JP6377912B2 - 建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物に関する。
隣接する2つの建物を通路により相互に連結して構成された建築物において、これら2つの建物は地震時において異なる方向に水平変位する可能性があるため、これらの建物を連絡する通路は、各建物の相対的な動きを妨げないように構成する必要がある。このような通路としては、例えば、略長板形状に形成された通路の一端部を一方の建物の側面に対して固定し、他端部を他方の建物に対して相対動可能となるように接続する通路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−270506号公報
しかしながら、上記従来の建築物では、地震時に、2つの建物の各々が、これら2つの建物の隣接方向に沿って異なる方向に水平変位した場合には、各建物の相対的な動きを妨げない効果を得ることができるが、他の方向に沿って異なる方向に水平変位した場合には、各建物が相互に干渉し、各建物や通路に変形等を生じさせる可能性があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の建物を他の構造体で相互に連結する場合において、複数の建物が隣接方向以外の方向に沿って異なる方向に水平変位した場合であっても、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる、建築物を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の建築物は、設置面上に配置される複数の支持土台と、前記複数の支持土台によって支持される対象構造体と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台のうち少なくとも一つの緊結用支持土台とを、地震時において双方が同一の方向に水平変位可能となるように、かつ、前記対象構造体と前記緊結用支持土台を結ぶ軸線周りに回転不能となるように、接続する緊結支承手段と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台における前記第一支持土台とは異なる支持土台である変動用支持土台とを、地震時において双方が異なる方向に水平変位可能となるように接続する摺動支承手段とを備え、前記対象構造体は、中空空間部を持たない面状構造体であり、前記緊結支承手段を一つのみ設けた。
また、請求項に記載の建築物は、設置面上に配置される複数の支持土台と、前記複数の支持土台によって支持される対象構造体と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台のうち少なくとも一つの緊結用支持土台とを、地震時において双方が同一の方向に水平変位可能となるように接続する緊結支承手段と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台における前記第一支持土台とは異なる支持土台である変動用支持土台とを、地震時において双方が異なる方向に水平変位可能となるように接続する摺動支承手段とを備え、前記対象構造体は、中空空間部と、当該中空空間部を挟んで相互に対向する前記第一環状部及び前記第二環状部と、を備える環状構造体であり、前記緊結支承手段として、前記対象構造体における前記第一環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第一環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段と、前記対象構造体における前記第二環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第二環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段とを設けた。
請求項1に記載の建築物によれば、複数の支持土台と対象構造体を緊結支承手段と摺動支承手段で接続したので、地震時に、複数の支持土台の各々が、これら複数の支持土台の水平面内における様々な方向に沿って異なる挙動で変位した場合であっても、対象構造体の重量を緊結支承手段を介して支持土台で支持しつつ、対象構造体を摺動支承手段を介して異なる方向に水平変位可能とするので、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
また、対象構造体が、比較的剛性が高い面状構造体である場合には、緊結支承手段を一つのみ設けることで、対象構造体に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
請求項に記載の建築物によれば、複数の支持土台と対象構造体を緊結支承手段と摺動支承手段で接続したので、地震時に、複数の支持土台の各々が、これら複数の支持土台の水平面内における様々な方向に沿って異なる挙動で変位した場合であっても、対象構造体の重量を緊結支承手段を介して支持土台で支持しつつ、対象構造体を摺動支承手段を介して異なる方向に水平変位可能とするので、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
また、対象構造体が、比較的剛性が低い環状構造体である場合には、緊結支承手段を複数設けた場合においても、複数の緊結支承手段の相互間において対象構造体に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、複数の緊結支承手段によって対象構造体を一層確実に支持しつつ、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
