JP6917218B2 - 海島型複合繊維およびそれからなる布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、環境温度変化による急激な温度変化を緩和する温度調節機能(以下、温調性能と呼ぶことがある)を有する繊維および布帛に関する。さらに詳しくは、インナーやスポーツウェア等の一般衣料品や寝装具、更には、脚絆や手絆、フェイスマスク等を含む作業着等に使用するのに好適な繊維および布帛に関するものである。
温度変化の著しい環境において使用される一般衣料品や寝装具、作業着等の繊維製品(布帛)は、外気温度の影響を受けて、外気温が上昇すると繊維製品の温度が上がり、外気温が低下すると繊維製品の温度が下がることにより、急激な温度変化として身体に感じられることが問題視されている。そこで、繊維製品の急激な温度変化を防ぐため、温調性能を有する繊維の開発が進められている。例えば、特許文献1には、温度が安定化するための相変化物質を含むマイクロカプセルを繊維基材に分散させた繊維が提案されている。また、特許文献2には、パラフィンワックスを熱可塑性重合体に混合させた混合体を芯材とした複合繊維が提案されている。特許文献3には、特定の主鎖部、結合部および側鎖部を有するポリマーである蓄熱材料を配合した複合繊維が提案されている。
特許文献4は、結晶性α−ポリオレフィンをポリオレフィンへ分散させた樹脂を芯部ポリマーとし、ポリアミドやポリエステルを鞘部ポリマーとした摩擦防融性を有する芯鞘型複合繊維が提案されている。
特開昭64−85374号公報 特開平8−311716号公報 特許4339006号公報 特開2015−175066号公報
しかしながら、特許文献1では、実質的にマイクロカプセルの直径を1〜10ミクロンとしており、単糸繊度が数10dtexから100dtexといった非常に太い繊維にしか用いることができず、現実的な一般衣料用途には不適であった。更に実際にはマイクロカプセルの粒径を小さくすることが困難であり、溶融紡糸時に押出機内の温度や剪断によりマイクロカプセルが破壊され易く、練り込みによる繊維化が難しい問題もある。また、マイクロカプセル自体一般的には高価でありコストが高いという問題もある。特許文献2では、相転移材料であるパラフィンワックスが、繊維作製時に熱などにより分解したり気化して飛散や漏えいすること等により、製造に困難が伴い、優れた温度調節効果が得られない問題がある。特許文献3の複合繊維は、耐熱性に劣り、溶融紡糸時に蓄熱材料成分が熱分解し比較的容易に発火し易い等、繊維を製造する際に問題がある。
特許文献4は、摩擦防融性能を有する繊維が記載されているが、温調性能に言及されていない。また特許文献4の複合繊維は、結晶性α−ポリオレフィンを最大でも30質量%しかポリオレフィンへ分散させることができず、複合繊維中に、結晶性α−ポリオレフィンを大量に含ませることができない。このため、温調性能を有する繊維として用いたとしても、相転移熱量が小さくなり温度調節効果も限定的なものとなる。更に染色性に乏しいポリオレフィンを多量に用いざるを得ず、衣料用途で用いる場合、着色可能な色は限定的となり、特に黒や濃紺、濃い赤等の濃色の染色はできない。
したがって、本発明は上記の問題を解決し、結晶性α−ポリオレフィンを含む繊維において、良好な紡糸性と温調機能を有し、結晶性α-オレフィンを高濃度に繊維中に含有することができる繊維を得ることを目的とする。
本発明は、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを、有機過酸化物にて架橋した温調樹脂を島成分とし、繊維形成性樹脂を海成分とし、前記結晶性α−ポリオレフィンが、末端に二重結合を有する炭素数12、16、18、20、22および24の高級α−オレフィンの群より選ばれる少なくとも1種類以上を重合した重合体である海島型複合繊維を第一の要旨とする。
上記温調性能を有する海島型複合繊維において、結晶性α−ポリオレフィン融点が20℃以上、45℃以下であることを特徴とする海島型複合繊維を第二の要旨とする。
上記温調性能を有する海島型複合繊維において、繊維形成性樹脂が、ポリアミド樹脂もまたはポリエステル樹脂である海島型複合繊維を第三の要旨とする。
また、本発明は、上記海島型複合繊維を25質量%以上含有する布帛を第四の要旨とする。
本発明の海島型複合繊維は、良好な紡糸性および温調性能を有し、温調成分となる結晶性α−ポリオレフィンを高濃度に繊維中の島成分中に含有させることができる。このため、結晶性α−ポリオレフィンを高濃度に繊維中に含有させることにより、より優れた温調性能を有する繊維としたり、濃染性を繊維に付与することも可能となる。
本発明の海島型複合繊維の一例を示す繊維断面模式図である。 本発明の海島型複合繊維の一例を示す繊維断面模式図である。
以下、具体的に本発明を説明する。
本発明は、海成分と島成分からなる海島型複合繊維である。
本発明の海島型複合繊維は、島成分からなる1つ以上の島部と、海成分からなる海部とから構成される。
島成分は、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを有機過酸化物にて架橋した温調樹脂である。
結晶性α−ポリオレフィンは、末端に二重結合を有する炭素数12、16、18、20、22および24の高級α−オレフィンの群より選ばれる少なくとも1種類以上を重合した重合体である。
結晶性α−ポリオレフィンの融点は、20℃以上、45℃以下であることが好ましく、より好ましくは、20℃以上、45℃以下である。
