以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態における電子ブロック装置1の概略を説明する。図1は、電子ブロック装置1の一部を示す斜視図である。尚、図1では、電子ブロック2の一例である3つの電子ブロック2a〜2cを示し、電子ブロック2aがベース板3に設置されていない状態、電子ブロック2b、2cがベース板3に設置されている状態を示している。
第1実施形態の電子ブロック装置1は、種々の電子部品を有する複数の電子ブロック2をベース板3に設置して、その設置する複数の電子ブロック2の組合せによってベース板3上に任意の電子回路を形成するものであり、特に、電子ブロック2を簡単に製造できるものである。
電子ブロック装置1は、主に、複数の電子ブロック2と、その複数の電子ブロック2の各々が着脱可能に設置される板状のベース板3とによって構成されている。電子ブロック2の各々は、板状のブロック板10と、そのブロック板10に搭載される電子部品を覆うキャップ20とによって構成されている。
ブロック板10は、電子部品が搭載されると共に、その電子部品と接続されているプリント配線が形成されるプリント回路基板によって構成されている。ブロック板10の側面には、複数本の端面スルーホール11が凹設されている。端面スルーホール11の各々は、その内面が導電性を有するスルーホールメッキ12で被覆されている。スルーホールメッキ12は、後述する通り、ブロック板10に形成されているプリント配線と導通している。即ち、ブロック板10の側面には、電気的な接続端としてスルーホールメッキ12が外部に露出した状態で形成されている。
キャップ20の上面には、記号が表記されている。その記号は、ブロック板10に搭載されている電子部品と、その電子部品と接続されているプリント配線のパターンとを示す記号である。そのため、ブロック板10がキャップ20に覆われていても、ブロック板10に搭載されている電子部品、ブロック板10に形成されているプリント配線のパターンを外部から把握できる。
ベース板3には、スペーサ4が固着され、そのスペーサ4から導通部材5が立設されている。スペーサ4は、樹脂製の直方体に形成され、電子ブロック2をベース板3に設置した場合に、電子ブロック2のブロック板10の縁部を支持してベース板3とブロック板10との間にスペースを形成する。導通部材5は、導電性を有する金属製材料で構成されている。導通部材5は、ベース板3に電子ブロック2を隣接して設置した場合に、その隣接する電子ブロック2のブロック板10に形成されるスルーホールメッキ12と、スルーホールメッキ12とに当接して、両者を電気的に接続する。
そのため、ベース板3に電子ブロック2を隣接して設置すると、その隣接する電子ブロック2のブロック板10に搭載されている電子部品同士が、導通部材5を介して電気的に接続される。このようにして、ベース板3に複数の電子ブロック2を組み合わせて設置することで、ベース板3上に任意の電子回路を形成できる。
次に、図2を参照して、電子ブロック2の一例である電子ブロック2bについて詳細に説明する。図2は、電子ブロック2bの分解斜視図である。電子ブロック2bは、ブロック板10と、キャップ20とによって構成されている。
ブロック板10は、平面視正方形に形成されているプリント回路基板によって構成されている。ブロック板10は、抵抗器13と、その抵抗器13と接続されているプリント配線14と、側面に凹設される端面スルーホール11と、その端面スルーホール11の内面を被覆するスルーホールメッキ12と、角部に穿設されるキャップ保持穴15とによって構成されている。
抵抗器13は、電気の流れを規制する電子部品であり、表面実装される角形のチップ部品である。ブロック板10は、プリント回路基板によって構成されているので、プリント配線を変更することにより、かかる抵抗器13のような表面実装用の電子部品に加え、リード線付きの電子部品、多数の端子を有する集積回路など、多種多様な電子部品を搭載できる。
プリント配線14は、プリント回路基板であるブロック板10に、プリントによって形成される導電性を有する配線である。プリント配線14は、抵抗器13と接続されると共に、ブロック板10の対向する側面に形成されている2つのスルーホールメッキ12と導通されている。そのため、他の電子ブロック2との接続端となるスルーホールメッキ12と、抵抗器13とを、線材である配線を使って配線接続する必要がない。
端面スルーホール11は、電子ブロック2bと、他の電子ブロック2とをベース板3に隣接して設置した場合に、ベース板3から立設する導通部材5(図1参照)を挟む部分に形成される。端面スルーホール11は、ブロック板10の表面から裏面に亘って帯状に凹設されている。端面スルーホール11は、ブロック板10の各側面に3本ずつ、合計12本形成されている。12本の端面スルーホール11は、対向するブロック板10の側面において線対称となる位置に形成されている。
