JP6370067B2 - 摩擦防融性を有する芯鞘複合繊維及び同繊維を使用した織編物 - Google Patents
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Description
まず芯部重合体と鞘部重合体をそれぞれ別の押出機で溶融押出し、各々紡糸ヘッドへ導入し、目的とする個々の複合形状を形成させる紡糸口金を経由して溶融紡糸させることにより製造することができる。また、最終製品に求められる品質や良好な工程通過性を確保するために、最適な紡糸・延伸方法を選択することができる。より具体的には、スピンドロー方式や、紡糸原糸を採取した後に別工程で延伸を行う2−Step方式、また延伸を行わず非延伸糸のまま引き取り速度が2000m/分以上の速度で捲取る方式においても、任意の糸加工工程を通過させた後に製品化することで、良好な遮熱効果及び発色性を有する該複合繊維製品を得ることができる。
ロータ型摩擦防融試験機を用い、試験片(3.5cm×8.5cm)をアームに取り付け、次に桜木のローラーを1800rpmで回転させて、試験片を2.0kg荷重でローラーに接着させて試験片が溶融した時間を測定した。
以下の基準に従って紡糸性評価を行った。
◎:24hrの連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が何ら発生せず、しかも得られたポリエステル繊維には毛羽・ループが全く発生していないなど、紡糸性が極めて良好である。
○:24hrの連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が1回以下の頻度で発生し、得られたポリエステル繊維に毛羽・ループが全く発生していないか、あるいは僅かに発生したものの、紡糸性がほぼ良好である。
△:24hrの連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が2回から3回まで発生し、紡糸性が不良である。
×:24hrの連続紡糸を行い、紡糸時の断糸が3回よりも多く発生し、紡糸性が極めて不良である。
(1)試料のサンプリング:手動検尺機で0.044cN/dtex(0.05g/d)の張力下で11110dtex(10000d)の小カセを作った。前記においてdtexはデシテックスのことであり、dはデニールのことであり、以下においても同一である。
(2)小カセ(10gの荷重を掛けた状態で)に少量の水を掛け小カセを均一化した後、90℃恒温槽内に入れ(90℃、30分間)リラックス処理後、荷重を除去し乾燥した。
(3)乾燥後の小カセに10gの荷重を掛け、5分経過後スケールの付いた測定装置にてカセ長を測定した。これをL1とする。
(4)上記小カセに1000g(0.0088cN/dtex)(0.01g/d)の荷重を掛け、30秒後のカセ長を測定した。これをL2とする。
(5)算出式
K1(捲縮伸長率)=(L2−L1)/L2×100で算出した。
芯部に融点42℃の結晶性α−オレフィン5.0wt%を含有するポリエチレン(PE)を、鞘部にポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて、芯部と鞘部の質量複合比率10:90の条件で、孔数24個(孔径0.25mmφ)の口金を用いて紡糸温度260℃、単孔吐出量=1.23g/分で紡出し、温度25℃、湿度60%の冷却風を0.4m/秒の速度で紡出糸条に吹付け糸条を60℃以下にした後、紡糸口金下方1.2mの位置に設置した長さ1.0m、入口ガイド系8mm、出口ガイド系10mm、内径30mmφチューブヒーター(内温185℃)に導入してチューブヒーター内で延伸した後、チューブヒーターから出てきた糸条にオイリングノズルで給油し2個の引き取りローラーを介して3500m/分の速度で捲取り、得られた同心円型の複合繊維を用いて目付け200g/m2の筒編地を精錬した後、種々の測定を実施した。摩擦防融性、紡糸性、捲縮伸長率は、表1に示した。該複合繊維の摩擦防融性は29sと非常に優れており、紡糸性、捲縮性についても優れた結果となった。また、仮撚加工後に染色したところ従来のポリエステル繊維と同程度の発色性を示していた。また、得られた該複合繊維の洗濯堅牢度及び耐光堅牢度は4級以上であり、何ら問題のないものであった。
次に芯部及び鞘部ポリマー、芯部に含有する結晶性α−オレフィンの融点と含有量を表1に示す通り変更し、実施例1と同様の手法で紡糸して84T/24fの該複合繊維フィラメントを得た。得られた繊維の物性を表1に示した。いずれも良好な摩擦防融性能、紡糸性及び捲縮伸長率が得られ、何ら問題のない品質であった。なお、表1において、「PP」はポリプロピレン、「Ny6」はナイロン6のことであり、実施例4の鞘部に用いた「変性PET」は、ジカルボン酸成分のうち88.3モル%がテレフタル酸であり、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1.7モル%、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を5.0モル%、アジピン酸を5.0モル%、それぞれ含んだ全カルボン酸成分と、エチレングリコール、及び艶消剤として酸化チタンを添加し、エステル交換反応及び重縮合反応を行うことで得られた変性ポリエチレンテレフタレートである。
芯部に結晶性α−オレフィンを含有しないオレフィン系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合繊維フィラメントを得た。芯部に結晶性α−オレフィンを含有しないため、十分な摩擦防融性能が得られなかった。さらに、得られた複合繊維の仮撚糸は捲縮伸長率が低い結果であった。
80℃の融点を持つ結晶性α−オレフィンを10.0wt%用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合繊維フィラメントを得た。紡糸性及び捲縮伸長率はまずまずのものが得られたが、結晶性α−オレフィンの融点が高すぎるため、十分な摩擦防融性能が得られなかった。
芯部のポリマーとして用いるために、Ny6に融点10℃の結晶性α−オレフィンを溶融混練することを試みたが、紡糸試験できるポリマーを得ることができなかった。
芯部に結晶性α−オレフィンを40.0wt%含有した芯部オレフィン系重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にして複合繊維フィラメントを得ようとしたが、紡糸性が極端に悪化し、原糸を得ることができなかった。
鞘部にナイロン12(Ny12)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合繊維フィラメントを得た。鞘部の重合体が、融点が200℃に満たないNy12であり、鞘部の耐熱性が低いため、十分な摩擦防融性能は得られなかった。
Claims (7)
- 芯部の重合体が鞘部の重合体よりも融点が30℃以上低い芯鞘複合繊維であって、前記芯部の重合体は融点が20〜50℃の結晶性α−オレフィンを1.0〜30.0wt%含有するオレフィン系重合体であり、芯部に使用されるオレフィン系重合体が127℃以上の融点を有し、前記鞘部が200℃以上の融点を有する熱可塑性重合体であり、芯部と鞘部との質量複合比率において芯部重合体の比率が5wt%以上であり、芯部直径Dに対する繊維直径D′の比が1.4≦D′/Dであることを特徴とする芯鞘複合繊維。
- 前記芯部に使用されるオレフィン系重合体が、127℃以上170℃以下の融点を有する共重合ポリエチレンもしくは共重合ポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1に記載の芯鞘複合繊維。
- 前記鞘部の熱可塑性重合体が、240℃以上の融点を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の芯鞘複合繊維。
- 前記鞘部の熱可塑性重合体が、主たる繰り返し単位がポリエチレンテレフタレートの繰り返し単位から構成されるポリエステル重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維。
- 芯部と鞘部との質量複合比率が5:95〜40:60である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維。
- 断面形状が同心円型であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維を10wt%以上含有することを特徴とする、繊維構造体。
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