以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置1Aは、基板100A、樹脂形成部130A,140A、配線層200A、3つの方位センサ素子311A,312A,313A、集積回路素子330A、2つのコンデンサ343A、封止樹脂400Aおよび金属膜500Aを備えている。なお、図1および図2においては、理解の便宜上、封止樹脂400Aを省略しており、3つの方位センサ素子311A,312A,313A、集積回路素子330Aおよび2つのコンデンサ343Aを想像線で示している。図3は、図2におけるIII−III線に沿うyz平面における断面図であり、図4は、図2におけるIV−IV線に沿うzx平面における断面図である。
半導体装置1Aは、以下に説明する構成により、3方向の方位を検出可能であり、かつ面実装可能な方位検出モジュールとして構成されている。半導体装置1Aのサイズの一例を挙げると、平面視寸法が1.5mmX2.0mm程度、厚さが0.6mm程度である。
基板100Aは、半導体装置1Aの土台となるものであり、基材106Aおよび絶縁層107Aからなる。基板100Aは、主面101A、裏面102A、4つの外側面103Aおよび凹部108Aを有する。基板100Aの厚さは、たとえば600μm程度である。なお、本実施形態においては、主面101Aおよび裏面102Aがz方向において互いに反対側を向いており、z方向が半導体装置1Aの厚さ方向に相当する。また、x方向およびy方向は、いずれもz方向に対して直角である。
基材106Aは、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。また、絶縁層107Aは、本実施形態においては、SiO2からなる。なお、基材106Aの材質は、Siに限定されず、後述する意図を満たす凹部108Aを形成可能なものであればよい。絶縁層107Aは、基材106Aのうち裏面102Aとは反対側から臨む部分を覆っている。絶縁層107Aの厚さは、たとえば0.1〜1.0μm程度である。
図5は、基板100Aを示す斜視図である。本実施形態においては、主面101Aとして、基材106Aの(100)面が採用されている。凹部108Aは、主面101Aから裏面102Aに向かって凹んでいる。本実施形態においては、凹部108Aは、第1凹部110Aおよび第2凹部120Aからなる。第1凹部110Aは、裏面102A側に位置し、第1底面111Aおよび4つの第1傾斜内側面112Aを有する。第2凹部120Aは、第1凹部110Aよりも主面101A側に位置し、2つの第2底面121Aおよび4つの第2傾斜内側面122Aを有する。これらの第1凹部110Aおよび第2凹部120Aの形状は、主面101Aとして(100)面が採用されていることに依存している。
凹部108Aが形成されていることにより、主面101Aは、平面視矩形環状とされている。より具体的には、主面101Aのうち凹部108Aを挟んでy方向に離れて位置する2つの部位が、凹部108Aを挟んでx方向に離れて位置する2つの部位よりも顕著に大とされている。
第1凹部110Aは、平面視矩形状である。第1凹部110Aの深さは、たとえば440μm程度である。第1底面111Aは、平面視矩形状である。4つの第1傾斜内側面112Aは、平面視において第1底面111Aを囲んでおり、第1底面111Aと接する部分を上底とする略台形状である。各第1傾斜内側面112Aは、第1底面111Aに対して傾いている。本実施形態においては、第1傾斜内側面112Aのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第1傾斜内側面112Aが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Aとして(100)面を採用したことに依存している。
第2凹部120Aは、平面視矩形状である。第2凹部120Aの深さは、たとえば120μm程度である。2つの第2底面121Aは、平面視矩形状であり、第1凹部110Aを挟んでいる。また、各第2底面121Aは、第1傾斜内側面112Aに繋がっている。4つの第2傾斜内側面122Aは、平面視において2つの第2底面121Aを囲み、略台形状である。各第2傾斜内側面122Aは、第2底面121Aに対して傾いている。本実施形態においては、第2傾斜内側面122Aのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第2傾斜内側面122Aが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Aとして(100)面を採用したことに依存している。
樹脂形成部130A,140Aは、基板100A上に所定の段差を設けるためのものであり、基板100A(絶縁層107A)に形成される。本実施形態においては、樹脂形成部130Aは、主面101Aに形成されており、後述する外部端子221の土台となる部分である。樹脂形成部130Aは、主面101Aのうち凹部108Aを挟んでy方向に離れて配置された2つの部位に形成されている。樹脂形成部130Aの高さは、たとえば50μm程度である。樹脂形成部140Aは、第2凹部120Aの2つの第2底面121Aにそれぞれ形成されており、集積回路素子330Aを搭載する部分である。本実施形態においては、樹脂形成部140Aの高さは、たとえば50μm程度である。これら樹脂形成部130A,140Aは、平坦な頂面とこの頂面に対して傾斜した側面132A,142Aを有する。これら樹脂形成部130A,140Aの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。樹脂形成部130A,140Aは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
配線層200Aは、3つの方位センサ素子311A,312A,313A、集積回路素子330A、および2つのコンデンサ343Aを搭載し、これらに入出力する電流経路を構成するためのものである。配線層200Aは、主に絶縁層107A上に形成されており、本実施形態においては、バリアシード層201Aとめっき層202Aとが積層された構造となっている。
バリアシード層201Aは、所望のめっき層202Aを形成するためのいわゆる下地層であり、主に絶縁層107A上に形成されている。バリアシード層201Aは、絶縁層107A上に形成されたたとえばバリア層としてのTi層とこのバリア層上に積層されたシード層としてのCu層とからなる。バリアシード層201Aは、たとえばスパッタリングによって形成される。本実施形態においては、バリアシード層201Aは、絶縁層107A上および樹脂形成部130A,140A上の所定部位に形成される。
めっき層202Aは、たとえばCuからなりバリアシード層201Aを利用した電解めっきによって形成される。めっき層202Aの厚さは、たとえば5μm程度である。
本実施形態においては、配線層200Aは、第1底面パッド211A、第1傾斜内側面パッド212A、樹脂形成部パッド213A、外部端子221Aおよび連絡経路231A,234A,235A,236Aを有している。
第1底面パッド211Aは、第1凹部110Aの第1底面111Aに形成されており、たとえば矩形状である。本実施形態においては、4つの第1底面パッド211Aが形成されている。本実施形態においては、第1底面パッド211Aは、方位センサ素子311Aを搭載するために用いられる。
第1傾斜内側面パッド212Aは、第1凹部110Aの第1傾斜内側面112Aに形成されており、たとえば矩形状である。本実施形態においては、第1底面111Aを挟んでy方向に離れて配置された2つの第1傾斜内側面112Aに4つずつの第1傾斜内側面パッド212Aが形成されている。これら4つずつの第1傾斜内側面パッド212Aは、方位センサ素子312A,313Aを搭載するために用いられる。また、本実施形態においては、第1底面111Aを挟んでx方向に離れて配置された2つの第1傾斜内側面112Aに2つずつの第1傾斜内側面パッド212Aが形成されている。これら2つずつの傾斜内側面パッド212Aは、2つのコンデンサ343Aを搭載するために用いられる。
樹脂形成部パッド213Aは、第2底面121A上の樹脂形成部140Aに形成されており、たとえば矩形状である。本実施形態においては、各第2底面121の樹脂形成部140Aにおいて、複数の樹脂形成部パッド213Aが形成されている。より具体的には、x方向に並んだ9個ずつの樹脂形成部パッド213Aが第1凹部110Aを挟んでy方向に離れて配置されている。本実施形態においては、樹脂形成部パッド213Aは、集積回路素子330Aを搭載するために用いられる。
外部端子221Aは、主面101A上の樹脂形成部130Aに形成されており、半導体装置1Aをたとえば図示しない電子機器の回路基板に面実装するために用いられる。本実施形態においては、主面101Aのうち凹部108Aを挟んでy方向に離間する2つの部位に設けられた樹脂形成部130Aの各々について、4つずつの外部端子221Aが形成されている。外部端子221Aは、上述したバリアシード層201Aおよびめっき層202A上に、さらにたとえばNi,Pd,Auなどの金属を無電解めっきすることによって得られたバンプが形成された構造とされている。これにより、図3に示すように、外部端子221Aは、z方向に膨出した形状となっている。
連絡経路231A,234A,235A,236Aは、第1底面パッド211A、第1傾斜内側面パッド212A、樹脂形成部パッド213Aおよび外部端子221Aを互いに導通させる経路を構成するためのものである。
連絡経路231Aは、主面101A(樹脂形成部130A)から第2底面121Aに至る経路を構成しており、主に外部端子221Aと樹脂形成部パッド213Aとを導通させている。図2に示すように、本実施形態においては、各連絡経路231Aは、第2凹部120Aの第2傾斜内側面122Aを経由して第2底面121Aに至っている。各連絡経路231Aのうち第2傾斜内側面122Aに形成された部位は、平面視においてy方向に沿って延びており、y方向に対して傾斜していない。
連絡経路234Aは、第2底面121Aから第1傾斜内側面112Aに至る経路を構成しており、樹脂形成部パッド213Aと第1傾斜内側面パッド212Aとを導通させている。本実施形態においては、いくつかの連絡経路234Aは、平面視においてy方向に沿って延びている。また、他の連絡経路234Aは、第1傾斜内側面112Aにおいて屈曲している。
連絡経路235Aは、第2底面121Aから第1傾斜内側面112Aを経由して第1底面111Aに至る経路を構成しており、樹脂形成部パッド213Aと第1底面パッド211Aとを導通させている。本実施形態においては、1つの連絡経路235Aは、平面視においてy方向に沿って延びている。また、他の連絡経路235Aは、第1傾斜内側面112Aにおいて屈曲している。
連絡経路236Aは、第1傾斜内側面112Aから第1底面111Aに至る経路を構成しており、第1傾斜内側面パッド212Aと第1底面パッド211Aとを導通させている。
なお、本実施形態においては、図2における図中上方の左から2番目に位置する外部端子221Aがいわゆるグランド端子とされている。またこの外部端子221Aに導通する連絡経路231A、樹脂形成部パッド213A、連絡経路235A、第1底面パッド211A、連絡経路236A、および第1傾斜内側面パッド212Aがグランド接続されている。
図2に示すように、基板100Aにおける4つの外側面103Aは、z方向視において主面101Aを囲んでおり、矩形環状をなしている。より詳細には、各外側面103Aは、傾斜外側面104Aおよび起立外側面105Aを含んで構成される。傾斜外側面104Aは、主面101Aおよび起立外側面105Aの間に介在しており、主面101Aおよび起立外側面105Aのいずれに対しても傾斜している。本実施形態においては、傾斜外側面104Aは、主面101Aに繋がっており、起立外側面105Aは裏面102Aに繋がっている。本実施形態においては、傾斜外側面104Aのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、上記傾斜角度が55°である点は、主面101Aとして(100)面を採用したことに依存している。