電子ブロック2bのブロック板10の側面と、他の電子ブロック2のブロック板10の側面とを突き合わせてベース板3に設置すると、それらのブロック板10の側面に対向して形成されている端面スルーホール11間にベース板3から立設する導通部材5(図1参照)が挟まれる。そのため、隣接する電子ブロック2のブロック板10同士をベース板3上において隙間なく設置できる。よって、ベース板3の大きさ、装置全体の大きさをコンパクトにできる。
スルーホールメッキ12は、抵抗器13と接続されているプリント配線14の電気的な接続端として形成され、電子ブロック2bをベース板3に設置した場合に、ベース板3から立設する導通部材5(図1参照)が当接する部分である。スルーホールメッキ12は、導電性を有する金属材料(例えば、銅)によって端面スルーホール11の全内面を被覆している。
このように、スルーホールメッキ12は、ブロック板10の表面から裏面に亘って凹設される端面スルーホール11の全内面を被覆しているので、ベース板3に電子ブロック2bを設置した場合、ベース板3から立設する導通部材5(図1参照)が、スルーホールメッキ12に当接する範囲を極力大きくできる。そのため、確実に導通部材5をスルーホールメッキ12に当接させることができる。よって、導通部材5を介して隣接するスルーホールメッキ12同士を確実に電気的に接続できる。
キャップ保持穴15は、後述するキャップ20の係合爪23が通過する穴である。キャップ保持穴15は、ブロック板10の抵抗器13、プリント配線14、スルーホールメッキ12を避けて、ブロック板10に穿設されている。キャップ20は、キャップ保持穴15を通過する係合爪23によってブロック板10に着脱可能に取り付けられる。
このように、電子ブロック2のブロック板10は、プリント回路基板によって構成されており、そのプリント回路基板には、その側面に電気的な接続端としてのスルーホールメッキ12が形成されている。そのため、ベース板3上において隣接する電子ブロック2と電気的に接続するために、電子ブロック2の側面に別途、導電性を有する部材を設ける必要がない。また、電子部品は、プリント回路基板に搭載されるので、かかる別途設けた部材と電子部品とを線材である配線を使って配線接続する必要がない。従って、かかるプリント回路基板によって構成されるブロック板10を有する電子ブロック2bを簡単に製造できる。
キャップ20は、ブロック板10に搭載されている抵抗器13を覆い、ブロック板10に対して着脱可能に取り付けられる。キャップ20は、透明又は半透明の樹脂材料によって中空状に形成されている。そのため、キャップ20がブロック板10に取り付けられていても、キャップ20の外側からブロック板10に搭載されている抵抗器13などを視認できる。キャップ20は、ブロック板10に設置される台部21と、台部21から突出する突出部22とによって構成されている。
台部21は、突出部22が突出する面とは反対面が開口されている中空箱状に形成されている。かかる反対面が、ブロック板10の表面に設置される設置面であり、開口を囲む正方形の枠状に形成されている。台部21の設置面は、ブロック板10の表面に形成さているスルーホールメッキ12よりも内側に設置可能な大きさに形成されている。そのため、ブロック板10の側面に形成されているスルーホールメッキ12(他の電子ブロック2との接続端となる部分)を外部に露出させた状態で、ブロック板10にキャップ20を取り付けることができる。
また、台部21の設置面には、その対角線上の両角部に一対の係合爪23が突設されている。一対の係合爪23は、キャップ20をブロック板10に着脱可能に取り付けるためのものである。一対の係合爪23をブロック板10に穿設されているキャップ保持穴15に押し込むことで、一対の係合爪23がブロック板10と係合し、キャップ20がブロック板10に取り付けられる。一方、一対の係合爪23をキャップ保持穴15から引き抜くことで、ブロック板10からキャップ20が取り外される。
このように、電子ブロック2は、ブロック板10とキャップ20とが着脱可能に構成されている。そのため、例えば、搭載されている電子部品に故障や、接触不良が発生した場合、電子部品が搭載されているブロック板10からキャップ20を取り外し、新しい電子部品が搭載されているブロック板10をキャップ20に取り付ければ良く、電子部品の交換を簡単にできる。また、ブロック板10からキャップ20を取り外すことで、ブロック板10に搭載されている電子部品、ブロック板10に形成されるプリント配線14などを直接確認、観察できる。
