JP6371239B2 - ハンドガイドローラ - Google Patents

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Description

本発明はアスファルト舗装などの路面の締固め作業に用いられるハンドガイドローラに係り、詳しくは操作ボックスに設けられた操舵グリップと前後進レバーとのレイアウトに関する。
走行輪を兼ねた転圧輪により路面の締固め作業を実施する転圧機械の中で、ハンドガイドローラは比較的小型且つ軽量な非搭乗型の車両であり、歩道や狭路地などでの締固め作業に広く使用されている。例えば、特許文献1に記載されているように、この種のハンドガイドローラは、動力源としてエンジンを搭載した走行機体の後部に操舵桿の基端を取り付け、後方に向けて延設された操舵桿の先端に操作ボックスを設け、この操作ボックスにエンジンの運転状態を切り換えるためのアクセルレバー、車両の前後進を切り換えるための前後進レバー、各種電気スイッチや表示灯などを設けている。
また、ハンドガイドローラは転圧輪に操舵機能を備えていないため、オペレータは操作ボックスに設けられた操舵グリップを把持して左右に操作することにより車両の進路を変えている。例えば特許文献1のハンドガイドローラでは、図3,4に示すように、操作ボックス上の左右方向の中央で前後方向に延びるように操舵グリップを設けており、この操舵グリップに対して前後進レバーを左側に設け、アクセルレバーを右側に設けている。
特開2011−84879号公報(図3,4)
しかしながら、特許文献1に記載されたハンドガイドローラは、操舵ボックスの操作性に関して今一つ改善の余地があった。
路面を連続的に転圧する締め固め作業は、走行中の車両の進路や速度を調整しながら実施され、そのためにオペレータは操舵グリップ、アクセルレバー、前後進レバーなどの操作部材の位置を常に把握して、それらの操作部材を遅れなく且つ適切に操作する必要がある。特に車両の進路を変更する操舵グリップと、前後進の切換のみならず速度調整機能を有する前後進レバーとは、他の操作部材に比べて作業中の操作頻度が格段に高いことから、一層良好な操作性が求められる。
例えばオペレータが操舵ボックスの後方に立って締め固め作業を行う場合、操作ボックス上の操舵グリップと前後進レバーとは常に一定の位置関係に保たれるため、オペレータは操舵グリップ及び前後進レバーの位置を容易に把握できると共に、戸惑うことなく常に同一の操作感で操作可能となる。しかしながら、このようにオペレータが操作ボックスの後方を立ち位置とすることは現実的にはほとんど無く、これに起因して不具合が生じていた。
即ち、転圧機械の中では小型軽量とはいえ一般にハンドガイドローラの自重は500kg程度に達することから、その進路を変更するには大きな力を要する。そこで、操舵グリップに対し力を加え易いように、オペレータが操作ボックスの左右何れかを立ち位置とし、側方より操舵グリップを把持しながら押し引きして進路を変更する操作法が採られている。また、車体の左右何れかを転圧際とした締固め作業では転圧輪の側面を常に確認する必要があるため、その場合もオペレータは操作ボックスの側方に立った上で、操舵グリップや前後進レバーなどを操作している。
特許文献1のハンドガイドローラでは、例えばオペレータが操作ボックスの左側に立った場合、操舵グリップに対して前後進レバーが奧(遠く)に位置し、操作ボックスの右側に立った場合には、操舵グリップに対して前後進レバーが手前(近く)に位置する。このような位置関係の逆転は、操舵グリップや前後進レバーを把持する際に直感的な位置の把握を困難にすると共に、オペレータの立ち位置に応じて操舵グリップ及び前後進レバーの操作感が異なることから、オペレータを戸惑わせてしまう。これらの要因は操舵グリップ及び前後進レバーの操作遅れや誤操作につながることから、その改良策が要望されていた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、締め固め作業中の操作ボックスに対するオペレータの立ち位置に関わらず、操舵グリップ及び前後進レバーの位置を直感的に把握できると共に、常に同一の操作感で操作でき、もって操舵グリップ及び前後進レバーを操作する際の操作遅れや誤操作を未然に防止することができるハンドガイドローラを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のハンドガイドローラは、転圧輪を備えた走行機体