JP6369605B2 - 半導体装置、アンテナスイッチ回路、および無線通信装置 - Google Patents

半導体装置、アンテナスイッチ回路、および無線通信装置 Download PDF

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本技術は半導体装置、アンテナスイッチ回路、および無線通信装置に関し、特には化合物半導体よりなるチャネル層を有する半導体装置、この半導体装置を備えたアンテナスイッチ回路、並びにこのアンテナスイッチ回路を備えた無線通信装置に関する。
近年、携帯電話などの移動体通信システムにおいては、携帯通信端末の小型化および低消費電力化が強く求められている。これらを実現するためには、例えばアンテナスイッチに関し、オン抵抗Ronおよびオフ容量Coffの低減などが必要である。現在、このようなアンテナスイッチ用として実用化されているデバイスの一つとして、接合形電界効果トランジスタ(JPHEMT;Junction Pseudo-morphic High Electron Mobility Transistor)がある。
JPHEMTは、pn接合およびヘテロ接合を利用して電流変調を行う半導体装置である。このような半導体装置は、例えばInGaAsよりなるチャネル層と、チャネル層(InGaAs)よりもバンドギャップの広いAlGaAsよりなる障壁層(AlGaAs)とのヘテロ接合を備えている。障壁層(AlGaAs)内においてチャネル層と反対の表面層には逆導電型の不純物を含有する第1低抵抗領域が設けられ、この第1低抵抗領域にゲート電極が接続されている。また、障壁層(AlGaAs)内において、第1低抵抗領域よりもチャネル層側には、キャリアとなる不純物を含有するキャリア供給領域が設けられている。さらに第1低抵抗領域およびゲート電極の両脇における障壁層(AlGaAs)には、ソース電極およびドレイン電極がオーミック接合されている。
以上のような構成の半導体装置では、チャネル層における障壁層側の界面に、キャリアとなる電子が高濃度で閉じ込められた二次元電子ガス層が形成される。そしてゲート電極に電圧を印加して二次元電子ガス層の濃度を制御することにより、第1低抵抗領域下方のチャネル層部分を介してソース電極−ドレイン電極間に流れる電流が変調される(以上、例えば下記特許文献1参照)。
特開平11−150264号公報
上述した半導体装置においては、障壁層内に設けられるキャリア供給領域の不純物濃度を高くすることで、チャネル層内における二次元電子ガス層のキャリア濃度が高くなるため、オン抵抗Ronを低くすることができる。一方で、二次元電子ガス層のキャリア濃度が高くなると、障壁層内の第1低抵抗領域とチャネル層との間において空乏層が広がりにくくなるため、オフ容量Coffが高くなり、さらにPN接合における電界集中が起こりやすくなるためオフ時の耐圧が低下する。すなわち、オン動作(Ron)とオフ動作(Coff、耐圧)とがトレードオフの関係にある。このため、キャリア供給領域の不純物濃度を高くしてチャネル層内のキャリア濃度を高めることが困難であった。
そこで本技術は、オフ容量を低減することが可能な半導体装置、この半導体装置を備えたアンテナスイッチ回路、このアンテナスイッチ回路を備えた無線通信装置を提供することを目的とする。
本技術に係る半導体装置は、化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、積層体の上面側に設けられたゲート電極とを備え、積層体は、ゲート電極に対向して積層体の上面側に設けられ、チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有する第1低抵抗領域と、第1低抵抗領域の外側に第1低抵抗領域に連続して設けられ、第1低抵抗領域よりも第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない第2低抵抗領域と、第2低抵抗領域の上に設けられた高抵抗層とを有するものである。第1低抵抗領域は、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有する。第2低抵抗領域における第2導電型の不純物濃度は、第1低抵抗領域のうち浅い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、第1低抵抗領域のうち深い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低い。
本技術の半導体装置では、第1低抵抗領域の外側に第1低抵抗領域に連続して第2低抵抗領域が設けられ、第2低抵抗領域の上には、高抵抗層が設けられている。第1低抵抗領域は、チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有する。第2低抵抗領域は、第1低抵抗領域よりも第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない。第1低抵抗領域は、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有する。第2低抵抗領域における第2導電型の不純物濃度は、第1低抵抗領域のうち浅い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、第1低抵抗領域のうち深い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低い。よって、オフ動作時においてチャネル層に形成されるキャリア欠乏領域は、ゲート電極の直下の領域に加えて、第2低抵抗領域の下方の領域にも拡張される。よって、チャネル層のキャリア濃度を高くしてオン抵抗Ronを低減させた場合であっても、オフ動作時の空乏層の幅が拡大され、オフ容量Coffが低減される。
本技術に係るアンテナスイッチ回路は、送信信号が入力される第1の端子と、アンテナに接続された第2の端子と、アンテナで受信した受信信号を出力する第3の端子と、第1の端子と第2の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、第2の端子と第3の端子との間に接続された第2のスイッチング素子とを備え、送信時に第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ第2のスイッチング素子が非導通状態になり、受信時に第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ第2のスイッチング素子が導通状態になり、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の両方または一方は、上記本技術の半導体装置により構成されているものである。
本技術のアンテナスイッチ回路では、送信時には第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ第2のスイッチング素子が非導通状態になり、送信信号が第1の端子から入力され、第1のスイッチング素子を介して第2の端子へと出力される。受信時には第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ第2のスイッチング素子が導通状態になり、アンテナで受信した受信信号が第2の端子から入力され、第2のスイッチング素子を介して第3の端子へと出力される。
本技術に係る無線通信装置は、アンテナと、アンテナへの送信信号の入力またはアンテナで受信した受信信号の出力の切り替えを行うアンテナスイッチ回路とを備え、アンテナスイッチ回路は、上記本技術に係るアンテナスイッチ回路により構成されたものである。
本技術の無線通信装置では、アンテナスイッチ回路により、アンテナへの送信信号の入力またはアンテナで受信した受信信号の出力の切り替えが行われる。
本技術の半導体装置によれば、第1低抵抗領域の外側に第1低抵抗領域に連続して第2低抵抗領域を設け、第2低抵抗領域の上に、高抵抗層を設けるようにした。第1低抵抗領域は、チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有し、第2低抵抗領域は、第1低抵抗領域よりも第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少なくなるようにした。第1低抵抗領域は、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、第1低抵抗領域の表面からの深さが第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有し、第2低抵抗領域における第2導電型の不純物濃度は、第1低抵抗領域のうち浅い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、第1低抵抗領域のうち深い領域における第2導電型の不純物濃度よりも低くなるようにした。よって、オフ動作時の空乏層の幅を拡大し、オフ容量Coffを低減することが可能となる。

本技術のアンテナスイッチ回路、および本技術の無線通信装置によれば、アンテナスイッチ回路の第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の両方または一方を上記本技術の半導体装置により構成するようにしたので、第1のスイッチング素子または第2のスイッチング素子のオフ容量Coffが低く高調波歪特性に優れている。よって、無線通信装置の小型化および低消費電力化が可能となる。
第1実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第1実施形態の半導体装置の上面図である。 第1実施形態の半導体装置の接合状態におけるエネルギーバンド構成図である。 第1実施形態の半導体装置のオフ動作時におけるエネルギーバンド構成図である。 第1実施形態の半導体装置のオン動作時におけるエネルギーバンド構成図である。 第1実施形態の半導体装置のオフ動作時におけるキャリア欠乏領域の形成を示す断面図である。 第1実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その1)である。 第1実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その2)である。 第1実施形態の半導体装置と従来構成の半導体装置とに関して行った、ゲート電圧Vg−オフ容量Coffのシミュレーション結果を示すグラフである。 第2実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第3実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第3実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その1)である。 第3実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その2)である。 第4実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第5実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第5実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その1)である。 第5実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その2)である。 第6実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第6実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その1)である。 第6実施形態の半導体装置の製造手順を示す断面工程図(その2)である。 第7実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第8実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第9実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。 第9実施形態の半導体装置の上面図である。 第9実施形態の半導体装置のオフ動作時におけるキャリア欠乏領域の形成を示す断面図である。 第9実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に表す断面図である。 図26に続く工程を表す断面図である。 図27に続く工程を表す断面図である。 図28に続く工程を表す断面図である。 参照例1の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 参照例1の半導体装置の上面図である。 第9実施形態の半導体装置に関して、デバイスパラメータを変えたときのオフ容量Coffの計算結果を表すグラフである。 参照例1の半導体装置に関して、デバイスパラメータを変えたときのオフ容量Coffの計算結果を表すグラフである。 参照例1の半導体装置に関して、デバイスパラメータを変えたときのオン抵抗Ronの計算結果を表すグラフである。 第9実施形態の半導体装置に関して、デバイスパラメータを変えたときのRon*Coffの計算結果を表すグラフである。 参照例1の半導体装置に関して、デバイスパラメータを変えたときのRon*Coffの計算結果を表すグラフである。 第10実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第11実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第11実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に表す断面図である。 図39に続く工程を表す断面図である。 図40に続く工程を表す断面図である。 第12実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第13実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第13実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に表す断面図である。 図44に続く工程を表す断面図である。 図45に続く工程を表す断面図である。 図46に続く工程を表す断面図である。 第14実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第14実施形態の半導体装置の製造方法を工程順に表す断面図である。 図49に続く工程を表す断面図である。 図50に続く工程を表す断面図である。 図51に続く工程を表す断面図である。 第15実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 第16実施形態の半導体装置の要部構成を表す断面図である。 変形例2の半導体装置の要部構成の一例を表す断面図である。 変形例2の半導体装置の要部構成の他の例を表す断面図である。 第9実施形態の半導体装置における折り返し部分を拡大して表す平面図である。 変形例3の半導体装置における折り返し部分を拡大して表す平面図である。 アンテナスイッチ回路の一例を表す回路図である。 アンテナスイッチ回路の他の例を表す回路図である。 アンテナスイッチ回路の更に他の例を表す回路図である。 アンテナスイッチ回路の更に他の例を表す回路図である。 無線通信装置の一例を表すブロック図である。
以下、本技術の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.第1実施形態(第1低抵抗領域の両側に第2低抵抗領域を設けた例)
2.第2実施形態(第2低抵抗領域が全面に設けられた例)
3.第3実施形態(ソース電極/ドレイン電極との接合部で第2低抵抗領域を除去した例)
4.第4実施形態(第2低抵抗領域の上部に高抵抗領域を設けた例)
5.第5実施形態(不純物拡散による第2低抵抗領域を設けた例)
6.第6実施形態(上部障壁層とソース電極およびドレイン電極との間にキャップ層を設けた例)
7.第7実施形態(第1低抵抗領域の一方側のみに第2低抵抗領域を設けた例)
8.第8実施形態(ソース領域およびドレイン領域を設けた例)
9.第9実施形態(第1実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;第1低抵抗領域の両側に第2低抵抗領域を設けた例)
10.第10実施形態(第2実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;第2低抵抗領域が全面に設けられた例)
11.第11実施形態(第3実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;ソース電極/ドレイン電極との接合部で第2低抵抗領域を除去した例)
12.第12実施形態(第4実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;第2低抵抗領域の上部に高抵抗領域を設けた例)
13.第13実施形態(第5実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;不純物拡散による第2低抵抗領域を設けた例)
14.第14実施形態(第6実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;上部障壁層とソース電極およびドレイン電極との間にキャップ層を設けた例)
15.第15実施形態(マルチゲート構造を用いた例;ソース電極およびドレイン電極を第2低抵抗領域上に設けた例)
16.第16実施形態(第8実施形態においてマルチゲート構造を用いた例;ソース領域およびドレイン領域を設けた例)
17.変形例1(基板上部の各層が各層間において格子整合していない例)
18.変形例2(JFET、MISJPHEMT)
19.変形例3(折り返し部分と直線部分とでデバイスパラメータを異ならせた例)
20.適用例(アンテナスイッチ回路、無線通信装置)
尚、各実施形態において共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
≪1.第1実施形態≫
(第1低抵抗領域の両側に第2低抵抗領域を設けた例)
本第1実施形態においては、各図に基づいて、本技術を適用した第1実施形態の半導体装置の構成、第1実施形態の半導体装置のバンド構造、第1実施形態の半導体装置の動作、第1実施形態の半導体装置の製造方法、および第1実施形態の半導体装置の効果の順に説明を行う。
<第1実施形態の半導体装置の構成>
図1は、本技術を適用した第1実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。また図2は第1実施形態の半導体装置の上面図であり、図3は第1実施形態の半導体装置の接合状態におけるエネルギーバンド構成図である。以下、これらの図に基づいて第1実施形態の半導体装置の詳細な構成を説明する。尚、以下においては第1導電型をn型、第2導電型をp型として説明を行うが、これは逆であってもよい。
図1に示す第1実施形態の半導体装置1-1は、化合物半導体で構成されたチャネル層14を含む積層体10と、この積層体10の上面側に設けられたゲート電極25とを有している。
より詳細には、半導体装置1-1は、ゲート電極とチャネル層との間に障壁層を備え、さらに障壁層内に逆導電型の第1低抵抗領域を設けた、いわゆるJPHEMTである。この半導体装置1-1では、化合物半導体からなる基板11上に、各化合物半導体材料からなるバッファ層12、下部障壁層13、チャネル層14、および上部障壁層15がこの順に積層されている。バッファ層12ないし上部障壁層15が、積層体10を構成するものである。下部障壁層13内にはキャリア供給領域13aが設けられており、上部障壁層15内には、キャリア供給領域15aが設けられている。また上部障壁層15の表面側には、第1低抵抗領域15gが設けられており、さらにこの第1低抵抗領域15gの両側に第2低抵抗領域Rが延設されているところが特徴的である。