突出部22は、台部21の上面の内側から突出し、台部21よりも一回り小さい中空箱状に形成されている。キャップ20には、突出部22が設けられているので、ユーザは突出部22を持って電子ブロック2bをベース板3へ設置したり、ベース板3から電子ブロック2bを引き抜くことができる。また、突出部22は、台部23よりも一回り小さく形成されているので、電子ブロック2bをベース板3に設置したり、引き抜く場合に、ユーザーの指が他の電子ブロック2と干渉し難くできる。
尚、上述した電子ブロック2bは、あくまでも電子ブロック2の一例である。即ち、他の電子ブロック2のブロック板10には、抵抗器13に限らず、集積回路、コンデンサ、ダイオードなど、各種の電子部品が搭載されると共に、その各種の電子部品と接続される各種パターンのプリント配線が形成される。
次に、図3を参照して、スペーサ4と導通部材5とについて詳細に説明する。図3は、図1のIII−III断面線に示す電子ブロック装置1の断面図である。尚、図3では、図1に示す電子ブロック2a〜2cをベース板3に設置した状態を示している。
スペーサ4は、上述した通り、樹脂製の直方体に形成され(図1参照)、ベース板3に固着されている。スペーサ4の短辺方向中央には、導通部材5が立設されており、その導通部材5を挟む両側の上面に、隣接して設置される電子ブロック2のブロック板10の縁部が設置される。尚、スペーサ4は樹脂製なので、1つのスペーサ4に設けられた各導通部材5とは、それぞれ互いに絶縁されている。
スペーサ4は、ベース板3の表面からの高さが、キャップ20の係合爪23がブロック板10の裏面から突出する突出量よりも大きく形成されている。そのため、電子ブロック2をベース板3に設置して、ブロック板10の縁部がスペーサ4に支持されると、電子ブロック2の係合爪23は、ブロック板10とベース板3との間に形成されるスペース25内に収納される。よって、電子ブロック2をベース板3に設置した場合に、係合爪23がベース板3に当たって、電子ブロック2がベース板3上で浮き上がり、不安定になるのを防止できる。
また、例えば、電子ブロック2bのブロック板10に表面実装されている抵抗器13に替えて、リード線付きの抵抗器を実装するとする。この場合、電子ブロック2bのブロック板10には、リード線を通す貫通穴が空けられ、その貫通穴にリード線を通して、そのリード線先端がブロック板10の裏面で半田付けされる。この場合でも、かかる半田をスペース25内に収納できる。
更に、ブロック板10からキャップ20を取り外し、ブロック板10だけをベース板3に設置したとする。この場合、キャップ20が無くても、例えば、指をスペース25に引っ掛かけることで、ベース板3からブロック板10を簡単に引き抜くことができる。
導通部材5は、スペーサ4を貫通して立設している。導通部材5は、ベース板3に電子ブロック2のブロック板10の側面同士を突き合わせて設置した場合に、それらのブロック板10の側面に形成されている端面スルーホール11に挟まれる位置に立設されている。また、導通部材5は、その挟まれる端面スルーホール11の内面に形成されているスルーホールメッキ12と、スルーホールメッキ12とに当接し、かかるスルーホールメッキ12同士を、電気的に接続すると共に、互いに離間する方向に押圧する。
導通部材5は、支柱51と、その支柱51のうちスペーサ4から突出する部分に連結されている押圧部52とによって構成されている。支柱51は、ベース板3とスペーサ4とを貫通する金属製の棒状体によって形成されている。支柱51は、その一端側がベース板3を貫通し、ベース板3の裏面に半田付けされ固定されている。
押圧部52は、金属製の線状体によって断面視楕円に形成され、支柱51に溶接されている。押圧部52のうち楕円の短軸を挟んで形成される湾曲部分が、隣接するブロック板10の側面に形成されているスルーホールメッキ12と、スルーホールメッキ12とに当接する。そのため、押圧部52が有する導電性によって当接するスルーホールメッキ12同士が電気的に接続されると共に、押圧部52の湾曲部分が有する弾性によって、当接するスルーホールメッキ12同士が互いに離間する方向に押圧される。
このように、押圧部52の湾曲部分に当接するスルーホールメッキ12同士は、押圧部52の湾曲部分に押さえ付けられながら当接するので、押圧部52を介してスルーホールメッキ12同士確実に電気的に接続できる。また、ベース板3上において、電子ブロック2aと電子ブロック2cとに挟まれる電子ブロック2bは、電子ブロック2bのブロック板10を挟む導通部材5によって互いに内側に押圧されることになるので、ベース板3上においてブロック板10を有する電子ブロック2を強固に保持できる。