と、走行機体の後部の左右方向の略中央に基端が取り付けられて後方に向けて延設された操舵桿と、走行機体の後部の左右方向の略中央となるように操舵桿の先端に取り付けられた操作ボックスと、操作ボックス上で走行機体の前後方向に延設され、操舵桿を介して走行機体の進路を変更するためにオペレータに把持される操舵グリップと、操作ボックスの操舵グリップから左右何れかにオフセットした位置に基端が配設されると共に、先端に設けられたレバーグリップが操舵グリップの上方且つ上面視において操舵グリップと左右方向で重なり合う位置関係に配設され、レバーグリップをオペレータに把持されながら基端を中心とした前後方向への傾動に応じて走行機体の前後進を切換可能に構成された前後進レバーとを具備し、操舵グリップ及び前後進レバーのレバーグリップが、操作ボックスの左右方向の略中央に配設されていることを特徴とする(請求項1)。
このように構成したハンドガイドローラによれば、走行機体の左右方向の略中央に操舵桿及び操作ボックスが配設され、その操作ボックスの左右方向の略中央に操舵グリップ及び前後進レバーのレバーグリップが配設されると共に、前後進レバーのレバーグリップが操舵グリップの上方且つ上面視において操舵グリップと左右方向で重なり合う位置関係に配設されているため、オペレータが操作ボックスの左右何れに立った場合でも操舵グリップとレバーグリップとの位置関係は変わらない。よって、オペレータが操舵グリップやレバーグリップを把持する際に直感的に位置を把握できると共に、オペレータの立ち位置が変わっても操舵グリップやレバーグリップを常に同一の操作感で操作可能となる。結果として、締め固め作業で操舵グリップ及び前後進レバーを操作する際の操作遅れや誤操作が防止される。
その他の態様として、前後進レバーを、その基端が操作ボックスの上面または左右何れかの側面に配設され、基端から上方に延設されながら屈曲形成されることにより、先端のレバーグリップを左右方向において操舵グリップと上面視重なり合う位置関係に配設されるように構成することが好ましい(請求項)。
このように構成したハンドガイドローラによれば、前後進レバーの折曲形成は、その製造時にプレス加工などで簡単に実施できるため、前後進レバーの製造コスト、ひいてはハンドガイドローラの製造コストを抑制可能となる。
その他の態様として、走行機体に、動力源としてエンジンを搭載し、操作ボックスの操舵グリップをはさんだ前後進レバーの反対側で、前後進レバーと共通する傾動中心により基端を軸支され、基端を中心とした前後方向への傾動に応じてエンジンの回転速度を調整可能に構成されると共に、先端のレバーグリップの高さが操舵グリップよりも低く設定されたアクセルレバーをさらに具備するように構成することが好ましい(請求項)。
このように構成したハンドガイドローラによれば、締め固め作業中のアクセルレバーの操作頻度は前後進レバーよりも低いことから、アクセルレバーには、前後進レバーに要求される操作性よりも誤操作防止が重要視されるが、アクセルレバーのレバーグリップの高さが操舵グリップよりも低いことから、この操舵グリップによってアクセルレバーの不用意な誤操作が防止される。
その他の態様として、操舵グリップを、前後進レバーの傾動に伴うレバーグリップの移動軌跡に沿った略円弧状をなすように構成することが好ましい(請求項)。
このように構成したハンドガイドローラによれば、オペレータが片方の手で操舵グリップを把持しながら前後進レバーのレバーグリップも把持でき、その状態で前後進レバーを所望の傾動角度に操作可能となる。また、角度の調整後には前後進レバーの傾動角度を保ちながら、同時に操舵グリップを操作して車両の進路を変更可能となる。よって、操舵グリップ及び前後進レバーの操作性が向上する。
本発明によれば、締め固め作業中の操作ボックスに対するオペレータの立ち位置に関わらず、操舵グリップ及び前後進レバーの位置を直感的に把握できると共に、常に同一の操作感で操作でき、もって操舵グリップ及び前後進レバーを操作する際の操作遅れや誤操作を未然に防止することができる。
実施形態のハンドガイドローラを示す正面図である。 同じくハンドガイドローラを示す平面図である。 操舵桿を作業位置としたときの操作ボックスの内部構造を示す断面図である。 操舵桿を作業位置としたときの操作ボックスを右斜め上方より見たときの斜視図である。 操舵桿を作業位置としたときの操作ボックスを後方より見たときの後面図である。 操舵桿を作業位置としたときの操作ボックスを左斜め上方より見たときの斜視図である。 操舵桿を作業位置としたときの操作ボックスを左斜め下方より見たときの斜視図である。
