以下、本発明の一形態に係るゲーム機を含んだゲームシステムの一例を説明する。まず、図1を参照してゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、サーバ装置としてのセンターサーバ2と、センターサーバ2に所定のネットワーク5を介して接続可能なクライアント装置としての複数のゲーム機3及び複数のユーザ端末装置4とを含む。センターサーバ2は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット2A、2B…が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニットによりセンターサーバ2が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にセンターサーバ2が構成されてもよい。
ゲーム機3は、ゲーム装置の一例であって、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。この種のゲーム機3は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗6等の所定の施設に設置される。ゲーム機3は、選手への指示や育成等を通じて監督としての役割をプレイするシミュレーション形式の野球ゲームを提供するための野球ゲーム機として構成されている。なお、ゲーム機3は、野球ゲームに限定されず、適宜に各種のゲームを提供してよいが、以下では野球ゲームを提供する場合を例に挙げて説明を続ける。
ユーザ端末装置4は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する。)4a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置4bがユーザ端末装置4として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、センターサーバ2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。
ネットワーク5は、センターサーバ2に対してゲーム機3及びユーザ端末装置4をそれぞれ接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネット5Aと、センターサーバ2及びゲーム機3のそれぞれとインターネット5Aとを接続するLAN5B、5Cとがルータ5Dを介して接続されることにより構築される。ユーザ端末装置4も適宜の構成によりインターネット5Aに接続される。なお、ゲーム機3と店舗6のルータ5Dとの間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機3がセンターサーバ2と通信可能に接続されてもよい。センターサーバ2のサーバユニット2A、2B…はLAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより、相互に接続される場合もある。
センターサーバ2は、ゲーム機3又はそのユーザに対して各種のゲーム機用サービスを提供する。ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介してゲーム機3のプログラムあるいはデータを配信し、更新する配信サービスを含んでいる。センターサーバ2は、このような配信サービスを通じて各ゲーム機3に野球ゲームの提供に必要な各種のプログラムあるいはデータを適宜に配信等する。
なお、ゲーム機用サービスは、その他にもゲーム機3からユーザの識別情報を受け取って、そのユーザを認証するサービスを含んでいてよい。また、認証したユーザのプレイデータをゲーム機3から受け取って保存し、あるいは保存するプレイデータをゲーム機3に提供するサービスを含んでいてもよい。さらに、ゲーム機用サービスは、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングするマッチングサービス、あるいはユーザから料金を徴収する課金サービス等を含んでいてもよい。同様に、センターサーバ2は、ネットワーク5を介してユーザ端末装置4のユーザに各種のWebサービスを提供してよい。Webサービスは、ゲーム機3が提供するゲームに関する各種の情報を提供するゲーム用情報サービス、各ユーザ端末装置4に各種データあるいはソフトウエアを配信(データ等のアップデートを含む)する配信サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービス、及び各ユーザを識別するためのユーザIDを付与するサービス等のサービスを含んでよい。
次に、図2を参照してゲーム機3の構成を説明する。図2は一台のゲーム機3の一例を示している。図示例のゲーム機3は筐体10を有している。筐体10には、第1モニタ11と、コントロールパネル12と、プリンタユニット13とが設けられている。第1モニタ11は、野球ゲームを提供するためのゲーム画面を表示する周知の表示装置である。第1モニタ11は、野球ゲームをプレイ中のユーザの正面に位置するように配置される。コントロールパネル12は、第1モニタ11の下方に配置される。コントロールパネル12には、ゲームに関するユーザの操作あるいは指示を受け付け、あるいはゲームに必要な情報をユーザから取得する各種の入力装置が設けられるが、図示のゲーム機3では、カード読取装置14が設けられている。カード読取装置14の詳細は後述する。
プリンタユニット13は、コントロールパネル12の側方、一例として第1モニタ11と向かい合うユーザからみて左側方に配置される。プリンタユニット13は、所定の情報が記録された媒体の一例としての選手カードを作成し、払出口13aからユーザに対して払い出すことにより、媒体作成手段の一例として機能する。選手カードは、野球ゲームをプレイするためにユーザが使用する操作部材の一例としても使用される。なお、ゲーム機3には、その他にも公知のゲーム機と同様に各種の出力装置あるいは入力装置が接続されてよい。例えば、ユーザを認証するための認証用媒体に保持されたユーザごとにユニークなユーザ認証情報を読み取るリーダ、押釦スイッチその他の物理的な操作装置又は入力装置、あるいは現金、代替硬貨、メダル、電子通貨等を利用してユーザからゲームに必要な対価を徴収するための対価徴収装置の少なくとも一部の入力部といった各種の装置がコントロールパネル12に設けられてもよい。