また、対象構造体が中空空間部を囲繞する平面環状の構造体であるので、地震時に複数の支持土台が接近、又は離間した場合でも、環状構造体を構成する各部材に歪みを分散吸収させて変形を許容することが可能になる。
本発明の実施の形態1に係る建築物の外観を概略的に示す平面図である。 図1におけるA−A矢視断面図である。 図1におけるB−B矢視断面図である。 緊結支承部の周辺の外観を示す図であって、図4(a)は径方向に沿った鉛直断面における断面図、図4(b)は手摺を示す側面図、図4(c)は図4(a)におけるA−A矢視断面図である。 摺動支承部の周辺の外観を示す図であって、図5(a)は径方向に沿った鉛直断面における断面図、図5(b)は手摺を示す側面図、図5(c)は図5(a)におけるA−A矢視断面図である。 建築物の挙動を概略的に示す平面図であって、図6(a)は通常時を示す図、図6(b)は地震時を示す図である。 変形例に係る建築物の外観を概略的に示す平面図である。 他の変形例に係る建築物の外観を概略的に示す平面図である。 変形例に係る摺動支承部の要部の斜視図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る建築物の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、地震動による揺れを吸収して地震動による被害を低減する建築物に関する。ここで、この建築物の利用目的は任意であり、例えば飲食施設、娯楽施設、又は居住施設等として利用することができるが、本実施の形態においては商業施設として利用するものとして説明する。なお、この建築物を利用する者(例えば商業施設の来訪者や管理者等)を、以下では「利用者」と称して説明する。また、本実施の形態においては、建築物の構成として公知の点については適宜説明を省略する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
最初に、本実施の形態に係る建築物1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る建築物1の外観を概略的に示す平面図である。また、図2は、図1におけるA−A矢視断面図である。また、図3は、図1におけるB−B矢視断面図である。ここで、以下では、必要に応じて、これら図1から図3におけるX−X’方向を「幅方向」と称し、特にX方向を「右方向」、X’方向を「左方向」と称する。また、Y−Y’方向を「奥行き方向」と称し、特にY方向を「後方向」、Y’方向を「前方向」と称する。また、Z−Z’方向を「高さ方向」と称し、特にZ方向を「上方向」、Z’方向を「下方向」と称する。また、後述する対象構造体20の環状部21における平面環状中心位置から当該環状部21の各部に至る方向を「径方向」と称する。
これら図1、図2、及び図3に示すように、本実施の形態に係る建築物1は、支持土台10、対象構造体20、緊結支承部30、及び摺動支承部40を備えて構成されている。なお、図1においては、緊結支承部30の位置を黒丸(中が塗りつぶされた丸)、摺動支承部40の位置を白丸(中抜きの丸)により図示している。また、図2及び図3においては、建築物1の地盤面をGLで示し、この地盤面よりも上方の領域を以下では「地上」と称して説明する。
(構成−支持土台)
支持土台10は、設置面上(本実施の形態においては、地盤面上)に配置されて、対象構造体20を支持するための対象構造体支持手段である。この支持土台10は、地上において相互に所定の間隔を置いて4か所に設けられており、それぞれが任意の利用態様(本実施の形態においては、商業施設)により利用者によって利用される建築物である。ここで、各支持土台10を特に区別して説明がある場合には、それぞれ、「支持土台11」、「支持土台12」、「支持土台13」、又は「支持土台14」、のように区別して称し、区別して説明する必要が無い場合には、単に「支持土台10」と称して説明する。ここで、各支持土台10の形状や構造については任意であり、各支持土台10はそれぞれ相互に異なる形状や構造にて構成することができる。例えば、本実施の形態においては、支持土台11、支持土台12、及び支持土台13は、それぞれが相互に異なる略多角柱形状に形成された公知の鉄筋コンクリート造の建屋である。また、支持土台14は、図2に示すように、建屋と、この建屋の側方に独立して設置された支持柱を備えて構成されており、これらの建屋及び支持柱はいずれも鉄筋コンクリート造にて構成されている。この支持土台14の一部である支持柱のように、支持土台10は必ずしも任意の利用態様により利用者に利用される建築物でなくても構わず、例えば単なる柱のように対象構造体20を支持する機能のみを有する構造体であって、利用者により利用されない構造体であっても良い。また、支持土台10は例えば略円柱形状に構成されても良く、また鉄骨造や木造の建築物であっても構わない。なお、図1においては、各支持土台10の二階床面を「2F」、三階床面を「3F」と図示している。
(構成−対象構造体)
対象構造体20は、支持土台10によって支持される構造体であって、環状部21を備えている。この環状部21とは、中空空間部26を囲繞する平面環状の構造体であって、支持土台10の上面に対して緊結支承部30及び摺動支承部40を介して接続されることにより、各支持土台10の上方の位置に水平に配置されている。なお、この環状部21の具体的な形状等については任意であるが、本実施の形態における環状部21は、鉛直断面の形状が所定長さ(例えば、5000mm)の長辺及び所定長さの短辺(例えば、150mm)から成る長方形となっている平面略楕円環状の構造体であり、鉄筋コンクリートにより形成されている。
