突出する折曲げ部23,24が形成されており、連結部材86は、フレーム1の表側において上下に隣接して配置される2つのパネル要素2A,2B(2B,2C)に設けられた近接する2つの折曲げ部23,24と、これら2つのパネル要素2A,2B(2B,2C)と対向してフレーム1の裏側に配置される2つのパネル要素2D,2E(2E,2F)に設けられた近接する2つの折曲げ部23,24とを前後方向に連結するとともに、これらの折曲げ部23,24によって前後方向及び上下方向に支持されるように構成したことを特徴とする。
このように構成すると、連結部材86を4つのパネル要素2〜2が備える折曲げ部23,24によって支持させるとともに、この連結部材86によって、4つのパネル要素2〜2の折り曲げ部23,24を前後方向に連結することで、パネル要素2〜2同士が互いに支持し合って、面外方向への剛性を高めることができ、横枠12の位置に依存することなく振動等による面外方向への変位を好適に抑制することが可能となっている。
さらに、折曲げ部23,24は、フレーム1側に向かって延出する延出片23a,24aとその先端より下方に垂下する垂下片23b,24bとを備えており、連結部材86は、フレーム1の表側と裏側において上下に配されるパネル要素2〜2の折曲げ部23,24の延出片23a,24a同士の間に緊密に配置される上下位置規制体88をそれぞれ備え、これらの上下位置規制体88によって本体ブロック87が吊下されるとともに、本体ブロック87に設けられた4つの溝87a,87bに各折曲げ部23,24を構成する垂下片23b,24bの先端が挿入されるように構成しているため、折曲げ部23,24を構成する延出片23a,24a同士の間に上下位置規制体88が緊密に配置されることで、4つのパネル要素2〜2によって連結部材86を上下方向に支持することができ、本体ブロック87に形成された溝87a,87bに垂下片23b,24bの先端が挿入されることで、4つのパネル要素2〜2によって連結部材86を前後方向支持するとともに、4つのパネル要素2〜2同士を前後方向に連結することが可能となっている。
加えて、連結部材86は、フレーム1を構成する枠要素である横枠12と係合するための係合凹部89を備えるように構成しているため、連結部材86が備える係合凹部89を横枠12に係合させることで、パネル要素2〜2の剛性をさらに高め、パネル要素2の面外方向への変位をより一層低減することも可能となっている。
そして、上述したようなパネル取付構造PMを用いて構成することで、本実施形態のパネル構造体PAは、製造コストの低減と簡易な組み立てを実現するとともに、パネル要素2の変位を抑えたより高い性能を備えるものとなっている。
<第2実施形態>
図25は、本発明の第2実施形態におけるパネル構造体PAの一部を構成する取付補助部材106を示す斜視図である。第2実施形態におけるパネル構造体PAは、第1実施形態におけるパネル構造体PAを基に、取付補助部材6(図4参照)を取付補助部材106に変更したものであり、その他の部分に関する構造は第1実施形態と同様である。
また、この取付補助部材106は、第1実施形態と同様、上枠12A及び笠木4とともに、部材取付構造としての笠木取付構造MSを構成する。
図26は取付補助部材106の形状と機能について詳細に説明するための図であり、図26(a)は自然状態における正面図を、図26(b)は変形状態における正面図を示している。なお、図26に示す正面図は、パネル構造体PAとして組み立てた際(図3参照)に側面方向から見たものに対応する。
まず、取付補助部材106の詳細な形状に関し、図25及び図26(a)を用いて説明を行う。取付補助部材106は、厚み方向のいずれの位置における断面も同一形状とされており、樹脂による一体成形によって構成されている。この取付補助部材106は、第1次実施形態における取付部材6(図4参照)に比べて、前後方向を大きく形成されており、同一の上枠12Aに取り付けた場合であっても、表側と裏側のパネル要素2,2の距離を離して、パネル構造体PAとしての厚みを持たせることができるようになっている。なお、これに合わせて、笠木4及び側部カバー5(図22参照)の寸法を大きくしているが、これらの構造は上述した第1実施形態のものと同様である。そのため、これらについては、第1実施形態におけるものと同じ符号を使用して説明を省略する。