このような結晶性α−ポリオレフィンは、例えば、高級α−オレフィンをメタロセン触媒の存在下、溶媒としてトルエン、エチレン、n−ヘプタン、1−ブテン等を用い重合して得ることができる。
尚、末端に二重結合を有する炭素数12、16、18、20、22および24の高級α−オレフィンとは、それぞれ具体的には、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−イコセン、1−ドコセン、1−テトラコセンである。
ポリプロピレンとしては、市販のポリプロピレンをそのまま用いることができる。ポリプロピレンは、ホモポリマーを用いても、エチレンとのコポリマーを用いても良い。
結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとの架橋に用いる有機過酸化物としては、ポリプロピレンの成分が溶融する温度近辺か、それ以上の温度に分解温度(一分間半減期温度)を有する有機過酸化物が好適に用いられる。
好適な有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(一分間半減期温度:175℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン(一分間半減期温度181℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキシン(一分間半減期温度194℃)、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(一分間半減期温度169℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(一分間半減期温度189℃)、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(一分間半減期温度175℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(一分間半減期温度159℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(一分間半減期温度166℃)等を挙げることができる。
本発明において、島成分を構成する温調樹脂は、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを架橋したものである。このような温調樹脂は、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを、有機酸化物を添加して反応混練し、架橋して得ることができる。
有機過酸化物の添加量は、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとの合計量100質量部に対し、有機過酸化物を0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。有機過酸化物の添加量が0.1質量部未満では架橋効果が認められず、逆に添加量が5質量部を超える場合、架橋密度が高くなり熱溶融性が低下したり、溶融時にゲルが生じ溶融紡糸に適応できなくなるおそれがある。
結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを、有機過酸化物を用いた反応混練にて架橋させる際の混練機としては、二軸押出混練機を好適に用いることができる。
温調樹脂を得る好適な方法として、例えば、所定量の結晶性α−ポリオレフィン、ポリプロピレンおよび有機過酸化物を予備混合した後、180〜210℃の温度で通常の方法で溶融混練することで、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとが部分架橋した温調樹脂を得ることが挙げられる。
このように、結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを、有機過酸化物により架橋することにより、温調機能を有する成分である結晶性α−ポリオレフィンを繊維中の島成分中に高濃度で含有させることができ、通常の結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを単に混合して用いた繊維に対し、同等以上の温調機能を有しながら、濃色に染色し得ることとなる。
繊維形成性樹脂としては、一般にナイロンとも呼ばれるポリアミド樹脂、具体的には、カプロラクタムを開環重合させたポリアミド6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を重合させたポリアミド66、アミノウンデカン酸を重合させたポリアミド11、ラウリルラクタムを開環重合させたポリアミド12やヘキサメチレンジアミンとセバシン酸を重合させたポリアミド610が挙げられる。この中でも衣料用布帛として用いる場合、ポリアミド6が特に好適に挙げられる。
繊維形成性樹脂としては、他に、ポリエステル樹脂が好適に挙げられる。具体的には、、ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールまたはその誘導体とを重縮合させたポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等が好適に挙げられる。ポリエステル樹脂としてはホモポリエステル、共重合ポリエステルのいずれでもよく、共重合ポリエステルとしては、例えば、スルホイソフタル酸の金属塩を共重合させてカチオン染色性を付与したポリエステル、ポリエチレングリコールを共重合させ分散染色性を高めたポリエステル、イソフタル酸やビスフェノールA等を共重合し、収縮性を変化させたポリエステル等が好適に挙げられる。