ここで、環状部21の上面は、利用者が移動可能な通路として構成されている。具体的には、支持土台10における複数の位置には、支持土台10の上面から環状部21の上面へと利用者をアクセス可能とさせる経路(例えば、支持土台10の上面と環状部21の上面とを接続する階段等)が設けられている。なお、本実施の形態においては、各支持土台10の上面に対してこのアクセス経路が設けられており、利用者はこのアクセス経路を通って各支持土台10の上面と環状部21の上面とを自在に出入りすることができる。すなわち、利用者は環状部21を通って他の支持土台10へと移動することができる。この環状部21の利用目的は任意であるが、本実施の形態における環状部21は、単なる通路としてのみでなく、利用者が環状部21の上面においてジョギングやランニングをするためのトラックとして利用可能となるように構成されており、このため、環状部21の上面には、このような利用目的に適した素材(例えばポリウレタン系のゴム素材等)が敷設されている。また、この環状部21の径方向における両端部には、この環状部21の全周に渡り、利用者が環状部21からの落下を防止するために手摺27が設けられている(後述する図4(b)、図5(b)参照)。
緊結支承部30は、支持土台10と環状部21との双方を、地震時において同一の方向に水平変位可能となるように接続する(このような接続を、以下では必要に応じて「緊結接続」と称する)する緊結支承手段である。「同一の方向に水平変位」とは、地震時(風荷重を受けた場合の揺れも含むものとする。)において、支持土台10と、対象構造体20を支持する支承手段とが、水平方向に一体となって変位することを意味する。「変位可能」とは、地震動に起因して支持土台10と環状部21が変位する場合の他、地震動があっても小さい等のために、支持土台10と環状部21が変位しない場合を含む意味である。ここで、この緊結支承部30の設置位置は、支持土台10と環状部21との相互間の位置である限りにおいて任意であるが、本実施の形態においては、支持土台11と環状部21との相互間の位置、及び支持土台13と環状部21との間に、それぞれ複数台の緊結支承部30が設置されているものとして説明する。
図4は、緊結支承部30の周辺の外観を示す図であって、図4(a)は径方向に沿った鉛直断面における断面図、図4(b)は手摺27を示す側面図、図4(c)は図4(a)におけるA−A矢視断面図である。この図4に示すように、緊結支承部30は、概略的に、固定台31、ベースプレート32、及び角型鋼33を備えて構成されている。
固定台31は、高さ方向に所定の高さ(例えば、650mm)を有する略直方体形状のコンクリート材であって、支持土台10の上面から上方に突設されている。ベースプレート32は、固定台31の上面に無収縮モルタル34を介して設置された板状体であって、当該ベースプレート32、無収縮モルタル34、固定台31を順次挿通するアンカーボルトによって、固定台31に対して接合されている。角型鋼33は、公知の角型鋼管であって、その下端部においてベースプレート32に溶接接合され、その上端部にはH形鋼の梁が跳ね出し梁として接続されており、このH形鋼に環状部21が接合されている。このように、支持土台10と環状部21とを固定的に接続することで、支持土台10と環状部21とを緊結支承部30を介して緊結接続することが可能となる。なお、このような緊結支承部30の具体的な構成については公知であるため、詳細な説明を省略する。
(構成−摺動支承部)
図5に示すように摺動支承部40は、支持土台10と環状部21とを、地震時において異なる方向に水平変位可能となるように接続(このような接続を、以下では必要に応じて「変動接続」と称する)する摺動支承手段である。「異なる方向に水平変位」とは、地震時において、支持土台10の変位方向とは全く関係なく、対象構造体20を支持する支承手段が、水平方向に変位することを意味する。地震動に起因して支持土台10と環状部21が水平面内に沿って変位する場合において、これら支持土台10と環状部21が、変位方向又は変位量の少なくとも一方において異なる変位を行うことを意味する。「変位可能」とは、地震動に起因して支持土台10と環状部21が異なる変位を行う場合の他、同じ変位を行う場合や、地震動があっても小さい等のために支持土台10と環状部21が変位しない場合を含む意味である。なお、変位可能な方向に関しては、水平面内に沿った任意の方向に変位可能とすることが好ましいが、特定方向のみに沿って変位可能としてもよい。ここで、この摺動支承部40の設置位置は、支持土台10と環状部21との間にある限りにおいて任意であるが、本実施の形態においては、支持土台12と環状部21との間に、及び支持土台14と環状部21との間に、それぞれ複数台の摺動支承部40が介装されているものとして説明する。また、摺動支承部40は各設置位置において、径方向に沿って二台一組で配置されているものとし、以下では特記する場合を除いて、これら一組の摺動支承部40を単に摺動支承部40と称して説明する。このように、緊結支承部30と異なり摺動支承部40を二台一組で配置する理由は、これら一組の摺動支承部40の並設方向に沿って長期的な荷重が偏在するような場合であっても、摺動支承部40が転倒することを防止するためである。
図5は、摺動支承部40の周辺の外観を示す図であって、図5(a)は径方向に沿った鉛直断面における断面図、図5(b)は手摺27を示す側面図、図5(c)は図5(a)におけるA−A矢視断面図である。この図5に示すように、摺動支承部40は、概略的に、固定台41、滑面板42、ベースプレート43、及びH型鋼44を備えて構成されている。