以下、本発明を具体化したハンドガイドローラの一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のハンドガイドローラを示す正面図、図2は同じくハンドガイドローラを示す平面図である。以下の説明では、ハンドガイドローラを基準として前後、左右、上下の方向を表現する。
ハンドガイドローラ1(以下、車両と称する場合もある)の走行機体2のフレーム3は、上部フレーム3a及び下部フレーム3bから構成されている。下部フレーム3bの下部には走行輪を兼ねた前後一対の転圧輪4を備えると共に、上部フレーム3a上に動力源であるエンジン5などを搭載して構成されている。
詳しくは、上部フレーム3a上の左側半分のスペースには、エンジン5及びその付属部品であるエアクリーナ6、マフラー7、燃料タンク8、スタータ9、オルタネータ10などが搭載されている。また、上部フレーム3a上の右側半分はカバー11により隠蔽され、その内部のスペースには、ラバーカップリング12を介してエンジン5により駆動されるハイドロスタティックトランスミッション( Hydro Static Transmission:以下、HSTという)の油圧ポンプ13、この油圧ポンプ13と共にエンジン5により駆動される電磁クラッチ内蔵のプーリ14、及びバッテリ15が搭載されている。
また、上部フレーム3a上の前部にはHST用の作動油が貯留されたオイルタンク16が搭載され、上部フレーム3a上の後部には散水タンク17が搭載されている。散水タンク17に貯留された水は、転圧輪4の外周面への舗装材の付着防止及び転圧後の舗装材の冷却促進などを目的として、転圧輪4の外周面や転圧後の路面への散水に供される。なお、18は、運搬車両からハンドガイドローラ1を積み卸しするための吊りフックである。
HSTの油圧ポンプ13は前後の転圧輪4に設けられた図示しない油圧モータとの間で閉回路を形成し、油圧ポンプ13から供給される作動油により油圧モータが作動して転圧輪4をそれぞれ回転駆動し、これにより車両1が走行するようになっている。下部フレーム3b内には起振体19が左右両端を回転可能に軸支されており(図1ではその端部を示す)、この起振体19は図示しないベルトを介して上記したプーリ14に接続されている。
起振体19は回転軸線から偏芯した位置に重心を有しており、例えば路盤上の砕石を締め固める作業では、プーリ14の電磁クラッチを接続してエンジン5により起振体19を回転駆動して振動を発生させ、転圧輪4による路盤の締め固めを効率的に行うようになっている。
フレーム3の後部には傾動軸20により操舵桿21の基端が軸支されており、操舵桿21は、走行機体2の後部から後方に延びる作業位置(図1に実線で示す)と、走行機体2の後部から略鉛直上方に延びる格納位置(図1に仮想線で示す)との2位置間で傾動軸20を中心として傾動し、それぞれの位置で図示しないロック機構により固定されるようになっている。図2の平面視において、操舵桿21は、その基端を走行機体2の左右方向の中心線C(走行機体2を左右に二分する線)上で軸支されると共に、作業位置では中心線Cに沿って後方に延びている。
操舵桿21の先端(自由端側)には鋼板から製作された箱状をなす操作ボックス24が取り付けられ、この操作ボックス24によりハンドガイドローラ1の運転操作が行われる。図2に示すように、この操作ボックス24も、操舵桿21と共に走行機体2の中心線C上に位置している。以下に操作ボックス24の詳細を述べるが、操舵桿21の切換位置に応じて操作ボックス24の姿勢が変化するため、説明の便宜上、図1に実線で示す操舵桿21の作業位置を基準として前後、左右、上下の方向を表現する。
図3は操作ボックス24の内部構造を示す断面図、図4は操作ボックス24を右斜め上方より見たときの斜視図、図5は操作ボックス24を後方より見たときの後面図、図6は操作ボックス24を左斜め上方より見たときの斜視図、図7は操作ボックス24を左斜め下方より見たときの斜視図であり、各図の操作ボックス24は、操舵桿21を作業位置に切り換えたときの姿勢で表わされている。
操作ボックス24の外郭は、上面24a、上面24aの前側に形成されたやや前方に向く前傾面24b、左右両側面24c,24d、後面24e及び底面24fにより形成されている。左右両側面24c,24dはボルト25により脱着可能な側面カバーからなり(以下、側面カバー24c,24dと称する)、これらの側面カバー24c,24dにより操作ボックス24内が隠蔽されると共に、側面カバー24c,24dを脱着することにより操作ボックス24内のメンテナンスを実施可能となっている。