更に、繊維形成性樹脂には、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、更に他の成分が共重合されていてもよいし、酸化防止剤、熱安定剤、艶消し剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤またはその他の添加剤等が含有されていてもよい。
次に本発明の海島型複合繊維の製造方法について説明する。
島成分となる温調樹脂と海成分となる繊維形成樹脂を夫々の押出機で溶融し、溶融樹脂を個別のギアポンプで計量吐出し、目標とする繊維断面形状を形成可能な口金を用い紡出し、冷却後、巻き取るという一般的な溶融紡糸法により、本発明の海島型複合繊維を得ることができる。巻き取り方法としては、(1)400〜1,000m/分で未延伸糸(UDY)として巻取り、別工程で延伸する方法、(2)3,000〜5,000m/分で部分延伸糸(POY)で巻き取る方法(3)800〜1,200m/分の第一ローラ(GR1)と3,000〜3,800m/分程度の第二ローラー(GR2)を用い、GR1とGR2の間で延伸を行う紡糸直延伸法(SPD)等が好適に採用できる。
海島型複合繊維の海島比率(質量比)は、特に限定はされないが、海/島=2/8〜7/3の範囲とすると紡糸時の断面形成性が高く、より好ましくは海/島=3/7〜6/4の範囲である。
海島型複合繊維の太さおよび構成本数は、特に限定されるものではないが、衣料用途では総繊度33〜150dtexで、構成本数は12〜96本程度が好ましく、より好ましくは総繊度が33〜84dtexで、構成本数は12〜48本である。
また、海島型繊維の単繊維中の島数は、特に限定されるものではなく、繊維長方向に連続した1島から61島程度とすることが、ノズル作製の上から好ましい。また繊維長方向に連続した海島型複合繊維とする以外に、多数の島を繊維軸方向に断続的に配置された構造とする海島型複合繊維としてもよい。
本発明の海島型複合繊維は、得られた海島型複合繊維をそのまま生糸として製編織に用いてもよいし、得られた海島型複合繊維にピン式仮撚機やフリクション式仮撚機を用いて仮撚加工糸とした後、製編織に用いてもよい。
本発明の海島型複合繊維を用いて、織物、編物、不織布等の布帛とすることができる。
布帛とするときに用いる海島型複合繊維の形態は、特に限定するものではなく、生糸、仮撚加工糸等の加工糸、他の糸との混繊糸等として用いることができる。
製織方法としては、最初に経糸用に整形してビームに巻取り、これを織機に掛けて緯糸を入れるという一般的な織工程に供することができる。本発明の海島型複合繊維を経糸および緯糸のすべてに用いて製織してもよいし、経糸または緯糸の一部を、一般のレギュラー糸等として製織してもよい。
製編方法としては、通常の丸編み機等をそのまま用いて製編することができる。
高い温調性能を発揮するためには、布帛中の本発明の海島型複合繊維比率を25質量%以上にすることが好ましく、より好ましくは、33質量%以上であり、本発明の海島型複合繊維のみで布帛としてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
(1)融点、凝固点、融解熱量(ΔHm)、凝固熱量(ΔHc)
示差走査熱量測定装置(DSC8500:パーキンエルマージャパン社製)を用いて、以下の条件で測定した。
サンプル容器:Alパン
測定雰囲気:N2
加熱冷却温度範囲:0℃〜60℃
加熱冷却速度:10℃/min
(2)温調性能の評価
試料糸および対照糸を各々24ゲージの丸編み機を用いて目付け200g/mのスムース編地を作製し精練した後、各々の編地でボタン電池型温湿度データロガーを包み、低温側所定温湿度の恒温恒湿器の中に1時間以上置いた後、高温側所定温湿度の恒温恒湿器に移動し、試料糸で作製された編地(試験試料)内の温度変化と対照糸で作製された編地(対照試料)内の温度の変化を記録した。試験試料と対照試料との温度差(ΔT℃)を測定し、昇温時最大温度差とし、その差ΔTが2℃以上の場合を、十分効果があるとして「◎」、ΔTが1℃以上で2℃未満の場合を、効果ありとして「○」、ΔTが1℃未満の場合を、効果不十分として「×」と評価した。
更に、高温側所定温湿度の恒温恒湿器中にそのまま30分以上置いた後、低温側所定温湿度の恒温恒湿器の中に移動し、同様に試験試料と対照試料との温度差(ΔT℃)を測定し降温時最大温度差とし、その差ΔTが2℃以上の場合を、十分効果があるとして「◎」、ΔT1℃以上で2℃未満を効果ありとして「○」、ΔTが1℃未満の場合を効果不十分「×」と評価した。
(3)紡糸性
紡糸性評価として連続紡糸24時間以上糸切れが無かった場合を「◎」、紡糸24時間で3時間未満の時間での糸切れが無くかつ24時間で糸切れが3回以内の場合を「○」、紡糸時の糸切れにより3時間以上の連続紡糸ができなかった場合または24時間で糸切れが3回を超える場合を「×」と評価した。
(4)染色性の評価
試料糸および対照糸を各々24ゲージの丸編み機を用いて目付け200g/mのスムース編地を作製した。作製した編地をDystar Japan製黒色酸性染料「Isolan Black 2S−LD」(商品名)を用い、4%o.w.f.の濃度で98℃、60分間の条件で染色し乾燥、セットした、染色後の編地は、日本電飾工業製測色色差計を用いL*値を測定記録した。