組み立てた際に上枠12Aの上板12c(図3参照)上に位置する部分には、ブロック状の本体壁161が形成され、この本体壁161の裏面161cには、幅方向両端近傍に、裏面161cとほぼ直交して延出壁162がそれぞれ延出している。そして、延出壁162の先端にはそれぞれ爪部165,165が互いに対向する向きに設けられている。
そして、これら本体壁161、延出壁162,162、爪部165,165によって囲まれることで内部空間106sが形成されており、爪部165,165の間で形成される開口部106opによって内部空間106sが下方に向かって開放される。すなわち、爪部165,165は、開口部106opを挟んで互いに対向している。
本体壁161の裏面161cと、延出壁162の内面162aと、爪部165の内面165aとは、上枠12A(図3参照)の外周に沿った形状とされており、上枠12Aの外周に嵌め合わせることで前後方向及び回転方向への位置規制を行うことが可能となっている。
また、本体壁161の表面161aには、笠木4(図3参照)を取り付けるため、幅方向、すなわち、内部空間106sに収める上枠12Aの長手方向に沿った方向に延びる一対の溝161b,161bが形成されている。そして、各溝161b,161bの外側には、それぞれ起立片167が形成され、その先端には、溝内161b,161bの内部に向かって突出する爪状の係止部167a,167aが設けられており、こうすることで第1実施形態における取付補助部材6(図4参照)と同様、本体壁161の表面161aには、笠木4(図3参照)を着脱可能に取り付けることができるようになっている。
また、延出壁162の外側にはブロック状の掛止体164がそれぞれ設けられ、その上部にはパネル要素2(図3参照)を掛止させるための掛止部164bを備えた弾性片164aが形成されている。
そして、上記溝161bの底部は、他の部分よりも薄肉に形成され、弾性変形可能な弾性部161dとなっている。そのため、図26(b)に示すように、弾性部161dを変形させることで、これに伴って延出壁162,162を互いに離間する方向に変位させ、開口部106opを拡大させることができる。また、この延出壁162,162の変位に伴い、これと連動して双方の溝161b,161bは溝幅が狭くなる。
以下、上述した取付補助部材106を利用して、上枠12Aに笠木4を取り付ける場合について、図25,25を参照しながら図27を用いて説明を行う。ここで、図27は、取付補助部材106を用いて上枠12Aに笠木4を取り付けた状態を示す断面図である。
取り付けに際し、まず、取付補助部材106の弾性部161dを変形させることで爪部165,165を離間させて、これらの間で形成される開口部106opを上枠12Aの前後方向寸法よりも大きくする。そして、この開口部106opを通過させて内部空間106sに上枠12Aを収容するように、取付補助部材106を上枠12Aに嵌め合わせる。
さらに、弾性部161dをもとの形状に戻すことで、開口部106opを縮小させるとともに、2つの爪部165,165を上枠12Aの下板12dに掛止させる。こうすることで、内部空間106sは上枠12Aの外周に沿った断面略矩形状とすることもできる。
このように上枠12Aに取付補助部材106を取り付けた後に、この取付補助部材106に対してパネル要素2,2と、笠木4を取り付ける。
パネル要素2,2は、取付補助部材106の前後に設けられている掛止部164bに、上折曲げ部23を構成する垂下片23bを掛止させることによって取り付けることができる。
笠木4は、取付補助部材6(図3参照)に取り付ける場合と同様、裏面41a側に設けた一対の延出片42を、取付補助部材106の本体壁161に形成された一対の溝161bに挿入することで行われる。この際、延出片42を、溝161b内に緊密に収まる寸法としていることから、延出片42を溝161b内に挿入している間は、弾性部161dの変形を抑制して、開口106opがそれ以上開くことを禁止させることができる。すなわち、弾性部161dの弾性変形に伴って溝幅の変化する溝161bと、この溝161b内に挿入される延出片42とは、開口106opを縮小させた状態で保持する保持手段HM2として機能している。
そのため、取付補助部材106は、笠木4を取り付けるのみで開口106opの拡大が禁止され、笠木4を取り外すのみで開口106opの拡大を許容した状態とすることができ、より取り付け・取外しを効率的に進めることが可能となる。