次に、カード読取装置14の詳細を説明する。カード読取装置14は、野球ゲームにてユーザが使用する複数枚の選手カードのそれぞれから、野球ゲームを進行させるために必要な各種の情報を読み取るとともに、選手カードの位置を検出する装置として構成されている。以下では、カード読取装置14の理解のため、野球ゲームにて選手カードを用いたユーザの操作、あるいは指示を受け付けるためにカード読取装置14によって実現されるインターフェース(入出力部分)を図3及び図4に基づいて説明し、その後にカード読取装置14の構成を説明する。図3は、カード読取装置14の上面側に提示されるインターフェースの要部を示している。また、図4は選手カードを利用して選手の制御パラメータを変更する様子を示している。
図3に示すように、カード読取装置14の上面側にはカード操作部20が設定され、そのカード操作部20には、選手カードCP(図4参照)が配置されるべき複数のカード領域21が左右方向に一定のピッチで並べて設定されている。カード領域21の数は、現実の野球におけるポジション数に合わせて10個(指名打者も含む。)に設定されている。カード領域21のそれぞれは概ね上下方向に長い長方形状であり、それぞれの形状は互いに等しい。各カード領域21の左右方向の幅は選手カードCPを縦長に配置したときの左右方向の幅と概ね同一か、又は僅かに大きい程度である。カード領域21はユーザが選手カードCPを利用して野球の試合に出場させる選手を指定し、あるいは試合中において選手に指示を与えるための領域として設けられている。カード領域21の下部には登録領域22が設けられ、登録領域22の上方には指示領域23が設けられている。
登録領域22は、ユーザが試合に出場させる選手に対応する選手カードCPを配置し、その選手カードCPに記録された情報をゲーム機3に読み取らせることによって、試合に出場する選手を指定するための領域として設定されている。登録領域22は選手カードCPとほぼ同形同大に設定される。登録領域22の並び順は試合の打順に対応し、左端の登録領域22の打順は1番打者、左から2番目の登録領域22は2番打者といったごとくである。右端の登録領域22は投手として出場させる選手に対応する選手カードCPの情報を読み取るべき領域である。各登録領域22の上下方向中央に表示される「1」、「2」……の数値は打順を示し、「P」の文字は投手であることを示しているが、これらの数値及び文字は実際のカード領域21において常時表示されてもよいし、適宜に表示が省略されてもよい。以下では、登録領域22に選手カードCPを配置してその情報を読み取らせる行為を選手登録と呼び、その選手登録を介して試合に出場する選手を登録選手と呼ぶことがある。登録選手はカード領域21と1対1の対応関係を有しており、いずれか一の登録領域22にて選手登録された選手をその登録領域22を含んだカード領域21の登録選手と呼ぶことがある。なお、試合の途中において、例えば代打、代走、投手交代といった態様でカード領域21の登録選手を入れ替えることも可能である。その場合は、新たに出場させるべき選手の選手カードCPを登録領域22に配置して選手登録すればよい。
指示領域23は、その下方に対応付けられた登録領域22にて選手登録された選手に関して設定される制御パラメータの値を、ユーザによる選手カードCPの位置を変更する操作に応じて変更する領域として設けられている。すなわち、野球ゲームに登場することが可能な選手のそれぞれには、制御パラメータの一例として、選手の状態を示す複数種類の状態パラメータが設定されている。指示領域23は、それらの状態パラメータから選択された第1及び第2の状態パラメータのそれぞれの値を選手カードCPの位置に応じて変更する領域として設定されている。指示領域23は、ユーザが視認できる態様にて表示面15sに示される。例えば、表示面15s上に表示される画像中の表示要素として指示領域23が示されてもよいし、表示面15s上に印刷その他の表示手段を施して指示領域23が示されてもよい。
状態パラメータは、選手のパワー、ミート能力(球を捉える力)、走力、体力、持久力、投力又は送球力、球速、制球力といった能力の程度、バント等の特定の打撃行為、走塁行為、あるいはカーブ、スライダといった特定の球種の投球行為に関する巧拙の程度、好調又は不調の程度、体調の程度、気力の充実度といったように、試合における選手の行動に影響し得る選手の属性として予め定義され、かつ試合の進行を演算する上で考慮されるべき各種の状態変数である。これらの状態パラメータのうち、第1及び第2の状態パラメータとして選択された状態パラメータに関しては、指示領域23における選手カードCPの位置に応じてそれぞれの値が適宜に変更される。そのような変更を可能とするため、指示領域23の上下方向における長さは、選手カードCPの長辺方向(上下方向)の長さよりも十分に大きく設定されている。つまり、指示領域23は、登録選手の状態パラメータの値を変更するために選手カードCPの位置を変更し得る範囲を示す領域として設定されており、操作領域の一例に相当する。なお、指示領域23に配置すべき選手カードCPは、登録領域22にて選手登録に使用した選手カードCPと同一カードであることを必ずしも必要としない。
指示領域23にて変更可能な第1及び第2の状態パラメータは適宜に選択されてよい。一例として、打者の場合にはパワーが第1の状態パラメータとして、ミートが第2の状態パラメータとしてそれぞれ選択される。また、投手の場合には、一例として、球速が第1の状態パラメータとして、制球力が第2の状態パラメータとしてそれぞれ選択される。打者の場合、パワーを優先した打撃を指向すればミートが犠牲になり、投手の場合、球速を優先した投球を指向すれば制球力が犠牲になる、といったように第1の状態パラメータと第2の状態パラメータとは両者をいずれも優先することが不適当又は困難な背反的関係を有する。つまり、一方の値を向上させれば、他方の値は低下させることが適当となるような関係を有する状態パラメータの組が第1及び第2の状態パラメータの組として選択される。また、打者(あるいは野手)と投手とは野球ゲームにおいて役割が異なる複数種類のキャラクタの一例であり、第1及び第2の状態パラメータは、そのようなキャラクタの役割に応じて適宜に変更されてよい。ここでいう「役割」は、ゲームにおいて果たす機能、ゲームにおいて利用される場面、ゲームの進行に与える影響その他の各種の観点から区別が可能であって、その区別に応じて状態パラメータの種類、値の配分その他が差別化されるべき概念であれば「役割」として捉えてよい。
指示領域23の上下方向の中央には、選手カードCPとほぼ同形同大の基準標識23aが設けられている。図4に示したように、基準標識23aに合わせて選手カードCPを置いた状態を基本位置としたとき、その基本位置に選手カードCPがある場合には、その基準標識23aを含むカード領域21の登録選手の第1及び第2の状態パラメータがその登録選手に対応する基本値に設定される。基本値は後述する。