ここで、xy平面(主面101A)に対する傾斜外側面104Aの傾斜角度は、主面101Aに対する第1傾斜内側面112Aおよび第2傾斜内側面122Aの傾斜角度と同一である。詳細は後述するが、これら傾斜外側面104A、第1傾斜内側面112Aおよび第2傾斜内側面122Aについては、一括したエッチングによって形成することにより、同一の角度とすることが意図されている。エッチング条件等のばらつきによって不可避的に生じうる差異は、本発明でいう同一の範囲に含まれる。
起立外側面105Aは、主面101Aに対して実質的に直角であり、zx平面もしくはyz平面に対して実質的に平行である。本実施形態においては、傾斜外側面104Aは、起立外側面105Aに比べて平滑である。なお、このように傾斜外側面104Aが起立外側面105Aよりも平滑であることは、後述する半導体装置1Aの製造方法に依存している。
金属膜500Aは、傾斜外側面104Aに形成されている。本実施形態において、図2に示すように、金属膜500Aは傾斜外側面104Aの大部分を覆っており、z方向視において金属膜500Aが全体として主面101Aを囲っている。本実施形態においては、金属膜500Aは、全体が一体とされた環状である。金属膜500Aは、外部端子221と接続するための接続経路510Aを有する。本実施形態においては、接続経路510Aは、図2における図中上方の左から2番目に位置する外部端子221に接続されている。当該外部端子221は、上述のようにグランド端子とされているため、この外部端子221に導通する金属膜500Aもグランド接続されている。金属膜500Aは、配線層200Aと同様に、バリアシード層201Aとめっき層202Aとが積層された構造とされている。なお、金属膜500Aについては、全体が一体とされた環状の構成に代えて、たとえば各々がグランド接続された複数の要素が環状に配置された構成であってもよい。
3つの方位センサ素子311A,312A,313Aは、互いに異なる方向に沿う検出基準軸を有しており、たとえば地磁気に対する半導体装置1Aの姿勢を検出するために用いられる。本実施形態においては、方位センサ素子311A,312A,313Aは、図2に示すように、磁心314A,315A,316Aを有している。磁心314A,315A,316Aは、所定の方向に延びる金属製の棒状部材であり、これらの長手方向が方位センサ素子311A,312A,313Aの上記検出基準軸に相当する。方位センサ素子311A,312A,313Aはさらに、磁心314A,315A,316Aを取り囲むように形成されたコイル(図示略)を有している。方位センサ素子311A,312A,313Aの厚さは、たとえば80μm程度である。
本実施形態においては、方位センサ素子311Aが第1底面111Aに支持されており、4つの第1底面パッド211Aを利用してはんだ351Aを介して搭載されている。このような搭載形態により、方位センサ素子311Aの磁心314Aは、y方向に沿っている。
方位センサ素子312Aは、図2における図中上方の第1傾斜内側面112Aに支持されており、4つの第1傾斜内側面パッド212Aを利用してはんだ351Aを介して搭載されている。このような搭載形態により、方位センサ素子312Aの磁心315Aは、x方向に対して直角であり、yz平面に含まれる方向に沿っている。この方向は、方位センサ素子312Aを支持する第1傾斜内側面112Aに対して平行である。
方位センサ素子313Aは、図2における図中下方の第1傾斜内側面112Aに支持されており、4つの第1傾斜側面パッド212Aを利用してはんだ351Aを介して搭載されている。このような搭載形態により、方位センサ素子313Aの磁心316Aは、x方向に対して直角であり、yz平面に含まれる方向に沿っている。この方向は、方位センサ素子313Aを支持する第1傾斜内側面112Aに対して平行である。
また、本実施形態においては、方位センサ311A,312A,313Aは、基板100A側の底面よりも、この底面とは反対側に位置する頂面が小とされている。また、これらの底面と頂面とをつなぐ側面は、底面と頂面とが離間する方向に対して傾いている。
集積回路素子330Aは、3つの方位センサ素子311A,312A,313Aを用いた方位検出処理を制御するためのものである。本実施形態においては、集積回路素子330Aは、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されており、その厚さが80〜100μm程度とされている。
集積回路素子330Aは、樹脂形成部140Aを介して第2底面121Aに支持されており、樹脂形成部パッド213Aを利用してはんだ351Aを介して搭載されている。図2に示すように、集積回路素子330Aは、y方向に離間配置された複数の樹脂形成部パッド213Aを利用して搭載されることにより、2辺が支持される格好となっている。また、集積回路素子330Aは、平面視において第1凹部110Aの一部を除きその大部分を覆っている。また、集積回路素子330Aは、平面視において、方位センサ素子311A,312A,313Aのすべてと重なっており、また、2つのコンデンサ343Aとも重なっている。図3および図4に示すように、集積回路素子330Aは、その上端部を除く大部分がz方向において第2凹部120Aに収容されている。その一方、集積回路素子330Aの上端部は第2凹部120Aから上方に突出している。
方位センサ素子311A,312A,313Aを用いた集積回路素子330Aによる方位検出処理は、たとえば以下のようにして行われる。上述したとおり、方位センサ素子311A,312A,313Aは、各々が上記コイルに取り囲まれた磁心314A,315A,316Aを有している。方位センサ素子311A,312A,313Aが上述した搭載形態とされることにより、方位センサ素子311A,312A,313A、すなわち磁心314A,315A,316Aは、互いに異なる方向に沿っている。これらの磁心314A,315A,316Aが沿う方向は、集積回路素子330Aに既知の情報として記憶されている。
2つのコンデンサ343Aは、第1傾斜内側面112Aに支持されており、方位センサ素子311Aを挟んでx方向に離間して配置されている。これにより、2つのコンデンサ343Aと方位センサ素子311Aとが、x方向に並んで配置されている。
半導体装置1Aは、たとえば特開2006−47267号公報に開示された手法に基いて方位センサ素子311A,312A,313Aを用いることにより、地磁気に対してどのような姿勢であるかを、三次元的に検出することができる(三軸検出)。集積回路素子330Aは、外部端子221Aから外部からの指令によってあるいは自律的に、半導体装置1Aの方位検出結果を信号として出力する。
封止樹脂400Aは、方位センサ素子311A,312A,313Aおよび集積回路素子330Aを覆っており、凹部108Aに充填されている。本実施形態においては、封止樹脂400Aは、第1封止樹脂410Aおよび第2封止樹脂420Aからなる。
第1封止樹脂410Aは、おおむね第1凹部110Aに充填されており、方位センサ素子311A,312A,313Aの全体を覆っている。一方、第1封止樹脂410Aは、樹脂形成部パッド213Aおよび集積回路素子330Aは覆っていない。
第2封止樹脂420Aは、おおむね第2凹部120Aに充填されており、集積回路素子330Aのすべてを覆っている。一方、第2封止樹脂420Aは、外部端子221Aを露出させている。
第1封止樹脂410Aおよび第2封止樹脂420Aの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第1封止樹脂410Aおよび第2封止樹脂420Aは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
次に、半導体装置1Aの製造方法について、図6〜図27を参照しつつ以下に説明する。なお、これらの図6〜図26においては、図2のIII−III線に沿うyz平面における断面を示している。
まず、図6に示すように基板材料100A’を用意する。基板材料100A’は、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。基板材料100A’の厚さは、たとえば600μm程度である。基板材料100A’は、上述した半導体装置1Aの基板100Aが複数個取りできるサイズである。すなわち、以降の製造工程においては、複数の半導体装置1Aを一括して製造する手法を前提としている。1つの半導体装置1Aを製造する方法であっても構わないが、工業上の効率を考慮すると、複数の半導体装置1Aを一括して製造する手法が現実的である。
基板材料100A’は、z方向において互いに反対側を向く主面101Aおよび裏面102Aを有している。本実施形態においては、主面101Aとして結晶方位が(100)である面、(100)面を採用する。次いで、主面101Aをたとえば酸化させることによりSiO2からなるマスク層191Aを形成する。マスク層191Aの厚さは、たとえば0.7〜1.0μm程度である。
次いで、図7に示すように、マスク層191Aに対してたとえばエッチングによるパターニングを行う。これにより、マスク層191Aに開口181A,182Aを形成する。これら開口181A,182Aの形状および大きさは、最終的に得ようとする第1凹部110Aと傾斜外側面104Aの形状および大きさに応じて設定する。開口181Aは、たとえば矩形状であり、開口182Aは、z方向視において開口181A囲うように矩形環状に形成される。
次いで、図8に示すように、第1凹部110Aおよび傾斜溝183Aを形成する。第1凹部110Aおよび傾斜溝183Aの形成は、たとえばKOHを用いた異方性エッチングによって同時に行う。KOHは、Si単結晶に対して良好な異方性エッチングを実現しうるアルカリエッチング溶液の一例である。この異方性エッチングを行うことにより、第1底面111Aおよび4つの第1傾斜内側面112Aを有する第1凹部110Aと、向かい合う2つの傾斜面(図8ではy方向において向かい合う傾斜面)を有する傾斜溝183Aとが形成される。第1傾斜内側面112Aがxy平面に対してなす角度、および傾斜溝183Aがxy平面に対してなす角度は、それぞれ55°程度となる。
次いで、マスク層191Aに対してさらにパターニングを施すことにより、開口184Aを有するマスク層192Aを形成する。マスク層192Aは、マスク層191Aよりも開口面積が大となっている。この開口184Aは、たとえば矩形状である。この開口184Aの形状および大きさは、最終的に得ようとする第2凹部120Aの形状および大きさに応じて設定する。
次いで、図10に示すように、凹部108Aを形成する。凹部108Aを形成するには、たとえば上述したKOHを用いた異方性エッチングを行う。この異方性エッチングにより、第1凹部110Aがより深く大きくなるとともに、新たに第2凹部120Aが形成される。第2凹部120Aは、第1凹部110Aを挟む2つの第2底面121Aと第1凹部110Aを囲む4つの第2傾斜内側面122Aとを有する。第2傾斜内側面122Aは、第1傾斜内側面112Aと同様に、xy平面となす角度が55°程度となる。このように2回の異方性エッチングを経ることにより、第1凹部110Aおよび第2凹部120Aを有する、二段形状とされた凹部108Aが形成される。本実施形態においては、第1凹部110Aの深さが440μm程度であり、第2凹部120Aの深さが120μm程度である。
次いで、図11に示すように、マスク層192Aを除去する。この除去は、たとえばHFを用いたエッチングによって行う。