次に、図4を参照して、図1に示す電子ブロック2a〜2cをベース板3に設置した場合にベース板3に形成される電子回路について説明する。図4は、電子ブロック装置1の平面図である。
電子ブロック2aのブロック板10には、回路のオン/オフを切り替える電子部品であるスイッチ30が搭載されている。スイッチ30の一端側(図中左側)は、プリント配線31、スルーホールメッキ12を介して第3導通部材5cと接続される。尚、第3導通部材5cには、後述する通り、「5V」の電圧が供給される正側電源プリント配線40(図5参照)が接続されている。スイッチ30の他端側(図中右側)は、プリント配線31、スルーホールメッキ12を介して導通部材5と接続される。
電子ブロック2bのブロック板10には、抵抗器13が搭載されている。抵抗器13の一端側(図中左側)は、プリント配線14、スルーホールメッキ12を介して導通部材5と接続される。即ち、抵抗器13は、導通部材5を介してスイッチ30と電気的に接続される。抵抗器13の他端側(図中右側)は、プリント配線14、スルーホールメッキ12を介して導通部材5と接続される。
電子ブロック2cのブロック板10には、電子部品として、3つの発光ダイオード32(以下「LED32」と称す)が並列に搭載されている。LED32の一端側(図中左側)は、プリント配線33、スルーホールメッキ12を介して導通部材5と接続される。即ち、LED32は、導通部材5を介して抵抗器13と電気的に接続される。LED32の他端側(図中右側)は、プリント配線33、スルーホールメッキ12を介して第6導通部材5fに接続される。尚、第6導通部材5fには、後述する通り、「0V」の電圧が供給される負側電源プリント配線50が接続されている。
そのため、電子ブロック2a〜2cをベース板3に設置すると、第3導通部材5cと第6導通部材5fとの間に「5V」の電圧が供給される。よって、電子ブロック2a〜2cをベース板3に設置すれば、電圧を供給するための配線を別途形成せずに、スイッチ30のオン/オフによって、LED32が点灯/消灯するLED回路をベース板3上に形成できる。
図5は、ベース板3の裏面図である。尚、図5では、図面の理解を用意するのために、ベース板4の表面に設置される電子ブロック2a〜2cの外形線と、その電子ブロック2a〜2cのキャップに表記されている記号とを2点鎖線で示すが、かかる2点鎖線はベース板3の裏面には現れない。
ベース板3には、ベース板3に設置される各電子ブロック2に対して12本の導通部材5が設けられている。ここで、かかる12本の導通部材5は、図5に示す通り、第1導通部材5a〜第12導通部材5lであるとして、以下に説明する。尚、第1導通部材5a〜第12導通部材5lは、あくまでも、1つの電子ブロック2に対するものなので、例えば、電子ブロック2aに対して第7導通部材5g〜第9導通部材iとなる導通部材5は、電子ブロック2bに対しては、第3導通部材5c〜第1導通部材5aとなる。
ベース板3は、プリント基板によって構成されている。ベース板3の裏面には、「5V」の電圧が供給されるプリント配線としての正側電源プリント配線40と、「0V」の電圧が供給されるプリント配線としての負側電源プリント配線50とが形成されている。正側電源プリン配線40は、第1導通部材5a〜第12導通部材5lのうち第3導通部材5cと、第7導通部材5gとに接続されている。負側電源プリン配線50は、第1導通部材5a〜第12導通部材5lのうち第6導通部材5fと、第10導通部材5jとに接続されている。
そのため、電圧を供給するための電源配線を別途形成しなくても、ベース板10に電子ブロック2を設置すれば、その電子ブロック2に搭載されている電子部品に電圧供給できる。また、正側電源プリント配線40と、負側電源プリント配線50とは、電子ブロック2を如何なる向きでベース板3に設置しても、正/負が逆して接続されないように配線されているので、電子ブロック2に搭載されている電子部品がショートするのを防止できる。
次に、図6を参照して、電子ブロック2が有しているブロック板10の製造方法を説明する。図6は、複数のブロック板10を形成するための材料基板60の平面図である。尚、図6では、電子ブロック2a〜2cに用いられるブロック板10の製造方法について説明する。また、図6には、図面の理解を容易にすべく、材料基板60に形成されるブロック板10の境界線Kを2点鎖線で示すが、かかる境界線Kは材料基板60には現れない。
ブロック板10を製造する場合、まずは、所定の大きさの材料基板60を準備する。材料基板60は、絶縁基板に銅箔が積層されている銅張積層板によって形成されている。材料基板60が準備出来たら、第1工程の穴空け工程を行う。