以上のような化合物半導体材料からなる各層の積層体上には、絶縁膜21が設けられている。この絶縁膜21には、ソース開口21s/ドレイン開口21d、およびこれらの間のゲート開口21gが設けられている。このような絶縁膜21上には、ソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15に接続されたソース電極23s/ドレイン電極23dが設けられている。また絶縁膜21上には、ゲート開口21gを介して上部障壁層15の第1低抵抗領域15gに接続されたゲート電極25が設けられている。
なお、図1では、第2低抵抗領域Rの端ERが、ゲート電極25の端E25よりも外側に位置している場合を表しているが、第2低抵抗領域Rの端ERは必ずしもゲート電極25の端25よりも外側でなくてもよい。
具体的には、第1低抵抗領域15gは、積層体10の上面側のゲート開口21gに対向する領域に設けられている。ただし、第1低抵抗領域15gは、ゲート開口21gに対向する領域だけでなくその周囲にはみ出していてもよい。第2低抵抗領域Rは、積層体10の上面側に第1低抵抗領域15gから連続して延長されている。
以下、半導体装置1-1を構成する上記の各構成要素の詳細な構成を、基板11側から順次説明する。
[基板11]
基板11は、半絶縁性の化合物半導体材料で構成されている。このような基板11は、例えばIII−V族化合物半導体材料で構成され、例えば半絶縁性の単結晶GaAs基板や、InP基板が用いられる。
[バッファ層12]
バッファ層12は、例えば基板11上にエピタキシャル成長させた化合物半導体層で構成され、基板11および下部障壁層13に対して、良好に格子整合する化合物半導体を用いて構成される。例えば、基板11が単結晶GaAs基板からなる場合、このようなバッファ層12の一例として、不純物を添加しないu−GaAs(u−は不純物を添加していないことを表す;以下同様)のエピタキシャル成長層が用いられる。
[下部障壁層13]
下部障壁層13は、例えばバッファ層12および上部のチャネル層14に対して良好に格子整合すると共に、チャネル層14を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップが広いIII−V族化合物半導体を用いて構成されている。このような下部障壁層13の一例として、AlGaAs混晶のエピタキシャル成長層が用いられる。ここでは特に、III族元素におけるアルミニウム(Al)の組成比が0.2である、Al0.2Ga0.8As混晶により下部障壁層13が構成されていることとする。
このような下部障壁層13は、キャリアを供給する不純物を含むキャリア供給領域13aを有している。ここでは、キャリアとして電子が用いられることとし、電子を供給する不純物としてn型不純物を含むn型のキャリア供給領域13aが、下部障壁層13の膜厚方向の中間部分に配置されている。Al0.2Ga0.8As混晶により構成された下部障壁層13におけるn型不純物としては、シリコン(Si)が用いられる。
また、下部障壁層13におけるキャリア供給領域13a以外の膜厚部分は、不純物が添加されていないか、低濃度のn型不純物またはp型不純物を含有する高抵抗領域13b,13b’として形成されていてよい。これらの高抵抗領域13b,13b’は、不純物濃度が1×1017個/cm3以下、比抵抗が1×10-2Ωcm以上であることが好ましい。
以上のような下部障壁層13の具体的な構成の一例は、次のようである。バッファ層12側に膜厚200nm程度で不純物を含有しない高抵抗領域13bが設けられている。この上部に、膜厚4nm程度でシリコン(Si)を1.6×1012個/cm2程度含有するキャリア供給領域13aが積層されている。さらにこの上部に膜厚2nm程度で不純物を含有しない高抵抗領域13b’が積層されている。
尚、下部障壁層13は、高抵抗領域13b,13b’を含まず、全領域がキャリア供給領域13aとして構成されていてもよい。
[チャネル層14]
チャネル層14は、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間の電流通路であって、下部障壁層13のキャリア供給領域13a、および後述する上部障壁層15のキャリア供給領域15aから供給されたキャリアが蓄積される層である。このようなチャネル層14は、下部障壁層13に対してヘテロ接合する化合物半導体で構成され、下部障壁層13に対して良好に格子整合している。またチャネル層14は、下部障壁層13とのヘテロ接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、下部障壁層13の界面領域を構成する化合物半導体材料におけるキャリア走行側のエネルギー帯よりも、チャネル層内真性フェルミ準位に近い化合物半導体を用いて構成されていることとする。このため、下部障壁層13は、チャネル層14との接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、当該チャネル層14よりも当該チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体で構成されていることになる。
以上を言い換えれば、チャネル層14は、下部障壁層13とのヘテロ接合部における多数キャリア走行側のエネルギー帯が、下部障壁層13の界面領域を構成する化合物半導体材料における多数キャリア走行側のエネルギー帯よりも、少数キャリア走行側のエネルギー帯に近い化合物半導体を用いて構成されていることとする。尚、チャネル層内真性フェルミ準位は、チャネル層14のコンダクションバンドの最低エネルギー(以下、コンダクションバンドエネルギーEcと記す)と、バレンスバンドの最高エネルギー(以下、バレンスバンドエネルギーEvと記す)との中間に位置している。
ここで、キャリアが電子である場合、キャリア走行側のエネルギー帯はコンダクションバンド(伝導帯)である。このため、チャネル層14は、下部障壁層13との接合部において、下部障壁層13を構成する化合物半導体材料よりも、少なくともコンダクションバンドエネルギーEcが低いIII−V族化合物半導体材料を用いて構成される。このようなチャネル層14は、下部障壁層13との接合部において、下部障壁層13に対してコンダクションバンドエネルギーEcの差が大きいほど良い。
一方、キャリアが正孔である場合、キャリア走行側のエネルギー帯はバレンスバンド(価電子帯)である。このため、チャネル層14は、下部障壁層13との接合部において、下部障壁層13を構成する化合物半導体材料よりも、少なくともバレンスバンドエネルギーEvが高い化合物半導体材料を用いて構成される。このようなチャネル層14は、下部障壁層13との接合部における下部障壁層13との間のバレンスバンドエネルギーEvの差が大きいほど良い。尚、以下においてはキャリアが電子である場合を例示して説明を行うが、キャリアが正孔である場合は不純物およびエネルギーバンドの説明は逆導電型にすればよい。
尚、一般的には、このようなチャネル層14は、下部障壁層13に対して良好に格子整合すると共に、下部障壁層13を構成する化合物半導体材料よりもバンドギャップの狭いIII−V族化合物半導体材料で構成されていればよい。またこのようなチャネル層14は、下部障壁層13に対してバンドギャップの差が大きいほど良い。
以上のようなチャネル層14は、例えば下部障壁層13がAl0.2Ga0.8As混晶により構成されている場合、InGaAs混晶により構成される。この場合、インジウム(In)の組成比を高くするほどInGaAs混晶におけるバンドギャップを狭くでき、AlGaAs混晶からなる下部障壁層13とのコンダクションバンドエネルギーEcの差を大きくできる。このため、チャネル層14を構成するInGaAs混晶は、III族元素におけるインジウム(In)の組成比を0.1以上としてよい。
以上のようなチャネル層14の一例として、III族元素におけるインジウム(In)の組成比が0.2であるIn0.2Ga0.8As混晶により構成される。これによりチャネル層14は、下部障壁層13に対する格子整合性を確保しつつ十分なコンダクションバンドエネルギーEcの差が得られたものとなる。
またこのようなチャネル層14は、不純物を添加しないu−InGaAs混晶層であってよい。これにより、チャネル層14におけるキャリアの不純物散乱が抑えられ、高移動度でのキャリア移動が実現される。
尚、チャネル層14は、15nm以下の膜厚で形成されたエピタキシャル成長層であってよく、これによって結晶性が確保されキャリアの走行性に優れた層とすることができる。
[上部障壁層15]
上部障壁層15は、チャネル層14に対して良好に格子整合している。この上部障壁層15は、チャネル層14との接合部において、チャネル層14を構成する化合物半導体材料よりも、キャリア走行側のエネルギー帯がチャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体を用いて構成されている。つまり上部障壁層15は、チャネル層14との接合部において、チャネル層14を構成する化合物半導体材料よりも、多数キャリア走行側のエネルギー帯が、チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体を用いて構成されていることとする。キャリアが電子である場合、上部障壁層15は、チャネル層14を構成する化合物半導体材料よりも、コンダクションバンドエネルギーEcが高いIII−V族化合物半導体材料を用いて構成される。このような上部障壁層15は、チャネル層14との接合部におけるチャネル層14との間のコンダクションバンドエネルギーEcの差が大きいほど良い。
以上のような上部障壁層15は、チャネル層14がInGaAs混晶により構成されていれば、例えばInGaAs混晶よりもバンドギャップが広いAlGaAs混晶により構成される。この場合、アルミニウム(Al)の組成比を低く保つことで、いわゆるソース抵抗が増大することを防止できる。また次に説明する第1低抵抗領域15gを拡散によって形成する場合の拡散速度を抑えて制御性を確保できる。このため、上部障壁層15を構成するAlGaAs混晶は、III族元素におけるアルミニウム(Al)の組成比を0.25以下としてよい。
以上のような上部障壁層15の一例として、III族元素におけるアルミニウム(Al)の組成比が0.2であるAl0.2Ga0.8As混晶により構成されている。これにより、チャネル層14との格子整合も確保される。尚、このような上部障壁層15は、下部障壁層13と同一組成である必要はなく、それぞれに適した組成のAlGaAs混晶によって構成されればよい。例えば上部障壁層15は、拡散による第1低抵抗領域15gを形成しなくてもよい下部障壁層13と比較して、上部障壁層15におけるアルミニウム(Al)の組成比が低めに設定されていてよい。
このような上部障壁層15は、キャリアを供給する不純物を含むキャリア供給領域15aを有している。ここでは、電子を供給するn型不純物としてシリコン(Si)を含むn型のキャリア供給領域15aが、上部障壁層15の膜厚方向の中間部分に膜厚4nm程度で配置されている。
また、上部障壁層15においてキャリア供給領域15aを膜厚方向に挟む領域は、不純物が添加されていないか、低濃度の不純物を含有する高抵抗領域15b,15b’として形成されていてよい。これらの高抵抗領域15b,15b’が不純物を含有する場合、チャネル層14側の高抵抗領域15bは、n型不純物またはp型不純物を含有する。これに対して、チャネル層14と反対側、すなわち上部障壁層15の表面側を構成する高抵抗領域15b’は、n型不純物を含有する。またこれらの高抵抗領域15b,15b’は、不純物濃度が1×1017個/cm3以下、比抵抗が1×10-2Ωcm以上であることが好ましい。
また上部障壁層15の表面側には、以降に説明する第1低抵抗領域15gと第2低抵抗領域Rとが設けられている。第2低抵抗領域Rは、上部障壁層15においてチャネル層14とは逆側の表面をパターニングした部分に設けられており、パターニングされた中央部に第1低抵抗領域15gが設けられている。つまり、上部障壁層15は、第2低抵抗領域Rの形成部分に対応して、チャネル層14とは逆側に凸となっている。
以上のような上部障壁層15の具体的な構成の一例は、次のようである。チャネル層14側に、膜厚2nm程度で不純物を含有しない高抵抗領域15bが設けられている。この上部に、膜厚4nm程度でシリコン(Si)を1.6×1012個/cm2程度含有するキャリア供給領域15aが積層されている。さらにこの上部に膜厚100nm程度で不純物を含有しない高抵抗領域15b’が積層されている。
高抵抗領域15b’の上部には、30nm程度の膜厚部分をパターニングした第2低抵抗領域Rを構成する部分が積層されている。そして、第2低抵抗領域Rの表面から高抵抗領域15b’にまで達する深さで第1低抵抗領域15gが設けられている。
尚、チャネル層14がInGaAs混晶で構成されている場合、上部障壁層15はAlGaAs混晶に限定されず、III−V族化合物半導体であるIn(AlGa)AsP混晶で構成されていてもよい。これにより、InGaAs混晶で構成されたチャネル層14におけるInの組成比を大きくでき、チャネル層14においてのキャリアの移動度を高めることができる。
[第1低抵抗領域15g]
第1低抵抗領域15gは、上部障壁層15内であって、チャネル層14とは反対側の表面層において、上部障壁層15のキャリア供給領域15aよりも表面側の浅い位置で、キャリア供給領域15aに対して間隔を有して設けられている。この第1低抵抗領域15gは、チャネル層14を走行するキャリアとは逆導電型の不純物を含有し、周囲の高抵抗領域15b’よりも低抵抗に保たれている。したがって、キャリアが電子の場合、第1低抵抗領域15gにはp型不純物が拡散されていることとなる。
このような第1低抵抗領域15gの厚さ(深さ)とp型不純物濃度の値は、トランジスタのしきい値電圧により決まる。すなわち、第1低抵抗領域15gの厚さを厚くするか、またはp型不純物の濃度を高くすることで、しきい値電圧が高くなる。一方、第1低抵抗領域15gの厚さを薄くする、またはp型不純物の濃度を低くすることで、しきい値電圧が低くなる。
このような第1低抵抗領域15gには、一例として、1×1018個/cm3以上のp型不純物が含有されていてよく、一例として1×1019個/cm3程度である。尚、In(AlGa)AsP混晶により構成された上部障壁層15におけるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。これらの不純物は、第1低抵抗領域15gの形成方法によって適宜選択して用いられる。
[第2低抵抗領域R]
第2低抵抗領域Rは、上部障壁層15においてチャネル層14とは反対側の表面層をパターニングした部分に形成され、第1低抵抗領域15gからソース電極23s/ドレイン電極23d側に向かって延設されている。
ここで、基板11上に形成された上部障壁層15までの積層体10は、断面図での図示を省略した素子分離で分離されている。図2の上面図に示すように、この素子分離によって、基板11の上部は島状のアクティブ領域aに分離されており、このアクティブ領域aの中央を横断するように、上部障壁層15の表面層をパターニングした部分R1が設けられている。そして、第2低抵抗領域Rは、このパターニングした部分R1におけるアクティブ領域aに設けられている。
このような第2低抵抗領域Rは、チャネル層14を走行するキャリアとは逆導電型の不純物(すなわちここではp型の不純物)を含有するp型領域として構成されている。このような第2低抵抗領域Rは、領域全体のp型の電荷量が第1低抵抗領域15gよりも少ない領域として形成されていることが重要である。第2低抵抗領域Rにおけるp型の電荷量は、ゲート電極25に負の電圧を印加したオフ動作時において、第2低抵抗領域R内の正孔(チャネル層14を走行するキャリアと逆導電型の電荷)が枯渇して空乏化される程度であることとする。更に、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりもp型の単位長さあたり(図面の単位横方向長さあたり)の電荷量が少ないことが好ましい。このようにすることにより、第2低抵抗領域Rの横方向長さが極端に広くなった場合にも、第2低抵抗領域Rを、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少なくなるようにすることが可能となる。
ここでは特に、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりも浅く、すなわち第1低抵抗領域15gよりも膜厚が薄く形成されていることとする。これにより、第2低抵抗領域R内におけるp型の電荷量が、第1低抵抗領域15gよりも少ない状態に保たれていることとする。この場合、例えば、第2低抵抗領域Rには、1×1018個/cm3程度のp型不純物が含有されていてよく、一例として1×1018個/cm3程度である。
尚、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gと同程度の深さ、すなわち第1低抵抗領域15gと同程度の膜厚で、前記第1低抵抗領域15gよりもp型の不純物濃度が低い構成であってもよい。
以上の第2低抵抗領域Rに含有されるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。これらの不純物は、第2低抵抗領域Rの形成方法によって適宜選択して用いられる。
また第1低抵抗領域15gからの第2低抵抗領域Rの張り出し幅Lは、ソース電極23s/ドレイン電極23dに達することの無い範囲で十分に大きいこととし、例えば、L=0.8μm程度であることとする。
尚、第2低抵抗領域Rは、例えばチャネル層14側に向かって不純物濃度を薄くすることにより、以降に説明するチャネル層14内におけるキャリア欠乏領域を延ばし易くなる。一方、第2低抵抗領域Rは、表面側に向かって不純物濃度を薄くすることにより、界面トラップの影響を受け難くなり、オフ動作時において第2低抵抗領域Rとチャネル層14との間の空乏層を制御し易くなる。
また第2低抵抗領域Rは、高抵抗領域15b’に対して良好に格子整合する化合物半導体であれば、高抵抗領域15b’と異なる半導体材料で構成されていてもよい。
[絶縁膜21]
絶縁膜21は、上部障壁層15上の全面を覆う状態で設けられている。この絶縁膜21は、上部障壁層15を構成する化合物半導体に対して絶縁性を有し、かつ、イオンなどの不純物より上部障壁層15の表面を保護する機能を持つ材料が用いられる。このような絶縁膜21は、例えば厚さが200nmの窒化シリコン(Si34)により構成されている。
このような絶縁膜21には、第2低抵抗領域Rを挟む位置で、第2低抵抗領域Rに重ならない位置において、上部障壁層15の高抵抗領域15b’に達するソース開口21s/ドレイン開口21dが設けられている。また絶縁膜21におけるソース開口21sとドレイン開口21dとの間には、第1低抵抗領域15gを露出する形状のゲート開口21gが設けられている。
以上のソース開口21s、ドレイン開口21d、およびゲート開口21gは、それぞれが独立した開口部分として、絶縁膜21に設けられている。
[ソース電極23s/ドレイン電極23d]
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rを挟む位置において、それぞれがソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15の高抵抗領域15b’にオーミック接合されている。このようなソース電極23sおよびドレイン電極23dは、上部障壁層15側から順に、金−ゲルマニウム(AuGe)、ニッケル(Ni)、および金(Au)を順次積層し、下地の化合物半導体層を合金化したものにより構成されている。ソース電極23sおよびドレイン電極23dの各膜厚は、例えばそれぞれ1000nmである。
[ゲート電極25]
ゲート電極25は、第1低抵抗領域15gの上部に設けられている。ここでは、ゲート電極25は、ゲート開口21gを埋め込む状態で設けられ、ゲート開口21gの底部における全域において第1低抵抗領域15g上に設けられていることとする。このようなゲート電極25は、基板11側からニッケル(Ni)、および金(Au)を順次積層した構成となっている。
<バンド構造>
図3は、上記構成の半導体装置1-1のゲート電極25下方におけるエネルギーバンド構成図であり、ゲート電圧Vgを印加していない接合状態のものである。尚、このエネルギーバンド構成図は、下部障壁層13をAl0.2Ga0.8As混晶により、チャネル層14をIn0.2Ga0.8As混晶により、上部障壁層15をAl0.2Ga0.8As混晶により構成した場合について表している。