固定台41は、所定の高さ方向に沿った長さ(例えば、650mm)を有する略直方体形状のコンクリート材であって、支持土台10の上面から上方に向けて突設されている。滑面板42は、固定台41の上面に無収縮モルタル45を介してベースプレート43の下面に設置された板状体であって、表面の摩擦が小さい公知の滑り材(四フッ化エチレン樹脂(PTFE),テフロン(登録商標))として構成されている。ベースプレート43は、滑面板42の上面に載置されるステンレス製の長板形状体として形成され、厚み方向に沿って貫通された平面正方形状のルーズ孔43aがベースプレート43の長辺方向に沿って2か所に並設されている。H型鋼44は、公知のH型鋼管であって、その下端部においてベースプレート43に対して溶接接合され、その上端部において環状部21の下面に対してボルト接合されている。そして、アンカーボルトが、ベースプレート43の上面から、ルーズ孔43a、滑面板42、及び無収縮モルタル45を順次介して固定台41へと至るように挿通されている。このような構成により、地震時において支持土台10が水平変位した場合であっても、ベースプレート43と滑面板42とは相互に異なる方向に水平変位し、滑面板42に挿通されたアンカーボルトはベースプレート43に設けられた正方形状のルーズ孔43aの内部において前後左右方向へ摺動自在に、及びこれらの相互間の方向に変動する。このように、ベースプレート43と滑面板42とが相互に固定的に接続されていない構成とすることにより、地震時においてベースプレート43が滑面板42の上面を滑動して地震動を吸収するため、支持土台10の振動が対象構造体20に直接伝達されることを防止できる。なお、このような摺動支承部40の具体的な構成については公知であるため、詳細な説明を省略する。
(地震時の挙動)
次に、上記のように構成された建築物1における、地震時の挙動について説明する。図6は、建築物1の挙動を概略的に示す平面図である。図6(a)は、地震動が発生していない場合(以下、必要に応じて「通常時」と称する)の建築物1であって、地震動に基づく変形が生じていない建築物1を示し、図6(b)は、地震動が発生している場合(以下、必要に応じて「地震時」と称する)の建築物1であって、地震動に基づく変形が生じている建築物1を示す。なお、図6(b)においては、地震時における建築物1の位置を実線で示し、通常時における建築物1の位置を点線で示している。
ここで、本実施の形態に係る建築物1の挙動を説明するために、図6においては、説明の便宜上、支持土台10をそれぞれ平面略長方形状の直方体にて模式的に図示し、対象構造体20を平面略長方形環状の構造体にて模式的に図示している。ただし、対象構造体20をその他の環状の構造体(例えば、図1に示したような平面円環状の構造体等)にて形成する場合についても、下記と同様に建築物1の挙動は下記の説明と同様である。
また、これらの対象構造体20及び支持土台10は所定の高さを有するが、図6はその上面の外枠のみを図示している。また、上述した構成の説明と同様に、支持土台11及び支持土台13は対象構造体20に対して複数の緊結支承部30を介して接続され、支持土台12及び支持土台14は対象構造体20に対して複数の摺動支承部40を介して接続されているものとし、緊結支承部30を黒点、摺動支承部40を白点にて示している。なお、これらの緊結支承部30を区別して説明する場合には、緊結支承部30a〜h、摺動支承部40a〜hのように符号を付して称して説明する。また、対象構造体20の環状部21のうち、前側に位置する幅方向に沿うように配置された部分を「前部22」、後側に位置する幅方向に沿うように配置された部分を「後部23」、右側に配置された部分を「右部24」、左側に配置された部分を「左部25」、と必要に応じて称して説明する。
ここで、本実施の形態においては、地盤面が支持土台11、13の長手方向(図6の左右方向)に振動するような地震動を想定し、支持土台11は右方向に水平変位し、支持土台13は左方向に水平変位しているものとする。なお、支持土台12、14は環状部21に対して変動接続されているため、環状部21に対して水平方向に沿った応力の影響はない。したがって、支持土台12、14の水平変位は考慮せず、支持土台12、14は水平変位していないものと想定できる。
ここで、支持土台11は緊結支承部30を介して後部23に対して接続され、支持土台13は緊結支承部30を介して前部22に対して接続されているため、地震時においては図6(b)に示すように、後部23は支持土台11と同一の水平方向に変位し、前部22は支持土台13と水平方向に同一の水平方向に変位する。すなわち、支持土台11は右方向に水平変位しているので、後部23は支持土台11に追従して右方向に変位しており、支持土台13は左方向に水平変位しているので、前部22は支持土台13に追従して左方向に変位することになる。
また、支持土台12は摺動支承部40を介して右部24に対して接続され、支持土台14は摺動支承部40を介して左部25に対して接続されているため、地震時においては図6(b)に示すように、右部24は支持土台12と異なる方向に水平変位し、左部25は支持土台14と異なる方向に水平変位する。すなわち、右部24の後寄りの位置は後部23と接続されているため後部23の右方向に向けた変位に追従して右方向に水平変位し、右部24の前寄りの位置は前部22と接続されているため前部22の左方向に向けた変位に追従して左方向に水平変位する。また同様に、左部25の後寄りの位置は後部23と接続されているため後部23の右方向に向けた変位に追従して右方向に水平変位し、左部25の前寄りの位置は前部22と接続されているため前部22の左方向に向けた変位に追従して左方向に水平変位する。
(緊結支承部及び摺動支承部の設置位置)
次に、緊結支承部30及び摺動支承部40の設置位置について説明する。
(緊結支承部及び摺動支承部の設置位置−決定手順)