ユーザが選手カードCPを基本位置から上方に移動させた場合、その移動量に応じて第1の状態パラメータの値が基本値から増加し、かつ第2の状態パラメータが基本値から減少する。図4の例では、パワーの値が1増加し、ミートの値が1減少する。一方、ユーザが選手カードCPを基本位置から下方に移動させた場合、その移動量に応じて第2の状態パラメータの値が基本値から増加し、かつ第1の状態パラメータが基本値から減少する。図4の例では、ミートの値が1増加し、パワーの値が1減少する。また、図3及び図4から明らかなように、指示領域23に選手カードCPを配置しているとき、登録領域22には、その登録領域22を含んだカード領域21の登録選手に関して設定されている複数種類の状態パラメータのうち、少なくとも一部の状態パラメータの値が表示される。表示対象として設定される状態パラメータには、選手カードCPの位置に応じて変更されるべき第1及び第2の状態パラメータが含まれる。これにより、登録領域22はパラメータ表示領域の一例として機能する。
図4の右端に示したように、選手登録後において、選手カードCPを登録領域22に移動させることも可能である。この場合には、登録選手に関してブーストスキルを適用する処理が行われる。ブーストスキルは、登録選手に関する状態パラメータの一部の値を一時的に高める効果を有する処理を意味し、その適用には一定の制限が設定される。例えば、一試合で一回といった回数的な制限が設定され、あるいは試合にて所定の成績を挙げるといったように一定の条件を満たした場合に限ってブーストスキルの適用が許可される。
図3に戻って、指示領域23の上下にはゲージレベルが表示される。ゲージレベルは、選手カードCPの位置の変化量に対する状態パラメータの変化量の比率と関連付けられた概念である。言い換えれば、指示領域23にて選手カードCPの位置を変化させた場合の状態パラメータの値の変化量がゲージレベルに応じて異なる。ゲージレベルは、野球ゲームの状態に応じて増減される。例えば、登録選手が試合で打者としてヒットを打つといったように良好な結果を示した場合にゲージレベルが増加し、登録選手が打者として三振する等の好ましくない結果を示した場合にゲージレベルが減少するといったように、ゲームの状態に応じてゲージレベルが指示領域23ごとに制御される。ゲージレベルが上昇した場合、選手カードCPを一方向に操作したときに増加する状態パラメータに関して上述した比率を増加させる処理、及び減少する状態パラメータに関して上述した比率を減少させる処理の少なくともいずれか一方が適用される。例えば、選手カードCPを上方に一定量移動させた場合、ゲージレベルが上昇する前はパワーが+3、ミートが−3といった変化が生じるところ、ゲージレベルが上昇した場合には、選手カードCPを上方に同一量操作するとパワーが+5、ミートが−3といったごとくである。
指示領域23の上方には、さらに変更量表示領域(図中に想像線で囲まれた領域)24が設けられている。変更量表示領域24は、選手カードCPの位置の変化に応じて状態パラメータの値が変更された場合、その変更量を適時に表示する領域として設けられている。それにより、変更量表示領域もパラメータ表示領域の一例として機能する。なお、指示領域23を利用した状態パラメータの変更は、いずれか一のカード領域21が対象領域として選択されて行われる。その選択は、例えば攻撃時には打順に対応するカード領域21が選択され、守備時には投手が登録されるべきカード領域21(図3の右端)が選択される。図3に示したように、カード操作部20には、選手カードCPを操作して状態パラメータの値を変更する対象として選択されたカード領域21を示す選択指標25も表示される。図3において選択指標25はカード領域21を囲む枠状の指標として示されているが、選択指標25は色、模様その他の各種の視覚的要素を対象外のカード領域21に対して差別化するものであればよい。
以上のように、カード読取装置14は、登録領域22に配置された選手カードCPの情報を読み取り、あるいは指示領域23における選手カードCPの位置を検出し、あるいはカード領域21ごとの登録選手の状態パラメータの設定値、変更量、ゲージレベルといった情報を動的に変化させつつ表示する機能を備えている。
次に、図5〜図7を参照して選手カードCPから情報を読み取るための構成を説明する。図5は選手カードCPの裏面の構成を示している。選手カードCPの裏面には、赤外光の波長域でのみ観察可能な読取標識Mが印刷されている。読取標識Mは、選手カードCPの異同に関わりなく同一パターンで形成される外周側の共通部M1と、その共通部M1の内周に配置され、選手カードCPごとにパターンが異なる固有部M2とを含んでいる。共通部M1は、例えば、選手カードCPが野球ゲームにて使用可能な適正なカードであるか否かの判別、及び選手カードCPの位置の判別に利用される。固有部M2には選手カードCPごとにユニークに設定されるカード識別情報の一例としてのカードIDと対応付けられた固有のパターンが含まれている。そのパターンを読み取ることにより、選手カードCPのカードIDを特定し、そのカードIDに対応付けられた選手の状態パラメータの基本値を判別することができる。なお、図示を省略したが、選手カードCPの表面には、選手カードCPのカードIDに対応付けられるべき選手の画像、名前、能力その他の選手情報がユーザにて視認可能な態様で印刷されている。
図6に示したように、カード読取装置14は、第2モニタ15と、その第2モニタ15の下面側の側縁部に沿って配置される一対の照明装置16と、第2モニタ15の下方に配置される撮影装置17とを備えている。第2モニタ15は、例えば図7に示したように、表面層を構成するガラス板15aと、液晶パネル15bと、光拡散パネル15cと、光拡散パネル15cの外周を取り囲む枠を形成するように配置された四基のバックライト15dとを上下方向に重ね合わせた構成を備えている。ガラス板15aの上面が第2モニタ15の表示面15sとして機能する。液晶パネル15bの各液晶素子の方向を適宜に制御することにより、第2モニタ15の各位置の透過率を制御することが可能である。光拡散パネル15cは、バックライト15dから照射される可視光(一例として白色光)を拡散しつつ透過する半透過型のパネルである。ガラス板15a及び光拡散パネル15cは赤外光の波長域に対して透過性を有している。したがって、液晶パネル15bの液晶素子の向きを透過側に制御すれば、第2モニタ15の表示面15sから光拡散パネル15cの裏面に至るまで赤外光を透過させることが可能である。
