以下に、本発明に係る電源回路遮断装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
[実施形態]
図1〜3Cを参照して、本発明の一実施形態に係る電源回路遮断装置(サービスプラグ1)の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電源回路遮断装置の一例としてのサービスプラグの概略構成を示す分解斜視図である。図2は、図1中の第2コネクタハウジングの本体部を高さ方向下側から視た斜視図である。図3Aは、図1のサービスプラグの完全嵌合状態を示す斜視図である。図3Bは、図3Aのサービスプラグを高さ方向下側から視た平面図である。図3Cは、図3B中のX−X断面図である。
本実施形態に係る電源回路遮断装置としてのサービスプラグ1は、主に電気自動車、ハイブリッド車等の車両に搭載されており、バッテリ等の電源部から、回転電機等の負荷部への電源供給を行うための電源回路(図示せず)に組み込まれて、この電源回路を必要に応じて接続(通電、非遮断)、または、遮断する装置である。例えば、点検整備等の作業時などには、このサービスプラグ1により電源回路を遮断して非通電状態とし、感電防止等の作業者の安全を確保することができるよう構成される。
本実施形態では、サービスプラグ1が組み込まれる電源回路は例えば以下の構成をとる。この電源回路には、電源部と負荷部との間にメイン回路スイッチSW1(図3C参照)と、リレー回路とが直列接続される。メイン回路スイッチSW1は、電源部と負荷部とを電気的に接続された通電可能な状態(オン状態)、または、電気的に遮断された状態(オフ状態)のいずれかに切り替える機械式スイッチである。リレー回路は、信号回路スイッチSW2(図3C参照)によって動作を制御され、信号回路スイッチSW2がオン状態のとき動作して電源回路を通電状態とし、信号回路スイッチSW2がオフ状態のときに停止して電源回路を非通電状態とする電気回路である。つまり、電源回路は、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2が共にオン状態のときに、電源部と負荷部との間を通電状態とし、それ以外の場合には非通電状態とするよう構成される。
そして、本実施形態のサービスプラグ1は、これらのメイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2の機能を有するものである。より詳細には、後述するサービスプラグ1の一対のメイン端子13,23(第1端子)が、上記のメイン回路スイッチSW1として機能するものであり(図3C参照)、メイン端子13,23が接続することで電源回路を通電可能状態に切り替え、両者の接続を解除することで電源回路を遮断状態に切り替える。また、後述するサービスプラグの一対の信号端子15,27(第2端子)が、上記の信号回路スイッチSW2として機能するものであり(図3C参照)、信号端子15,27が接続することで電源回路を通電状態に切り替え、両者の接続を解除することで電源回路を非通電状態に切り替える。サービスプラグ1を用いて電源回路を遮断する場合には、先に、信号回路スイッチSW2をオフ状態に切り替えて電源回路を非通電状態として、その後に、メイン回路スイッチSW1をオフ状態に切り替えて電源回路を遮断状態とする手順がとられる。
ここで、メイン回路スイッチSW1は、上述のとおり電源回路上の一要素として構成される。電源回路は、負荷部に必要な高電圧を発生させる回路であるため、メイン回路スイッチSW1を構成する一対のメイン端子13,23間にも高電圧がかかる。このため、メイン回路スイッチSW1を「高圧回路スイッチ」、メイン端子13,23を「高圧側端子」とも表現することができる。一方、信号回路スイッチSW2は、電源回路に直接組み込まれず、電源回路を非導通状態とする要素(リレーや制御回路)への制御指令を作るものである。制御指令にはさほど高電圧を印加する必要が無いので、信号回路スイッチSW2を構成する信号端子15,27間には、メイン端子13,23と比較して低い電圧がかかる。このため、信号回路スイッチSW2を「低圧回路スイッチ」、信号端子15,27を「低圧側端子」とも表現することができる。