これらの設置位置の決定手順について説明する。まず、緊結支承部30の設置位置の決定手順は、環状部21の一部分であって、緊結支承部30を設置する位置の目安となる部分となる「第一環状部」を決定する。この第一環状部は環状部21における一部分である限り任意の位置に決定して良いが、本実施の形態においては、第一環状部として環状部21における地点P1を決定したものとして説明する(図6(a)参照)。次に、同じく環状部21の一部分であって、緊結支承部30を設置する位置の目安となる部分となる「第二環状部」を決定する。この第二環状部についても環状部21における一部分である限り任意の位置に決定して良いが、本実施の形態においては、第二環状部として環状部21における地点P2を決定したものとして説明する。ちなみに、地点P1、P2を決定する目的は、後述する建築物1が地震時に受ける水平面内での部材角θを特定する根拠となっている。
続いて、これら第一環状部及び第二環状部に基づいて、実際に緊結支承部30を設置する位置を決定する。具体的には、第一環状部の周囲領域である第一緊結領域(例えば、第一環状部を中心として半径5m以内の領域)、及び第二環状部の周囲領域である第二緊結領域(例えば、第二環状部を中心として半径5m以内の領域)に緊結支承部30を設置する。例えば本実施の形態では、地点P1の周囲領域に緊結支承部30aを設置し、地点P2の周囲領域に緊結支承部30eを設置している。なお、本実施の形態においては、環状部21をより安定的に支承するために、前記緊結支承部30a、30eの二点以外にも緊結支承部30(緊結支承部30b〜d、f〜h)を設置しているが、これら複数の緊結支承部30を設置しなくても環状部21の自重に十分に耐え得るのであれば、これらの緊結支承部30b〜d、f〜hは設置しなくても好適に実施できる。
次に、摺動支承部40の設置位置の決定手順は、上述した手順により緊結支承部30の設置位置を決定し、その後に当該摺動支承部40の設置位置を決定する。ここで、この摺動支承部40の設置位置は、支持土台10と環状部21との間に介装する限りにおいて任意であり、例えば緊結支承部30の近傍に設置する事も可能である。ただし、変動接続する意義を考慮すると、環状部21における緊結支承部30が設置された部分とは異なる方向に水平変位する部分に当該摺動支承部40を設置することがより望ましい。なお、緊結支承部30及び摺動支承部40は、支持構造を極力簡素化する観点から、支持土台11〜14における屋上梁の上部や柱頭に設けることが好ましく、このように位置を優先的に設置位置として選択することが好ましく、このような位置が選択できない場合には、支持土台11〜14にスラブ補強したり小梁を設けたりすることで支持構造を構築してもよい。
(緊結支承部及び摺動支承部の設置位置−設置位置の最適化)
次に、緊結支承部30及び摺動支承部40の設置位置を最適化するための工夫について説明する。なお、「設置位置の最適化」とは、対象構造体20に生じる部材角を許容値内とすることにより、建築物1の耐震性能を維持させることが可能となるように、設置位置を決定することを意味する。
まずは、支持土台11と支持土台13との相互間の水平変位量の差に基づいて右部24及び左部25に生じる部材角θについて説明する。ここで、図6(b)では、地震時において支持土台11と支持土台13との幅方向の水平変位量の差が最大となる状態(本実施の形態においては、支持土台11が右方向に最大に変位し、かつ、支持土台13が左方向に最大に変位した状態)における支持土台10及び対象構造体20の位置を実線にて示している。このように幅方向における水平変位量の差が最大となる状態における、支持土台11の変位量をd1(mm)、支持土台13の変位量をd3(mm)で表す。また、通常時における第一環状部から第二環状部に至る距離(以下、相互間距離)をs(mm)で表す。
この際に、部材角θは、下記式(1)により表すことが出来る。
θ≒tanθ
=|d1−d3|/s・・・(1)
ここで、例えば、許容値として部材角θは、下記式(2)を満たすことが望ましい。
θ≦1/200・・・(2)
例えば、d1=50mm、d2=−50mm、s=54000mmとなるように建築物1を構成した場合、
θ=|50−(−50)|/54000
=(1/540)<(1/200)
となるため、上記式(2)を満たす。
ここで、上記式(1)によれば、対象構造体20に生じる部材角θを低減して建築物1の耐震性能を向上させるためには、相互間距離sを大きくすれば良いことが分かる。したがって、以下ではこのように相互間距離sを大きくするための三つの工夫について説明する。
まず一つ目の工夫としては、上述した決定手順において、第一環状部及び第二環状部を、中空空間部26を介して対向する位置に決定する。なお、「中空空間部26を介して対向する位置」とは、環状部21における対角線上の位置に限らず、例えば中空空間部26を介する短手方向や長手方向に沿った直線上の位置も含む概念である。本実施の形態においては、環状部21における短手方向に沿った直線上に第一環状部及び第二環状部が位置するように、第一環状部及び第二環状部を決定している。このような構成によれば、水平変位量の差が最大となっても、充分に相互間距離sが確保されて部材角θを許容値内に収めることができ、建築物1の耐震性能を維持させることが出来る。また、このように対象構造体20を、中空空間部26を囲繞する平面環状の構造体に形成することにより、例えば支持土台10と支持土台13とが、接近、又は離間した場合でも、歪みが環状部21を構成する各部材に分散吸収されて変形を許容できる。