第1工程の穴空け工程は、材料基板60にスルーホール61を穿設する。ブロック板10の端面スルーホール11(図2参照)は、スルーホール61を2等分して形成されるので、スルーホール61は、境界線K上に穿設される。穴空け工程は、穴空け装置に穴空けデータを入力し、その穴空けデータに従って、穴空け装置が材料基板60にスルーホール61を穿設する。スルーホール61を穿設すると、第2工程の配線工程を行う。
第2工程の配線工程は、サブトラクティブ法によって行う。サブトラクティブ法では、スルーホール61が穿設されている材料基板60を無電解銅メッキによってメッキし、スルーホール61の内面にスルーホールメッキ12を形成する。無電解銅メッキが完了すると、材料基板60にエッジングレジストを塗布し、マスクパターンを通してプリント配線14,31,33の露光焼付けを行い、現像し、露出している銅箔をエッジングによって除去し、最後に残ったエッジングレジストを剥離する。こうして、プリント配線14,31,33が形成される。尚、プリント配線14,31,33が形成された後は、ソルダーレジストを形成したり、防錆のための表面処理などが行われる。こうして、プリント配線14,31,33を形成すると、第3工程の実装工程を行う。
第3工程の実装工程は、電子部品であるスイッチ30、抵抗器13、LED32を実装する。実装工程はスクリーン印刷装置、チップマウンタを使って機械的に実装する。電子部品を実装すると、第4工程の切断工程を行う。
第4工程の切断工程は、キャップ保持穴15を穿設し、その後で、境界線Kに沿って材料基板60を切断する。切断工程は、穴空け装置でキャップ保持穴15を穿設した後で、切断装置によって、境界線Kに沿って材料基板60を切断する。
こうして、電子ブロック2a〜2cに用いられるブロック板10を一度に複数枚生産できる。このように、ブロック板10は、プリント回路基板によって構成されているので、ブロック板10を機械的に大量生産できる。よって、ブロック板10を有する電子ブロック2を低価格にできる。
また、各ブロック板10に形成されている端面スルーホール11は、第1工程の穴空け工程によって、境界線K上にスルーホール61を穿設し、そのスルーホール61を第5工程の切断工程で2分割した一方によって構成される。更に、端面スルーホール11の内面を被覆するスルーホールメッキ12は、第1工程の穴空け工程によって穿設されるスルーホール61を、第2工程の配線工程における無電解銅メッキによって形成される。
そのため、1つのスルーホール61を穿設することで2本分の端面スルーホール12を凹設でき、複数のスルーホール61の内面に無電解銅メッキによって纏めてスルーホールメッキ12を形成できる。よって、側面に端面スルーホール11が形成され、その端面スルーホール11の内面に電気的な接続端であるスルーホールメッキ12が形成されているブロック板10を簡単に製造できる。従って、かかるブロック板10を有する電子ブロック2を簡単に製造できる。
このように、第1実施形態の電子ブロック装置1は、複数の電子ブロック2の各々がブロック板10を有しており、そのブロック板10はプリント回路基板によって構成されている。そして、そのプリント回路基板には、その側面に電気的な接続端としてのスルーホールメッキ12が形成されている。そのため、ベース板3上において隣接する電子ブロック2と電気的に接続するために、導電性を有する部材を電子ブロック2の側面に別途、設ける必要がない。また、電子部品はプリント回路基板に搭載されるので、かかる別途、設けられる部材と電子部品とを線材である配線を使って配線接続する必要がない。しかも、上述した通り、端面スルーホール11の内面に電気的な接続端であるスルーホールメッキ12が形成されているブロック板10は簡単に製造できる。従って、かかるブロック板10を有する電子ブロック2を簡単に製造できる。
また、電子ブロック2のブロック板10は、プリント回路基板によって構成されているので、ブロック板10の両面にも内層にも多層にわたってプリント回路(プリント配線に電子部品が実装された回路)を形成できる。更に、電子部品はプリント回路基板に搭載されるので、リード線付き電子部品、表面実装用の電子部品、端子数の多い集積回路など、様々なタイプの電子部品を搭載できる。
次に、図7を参照して、第2実施形態の電子ブロック装置100について説明する。図7(a)は、第2実施形態の電子ブロック装置100の平面図、図7(b)は、図7(a)に示すVIIb−VIIb断面線における第2実施形態の電子ブロック100の断面図である。尚、図7(a)は、ブロック板101aがベース板102に設置されている状態を示し、ブロック板101bがベース板102に設置されていない状態を示している。
上述した第1実施形態の電子ブロック装置1は、種々の電子部品を有する複数の電子ブロック2をベース板3に設置して、その設置する複数の電子ブロック2の組合せによってベース板3上に任意の電子回路を形成するものである。