図3,5に示すように、走行機体2の中心線Cを基準として、操作ボックス24の上面24aの右側位置には前後進レバー26が直立姿勢で配設され、上面24aの左側位置にはアクセルレバー27が直立姿勢で配設されている。両レバー26.27の上端には、レバー操作の際にオペレータが把持するレバーグリップ26a,27aがそれぞれ取り付けられている。
両レバー26,27の下端はそれぞれ操作ボックス24内に挿入され、操作ボックス24内で左右方向に架設された共通のレバー軸28(傾動中心)に軸支されて、レバー軸28を中心として両レバー26,27が個別に前後方向に傾動し得るようになっている。レバー軸28には図示しないスプリングワッシャが介装され、その付勢力により両レバー26,27はそれぞれ適度な摩擦抵抗を受けて任意の傾動位置で固定可能となっている。
操作ボックス24内において前後進レバー26にはロッドエンド29が連結され、このロッドエンド29は図示しないコントロールワイヤを介して上記したHSTの油圧ポンプ13の傾転角調整レバーに連結されている。前後進レバー26の傾動に応じて油圧ポンプ13の傾転角が変化し、それに応じて油圧モータが正逆転して車両1が前後進する。具体的には、前後進レバー26の中立位置では油圧モータは回転せずに車両1を停止状態に保持し、前後進レバー26が中立位置から前方に傾動されると油圧モータは正転して車両1を前進させ、前後進レバー26が後方に傾動されると油圧モータは逆転して車両1を後進させる。
同様に、図示はしないが操作ボックス24内でアクセルレバー27にもロッドエンドが連結され、このロッドエンドは図示しないコントロールワイヤを介してエンジン5に連結されている。アクセルレバー27の3つの傾動位置に応じて、エンジン5は停止状態、全開運転の間で切り換えられる。基本的に締め固め作業中には、油圧ポンプ13の吐出量確保のためにエンジン5が全開運転に保たれ、車両1の運搬・保管中には停止状態に保たれる。
なお、30は前後進レバー26の傾動範囲α(図3に示す)を規制するための調整ボルトであり、図示はしないが、アクセルレバー27についても同様の調整ボルトが設けられている。
操作ボックス24の後面24eには、ハンドガイドローラ1の意図しない後進を規制するための後進停止機構33が設けられている。後進停止機構33のガイドパイプ34は操作ボックス24の後面24eを貫通するように配設・固定され、ガイドパイプ34内には前後方向に摺動可能に操作ロッド35が挿入されている。操作ロッド35の前端は操作ボックス24内で前後進レバー26の下部に対し間隙を介して相対向し、操作ロッド35の後端はガイドパイプ34から後方に突出してパッド36が固着されている。従って、操舵桿21が作業位置にあるときにパッド36はハンドガイドローラ1の最後端に位置することになる。
パッド36とガイドパイプ34の後端との間には圧縮スプリング37が介装されてベローズ38により被覆されている。圧縮スプリング37により操作ロッド35は後方に付勢されると共に、ストッパ35aによりガイドパイプ34内から後方への離脱を防止されている。
締め固め作業中にハンドガイドローラ1を後進させているとき、操作ボックス24の後方に立ったオペレータに後進停止機構33のパッド36が当たると、圧縮スプリング37を縮ませながら操作ロッド35が前方に摺動して、後方に傾動している前後進レバー26を中立位置に戻す。結果としてオペレータによる前後進レバー26の操作を要することなく車両1が自動停止される。
一方、図3,4,6に示すように、操作ボックス24の前傾面24bにはキーボックス41が取り付けられている。このキーボックス41は鋼板から製作された箱状をなし、エンジン5を始動するためのキーシリンダ42、各種表示灯43及びアワーメータ44が備えられている。
詳しくはキーボックス41の外郭は、操作ボックス24の前傾面24bと重なる底面41aをベースとして、前面41b、後面41c、上面41d、左側面41e、及び右側面41fからなり、このキーボックス41内に、上記したキーシリンダ42、表示灯43及びアワーメータ44が収容されている。キーシリンダ42のキー差し込み口42a(図3に示す)はキーボックス41の右側面41fに露出し、右側方からキー45が挿脱可能とされている。オペレータはキー差し込み口42aに挿入したキー45を回転操作して、エンジン5を始動するようになっている。