図3に示すように、本第1実施形態の半導体装置1-1は、バンドギャップの狭いチャネル層14を、これよりもバンドギャップが広くコンダクションバンドエネルギーEcが高い下部障壁層13と上部障壁層15とで挟んだ構成である。このため、チャネル層14は、下部障壁層13および上部障壁層15のキャリア供給領域13a,15aからキャリアとして電子が供給された場合に、この電子が蓄積される二次電子ガス層となる。
また、チャネル層14と上部障壁層15とのヘテロ接合部におけるコンダクションバンドの不連続量ΔEcが十分に大きい(ここでは0.31eV)。さらに、上部障壁層15におけるコンダクションバンドエネルギーEcの極小点と、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcとの差も十分に大きく(ここでは0.20eV以上)なるように構成されており、上部障壁層15内に分布する電子数はチャネル層14内に分布する電子数に比べて無視できる程度に少なくなっている。
<第1実施形態の半導体装置の動作>
次に、図1〜3を用いて説明した上記構成の半導体装置1-1の動作を、先の図3と共に、図4,図5のエネルギーバンド構成図、および図6の半導体装置1-1の断面図を用いて説明する。ここでは、半導体装置1-1が、しきい値電圧−0.5V程度の浅いデプレッション型のトランジスタである場合についての動作として説明する。
図4はオフ動作時(Vg=−2V)のものであり、図5はオン動作時(Vg=1V)のものである。また図4および図5は、図3と同様に、下部障壁層13および上部障壁層15をAl0.2Ga0.8As混晶によりそれぞれ構成し、チャネル層14をIn0.2Ga0.8As混晶により構成した場合について表している。
この半導体装置1-1は、ここでは浅いデプレッション型である。このため、ゲート電極25に電圧を印加していない接合状態(Vg=0)においては、p型の第1低抵抗領域15gの直下に該当するチャネル層14の領域では、周囲と比較して電子が欠乏したキャリア欠乏領域が形成されている。このときのエネルギーバンド構成は、先に説明した図3のようであり、チャネル層14は高抵抗の状態にある。
ここで、ゲート電極25にオフ動作時のゲート電圧(Vg=−2V)程度を印加し、オフ動作の状態とする。なお、低抵抗領域の条件によって電圧は変わり、少なくともオフ電圧(−2V)より低い電圧(Vg<−2V)を印加するようにしてもよい。この場合、図6の断面図に示すように、p型の第1低抵抗領域15gの直下に該当するチャネル層14のキャリア欠乏領域Aは、キャリア数がさらに減少して空乏化し、さらに第2低抵抗領域Rの直下に該当するチャネル層14まで広がる。これにより、ドレイン電流Idがほとんど流れなくなる。このときのエネルギーバンド構成は図4のようであり、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcは、フェルミ準位Efよりも完全に高くなる。
一方、ゲート電極25にオン動作時のゲート電圧(Vg=1V)程度を印加し、オン動作時の状態とする。この場合、図6の断面図において示したキャリア欠乏領域Aは消失し、チャネル層14における電子数が増大し、ドレイン電流Idが変調される。このときのエネルギーバンド構成は図5のようであり、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcは、フェルミ準位Efよりも低くなる。
<第1実施形態の半導体装置の製造方法>
次に、上述した構成の半導体装置1-1の製造方法の一例を、図7および図8の断面工程図に基づいて説明する。
[図7のA]
先ず図7のAに示すように、例えばGaAsよりなる基板11上に、不純物を添加しないu−GaAs層をエピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。その後、バッファ層12上に、例えばAlGaAs(Al0.2Ga0.8As混晶)層をエピタキシャル成長させて下部障壁層13を形成する。この際、例えば不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域13b、シリコン(Si)を添加したn型AlGaAs層からなるキャリア供給領域13a、および不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域13b’を順次エピタキシャル成長させる。これにより、膜厚方向の中央にn型のキャリア供給領域13aを備えた下部障壁層13を得る。
次に、下部障壁層13上に、例えば不純物を添加しないu−InGaAs層をエピタキシャル成長させてチャネル層14を形成する。
その後、チャネル層14上に、例えばAlGaAs(Al0.2Ga0.8As混晶)層をエピタキシャル成長させて上部障壁層15を形成する。この際、例えば不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域15b、シリコン(Si)を添加したn型のAlGaAs層からなるキャリア供給領域15a、シリコン(Si)を添加したn型のAlGaAs層からなる高抵抗領域15b’、炭素(C)を添加したp型のAlGaAs層からなる第2低抵抗領域Rを順次エピタキシャル成長させる。これにより、膜厚方向の中央にn型のキャリア供給領域15aを備え、最上部に第2低抵抗領域Rを備えた上部障壁層15を得る。
以上の後には、ここでの図示を省略した素子分離の形成を行う。この場合、例えばボロンのイオン注入によって高抵抗化された非活性領域を形成し、これを素子分離とする。これにより、図2に示したアクティブ領域aを島状に分離する。
[図7のB]
次いで、図7のBに示すように、素子分離で分離されたアクティブ領域の中央を横断する形状に、第2低抵抗領域Rをパターニングする。この際、フォトレジストをマスクとしてウェットエッチングなどによるパターニングを行う。本例では、第2低抵抗領域Rを、上部障壁層15の一部として高抵抗領域15b’以下と同じ半導体材料で構成したため、第2低抵抗領域Rをエッチングする際に、高抵抗領域15b’の表面層もエッチングされる。尚、第2低抵抗領域Rの半導体材料を高抵抗領域15b’と異なる材料にするか、または第2低抵抗領域Rと高抵抗領域15b’の間にこれらと異なる半導体材料のエッチングストップ層を形成し、選択比を持たせることで、第2低抵抗領域Rのみを除去する事も可能である。
[図8のC]
次いで図8のCに示すように、上部障壁層15上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition )法により、窒化シリコン(Si34)よりなる絶縁膜21を成膜する。その後、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、第2低抵抗領域Rの中央部分を露出するゲート開口21gを形成する。このゲート開口21gは、アクティブ領域の中央を横断する大きさで形成する。
この状態で、ゲート開口21gの底部に露出する上部障壁層15の表面層からのp型不純物の導入により、上部障壁層15内に第1低抵抗領域15gを形成する。ここでは、上部障壁層15の表面層を構成する第2低抵抗領域Rの深さを超え、かつキャリア供給領域15aに達することのない深さで、p型不純物である亜鉛(Zn)を拡散させて第1低抵抗領域15gを形成する。亜鉛(Zn)の拡散は、例えば600℃程度の温度での亜鉛化合物気体を用いた気相拡散によって行う。これにより、ゲート開口21gの底部にセルフアラインで第1低抵抗領域15gを形成し、第1低抵抗領域15gの両側に第2低抵抗領域Rが延設された状態とする。
[図8のD]
次に図8のDに示すように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を、第1低抵抗領域15g上に形成する。この際、チタン(Ti)、白金(Pt)、および金(Au)を順次マスク蒸着してゲート電極25をパターン形成する。
[図1]
その後は図1に示したように、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、第2低抵抗領域Rを挟む位置において上部障壁層15の高抵抗領域15b’を露出させたソース開口21sおよびドレイン開口21dを形成する。
次いで、ソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15の高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23sおよびドレイン電極23dを形成する。この際、金−ゲルマニウム(AuGe)、ニッケル(Ni)、および金(Au)を順次蒸着してパターンニングし、さらに例えば400℃程度の加熱処理により金系合金形成をしてソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置1-1を完成させる。
以上の説明した製造方法により、第1実施形態の半導体装置1-1を形成することができる。この方法によれば、絶縁膜21に形成したゲート開口21gからのp型不純物の拡散によって第1低抵抗領域15gを形成した後、ゲート開口21gを埋め込む状態でゲート電極25を形成する。このため、第1低抵抗領域15g上に、セルフアラインでゲート電極25が形成されることになる。したがって、第1実施形態の半導体装置1-1を容易に得ることが可能である。
尚、ゲート開口21g、第1低抵抗領域15g、およびゲート電極25の形成は、ソース開口21s/ドレイン開口21dおよびソース電極23s/ドレイン電極23dの形成の後に行ってもよい。この場合であっても、第1低抵抗領域15gに対してセルフアラインでゲート電極25が形成されるため、第1実施形態の半導体装置1-1を容易に得ることが可能である。
<第1実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した半導体装置1-1は、n型のチャネル層14に隣接する上部障壁層15の表面側にp型の第1低抵抗領域15gを設け、この上部にゲート電極25を設けたJPHEMT構造である。そして特に、第1低抵抗領域15gの両側に、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rが延設されている。
図6に示したように、このような構成の半導体装置1-1は、オフ動作時に次のような状態となる。すなわち、チャネル層14内には、n型のチャネル層14とp型の第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rとの間のPN接合部に空乏層が広がり、キャリア欠乏領域Aが形成される。これにより、チャネル層14内においてのn型領域Snは、第2低抵抗領域Rの外側にまで後退する。
またここで、p型の第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少なく構成されている。このため、上述したオフ動作時においては、チャネル層14との間のPN接合によって第2低抵抗領域Rが空乏化され易く、p型領域Spは第1低抵抗領域15gにまで後退する。
これにより、p型の第1低抵抗領域15gの両側にp型の第2低抵抗領域Rを延設した構成においては、p型の第2低抵抗領域Rを設けていない構成と比較して、オフ動作時においてのn型領域Snとp型領域Spとの距離dを拡大することができる。つまり、チャネル層14のキャリア濃度を高くしてオン抵抗Ronを低減させた場合であっても、オフ動作時においてのn型領域Snとp型領域Spとの距離dを拡大させた分だけ、オフ容量Coffを低減させることができるのである。
これに対して、上述した第2低抵抗領域Rを設けていないJPHEMT構造では、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域Aは、第1低抵抗領域15gの下方より若干横方向に広がる程度である。このため、n型領域Snとp型領域Spとの距離dは、p型の第2低抵抗領域Rを設けている構成と比較すると短くなる。
したがって、JPHEMT構造における第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設したことにより、オフ容量Coffの低減を図ることが可能になり、トランジスタ特性の向上を図ることが可能になる。
図9には、第1実施形態の半導体装置(1)と、第2低抵抗領域Rを設けていない参考例の半導体装置(2)とに関して、ゲート電圧Vg−オフ容量Coffのシミュレーションを行った結果を示す。この結果に見られるように、本第1実施形態の半導体装置(1)においては、参考例(2)と比較して、ゲート電圧Vgを低くしたオフ動作時のオフ容量Coffが低く、しかも安定した値に抑えられていることが判る。
また、しきい値電圧付近においてのオフ容量Coffの立ち上がりも急峻である。このことから、本第1実施形態の半導体装置では、オフ特性の向上が図られていることがわかる。ここで、オン抵抗Ronとオフ容量Coffはトレードオフの関係にあるため、オフ特性が向上した分、キャリア供給領域13a,15aの不純物濃度を高くすることで、オン特性を向上させることが可能である。
尚、以上の第1実施形態は、半導体装置1-1をデプレッション型とした場合を説明したが、エンハンスメント型とした場合であっても同様に考えることができ、上述した説明はよりよく当てはまる。
≪2.第2実施形態≫
(第2低抵抗領域が全面に設けられた例)
図10は第2実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第2実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第2実施形態の半導体装置の構成>
図10に示す本第2実施形態の半導体装置1-2が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、第2低抵抗領域Rをパターニングせずに上部障壁層15の全面に残したところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第2実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-2における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面が、第1低抵抗領域15gを除く全面において第2低抵抗領域Rによって覆われている。第2低抵抗領域Rで表面が構成された上部障壁層15上の絶縁膜21には、第1低抵抗領域15gに対して十分な間隔を持ってソース開口21s/ドレイン開口21dが設けられている。
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、それぞれがソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15の第2低抵抗領域Rにオーミック接合されている。
<第2実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-2は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-2の製造は、第1実施形態の半導体装置1-1の製造手順において、第2低抵抗領域Rをパターニングする工程を省けばよい。
<第2実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-2であっても、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rがより広い部分を覆っているため、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域をさらに拡大し、オフ容量Coffをさらに低減する効果が得られる。またさらに、第2低抵抗領域Rのパターニング工程を省くことができるため、第1実施形態の半導体装置1-1の製造と比較して、製造工程数を削減することが可能である。
尚、本第2実施形態の半導体装置1-2では、第2低抵抗領域Rに対してソース電極23s/ドレイン電極23dがオーミック接合されるため、コンタクト抵抗が若干高くなってしまう可能性がある。しかしながら、オーミック接合時のアロイ条件を最適化することにより、抵抗の増加分を抑えることが可能である。
≪3.第3実施形態≫
(ソース電極/ドレイン電極との接合部で第2低抵抗領域を除去した例)
図11は第3実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第3実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第3実施形態の半導体装置の構成>
図11に示す本第3実施形態の半導体装置1-3が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、ソース電極23s/ドレイン電極23dとの接合部においてのみ、第2低抵抗領域Rを除去したところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第3実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-3における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面が、ほぼ全面において第2低抵抗領域Rによって覆われており、ソース電極23s/ドレイン電極23dとの接合部においてのみ第2低抵抗領域Rが除去された構成である。第2低抵抗領域Rで表面が構成された上部障壁層15上の絶縁膜21には、第1低抵抗領域15gに対して十分な間隔を持ってソース開口21s/ドレイン開口21dが設けられている。
これらのソース開口21s/ドレイン開口21dの底部においては、絶縁膜21をマスクにした等方的なエッチングによって第2低抵抗領域Rが除去されていて、高抵抗領域15b’が露出した状態となっている。
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、それぞれがソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して、第2低抵抗領域Rに接触することなく高抵抗領域15b’にオーミック接合されている。
<第3実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-3は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-3の製造は、次のように行う。
[図12のA]
先ず図12のAに示すように、基板11上に、バッファ層12〜第2低抵抗領域Rまでを成膜し、さらに絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。次に、ゲート開口21gからの不純物拡散により、第2低抵抗領域Rから高抵抗領域15b’に達するp型の第1低抵抗領域15gを形成する。
[図12のB]
次に、図12のBに示すように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を、第1低抵抗領域15g上に形成する。
以上までの工程は、第1実施形態において図7のA〜図8のDを用いて説明した製造手順において、第2低抵抗領域Rをパターニングする工程を省けばよい。
[図13のC]
次に、図13のCに示すように、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、第2低抵抗領域Rを挟む位置において第2低抵抗領域Rを露出させたソース開口21sおよびドレイン開口21dを形成する。その後、ソース開口21s/ドレイン開口21dが形成された絶縁膜21をマスクにして、第2低抵抗領域Rを等方的にエッチングする。これにより、ソース開口21s/ドレイン開口21dの底部に高抵抗領域15b’を露出させると共に、ソース開口21s/ドレイン開口21dの側壁から第2低抵抗領域Rを後退させる。
尚、このエッチング工程における高抵抗領域15b’の削れを防ぐことを目的とし、第2低抵抗領域Rを高抵抗領域15b’と異なる材料を用いて形成したり、第2低抵抗領域Rと高抵抗領域15b’との間に、これらと異なる半導体材料のエッチングストップ層を形成してもよい。
[図11]
その後は図11に示したように、ソース開口21s/ドレイン開口21dを介して上部障壁層15の高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23sおよびドレイン電極23dを形成する。この際、金−ゲルマニウム(AuGe)、ニッケル(Ni)、および金(Au)を順次、異方的に蒸着することにより、蒸着した材料膜と第2低抵抗領域Rとの間に中空部Gを残す。次に、これらの材料膜をパターニングし、さらに例えば400℃程度の加熱処理により金系合金形成をしてソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置1-3を完成させる。