これに対し、第2実施形の電子ブロック装置100は、電子回路の一部である固定回路112が形成されているベース板102に、電子回路の他の部分が形成されている複数のブロック板101a,101bを交換可能に設置して、固定回路112はそのままに、設置されるブロック板101a,101bによってベース板102に異なる電子回路を形成するものである。
第2実施形態の電子ブロック装置100は、複数のブロック板101a,101bと、その複数のブロック板101a,101bが交換可能に設置されるベース板102とによって構成されている。
ブロック板101aは、上述した第1実施形態の電子ブロック2のブロック板10に相当する構成であり、平面視正方形に形成されているプリント回路基板によって構成されている。但し、ブロック板101aには、第1実施形態の電子ブロック2のブロック板10に穿設されているキャップ保持穴15は穿設されていない。
ブロック板101aには、第1抵抗器103と、第2抵抗器104と、第3抵抗器105とが搭載されている。それらは、プリント配線106を介して端面スルーホール11の内面を被覆するスルーホールメッキ12に接続されている。後述する通り、ベース板102には、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとの3つLEDを含むフルカラーLED123が実装されている。第1抵抗器103は赤色LEDに流れる電流、第2抵抗器104は緑色LEDに流れる電流、第3抵抗器105は青色LEDに流れる電流を規制する電子部品である。
一方、ブロック板101bには、第1抵抗器103とは抵抗値が異なる第4抵抗器107と、第2抵抗器104とは抵抗値が異なる第4抵抗器108と、第3抵抗器105とは抵抗値が異なる第6抵抗器109とが搭載されている。尚、その他は、ブロック板101aと同様に構成されている。
ベース板102は、プリント回路基板によって構成されている。ベース板102には、スルーホール110が穿設され、そのスルーホール110を貫通する導通部材111が立設され、更に、電子回路の一部である固定回路112が設けられている。
スルーホール110は、ブロック板101aをベース板102に設置した場合に、その半分がブロック板101aの側面に形成されている端面スルーホール11と重畳する位置に穿設されている。スルーホール110は、その内面が導電性を有するスルーホールメッキ115によって被覆されている。
導通部材111は、第1実施形態の電子ブロック装置1においてベース板3から立設する導通部材5の押圧部52(図3参照)に相当する構成であり、ブロック板101aの側面に形成されているスルーホールメッキ12と、ベース板102のスルーホール110の内面に形成されているスルーホールメッキ115とを電気的に導通させると共に、ベース板102上にブロック板101aを保持するものである。
導通部材111は、ベース板102のスルーホール110の内面に形成されているスルーホールメッキ115と当接しつつ、スルーホール110を貫通してベース板102から立設されている。即ち、スルーホールメッキ115は、固定回路112と接続されているので、導通部材111は、固定回路112とブロック板101aが設置されるスペースとの境界において、固定回路112と電気的に接続されつつベース板102から立設されている。
固定回路112は、プリント配線122を介してスルーホールメッキ115と接続されているスイッチ30と、プリント配線125を介してスルーホールメッキ115と接続されているフルカラーLED123とによって構成されている。スイッチ30は、回路のオン/オフを切り替える電子部品である。フルカラーLED123は、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとの3つのLEDが一つの筐体に搭載され、各LEDに供給される電流の大きさに対応した色で発光する表面実装される電子部品である。
そのため、第2実施形態の電子ブロック装置100によれば、ベース板102にブロック板101aを設置すると、ブロック板101aに搭載されている第1〜第3抵抗器103〜105と、ベース板102に設けられている固定回路112とが、導通部材111を介して電気的に接続される。よって、ベース板102に設けられている固定回路112の両端に電圧を供給すれば、スイッチ30の操作によってフルカラーLED123が点灯/消灯する電子回路がベース板101上に形成される。従って、ブロック板101aに搭載されている第1〜第3抵抗器103〜105に対し、フルカラーLED123がどのような色で発光するのかを観察できる。