なお、図4に示すように、キーシリンダ42を雨や粉塵から保護するため、及び障害物との衝突によるキーシリンダ42の破損を防止するために、右側面41fはキーボックス41内の奥まった位置に形成されている。
表示灯43はキーボックス41の後面41c上に露出し、イグニションONの表示、エンジン油圧の低下警告、グローの表示の3つから構成されている。また、アワーメータ44はキーボックス41の左側面41eに露出し、エンジン5のイグニションON時間を逐次積算して表示する機能を奏する。アワーメータ44に表示されたイグニションON時間が現在までのハンドガイドローラ1の稼働時間と見なされ、メンテナンス時期の判断などに利用される。
一方、図5,7に示すように、操作ボックス24の後面24eには、ホーンスイッチ47、ライトスイッチ48、振動スイッチ49が設けられている。振動スイッチ49は上記したプーリ14の電磁クラッチをON・OFFするものであり、締め固め作業中のオペレータが振動スイッチ49の操作により起振体19を任意に作動・停止できるようになっている。
操作ボックス24上の前後進レバー26とアクセルレバー27との間には、走行機体2の中心線C上に沿うように操舵グリップ50が前後方向に延設されている。結果として、操作ボックス24上の操舵グリップ50を基準として、右方にオフセットした位置に前後進レバー26が配設され、左方にオフセットした位置にアクセルレバー27が配設されている。操舵グリップ50は鋼管を素材として前後両端を下方に湾曲させた形状をなし、その前端は操舵桿21の先端に溶接され、後端は後退停止機構33のガイドパイプ34に溶接されている。
図5に示すように、アクセルレバー27に比較して前後進レバー26は格段に長く、操舵グリップ50の上方まで延設されて左側方にクランク状に屈曲形成されている。このため前後進レバー26のレバーグリップ26aは操舵グリップ50の直上、即ち操舵グリップ50の上方で且つ左右方向に操舵グリップ50と一致する位置に配設されている。結果として走行機体2の中心線C上に、操舵桿21、操作ボックス24、操舵グリップ50、及び前後進レバー26のレバーグリップ26aがそれぞれ位置しており、換言すれば、走行機体2の左右方向の中央に操舵桿21及び操作ボックス24が配設され、その操作ボックス24の左右方向の中央に操舵グリップ50及びレバーグリップ26aが配設されていることになる。
なお、本実施形態では、操舵グリップ50の軸線及びレバーグリップ26aの軸線を左右方向で中心線Cに完全に一致させたが、必ずしも完全一致させる必要はなく、多少左右方向にずれていてもよい。
そして、図3に示すように、調整ボルト30により規制される前後進レバー26の傾動範囲αの領域では、前後進レバー26の傾動に伴うレバーグリップ26aの円弧状の移動軌跡に沿うように、操舵グリップ50が円弧状に湾曲形成されている。よって、前後進レバー26の傾動角度に関わらず、そのレバーグリップ26aは常に操舵グリップ50の直上で操舵グリップ50に対して所定の位置関係を保ち続ける。
なお、操舵グリップ50の形状はこれに限ることはなく、操作ボックス24上で前後方向に延設されて車両1の進路変更のためにオペレータが把持可能であれば、その形状を任意に変更してもよい。
一方、このような前後進レバー26に比較してアクセルレバー27は短いことから、その上端のレバーグリップ27aの高さは操舵グリップ50よりも低くなっている。このため、アクセルレバー27の傾動角度に関わらず、そのレバーグリップ27aは常に操舵グリップ50の円弧内に位置している。
以上のように本実施形態のハンドガイドローラ1は構成されている。締め固め作業では操舵桿21が作業位置に切り換えられ、エンジン5を駆動源としてHSTの油圧モータにより転圧輪4が回転駆動され、これによりハンドガイドローラ1が走行しながら路面を締め固める。そして、作業中のオペレータは操作ボックス24の左右何れかを立ち位置とし、側方より操舵グリップ50を把持しながら押し引きして車両1の進路を変更し、これと並行して前後進レバー26や振動スイッチ49などを適宜操作してハンドガイドローラ1を運転する。
このような締め固め作業において、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、特許文献1のハンドガイドローラでは、オペレータが操作ボックスの左側に立った場合と右側に立った場合とで操舵グリップと前後進レバーとの位置関係が逆転する。このため、操舵グリップや前後進レバーを把持する際の直感的な位置の把握が困難になる上に、オペレータの立ち位置に応じて操作感が異なることから、操舵グリップ及び前後進レバーの操作遅れや誤操作につながる可能性がある。