<第3実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-3は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rがより広い部分を覆っているため、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域をさらに拡大し、オフ容量Coffをさらに低減する効果が得られる。しかも、p型の第2低抵抗領域Rを部分的にエッチング除去することにより、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの接触を回避した構成であるため、コンタクト抵抗の増加を防ぐこともできる。
また、この半導体装置1-3の製造においては、ソース開口21s/ドレイン開口21dを設けた絶縁膜21をマスクにして第2低抵抗領域Rをウェットプロセスで等方的にエッチング除去し、ソース電極23s/ドレイン電極23dの形成においては異方的な成膜を行っている。これにより、中空部Gによって第2低抵抗領域Rとの接触を回避したソース電極23s/ドレイン電極23dの形成が、セルフアラインで行われる。したがって、上述した構成の半導体装置1-3におけるソース電極23s/ドレイン電極23dの形成を高精度に行うことが可能である。
尚、この構成の半導体装置1-3においては、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に中空部Gを残すことにより、これらの間の絶縁性を確保している。しかしながら、プロセス中における中空部Gへの異物の混入を防止することを目的として、次のプロセスを追加してもよい。すなわち、ソース電極23s/ドレイン電極23dを形成する前の図13のCに示した状態において、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法などにより、ソース開口21s/ドレイン開口21dの側壁から第2低抵抗領域Rを後退させた部分を埋め込む膜厚で絶縁膜を形成する。次いで、絶縁膜をウェットプロセスによってエッチングし、低ダメージで高抵抗領域15b’を露出させる。その後、先に説明したソース電極23sおよびドレイン電極23dの形成を行う。以上により、中空部Gを埋め込んだ絶縁膜によって、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの絶縁性を確保した構成とすることができ、中空部Gへの異物の混入によるデバイス特性への悪影響を防止することができる。
≪4.第4実施形態≫
(第2低抵抗領域の上部に高抵抗領域を設けた例)
図14は第4実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第4実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第4実施形態の半導体装置の構成>
図14に示す本第4実施形態の半導体装置1-4が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、p型の第2低抵抗領域Rの上に、高抵抗領域16が形成されているところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第4実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-4における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面層を構成する第2低抵抗領域Rがパターニングされた構成であり、このパターニングされた部分に高抵抗領域16が積層された形状となっている。p型の第1低抵抗領域15gは、高抵抗領域16から、上部障壁層15における第2低抵抗領域Rおよび高抵抗領域15b’にわたる深さで設けられている。
第2低抵抗領域Rの上部に配置される高抵抗領域16は、薄い膜厚であってよい。この高抵抗領域16は、第2低抵抗領域Rに対して良好に格子整合する化合物半導体であれば、第2低抵抗領域Rと異なる半導体材料で構成されていてもよい。また、この高抵抗領域16には、不純物が含有されていてもいなくてもよく、含有されている場合にはp型の不純物でもn型の不純物でもよい。高抵抗領域16に含有されるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。n型不純物としてはシリコン(Si)が用いられる。これらの不純物は、高抵抗領域16の形成方法によって適宜選択して用いられる。
<第4実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-4は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-4の製造は、第1実施形態の半導体装置1-1の製造手順において、p型の第2低抵抗領域Rの上に、高抵抗領域16を構成する層をあらかじめ成膜しておけばよく、同一のマスクを用いて高抵抗領域16とp型の第2低抵抗領域Rとをパターニングすればよい。
<第4実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-4は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rの上に高抵抗領域16が形成されているため、第2低抵抗領域Rが界面トラップの影響を受け難くなり、オフ動作時において第2低抵抗領域Rとチャネル層14との間の空乏層を制御し易くなる。これにより、第1実施形態の効果において図6を用いて説明した、オフ動作時におけるn型領域Snおよびp型領域Spの領域の後退量を確実に制御することが可能となり、所望の動作の実現が容易となる。
尚、本第4実施形態は、第1実施形態への適用に限定されることはなく、第2〜第3実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本第4実施形態の効果と合わせて、さらに第2〜第3実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪5.第5実施形態≫
(不純物拡散による第2低抵抗領域を設けた例)
図15は第5実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第5実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第5実施形態の半導体装置の構成>
図15に示す本第5実施形態の半導体装置1-5が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、第2低抵抗領域Rが不純物の拡散により形成されているところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第5実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-5における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面層が高抵抗領域15b’で構成されており、この高抵抗領域15b’の表面層に第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rが不純物拡散によって形成された構成となっている。
<第5実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-5は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-5の製造は、次のように行う。
[図16のA]
先ず図16のAに示すように、基板11上に、バッファ層12〜高抵抗領域15b’までを成膜する。以上までの工程は、第1実施形態において図7のAを用いて説明した製造手順において、第2低抵抗領域Rを成膜する工程を省けばよい。
[図16のB]
次に図16のBに示すように、高抵抗領域15b’上に、例えば窒化シリコンで構成されたマスク30を形成する。このマスク30を介しての不純物拡散により、高抵抗領域15b’の表面層に第2低抵抗領域Rを形成するためのp型不純物を拡散させる。この際、例えばp型不純物として亜鉛(Zn)を拡散させることで、拡散深さを高精度に制御する。亜鉛(Zn)の拡散は、第1実施形態における第1低抵抗領域15gの形成と同様に行う。拡散終了後には、マスク30を除去する。
[図17のC]
次に図17のCに示すように、第2低抵抗領域Rが形成された高抵抗領域15b’上に絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。そしてゲート開口21gからの不純物拡散により、第2低抵抗領域Rの中央に、高抵抗領域15b’にまで達する深さで第1低抵抗領域15gを形成するためのp型不純物を拡散させる。
[図17のD]
次いで図17のDに示すように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を第1低抵抗領域15g上に形成する。
[図15]
その後は図15に示したように、絶縁膜21に高抵抗領域15b’を露出させたソース開口21s/ドレイン開口21dを形成し、これらを介して高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置1-5を完成させる。以上の図17のC以降に説明した工程は、第1実施形態における図8のC以降に説明した工程と同様に行えばよい。
<第5実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-5は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rが拡散により形成されているため、ウェットエッチングにより第2低抵抗領域Rを除去する工程を行わなくてもよい。
さらに、平坦に保たれた上部障壁層15上において各構成要素のパターニングの制御性を確保した構成でありながらも、第2低抵抗領域Rとの接触を回避して高抵抗領域15b’に対してソース電極23s/ドレイン電極23dをオーミック接合させた構成であるため、コンタクト抵抗を低く抑えることも可能である。
≪6.第6実施形態≫
(上部障壁層とソース電極およびドレイン電極との間にキャップ層を設けた例)
図18は第6実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第6実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第6実施形態の半導体装置の構成>
図18に示す本第6実施形態の半導体装置1-6が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、キャップ層33を設けたところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第6実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、キャップ層33は、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、第1低抵抗領域15gとは逆導電型でチャネル層14と同一導電型の不純物(ここではn型の不純物)を含有する層として設けられている。このキャップ層33は、n型不純物をある程度の量で含有した低抵抗領域として構成されていることとする。
またキャップ層33は、ソース電極23s/ドレイン電極23dの下地としてパターニングされた状態で設けられ、ここでは一例として同一形状にパターニングされた第2低抵抗領域R上に設けられている。この場合、キャップ層33の下地となる第2低抵抗領域R部分は、第1低抵抗領域15gから延設された第2低抵抗領域Rとは分離されていることとする。
以上のようなキャップ層33は、下地となる上部障壁層15部分に対して格子整合する化合物半導体材料を用いて構成されていればよく、上部障壁層15のバンドギャップと一致していなくてもよい。ただし、下地となる上部障壁層15とのバンドギャップが異なると、接合部にポテンシャルの障壁ができるため、オーミック接合における抵抗が高くなるおそれがある。したがって、キャップ層33のバンドギャップは、下地となる上部障壁層15のバンドギャップに対して、半導体装置1-6の特性に影響のない程度の範囲で一致させることする。以上のようなキャップ層33は、上部障壁層15の表面層(ここでは第2低抵抗領域R)がAlGaAs混晶からなる場合、例えばn型の不純物を含有するGaAsにより構成されていることとする。
<第6実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-6は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-6の製造は、次のように行う。
[図19のA]
先ず図19のAに示すように、基板11上に、バッファ層12〜から第2低抵抗領域Rまでを成膜し、上部障壁層15を形成する。以上までの工程は、第1実施形態において図7のAを用いて説明した製造手順と同様に行えばよい。次に、上部障壁層15の形成に続けてキャップ層33となるn型GaAs層をエピタキシャル成長させる工程を行い、その後、ボロンのイオン注入によってここでの図示を省略した素子分離を形成する。
[図19のB]
次に図19のBに示すように、キャップ層33をパターニングして第2低抵抗領域Rを露出させる。次いで第2低抵抗領域Rの露出した周縁部分をパターニング除去し、キャップ層33から露出している第2低抵抗領域Rと、キャップ層33の下部の第2低抵抗領域Rとを分離する。
[図20のC]
次に図20のCに示すように、キャップ層33を覆う状態で上部障壁層15上に絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。そしてゲート開口21gからの不純物拡散により、キャップ層33から露出させた第2低抵抗領域Rの中央に、高抵抗領域15b’にまで達する深さで第1低抵抗領域15gを形成するためのp型不純物を拡散させる。
[図20のD]
次いで図20のDに示すように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を第1低抵抗領域15g上に形成する。
[図18]
その後は図18に示したように、絶縁膜21にキャップ層33を露出させたソース開口21s/ドレイン開口21dを形成し、これらを介してキャップ層33にオーミック接合されたソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置1-6を完成させる。以上の図20のC以降に説明した工程は、第1実施形態における図8のC以降に説明した工程と同様に行えばよい。
<第6実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-6は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、チャネル層14と同一のn型のキャップ層33を設けた構成である。これにより、キャップ層33が、チャネル層14に対するキャリア供給源となり、キャップ層33の直下のチャネル層14のシートキャリア密度を高くすることができ、チャネル抵抗およびアクセス抵抗を低くすることができる。この結果、さらにオン抵抗Ronを小さくすることが可能になるため、さらに最大ドレイン電流Idmaxを高くする効果を期待できる。
尚、本第6実施形態は、第1実施形態への適用に限定されることはなく、第2〜第5実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本第6実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた各実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪7.第7実施形態≫
(第1低抵抗領域の一方側のみに第2低抵抗領域を設けた例)
図21は第7実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第7実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第7実施形態の半導体装置の構成>
図21に示す本第7実施形態の半導体装置1-7が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、第2低抵抗領域Rが第1低抵抗領域15gの一方側のみに延設されているところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第7実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-7における上部障壁層15は、第1低抵抗領域15gにおけるソース電極23s/ドレイン電極23dの何れか一方側のみに第2低抵抗領域Rを延設させた構成である。
<第7実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-7は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-7の製造は、第1実施形態で説明した半導体装置1-1の製造手順において、第2低抵抗領域Rのパターニング形状を、第1低抵抗領域15gの一方側のみに延設される形状とすればよい。
<第7実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置1-7は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの一方向に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成である。このため、第1実施形態と比較して効果は低いものの、オフ容量Coffを低減させる効果を得ることができ、またこれによるオン抵抗Ronの低減を図ることが可能である。
またこのような第7実施形態の構成は、例えばドレイン電極23dのみに高電圧が印加されるような用途の場合は、ドレイン電極23d側のみに第2低抵抗領域Rを延設することにより、ソース電極23sとゲート電極25との距離を縮小することが可能である。
尚、本第7実施形態は、第1実施形態への適用に限定されることはなく、第4〜第6実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本第7実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪8.第8実施形態≫
(ソース領域およびドレイン領域を設けた例)
図22は第8実施形態の半導体装置の要部構成を示す断面図である。以下、この図に基づいて、本技術を適用した第8実施形態の半導体装置の構成を説明する。
<第8実施形態の半導体装置の構成>
図22に示す本第8実施形態の半導体装置1-8が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置1-1と異なるところは、上部障壁層15からバッファ層12にまで達してソース領域35s/ドレイン領域35dが設けられているところにあり、他の構成は同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第8実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置1-8に設けられるソース領域35s/ドレイン領域35dは、パターニングされた第2低抵抗領域Rの外側において、上部障壁層15からバッファ層12にまで達する深さ、少なくともチャネル層14にまで達する深さの不純物領域として設けられている。このようなソース領域35s/ドレイン領域35dは、チャネル層14と同一の導電型の不純物を含有し、ここではn型の不純物領域として構成されている。
ソース電極23s/ドレイン電極23dは、これらのソース領域35s/ドレイン領域35dに対してオーミック接合されている。