一方で、ブロック板101bには、ブロック板101aに搭載されている第1〜第3抵抗器103〜105とは抵抗値が異なる第4〜第6抵抗器107〜109が搭載されている。そのため、ベース板102に設置されているブロック板101aを、ブロック板101bに交換すると、フルカラーLED123に含まれる赤色LED、緑色LED、青色LEDには、それぞれ、ブロック板101aを設置した場合とは異なる電流が流れる。よって、フルカラーLED123は、ブロック板101aを設置した場合とは異なる色で発光する。従って、第2実施形態の電子ブロック装置100によれば、ブロック板101a,101bを交換する、という簡単な操作で、各ブロック板101a,101bに搭載されている電子部品が、ベース板101に設けられている固定回路に対して、どのような影響を与えるかを観察できる。
尚、第2実施形態のブロック板101a、101bは、第1実施形態の電子ブロック2に対し、キャップ20と、そのキャップ20をブロック板10に取り付けるためにブロック板10に穿設されるキャップ保持穴15とを有していないが、その他は、電子ブロック2のブロック板10と同様に構成されている。そのため、第2実施形態のブロック板101a、101bについても、第1実施形態のブロック板10と同様に簡単に製造できる。
次に、図8を参照して、第1実施形態で説明した導通部材5、第2実施形態で説明した導通部材111についての変形例を説明する。図8(a1)は、第1変形例の導通部材70の平面図、図8(a2)は、図8(a1)に示すaII−aII断面線における第1変形例の導通部材70の断面図である。尚、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1変形例の導通部材70は、金属製の棒状体である支柱70aと、支柱70aの先端から立設する4本の押圧片70bとによって構成されている。押圧片70bの各々は、金属製の棒状体によって形成され、支柱70aの先端から放射状(各押圧片70bの角度が約90度)に立設されている。第1変形例の導通部材70は、押圧片70bが、隣接するブロック板10の側面に形成されているスルーホールメッキ12と、スルーホールメッキ12とに当接する。
そのため、第1変形例の導通部材70は、隣接して設置されるブロック板10が、押圧片70bの弾性によって、それぞれ異なる2方向に押圧される。よって、上述した実施形態のように、ブロック板10を一方向に押圧するよりも、ブロック板10をバランス良く押圧できる。
図8(b1)は、第2変形例の導通部材80の平面図、図8(b2)は、図8(b1)に示すbII−bII断面線における第2変形例の導通部材80の断面図である。尚、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2変形例の導通部材80は、金属製の棒状体である支柱81と、支柱81の先端から立設する第1押圧部82と、第2押圧部83とによって構成されている。第1押圧部82と、第2押圧部83とは、金属製の線状体によって鉤状に形成されている。第1押圧部82は、具体的には、図8(b2)に示す通り、下端が支柱81の先端に連結され支柱81の先端から外方に湾曲して延びる第1湾曲部82aと、自由端となる下端から第1湾曲部82aと対向して第1湾曲部82aとは反対側に湾曲して延びる第2湾曲部82bと、第1湾曲部82aの上端と、第2湾曲部82bの上端とに連結され上方に突出する頂部82cとによって構成されている。
尚、第2押圧部83は、第1押圧部82と同様に構成されており、図8(b1)に示す通り、第2押圧部83は、第2湾曲部83bが、第1押圧部82の第2湾曲部82bとは反対に位置するように支柱81に連結されている。
このように、第2変形例の導通部材80は、第1押圧部82の第2湾曲部82bと、第2押圧部83の第2湾曲部83bとの下端が自由端となっており、下端が固定端となっているものよりも、第1押圧部82の第2湾曲部82bと、第2押圧部83の第2湾曲部83bとの弾性力を大きくできる。
そして、かかる第1押圧部82の第2湾曲部82bと、第2押圧部83の第2湾曲部83bとが、隣接するブロック板10の側面に形成されているスルーホールメッキ12と、スルーホールメッキ12とに当接する。よって、隣接して設置されるブロック板10を強く押圧して、かかるブロック板10をベース板3上により強固に保持できる。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、第1実施形態と、第2実施形態とについて説明した。各実施形態で説明した構成は、他の実施実施に適用できるし、組み合わせることもできる。例えば、第1実施形態で説明した導通部材5に替えて、第2実施形態で説明した導通部材111を適用できる。