図6に戻って、照明装置16は、第2モニタ15の表示面15sのうち、少なくともカード操作部20の全域を含む範囲に赤外光を照射するように設けられている。この種の照明装置16としては、赤外光照射型のLED照明装置を用いることができる。撮影装置17は、CCD、COMSといった撮像素子を利用して各カード領域21に配置された選手カードCPの裏面の赤外域の画像を撮像し、その画像を光電変換して選手カードCPの裏面の電子的な画像を出力する。撮影装置17の撮影範囲は、全てのカード領域21を撮影できるように設定される。ただし、複数の撮影装置17を設けることにより、カード領域21を分担して撮像できるようにしてもよい。
以上のように、カード読取装置14は、表示内容を適宜に変更可能な第2モニタ15と、選手カードCPの裏面に記録された情報を読み取るための撮影装置17とを組み合わせた構成を備えている。そのため、カード操作部20に表示されるべき各種の表示要素のうち、野球ゲームの進行に応じて表示内容や表示位置が適宜に変更されるべき表示要素、例えば、登録領域22に表示されるべき状態パラメータの設定値、変更量表示領域24に表示されるべき状態パラメータの変更量、指示領域23に表示されるべきゲージレベルの値及び選択指標25に関しては、第2モニタ15の表示を制御することにより、その表示を適宜に変化させることが可能である。それにより、カード操作部20にて行われるべき各種の操作に応じて適切な情報をカード操作部20内でユーザに提示し、ユーザの円滑な操作を支援し、あるいは操作方法や操作結果に対するユーザの理解を高めることができる。特に、指示領域23における操作に関しては、選手カードCPの位置と、第1及び第2の状態パラメータの値との対応関係を登録領域22及び変更量表示領域24の表示によってユーザに容易に把握させることができる。しかも、登録領域22及び変更量表示領域24は、指示領域23の周囲であって、かつ選手カードCPの位置が変更されるべき方向である上下方向に関して指示領域23と隣接する位置に配置されているため、選手カードCPの上下方向の位置を変化させたときにパワー、ミート等の状態パラメータの値がどのように変化するかをユーザに容易かつ確実に把握させ、ユーザの操作の円滑化、及び操作の理解の向上を図ることができる。
なお、カード読取装置14の第2モニタ15に表示される画像は、図3に示したカード操作部20の構成要素のうち、野球ゲームの進行に応じて表示内容や表示位置が適宜に変更されるべき表示要素を含んでいればよい。例えば、カード操作部20の範囲、各カード領域21の範囲、登録領域22及び指示領域23の範囲がゲーム中において不変である場合には、第2モニタ15の表示面15sにそれらの範囲を示す枠線その他の表示物を印刷その他の表示手段を利用して画像によらずに表示するものとしてもよい。変更量表示領域24に関しても、その領域に表示される変更量は動的に変化することから第2モニタ15における表示要素として設定画像に含める必要があるが、変更量表示領域24の範囲を示す枠線その他の表示要素は第2モニタ15の画像によることなく、表示面15sに固定的な表示物として表示されてもよいし、表示それ自体が省略されてもよい。つまり、指示領域23に対して上方に隣接する領域に状態パラメータの変更量が表示される限りにおいて、その表示位置を含む一定範囲が第2モニタ15にて表示される設定画像中における変更量表示領域24として設定されているものと理解することが可能である。
次に、図8及び図9を参照して、ゲーム機3の制御系の構成を説明する。図8に示すように、ゲーム機3には、制御装置30と、記憶装置31とが設けられている。制御装置30は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。記憶装置31は、制御装置30に対する外部記憶装置であり、磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリその他の記憶保持が可能な不揮発性の記憶媒体を含んだ記憶装置である。
記憶装置31には、ユーザに野球ゲームを提供するために必要な各種の処理を制御装置30に実行させるコンピュータプログラムの一例としてのゲームプログラムPGと、ゲームデータDGとが記録されている。ゲームデータDGは、野球ゲームに登場する各種のオブジェクトの一例としての選手その他のキャラクタ、試合が行われる球場等を表示するための画像データ、野球ゲームの演出に用いられるべき画像及び音のデータといった各種のデータを含む。ゲームデータDGには選手データDCがさらに含まれている。選手データDCには、各選手カードに対応した選手に設定されるべき上述した各種の状態パラメータの値を記録したデータが、選手カードCPのカードIDと対応関係が判別できる態様にて記録されている。
記憶装置31には、プレイデータDPも記録される。プレイデータDPはユーザの識別情報であるユーザIDと対応付けてセンターサーバ2に保存され、ユーザがゲーム機3にてゲームをプレイする際にユーザの認証を条件としてゲーム機3に提供され、記憶装置31に記録される。記憶装置31に記録されたプレイデータDPは、ゲーム機3におけるゲームの進行に応じて適宜のタイミングで更新され、ゲームが終了する際にはゲーム機3からセンターサーバ2に提供されて保存される。ユーザIDはユーザごとにユニークに設定される識別情報である。ゲーム機3にてユーザがゲームをプレイする場合、そのユーザID又はユーザIDと対応付けられた他のIDがゲーム機3にて取得され、そのIDを利用してユーザのプレイデータDPが取得される。プレイデータDPには、ゲーム機3におけるユーザのプレイ内容が適宜に記録される。
制御装置30には、制御装置30のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのゲームプログラムPGとの組み合わせによって実現される論理的装置として、ゲーム制御部32が設けられる。ゲーム制御部32は、ゲームプログラムPGに従ってゲーム機3におけるゲームのプレイに必要な各種の処理を実行することにより、ゲーム制御手段の一例として機能する。ゲーム制御部32の詳細は後述する。制御装置30には、図1に示した第1モニタ11、カード読取装置14の第2モニタ15及び撮影装置17、並びにプリンタユニット13が接続されるとともに、通信制御装置18が接続される。通信制御装置18は、制御装置30とセンターサーバ2との間の通信を制御するための装置である。以上の他にも、制御装置30には適宜の入出力装置が接続されてよいが、ここでは説明を省略する。