<第8実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置1-8は、第1実施形態の半導体装置1-1と同様に動作する。またこの半導体装置1-8の製造は、第1実施形態の半導体装置1-1の製造手順において図7のBを用いて説明したように第2低抵抗領域Rをパターニングした後、イオン注入法によりn型の不純物を拡散させてソース領域35s/ドレイン領域35dを形成する工程を追加すればよい。
<第8実施形態の半導体装置の効果>
以上のような構成を有する半導体装置1-8は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。そして第2低抵抗領域Rを挟む状態で、チャネル層14にまで達する深さのn型のソース領域35s/ドレイン領域35dを設けたことにより、第2低抵抗領域Rの直下のチャネル層14の両側のシートキャリア密度を高くすることができ、さらにソース電極23s/ドレイン電極23dと上部障壁層15とのコンタクト抵抗を低くすることができるため、チャネル抵抗およびアクセス抵抗を低くすることができる。これにより、さらにオン抵抗Ronを小さくすることができ、加えて最大ドレイン電流Idmaxを高くすることが可能である。
尚、本第8実施形態は、第1実施形態への適用に限定されることはなく、第2〜第7実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本第8実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪9.第9実施形態≫
(マルチゲート構造)
図23は、本技術の第9実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-1の構成を説明する。
<第9実施形態の半導体装置の構成>
この半導体装置2-1は、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの間に二つのゲート電極25を設けたマルチゲート構造(デュアルゲート構造)を有していることを除いては、第1実施形態と同様の構成、作用および効果を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。なお、以下の図面および説明では、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの間に二つのゲート電極25が設けられている場合について説明するが、所望の耐電力性を得るため、ゲート電極25の数を三つ以上とすることも可能である。
半導体装置2-1は、化合物半導体で構成されたチャネル層14を含む積層体10と、この積層体10の上面側に設けられたゲート電極25とを有している。
より詳細には、半導体装置2-1は、第1実施形態と同様に、ゲート電極とチャネル層との間に障壁層を備え、さらに障壁層内に逆導電型の第1低抵抗領域を設けた、いわゆるJPHEMTである。半導体装置2-1は、第1実施形態と同様に、例えば、化合物半導体からなる基板11上に、各化合物半導体材料からなるバッファ層12、下部障壁層13、チャネル層14、および上部障壁層15がこの順に積層された構成を有している。バッファ層12ないし上部障壁層15が、積層体10を構成するものである。
基板11、バッファ層12、下部障壁層13、チャネル層14、および上部障壁層15は、第1実施形態と同様に構成されている。
積層体10上には、第1実施形態と同様に、絶縁膜21を間にして、ソース電極23s/ドレイン電極23dと、ゲート電極25とが設けられている。
絶縁膜21、ソース電極23s/ドレイン電極23d、およびゲート電極25は、第1実施形態と同様に構成されている。
また、この半導体装置2-1では、積層体10は、ゲート電極25に対向して積層体10の上面側に設けられた第1低抵抗領域15gと、第1低抵抗領域15gの外側に第1低抵抗領域15gに連続して設けられた第2低抵抗領域Rとを有している。これにより、この半導体装置2-1では、オフ容量を低減することが可能となっている。
なお、図22では、第2低抵抗領域Rの端ERが、ゲート電極25の端E25よりも外側に位置している場合を表しているが、第2低抵抗領域Rの端ERは、必ずしもゲート電極25の端E25よりも外側に位置していなくてもよい。
具体的には、第1低抵抗領域15gは、積層体10の上面側のゲート開口21gに対向する領域に設けられている。ただし、第1低抵抗領域15gは、ゲート開口21gに対向する領域だけでなくその周囲にはみ出していてもよい。第2低抵抗領域Rは、積層体10の上面側に第1低抵抗領域15gから連続して延長されている。
[第1低抵抗領域15g]
第1低抵抗領域15gは、第1実施形態と同様に、上部障壁層15内であって、チャネル層14とは反対側の表面層において、上部障壁層15のキャリア供給領域15aよりも表面側の浅い位置で、キャリア供給領域15aに対して間隔を有して設けられている。第1低抵抗領域15gは、第1実施形態と同様に、チャネル層14を走行するキャリアとは逆導電型の不純物を含有し、周囲の高抵抗領域15b’よりも低抵抗に保たれている。したがって、キャリアが電子の場合、第1低抵抗領域15gにはp型不純物が拡散されていることとなる。
第1低抵抗領域15gの厚さ(深さ)とp型不純物濃度の値は、第1実施形態と同様に、トランジスタのしきい値電圧により決まる。すなわち、第1低抵抗領域15gの厚さを厚くするか、またはp型不純物の濃度を高くすることで、しきい値電圧が高くなる。一方、第1低抵抗領域15gの厚さを薄くする、またはp型不純物の濃度を低くすることで、しきい値電圧が低くなる。
このような第1低抵抗領域15gには、第1実施形態と同様に、一例として、1×1018個/cm3以上のp型不純物が含有されていてよく、一例として1×1019個/cm3程度である。尚、In(AlGa)AsP混晶により構成された上部障壁層15におけるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。これらの不純物は、第1低抵抗領域15gの形成方法によって適宜選択して用いられる。
[第2低抵抗領域R]
第2低抵抗領域Rは、第1実施形態と同様に、上部障壁層15においてチャネル層14とは反対側の表面層をパターニングした部分に形成され、各々の第1低抵抗領域15gに対して両側(ソース電極23s側およびドレイン電極23d側の両方)に延設されている。第2低抵抗領域Rは、第1実施形態と同様に、チャネル層14を走行するキャリアとは逆導電型の不純物(すなわちここではp型の不純物)を含有するp型領域として構成されている。第2低抵抗領域Rは、第1実施形態と同様に、第1低抵抗領域15gよりも上記逆導電型の電荷量が少ないことが好ましい。更に、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりもp型の単位長さあたり(図面の単位横方向長さあたり)の電荷量が少ないことが好ましい。このようにすることにより、第2低抵抗領域Rの横方向長さが極端に広くなった場合にも、第2低抵抗領域Rを、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少なくなるようにすることが可能となる。第2低抵抗領域Rにおけるp型の電荷量は、第1実施形態と同様に、ゲート電極25に負の電圧を印加したオフ動作時において、第2低抵抗領域R内の正孔(チャネル層14を走行するキャリアと逆導電型の電荷)が枯渇して空乏化される程度であることとする。
更に、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりも浅いことが好ましい。すなわち、第2低抵抗領域Rの厚みは、第1低抵抗領域15gの厚みよりも薄いことが好ましい。これにより、第2低抵抗領域R内におけるp型の電荷量が、第1低抵抗領域15gよりも少ない状態に保たれる。
第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりも上記逆導電型の不純物濃度が低いことが好ましい。例えば、第2低抵抗領域Rには、第1実施形態と同様に、1×1018個/cm3程度のp型不純物が含有されていてよく、一例として1×1018個/cm3程度である。
尚、第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gと同程度の深さ、すなわち第1低抵抗領域15gと同程度の膜厚で、第1低抵抗領域15gよりもp型の不純物濃度が低い構成であってもよい。
以上の第2低抵抗領域Rに含有されるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。これらの不純物は、第2低抵抗領域Rの形成方法によって適宜選択して用いられる。
尚、第2低抵抗領域Rは、例えばチャネル層14側に向かって不純物濃度を薄くすることにより、以降に説明するチャネル層14内におけるキャリア欠乏領域を延ばし易くなる。一方、第2低抵抗領域Rは、表面側に向かって不純物濃度を薄くすることにより、界面トラップの影響を受け難くなり、オフ動作時において第2低抵抗領域Rとチャネル層14との間の空乏層を制御し易くなる。
また第2低抵抗領域Rは、高抵抗領域15b’に対して良好に格子整合する化合物半導体であれば、高抵抗領域15b’と異なる半導体材料で構成されていてもよい。
なお、以上の説明は、半導体装置2-1だけでなく、ゲート電極25の数のみにおいて半導体装置2-1と異なる第1実施形態ないし第8実施形態の半導体装置1-1〜1-8にもあてはまるものであることは言うまでもない。
更に、この半導体装置2-1では、上述したように、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの間に二つのゲート電極25を設けたデュアルゲート構造を有している。この場合には、第1低抵抗領域15gからの第2低抵抗領域Rの対面するソース電極23s側、またはドレイン電極23d側への張り出し幅L1は、第1低抵抗領域15gからの第2低抵抗領域Rの対面するゲート電極25側への張り出し幅L2よりも大きいことが好ましい。
具体的には、張り出し幅L1は、第2低抵抗領域Rがソース電極23s/ドレイン電極23dに達することの無い範囲で十分に大きいことが好ましく、例えば、L1=0.8μm程度であることが好ましい。一方、張り出し幅L2は、第2低抵抗領域R間のスペース(Lgg−2*L2)がエッチングにより加工できる範囲で大きいことが好ましく、例えば、Lgg=1.5umでエッチング加工最小サイズが0.5umである場合、L2=0.5um程度であることが好ましい。
尚、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの間に三つ以上のゲート電極25が設けられている場合には、二つのゲート電極25の間に挟まれたゲート電極25の両側の第2低抵抗領域Rは、両側とも張り出し幅L2で設けられる。
図24は、図23に示した半導体装置2-1を上面(ゲート電極25の側)から見た平面構成を表している。
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、各々櫛歯形状を有すると共に互いに隙間をあけて噛み合わせた平面形状を有している。二つのゲート電極25は、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間の隙間を蛇行(ミアンダ)する平面形状を有している。
二つのゲート電極25は、ソース電極23sおよびドレイン電極25dの櫛歯部分の先端に沿った折り返し部分25Aと、ソース電極23sおよびドレイン電極25dの櫛歯の間に挟まれた直線部分25Bとを有している。折り返し部分25Aは、曲線を含む平面形状を有することが好ましい。これにより電界集中を低減することが可能となる。折り返し部分25Aの曲率は特に限定されず、例えば図24に示したような半円の円弧とすることが可能である。なお、折り返し部分25Aは、矩形に折れ曲がる平面形状であってもよい。
積層体10は、図23の断面図での図示を省略した素子分離で分離されている。図24に示したように、この素子分離によって、基板11の上部は島状のアクティブ領域aに分離されており、このアクティブ領域a内において、上部障壁層15の表面層をパターニングした部分R1がミアンダ状に設けられており、両端でアクティブ領域aを横断している。そして、第2低抵抗領域Rは、このパターニングした部分R1におけるアクティブ領域aに設けられている。
尚、図24ではパターニングした部分R1の両端部が直線状であり、アクティブ領域aの長辺に交差している場合を表している。しかしながら、パターニングした部分R1の両端部は屈曲してアクティブ領域aの短辺に交差していてもよい。その場合、パターニングした部分R1の屈曲した両端部は、図24に示した折り返し部分25Aと同様の曲線を含む平面形状でもよいし、矩形に折れ曲がる平面形状でもよい。
<バンド構造>
この半導体装置2-1のゲート電極25下方におけるエネルギーバンド構成は、第1実施形態で図3を参照して説明したのと同様である。
すなわち、図3に示したように、この半導体装置2-1は、バンドギャップの狭いチャネル層14を、これよりもバンドギャップが広くコンダクションバンドエネルギーEcが高い下部障壁層13と上部障壁層15とで挟んだ構成である。このため、チャネル層14は、下部障壁層13および上部障壁層15のキャリア供給領域13a,15aからキャリアとして電子が供給された場合に、この電子が蓄積される二次電子ガス層となる。
また、チャネル層14と上部障壁層15とのヘテロ接合部におけるコンダクションバンドの不連続量ΔEcが十分に大きい(ここでは0.31eV)。さらに、上部障壁層15におけるコンダクションバンドエネルギーEcの極小点と、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcとの差も十分に大きく(ここでは0.20eV以上)なるように構成されており、上部障壁層15内に分布する電子数はチャネル層14内に分布する電子数に比べて無視できる程度に少なくなっている。
<第9実施形態の半導体装置の動作>
次に、この半導体装置2-1の動作を、先の図3と共に、図4および図5のエネルギーバンド構成図、および図25の半導体装置2-1の断面図を用いて説明する。ここでは、半導体装置2-1が、しきい値電圧−0.5V程度の浅いデプレッション型のトランジスタである場合についての動作として説明する。
ゲート電極25に電圧を印加していない接合状態(Vg=0)においては、p型の第1低抵抗領域15gの直下に該当するチャネル層14の領域では、周囲と比較して電子が欠乏したキャリア欠乏領域が形成されている。このときのエネルギーバンド構成は、先に説明した図3のようであり、チャネル層14は高抵抗の状態にある。
ここで、ゲート電極25にオフ動作時のゲート電圧(Vg=−2V)程度を印加し、オフ動作の状態とする。なお、低抵抗領域の条件によって電圧は変わり、少なくともオフ電圧(−2V)より低い電圧(Vg<−2V)を印加するようにしてもよい。この場合、図25の断面図に示すように、p型の第1低抵抗領域15gの直下に該当するチャネル層14のキャリア欠乏領域Aは、キャリア数がさらに減少して空乏化し、さらに第2低抵抗領域Rの直下に該当するチャネル層14まで広がる。これにより、ドレイン電流Idがほとんど流れなくなる。このときのエネルギーバンド構成は図4のようであり、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcは、フェルミ準位Efよりも完全に高くなる。
一方、ゲート電極25にオン動作時のゲート電圧(Vg=1V)程度を印加し、オン動作時の状態とする。この場合、図25の断面図において示したキャリア欠乏領域Aは消失し、チャネル層14における電子数が増大し、ドレイン電流Idが変調される。このときのエネルギーバンド構成は図5のようであり、チャネル層14内におけるコンダクションバンドエネルギーEcは、フェルミ準位Efよりも低くなる。
<第実施形態の半導体装置の製造方法>
次に、上述した構成の半導体装置2-1の製造方法の一例を、図26ないし図29の断面工程図に基づいて説明する。
[図26]
先ず図26に示したように、例えばGaAsよりなる基板11上に、不純物を添加しないu−GaAs層をエピタキシャル成長させてバッファ層12を形成する。その後、バッファ層12上に、例えばAlGaAs(Al0.2Ga0.8As混晶)層をエピタキシャル成長させて下部障壁層13を形成する。この際、例えば不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域13b、シリコン(Si)を添加したn型AlGaAs層からなるキャリア供給領域13a、および不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域13b’を順次エピタキシャル成長させる。これにより、膜厚方向の中央にn型のキャリア供給領域13aを備えた下部障壁層13を得る。
次に、下部障壁層13上に、例えば不純物を添加しないu−InGaAs層をエピタキシャル成長させてチャネル層14を形成する。
その後、チャネル層14上に、例えばAlGaAs(Al0.2Ga0.8As混晶)層をエピタキシャル成長させて上部障壁層15を形成する。この際、例えば不純物を添加しないu−AlGaAs層からなる高抵抗領域15b、シリコン(Si)を添加したn型のAlGaAs層からなるキャリア供給領域15a、シリコン(Si)を添加したn型のAlGaAs層からなる高抵抗領域15b’、炭素(C)を添加したp型のAlGaAs層からなる第2低抵抗領域Rを順次エピタキシャル成長させる。これにより、膜厚方向の中央にn型のキャリア供給領域15aを備え、最上部に第2低抵抗領域Rを備えた上部障壁層15を得る。
以上の後には、ここでの図示を省略した素子分離の形成を行う。この場合、例えばボロンのイオン注入によって高抵抗化された非活性領域を形成し、これを素子分離とする。これにより、図24に示したアクティブ領域aを島状に分離する。
[図27]
次いで、図27に示したように、素子分離で分離されたアクティブ領域a内においてミアンダ状で、かつ両端においてアクティブ領域を横断する形状に、第2低抵抗領域Rをパターニングする。この際、フォトレジストをマスクとしてウェットエッチングやドライエッチングなどによるパターニングを行う。本例では、第2低抵抗領域Rを、上部障壁層15の一部として高抵抗領域15b’以下と同じ半導体材料で構成したため、第2低抵抗領域Rをエッチングする際に、高抵抗領域15b’の表面層もエッチングされる。尚、第2低抵抗領域Rの半導体材料を高抵抗領域15b’と異なる材料にするか、または第2低抵抗領域Rと高抵抗領域15b’の間にこれらと異なる半導体材料のエッチングストップ層を形成し、選択比を持たせることで、第2低抵抗領域Rのみを除去する事も可能である。
[図28]
次いで図28に示したように、上部障壁層15上に、例えばCVD法により、窒化シリコン(Si34)よりなる絶縁膜21を成膜する。その後、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、第2低抵抗領域Rの中央部分を露出するゲート開口21gを形成する。このゲート開口21gは、アクティブ領域内においてミアンダ状で、かつ両端においてアクティブ領域を横断する大きさで形成する。
この状態で、ゲート開口21gの底部に露出する上部障壁層15の表面層からのp型不純物の導入により、上部障壁層15内に第1低抵抗領域15gを形成する。ここでは、上部障壁層15の表面層を構成する第2低抵抗領域Rの深さを超え、かつキャリア供給領域15aに達することのない深さで、p型不純物である亜鉛(Zn)を拡散させて第1低抵抗領域15gを形成する。亜鉛(Zn)の拡散は、例えば600℃程度の温度での亜鉛化合物気体を用いた気相拡散によって行う。これにより、ゲート開口21gの底部にセルフアラインで第1低抵抗領域15gを形成し、第1低抵抗領域15gの両側に第2低抵抗領域Rが延設された状態とする。
[図29]
次に図29に示すように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を、第1低抵抗領域15g上に形成する。この際、チタン(Ti)、白金(Pt)、および金(Au)を順次マスク蒸着してゲート電極25をパターン形成する。
[図23]
その後は図23に示したように、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、2つ以上の第2低抵抗領域Rを挟む位置において上部障壁層15の高抵抗領域15b’を露出させたソース開口21sおよびドレイン開口21dを形成する。