次いで、図12に示すように、たとえばSiO2からなる絶縁層107Aを形成する。絶縁層107Aの形成は、基板材料100A’のうち裏面102Aとは反対側部分全体を酸化させることにより行う。これにより、厚さがたとえば0.7〜1.0μm程度の絶縁層107Aが得られる。
次いで、図13に示すように、樹脂層193Aを形成する。樹脂層193Aの形成は、たとえば感光性のエポキシ樹脂をスプレー塗布することによって行う。次いで、図14に示すように、樹脂層193Aに対してパターニングを施す。このパターニングは、樹脂層193Aに対してたとえばフォトリソグラフィの手法を用いた露光および現像を行うことにより、所望の部位を削除することによって行う。このパターニングによって、主面101Aおよび第2底面121A上の所定位置に樹脂形成部130A,140Aが形成される。
次いで、図15に示すように、バリアシード層201Aを形成する。バリアシード層201Aの形成は、たとえばスパッタリングによって行う。具体的には、絶縁層107A上にTiからなる層をスパッタリングによって形成する。このTiからなる層は、バリア層として機能する。次いで、上記バリア層上にCuからなる層をスパッタリングによって形成する。このCuからなる層は、シード層として機能する。このようなスパッタリングによってバリアシード層201Aが得られる。
次いで、図16に示すように、マスク層291Aを形成する。マスク層291Aの形成は、たとえば感光性のレジスト樹脂をスプレー塗布することによって行う。
次いで、図17に示すように、マスク層291Aに対してパターニングを施す。このパターニングは、マスク層291Aに対してたとえばフォトリソグラフィの手法を用いた露光および現像を行うことにより、所望の部位を削除することによって行う。このパターニングによって得られたマスク層291Aの形状は、上述した配線層200Aおよび金属膜500Aの形状に対応している。なお、凹部108Aがある程度の深さを有することに対応して、上記露光の焦点深さを変化させながら、複数回の上記露光を行なってもよい。
次いで、図18に示すように、めっき層202Aを形成する。めっき層202Aの形成は、たとえばバリアシード層201Aの上記シード層を利用した電解めっきによって行う。この結果、たとえばCuからなるめっき層202Aが得られる。めっき層202Aの厚さは、たとえば5μm程度である。めっき層202Aは、上述した配線層200Aおよび金属膜500Aの形状となっている。
次いで、図19に示すように、マスク層291Aを削除する。次いで、図20に示すように、バリアシード層201Aのうちめっき層202Aから露出した部分を除去する。バリアシード層201Aの除去は、たとえばウエットエッチングによって行う。これにより、ともにパターニングが施されたバリアシード層201Aおよびめっき層202Aからなる配線層200Aが得られる。また、本実施形態においては、配線層200Aの形成と同時に、バリアシード層201Aおよびめっき層202Aからなる金属膜500Aが得られる。
次いで、図21に示すように、方位センサ素子311A,312A,313Aを搭載する。方位センサ素子311A,312A,313Aには、はんだ351Aとなるはんだボールを形成しておく。また、これらのはんだボールには、フラックスを塗布しておく。このフラックスの粘着性を利用して、方位センサ素子311Aを第1底面111Aに載置し、方位センサ素子312A,313Aを第1傾斜内側面112Aに載置する。そして、リフロー炉によって上記はんだボールを溶融させた後に硬化させることにより、方位センサ素子311A,312A,313Aの搭載が完了する。また、2つのコンデンサ343Aを、方位センサ素子312A,313Aを搭載したのと異なる第1傾斜内側面112Aに搭載する。
次いで、図22に示すように、第1封止樹脂410Aを形成する。第1封止樹脂410Aの形成は、たとえば浸透性に優れるとともに、感光することによって硬化する樹脂材料を主に第1凹部110Aに充填し、これを硬化させることによって行う。この際、この樹脂材料によって方位センサ素子311A,312A,313Aの全体を覆っておく。一方、第2底面121Aの樹脂形成部パッド213Aを確実に露出させておく。なお、第1封止樹脂410Aを形成するための材料を例示すると、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第1封止樹脂410Aは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
次いで、図23に示すように、集積回路素子330Aを搭載する。集積回路素子330Aには、はんだ351Aとなるはんだボールを形成しておく。また、これらのはんだボールには、フラックスを塗布しておく。このフラックスの粘着性を利用して、集積回路素子330Aを第2底面121A上の樹脂形成部140Aに載置する。そして、リフロー炉によって上記はんだボールを溶融させた後に硬化させることにより、集積回路素子330Aの搭載が完了する。
次いで、図24に示すように、第2封止樹脂420Aを形成する。第2封止樹脂420Aの形成は、たとえば浸透性に優れるとともに、感光することによって硬化する樹脂材料を主に第2凹部120Aに充填し、これを硬化させることによって行う。この際、この樹脂材料によって集積回路素子330Aの全体を覆っておく。一方、主面101A上のめっき層202Aの一部を確実に露出させておく。また、後述する切断領域には、第2封止樹脂420Aが重ならないように形成する。なお、第2封止樹脂420Aを形成するための材料を例示すると、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第2封止樹脂420Aは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
次いで、図25に示すように、外部端子221Aに、たとえばNi,Pd,Auなどの金属を無電解めっきすることによってz方向に膨出するバンプを形成する。
次いで、図26および図27に示すように、基板材料100A’をたとえばダイサーDcによって切断する。ダイサーDcによる切断は、z方向視において傾斜溝183Aに含まれる切断線CLに沿って切断する。この際、ダイサーDcによって基板材料100A’のみを切断し、たとえば第2封止樹脂420Aは切断しない。この切断を経ることにより、図1〜図4に示した半導体装置1Aが得られる。そして、この切断によって生ずる露出面が、起立外側面105Aとなる。切断によって生じた起立外側面105Aは、その表面が比較的に粗い。その一方、異方性エッチングによって形成された傾斜溝183Aに由来する傾斜外側面104Aは、その表面が比較的に平坦であり、起立外側面105Aよりも平滑になっている。
次に、半導体装置1Aおよび半導体装置1Aの製造方法の作用について説明する。
本実施形態によれば、3つの方位センサ素子311A,312A,313Aが半導体材料からなる基板100Aの凹部108Aの第1凹部110Aに収容されている。このため、3つの方位センサ素子311A,312A,313Aを支持するためのリードを設ける必要がない。リードを金型成形する場合と比較して、半導体材料からなる基板100Aは、形状を作り変えるために発生する費用が少ない。したがって、半導体装置1Aのコストを低減することができる。特に、半導体装置1Aを少量生産する場合に、コスト低減効果が顕著である。
半導体装置1Aを製造する際、主面101Aに形成された傾斜溝183Aに含まれる切断線CLに沿って基板材料100A’を切断すると、切断分離されたチップ状の基板100Aの外側面103は、傾斜溝183Aであった領域の一部である傾斜外側面104Aを含む。半導体装置1Aの製造においては、基板材料100A’の切断作業は、傾斜溝183Aの部位でガイドされながら進行する。このような構成によれば、基板材料100A’の切断時に、基板材料100A’あるいは基板100Aにウエハ割れや欠けなどの不具合が生じるのを抑制することができる。このことは、半導体装置1Aを効率よく製造するのに適する。
半導体装置1Aの製造において、傾斜溝183Aの形成および凹部108A(第1凹部110A)の形成は、異方性エッチングによって一括して同時に行う。そして、基板材料100A’の切断の際に切断線CLに沿って切断する。この切断線CLが傾斜溝183Aに含まれているため、基板材料100A’の切断深さは、基板材料100A’の厚みよりも小さくなる。このような構成によれば、基板材料100A’の切断作業を効率よく行うことができる。
なお、外側面103Aを構成する起立外側面105Aは、基板材料100A’を傾斜溝183Aの部位で切断した痕跡となるものである。即ち、異方性エッチングにより形成された傾斜外側面104Aは、基板材料100A’の切断により形成された起立外側面105Aよりも平滑である。
基板100Aが、Siに代表される半導体材料の単結晶からなることにより、第1傾斜内側面112Aおよび第2傾斜内側面122Aを第1底面111Aおよび第2底面121Aに対して既知の所定角度だけ正確に傾いた面として仕上げることができる。特に、基板100AがSiからなり、主面101Aとして(100)面を採用することにより、第1底面111Aおよび第2底面121Aに対する4つの第1傾斜内側面112Aおよび4つの第2傾斜内側面122Aの角度をいずれも55°程度に設定することができる。これにより、半導体装置1Aをバランスの良い形状構成とすることが可能である。
凹部108Aを第1凹部110Aおよび第2凹部120Aによって二段形状に形成することにより、第1凹部110Aを方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aを収容する専用の空間として用いることができる。
主面101Aと凹部108Aには、樹脂形成部130A,140Aが設けられている。樹脂形成部130A,140Aを具備する構成によれば、主面101Aおよび凹部108Aの適所に段差を設けることができ、外部端子221Aの形成や集積回路素子330Aの搭載を適切に行うことができる。たとえば、図3、図4を参照すると理解できるように、集積回路素子330Aを、第2底面121A上に樹脂形成部140Aを介さずに搭載すれば、集積回路素子330Aがコンデンサ343Aと干渉する虞がある。これに対し、樹脂形成部140Aを第2底面121A上に形成することにより、第2底面121A自体の形状や位置を変更することなく、集積回路素子330Aをコンデンサ343Aとの干渉を避けた主面101A側に変位した位置に搭載することができる。また、図3に示されるように、集積回路素子330Aは主面101Aよりも上方に突出している。これに対し、外部端子221Aは、樹脂形成部130Aを介して主面101A上に形成することにより、これら外部端子221Aを面実装するのに適するようにz方向に突出させることができる。
樹脂形成部130A,140Aの側面132A,142Aが傾斜しているため、これら側面132A,142Aに形成した配線層200Aの連絡経路を、外部端子221Aおよび樹脂形成部パッド213Aに繋げた構成とすることができる。
傾斜外側面104Aには金属膜500Aが形成されており、半導体装置1Aの実装時には、金属膜500Aは、接続経路510Aおよび外部端子221Aを介してグランド接続される。このような構成の金属膜500Aは、凹部108Aに収容された各素子が外部からの電磁波の影響を防止する電磁シールドとして機能する。また、金属膜500Aは、z方向視(主面101Aの法線方向視)において全体として主面101Aを囲っている。このような金属膜500Aの配置によれば、電磁シールドとしての効果をより高めることを期待できる。
なお、金属膜500Aの形成範囲等については適宜変更してもよい。金属膜500Aについて、図2に示した態様よりも広い領域に形成する場合、たとえば本実施形態よりも傾斜外側面104Aの面積が大きくなるように傾斜外側面104Aを幅広に形成し、その傾斜外側面104Aに対してより広い領域に金属膜500Aを形成すればよい。