図9は、ゲーム制御部32の具体的な構成の一例を示している。ゲーム制御部32には、さらなる論理的装置として、カード判別部40、選手管理部41、進行制御部42、第1画像生成部43、第2画像生成部44及びカード作成制御部45が設けられる。カード判別部40は、撮影装置17が撮影した画像から選手カードCPの裏面の読取標識Mの共通部M1又は固有部M2を検出し、その検出結果に応じた情報、例えば共通部M1の位置、あるいは固有部M2に記録された情報を選手管理部41に提供する。したがって、撮影装置17及びカード判別部40は情報読取手段の一例として機能する。選手管理部41は、カード判別部40から提供される情報に従って上述した選手登録、及び選手の状態パラメータの設定値を管理する。状態パラメータの値を設定し、あるいは変更するため、選手管理部41は記憶装置31に記録されている選手データDCを適宜に参照する。進行制御部42は、選手管理部41から提供される登録選手、及び状態パラメータの設定値を参照しつつ野球ゲームを進行させるための各種の演算処理を実行する。例えば、進行制御部42は、各選手の状態パラメータを参照して各選手の試合における行動を演算しつつ、それらの行動に応じて定まるべき結果を演算する。進行制御部42は、例えばコントロールパネル12に設けられる入力装置、あるいはゲームの対価を徴収する装置等からの情報も参照しつつ試合の開始前から試合終了後に至るまでの各段階のゲームの進行を制御する。ただし、それらの入力装置等と進行制御部42との対応関係に関する図示は省略されている。
第1画像生成部43は、進行制御部42の演算結果に基づいて第1モニタ11に表示すべきゲーム画像を第1モニタ11のフレームレートに従って繰り返し生成し、生成された画像が表示されるように第1モニタ11の表示内容を制御する。一例として、第1画像生成部43は、進行制御部42の演算結果に従って、実際の野球の試合をテレビ放送で観戦する場合と同様のゲーム画像を繰り返し生成し、これを第1モニタ11に表示させる。なお、試合の開始前、終了において第1画像生成部43は、進行制御部42からの指示に従ってユーザにゲームを進める手順を案内し、あるいはユーザの指示又は選択を求めるといった各種の画像を生成して第1モニタ11に表示させてもよい。
第2画像生成部44は、選手管理部41からの指示に従ってカード読取装置14の第2モニタ15に表示させるべき画像を第2モニタ15のフレームレートに従って繰り返し生成し、生成された画像が表示されるように第2モニタ15の表示内容を制御する。つまり、第2画像生成部44は、カード読取装置14を介して選手登録し、あるいは選手カードCPの位置に応じて状態パラメータの値を変更するために必要な設定画像を第2モニタ15に表示させる処理を実行する。なお、第2画像生成部44は、図3に示したカード操作部20を構成するための設定画像以外にも適宜の画像を第2モニタ15に表示させてもよい。
カード作成制御部45は、進行制御部42からの指示に従って選手カードCPを印刷するために必要な印刷データを生成し、そのデータをプリンタユニット13に出力することにより、進行制御部42が指示した選手カードCPが作成されてユーザに払い出されるようにプリンタユニット13を制御する。それにより、カード作成制御部45は媒体作成制御手段の一例として機能する。プリンタユニット13による選手カードCPの印刷は、野球ゲームにて所定の作成条件が成立した場合に行われる。この印刷は、ゲームプログラムPGにて予め選手カードCPを印刷して払い出すべきと定められた条件が満たされた場合に行われるものであって、野球ゲームの進行と関連付けて予定された選手カードCPの印刷及び払い出しである。例えば、ゲームのプレイを終了する時点で、一枚の選手カードCPを払い出すように作成条件が設定され、あるいはゲームのプレイにて所定の成績を挙げた場合に一枚の選手カードCPを払い出すように作成条件が設定され、それらの作成条件が満たされると選手カードCPの印刷及び払い出しが実行される。
一方、作成条件の成立に対応した選手カードCPの払い出しとは別に、ゲーム機3には、ユーザに対して選手カードCPを購入する機会を付与し、ユーザの購入内容に応じて選手カードCPを印刷して払い出す機能が実装されている。以下では、その機能をカード販売機能と呼ぶことがある。カード販売機能に関連した処理は、ゲーム機3がユーザに対してゲームを提供している間において、そのゲームの進行に与える影響が可能な限り小さくなるようにして実行される。以下、図10を参照してカード販売機能を説明する。
図10は、ゲーム機3におけるゲームのプレイの制御と、カード販売制御との対応関係の一例を示している。図10においては、時刻tsにてユーザがゲームを開始し、その開始からプレイ期間Tpが経過した時刻teにてゲームが終了するものと仮定する。時刻ts以前、及び時刻te以降は、ユーザのゲーム開始を待つ待機段階である。待機段階では、例えばデモンストレーション用の動画の再生等が適宜に行われる。プレイ期間tpは、ユーザの指示に従ってゲームのプレイに必要な準備を整える準備段階(時刻ts〜tp)、ユーザがゲームをプレイするプレイ段階(時刻tp〜tq)、ゲームのプレイ結果を処理してゲームのプレイを終了させる終了段階(時刻tq〜te)に区分されている。プレイ制御では、各段階を順次経てゲームが終了するように各種の処理が行われる。
一方、カード販売の制御では、プレイ制御におけるプレイ期間Tpに、選手カードCPを販売するための各種の処理が行われる。この場合の選手カードCPは選手データDCに記録された初期値に基づいてパラメータが設定された選手カードであって、新規媒体の一例に相当する。ただし、カード販売機能にて作成される選手カードCP上のパラメータは、選手データDCに記録された初期値に対して適宜に変更されてもよい。カード販売制御における処理は、購入処理、印刷処理及び払出処理に区分される。それらの処理は、ゲームの終了時刻teまでに完了するように実行時期が制御される。例えば、ユーザがゲームをプレイしている間に販売可能な選手カードCPの最大数量をX枚としたとき、購入処理、その数量Xの印刷及び払い出しに必要な時間長を最大処理期間Tmaxとして、ゲームの終了時刻teよりも最大処理期間Tmax先行する時刻tx、又はそれよりもさらに早い時刻に購入処理が開始される。また、購入処理は、ゲームのプレイ段階の開始時刻tp又はそれよりも早い時刻に終了するように実行される。
図10のパターンAは、購入処理、印刷処理及び払出処理を連続して行う例を示し、この場合の時刻txはゲーム終了時刻teよりも最大処理期間Tmaxだけ先行する時刻txに購入処理を開始すればよい。ただし、カード販売制御はパターンAの例に限らない。例えば、パターンBとして示したように、購入処理、印刷処理及び払出処理を連続する場合でも、ゲーム終了時刻teよりも早い時刻に払出処理が完了するようにカード販売処理が制御されてもよい。あるいは、パターンCとして示したように、購入処理の開始時刻がゲーム開始時刻ts以降であってかつ払出時刻がゲーム終了時刻teを超えない限り、購入処理、印刷処理及び払出処理の少なくとも一部の間に処理を中断する期間が介在されてもよい。なお、選手カードCPの購入枚数が最大購入枚数X枚未満の場合にも、購入処理、印刷処理及び払出処理の少なくとも一部の間に処理を中断する期間が介在されてよい。