本実施形態のハンドガイドローラ1では、前後進レバー26を屈曲形成して操舵グリップ50の直上にレバーグリップ26aを位置させているため、操舵グリップ50とレバーグリップ26aとが左右方向に一致している。具体的には、操舵桿21を作業位置に位置させた状態で、上下方向に操舵グリップ50とレバーグリップ26aとが上面視、重なり合う位置関係となるように、操舵グリップ50とレバーグリップ26aとを配置している。従って、オペレータが操作ボックス24の左右何れに立った場合でも双方の位置関係は変わらず、オペレータが操舵グリップ50やレバーグリップ26aを把持する際に直感的に位置を把握できると共に、オペレータの立ち位置が変わっても操舵グリップ50やレバーグリップ26aを常に同一の操作感で操作することができる。よって、締め固め作業で操舵グリップ50及び前後進レバー26aを操作する際の操作遅れや誤操作を未然に防止することができる。
また本実施形態では、操舵グリップ50及びレバーグリップ26aを左右方向に一致させるだけでなく、それらの部材50,25aを操作ボックス24上の左右方向の中央に配設している。オペレータによる操舵グリップ50やレバーグリップ26aの把持は操作ボックス24を視認しながら行われるため、操作ボックス24に対する操舵グリップ50及びレバーグリップ26aの位置関係がオペレータの左右の立ち位置に関わらず変化しないことは、オペレータが操舵グリップ50やレバーグリップ26aの位置をさらに把握し易くなることを意味する。よって、操舵グリップ50及び前後進レバー26aの操作遅れや誤操作を一層確実に防止することができる。
さらに、レバーグリップ26aを操舵グリップ50の直上に配設するために、前後進レバー26をクランク状に折曲形成している。前後進レバー26の折曲形成は、その製造時(単体の部品のとき)にプレス加工などで簡単に実施できるため、前後進レバー26の製造コスト、ひいてはハンドガイドローラ1の製造コストを抑制した上で、上記した作用効果を得ることができる。
また、操作ボックス24の上面24aの左側位置(操舵グリップ50をはさんだ前後進レバー26の反対側)にアクセルレバー27を配設して、前後進レバー26と共通のレバー軸28を中心とした傾動に応じてエンジン5の回転速度を調整(停止状態、アイドル運転、全開運転)可能とした上で、このアクセルレバー27のレバーグリップ27aの高さを操舵グリップ50よりも低くして、アクセルレバー27の傾動角度に関わらず常に操舵グリップ50の円弧内に位置させている。
このようなアクセルレバー27の位置設定は、前後進レバー26との判別を容易にするだけでなく、アクセルレバー27の誤操作防止にも貢献する。即ち、締め固め作業中のアクセルレバー27の操作頻度は前後進レバー26よりも格段に低いことから、アクセルレバー27には、前後進レバー26に要求される操作性よりも誤操作防止が重要視される。前後進レバー26のレバーグリップ26aを操舵グリップ50の直上に位置させ、アクセルレバー27のレバーグリップ27aを操舵グリップ50の円弧内に位置させれば、前後進レバー26については良好な操作性を確保でき、アクセルレバー27については不用意な誤操作を防止できる。例えば、オペレータの肘がアクセルレバー27のレバーグリップ27aに当たって誤操作される場合であっても、周囲に位置する操舵グリップ50によりレバーグリップ27aへの肘の衝突を回避できるためである。
ところで、本実施形態では、締め固め作業中にオペレータが常に前後進レバー26を把持する必要がないように、前後進レバー26に摩擦抵抗を作用させて任意の傾動位置で固定可能としたが、この形式とは別に、前後進レバー26をスプリングの付勢力で中立位置に復帰させる形式も存在する。その目的は、オペレータが前後進レバー26から手を離した時点で車両1を自動停止させるためであるが、この自動停止機能と引き替えに、オペレータが操舵グリップ50の操作とは別の手で常に前後進レバー26を把持する必要が生じることから、若干ながら操作性が悪化する。