二つ目の工夫としては、対象構造体20が特定の方向を長手方向とする平面長環状の対象構造体20として形成されている場合、上述した決定手順において、長手方向に沿って第一環状部及び第二環状部が配置されるように、第一環状部及び第二環状部の位置を決定する。具体的には、まず本実施の形態においては、上述したように後部23の一部分を第一環状部とし前部22の一部分を第二環状部として決定している(すなわち対象構造体20の短手方向に沿って第一環状部及び第二環状部を決定している)が、これを、右部24の一部分を第一環状部とし左部25の一部分を第二環状部として決定することにより、対象構造体20の長手方向に沿って第一環状部及び第二環状部が配置されるように、第一環状部及び第二環状部の設置位置を決定することができる。このように対象構造体20の長手方向に沿って第一環状部及び第二環状部を配置することにより、上述した相互間距離sを一層大きくすることができ、部材角θを一層許容値内として建築物1の耐震性能を維持させることが出来る。この場合、図6において、緊結支承部30の位置を白丸(中抜きの丸)、摺動支承部40の位置を黒丸(中が塗りつぶされた丸)にそれぞれ変更した態様となる。
三つ目の工夫としては、上述した決定手順において、第一緊結領域に属する緊結支承部30又は第二緊結領域に属する緊結支承部30のいずれかから摺動支承部40に至る最短距離よりも、第一緊結領域に属する緊結支承部30と第二緊結領域に属する緊結支承部30との相互間の最短距離が大きくなるように、第一環状部及び第二環状部の位置を決定する。例えば本実施の形態においては、第一緊結領域に属する緊結支承部30(緊結支承部30a)から摺動支承部40に至る最短距離(すなわち、緊結支承部30aから摺動支承部40eに至る直線距離)よりも、第一緊結領域に属する緊結支承部30(緊結支承部30a)と第二緊結領域に属する緊結支承部30(緊結支承部30e)との相互間の最短距離(すなわち、緊結支承部30aから緊結支承部30eに至る直線距離)が大きくなるように、緊結支承部30及び摺動支承部40が配置されている。このように、緊結支承部30の相互間の距離が、緊結支承部30から摺動支承部40に至る距離と比して比較的大きい距離となるように第一環状部及び第二環状部を配置することにより、上述した相互間距離sを一層大きくすることができ、部材角θを一層許容値内として建築物1の耐震性能を維持することが出来る。ただし、建築物1の平面形状や高さによっては、上記工夫を施さなくても、式(2)を満たすことが可能であるため、この場合には、上記工夫を省略してもよい。
(実施の形態1の効果)
このように、本実施の形態1に係る建築物1によれば、複数の支持土台10と対象構造体20を緊結支承部30と摺動支承部40で接続したので、地震時に、複数の支持土台10の各々が、これら複数の支持土台10の水平面内における様々な方向に沿って異なる挙動で変位した場合であっても、対象構造体20の重量を緊結支承部30を介して支持土台10で支持しつつ、対象構造体20を摺動支承部40を介して異なる方向に水平変位可能とするので、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
また、対象構造体20が、比較的剛性が高い面状構造体である場合には、緊結支承部30を一つのみ設けることで、対象構造体20に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
対象構造体20が、比較的剛性が低い環状構造体である場合には、緊結支承部30を複数設けた場合においても、複数の緊結支承部30の相互間において対象構造体20に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、複数の緊結支承部30によって対象構造体20を一層確実に支持しつつ、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。また、対象構造体20が中空空間部26を囲繞する平面環状の構造体であるので、地震時に複数の支持土台10が接近、又は離間した場合でも、環状部21を構成する各部材に歪みを分散吸収させて変形を許容することが可能になる。
また、中空空間部26を介して対向する第一緊結領域及び第二緊結領域において、緊結支承部30により支持土台10と対象構造体20とを接続するので、環状部21における第一環状部から第二環状部に至る部分の長さを増大して、対象構造体20の地震時において生じる部材角θを許容値内とすることができ、耐震性能の高い対象構造体20を構成することが可能となる。
また、第一環状部、及び第二環状部は長手方向に沿って配置されるので、環状部21における第一環状部から第二環状部に至る部分の長さを一層増大して、対象構造体20の地震時において生じる部材角θを一層許容値内とすることができ、耐震性能の高い対象構造体20を構成することが可能となる。
また、各緊結支承部30から摺動支承部40に至る最短距離よりも、各緊結支承部30の相互間の最短距離が大きくなるように、各緊結支承部30及び摺動支承部40を配置するので、環状部21における第一環状部から第二環状部に至る部分の長さを一層増大して、対象構造体20の地震時において生じる部材角θを一層許容値内とすることができ、耐震性能の高い対象構造体20を構成することが可能となる。
また、対象構造体20は、複数の支持土台10によって支持されるので、地震時において異なる方向に水平変位する複数の支持土台10を架け渡すように対象構造体20を設置することが可能となる。
また、対象構造体20は通路を備えるので、利用者は対象構造体20を介して支持土台10の相互間を移動可能となる。
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、耐震性能が従来と同程度に留まる場合であっても、従来と異なる手段によって対象構造体20の地震時において生じる部材角を許容値内とすることができている場合には、本発明の課題は解決されている。
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した建築物1の各部の寸法、形状、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、比率等とすることができる。