金属膜500Aの形成は、配線層200の形成と同時に一括して行う。このため、金属膜500Aを効率よく形成することができる。また、金属膜500Aが形成される傾斜外側面104Aは、たとえばKOHを用いた異方性エッチングにより凹部108Aと同様に形成された平滑な面である。したがって、平滑な傾斜外側面104A上に金属膜500Aを適切に形成することができる。
集積回路素子330Aが、第2底面121Aに支持されるとともに、平面視において第1凹部110Aの一部と重なることにより、z方向において方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aと集積回路素子330Aとを立体的に配置することができる。これにより、半導体装置1Aの小型化と高機能化とを両立することができる。
配線層200Aが連絡経路231A,234A,235A,236Aを有することにより、外部端子221A、樹脂形成部パッド213A、第1底面パッド211Aおよび第1傾斜内側面パッド212Aのうち所望のものどうしを適切に導通させることができる。連絡経路231Aが第2傾斜内側面122Aを経由していることにより、立体的な形状とされた基板100Aに形成された外部端子221Aおよび樹脂形成部パッド213Aを適切に導通させることが可能であり、断線などのおそれが少ない。また、連絡経路234A,235A,236Aが第1傾斜内側面112Aを経由することにより、断線などのおそれが少ない。
3つの方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aが封止樹脂400Aに覆われていることにより、これらの方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aを適切に保護することができる。封止樹脂400Aを第1封止樹脂410Aおよび第2封止樹脂420Aからなる構成とすることにより、第1凹部110Aおよび第2凹部120Aからなる二段形状とされた凹部108Aを適切に埋め尽くすことができる。
第1封止樹脂410Aが主に第1凹部110Aに充填される構成とすることにより、集積回路素子330Aが搭載される前に、3つの方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aを適切に覆うことができる。また、第2封止樹脂420Aによって集積回路素子330Aを覆うことにより、集積回路素子330Aと3つの方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aとの間に意図しない隙間が生じないように封止樹脂400Aを形成することができる。第2封止樹脂420Aが外部端子221Aを露出させていることにより、半導体装置1Aを容易に面実装可能であるとともに、半導体装置1Aが実装されるたとえば回路基板と集積回路素子330Aや3つの方位センサ素子311A,312A,313Aおよび2つのコンデンサ343Aが不当に導通してしまうことを適切に回避することができる。
なお、半導体装置1Aの製造方法において、基板材料100A’を切断する手法としては、図26に示したダイサーDcを用いた切断の他にも、たとえばプラズマダイシングやBOSCH法などの深堀りエッチングの手法など、種々の手法を採用することができる。
深堀りエッチングの手法を用いて基板材料100A’を切断する場合、たとえば基板材料100A’を所定の深さまで掘り進める第1のステップと、基板材料の裏面側を研磨する第2のステップとによって基板材料100A’を切断してもよい。この場合、第1のステップでは、図28に示すように傾斜溝183Aの形成位置から深掘りエッチングによって厚さ方向に所定の深さまで掘り進め、垂直溝185を形成する。次いで、基板材料100A’の主面101A側を図示しないテープ材等の支持体によって支持する。次いで、図29に示すように、基板材料100A’を裏面102A側から研磨し、垂直溝185Aの形成箇所まで到達させる。これにより、基板材料100A’が複数の基板100Aに分離切断され、垂直溝185の形成部位が起立外側面105Aとなる。
図30および図31は、本発明の第2実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置1Bは、基板100B、樹脂形成部150B、配線層200B、集積回路素子330B、無線通信素子350B、封止樹脂400Bおよび金属膜500Bを備えている。なお、図30においては、理解の便宜上、封止樹脂400Bを省略している。また、図30および図31において、連絡経路を省略している。
基板100Bは、半導体装置1Bの土台となるものであり、基材106Bおよび絶縁層107Bからなる。基板100Bは、主面101B、裏面102B、4つの外側面103Bおよび凹部108Bを有する。基板100Bの厚さは、たとえば600μm程度である。なお、本実施形態においては、主面101Bおよび裏面102Bがz方向において互いに反対側を向いており、z方向が半導体装置1Bの厚さ方向に相当する。また、x方向およびy方向は、いずれもz方向に対して直角である。
基材106Bは、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。また、絶縁層107Bは、本実施形態においては、SiO2からなる。なお、基材106Bの材質は、Siに限定されず、後述する意図を満たす凹部108Bを形成可能なものであればよい。絶縁層107Bは、基材106Bのうち裏面102Bとは反対側から臨む部分を覆っている。絶縁層107Bの厚さは、たとえば0.1〜1.0μm程度である。
本実施形態においては、主面101Bとして、基材106Bの(100)面が採用されている。凹部108Bは、主面101Bから裏面102Bに向かって凹んでいる。本実施形態においては、凹部108Bは、第1凹部110Bからなる。第1凹部110Bは、第1底面111Bおよび4つの第1傾斜内側面112Bを有する。第1凹部110Bの形状は、主面101Bとして(100)面が採用されていることに依存している。
凹部108Bが形成されていることにより、主面101Bは、平面視矩形環状とされている。第1凹部110Bは、平面視矩形状である。第1凹部110Bの深さは、たとえば440μm程度である。第1底面111Bは、平面視矩形状である。4つの第1傾斜内側面112Bは、平面視において第1底面111Bを囲んでおり、第1底面111Bと接する部分を上底とする略台形状である。各第1傾斜内側面112Bは、第1底面111Bに対して傾いている。本実施形態においては、第1傾斜内側面112Bのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第1傾斜内側面112Bが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Bとして(100)面を採用したことに依存している。
樹脂形成部150Bは、基板100B上に所定の段差を設けるためのものであり、基板100B(絶縁層107B)に形成される。本実施形態においては、樹脂形成部150Bは、凹部108B(第1凹部110B)の底面(第1底面111B)に形成されており、無線通信素子350Bを搭載する部分である。本実施形態においては、樹脂形成部150Bは、第1底面111Bのうちy方向に離れた2つの部位に形成されている。樹脂形成部150Bの高さは、たとえば150μm程度である。樹脂形成部150Bは、平坦な頂面とこの頂面に対して傾斜した側面152Bを有する。樹脂形成部150Bの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。樹脂形成部150Bは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
配線層200Bは集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bを搭載し、これらに入出力する電流経路を構成するためのものである。配線層200Bは、主に絶縁層107B上に形成されており、本実施形態においては、バリアシード層201Bとめっき層202Bとが積層された構造となっている。
バリアシード層201Bは、所望のめっき層202Bを形成するためのいわゆる下地層であり、絶縁層107B上に形成されている。バリアシード層201Bは、絶縁層107B上に形成されたたとえばバリア層としてのTi層とこのバリア層上に積層されたシード層としてのCu層とからなる。バリアシード層201Bは、たとえばスパッタリングによって形成される。本実施形態においては、バリアシード層201Bは、絶縁層107B上および樹脂形成部150B上の所定部位に形成される。
めっき層202Bは、たとえばCuからなりバリアシード層201Bを利用した電解めっきによって形成される。めっき層202Bの厚さは、たとえば5μm程度である。
本実施形態においては、配線層200Bは、第1底面パッド211B、樹脂形成部パッド214B、外部端子221Bおよびこれらを互いに導通させるための連絡経路(図示略)を有している。
第1底面パッド211Bは、第1凹部110Bの第1底面111Bに形成されている。本実施形態においては、複数の第1底面パッド211Bが形成されており、これら第1底面パッド211Bは、集積回路素子330Bを搭載するために用いられる。
樹脂形成部パッド214Bは、樹脂形成部150Bに形成されている。本実施形態においては、第1底面111B上に離間配置された各樹脂形成部150Bにおいて、複数ずつの樹脂形成部パッド214Bが形成されている。これら樹脂形成部パッド214Bは、無線通信素子350Bを搭載するために用いられる。また、樹脂形成部150Bの側面152Bが傾斜しているため、この側面152Bに形成した配線層200Bの連絡経路(図示略)を、樹脂形成部パッド214Bに繋げた構成とすることができる。
外部端子221Bは、主面101B上に形成されており、半導体装置1Bをたとえば図示しない電子機器の回路基板に面実装するために用いられる。本実施形態においては、主面101Bのうち凹部108Bを挟んでy方向に離間する2つの部位に、複数ずつの外部端子221Bが形成されている。外部端子221Bは、上述したバリアシード層201Bおよびめっき層202B上に、さらにたとえばNi,Pd,Auなどの金属を無電解めっきすることによって得られたバンプが形成された構造とされている。これにより、外部端子221Bは、z方向に膨出した形状となっている。なお、本実施形態においては、少なくとも1つの外部端子221Bがいわゆるグランド端子とされている。
図30に示すように、基板100Bにおける4つの外側面103Bは、z方向視において主面を囲んでおり、矩形環状をなしている。より詳細には、各外側面103Bは、傾斜外側面104Bおよび起立外側面105Bを含んで構成される。傾斜外側面104Bは、主面101Bおよび起立外側面105Bの間に介在しており、主面101Bおよび起立外側面105Bのいずれに対しても傾斜している。本実施形態においては、傾斜外側面104Bは、主面101Bに繋がっており、起立外側面105Bは裏面102Bに繋がっている。本実施形態においては、傾斜外側面104Bのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、上記傾斜角度が55°である点は、主面101Bとして(100)面を採用したことに依存している。
ここで、xy平面(主面101B)に対する傾斜外側面104Bの傾斜角度は、主面101Bに対する第1傾斜内側面112Bの傾斜角度と同一である。これら傾斜外側面104Bおよび第1傾斜内側面112Bについては、一括したエッチングによって形成することにより、同一の角度とすることが意図されている。エッチング条件等のばらつきによって不可避的に生じうる差異は、本発明でいう同一の範囲に含まれる。