次いで、ソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15の高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23sおよびドレイン電極23dを形成する。この際、金−ゲルマニウム(AuGe)、ニッケル(Ni)、および金(Au)を順次蒸着してパターンニングし、さらに例えば400℃程度の加熱処理により金系合金形成をしてソース電極23s/ドレイン電極23dを形成する。以上により、半導体装置2-1が完成する。
以上に説明した製造方法により、第9実施形態の半導体装置2-1を形成することができる。この方法によれば、絶縁膜21に形成したゲート開口21gからのp型不純物の拡散によって第1低抵抗領域15gを形成した後、ゲート開口21gを埋め込む状態でゲート電極25を形成する。このため、第1低抵抗領域15g上に、セルフアラインでゲート電極25が形成されることになる。したがって、第9実施形態の半導体装置2-1を容易に得ることが可能である。
尚、ゲート開口21g、第1低抵抗領域15g、およびゲート電極25の形成は、ソース開口21s/ドレイン開口21dおよびソース電極23s/ドレイン電極23dの形成の後に行ってもよい。この場合であっても、第1低抵抗領域15gに対してセルフアラインでゲート電極25が形成されるため、第9実施形態の半導体装置2-1を容易に得ることが可能である。
<第9実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した半導体装置2-1は、n型のチャネル層14に隣接する上部障壁層15の表面側に2つ以上のp型の第1低抵抗領域15gを設け、この上部にゲート電極25を設けたマルチゲート型のJPHEMT構造である。そして、第1低抵抗領域15gの両側に、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rが延設されている。
図25に示したように、このような構成の半導体装置2-1は、オフ動作時に次のような状態となる。すなわち、チャネル層14内には、n型のチャネル層14とp型の第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rとの間のPN接合部に空乏層が広がり、キャリア欠乏領域Aが形成される。これにより、チャネル層14内においてのn型領域Snは、第2低抵抗領域Rの外側にまで後退する。
またここで、p型の第2低抵抗領域Rは、第1低抵抗領域15gよりもp型の電荷量が少なく構成されている。このため、上述したオフ動作時においては、チャネル層14との間のPN接合によって第2低抵抗領域Rが空乏化され易く、p型領域Spは第1低抵抗領域15gにまで後退する。
これにより、p型の第1低抵抗領域15gの両側にp型の第2低抵抗領域Rを延設した構成においては、p型の第2低抵抗領域Rを設けていない構成と比較して、オフ動作時においてのn型領域Snとp型領域Spとの距離d1,d2を拡大することができる。つまり、チャネル層14のキャリア濃度を高くしてオン抵抗Ronを低減させた場合であっても、オフ動作時においてのn型領域Snとp型領域Spとの距離d1,d2を拡大させた分だけ、オフ容量Coffを低減させることができる。
これに対して、図30および図31は、第2低抵抗領域Rを設けていない参照例1の半導体装置2-1Rの断面構成および平面構成をそれぞれ表している。参照例1では、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域Aは、第1低抵抗領域15gの下方より若干横方向に広がる程度である。このため、n型領域Snとp型領域Spとの距離d(いずれも図30には図示せず)は、p型の第2低抵抗領域Rを設けている構成と比較すると短くなる。
したがって、JPHEMT構造における第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設したことにより、オフ容量Coffの低減を図ることが可能になり、トランジスタ特性の向上を図ることが可能になる。
図32には、第9実施形態の半導体装置2-1に関して、図33には、第2低抵抗領域Rを設けていない参照例1の半導体装置2-1Rに関して、デバイスパラメータを変えたときの半導体内部のオフ容量Coffの計算結果を示す。この結果に見られるように、本実施形態の半導体装置2-1においては、参照例1と比較して、デバイスパラメータによらずオフ容量Coffが低く抑えられていることが判る。
図34は、参照例1の半導体装置2-1Rに関して、デバイスパラメータを変えたときのオン抵抗Ronの計算結果を示したものである。第9実施形態の半導体装置2-1と参照例1の半導体装置2-1Rとでオン抵抗Ronは同程度であると仮定する。図35には、第1実施形態の半導体装置2-1に関して、図36には、第2低抵抗領域Rを設けていない参照例1の半導体装置2-1Rに関して、デバイスパラメータを変えたときのRon*Coffの計算結果を示す。参照例1の半導体装置2-1Rは、デバイスパラメータに対してRon*Coffが大きく変動しているものの、本実施形態の半導体装置2-1は変動が小さい。すなわち、デバイス形成の際のデバイスパラメータばらつきに対して、本実施形態の半導体装置2-1は影響が小さいと言える。
尚、以上の第9実施形態は、半導体装置2-1をデプレッション型とした場合を説明したが、エンハンスメント型とした場合であっても同様に考えることができ、上述した説明はよりよく当てはまる。
≪10.第10実施形態≫
(第2低抵抗領域が、積層体の上面のうち第1低抵抗領域を除く領域の全体に設けられた例)
図37は、本技術の第10実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-2の構成を説明する。
<第2実施形態の半導体装置の構成>
図37に示す第10実施形態の半導体装置2-2が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、第2低抵抗領域Rをパターニングせずに、積層体10の上面のうち第1低抵抗領域15gを除く領域の全体に残したところにある。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置2-2では、第2低抵抗領域Rが、積層体10の上面(上部障壁層15の、チャネル層14と逆側の表面)のうち第1低抵抗領域15gを除く領域の全体に設けられている。絶縁膜21には、第1低抵抗領域15gに対して十分な間隔を持ってソース開口21s/ドレイン開口21dが設けられている。
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、それぞれがソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して上部障壁層15の第2低抵抗領域Rにオーミック接合されている。
<第10実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-2は、第9実施形態の半導体装置と同様に動作する。また、この半導体装置2-2の製造は、第9実施形態の半導体装置の製造手順において、第2低抵抗領域Rをパターニングする工程を省けばよい。
<第10実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-2であっても、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rがより広い部分を覆っているため、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域をさらに拡大し、オフ容量Coffをさらに低減する効果が得られる。またさらに、第2低抵抗領域Rのパターニング工程を省くことができるため、第9実施形態の半導体装置の製造と比較して、製造工程数を削減することが可能である。
尚、第10実施形態の半導体装置2-2では、第2低抵抗領域Rに対してソース電極23s/ドレイン電極23dがオーミック接合されるため、コンタクト抵抗が若干高くなってしまう可能性がある。しかしながら、オーミック接合時のアロイ条件を最適化することにより、抵抗の増加分を抑えることが可能である。
≪11.第11実施形態≫
(ソース電極/ドレイン電極との接合部で第2低抵抗領域を除去した例)
図38は、本技術の第11実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-3の構成を説明する。
<第11実施形態の半導体装置の構成>
図38に示す第11実施形態の半導体装置2-3が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置と異なるところは、ソース電極23s/ドレイン電極23dとの接合部においてのみ、第2低抵抗領域Rを除去したところにある。第2低抵抗領域Rは、二つ以上のゲート電極25の間において連続して設けられている。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本第実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置2-3では、積層体10の上面(上部障壁層15の、チャネル層14と逆側の表面)のほぼ全面に第2低抵抗領域Rが設けられており、ソース電極23s/ドレイン電極23dとの接合部においてのみ第2低抵抗領域Rが除去されている。絶縁膜21には、第1低抵抗領域15gに対して十分な間隔を持ってソース開口21s/ドレイン開口21dが設けられている。
ソース開口21s/ドレイン開口21dの底部においては、絶縁膜21をマスクにした等方的なエッチングによって第2低抵抗領域Rが除去されていて、高抵抗領域15b’が露出した状態となっている。
ソース電極23sおよびドレイン電極23dは、それぞれがソース開口21sおよびドレイン開口21dを介して、第2低抵抗領域Rに接触することなく高抵抗領域15b’にオーミック接合されている。
<第11実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-3は、第9実施形態の半導体装置と同様に動作する。またこの半導体装置2-3の製造は、次のように行う。
[図39]
先ず図39に示したように、基板11上に、バッファ層12から第2低抵抗領域Rまでを成膜し、さらに絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。次に、ゲート開口21gからの不純物拡散により、第2低抵抗領域Rから高抵抗領域15b’に達するp型の第1低抵抗領域15gを形成する。
[図40]
次に、図40に示したように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を、第1低抵抗領域15g上に形成する。
以上までの工程は、第9実施形態において図26ないし図29を用いて説明した製造手順において、第2低抵抗領域Rをパターニングする工程を省けばよい。
[図41]
次に、図41に示すように、絶縁膜21をパターンエッチングすることにより、第2低抵抗領域Rを挟む位置において第2低抵抗領域Rを露出させたソース開口21sおよびドレイン開口21dを形成する。その後、ソース開口21s/ドレイン開口21dが形成された絶縁膜21をマスクにして、第2低抵抗領域Rを等方的にエッチングする。これにより、ソース開口21s/ドレイン開口21dの底部に高抵抗領域15b’を露出させると共に、ソース開口21s/ドレイン開口21dの側壁から第2低抵抗領域Rを後退させる。
尚、このエッチング工程における高抵抗領域15b’の削れを防ぐことを目的とし、第2低抵抗領域Rを高抵抗領域15b’と異なる材料を用いて形成したり、第2低抵抗領域Rと高抵抗領域15b’との間に、これらと異なる半導体材料のエッチングストップ層を形成してもよい。
[図38]
その後は図38に示したように、ソース開口21s/ドレイン開口21dを介して上部障壁層15の高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23sおよびドレイン電極23dを形成する。この際、金−ゲルマニウム(AuGe)、ニッケル(Ni)、および金(Au)を順次、異方的に蒸着することにより、蒸着した材料膜と第2低抵抗領域Rとの間に中空部Gを残す。次に、これらの材料膜をパターンニングし、さらに例えば400℃程度の加熱処理により金系合金形成をしてソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置2-3を完成させる。
<第11実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-3は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rがより広い部分を覆っているため、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域をさらに拡大し、オフ容量Coffをさらに低減する効果が得られる。しかも、p型の第2低抵抗領域Rを部分的にエッチング除去することにより、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの接触を回避した構成であるため、コンタクト抵抗の増加を防ぐこともできる。
また、この半導体装置2-3の製造においては、ソース開口21s/ドレイン開口21dを設けた絶縁膜21をマスクにして第2低抵抗領域Rをウェットプロセスで等方的にエッチング除去し、ソース電極23s/ドレイン電極23dの形成においては異方的な成膜を行っている。これにより、中空部Gによって第2低抵抗領域Rとの接触を回避したソース電極23s/ドレイン電極23dの形成が、セルフアラインで行われる。したがって、上述した構成の半導体装置1-3におけるソース電極23s/ドレイン電極23dの形成を高精度に行うことが可能である。
尚、この構成の半導体装置2-3においては、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に中空部Gを残すことにより、これらの間の絶縁性を確保している。しかしながら、プロセス中における中空部Gへの異物の混入を防止することを目的として、次のプロセスを追加してもよい。すなわち、ソース電極23s/ドレイン電極23dを形成する前の図41に示した状態において、例えばALD法などにより、ソース開口21s/ドレイン開口21dの側壁から第2低抵抗領域Rを後退させた部分を埋め込む膜厚で絶縁膜を形成する。次いで、絶縁膜をウェットプロセスによってエッチングし、低ダメージで高抵抗領域15b’を露出させる。その後、先に説明したソース電極23sおよびドレイン電極23dの形成を行う。以上により、中空部Gを埋め込んだ絶縁膜によって、第2低抵抗領域Rとソース電極23s/ドレイン電極23dとの絶縁性を確保した構成とすることができ、中空部Gへの異物の混入によるデバイス特性への悪影響を抑えることが可能となる。
≪12.第12実施形態≫
(第2低抵抗領域の上部に高抵抗領域を設けた例)
図42は、本技術の第12実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-4の構成を説明する。
<第12実施形態の半導体装置の構成>
図42に示す第12実施形態の半導体装置2-4が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、p型の第2低抵抗領域Rの上に、高抵抗領域16が形成されているところにある。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置2-4における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面層を構成する第2低抵抗領域Rがパターニングされた構成であり、このパターニングされた部分に高抵抗領域16が積層された形状となっている。p型の第1低抵抗領域15gは、高抵抗領域16から、上部障壁層15における第2低抵抗領域Rおよび高抵抗領域15b’にわたる深さで設けられている。
第2低抵抗領域Rの上部に配置される高抵抗領域16は、薄い膜厚であってよい。この高抵抗領域16は、第2低抵抗領域Rに対して良好に格子整合する化合物半導体であれば、第2低抵抗領域Rと異なる半導体材料で構成されていてもよい。また、この高抵抗領域16には、不純物が含有されていてもいなくてもよく、含有されている場合にはp型の不純物でもn型の不純物でもよい。高抵抗領域16に含有されるp型不純物としては、炭素(C)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)が用いられる。n型不純物としてはシリコン(Si)が用いられる。これらの不純物は、高抵抗領域16の形成方法によって適宜選択して用いられる。
<第12実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-4は、第9実施形態の半導体装置2-1と同様に動作する。またこの半導体装置2-4の製造は、第9実施形態の半導体装置2-1の製造手順において、p型の第2低抵抗領域Rの上に、高抵抗領域16を構成する層をあらかじめ成膜しておけばよく、同一のマスクを用いて高抵抗領域16とp型の第2低抵抗領域Rとをパターニングすればよい。
<第12実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-4は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rの上に高抵抗領域16が形成されているため、第2低抵抗領域Rが界面トラップの影響を受け難くなり、オフ動作時において第2低抵抗領域Rとチャネル層14との間の空乏層を制御し易くなる。これにより、第9実施形態の効果において図25を用いて説明した、オフ動作時におけるn型領域Snおよびp型領域Spの領域の後退量を確実に制御することが可能となり、所望の動作の実現が容易となる。
尚、本第12実施形態は、第9実施形態への適用に限定されることはなく、第10または第11実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本実施形態の効果と合わせて、さらに第10または第11実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪13.第13実施形態≫
(不純物拡散による第2低抵抗領域を設けた例)
図43は、本技術の第13実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-5の構成を説明する。
<第13実施形態の半導体装置の構成>
図43に示した第13実施形態の半導体装置2-5が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、第2低抵抗領域Rが不純物の拡散により形成されているところにある。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置2-5における上部障壁層15は、チャネル層14と逆側の表面層が高抵抗領域15b’で構成されており、この高抵抗領域15b’の表面層に第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rが不純物拡散によって形成された構成となっている。
<第13実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-5は、第9実施形態の半導体装置2-1と同様に動作する。またこの半導体装置2-5の製造は、次のように行う。
[図44]
先ず図44に示したように、基板11上に、バッファ層12から高抵抗領域15b’までを成膜する。以上までの工程は、第9実施形態において図26を用いて説明した製造手順において、第2低抵抗領域Rを成膜する工程を省けばよい。
[図45]
次に図45に示したように、高抵抗領域15b’上に、例えば窒化シリコンで構成されたマスク30を形成する。このマスク30を介しての不純物拡散により、高抵抗領域15b’の表面層に第2低抵抗領域Rを形成するためのp型不純物を拡散させる。この際、例えばp型不純物として亜鉛(Zn)を拡散させることで、拡散深さを高精度に制御する。亜鉛(Zn)の拡散は、第9実施形態における第1低抵抗領域15gの形成と同様に行う。拡散終了後には、マスク30を除去する。
[図46]