なお、信号回路スイッチSW2は、電源回路の通電/非通電を物理的に切り替えるリレー回路のスイッチ以外にも適用可能であり、例えば、電源回路の電源部の動作を制御する制御回路への制御入力に適用することもできる。この場合、信号回路スイッチSW2がオン状態のとき電源部が駆動し、オフ状態のとき電源部が停止するように制御させることができる。
図1,3Aに示すように、サービスプラグ1は、第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング10に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回動可能に設けられるレバー30とを備えている。
以下の説明では、図1に示す第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との対向方向(図1の上下方向)を「高さ方向」と表記し、第2コネクタハウジング20が位置する側を「上側」、第1コネクタハウジング10が位置する側を「下側」と表記する。なお、高さ方向は、必ずしも鉛直方向と同一でなくても良い。そして、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に対して嵌合する方向である、高さ方向下側へ向かう方向を「嵌合方向」とも表記し、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10から離脱する方向である、高さ方向上側へ向かう方向を「離脱方向」とも表記する。また、レバー30の後述する一対のアームプレート部31が対向する方向を「第1幅方向」と表記し、この第1幅方向及び高さ方向に直交する方向を「第2幅方向」と表記する。すなわち、高さ方向が鉛直方向である場合、第1幅方向及び第2幅方向は共に水平方向である。
また、以下の説明では、図1に示すように、レバー30が回動する位置のうち、レバー30の長手方向が高さ方向に向いた倒立状態となる位置を「非嵌合位置」と表記し、一方、図3Aに示すように、レバー30が非嵌合位置から高さ方向下側に向けて略90度回動し、レバー30の長手方向が第2幅方向に向いた位置を「完全嵌合位置」と表記する。そして、この非嵌合位置と完全嵌合位置との間となるレバー30の所定の中間位置(図5A参照)を「信号回路遮断位置」と表記する。完全嵌合位置は、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2が共にオン状態となるレバー30の位置である。非嵌合位置は、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2が共にオフ状態となるレバー30の位置である。信号回路遮断位置は、信号回路スイッチSW2がオフ状態となり、メイン回路スイッチSW1がオン状態となるレバー30の位置である。
第1コネクタハウジング10はコネクタ嵌合室11を有する。コネクタ嵌合室11は、高さ方向に立設される周壁により形成され、高さ方向上側に開口を有する。コネクタ嵌合室11内には、図3Cに示すように、一方側のメイン端子13が配置されている。このメイン端子13は、本実施形態では図3Cに示すように雌端子である。また、コネクタ嵌合室11内には、一方側の信号端子15も配置されている。この信号端子15は、本実施形態では図3Cに示すように雌端子である。これらのメイン端子13及び信号端子15は、図3Bに示すように、第1コネクタハウジング10の高さ方向下側から外部に露出しており、電源回路の電線Cに接続されている。また、メイン端子13は、信号端子15と比較して、高さ方向の上端の位置を高く配置されており、これにより、第1コネクタハウジング10が第2コネクタハウジング20から離脱する際に、信号端子15よりも長く接続状態を維持できるよう構成されている。
コネクタ嵌合室11の周壁の外面には一対のカムピン12が設けられている。一対のカムピン12は、コネクタ嵌合室11の周壁のうち第2幅方向に沿った略中央部分であり、かつ、第1幅方向に沿って対向する位置に、周壁から外側へ突出して設けられている。カムピン12の突出方向は、後述する回転支持軸24の延在方向と同方向である。
第1コネクタハウジング10には、コネクタ嵌合室11の外側に衝立部14が設けられている。衝立部14は、コネクタ嵌合室11から第2幅方向に隣接されている。衝立部14は、コネクタ嵌合室11の周壁に対して、高さ方向に略U字状に立設された外壁部を接続して形成され、上方に開口を有し、外壁部及び周壁により形成される収容空間を有している。衝立部14は、レバー30が完全嵌合位置に位置するときに、後述するレバー30のフード部37と嵌合するよう配置されており、これにより、フード部37の内部に設けられるロック解除部36を収容可能に構成されている。