<結晶性α−ポリオレフィン樹脂製造例1>
加熱乾燥した10リットルオートクレーブに、重合原料として1−ヘキサデセン(C16)1リットル、および1−オクタデセン(C18)1リットル、反応溶媒としてn−ヘプタン2リットルを加え、温度60℃にした後、触媒としてトリイソブチルアルミニウム40ミリモル、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを40マイクロモル、およびメチルアルミノキサン40ミリモルを加え、水素雰囲気下0.05MPaで2時間共重合反応させた。
共重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、結晶性α−ポリオレフィン樹脂を920g得た。
得られた共重合体のDSCによる分析結果では、融点Tm=32℃、融解熱量ΔH=67J/g、凝固点Tc’=25℃、凝固熱量66J/gであった。得られた結晶性α−ポリオレフィン樹脂をCPAO32とした。
<結晶性α−ポリオレフィン樹脂製造例2>
加熱乾燥した10リットルオートクレーブに、1−ヘキサデセン(C16)2リットル、メチルアルミノキサン100ミリモルを加え、攪拌しながら温度を60℃にした後、触媒として(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを100マイクロモル加え、更に0.2MPa水素雰囲気下で2時間重合した。
重合反応終了後、反応物を加熱、減圧下、乾燥することにより、結晶性α−ポリオレフィン樹脂を500g得た。
得られた共重合体のDSCによる分析結果では、融点Tm=28℃、融解熱量ΔH=78J/g、凝固点Tc’=20℃、凝固熱量70J/gであった。得られた結晶性α−ポリオレフィン樹脂をCPAO28とした。
<温調樹脂Iの製造例>
結晶性α−ポリオレフィンとしてCPAO32を70質量%、ポリプロピレンとして日本ポリプロピレン製ノバテック(登録商標)PPのSA01A(グレード名)30質量%、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイドであるアルケマ吉富製ルベロックス(登録商標)DCP(グレード名)を結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとの合計100部に対して1部をタンブラーで予備混合した後、東芝機械製二軸押出混練機TEM−26SSにて220℃の設定温度でスクリュー回転を250rpmとして、樹脂供給速度を10kg/時間にて溶融混練し、水槽へ吐出し索化してペレタイザーにてペレット化して温調樹脂Iを得た。
温調樹脂IをDSC分析したところ、融点31.5℃、融解熱量37J/gであった。
<温調樹脂IIの製造例>
結晶性α−ポリオレフィンとしてCPAO28を80質量%とし、ポリプロピレンを20質量%とし、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネートである日本油脂製パーブチル(登録商標)Eを樹脂成分100部に対し1.5部を用いる以外は、温調樹脂Iの製造例と同様にして温調樹脂IIを得た。得られた温調樹脂IIをDSC分析したところ、融点28.3℃、融解熱量42J/gであった。
<温調樹脂I−Aの製造例>
温調樹脂Iの製造において、有機過酸化物を添加しない以外は、温調樹脂Iの製造例と同様に行ったところ、二軸押出混練機の吐出口から時々結晶性α−ポリオレフィンとしてCPAO32だけが噴出し、均一な温調樹脂組成物を得ることができなかった。
<温調樹脂II−Bの製造例>
温調樹脂IIの製造において、有機過酸化物の添加量を6部とする以外は、温調樹脂IIの製造例と同様に行ったところ、二軸押出混練機の吐出口からの出てくる索を細化させた場合明らかな粒が認められ、ゲルが発生していた。
<温調樹脂II−Cの製造例>
温調樹脂IIの製造において、結晶性α−ポリオレフィンとしてCPAO28を20質量%としポリプロピレンを80質量%とし、有機過酸化物を用いない以外は温調樹脂IIの製造例と同様に行い温調樹脂II−Cを得た。得られた温調樹脂II−CをDSC分析したところ、融点28.0℃、融解熱量9J/gであった。
<対照糸の製造例1>
250℃に設定した主押出機を用い、宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FBを溶解し、ギアポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し単独糸用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取り、未延伸糸(234dtex/24f)を作製し、更に3倍延伸して78dtex/24fのポリアミド6単独繊維を得て対照糸1とした。
<対照糸の製造例2>
275℃に設定した主押出機を用い、KBセーレン株式会社製、繊維用セミダルPET樹脂を溶解し、ギアポンプにて280℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し単独糸用ノズルより押出し、GR1速度1,000m/分、GR2速度3,000m/分に設定したワインダーで巻取り、スピンドロー法により84dtex/24fのポリエステル単独繊維を得て対照糸2とした。
〔実施例1〕