次に図46に示したように、第2低抵抗領域Rが形成された高抵抗領域15b’上に絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。そしてゲート開口21gからの不純物拡散により、第2低抵抗領域Rの中央に、高抵抗領域15b’にまで達する深さで第1低抵抗領域15gを形成するためのp型不純物を拡散させる。
[図47]
次いで図47に示したように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を第1低抵抗領域15g上に形成する。
[図43]
その後は図43に示したように、絶縁膜21に高抵抗領域15b’を露出させたソース開口21s/ドレイン開口21dを形成し、これらを介して高抵抗領域15b’にオーミック接合されたソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置2-5を完成させる。以上の図47以降に説明した工程は、第9実施形態における図28以降に説明した工程と同様に行えばよい。
<第13実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-5は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2低抵抗領域Rが拡散により形成されているため、ウェットエッチングにより第2低抵抗領域Rを除去する工程を行う必要がない。
さらに、平坦に保たれた上部障壁層15上において各構成要素のパターニングの制御性を確保した構成でありながらも、第2低抵抗領域Rとの接触を回避して高抵抗領域15b’に対してソース電極23s/ドレイン電極23dをオーミック接合させた構成であるため、コンタクト抵抗を低く抑えることも可能である。
≪14.第14実施形態≫
(上部障壁層とソース電極およびドレイン電極との間にキャップ層を設けた例)
図48は、本技術の第14実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-6の構成を説明する。
<第14実施形態の半導体装置の構成>
図48に示した第14実施形態の半導体装置2-6が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、キャップ層33を設けたところにある。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、キャップ層33は、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、第1低抵抗領域15gとは逆導電型でチャネル層14と同一導電型の不純物(ここではn型の不純物)を含有する層として設けられている。このキャップ層33は、n型不純物をある程度の量で含有した低抵抗領域として構成されていることとする。
またキャップ層33は、ソース電極23s/ドレイン電極23dの下地としてパターニングされた状態で設けられ、ここでは一例として同一形状にパターニングされた第2低抵抗領域R上に設けられている。この場合、キャップ層33の下地となる第2低抵抗領域R部分は、第1低抵抗領域15gから延設された第2低抵抗領域Rとは分離されていることとする。
以上のようなキャップ層33は、下地となる上部障壁層15部分に対して格子整合する化合物半導体材料を用いて構成されていればよく、上部障壁層15のバンドギャップと一致していなくてもよい。ただし、下地となる上部障壁層15とのバンドギャップが異なると、接合部にポテンシャルの障壁ができるため、オーミック接合における抵抗が高くなるおそれがある。したがって、キャップ層33のバンドギャップは、下地となる上部障壁層15のバンドギャップに対して、半導体装置2-6の特性に影響のない程度の範囲で一致させることする。以上のようなキャップ層33は、上部障壁層15の表面層(ここでは第2低抵抗領域R)がAlGaAs混晶からなる場合、例えばn型の不純物を含有するGaAsにより構成されていることとする。
<第14実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-6は、第9実施形態の半導体装置2-1と同様に動作する。またこの半導体装置2-6の製造は、次のように行う。
[図49]
先ず図49に示したように、基板11上に、バッファ層12から第2低抵抗領域Rまでを成膜し、上部障壁層15を形成する。以上までの工程は、第9実施形態において図26を用いて説明した製造手順と同様に行えばよい。次に、上部障壁層15の形成に続けてキャップ層33となるn型GaAs層をエピタキシャル成長させる工程を行い、その後、ボロンのイオン注入によってここでの図示を省略した素子分離を形成する。
[図50]
次に図50に示したように、キャップ層33をパターニングして第2低抵抗領域Rを露出させる。次いで第2低抵抗領域Rの露出した周縁部分をパターニング除去し、キャップ層33から露出している第2低抵抗領域Rと、キャップ層33の下部の第2低抵抗領域Rとを分離する。
[図51]
次に図51に示したように、キャップ層33を覆う状態で上部障壁層15上に絶縁膜21を形成し、この絶縁膜21にゲート開口21gを形成する。そしてゲート開口21gからの不純物拡散により、キャップ層33から露出させた第2低抵抗領域Rの中央に、高抵抗領域15b’にまで達する深さで第1低抵抗領域15gを形成するためのp型不純物を拡散させる。
[図52]
次いで図52に示したように、ゲート開口21gを埋め込む形状のゲート電極25を第1低抵抗領域15g上に形成する。
[図48]
その後は図48に示したように、絶縁膜21にキャップ層33を露出させたソース開口21s/ドレイン開口21dを形成し、これらを介してキャップ層33にオーミック接合されたソース電極23s/ドレイン電極23dを形成し、半導体装置2-6を完成させる。以上の図51以降に説明した工程は、第9実施形態における図28以降に説明した工程と同様に行えばよい。
<第14実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-6は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上部障壁層15とソース電極23s/ドレイン電極23dとの間に、チャネル層14と同一のn型のキャップ層33を設けた構成である。これにより、キャップ層33が、チャネル層14に対するキャリア供給源となり、キャップ層33の直下のチャネル層14のシートキャリア密度を高くすることができ、チャネル抵抗およびアクセス抵抗を低くすることができる。この結果、さらにオン抵抗Ronを小さくすることが可能になるため、さらに最大ドレイン電流Idmaxを高くする効果を期待できる。
尚、本実施形態は、第9実施形態への適用に限定されることはなく、第10ないし第13実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた各実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪15.第15実施形態≫
(ソース電極およびドレイン電極を第2低抵抗領域上に設けた例)
図53は、本技術の第15実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-7の構成を説明する。
<第15実施形態の半導体装置の構成>
図53に示した第15実施形態の半導体装置2-7が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、ソース電極23sおよびドレイン電極23dが第2低抵抗領域R上に形成されているところにある。他の構成は第9実施形態と同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、半導体装置2-7の上部障壁層15では、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの下に第2低抵抗領域Rが残されている。
<第15実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
以上のような構成を有する半導体装置2-7は、第9実施形態の半導体装置2-1と同様に動作する。またこの半導体装置2-7の製造は、第9実施形態で説明した半導体装置2-1の製造手順において、第2低抵抗領域Rのパターニング形状を、ソース電極23sおよびドレイン電極23dの下に第2低抵抗領域Rが残る形状とすればよい。
<第15実施形態の半導体装置の効果>
以上説明した構成の半導体装置2-7は、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15g間の全領域において、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成である。また、第2低抵抗領域Rがより広い部分を覆っているため、オフ動作時にチャネル層14に形成されるキャリア欠乏領域Aをさらに拡大し、オフ容量Coffをさらに低減する効果が得られる。このため、第9実施形態より、オフ容量Coffを低減させる効果が大きい。
尚、本実施形態の半導体装置2-7では、第2低抵抗領域Rに対してソース電極23s/ドレイン電極23dがオーミック接合されるため、コンタクト抵抗が若干高くなってしまう可能性がある。しかしながら、オーミック接合時のアロイ条件を最適化することにより、抵抗の増加分を抑えることが可能である。
尚、本実施形態は、第9実施形態への適用に限定されることはなく、第10ないし第14実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪16.第16実施形態≫
(積層体中にソース領域およびドレイン領域を設けた例)
図54は、本技術の第16実施形態に係る半導体装置の要部断面構成を表したものである。以下、この図に基づいて、この半導体装置2-8の構成を説明する。
<第16実施形態の半導体装置の構成>
図54に示す第16実施形態の半導体装置2-8が、図23を用いて説明した第9実施形態の半導体装置2-1と異なるところは、上部障壁層15からバッファ層12にまで達してソース領域35s/ドレイン領域35dが設けられているところにあり、他の構成は同様である。よって、第9実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、本実施形態での詳細な説明は省略する。
すなわち、この半導体装置2-8では、ソース電極23s下部の積層体10中にソース領域35sが設けられ、ドレイン電極23d下部の積層体10中にドレイン領域35dが設けられている。ソース領域35s/ドレイン領域35dは、パターニングされた第2低抵抗領域Rの外側において、上部障壁層15からバッファ層12にまで達する深さ、少なくともチャネル層14にまで達する深さの不純物領域として設けられている。このようなソース領域35s/ドレイン領域35dは、チャネル層14と同一の導電型の不純物を含有し、ここではn型の不純物領域として構成されている。
ソース電極23s/ドレイン電極23dは、これらのソース領域35s/ドレイン領域35dに対してオーミック接合されている。
<第16実施形態の半導体装置の動作および製造方法>
この半導体装置2-8は、第9実施形態の半導体装置2-1と同様に動作する。またこの半導体装置2-8の製造は、第9実施形態の半導体装置2-1の製造手順において図27を用いて説明したように第2低抵抗領域Rをパターニングした後、イオン注入法によりn型の不純物を拡散させてソース領域35s/ドレイン領域35dを形成する工程を追加すればよい。
<第16実施形態の半導体装置の効果>
このように本実施の形態では、JPHEMT構造において、第1低抵抗領域15gの両側に、これよりもp型の電荷量が少ない第2低抵抗領域Rを延設した構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。そして第2低抵抗領域Rを挟む状態で、チャネル層14にまで達する深さのn型のソース領域35s/ドレイン領域35dを設けたことにより、第2低抵抗領域Rの直下のチャネル層14の両側のシートキャリア密度を高くすることができ、さらにソース電極23s/ドレイン電極23dと上部障壁層15とのコンタクト抵抗を低くすることができるため、チャネル抵抗およびアクセス抵抗を低くすることができる。これにより、さらにオン抵抗Ronを小さくすることができ、加えて最大ドレイン電流Idmaxを高くすることが可能である。
尚、本第16実施形態は、第9実施形態への適用に限定されることはなく、第10〜第15実施形態と組み合わせることも可能である。これにより、本第16実施形態の効果と合わせて、さらに組み合わせた実施形態の効果を得ることが可能になる。
≪17.変形例1≫
以上説明した第1実施形態〜第16実施形態においては、基板11の上部に形成される化合物半導体を用いた各層は、各層間において格子整合しているとした。しかしながら、本技術は、このような構成に限定されることはなく、基板11の上部に形成される化合物半導体を用いた各層は、シュードモルフィック技術により成長させた化合物半導体層や、メタモルフィック技術により成長させた格子定数の異なる化合物半導体層を用いてもよい。例えば、GaAsで構成された基板11上に、GaAsと格子定数の異なる化合物半導体をメタモルフィック成長させてチャネル層14としてもよい。
≪18.変形例2≫
また、上記第1実施形態ないし第16実施形態では、上部障壁層15内に逆導電型の第1低抵抗領域15gを設けた、いわゆるJPHEMT構造の半導体装置1-1〜1-8、2-1〜2-8について説明したが、第2低抵抗領域Rのバンドを変調することができれば、他の構成を取ってもよい。例えば、本技術は、JPHEMT構造に限らず、チャネルを不純物層としたJFET(Junction FET)や、上部障壁層とゲート電極との間に絶縁膜を形成したMISJPHEMT(Metal-Insulator-Semiconductor JPHEMT)など、他の構造を有する半導体装置への適用も可能である。
図55は、JFET構造を有する半導体装置の要部断面構成を表したものである。この半導体装置1-9は、化合物半導体で構成されたチャネル層14を含む積層体10と、この積層体10の上面側に設けられたゲート電極25とを有している。
より詳細には、半導体装置1-9では、化合物半導体からなる基板11上に、各化合物半導体材料からなるバッファ層12およびチャネル層14がこの順に積層されている。バッファ層12およびチャネル層14が、積層体10を構成している。積層体10上には、第1実施形態と同様に、絶縁膜21を間にして、ソース電極23s/ドレイン電極23dと、ゲート電極25とが設けられている。
また、この半導体装置1-9では、積層体10は、ゲート電極25に対向して積層体10の上面側に設けられた第1低抵抗領域15gと、第1低抵抗領域15gの外側に第1低抵抗領域15gに連続して設けられた第2低抵抗領域Rとを有している。これにより、この半導体装置1-9では、オフ容量を低減することが可能となっている。
なお、図55では、第2低抵抗領域Rの端ERが、ゲート電極25の端E25よりも外側に位置している場合を表しているが、第2低抵抗領域Rの端ERは、必ずしもゲート電極25の端E25よりも外側に位置していなくてもよい。
チャネル層14は、例えばn型不純物領域であり、第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rは、例えばp型不純物領域である。なお、チャネル層14の導電型と、第1低抵抗領域15gおよび第2低抵抗領域Rの導電型とは逆であってもよい。
図56は、MISJPHEMT構造を有する半導体装置の要部断面構成を表したものである。この半導体装置1−10は、化合物半導体で構成されたチャネル層14を含む積層体10と、この積層体10の上面側に設けられたゲート電極25とを有している。
より詳細には、半導体装置1-10では、化合物半導体からなる基板11上に、各化合物半導体材料からなるバッファ層12、下部障壁層13、チャネル層14、および上部障壁層15がこの順に積層されている。バッファ層12ないし上部障壁層15が、積層体10を構成している。積層体10上には、第1実施形態と同様に、絶縁膜21を間にして、ソース電極23s/ドレイン電極23dと、ゲート電極25とが設けられている。上部障壁層15とゲート電極25との間には、ゲート絶縁膜26が設けられている。
また、この半導体装置1-10では、積層体10は、ゲート電極25に対向して積層体10の上面側に設けられた第1低抵抗領域15gと、第1低抵抗領域15gの外側に第1低抵抗領域15gに連続して設けられた第2低抵抗領域Rとを有している。これにより、この半導体装置1-10では、オフ容量を低減することが可能となっている。
なお、図55または図56では、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間に一つのゲート電極25が設けられている場合を表している。しかしながら、本変形例は、第9実施形態ないし第16実施形態のようにソース電極23sとドレイン電極23dとの間に二つ以上のゲート電極25を設けたマルチゲート構造にも対応可能である。
≪19.変形例3≫
更に、上記第9実施形態では、図57に拡大して表したように、折り返し部分25Aのデバイスパラメータ(Lgs,Lgd,Lgg)が、直線部分25Bのデバイスパラメータと同じである場合について説明した。しかしながら、折り返し部分25Aのデバイスパラメータは、直線部分25Bのデバイスパラメータとは異なっていてもよい。例えば図58に示したように、折り返し部分25AのデバイスパラメータLgsA,LgdA,LggAは、直線部分25BのデバイスパラメータLgsB,LgdB,LggBよりも広くすることも可能である。折り返し部分25Aはオン抵抗Ronへの影響は小さいもののオフ容量Coffへは影響する。したがって、折り返し部分25AのデバイスパラメータLgsA,LgdA,LggAを、直線部分25BのデバイスパラメータLgsB,LgdB,LggBよりも広くすることにより、図35に示したように、オフ容量Coffを低減することが可能となり、Ron*Coffを低減することが可能となる。なお、図57および図58では、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間に三つのゲート電極25が設けられている場合を表している。
≪20.適用例≫
(アンテナスイッチ回路、無線通信装置)
以上のような各実施形態で説明した半導体装置は、例えば、移動体通信システムなどにおける無線通信装置に用いられ、特にそのアンテナスイッチとして用いられる。このような無線通信装置としては、通信周波数がUHF(ultra high frequency)帯以上のもので効果が特に発揮される。
つまり第1〜第16実施形態で説明した、オフ容量Coffが低く高調波歪特性に優れた半導体装置を無線通信装置のアンテナスイッチに用いることにより、無線通信装置の小型化および低消費電力化を図ることが可能になる。特に、携帯通信端末においては、装置の小型化および低消費電力化による使用時間の延長により、携帯性の向上を図ることが可能になる。
図59は、アンテナスイッチ回路の一例を表したものである。このアンテナスイッチ回路3-1は、携帯電話などの移動体通信システムに用いられるものであり、例えば、第1の端子INと、第2の端子IOと、第3の端子OUTと、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを有している。
第1の端子INは、送信信号が入力されるものである。第2の端子IOは、アンテナに接続されている。第3の端子OUTは、アンテナで受信した受信信号を出力するものである。第1のスイッチング素子SW1は、第1の端子INと第2の端子IOとの間に接続されている。第2のスイッチング素子SW2は、第2の端子IOと第3の端子OUTとの間に接続されている。第1のスイッチング素子SW1および第2のスイッチング素子SW2の両方または一方は、第1ないし第8実施形態に係る半導体装置1-1〜1-8のいずれかにより構成されている。
第1の端子INと電源(この例では接地)との間には、第3のスイッチング素子SW3が接続されている。第3の端子OUTと電源(この例では接地)との間には、第4のスイッチング素子SW4が接続されている。第3のスイッチング素子SW3および第4のスイッチング素子SW4の両方または一方は、第1ないし第8実施形態に係る半導体装置1-1〜1-8のいずれかにより構成されている。