第2コネクタハウジング20は、ハウジング本体21と、このハウジング本体21の上面に装着されたカバー22とを備えている。ハウジング本体21は、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室11に嵌合・離脱できる寸法・形態に形成されている。
ハウジング本体21の下部には、図2に示すように、他方側のメイン端子23が設けられている。このメイン端子23は、本実施形態では図2に示すように雄端子である。メイン端子23は、ハウジング本体21より下方に突出している。第1コネクタハウジング10側のメイン端子13と第2コネクタハウジング20側のメイン端子23によって、サービスプラグ1が組み込まれる上述の電源回路におけるメイン回路スイッチSW1が構成されている。
また、ハウジング本体21には、図2に示すように他方側の信号端子27が設けられている。この信号端子27は、本実施形態では図2に示すように雄端子である。第1コネクタハウジング10側の信号端子15と、第2コネクタハウジング20側の信号端子27によって信号回路スイッチSW2が構成されている。図2,3Cに示すように、信号端子27は、メイン端子23と比較して、高さ方向の下端の位置を高く配置されており、これにより、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に嵌合する際に、メイン端子23よりも遅いタイミングで接続状態となるように構成されている。言い換えると、信号端子27は、メイン端子23よりも、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に深く嵌合した時点で接続状態に切り替わる。この切り替えのタイミングは、好ましくは、第1コネクタハウジング10に対して第2コネクタハウジング20が最深部まで嵌合している状態である。これにより、信号端子15,27による信号回路スイッチSW2は、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に完全に嵌合されている状態を検知するための嵌合検知スイッチとしても機能することができる。
図1,2,3Aに示すように、カバー22は、上面22aの周縁の全周に亘って高さ方向下側に延在する周壁22bを有し、この周壁22bの外表面に一対の回転支持軸24が突設されている。一対の回転支持軸24は、周壁22bのうち、第2幅方向に沿った略中央部分であり、かつ、第1幅方向に沿って対向する位置に、周壁22bから外側へ突出して設けられている。一対の回転支持軸24は、相互の軸方向が同一線上に配置されるように形成されている。一対の回転支持軸24の軸方向は、第1幅方向と平行となるように配置されている。
図1,2に示すように、カバー22の周壁22bのうち、第2幅方向の一端部側の面に、係止爪25が設けられている。係止爪25は、後述するレバー30のロック部35を係止することで、レバー30の回動を規制するものである。係止爪25は、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に嵌合している状態において、第1コネクタハウジング10の衝立部14の上方に配置されるように構成されている。係止爪25は、レバー30が信号回路遮断位置に位置する状態において、レバー30のロック部35を係止できるよう形成されている。
また、図1,2に示すように、カバー22の周壁22bには一対のレバー保持部26が設けられている。一対のレバー保持部26は、レバー30が完全嵌合位置に位置する状態において、レバー30に係止されることで、レバー30の回動を規制し、レバー30を完全嵌合位置に位置決めする。
レバー30は、一対のアームプレート部31と、一対のアームプレート部31間を回動先端側で連結するレバー操作部32(操作部)とを備えている。一対のアームプレート部31は、それぞれが長手形状(略長方形状)の板状部材であり、一方の主面が対向するよう平行に配置され、各プレート部31の長手方向の一方の端部(回動端部)側にレバー操作部32が連結される。これにより、レバー30は略U字状に形成されている。以下では、レバー30の略U字状の延在方向を、各アームプレート部31及びレバー操作部32の「長手方向」と表現し、この長手方向に直交し、かつ、アームプレート部31が延在する方向を「短手方向」と表現する。