(摺動支承部について)
上記実施の形態においては、摺動支承部40は滑り支承であるものとして説明したが、これに限定されず、例えば免震ゴム支承や転がり支承であっても構わない。
(支持土台について)
上記実施の形態においては、支持土台10は複数配置されるものとして説明したが、実質的に複数配置されていればよく、見掛け上単一であってもよい。例えば、単一の支持土台10における各部が地震時において異なる方向に水平変位する場合には、当該各部のそれぞれに対して本実施の形態と同様に緊結支承部30又は摺動支承部40を介して対象構造体20を接続しても良い。図7は、変形例に係る建築物の外観を概略的に示す平面図である。この図7において、対象構造体20Aを支持する支持土台10Aは、見掛け上は単一の支持土台10Aであるが、実質的には、その第1棟10A1、第2棟10A2、第3棟10A3が、それぞれの棟間をエキスパンジョンジョイントにて連結しているので、地震時において異なる方向に水平変位するため、支持土台10Aが実質的に複数配置されていると言える。
(対象構造体について)
上記実施の形態においては、対象構造体20はその上面を移動可能な通路であって軸心方向における両端部に手摺27が配置されているものとして説明したが、対象構造体20の具体的な構成については任意であり、例えば対象構造体20は側壁や天井を備える構造体であっても良いし、複数の階を有する構造体であっても良い。
また、対象構造体20は必ずしも略水平に配置されている必要はなく、例えばスロープ状に形成されている部分を有していても良い。また、緊結支承部30及び摺動支承部40は複数の支持土台10における相互に同一の高さの位置に対して接続されているものとして説明したが、これに限定されず、相互に異なる高さの位置に対して接続されていても良い。この場合に、各緊結支承部30又は摺動支承部40の長さを調整することにより、対象構造体20が水平に配置されるように調整しても良い。
(各部の形状や相互関係について)
また、対象構造体20の平面形状は任意であり、本実施の形態に示す長円環状の他にも、正円環状、正方形環状等といった任意の構造により構成することが可能である。さらに、対象構造体20は、環状構造体に限定されず、中空空間部26がない面状構造体であってもよい。そして、このような対象構造体20の形状によって、緊結支承部30や摺動支承部40の設置数や設置位置を変更することができる。図8は、他の変形例に係る建築物の外観を概略的に示す平面図である。この図8において、4つの支持土台10Bは、菱形の4つの頂点の各々にほぼ対応する位置に配置されている。対象構造体20Bは、平面形状をやや横長の楕円形状とするものであって、中空空間部26がない面状構造体である。この対象構造体20Bは、4つの支持土台10Bのうちの一つの支持土台10B(図8における最上部の支持土台10B)と緊結支承部30で接続されており、4つの支持土台10Bのうちの他の3つの支持土台10と摺動支承部40で接続されている。このように、緊結支承部30と摺動支承部40は、対象構造体20Bと、相互に異なる支持土台10Bとを接続するものであって、それぞれ少なくとも1つ設けられていれば、その設置数や設置位置は任意である。特に、対象構造体20Bが面状構造体であるために、その剛性が比較的高い場合には、図8のように、緊結支承部30は1箇所にのみ設けることで、対象構造体20Bに限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止することが可能になる。一方、図1のように、対象構造体20が環状構造体等であるために、その剛性が比較的低い場合には、緊結支承部30を複数箇所に設けても、複数の緊結支承部30の相互間において対象構造体に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、複数の緊結支承手段30によって対象構造体20を一層確実に支持しつつ、建築物1に有害な変形等を生じなくすることができる。
(支承構造について)
緊結支承部30や摺動支承部40の具体的な構造は、公知の構造を採用することができる。図9は、変形例に係る緊結支承部50の要部の斜視図である。この図9に示すように、緊結支承部50は、一対の固定台51の各々にH型鋼52を立設し、これらH型鋼52の上端にH型鋼53を敷設し、このH型鋼53の上面にスライドレール54を敷設し、さらにスライドレール54に一対のスライドブロック55を配置して構成されている。このスライドブロック55は、スライドレール54に沿ってスライド可能であり、このスライドブロック55の上面に対象構造体20(図9において図示省略)を接続することで、対象構造体20をスライドレール54に方向に沿って変位可能としている。これによって、特に中空空間部26を有する対象構造体20の場合、図1に示す支持土台11、又は支持土台13の緊結支承部30を、図9に示す前記緊結支承部50に置換し、スライドレール54の材軸方向をY−Y’方向とすることで、奥行き方向は摺動自在(スライド)となり、支持土台11と支持土台13とが相対的に接近、または離間する際の変位を許容し、幅方向は実施の形態で説明したと同様に部材角θを許容することで、建築物1により有害な変形等を生じなくすることができる。なお、変形例に係る緊結支承部50と環状部21の歪みを分散吸収させる方法を併用しても好適に実施できる。
(部材角θについて)
本実施の形態では、部材角θは、上記式(2)(θ≦1/200)を満たすことが望ましいとして説明したが、これは許容値として単なる例示に過ぎず、環状部21の具体的な形状や素材に応じて他の条件(例えば、θ≦1/300)を用いても良い。
(付記)