上記実施形態では、スペーサ4を直方体(平面視長方形)に形成し、それを各ブロック板10の各辺毎に設ける場合について説明したが、これに限定されない。スペーサ4を平面視格子状に形成し、スペーサ4をベース板3に設置されるブロック板10の全部に共通して設けるようにしても良い。この場合、部品点数を削減できると共に、スペーサ4をベース板3に固着する工程を簡単にできる。
上記実施形態では、スペーサ4をベース板3に固着する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ベース板3から、導通部材5の押圧部52に相当する部分を立設させると共に、厚みのあるベース板3を使って、そのベース板3にキャップ20の係合爪23が嵌り込む凹部を凹設する。これにより、スペーサ4を設けることなく、ベース板3上に電子ブロック2を直接設置するように構成しても良い。或いは、ブロック板10からキャップ20を取り外し、ブロック板10を電子ブロック2として構成しても良い。
上記実施形態では、導通部材5の弾性を使ってブロック板10をベース板3上に保持する場合について説明したが、これに限定されない。ブロック板10をベース板3上に保持する手段を別途設け、導通部材5を、単に導電性を有するもの(例えば、金属製の棒状体)で構成しても良い。ブロック板10をベース板3上に保持する手段としては、例えば、ベース板3に突起を設け、その突起が嵌り込む凹部をブロック板10に凹設すれば良い。また、かかるブロック板10をベース板3上に保持する手段を設けず、導通部材5を単に導電性を有するもので構成しても良い。
上記実施形態では、ブロック板10の側面に端面スルーホール11を凹設する場合について説明たが、端面スルーホール11は、必ずしも設ける必要はない。この場合、各ブロック板10に形成されるプリント配線の端部をブロック板10の側面から露出させ、そのプリント配線の端部を含むように、ブロック板10の側面にブロック板10の表面から裏面に帯状に延びるメッキ層を形成し、かかるメッキ層を各ブロック板10の電気的な接続端としても良い。また、かかるメッキ層を形成せず、プリント配線の端部をブロック板10の側面から露出させ、かかるプリント配線の端部を各ブロック板10の電気的な接続端として形成しても良い。
上記実施形態では、正側電源プリント配線40と、負側電源プリント配線50とに電圧を供給する電源(例えば、電池)がベース板3に設置されず、別の電源基板からベース板3に電圧を供給する場合を説明したが、これに限定されない。即ち、かかる電源をベース板3に設置しても良い。例えば、正側電源プリント配線40と、負側電源プリント配線50との両端に導通部材5を設け、その導通部材5と接続される電源をベース板3の表面に設置しても良い。この場合は、正側電源プリント配線40と、負側電源プリント配線50とに電源を接続する手間を省くことができる。
上記実施形態では、ベース板3を単体で使用する場合について説明したが、これに限定されない。ベース板3を複数枚用意し、その複数枚のベース板3の各々を高さ方向、或いは、水平方向に連結可能なコネクタを設け、複数のベース板3同士を連結して拡張性を持たせるようにしても良い。
上記実施形態では、プリント回路基板であるブロック板10を平面視正方形に形成する場合について説明たが、これに限定されない。ブロック板10の形状は平面視長方形であっても良く、その大きさも任意に設定できる。
上記実施形態では、プリント回路基板であるブロック板10の製造方法に関し、第2工程の配線工程でサブトラクティブ法によってプリント配線を形成する場合について説明したが、これに限定さない。例えば、アディティブ法であっても良く、プリント配線を形成可能な周知の方法を適用できる。
上記実施形態では、第2実施形態としてフルカラーLED123に供給する電流を制限する抵抗器を有するブロック板101a,101bを交換する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、OPアンプ増幅回路の増幅度の変更を抵抗器を有するブロック板を交換して実験できる。また、OPアンプ増幅回路の周波数特性の変更をコンデンサを有するブロック板を交換して実験できる。
上記実施形態では、キャップ20を上下2段の立方体状に形成する場合について説明したが、キャップ20の外形は、これに限定されない。例えば、単なる多角柱、円柱であっても良く、かかる多角柱、円柱にユーザが把持するための把持部を突設しても良い。
上記実施形態では、キャップ20をブロック体10から着脱可能に構成する場合について説明したが、これに限定されない。キャップ20から係合爪23を取り除き、キャップ20をブロック体20に接着剤などで固定しても良い。尚、かかる場合には、ブロック板10のキャップ保持穴15は不要である。