一対のアームプレート部31には、一対の回転受け部33が設けられている。この一対の回転受け部33には、第2コネクタハウジング20の一対の回転支持軸24が、アームプレート部31の内表面側から軸支されている。これにより、レバー30は、一対のアームプレート部31の内表面が第2コネクタハウジング20の周壁22bの外表面と対向するように、第2コネクタハウジング20の外周側に配置され、かつ、第2コネクタハウジング20に対して回転支持軸24の軸線まわりに回動自在に支持されている。より詳細には、レバー30は、図1に示すように、アームプレート部31の長手方向が高さ方向に向き、かつ、回動端部側のレバー操作部32が高さ方向上側に配置される倒立状態となる「非嵌合位置」と、図3Aに示すように、非嵌合位置から高さ方向下側に向けて略90度回動し、アームプレート部31の長手方向が第2幅方向に向き、かつ、操作部32が第1コネクタハウジング10の衝立部14の直上に配置される「完全嵌合位置」との間で、回動可能に構成されている。
一対のアームプレート部31には、一対のカム溝34が形成されている。この一対のカム溝34に第1コネクタハウジング10のカムピン12が係合可能とされている。図1,3Aに示すように、カム溝34は、カムピン12の進入が可能な進入ストレート部34aと、この進入ストレート部34aに連通する曲線部34bと、この曲線部34bに連通する終端部34cとを有する。曲線部34bは、進入ストレート部34a側の端部から終端部34c側へ進むにつれて、回転受け部33の中心からの距離が徐々に減少するよう形成されている。終端部34cは、回転受け部33の中心からの距離が一定であり、その終端(進入ストレート部34a側からの最奥位置)が行き止まりとなっている。
レバー30のカム溝34は、レバー30が非嵌合位置にある状態で、図1に示すように、進入ストレート部34aが高さ方向下側に開口し、第1コネクタハウジング10のカムピン12を進入ストレート部34aに挿入させることで、カムピン12を内部に係合できるよう形成されている。レバー30は、カム溝34にカムピン12係合させた状態で、カム溝34内をカムピン12が移動しつつ「非嵌合位置」と「信号回路遮断位置」を経た「完全嵌合位置」との間を回動する。非嵌合位置では、進入ストレート部34aにカムピン12が位置する。完全嵌合位置では、終端部34cの最奥位置にカムピン12が位置する。信号回路遮断位置を含む、非嵌合位置と完全嵌合位置との間では、曲線部34bにカムピン12が位置する。
つまり、レバー30の非嵌合位置と完全嵌合位置との間の回動過程では、カムピン12が曲線部34bを移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間に嵌合力又は離脱力が作用し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20間が嵌合方向に、又は、離脱方向に移動する。
ここで、上記のレバー30の回動過程において、レバー操作部32は、レバー30を回動させる際に荷重(操作力)が付加される箇所、即ちレバー30の「力点」として機能する。また、カム溝34に挿入された第1コネクタハウジング10のカムピン12は、レバー30の「支点」として機能する。さらに、レバー30の一対の回転受け部33に軸支される第2コネクタハウジング20の一対の回転支持軸24は、レバー30の第2コネクタハウジング20に対する「作用点」として機能する。レバー操作部32は、レバー30の長手方向の一端側の回動端部側に設けられている。また、カム溝34に挿入されたカムピン12は、レバー操作部32とは反対側のレバー30の長手方向の他端側に配置される。回転支持軸24は、レバー操作部32とカムピン12との間のレバー30の長手方向の中間部に配置される。つまり、レバー30は、支点、力点、作用点を一直線上に並べたときに、作用点が支点と力点との間に位置するてこ、所謂、第二種てことして機能するものである。