芯成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、鞘成分の押出機として250℃に設定した副押出機を用い、芯成分として温調樹脂I、鞘成分の繊維形成性樹脂として宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FB(グレード名)とをそれぞれ溶解し、それぞれの樹脂が50質量%となる様にギアポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し、芯鞘用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取り、未延伸糸(234dtex/24f)を作製し、さらに3倍延伸して78dtex/24f、芯鞘型複合繊維(島成分1つと海成分からなる海島型複合繊維)を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸1を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
〔比較例1〕
芯成分の押出機として180℃に設定した主押出機を用い、鞘成分の押出機として250℃に設定した副押出機を用い、芯成分の結晶性α−ポリオレフィンとしてCPAO32、鞘成分の繊維形成性樹脂として宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FB(グレード名)とをそれぞれ溶解し、それぞれの樹脂が50質量%となるようにギアポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し、芯鞘用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取った。結晶性α−ポリオレフィンの存在しない繊維や不均一な芯鞘比率の糸しか紡出されず、更に紡糸ノズルより時々CPAO32が単体として吐出し糸切れし、温調性能評価用の編地作製ができる量の繊維を確保することができなかった。
〔比較例2〕
芯成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、鞘成分の押出機として250℃に設定した副押出機を用い、芯成分として温調樹脂Iの製造に用いたポリプロピレンSA01Aと、鞘成分の繊維形成性樹脂として宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FB(グレード名)とをそれぞれ溶解し、それぞれの樹脂が50質量%となるようにギヤポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し、芯鞘用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取り、未延伸糸(234dtex/24f)を作製し、さらに3倍延伸して78dtex/24f、芯鞘型の海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対象糸1を対象糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
〔実施例2〕
島成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、海成分の押出機として250℃に設定した副押出機を用い、島成分として温調樹脂II、海成分の繊維形成性樹脂として宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FB(グレード名)とをそれぞれ溶解し、島成分が40質量%、海成分が60質量%となる様にギアポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し19海島用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取り、未延伸糸(234dtex/24f)を作製し、さらに3倍延伸して78dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸1を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
〔比較例3〕
島成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、島成分として、温調樹脂IIの製造例で用いた結晶性α−ポリオレフィンのCPAO28とポリプロピレンSA01Aを温調樹脂IIの製造例での比率で混合したものを用いる以外は、実施例2と同様の方法で紡糸したが、糸切れが多発した。少量取れた未延伸糸を延伸し海島型複合繊維を得たが、島数が19より少ない繊維となったり、島が融着して大きな島が生じている繊維となり、安定した海島型複合繊維を得ることができなかった。
〔比較例4〕
島成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、海成分の押出機として250℃に設定した副押出機を用い、島成分として温調樹脂II−C、海成分の繊維形成性樹脂として宇部興産株式会社製ポリアミド6樹脂1011FB(グレード名)とをそれぞれ溶解し、島成分が40質量%、海成分が60質量%となる様にギアポンプにて250℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し19海島用ノズルより押出し、速度1,000m/分に設定したワインダーで巻取り、未延伸糸(234dtex/24f)を作製し、さらに3倍延伸して78dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸1を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