また、笠木4を取付補助部材106より取り外そうとした場合には、笠木4に設けられた被係止部42aが、取付補助部材106に設けられた係止部167aに強く当接して、溝161bを開こうとする力が作用する。その場合、溝161b底部の弾性部161dを支点として、爪部165,165が作用点となり開口106opを狭める方向に力が作用することから、上枠12Aに対する取付補助部材106の取付強度をより高めることができる。そのため、笠木4を強く引っ張っても取付補助部材106は、上枠12Aより外れることがなく、笠木4のみを外すことができる。
以上のように構成されるこの実施形態における部材取付構造としての笠木取付構造MSは、第1実施形態におけるものと同様、断面略矩形状の枠要素である上枠12Aと、この上枠12Aの外周に沿って取り付けられる取付補助部材106と、取付補助部材106に着脱可能に取り付けられる被取付部材としての笠木4とを具備し、取付補助部材106は、上枠12Aを収容可能な略矩形状の内部空間106sと、内部空間106sの一部を開放して上枠12Aの通過を可能とする開口部106opと、開口部106opを縮小させた状態で保持する保持手段HM2とを備え、上枠12Aの外周に取付補助部材106を嵌め合わせて保持手段HM2により開口部106opを縮小させた状態で保持することで上枠12Aと取付補助部材106との相対位置を規制し、保持手段HM2による保持を解除して開口部6opを開放又は拡大させることで上枠12Aと取付補助部材106とを脱着可能に構成されている。
このように構成されているため、枠要素である上枠12Aを単純な略矩形状にするのみで複雑な加工を行うことなく笠木4の取付け・取外しが可能となるため、上枠12Aの強度低下を招くことがない上に、製造コストを低減することも可能となる。また、部品点数が少なく、取付け・取外しを容易に行うことができるため、組立・分解に要する作業時間を短縮することも可能となるという、第1実施形態に準じた効果を得ることが可能である。
さらに、本実施形態における笠木取付構造MSにおいては、取付補助部材106は、一対の溝161b,161bを形成された本体壁161と、本体壁161の両端近傍より上枠12Aに沿って延出する一対の延出壁162,162とを具備し、各延出壁162,162には開口部106opを挟んで対向する位置に爪部165,165がそれぞれ形成され、各延出壁162,162は爪部165,165を互いに離間させる方向に変位可能とされ、この延出壁162の変位に伴って本体壁161に形成された溝161bが狭くなるように構成されており、溝161bとこの溝161bに挿入される延出片42によって保持手段HM2が構成されるようにしているため、溝161bに延出片42を挿入することで、取付補助部材106に対して笠木4を取り付けると同時に、延出壁162の変位を抑制して爪部165の間の開口106opが開くことを抑制することで、上枠12Aに対して取付補助部材106を保持させることができる。そのため、簡単に保持手段HM2を構成して製造コストの低減を図るとともに、取付け・取外しに要する作業時間を一層短縮することが可能となっている。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述した部材取付構造としての笠木取付構造MSは、枠要素としての上枠12Aに笠木4を取り付けるためのものとしていたが、笠木4以外の構造部材や装飾品等のあらゆる被取付部材を枠要素に対して取り付ける部材取付構造としても利用することができる。この場合、枠要素は縦枠、横枠等に限らず、何れの方向に配されるものであっても良く、その枠要素に対して直交する方向であれば、取付補助部材6を嵌め合わせる方向も上下左右いずれの方向に設定しても良い。
また、上述したパネル取付構造PMにおいては、パネル保持部材7を取り付けるための開口13を縦枠11の表側と裏側に形成していたが、パネル要素2を何れか一方の面にしか取り付ける必要がない場合には、表と裏の何れかのみに形成すれば良い。さらには、開口13は、枠要素の何れに対しても形成してパネル保持部材7を取り付けることができ、縦枠11のみならず、横枠12に形成することもできる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。