起立外側面105Bは、主面101Bに対して実質的に直角であり、zx平面もしくはyz平面に対して実質的に平行である。本実施形態においては、傾斜外側面104Bは、起立外側面105Bに比べて平滑である。なお、このように傾斜外側面104Bが起立外側面105Bよりも平滑であることは、半導体装置1Bの製造方法に依存している。起立外側面105Bは基板材料を切断することにより生じた露出面であるため、エッチングによって形成された傾斜外側面104Bは、起立外側面105Bよりも平滑になっている。
無線通信素子350Bは、たとえばBluetooth(登録商標)規格に準拠した近距離無線データ通信用の素子であり、樹脂形成部150Bを介して第1底面111Bに支持されている。無線通信素子350Bは、複数の樹脂形成部パッド214Bを利用してはんだ351Bを介して搭載されている。無線通信素子350Bは、y方向に離間配置された複数の樹脂形成部パッド214Bを利用して搭載されることにより、2辺が支持される格好となっている。また、無線通信素子350Bは、平面視において集積回路素子330Bのすべてと重なっており、第1凹部110B(凹部108B)に収容されている。
集積回路素子330Bは、第1底面111Bに支持されており、複数の第1底面パッド211Bを利用してはんだ351Bを介して搭載されている。集積回路素子330Bは、無線通信素子350Bを制御するためのものである。本実施形態においては、集積回路素子330Bは、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されており、その厚さが80〜100μm程度とされている。半導体装置1Bを製造する際、第1底面111Bへの集積回路素子330Bの搭載は、樹脂形成部150Bの形成よりも後に行う。
封止樹脂400Bは、集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bを覆っており、凹部108B(第1凹部110B)に充填されている。本実施形態においては、封止樹脂400Bは、第1封止樹脂410Bおよび第2封止樹脂420Bからなる。
第1封止樹脂410Bは、集積回路素子330Bの全体を覆っている。一方、第1封止樹脂410Bは、樹脂形成部パッド214Bおよび無線通信素子350Bは覆っていない。
第2封止樹脂420Bは、無線通信素子350Bのすべてを覆っている。一方、第2封止樹脂420Bは、外部端子221Bを露出させている。
第1封止樹脂410Bおよび第2封止樹脂420Bの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第1封止樹脂410Bおよび第2封止樹脂420Bは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
次に、半導体装置1Bの作用について説明する。
本実施形態によれば、集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bが半導体材料からなる基板100Bの凹部108B(第1凹部110B)に積層状に配置されて収容されている。このため、集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bを支持するためのリードを設ける必要がない。リードを金型成形する場合と比較して、半導体材料からなる基板100Bは、形状を作り変えるために発生する費用が少ない。したがって、半導体装置1Bのコストを低減することができる。特に、半導体装置1Bを少量生産する場合に、コスト低減効果が顕著である。
基板100Bが、Siに代表される半導体材料の単結晶からなることにより、第1傾斜内側面112Bを第1底面111Bに対して既知の所定角度だけ正確に傾いた面として仕上げることができる。特に、基板100BがSiからなり、主面101Bとして(100)面を採用することにより、第1底面111Bに対する4つの第1傾斜内側面112Bの角度をいずれも55°程度に設定することができる。これにより、半導体装置1Bをバランスの良い形状構成とすることが可能である。
傾斜外側面104Bには金属膜500Bが形成されており、半導体装置1Bの実装時には、金属膜500Bは、接続経路510Bおよび外部端子221Bを介してグランド接続される。このような構成の金属膜500Bは、凹部108Bに収容された各素子が外部からの電磁波の影響を防止する電磁シールドとして機能する。また、金属膜500Bは、z方向視(主面101Bの法線方向視)において全体として主面101Bを囲っている。このような金属膜500Bの配置によれば、電磁シールドとしての効果をより高めることを期待できる。また、本実施形態の半導体装置1Bにおいては、外部からの電磁波の影響を受けやすい無線通信素子350Bを具備するので、金属膜500Bによる電磁シールド効果をより適切に享受することができる。
凹部108B(第1凹部110B)内の適所に樹脂形成部150Bを形成することにより、集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bを収容するための空間を二段形状にすることができる。第1底面111Bに集積回路素子330Bを搭載し、かつ樹脂形成部150Bに無線通信素子350Bを搭載することにより、z方向において異なる位置に集積回路素子330Bおよび無線通信素子350Bを立体的に配置することができる。これにより、半導体装置1Bの小型化と高機能化とを両立することができる。
樹脂形成部150Bに樹脂形成部パッド214Bを形成することにより、無線通信素子350Bを樹脂形成部150Bに適切に搭載することができる。
図32は、上記した半導体装置1Bの変形例を示している。図32に示した半導体装置1B’は、基板100B、樹脂形成部150B、配線層200B、集積回路素子330B、インダクタ360B、封止樹脂400B、金属膜500Bおよび金属膜520Bを備えている。図32に示した半導体装置1B’は、上記した半導体装置1Bと比べて、無線通信素子350Bに代えてインダクタ360Bを備えており、また、金属膜520Bを追加的に備えている。
インダクタ360Bは、樹脂形成部150Bに搭載されており、集積回路素子330Bの少なくとも一部を覆っている。
金属膜520Bは、インダクタ360Bおよび集積回路素子330Bの間に位置しており、集積回路素子330Bの全体を覆っている。金属膜520Bは、たとえば第1封止樹脂410B上に所定形状の金属薄膜を形成することによって形成される。たとえば、第1封止樹脂410Bを、樹脂形成部150Bと高さ位置が略同じになるように形成し、この第1封止樹脂410B上に、マスク蒸着などの手法によりCuなどの金属をパターン形成することにより金属膜520Bが形成される。金属膜520Bは、凹部108B(第1傾斜内側面112B)や樹脂形成部150Bに形成された図示しない連絡経路に導通接続されており、グランド端子用の外部端子221Aにも導通している。集積回路素子330Bは、インダクタ360Bによる磁場の影響を受けると誤動作のおそれがあるところ、インダクタ360Bおよび集積回路素子330Bの間に金属膜520Bが配置されることによって、集積回路素子330Bの誤動作を防止することができる。
図33および図34は、本発明の第3実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置1Cは、基板100C、配線層200C、第1素子370C、第2素子380C、および封止樹脂400Cを備えている。なお、図33においては、理解の便宜上、封止樹脂400Cを省略している。また、図33および図34において、連絡経路を省略している。
基板100Cは、半導体装置1Cの土台となるものであり、基材106Cおよび絶縁層107Cからなる。基板100Cは、主面101C、裏面102C、4つの外側面103Cおよび凹部108Cを有する。基板100Cの厚さは、たとえば600μm程度である。なお、本実施形態においては、主面101Cおよび裏面102Cがz方向において互いに反対側を向いており、z方向が半導体装置1Cの厚さ方向に相当する。また、x方向およびy方向は、いずれもz方向に対して直角である。
基材106Cは、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。また、絶縁層107Cは、本実施形態においては、SiO2からなる。なお、基材106Cの材質は、Siに限定されず、後述する意図を満たす凹部108Cを形成可能なものであればよい。絶縁層107Cは、基材103Cのうち裏面102Cとは反対側から臨む部分を覆っている。絶縁層107Cの厚さは、たとえば0.1〜1.0μm程度である。
本実施形態においては、主面101Cとして、基材106Cの(100)面が採用されている。凹部108Cは、主面101Cから裏面102Cに向かって凹んでいる。本実施形態においては、凹部108Cは、第1凹部110Cからなる。第1凹部110Cは、第1底面111Cおよび4つの第1傾斜内側面112Cを有する。第1凹部110Cの形状は、主面101Cとして(100)面が採用されていることに依存している。
凹部108Cが形成されていることにより、主面101Cは、平面視矩形環状とされている。第1凹部110Cは、平面視矩形状である。第1凹部110Cの深さは、たとえば440μm程度である。第1底面111Cは、平面視矩形状である。4つの第1傾斜内側面112Cは、平面視において第1底面111Cを囲んでおり、第1底面111Cと接する部分を上底とする略台形状である。各第1傾斜内側面112Cは、第1底面111Cに対して傾いている。本実施形態においては、第1傾斜内側面112Cのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第1傾斜内側面112Cが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Cとして(100)面を採用したことに依存している。
配線層200Cは第1素子370Cおよび第2素子380Cを搭載し、これらに入出力する電流経路を構成するためのものである。配線層200Cは、絶縁層107C上に形成されており、本実施形態においては、バリアシード層201Cとめっき層202Cとが積層された構造となっている。
バリアシード層201Cは、所望のめっき層202Cを形成するためのいわゆる下地層であり、絶縁層107C上に形成されている。バリアシード層201Cは、絶縁層107C上に形成されたたとえばバリア層としてのTi層とこのバリア層上に積層されたシード層としてのCu層とからなる。バリアシード層201Cは、たとえばスパッタリングによって形成される。本実施形態においては、バリアシード層201Cは、絶縁層107C上の所定部位に形成される。
めっき層202Cは、たとえばCuからなりバリアシード層201Cを利用した電解めっきによって形成される。めっき層202Cの厚さは、たとえば5μm程度である。
本実施形態においては、配線層200Cは、第1底面パッド211C、第1傾斜内側面パッド212C、外部端子221Cおよびこれらを互いに導通させるための連絡経路(図示略)を有している。
第1底面パッド211Cは、第1凹部110Cの第1底面111Cに形成されている。本実施形態においては、複数の第1底面パッド211Cが形成されており、これら第1底面パッド211Cは、第1素子370Cを搭載するために用いられる。
第1傾斜内側面パッド212Cは、第1傾斜内側面112Cに形成されている。本実施形態においては、第1底面111Cを挟んでy方向に離れて配置された2つの第1傾斜内側面112Cに複数ずつの第1傾斜内側面パッド212Cが形成されている。これら複数ずつの第1傾斜内側面パッド212Cは、第2素子380Cを搭載するために用いられる。