さらに、図1,3Aに示すように、支点としてのカムピン12と、力点としてのレバー操作部32との間の距離は、カムピン12と作用点としての回転支持軸24との間の距離より大きく設定されているので、レバー操作部32に付加される操作力に対して、回転支持軸24に作用する嵌合力または離脱力は大きくなる。つまり、本実施形態のサービスプラグ1は、レバー30を回動させることにより、小さい操作力で第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10と嵌合または離脱させることができる、所謂、低挿入力(Low Insertion Force:LIF)レバー構造を有するLIFコネクタである。
また、レバー30には、ロック部35が設けられている。ロック部35は、レバー30が信号回路遮断位置に位置する状態において、第2コネクタハウジング20の係止爪25により係止されるよう形成されている(図5A,5B参照)。これにより、ロック部35は、レバー30を第2コネクタハウジング20にロック(係止、掛止)させることができ、レバー30の回動を規制することができる。
また、レバー30には、図1,3Cに示すように、ロック解除部36が設けられている。ロック解除部36は、ロック部35が第2コネクタハウジング20の係止爪25に係止されているロック状態において、ロック部35のロック状態を解除するためのものである。図1に示すように、ロック解除部36は、レバー30のレバー操作部32の下方(レバー30が完全嵌合位置にあるときの第1コネクタハウジング10側、または、短手方向のうち、完全嵌合位置のときに、レバー30と第1コネクタハウジング10との間に配置される側)に、レバー30から突出して設けられている。ロック解除部36は、弾性変形可能に構成されている。上記のロック状態において、ロック解除部36を第2コネクタハウジング20に対して外側への操作力が付加されると、ロック部35を係止爪25から外してロック状態を解除できる。
ロック部35及びロック解除部36は、フード部37により周囲を覆われている。フード部37は、レバー操作部32の下方に連設されている。フード部37は、図3Cに示すように、レバー30が完全嵌合位置に位置する状態において、第1コネクタハウジング10の衝立部14と嵌合することで、内部に設けられるロック部35及びロック解除部36を、第1コネクタハウジング10の衝立部14の内部空間に収容させることができる。
次に、図3A,3Cに加えて、図4A〜6Bを参照して、本実施形態に係るサービスプラグ1(電源回路遮断装置)による電源回路の遮断動作を説明する。図3Aは、本実施形態のサービスプラグによる電源回路の遮断動作におけるレバーが完全嵌合位置に位置する第1状態(完全嵌合状態)を示す、サービスプラグの斜視図である。図3Cは、図3Aに示す第1状態におけるサービスプラグの縦断面図である。図4Aは、本実施形態のサービスプラグによる電源回路の遮断動作における、レバーが完全嵌合位置と信号回路遮断位置との間に位置する第2状態を示す、サービスプラグの斜視図である。図4Bは、図4Aに示す第2状態におけるサービスプラグの縦断面図である。図5Aは、本実施形態のサービスプラグによる電源回路の遮断動作におけるレバーが信号回路遮断位置に位置する第3状態を示す、サービスプラグの斜視図である。図5Bは、図5Aに示す第3状態におけるサービスプラグの縦断面図である。図6Aは、本実施形態のサービスプラグによる電源回路の遮断動作におけるレバーが非嵌合位置に位置する第4状態を示す、サービスプラグの斜視図である。図6Bは、図6Aに示す第4状態におけるサービスプラグの縦断面図である。なお、図4B,5B,6Bは、図3Bの断面線X−Xと同一の断面線による断面図である。
まずは、電源回路の遮断動作の前提となる、電源回路の導通動作について説明する。導通動作は、基本的には、図3A,4A,5A,6Aに示す遮断動作を逆の手順で行うことで実施することができる。この導通動作では、レバー30の非嵌合位置から完全嵌合位置までの回動操作によって、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10に嵌合させる嵌合動作を行い、これにより、第1コネクタハウジング10及び第2コネクタハウジング20の内部のメイン端子13,23及び信号端子15,27を接続させて、電源回路を導通状態とする。
この導通動作においては、まずレバー30を非嵌合位置に位置付けられた第2コネクタハウジング20が、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室11に挿入されると共に、レバー30のカム溝34の進入ストレート部34aにカムピン12が挿入される(図6A参照)。このとき、メイン端子13,23と信号端子15,27は、共に非接続状態であり、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2は、共にオフ状態である。