購入処理は、ユーザの指示に従って購入内容を決定する処理である。そのため、いずれのパターンによる場合でも、ユーザによるゲームのプレイの妨げとならないように、購入処理は、プレイ段階の開始時刻tp又はそれ以前に終了するように実行されることが望ましい。図10では、プレイ制御における準備段階とプレイ段階との間に購入処理を介在させているが、そのような設定は一例に過ぎない。購入処理はプレイ開始前の適宜に時期に実行されていればよく、準備段階の途中で購入処理が実行されてもよい。ただし、プレイ段階であっても、例えばゲームのプレイの適宜の区切りとなるべき位置、例えば複数のステージを順次経るようにゲームをプレイさせる場合のステージ間の区切り位置等であれば、ユーザのプレイの妨げとならない限りにおいて購入処理の少なくとも一部が実行されてもよい。例えば、購入内容に関してユーザに最終確認を求める処理等がプレイ段階の途中に介在されてもよい。また、準備段階の一部をバックグラウンド処理として実行し、その実行中に購入処理の少なくとも一部をフォアグラウンド処理として実行することにより、プレイ制御における準備段階と、カード販売制御における購入処理とが並列的に実行されてもよい。つまり、図10において、準備段階と購入処理とが一部の期間で重複して実行されてもよい。
以上のようにカード販売機能を制御する場合には、プレイ期間Tp内の適宜の時期に選手カードCPの購入処理が行われ、かつプレイ段階や終了段階と並行して選手カードCPの作成(印刷)及び払い出しが行われる。したがって、ゲームのプレイと関連付けられた準備段階、プレイ段階及び終了段階のそれぞれの制御を中断して、カード販売に必要な購入処理、印刷処理及び払出処理の全てを排他的に実行する場合と比較して、選手カードCPの販売が、ゲームの提供というゲーム機3の本来の機能に与える影響を最小限に抑えてゲーム機3の稼働効率や収益性の維持、向上を図りつつ、ゲーム機3を選手カードCPの販売手段として効果的に活用することができる。特に、購入処理をプレイ段階の開始前に実行する場合には、ユーザによるゲームのプレイがカードの販売機能の制御によって損なわれるおそれを排除することが可能である。また、プレイ段階にて、バックグラウンド処理として選手カードCPの印刷を進行させ、選手カードCPの払い出しをプレイ制御の終了段階にて行うようにしているので、ユーザのゲームのプレイを損なうことなく選手カードCPを販売することが可能である。
次に、図11及び図12を参照して、ゲーム中に選手カードCPを販売するためにゲーム制御部32が実行するゲーム処理の手順の一例を説明する。図示の処理は、ゲームの開始を指示するユーザの操作に応答して実行される処理であって、進行制御部42を中心として行われる処理である。図11の処理が開始されると、まず進行制御部42はユーザを認証する(ステップS11)。ユーザの認証は、一例としてユーザが所持する認証用媒体からユーザ認証情報(認証用ID)を読み取り、センターサーバ2と協働してユーザを判別することにより行われる。ユーザ認証が完了すると、進行制御部42は、ゲームのプレイ料金を決済するための処理を実行する(ステップS12)。例えば、プレイ料金が現金、メダル等の代替貨幣、あるいは電子通貨によってユーザから徴収される。なお、ステップS11にてユーザが認証用媒体を所有していない場合、ユーザの指示に基づいてユーザ認証をスキップすることが可能である。ユーザ認証及びプレイ料金の決済は、一例として第1モニタ11に適宜の画面を表示して進められるが、その具体的な手順は公知のゲーム機と同様でよい。
プレイ料金の決済が終わると、進行制御部42は、初期カードを必要とするユーザか否かを判別する(ステップS13)。ユーザ認証を済ませたユーザに対応するプレイデータDP(ただし、ゲーム機3にて提供される野球ゲームのデータである。)がセンターサーバ2に存在しない場合、あるいはステップS11にてユーザ認証がスキップされた場合には、初期カードが必要と判断される。初期カードが必要と判断された場合、進行制御部42は、初期カードとして提供されるべき一枚の選手カードCPに関するユーザの選択を受け付け(ステップS14)、その後、ユーザの選択に従って初期カードとしての一枚の選手カードCPを決定してその印刷をカード作成制御部45に指示する(ステップS15)。これを受けて、カード作成制御部45は進行制御部42から指示された選手カードCPの印刷が開始されるようにプリンタユニット13を制御する。ステップS14では一例として選手が所属する球団をユーザに選択させ、ステップS15では、選択された球団に所属する一の選手がランダムに選択され、その選択された選手に対応する選手データDCに基づいて印刷データが作成されてプリンタユニット13に提供される。
続いて、進行制御部42は、第1画像生成部43を介して第1モニタ11にゲームのプレイ方法その他を説明する画像を表示させ(ステップS16)、その後、初期カードのユーザへの払い出しが完了したか否かをカード作成制御部45を介して判別する(ステップS17)。払い出しが完了していなければステップS16に戻ってゲームの説明を継続する。ステップS16及びS17の処理は、初期カードの印刷及び払い出しに要する時間を利用してユーザにゲーム内容を理解させるために行われる処理である。なお、ステップS13〜ステップS17によって実現される選手カードCPの作成及び払い出しは、ゲームと関連付けて設定された条件の成否に基づいて行われる処理であり、ステップS13にて判別される条件は作成条件の一例に相当する。
ステップS17で初期カードの払い出しが完了している場合、進行制御部42は選手管理部41に選手登録の実行を指示し、これを受けて、選手管理部41は図3の登録領域22を利用して選手登録を実行する(ステップS18)。選手登録が完了すると、進行制御部42は第1画像生成部43を介して第1モニタ11に選手カードCPの追加して購入するか否かをユーザに問い合わせる画面を表示させ、ユーザの選択を受け付ける(ステップS19)。この場合、ユーザが選手カードCPの購入を選択する場合には、購入内容もユーザに選択させる。購入内容としては、購入枚数のみをユーザが選択可能としてもよいし、数量の選択に加えて、購入する選手カードCPに対応する選手の所属球団、野手又は投手の区別といった選手カードCPの内容と関連付けられた選択肢をユーザが適宜に選択可能としてもよい。なお、ステップS19にてユーザが指定可能な購入枚数は図10に示した最大処理期間Tmaxと関連付けられた最大枚数以内に制限される。