外部端子221Cは、主面101C上に形成されており、半導体装置1Cをたとえば図示しない電子機器の回路基板に面実装するために用いられる。本実施形態においては、主面101Cのうち凹部108Cを挟んでy方向に離間する2つの部位に、複数ずつの外部端子221Cが形成されている。外部端子221Cは、上述したバリアシード層201Cおよびめっき層202C上に、さらにたとえばNi,Pd,Auなどの金属を無電解めっきすることによって得られたバンプが形成された構造とされている。これにより、外部端子221Cは、z方向に膨出した形状となっている。なお、本実施形態においては、少なくとも1つの外部端子221Cがいわゆるグランド端子とされている。
図33に示すように、基板100Cにおける4つの外側面103Cは、z方向視において主面を囲んでおり、矩形環状をなしている。より詳細には、各外側面103Cは、傾斜外側面104Cおよび起立外側面105Cを含んで構成される。傾斜外側面104Cは、主面101Cおよび起立外側面105Cの間に介在しており、主面101Cおよび起立外側面105Cのいずれに対しても傾斜している。本実施形態においては、傾斜外側面104Cは、主面101Cに繋がっており、起立外側面105Cは裏面102Cに繋がっている。本実施形態においては、傾斜外側面104Cのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、上記傾斜角度が55°である点は、主面101Cとして(100)面を採用したことに依存している。
ここで、xy平面(主面101C)に対する傾斜外側面104Cの傾斜角度は、主面101Cに対する第1傾斜内側面112Cの傾斜角度と同一である。これら傾斜外側面104Cおよび第1傾斜内側面112Cについては、一括したエッチングによって形成することにより、同一の角度とすることが意図されている。エッチング条件等のばらつきによって不可避的に生じうる差異は、本発明でいう同一の範囲に含まれる。
起立外側面105Cは、主面101Cに対して実質的に直角であり、zx平面もしくはyz平面に対して実質的に平行である。本実施形態においては、傾斜外側面104Cは、起立外側面105Cに比べて平滑である。なお、このように傾斜外側面104Cが起立外側面105Bよりも平滑であることは、半導体装置1Cの製造方法に依存している。起立外側面105Cは基板材料を切断することにより生じた露出面であるため、エッチングによって形成された傾斜外側面104Cは、起立外側面105Cよりも平滑になっている。
第1素子370Cは、第1底面111Cに支持されており、第1底面パッド212Cを利用してはんだ351Cを介して搭載されている。
第2素子380Cは、第1傾斜内側面112Cに支持されており、複数の第1傾斜内側面パッド212Cを利用してはんだ351Cを介して搭載されている。本実施形態においては、第2素子380Cは、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されており、その厚さが80〜100μm程度とされている。また、本実施形態においては、第2素子380Cは、対向主面381C、開口側主面382Cおよび2つの傾斜側面383Cを有している。対向主面381Cは、第1素子370Cに対向している。開口側主面382Cは、z方向において対向主面381Cとは反対側に位置している。また、開口側主面382Cは、対向主面381Cよりも面積が大とされている。2つの傾斜側面383Cは、対向主面381Cと開口側主面382Cとをつなぐ4つの側面のうちy方向に互いに離間する2つの側面である。傾斜側面383Cは、対向主面381Cに対して傾いており、本実施形態においては、対向主面381Cに対する傾斜側面383Cの傾斜角度が55°程度である。
本実施形態においては、第2素子380Cは、半導体材料の単結晶によって構成されており、たとえば単結晶はSiである。また、対向主面381Cとして第2素子380Cの(100)面が採用されている。なお、対向主面381Cに対する傾斜側面383Cの傾斜角度が55°である点は、対向主面381Cとして(100)面を採用したことに依存している。ここで、対向主面381Cに対する傾斜側面383Cの傾斜角度は、上記した主面101Cに対する第1傾斜内側面112Cの傾斜角度と同一である。これら傾斜側面383Cおよび第1傾斜内側面112Cについては、同様の異方性エッチングによって形成することにより、同一の角度とすることが意図されている。エッチング条件等のばらつきによって不可避的に生じうる差異は、本発明でいう同一の範囲に含まれる。
第2素子380Cにおいて、傾斜側面383Cから対向主面381Cに跨る所定領域には、導電性の金属薄膜からなる配線パターン384Cが形成されている。このような構成により、第2素子380Cの搭載時には、第1傾斜内側面112Cと第2素子380Cの傾斜側面383Cとが互いに略平行になるように向き合っている。したがって、第2素子380Cは、第1凹部110Bにおいてy方向に離間する2つの第1傾斜内側面112Cによって、対向主面381Cを挟んで離間する2つの傾斜側面383Cが支持される格好となっている。そして、第2素子380Cは、平面視において第1素子370Cのすべてと重なっており、第1凹部110C(凹部108C)に収容されている。
封止樹脂400Cは、第1素子370Cおよび第2素子380Cを覆っており、凹部108C(第1凹部110C)に充填されている。本実施形態においては、封止樹脂400Cは、第1封止樹脂410Cおよび第2封止樹脂420Cからなる。
第1封止樹脂410Cは、第1素子370Cの全体を覆っている。一方、第1封止樹脂410Cは、第1傾斜内側面パッド212Cおよび第2素子380Cは覆っていない。
第2封止樹脂420Cは、第2素子380Cのすべてを覆っている。一方、第2封止樹脂420Cは、外部端子221Cを露出させている。
第1封止樹脂410Cおよび第2封止樹脂420Cの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第1封止樹脂410Cおよび第2封止樹脂420Cは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
次に、半導体装置1Cの作用について説明する。
本実施形態によれば、第1素子370Cおよび第2素子380Cが半導体材料からなる基板100Cの凹部108C(第1凹部110C)に積層状に配置されて収容されている。このため、第1素子370Cおよび第2素子380Cを支持するためのリードを設ける必要がない。リードを金型成形する場合と比較して、半導体材料からなる基板100Cは、形状を作り変えるために発生する費用が少ない。したがって、半導体装置1Cのコストを低減することができる。特に、半導体装置1Cを少量生産する場合に、コスト低減効果が顕著である。
基板100Cが、Siに代表される半導体材料の単結晶からなることにより、第1傾斜内側面112Cを第1底面111Cに対して既知の所定角度だけ正確に傾いた面として仕上げることができる。特に、基板100CがSiからなり、主面101Cとして(100)面を採用することにより、第1底面111Cに対する4つの第1傾斜内側面112Cの角度をいずれも55°程度に設定することができる。これにより、半導体装置1Cをバランスの良い形状構成とすることが可能である。
第2素子380Cは傾斜側面383Cを有する。この傾斜側面383Cを利用して第2素子380Cを第1傾斜内側面112Cに搭載することにより、単一の第1凹部110C(凹部108C)内において、第2素子380Cは、底面111Cとの間に間隔を隔てて配置することができる。そして、この間隔に収容されるように第1素子370Cを第1底面111C上に搭載することができる。したがって、第1素子370Cおよび第2素子380Cを収容するための空間を二段形状にすることなく、z方向において異なる位置に第1素子370Cおよび第2素子380Cを立体的に配置することができる。このように、第1素子370Cおよび第2素子380Cの収容空間に段差を設けない本実施形態の構成は、収容空間形成のための工程の簡素化を図ることができるので、半導体装置1Cを効率よく製造するのに適する。
第2素子380Cの傾斜側面381Cの形成は、異方性エッチングによって凹部108Cの形成と同時に一括して行うことができる。これにより、対向主面381Cに対する傾斜側面383Cの傾斜角度が、基板100Cにおける主面101Cに対する第1傾斜内側面112Cの傾斜角度と同一となる。したがって、傾斜側面383Cを利用した第1傾斜内側面112Cへの搭載時において、第2素子380Cの姿勢をバランスのよい状態とすることができる。
半導体装置1Cを製造する際、主面101Cに形成された傾斜溝に含まれる切断線に沿って基板材料を切断すると、切断分離されたチップ状の基板100Cの外側面103Cは、傾斜溝であった領域の一部である傾斜外側面104Cを含む。半導体装置1Cの製造においては、基板材料の切断作業は、上記傾斜溝の部位でガイドされながら進行する。このような構成によれば、基板材料の切断時に、基板材料あるいは基板100Cにウエハ割れや欠けなどの不具合が生じるのを抑制することができる。このことは、半導体装置1Cを効率よく製造するのに適する。
半導体装置1Cの製造において、凹部108C(第1凹部110C)の形成および上記傾斜溝の形成は、異方性エッチングによって一括して同時に行うことができる。そして、基板材料の切断の際に切断線に沿って切断する。この切断線が傾斜溝に含まれているため、基板材料の切断深さは、基板材料の厚みよりも小さくなる。これにより、基板材料の切断作業を効率よく行うことができ、半導体装置1Cを効率よく製造することが可能となる。
図35は、上記した半導体装置1Cの変形例を示している。図35に示した半導体装置1C’は、基板100C、樹脂形成部150C、配線層200C、第1素子370C、第2素子380C、および封止樹脂400Cを備えている。図35に示した半導体装置1C’は、上記した半導体装置1Cと比べて、樹脂形成部150Cを備えており、それに伴い第2素子380Cの支持構造が異なっている。
樹脂形成部150Cは、凹部108C(第1凹部110C)に所定の段差を設けるためのものである。本実施形態においては、樹脂形成部150Cは、凹部108C(第1凹部110C)の底面(第1底面111C)に形成されており、第1底面111Cのうちy方向における一端寄り(図中右端寄り)の部位に形成されている。樹脂形成部150Cは、第2素子380Cのy方向における一端寄り部分を搭載するためのものである。樹脂形成部150Cの高さは、たとえば150μm程度である。樹脂形成部150Cは、平坦な頂面とこの頂面に対して傾斜した側面152Cを有する。樹脂形成部150Cの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
樹脂形成部150Cには、樹脂形成部パッド214Cが形成されている。本実施形態においては、複数の樹脂形成パッド214Cがx方向(図35における紙面の垂直方向)に並んで形成されている。これら樹脂形成部パッド214Cは、第2素子380Cを搭載するために用いられる。また、樹脂形成部150Cの側面152Cが傾斜しているため、この側面152Cに形成した配線層200Cの連絡経路(図示略)を、樹脂形成部パッド214Cに繋げた構成とすることができる。
図35に示した半導体装置1C’において、凹部108Cにおける4つの第1傾斜内側面112Cのうち、図中左側の第1傾斜内側面112Cにのみ第1傾斜内側面パッド212Cが形成されている。
第2素子380Cは、図中左側の側面のみが傾斜側面383Cとされている。第2素子380Cは、図中左側の部位(傾斜側面383C)が第1傾斜内側面112Cに支持され、図中右側の部位(対向主面381C)が樹脂形成部150Cに支持されている。第2素子380Cの搭載時において、樹脂形成部150Cの高さ寸法を調節することにより、z方向における所望の位置に第2素子380Cを容易に設定することができる。
図36は、上記した半導体装置1Cの他の変形例を示している。図36に示した半導体装置1C”は、基板100C、樹脂形成部130C、配線層200C、第1素子370C、2つの第2素子380C、および封止樹脂400Cを備えている。図36に示した半導体装置1C”は、上記した半導体装置1Cと比べて、2つの第2素子380Cを備えており、また、樹脂形成部130Cを追加的に備えている。