本実施形態の前後進レバー26の形式を上記した自動停止機能を有する別の形式に変更することも考えられ、その場合には、操舵グリップ50の形状が特有の効果を奏する。即ち、前後進レバー26の傾動に伴ってレバーグリップ26aは操舵グリップ50に沿って直上を移動し、その傾動角度に関わらず操舵グリップ50に対してレバーグリップ26aが常に所定の位置関係を保ち続ける。このため、オペレータは片方の手で操舵グリップ50を把持しながら前後進レバー26のレバーグリップ26aも把持でき、その状態で前後進レバー26を所望の傾動角度に操作可能となる。また、角度調整後には前後進レバー26の傾動角度を保ちながら、同時に操舵グリップ50を操作して車両1の進路を変更可能となる。よって、自動停止機能をハンドガイドローラ1に付与した上で、操舵グリップ50及び前後進レバー26の操作性を向上することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、操舵桿21を作業位置と格納位置との間で切換可能としたが、これに限ることはなく、例えば操舵桿21を作業位置で固定してもよい。
また上記実施形態では、操作ボックス24の左右方向の中央に操舵グリップ50及びレバーグリップ26aを配設したが、これに限ることはなく、操作ボックス24上の中央からオフセットした位置に操舵グリップ50及びレバーグリップ26aを配設してもよい。
また上記実施形態では、操作ボックス24の上面24aに前後進レバー26を立設したが、これに限ることはなく、例えば、操作ボックス24の左右何れかの側面カバー24c,24d(側面)から前後進レバー26を側方に引き出して上方に向けて直角に屈曲形成してもよく、その場合であってもレバーグリップ26aを操舵グリップ50の直上に配設すれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
2 走行機体
4 転圧輪
21 操舵桿
24 操作ボックス
24a 上面
24c 左側面カバー(側面)
24d 右側面カバー(側面)
26 前後進レバー
26a レバーグリップ
27 アクセルレバー
27a レバーグリップ
28 レバー軸(傾動中心)
50 操舵グリップ

Claims (4)

  1. 転圧輪を備えた走行機体と、
    上記走行機体の後部の左右方向の略中央に基端が取り付けられて後方に向けて延設された操舵桿と、
    上記走行機体の後部の左右方向の略中央となるように上記操舵桿の先端に取り付けられた操作ボックスと、
    上記操作ボックス上で上記走行機体の前後方向に延設され、上記操舵桿を介して上記走行機体の進路を変更するためにオペレータに把持される操舵グリップと、
    上記操作ボックスの上記操舵グリップから左右何れかにオフセットした位置に基端が配設されると共に、先端に設けられたレバーグリップが上記操舵グリップの上方で且つ上面視において該操舵グリップと左右方向で重なり合う位置関係に配設され、上記レバーグリップを上記オペレータに把持されながら上記基端を中心とした前後方向への傾動に応じて上記走行機体の前後進を切換可能に構成された前後進レバーと
    を具備し
    上記操舵グリップ及び上記前後進レバーのレバーグリップは、上記操作ボックスの左右方向の略中央に配設されている
    ことを特徴とするハンドガイドローラ。
  2. 上記前後進レバーは、その基端が上記操作ボックスの上面または左右何れかの側面に配設され、該基端から上方に延設されながら屈曲形成されることにより、先端の上記レバーグリップを左右方向において上記操舵グリップと上面視重なり合う位置関係に配設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のハンドガイドローラ。
  3. 上記走行機体は、動力源としてエンジンを搭載し、
    上記操作ボックスの上記操舵グリップをはさんだ上記前後進レバーの反対側で、上記前後進レバーと共通する傾動中心により基端を軸支され、該基端を中心とした前後方向への傾動に応じて上記エンジンの回転速度を調整可能に構成されると共に、先端のレバーグリップの高さが上記操舵グリップよりも低く設定されたアクセルレバーをさらに具備することを特徴とする請求項1または2に記載のハンドガイドローラ。
  4. 上記操舵グリップは、上記前後進レバーの傾動に伴う上記レバーグリップの移動軌跡に沿った略円弧状をなす
    ことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のハンドガイドローラ。
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