次に、レバー30が非嵌合位置から信号回路遮断位置(図5A参照)を経て、完全嵌合位置側に回動される。これにより、カムピン12がカム溝34内を移動し、進入ストレート部34aから曲線部34bへ遷移される。第2コネクタハウジング20と第1コネクタハウジング10間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング20が嵌合方向に相対移動し、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室11に徐々に挿入される。
そして、レバー30が完全嵌合位置(図3A参照)まで回動されると、カム溝34に係合されているカムピン12が終端部34cに到達し、第2コネクタハウジング20は第1コネクタハウジング10に対して最も深い位置まで嵌合される。このとき、メイン端子13,23、及び、信号端子15,27は共に接続状態となり、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2が共にオン状態となる。この結果、電源回路を導通状態とすることができる。
以上が電源回路の導通動作の説明である。次に、この導通動作によって完全嵌合状態となったサービスプラグ1を利用した電源回路の遮断動作について図3A〜6Bを参照して説明する。
まず、図3A,図3Cに示す第1状態(完全嵌合状態)では、図3Aに示すように、第2コネクタハウジング20は第1コネクタハウジング10に対して最も深い位置まで嵌合されており、レバー30は完全嵌合位置に位置している。このとき、図3Cに示すように、サービスプラグ1の内部では、第1コネクタハウジング10内のメイン端子13に第2コネクタハウジング20内のメイン端子23が接続され、さらに、第1コネクタハウジング10内の信号端子15に第2コネクタハウジング20内の信号端子27が接続されている。したがって、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2が共にオン状態であり、電源回路は導通状態である。
完全嵌合状態のサービスプラグ1に対して、遮断動作を行う作業者によって、レバー操作部32に非嵌合位置の方向への操作力が付加されると、図4A,4Bに示す第2状態のように、レバー30は完全嵌合位置から非嵌合位置側へ回動し始める。これにより、第1コネクタハウジング10の衝立部14と嵌合していたレバー30のフード部37が衝立部14から離脱し、内部に収容されていたロック解除部36が露出する。ただし、図4A,4Bに示す第2状態では、ロック解除部36の下端と衝立部14の上端との間の間隙が狭いため、作業者がロック解除部36の下方に指を入れ難く、ロック解除部36を操作するための十分なスペースが無い、操作不能な状態である。つまり、衝立部14を設けることによって、完全嵌合位置からのレバーの回動の初期に、ロック解除部36を操作不能とする範囲を増やすことができている。
また、第2状態では、図4Aに示すように、カム溝34に係合されているカムピン12が終端部34cから曲線部34bへ遷移され、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10から離脱し始める。これにより、図4Bに示すように、第2コネクタハウジング20内のメイン端子23及び信号端子27は共に離脱方向に移動するものの、メイン端子13,23、及び、信号端子15,27は共に依然として接続状態を維持している。
引き続きレバー30の回動が進むと、図5A,5Bに示す第3状態のように、レバー30が信号回路遮断位置に到達する。このとき、レバー30のロック部35が第2コネクタハウジング20の係止爪25に係止され、レバー30が第2コネクタハウジング20にロックされた状態となり、レバー30の回動が一旦規制される。