樹脂形成部130Cは、基板100C上に所定の段差を設けるためのものであり、基板100C(絶縁層107C)に形成される。図36に示した半導体装置1C”においては、樹脂形成部130Cは、主面101Cに形成されており、外部端子221の土台となる部分である。樹脂形成部130Cは、主面101Cのうち凹部108Cを挟んでy方向に離れて配置された2つの部位に形成されている。樹脂形成部130Cの高さは、たとえば50μm程度である。樹脂形成部130Cは、平坦な頂面とこの頂面に対して傾斜した側面132Cを有する。樹脂形成部130Cの側面132Cが傾斜しているため、この側面132Cに形成した配線層200Cの連絡経路(図示略)を、外部端子221Cに繋げた構成とすることができる。
図36に示した半導体装置1C”においては、複数(2つ)の第2素子380Cがz方向において間隔を隔てて設けられている。追加的に設けられた図中上方に位置する第2素子380Cは、図中下方に位置する第2素子380Cと基本的に同じ構成であるが、y方向における寸法が下方に位置する第2素子380Cよりも大となっている。
2つの第2素子380Cを支持する第1傾斜内側面112Cにおいては、各々、z方向に間隔を隔てて複数ずつの第1傾斜内側面パッド212Cが形成されている。
図中上方に位置する第2素子380Cの上端部は、凹部108C(第1凹部110C)から上方に突出している。第2封止樹脂420Cは、上方に位置する第2素子380Cのすべてを覆っている。これにより、第2封止樹脂420Cは、主面101Cよりも主面101Cの法線方向外方に位置する部分を有する。
図36に示した半導体装置1C”によれば、第1素子370Cおよび第2素子380Cを収容するための空間を二段形状にすることなく、z方向において異なる位置により多くの素子(第1素子370Cおよび2つの第2素子380C)を立体的に配置することができる。
また、図36に示されるように、図中上方に位置する第2素子380Cは、主面101Cよりも上方に突出している。これに対し、外部端子221Cは、樹脂形成部130Cを介して主面101C上に形成することにより、これら外部端子221Cを面実装するのに適するようにz方向に突出させることができる。
図37および図38は、本発明の第4実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置1Dは、基板100D、樹脂形成部150D、配線層200D、柱状導電部230D、第1素子370D、第2素子380D、および封止樹脂400Dを備えている。なお、図37においては、理解の便宜上、封止樹脂400Dを省略している。また、図37および図38において、連絡経路を省略している。
基板100Dは、半導体装置1Dの土台となるものであり、基材106Dおよび絶縁層107Dからなる。基板100Dは、主面101D、裏面102D、および凹部108Dを有する。基板100Dの厚さは、たとえば600μm程度である。なお、本実施形態においては、主面101Dおよび裏面102Dがz方向において互いに反対側を向いており、z方向が半導体装置1Dの厚さ方向に相当する。また、x方向およびy方向は、いずれもz方向に対して直角である。
基材106Dは、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。また、絶縁層107Dは、本実施形態においては、SiO2からなる。なお、基材106Dの材質は、Siに限定されず、後述する意図を満たす凹部108Dを形成可能なものであればよい。絶縁層107Dは、基材106Dのうち裏面102Dとは反対側から臨む部分を覆っている。絶縁層107Dの厚さは、たとえば0.1〜1.0μm程度である。
本実施形態においては、主面101Dとして、基材106Dの(100)面が採用されている。凹部108Dは、主面101Dから裏面102Dに向かって凹んでいる。本実施形態においては、凹部108Dは、第1凹部110Dからなる。第1凹部110Dは、第1底面111Dおよび4つの第1傾斜内側面112Dを有する。第1凹部110Dの形状は、主面101Dとして(100)面が採用されていることに依存している。
凹部108Dが形成されていることにより、主面101Dは、平面視矩形環状とされている。第1凹部110Dは、平面視矩形状である。第1凹部110Dの深さは、たとえば440μm程度である。第1底面111Dは、平面視矩形状である。4つの第1傾斜内側面112Dは、平面視において第1底面111Dを囲んでおり、第1底面111Dと接する部分を上底とする略台形状である。各第1傾斜内側面112Dは、第1底面111Dに対して傾いている。本実施形態においては、第1傾斜内側面112Dのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第1傾斜内側面112Dが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Dとして(100)面を採用したことに依存している。
樹脂形成部150Dは、基板100D上に所定の段差を設けるためのものであり、基板100D(絶縁層107D)に形成される。本実施形態においては、樹脂形成部150Dは、凹部108D(第1凹部110D)の底面(第1底面111D)に形成されており、第2素子380Dを搭載する部分である。本実施形態においては、樹脂形成部150Dは、第1底面111Dのうちy方向に離れた2つの部位に形成されている。樹脂形成部150Dの高さは、たとえば150μm程度である。樹脂形成部150Dは、平坦な頂面とこの頂面に対して傾斜した側面152Dを有する。樹脂形成部150Dの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。樹脂形成部150Dは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
配線層200Dは第1素子370Dおよび第2素子380Dに入出力する電流経路を構成するためのものである。配線層200Dは、主に絶縁層107D上に形成されており、本実施形態においては、バリアシード層201Dとめっき層202Dとが積層された構造となっている。
バリアシード層201Dは、所望のめっき層202Dを形成するためのいわゆる下地層であり、絶縁層107D上に形成されている。バリアシード層201Dは、絶縁層107D上に形成されたたとえばバリア層としてのTi層とこのバリア層上に積層されたシード層としてのCu層とからなる。バリアシード層201Dは、たとえばスパッタリングによって形成される。本実施形態においては、バリアシード層201Dは、絶縁層107D上および樹脂形成部150D上の所定部位に形成される。
めっき層202Dは、たとえばCuからなりバリアシード層201Dを利用した電解めっきによって形成される。めっき層202Dの厚さは、たとえば5μm程度である。
本実施形態においては、配線層200Dは、第1底面パッド211D、樹脂形成部パッド214D、第1傾斜内側面パッド212D、およびこれらを互いに導通させるための連絡経路(図示略)を有している。
第1底面パッド211Dは、第1凹部110Dの第1底面111Dに形成されている。本実施形態においては、複数の第1底面パッド211Dが形成されており、これら第1底面パッド211Dは、第1素子370Dを搭載するために用いられる。
樹脂形成部パッド214Dは、樹脂形成部150Dに形成されている。本実施形態においては、第1底面111D上に離間配置された各樹脂形成部150Dにおいて、複数ずつの樹脂形成部パッド214Dが形成されている。これら樹脂形成部パッド214Dは、第2素子380Dを搭載するために用いられる。また、樹脂形成部150Dの側面152Dが傾斜しているため、この側面152Dに形成した配線層200Dの連絡経路(図示略)を、樹脂形成部パッド214Dに繋げた構成とすることができる。
第1傾斜内側面パッド212Dは、第1凹部110Dの第1傾斜内側面112Dに形成されている。本実施形態においては、第1底面111Dを挟んでy方向に離れて配置された2つの第1傾斜内側面112Dに複数ずつの第1傾斜内側面パッド212Dが形成されている。第1傾斜内側面パッド212Dは、柱状導電部230Dの一端が接続される部分である。
封止樹脂400D上には、外部端子250Dが設けられている。外部端子250Dは、半導体装置1Dをたとえば図示しない電子機器の回路基板に面実装するために用いられる。本実施形態においては、外部端子250Dは、封止樹脂400D(後述の第2封止樹脂420D)における主面101Dの法線方向外方を向く上面421Dに設けられる。本実施形態においては、凹部108Dを挟んでy方向に離間する2つの部位に、複数ずつの外部端子250Dが形成されている。外部端子250Dは、後述の外部端子用パッド240D上に、たとえばNi,Pd,Auなどの金属を無電解めっきすることによって得られたバンプが形成された構造とされている。これにより、外部端子250Dは、z方向に膨出した形状となっている。なお、本実施形態においては、少なくとも1つの外部端子250Dがいわゆるグランド端子とされている。
第1素子370Dは、第1底面111Dに支持されており、第1底面パッド211Dを利用してはんだ351Dを介して搭載されている。
第2素子380Dは、樹脂形成部150Dに支持されており、複数の樹脂形成部パッド214Dを利用してはんだ351Cを介して搭載されている。本実施形態においては、第2素子380Dは、いわゆるASIC(Application Specific Integrated Circuit)素子として構成されており、その厚さが80〜100μm程度とされている。
封止樹脂400Dは、第1素子370Dおよび第2素子380Dを覆っており、凹部108D(第1凹部110D)に充填されている。本実施形態においては、封止樹脂400Dは、第1封止樹脂410Dおよび第2封止樹脂420Dからなる。
第1封止樹脂410Dは、第1素子370Dの全体を覆っている。一方、第1封止樹脂410Dは、第1傾斜内側面パッド212Dおよび第2素子380Dは覆っていない。
第2封止樹脂420Dは、第2素子380Dのすべてを覆っている。第2封止樹脂420Dは、上面421Dを有する。上面421Dは、主面101Dの法線方向外方を向く。第2封止樹脂420Dは、主面101Dの一部を覆っている。一方、第2封止樹脂420Dは、外部端子250Dを露出させている。
第1封止樹脂410Dおよび第2封止樹脂420Dの材質としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。第1封止樹脂410Dおよび第2封止樹脂420Dは、透光性樹脂または非透光性樹脂のいずれであってもよいが、本実施形態においては、非透光性樹脂が好ましい。
柱状導電部230Dは、図38に示すように、封止樹脂400D(第2封止樹脂420D)を凹部108Dの深さ方向に貫通している。柱状導電部230Dは、配線層200Dのうち凹部108Dに形成された部位に接続されており、z方向(主面101Dの法線方向)に沿って延びている。本実施形態においては、柱状導電部230Dの図中下端は、第1傾斜内側面112Dに形成された第1傾斜内側面パッド212Dに接続されている。柱状導電部230Dは、たとえばCuからなり、第1傾斜内側面パッド212Dを利用した電解めっきによって形成される。本実施形態においては、底面111Dを挟んでy方向に離れた2つの第1傾斜内側面112Dから複数ずつの柱状導電部230Dが延びている。柱状導電部230Dの図中上端と第2封止樹脂420Dの上面421Dとは、面一状である。