続いて、進行制御部42は選手カードCPの追加購入内容を確定する(ステップS20)。この場合、追加購入に伴って発生する料金の決済が併せて行われてよい。ステップS19及びS20の処理は、処理に要する時間を限って実行されてよい。購入内容を確定すると、ゲーム処理が図12のステップS21へと進められる。ステップS21では、進行制御部42が、追加購入された選手カードCPの印刷をカード作成制御部45に指示し、これを受けて、カード作成制御部45は、進行制御部42から指示された選手カードCPの印刷が開始されるようにプリンタユニット13を制御する。この場合、ステップS20で確定した購入内容に基づいてユーザに払い出すべき選手カードCPに対応する選手データDCが判別され、その選手データDCに基づいて印刷データが作成されてプリンタユニット13に提供される。これを受けてプリンタユニット13では、追加購入された選手カードCPの印刷が開始される。
ステップS21にて印刷が開始されると、進行制御部42は、野球ゲームのプレイを開始させる(ステップS22)。ここまでの処理において、少なくともステップS11〜S18の処理がプレイ制御における準備段階の一例に相当し、ステップS19〜S21の処理がカード販売制御における購入処理の一例に相当する。なお、ステップS19〜S21の処理が行われている間、ステップS18における選手登録の結果に基づいて野球ゲームの試合を開始するために必要な各種の演算処理等がバックグラウンド処理として進行制御部42その他で適宜に並行して行われてよい。この場合には、プレイ制御における準備段階とカード販売における購入処理とが並行して行われることになる。
ステップS22でプレイが開始されると、所定の手順に従って野球ゲームの試合が進行する。この間、指示領域23における選手カードCPの位置の変更操作等を参照しつつ試合の進行に必要な各種の演算制御が実行される。ステップS22のプレイ開始をもってゲプレイ制御は準備段階からプレイ段階へと移行する。そして、試合が終了すると、進行制御部42はプレイ制御をプレイ段階から終了段階へと移行させ、ユーザに対してプレイ結果、例えば試合のスコア、成績表示等を第1画像生成部43を介して第1モニタ11に表示させる処理を実行し(ステップS23)、続いてゲームのプレイを終了させるための所定の終了画像等を第1画像生成部43を介して第1モニタ11に表示させる処理を実行する(ステップS24)。
ステップS24の画像の表示開始後、進行制御部42はカード作成制御部45に対して、ステップS21で印刷開始を指示した選手カードCP、つまりユーザが追加購入した選手カードCPの払い出しを指示し、これを受けてカード作成制御部45はプリンタユニット13に対してユーザが追加購入した選手カードCPの払い出しを指示する(ステップS25)。図10にて説明したように、ユーザが購入した選手カードCPの印刷はゲームの終了以前に完了しており、ステップS25の段階ではユーザの購入内容に対応して印刷された全ての選手カードCPが一括して払い出される。なお、選手カードCPは一枚ずつ印刷されるため、複数枚の選手カードCPをユーザが購入した場合には、印刷が完了した選手カードCPをステップS25に至るまでストックしておけばよい。なお、ステップS19にてユーザが選手カードCPの購入を選択しなかった場合、選手カードCPの購入に関連するステップS20、S21及びS25の処理はスキップされてよい。
以上の形態においては、進行制御部42が図11のステップS19及びS20の処理を実行することにより購入処理実行手段の一例として機能し、カード作成制御部45が図12のステップS21にて選手カードCPの印刷を開始させることにより媒体作成制御手段との一例として機能する。
本発明は上述した形態に限定されず、種々の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、ゲームの準備段階とプレイ段階との間に選手カードCPの購入処理であるステップS19及びS20を実行するものとしたが、購入処理はステップS22のプレイ開始よりも早い時期であって、かつゲームの終了時期に対して、ユーザが購入可能な数量の選手カードCPを印刷して払い出すために必要な時間長(図10の時間長Tmax)以上に先行する限り、購入処理は適宜の時期に実行されてよい。例えば図11のステップS18の処理に先行して購入処理が実行されてもよい。あるいは、ステップS11に続いてステップS19及びS20の処理を実行し、その後、ステップS13が肯定判断される場合にはステップS17を処理してからステップS21の処理を実行し、ステップS13が否定判断される場合には続いてステップS21の処理を実行してもよい。ステップS13が肯定判断される場合において、ステップS17が肯定判断されるまでの間にステップS19及びステップS21の処理が実行されてもよい。
図11におけるステップS13〜S17の処理は必須ではなく、適宜に省略されてもよい。なお、ステップS12に先行して購入処理が実行される場合には、ステップS12の処理にてゲームのプレイ料金の決済に併せて選手カードCPの追加購入に必要な料金が決済されてもよい。
上記の形態では、撮影装置17とカード判別部40との組み合わせによって情報読取手段を実現しているが、情報読取り手段はそのような例に限られない。例えば、表示面15sをその上方から撮影して選手カードCPの情報を読み取り、あるいは選手カードCPに埋め込まれたICチップ等の記録媒体から情報を読み取るように情報読取手段が構成されてもよい。媒体は選手カードCPに限定されず、ゲームの制御に必要な情報が適宜に記録可能である限り適宜の変形が可能である。例えば、立体的な駒その他の物品が媒体として利用されてよい。媒体作成手段はカードその他の2次元的な媒体を対象とするプリンタユニットに限らず、3Dプリンタのように立体的な媒体を作成して払い出し可能な装置が媒体作成手段として利用されてよい。