この第3状態では、図5Aに示すように、カム溝34に係合されているカムピン12は、曲線部34b内を進入ストレート部34a側へ進行し、第2状態より第1コネクタハウジング10からの第2コネクタハウジング20の離脱が進む。これにより、図5Bに示すように、第2コネクタハウジング20内の信号端子27が、第1コネクタハウジング10内の信号端子15から離間する。一方、第2コネクタハウジング20内のメイン端子23も離脱方向に移動するものの、メイン端子13,23は依然として接続状態を維持している。したがって、完全嵌合位置からのレバー30の回動操作の場合、図5A,5Bに示す信号回路遮断位置において、信号端子15,27が非接続状態に切り替わり、信号回路スイッチSW2がオフ状態に切り替わる。つまり、レバー30が信号回路遮断位置に位置する状態において、メイン回路スイッチSW1がオン状態であり、信号回路スイッチSW2はオフ状態である。
ここで、この信号回路遮断位置では、図5Aに示すように、ロック解除部36の下方のスペースが第2状態よりも増えているので、作業者がロック解除部36の下方のスペースに指を入れてロック解除部36を操作するのが容易となっており、ロック解除部36を操作可能な状態となっている。したがって、信号回路遮断位置において、ロック部35によってレバー30の回動が規制されると、作業者によってレバー30のロック解除部36が操作されると共に、レバー操作部32に非嵌合位置の方向への操作力が付加される。これにより、第2コネクタハウジング20に対するロック部35のロック状態が解除されて、レバー30が非嵌合位置の方向へ回動可能となる。このように、電源回路の遮断動作の作業者は、完全嵌合位置から非嵌合位置までの回動操作の途上の信号回路遮断位置において、レバー30を一旦把持し直し、ロック解除部36を操作した上で、レバー30をさらに回動させることになる。このように、レバー30の回動操作において、信号回路スイッチSW2がオフ状態に切り替わった後に作業手順を増やすことで、次にメイン回路スイッチSW1がオフ状態に切り替わるまでのタイムラグを充分に確保することができる。
図5Aに示す信号回路遮断位置からさらにレバー30の回動が進むと、図6A,6Bに示す第4状態のように、レバー30が非嵌合位置に到達する。この第4状態では、図6Aに示すように、カム溝34に係合されているカムピン12が進入ストレート部34aに到達し、カム溝34から離脱可能となると共に、第1コネクタハウジング10から第2コネクタハウジング20が離脱する。これにより、図6Bに示すように、第2コネクタハウジング20内のメイン端子23が、第1コネクタハウジング10内のメイン端子13から離間する。したがって、完全嵌合位置からのレバー30の回動操作の場合、図6A,6Bに示す非嵌合位置において、メイン端子13,23が非接続状態に切り替わり、メイン回路スイッチSW1がオフ状態に切り替わる。つまり、レバー30が非嵌合位置に位置する状態において、メイン回路スイッチSW1及び信号回路スイッチSW2は共にオフ状態である。この結果、電源回路を遮断状態とすることができる。
次に、本実施形態に係るサービスプラグ1の効果を説明する。
本実施形態のサービスプラグ1は、相互に接続または解除することにより電源回路を通電可能状態または遮断状態に切り替える一対のメイン端子13,23と、相互に接続または解除することにより電源回路を通電状態または非通電状態に切り替える一対の信号端子15,27と、一方側のメイン端子13と、一方側の信号端子15を有する第1コネクタハウジング10と、他方側のメイン端子23と、他方側の信号端子27を有し、第1コネクタハウジング10と嵌合可能に設けられる第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回動可能に設けられ、回動端部にレバー操作部32を有し、レバー操作部32側が第1コネクタハウジング10側に最も接近する完全嵌合位置と、レバー操作部32側が第1コネクタハウジング10から最も離間する非嵌合位置との間で回動するレバー30と、レバー30が完全嵌合位置と非嵌合位置との間の所定の中間位置(信号回路遮断位置)に位置する状態において、レバー30を第2コネクタハウジング20にロックしてレバー30の回動を規制するロック部35と、ロック部35のロック状態を解除するロック解除部36と、を備える。一対のメイン端子13,23及び一対の信号端子15,27は、第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10に嵌合し、かつ、完全嵌合位置にレバー30が位置する完全嵌合状態において、一対のメイン端子13,23及び一対の信号端子15,27が共に接続状態であり、レバー30が信号回路遮断位置に位置する状態において、一対のメイン端子13,23が接続状態であり、一対の信号端子15,27が非接続状態であり、レバー30が非嵌合位置に位置する状態において、一対のメイン端子13,23及び一対の信号端子15,27が共に非接続状態である、よう設けられる。ロック解除部36は、レバー30が完全嵌合位置から信号回路遮断位置までの間に位置する状態において操作不能であり、レバー30が信号回路遮断位置に位置する状態において操作可能となるよう設けられる。