封止樹脂400D上には、外部端子用パッド240Dが形成されている。外部端子用パッド240Dは、第2封止樹脂420Dの上面421Dに形成される。本実施形態においては、外部端子用パッド240Dは、たとえばCuからなり、複数の柱状導電部230Dに対応する位置に複数設けられている。外部端用パッド240Dおよびこの上に形成された外部端子250Dは、z方向視において柱状導電部230Dと重なっている。外部端子用パッド240Dは、柱状導電部230Dの上端を覆っており、当該柱状導電部230Dの上端に接合している。
次に、封止樹脂400D(第2封止樹脂420D)を貫通する柱状導電部230Dの形成手順について、図39〜図46を参照して説明する。
図39は、凹部108Dが形成され基板材料100D’に樹脂形成部150Dおよび配線層200Dが形成された状態を示す。この後、図40に示すように、レジスト層600Dを形成する。レジスト層600Dの形成は、たとえば感光性のレジスト樹脂をスプレー塗布することによって行う。
次いで、図41に示すように、レジスト層600Dに対してパターニングを施す。このパターニングは、レジスト層に600D対してたとえばフォトリソグラフィの手法を用いた露光および現像を行うことにより、所望の部位を削除することによって行う。このパターニングによって得られたレジスト層600Dの形状は、上述した柱状導電部230Dの形状に対応している。ここで、レジスト層には柱状導電部230Dの形状に対応する開口610Dが形成され、第1傾斜内側面パッド212Dの一部が露出する。なお、凹部108Dがある程度の深さを有することに対応して、上記露光の焦点深さを変化させながら、複数回の上記露光を行なってもよい。
次いで、図42に示すように、柱状導電部230Dを形成する。柱状導電部230Dの形成は、たとえば第1傾斜内側面パッド212Dを利用した電解めっきによって行う。この結果、たとえばCuからなる柱状導電部230Dが得られる。
次に、図43に示すようにレジスト層600Dを除去し、第1素子370Dの搭載、第1封止樹脂410Dの形成、第2素子380Dの搭載を順次行う(図44参照)。
次いで、図45に示すように、第2封止樹脂420を形成する。このとき、柱状導電部230Dの上端が第2封止樹脂420Dの上端面から突出している。次に、図46に示すように第2封止樹脂420Dの上部を研磨し、柱状導電部230Dの図中上端と第2封止樹脂420Dの上面421Dとが面一状にされる。
次に、半導体装置1Dの作用について説明する。
本実施形態によれば、第1素子370Dおよび第2素子380Dが半導体材料からなる基板100Dの凹部108D(第1凹部110D)に積層状に配置されて収容されている。このため、第1素子370Dおよび第2素子380Dを支持するためのリードを設ける必要がない。リードを金型成形する場合と比較して、半導体材料からなる基板100Dは、形状を作り変えるために発生する費用が少ない。したがって、半導体装置1Dのコストを低減することができる。特に、半導体装置1Dを少量生産する場合に、コスト低減効果が顕著である。
基板100Dが、Siに代表される半導体材料の単結晶からなることにより、第1傾斜内側面112Dを第1底面111Dに対して既知の所定角度だけ正確に傾いた面として仕上げることができる。特に、基板100DがSiからなり、主面101Dとして(100)面を採用することにより、第1底面111Dに対する4つの第1傾斜内側面112Dの角度をいずれも55°程度に設定することができる。これにより、半導体装置1Dをバランスの良い形状構成とすることが可能である。
封止樹脂400Dを貫通する柱状導電部230Dが設けられている。柱状導電部230Dは、基板100Dの凹部108からz方向に延びており、外部端子250Dと導通接続されている。このような構成によれば、z方向視(主面101Dの法線方向視)において凹部108Dの内側に外部端子250Dを配置することができる。本実施形態では、基板100Dのy方向の寸法を小さくすることができ、半導体装置1Dの小型化に適する。
柱状導電部230Dは、第1傾斜内側面112Dからz方向に延びている。これにより、第1素子370D、第2素子370Dおよび柱状導電部230Dは、互いの干渉を避けつつ狭いスペースでの立体的な配置が実現される。
柱状導電部230Dの下端は第1傾斜内側面パッド212D上に接続される。柱状導電部230Dは、第1傾斜内側面パッド212D上に電解めっきの手法等を用いて斜面からz方向に向けて立ち上がっており、第1傾斜内側面パッド212Dと適切に導通接続されている。
柱状導電部230Dの上端は、第2封止樹脂420Dの上面421Dと面一状であり、外部端子用パッド240Dによって覆われている。このような構成によれば、外部端子用パッド240Dを介して柱状導電部230Dと外部端子250Dとを適切に導通接続することができる。
凹部108D(第1凹部110D)内の適所に樹脂形成部150Dを形成することにより、第1素子370Dおよび第2素子380Dを収容するための空間を二段形状にすることができる。第1底面111Dに集積回路素子370Dを搭載し、かつ樹脂形成部150Dに第2素子380Dを搭載することにより、z方向において異なる位置に第1素子370Dおよび第2素子380Dを立体的に配置することができる。これにより、半導体装置1Dの小型化と高機能化とを両立することができる。
図47および図48は、上記した半導体装置1Dの変形例を示している。図47および図48に示した半導体装置1D’は、基板100D、樹脂形成部150D、配線層200D、柱状導電部230D、第1素子370D、第2素子380D、および封止樹脂400Dを備えている。図47および図48に示した半導体装置1D’は、上記した半導体装置1Dと比べて、主に柱状導電部230Dの配置および第2素子380Dの支持構造が異なっている。
図47に示した半導体装置1D’においては、樹脂形成部150Dは、凹部108D(第1凹部110D)の底面(第1底面111D)に形成されており、第1底面111Dのうちy方向における一端寄り(図中右端寄り)の部位に形成されている。樹脂形成部150Dは、第2素子380Dのy方向における一端寄り部分を搭載するためのものである。
図47および図48に示した半導体装置1D’においては、複数の柱状導電部230Dは、そのすべてが図中右側に位置する1つの第1傾斜内側面112Dからz方向に向かって延びている。複数の外部端子250Dについては、図中右側に位置する複数の外部端子250D(251D)と、図中左側に位置する複数の外部端子250D(252D)とがある。外部端子251Dは、z方向視(主面101Dの法線方向視)において柱状導電部230Dと重なっている。一方、外部端子252Dは、外部端子251Dとは底面111Dを挟んで離間する位置にある。外部端子252Dと柱状導電部230とは、第2封止樹脂420D上に形成されて配線パターン260Dを介して導通している。また、配線パターン260Dおよび第2封止樹脂420Dは、絶縁材料からなるレジスト700Dによって覆われている。レジスト700Dは、外部端子251D,252Dを露出させ、それ以外のz方向視全面を覆っている。
第2素子380Dの図中左端は、第1傾斜内側面112Dに支持されており、複数の第1傾斜内側面パッド212Dを利用してはんだ351Dを介して搭載されている。第2素子380Dは、対向主面381D、開口側主面382Dおよび傾斜側面383Dを有している。対向主面381Dは、第1素子370Dに対向している。開口側主面382Dは、z方向において対向主面381Dとは反対側に位置している。また、開口側主面382Dは、対向主面381Dよりも面積が大とされている。傾斜側面383Dは、対向主面381Dと開口側主面382Dとをつなぐ4つの側面のうちy方向における一方(図中左方)を向く側面である。傾斜側面383Dは、対向主面381Dに対して傾いており、本実施形態においては、対向主面381Dに対する傾斜側面383Dの傾斜角度が55°程度である。
第2素子380Dにおいて、傾斜側面383Dから対向主面381Dに跨る所定領域には、導電性の金属薄膜からなる配線パターン384Dが形成されている。このような構成により、第2素子380Dの搭載時には、第1傾斜内側面112Dと第2素子380Dの傾斜側面383Dとが互いに略平行になるように向き合っている。
図47および図48に示した半導体装置1D’においては、すべての柱状導電部230Dが1つの領域である図中右側の第1傾斜内側面112Dにまとめて形成される。また、第2素子380Dは、図中左側の傾斜側面383Dが第1傾斜内側面112Dに支持される。このため、複数の柱状導電部230Dと第2素子380Dとの干渉を回避することができる。したがって、第2素子380Dのサイズを大きくしつつ、半導体装置1D’全体をより小型化するのに適する。一方、外部端子251Dと外部端子252Dとがy方向に離間して配置されている。これにより、半導体装置1D’を電子機器の基板などにバランスよく実装することができる。
図49は、上記した半導体装置1Dの他の変形例を示している。図49に示した半導体装置1D”は、基板100D、配線層200D、柱状導電部230D、第1素子370D、第2素子380D、および封止樹脂400Dを備えている。図49に示した半導体装置1D”は、上記した半導体装置1Dと比べて、主に基板100Dの凹部108Dの形状が異なっており、樹脂形成部150Dを具備していない。
図49に示した半導体装置1D”においては、凹部108Dは、第1凹部110Dおよび第2凹部120Dからなる。第1凹部110Dは、裏面102D側に位置し、第1底面111Dおよび4つの第1傾斜内側面112Dを有する。第2凹部120Dは、第1凹部110Dよりも主面101D側に位置し、2つの第2底面121Dおよび4つの第2傾斜内側面122Dを有する。これらの第1凹部110Dおよび第2凹部120Dの形状は、主面101Dとして(100)面が採用されていることに依存している。これら第1凹部110Dおよび第2凹部120Dの構成は、図5に示した第1凹部110Aおよび第2凹部120Aの構成に近似している。
第2凹部120Dは、平面視矩形状である。2つの第2底面121Dは、平面視矩形状であり、第1凹部110Dを挟んでいる。また、各第2底面121Dは、第1傾斜内側面112Dに繋がっている。4つの第2傾斜内側面122Dは、平面視において2つの第2底面121Dを囲み、略台形状である。各第2傾斜内側面122Dは、第2底面121Dに対して傾いている。本実施形態においては、第2傾斜内側面122Dのxy平面に対する傾斜角度が55°程度である。なお、第2傾斜内側面122Dが略台形状であり、かつ上記傾斜角度が55°である点は、主面101Dとして(100)面を採用したことに依存している。
図49に示した半導体装置1D”においては、配線層200Dは、第1底面パッド211D、第2底面パッド215D、第2傾斜内側面パッド216Dおよびこれらを互いに導通させるための連絡経路(図示略)を有している。
第2底面パッド215Dは、第2底面121Dに形成されている。本実施形態においては、第1底面111Dを挟んでy方向に離間配置された各第2底面121Dにおいて、複数ずつの第2底面パッド215Dが形成されている。これら 第2底面パッド215Dは、第2素子380Dを搭載するために用いられる。
第2傾斜内側面パッド216Dは、第2凹部120Dの第2傾斜内側面122Dに形成されている。本実施形態においては、第1底面111Dを挟んでy方向に離れて配置された2つの第2傾斜内側面122Dに複数ずつの第2傾斜内側面パッド216Dが形成されている。第2傾斜内側面パッド216Dは、柱状導電部230Dの一端が接続される部分である。
図49に示した半導体装置1D”においては、凹部108Dを第1凹部110Dおよび第2凹部120Dによって二段形状に形成することにより、第1凹部110Dを、第1素子370Dを収容する専用の空間として用いることができる。これにより、第1素子370Dおよび第2素子380Dを適切に立体的に配置することができる。
本発明に係る半導体装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。