〔比較例5〕
島成分比率を80質量%、海成分比率を20質量%とする以外は、比較例4と同様にして海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸1を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
実施例1、2と比較例4、5から得られた試料糸および対照糸1について、上記染色性評価により黒色染色を行った。温調性能を有していない対照糸1を用いた染色後の編地ではL*値が10と黒く染まる。有機過酸化物を用いなかった比較例4(芯比率40質量%)では、L*値14と比較的黒くなるが、温調性能が低く、比較例5(芯比率80質量%)では、L*値22と薄くしか染まらなかった。これに対し有機過酸化物を用いた実施例1はL*値13、実施例2は、L*値13と黒く染まると同時に高い温調性能を示した。
〔実施例3〕
芯成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、鞘成分の押出機として270℃に設定した副押出機を用い、芯成分として温調樹脂II、鞘成分としてKBセーレン株式会社製、繊維用セミダルPET樹脂とをそれぞれ溶解し、芯成分が70質量%、鞘成分が30質量%となる様にギアポンプにて270℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し芯鞘用ノズルより押出し、GR1速度1,000m/分、GR2速度3,000m/分に設定したワインダーで巻取り、スピンドロー法により84dtex/24fの温調性能を有する海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸2を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
(実施例4)
島成分の押出機として240℃に設定した主押出機を用い、海成分の押出機として265℃に設定した副押出機を用い、島成分として温調樹脂II、海成分としてKBセーレン株式会社製のスルホイソフタル酸が共重合されている繊維用カチオン易染PET樹脂とをそれぞれ溶解し、芯成分が40質量%、鞘成分60質量%となる様にギアポンプにて265℃に設定した紡糸ヘッド内へ計量し、19海島用ノズルより押出し、GR1速度1,000m/分、GR2速度3,000m/分に設定したワインダーで巻取り、スピンドロー法により84dtex/24fの海島型複合繊維を得た。
得られた海島型複合繊維を試料糸とし、対照糸2を対照糸とし、温調性能を評価しその結果を表1に示す。
Figure 0006917218
本発明の実施例から得られた海島型複合繊維は、紡糸性は良好で、優れた温度調節機能を有したものであり、かつ染色性も高かった。比較例から得られた海島型複合繊維は、紡糸性、温調性能、染色性のいずれか1つ以上が不良であった。
以上のように、本発明の海島型複合繊維は、紡糸性および温調性能は良好で、繊維中に結晶性α−ポリオレフィンを高濃度に含有させることができる。このため、温調性能を有する結晶性α−ポリオレフィンを含有する繊維において、結晶性α−ポリオレフィンを高濃度に含有させることにより、より優れた温調性能を有する繊維としたり、ポリオレフィンに対し結晶性α−ポリオレフィンを高濃度に分散させ、繊維中に染色性に乏しいポリオレフィンの含有量を少量とすることにより濃染性を繊維に付与することも可能となる。
本発明の海島型複合繊維は、優れた温調性能を有しているので外気温度の変化に対し、衣服等にした場合、温度変化がゆっくりとなり、快適性をもたらす効果が非常に高い。従って、インナーウェア、アウターウェアなどの日常的な衣料品として、また冬の寒い時期に暖房の効いた暖かい部屋や布団の中から寒い廊下やトイレなど場所に行った場合に生じるヒートショックの緩和等にも幅広く利用することが可能である。
本発明の海島型複合繊維は、種々の繊維構造体とすることができ、インナーやスポーツウェア等の衣料用のみならず、傘地やテント地のアウトドア用品等の産業資材に好適に用いることができる。
1 繊維形成性樹脂
2 温調樹脂

Claims (4)

  1. 結晶性α−ポリオレフィンとポリプロピレンとを、有機過酸化物にて架橋した温調樹脂を島成分とし、繊維形成性樹脂を海成分とし、前記結晶性α−ポリオレフィンが、末端に二重結合を有する炭素数12、16、18、20、22および24の高級α−オレフィンの群より選ばれる少なくとも1種類以上を重合した重合体である海島型複合繊維。
  2. 結晶性α−ポリオレフィン融点が20℃以上、45℃以下であることを特徴とする請求項1記載の海島型複合繊維。
  3. 繊維形成性樹脂が、ポリアミド樹脂もしくはポリエステル樹脂である請求項1または2記載の海島型複合繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の海島型複合繊維を25質量%以上含有する布帛。
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