付記1に記載の建築物は、設置面上に配置される複数の支持土台と、前記複数の支持土台によって支持される対象構造体と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台のうち少なくとも一つの緊結用支持土台とを、地震時において双方が同一の方向に水平変位可能となるように接続する緊結支承手段と、前記対象構造体と、前記複数の支持土台における前記第一支持土台とは異なる支持土台である変動用支持土台とを、地震時において双方が異なる方向に水平変位可能となるように接続する摺動支承手段とを備える。
また、付記2に記載の建築物は、付記1に記載の建築物において、前記対象構造体は、中空空間部を持たない面状構造体であり、前記緊結支承手段を一つのみ設けた。
また、付記3に記載の建築物は、付記1に記載の建築物において、前記対象構造体は、中空空間部と、当該中空空間部を挟んで相互に対向する前記第一環状部及び前記第二環状部と、を備える環状構造体であり、前記緊結支承手段として、前記対象構造体における前記第一環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第一環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段と、前記対象構造体における前記第二環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第二環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段とを設けた。
(付記の効果)
付記1に記載の建築物によれば、複数の支持土台と対象構造体を緊結支承手段と摺動支承手段で接続したので、地震時に、複数の支持土台の各々が、これら複数の支持土台の水平面内における様々な方向に沿って異なる挙動で変位した場合であっても、対象構造体の重量を緊結支承手段を介して支持土台で支持しつつ、対象構造体を摺動支承手段を介して異なる方向に水平変位可能とするので、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
付記2に記載の建築物によれば、対象構造体が、比較的剛性が高い面状構造体である場合には、緊結支承手段を一つのみ設けることで、対象構造体に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。
付記3に記載の建築物によれば、対象構造体が、比較的剛性が低い環状構造体である場合には、緊結支承手段を複数設けた場合においても、複数の緊結支承手段の相互間において対象構造体に限界以上の歪みを生じさせるようなことを防止でき、複数の緊結支承手段によって対象構造体を一層確実に支持しつつ、建築物に変形等を生じさせる可能性を低減することが可能になる。また、対象構造体が中空空間部を囲繞する平面環状の構造体であるので、地震時に複数の支持土台が接近、又は離間した場合でも、環状構造体を構成する各部材に歪みを分散吸収させて変形を許容することが可能になる。
1 建築物
10、10A、10B、11、12、13、14 支持土台
20、20A、20B 対象構造体
21 環状部
22 前部
23 後部
24 右部
25 左部
26 中空空間部
27 手摺
30、30a〜h、50 緊結支承部
31、41、51 固定台
32、43 ベースプレート
33 角型鋼
34、45 無収縮モルタル
40、40a〜h 摺動支承部
42 滑面板
43a ルーズ孔
44、52、53 H型鋼
54 スライドレール
55 スライドブロック
θ 部材角
d1 支持土台11の変位量
d3 支持土台13の変位量
P1、P2 地点
s 相互間距離

Claims (2)

  1. 設置面上に配置される複数の支持土台と、
    前記複数の支持土台によって支持される対象構造体と、
    前記対象構造体と、前記複数の支持土台のうち少なくとも一つの緊結用支持土台とを、地震時において双方が同一の方向に水平変位可能となるように、かつ、前記対象構造体と前記緊結用支持土台を結ぶ軸線周りに回転不能となるように、接続する緊結支承手段と、
    前記対象構造体と、前記複数の支持土台における前記第一支持土台とは異なる支持土台である変動用支持土台とを、地震時において双方が異なる方向に水平変位可能となるように接続する摺動支承手段とを備え、
    前記対象構造体は、中空空間部を持たない面状構造体であり、
    前記緊結支承手段を一つのみ設けた、
    建築物。
  2. 設置面上に配置される複数の支持土台と、
    前記複数の支持土台によって支持される対象構造体と、
    前記対象構造体と、前記複数の支持土台のうち少なくとも一つの緊結用支持土台とを、地震時において双方が同一の方向に水平変位可能となるように接続する緊結支承手段と、
    前記対象構造体と、前記複数の支持土台における前記第一支持土台とは異なる支持土台である変動用支持土台とを、地震時において双方が異なる方向に水平変位可能となるように接続する摺動支承手段とを備え、
    前記対象構造体は、中空空間部と、当該中空空間部を挟んで相互に対向する前記第一環状部及び前記第二環状部と、を備える環状構造体であり、
    前記緊結支承手段として、
    前記対象構造体における前記第一環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第一環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段と、
    前記対象構造体における前記第二環状部と、前記複数の支持土台のうち前記第二環状部に対応する支持土台とを接続する緊結支承手段とを設けた、
    建築物。
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