この構成により、完全嵌合状態のサービスプラグ1を利用して電源回路の遮断動作を行うときには、レバー30を完全嵌合位置から信号回路遮断位置に回動させる回動操作を行うことで、信号端子15,27を非接続状態として信号回路スイッチSW2がオフ状態に切り替えられ、その後に、レバー30を信号回路遮断位置から非嵌合位置に回動させ、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10から離脱させることで、メイン端子13,23を非接続状態としてメイン回路スイッチSW1がオフ状態に切り替えられる。これにより、信号回路スイッチSW2とメイン回路スイッチSW1のオフ状態への切り替えにタイムラグを作ることができる。さらに、このようなレバー30完全嵌合位置から非嵌合位置への回動操作の中間位置である信号回路遮断位置において、ロック部35によってレバー30が第2コネクタハウジング20にロックされてレバー30の回動が一旦規制される。このため、電源回路の遮断動作の作業者には、信号回路遮断位置からレバー30を非嵌合位置までさらに回動させるために、ロック解除部36を操作してロック部35のロック状態を解除する操作手順が要求される。これにより、信号回路遮断位置において信号回路スイッチSW2をオフ状態に切り替えた後に、レバー30が非嵌合位置に到達して第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10から離脱できる状態、すなわちメイン回路スイッチSW1をオフ状態に切り替え可能な状態となるまでに、充分な時間的余裕を作ることができる。この結果、本実施形態のサービスプラグ1は、電源回路を遮断する操作の際に、信号回路スイッチSW2(信号端子15,27)のオフ状態への切り替えと、メイン回路スイッチSW1(メイン端子13,23)のオフ状態への切り替えとの間に充分なタイムラグを確保させることができ、電源回路の遮断動作をより安全に行うことができる。
また、本実施形態のサービスプラグ1において、ロック解除部36は、完全嵌合状態において第1コネクタハウジング10側にレバー30から突出して設けられる。第1コネクタハウジング10に設けられ、完全嵌合状態においてロック解除部36を内部に収容する衝立部14を備える。
この構成により、完全嵌合状態では、ロック解除部36が衝立部14により隠され、ロック解除部36を操作不能な状態にできる。また、電源回路の遮断動作においてレバー30を完全嵌合位置から非嵌合位置側へ回動させ始める際には、衝立部14によってロック解除部36の下端の間隙を狭くして、ロック解除部36を操作するために必要なスペースを削減でき、ロック解除部36が操作不能な状態を維持できる。したがって、電源回路の遮断動作中に、ロック解除部36を操作不能とする範囲を増やすことが可能となり、レバー30が信号回路遮断位置に到達する前にロック解除部36によるロック部35の解除操作が行われるのを抑制できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
サービスプラグ1は、上記実施形態以外の構成でもよい。例えば、上記実施形態では、他方側の信号端子27を他方側のメイン端子23と共に第2コネクタハウジング20に設ける構成を例示したが、信号端子27をレバー30に設ける構成としても良い。また、上記実施形態では、LIFコネクタを例示したが、これ以外のレバー式コネクタでも良い。
上記実施形態では、ロック部35は、レバー30を第2コネクタハウジング20にロックさせることで、レバー30の回動を規制する構成を例示したが、ロック部35によってレバー30を第1コネクタハウジング10にロックする構成でも良い。要は、ロック部35のロック状態を解除するロック解除部36が、レバー30を完全嵌合位置から信号回路遮断位置まで回動させた後に操作可能にできれば良い。