上記の形態では、選手カードCPを用いて野球ゲームをプレイするゲーム機を例に挙げたが、本発明のゲーム機はそのようなゲーム機に限定されない。媒体から読み取った情報に基づいてゲームを進行させるとともに、ゲームにて所定の作成条件が成立した場合に媒体を作成して払い出すための媒体作成手段を備えたゲーム機であれば本発明を適宜に適用することが可能である。その場合、作成条件は上述したようにゲームと関連付けて適宜に設定されてよい。作成条件が成立した場合に作成されて払い出される媒体は、例えば選手データDCに基づいて制御パラメータが設定された初期カードのように初期情報が記録された媒体であってもよいし、ゲームのプレイに応じて更新された情報が記録された媒体であってもよい。あるいは、通常の選手カードCPとは外観が異なる媒体が作成条件の成立に応じて作成されて払い出されてもよい。そのような媒体は、ゲーム機にて必ずしも読取り可能な情報が記録された媒体に限らず、ユーザがコレクションとして所有する価値を有する媒体として作成されてもよい。さらに、作成条件の成立に基づく媒体の作成及び払い出しはゲームの終了段階において実行されてもよい。一方、本発明に従ってユーザに販売される媒体も、選手データDCに基づく初期情報が記録された媒体に限定されず、適宜の情報が記録された媒体が新規媒体として販売されてもよい。さらに、新規媒体の外観デザインが適宜に変更されてもよい。ユーザがゲームをプレイしている間にバックグラウンド処理として媒体を作成する場合には、作成時間に比較的余裕を見込むことが可能である。したがって、作成に比較的時間を要する処理(一例として外観や表面に関する特殊な処理)を媒体に施すことも可能である。なお、ゲームと関連付けられた作成条件の成立に対応して媒体を作成し、払い出す機能が実装されていないゲーム機であっても、媒体作成手段を備えている限りにおいては、ゲームの開始から終了までの間のいずれかの時期に本発明と同様にユーザの指示に基づく購入処理を実行し、ゲームのプレイ等と並行して購入内容に応じた媒体の作成及び払い出しを進行させるようにゲーム機を構成すれば、ゲームの提供という本来の機能を損なうことなく、ゲーム機を媒体の販売手段として機能させることが可能である。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲーム機(3)は、ユーザが提示した媒体(CP)に記録された情報を読み取る情報読取手段(17、40)と、所定の情報が記録された媒体を作成して前記ユーザに払い出す媒体作成手段(13)と、前記情報読取手段が読み取った情報に基づいてゲームを進行させるとともに、前記ゲームにて所定の作成条件が成立した場合に所定の媒体が作成されて前記ユーザに払い出されるように前記媒体作成手段を制御するゲーム制御手段(32)と、を備えたゲーム機において、前記ゲーム制御手段には、前記作成条件の成立に対応して作成される媒体とは異なる新規媒体の購入に関する前記ユーザの指示を受け付ける購入処理を実行する購入処理実行手段(42、S19、S20)と、前記購入処理にて受け付けられた指示に従って前記新規媒体が作成されて前記ユーザに払い出されるように前記媒体作成手段を制御する媒体作成制御手段(45、S21)と、が設けられ、前記購入処理実行手段は、前記ゲームの終了時期(一例として図10の時刻te)に対して、前記購入処理にて購入可能な数量の新規媒体を作成するために必要な時間長(一例として図10の時間長Tmax)以上に先行する時期に前記購入処理を実行するものである。
本発明の一態様に係るゲーム機用のコンピュータプログラム(PG)は、ユーザが提示した媒体(CP)に記録された情報を読み取る情報読取手段(17、40)と、所定の情報が記録された媒体を作成して前記ユーザに払い出す媒体作成手段(13)とを備えたゲーム機(3)のコンピュータ(30)を、前記情報読取手段が読み取った情報に基づいてゲームを進行させるとともに、前記ゲームにて所定の作成条件が成立した場合に所定の媒体が作成されて前記ユーザに払い出されるように前記媒体作成手段を制御するゲーム制御手段(32)として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラムであって、前記ゲーム制御手段を、前記作成条件の成立に対応して作成される媒体とは異なる新規媒体の購入に関する前記ユーザの指示を受け付ける購入処理を実行する購入処理実行手段(42、S19、S20)、及び前記購入処理にて受け付けられた指示に従って前記新規媒体が作成されて前記ユーザに払い出されるように前記媒体作成手段を制御する媒体作成制御手段(45、S21)としてさらに機能させ、前記購入処理実行手段は、前記ゲームの終了時期(一例として図10の時刻te)に対して、前記購入処理にて購入可能な数量の新規媒体を作成するために必要な時間長(一例として図10の時間長Tmax)以上に先行する時期に前記購入処理を実行するように構成されたものである。
上記の態様によれば、ゲームの終了時期に対して、ユーザが購入可能な数量の新規媒体を作成するために必要な時間長以上に先行する時期に購入処理を行うことにより、購入処理によって定まった購入内容に従って新規媒体を作成し、払い出しを行う処理を、ゲームがプレイされて終了するまでの間に適宜並行的に実行することができる。そのため、ゲームのプレイに必要な各種の処理を中断して、新規媒体をユーザに販売するための処理を排他的に実行する場合と比較して、ゲームを提供するというゲーム機本来の機能に与える影響を可能な限り抑えてゲーム機の稼働効率や収益性の維持、向上を図りつつ、ユーザに媒体を販売する手段としてゲーム機を効果的に機能させることが可能である。
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
上記態様において、前記ゲーム制御手段は、前記ユーザの指示を参照しつつ前記ゲームのプレイに必要な準備を整える準備段階と、前記読み取った情報に基づくゲームをユーザにプレイさせるプレイ段階と、前記プレイ段階のプレイ結果を処理して前記ユーザのゲームのプレイを終了させる終了段階とを順次経て前記ゲームが終了するように前記ゲームの進行を制御し、前記購入処理実行手段は、前記プレイ段階よりも早い時期に前記購入処理を実行するものとしてもよい。この場合には、ゲームのプレイの開始に先行して購入処理が行われるため、ユーザによるゲームのプレイがカードの購入処理に伴って必要となるユーザの指示や選択操作等によって損なわれるおそれを排除することができる。
また、前記媒体作成制御手段は、前記プレイ段階における前記ゲームのプレイと並行して前記新規媒体の作成が進行するように前記媒体作成手段を制御してもよい。これによれば、プレイ段階にて、バックグラウンド処理として媒体の作成を進行させることが可能であり、それにより、ゲーム機を新規媒体の販売手段としてより効率的に活用することができる。
さらに、前記媒体作成制御手段は、前記終了段階にて前記新規媒体が払い出されるように前記媒体作成手段を制御してもよい。これによれば、ゲームの終了段階で新規媒体が払い出されるので、ゲームのプレイ途中における新規媒体の払い出しに気を取られてユーザのプレイが損なわれるおそれを排除し、ユーザをゲームのプレイに集中させることが可能である。