このアンテナスイッチ回路3-1では、送信時、すなわち、無線通信装置の送信系から送信信号をアンテナへと出力する場合には、第1のスイッチング素子SW1および第4のスイッチング素子SW4が導通状態になり、かつ第2のスイッチング素子SW2および第3のスイッチング素子SW3が非導通状態になる。このとき、送信信号が、第1の端子INから入力され、第1のスイッチング素子SW1を介して第2の端子IOへと出力される。
受信時、すなわち、アンテナで受信した信号を無線通信装置の受信系へ入力させる場合には、第1のスイッチング素子SW1および第4のスイッチング素子SW4が非導通状態になり、かつ第2のスイッチング素子SW2および第3のスイッチング素子SW3が導通状態になる。このとき、アンテナで受信した受信信号が、第2の端子IOから入力され、第2のスイッチング素子SW2を介して第3の端子OUTへと出力される。
図60は、アンテナスイッチ回路の他の例を表したものである。このアンテナスイッチ回路3-2は、第1ないし第4のスイッチング素子SW1〜SW4のうちの少なくとも一つを、例えば、第1ないし第8実施形態に係る半導体装置1-1〜1-8のいずれかを多段接続(図60では例えば2段接続)したものにより構成したものである。これにより、このアンテナスイッチ回路3-2では、耐電力性を向上させることが可能となる。
すなわち、第1のスイッチング素子SW1は、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間の一つのゲート電極25を有する半導体装置1-1〜1-8を複数個、直列接続したものである。第1のスイッチング素子SW1は、ソース電極23s、ゲート電極25、ドレイン電極23d、ソース電極23s、ゲート電極25、ドレイン電極23dがこの順に配列されたスタック構造をなしている。第2ないし第4のスイッチング素子SW2〜SW4も同様である。
図61は、アンテナスイッチ回路の更に他の例を表したものである。このアンテナスイッチ回路3-3は、第1ないし第4のスイッチング素子SW1〜SW4のうちの少なくとも一つを、例えば、第9ないし第16実施形態に係る半導体装置2-1〜2-8のいずれかにより構成したものである。これにより、このアンテナスイッチ回路3-3では、耐電力性を向上させることが可能となる。
図62は、アンテナスイッチ回路の更に他の例を表したものである。このアンテナスイッチ回路3-4は、第1ないし第4のスイッチング素子SW1〜SW4のうちの少なくとも一つを、例えば、第9ないし第16実施形態に係る半導体装置2-1〜2-8のいずれかを多段接続(図62では例えば2段接続)したものにより構成したものである。これにより、このアンテナスイッチ回路3-4では、更に耐電力性を向上させることが可能となる。
すなわち、第1のスイッチング素子SW1は、ソース電極23sとドレイン電極23dとの間の二つ以上のゲート電極25を有するマルチゲート構造の半導体装置2-1〜2-8を複数個、直列接続したものである。第1のスイッチング素子SW1は、例えば、ソース電極23s、ゲート電極25、ゲート電極25、ドレイン電極23d、ソース電極23s、ゲート電極25、ゲート電極25、ドレイン電極23dがこの順に配列されたスタック構造をなしている。第2ないし第4のスイッチング素子SW2〜SW4も同様である。
図63は、無線通信装置の一例を表したものである。この無線通信装置4-1は、例えば、音声、データ通信、LAN接続など多機能を有する携帯電話システムである。無線通信装置4-1は、例えば、アンテナANTと、アンテナスイッチ回路3と、高電力増幅器HPAと、高周波集積回路RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)と、ベースバンド部BBと、音声出力部MICと、データ出力部DTと、インタフェース部I/F(例えば、無線LAN(W−LAN;Wireless Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、他)とを有している。アンテナスイッチ回路3は、図59ないし図62に示したアンテナスイッチ回路3-1〜3-4のいずれかにより構成されている。高周波集積回路RFICとベースバンド部BBとはインタフェース部I/Fにより接続されている。
この無線通信装置4-1では、送信時、すなわち、無線通信装置4-1の送信系から送信信号をアンテナANTへと出力する場合には、ベースバンド部BBから出力される送信信号は、高周波集積回路RFIC、高電力増幅器HPA、およびアンテナスイッチ回路3を介してアンテナANTへと出力される。
受信時、すなわち、アンテナANTで受信した信号を無線通信装置4-1の受信系へ入力させる場合には、受信信号は、アンテナスイッチ回路3および高周波集積回路RFICを介してベースバンド部BBに入力される。ベースバンド部BBで処理された信号は、音声出力部MICと、データ出力部DTと、インタフェース部I/Fなどの出力部から出力される。
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれら実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、半導体装置1-1〜1-8,2-1〜2-8、アンテナスイッチ回路3-1〜3-4、および無線通信装置4-1の構成を具体的に挙げて説明したが、半導体装置1-1〜1-1,2-1〜2-8、アンテナスイッチ回路3-1〜3-4、および無線通信装置4-1は、図示した構成要素を全て備えるものに限定されるものではない。また、一部の構成要素を他の構成要素に置換することも可能である。
また、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
を備え、
前記積層体は、
前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられた第1低抵抗領域と、
前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられた第2低抵抗領域と
を有する半導体装置。
(2)
前記第1低抵抗領域は、前記チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有し、
前記第2低抵抗領域は、前記第1低抵抗領域よりも前記第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない
前記(1)記載の半導体装置。
(3)
前記第2低抵抗領域は、前記第1低抵抗領域よりも前記第2導電型の不純物濃度が低い
前記(2)記載の半導体装置。
(4)
前記第2低抵抗領域の厚みは、前記第1低抵抗領域の厚みよりも薄い
前記(2)または(3)記載の半導体装置。
(5)
更に、前記積層体の上面側に、ソース電極およびドレイン電極を備え、
前記ゲート電極は、前記ソース電極および前記ドレイン電極の間に二つ以上設けられている
前記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(6)
前記ソース電極および前記ドレイン電極は、各々櫛歯形状を有すると共に互いに隙間をあけて噛み合わせた平面形状を有し、
前記二つ以上のゲート電極は、前記隙間を蛇行する平面形状を有する
前記(5)記載の半導体装置。
(7)
前記二つ以上のゲート電極は、前記ソース電極および前記ドレイン電極の複数の櫛歯部分の先端に沿った折り返し部分を有し、
前記折り返し部分は、曲線を含む平面形状を有する
前記(6)記載の半導体装置。
(8)
前記第2低抵抗領域は、前記二つ以上のゲート電極の間において連続して設けられている
前記(5)ないし(7)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(9)
前記積層体は、前記チャネル層と、上部の障壁層とをこの順に有し、
前記上部の障壁層は、前記チャネル層との接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、前記チャネル層よりも前記チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体で構成されている
前記(1)ないし(8)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(10)
前記積層体は、前記チャネル層の下に、下部の障壁層を更に有し、
前記下部の障壁層は、前記チャネル層との接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、前記チャネル層よりも前記チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体で構成されている
前記(9)記載の半導体装置。
(11)
前記チャネル層は、III−V族化合物半導体であるInGaAs混晶で構成され、
前記障壁層は、III−V族化合物半導体であるIn(AlGa)AsP混晶で構成された
前記(9)または(10)記載の半導体装置。
(12)
前記第2低抵抗領域は、前記積層体の上面のうち前記第1低抵抗領域を除く領域の全体に設けられている
前記(1)ないし(11)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(13)
前記第2低抵抗領域の上に、高抵抗層を更に備えた
前記(1)ないし(12)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(14)
前記ゲート電極に電圧を印加したオフ状態において、前記第2低抵抗領域の直下における前記チャネル層内のキャリアと、前記第2低抵抗領域内のキャリアと逆導電型の電荷とが枯渇する
前記(1)ないし(13)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(15)
前記チャネル層は、GaAsで構成された基板上に設けられた
前記(1)ないし(14)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(16)
前記チャネル層は、前記基板上にGaAsと格子定数の異なる化合物半導体をメタモルフィック成長させてなる
前記(15)記載の半導体装置。
(17)
送信信号が入力される第1の端子と、
アンテナに接続された第2の端子と、
前記アンテナで受信した受信信号を出力する第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と
を備え、
送信時に前記第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が非導通状態になり、受信時に前記第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が導通状態になり、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、
化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
を備え、
前記積層体は、
前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられた第1低抵抗領域と、
前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられた第2低抵抗領域と
を有するアンテナスイッチ回路。
(18)
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、マルチゲート構造を有する
前記(17)記載のアンテナスイッチ回路。
(19)
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、複数のスイッチング素子を多段接続してなる
前記(17)または(18)記載のアンテナスイッチ回路。
(20)
アンテナと、
前記アンテナへの送信信号の入力または前記アンテナで受信した受信信号の出力の切り替えを行うアンテナスイッチ回路を備え、
前記アンテナスイッチ回路は、
送信信号が入力される第1の端子と、
アンテナに接続された第2の端子と、
前記アンテナで受信した受信信号を出力する第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と
を備え、
送信時に前記第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が非導通状態になり、受信時に前記第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が導通状態になり、
前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、
化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
を備え、
前記積層体は、
前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられた第1低抵抗領域と、
前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられた第2低抵抗領域と
を有する無線通信装置。
(21)
化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体を形成する工程と、
前記積層体の上面側にゲート電極を形成する工程と
を含み、
前記積層体の上面側に、前記ゲート電極に対向する第1上面領域と、それ以外の第2上面領域とを設け、
前記積層体の前記第2上面領域の少なくとも一部に低抵抗領域を設ける
半導体装置の製造方法。
1-1,1-2,1-3,1-4,1-5,1-6,1-7,1-8,2-1,2-2,2-3,2-4,2-5,2-6,2-7,2-8…半導体装置、アンテナスイッチ回路3-1〜3-4、無線通信装置4-1、13…下部障壁層、14…チャネル層、15…上部障壁層、15g…第1低抵抗領域、16…高抵抗領域、21…絶縁膜、23s…ソース電極、23d…ドレイン電極、25…ゲート電極、33…キャップ層、35s…ソース領域、35d…ドレイン領域、R…第2低抵抗領域

Claims (17)

  1. 化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
    前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
    を備え、
    前記積層体は、
    前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられ、前記チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有する第1低抵抗領域と、
    前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられ、前記第1低抵抗領域よりも前記第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない第2低抵抗領域と
    前記第2低抵抗領域の上に設けられた高抵抗層と
    を有し、
    前記第1低抵抗領域は、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有し、
    前記第2低抵抗領域における前記第2導電型の不純物濃度は、前記第1低抵抗領域のうち前記浅い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、前記第1低抵抗領域のうち前記深い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低い
    半導体装置。
  2. 前記第2低抵抗領域の厚みは、前記第1低抵抗領域の厚みよりも薄い
    請求項1記載の半導体装置。
  3. 更に、前記積層体の上面側に、ソース電極およびドレイン電極を備え、
    前記ゲート電極は、前記ソース電極および前記ドレイン電極の間に二つ以上設けられている
    請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記ソース電極および前記ドレイン電極は、各々櫛歯形状を有すると共に互いに隙間をあけて噛み合わせた平面形状を有し、
    前記二つ以上のゲート電極は、前記隙間を蛇行する平面形状を有する
    請求項3記載の半導体装置。
  5. 前記二つ以上のゲート電極は、前記ソース電極および前記ドレイン電極の複数の櫛歯部分の先端に沿った折り返し部分を有し、
    前記折り返し部分は、曲線を含む平面形状を有する
    請求項4記載の半導体装置。
  6. 前記第2低抵抗領域は、前記二つ以上のゲート電極の間において連続して設けられている
    請求項3ないし5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記積層体は、前記チャネル層と、上部の障壁層とをこの順に有し、
    前記上部の障壁層は、前記チャネル層との接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、前記チャネル層よりも前記チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体で構成されている
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記積層体は、前記チャネル層の下に、下部の障壁層を更に有し、
    前記下部の障壁層は、前記チャネル層との接合部におけるキャリア走行側のエネルギー帯が、前記チャネル層よりも前記チャネル層内真性フェルミ準位から遠い化合物半導体で構成されている
    請求項7記載の半導体装置。
  9. 前記チャネル層は、III−V族化合物半導体であるInGaAs混晶で構成され、
    前記障壁層は、III−V族化合物半導体であるIn(AlGa)AsP混晶で構成された
    請求項7または8記載の半導体装置。
  10. 前記第2低抵抗領域は、前記積層体の上面のうち前記第1低抵抗領域を除く領域の全体に設けられている
    請求項1ないし9のいずれか1項に記載の半導体装置。
  11. 前記ゲート電極に電圧を印加したオフ状態において、前記第2低抵抗領域の直下における前記チャネル層内のキャリアと、前記第2低抵抗領域内のキャリアと逆導電型の電荷とが枯渇する
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の半導体装置。
  12. 前記チャネル層は、GaAsで構成された基板上に設けられた
    請求項1ないし11のいずれか1項に記載の半導体装置。
  13. 前記チャネル層は、前記基板上にGaAsと格子定数の異なる化合物半導体をメタモルフィック成長させてなる
    請求項12記載の半導体装置。
  14. 送信信号が入力される第1の端子と、
    アンテナに接続された第2の端子と、
    前記アンテナで受信した受信信号を出力する第3の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
    前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と
    を備え、
    送信時に前記第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が非導通状態になり、受信時に前記第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が導通状態になり、
    前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、
    化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
    前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
    を備え、
    前記積層体は、
    前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられ、前記チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有する第1低抵抗領域と、
    前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられ、前記第1低抵抗領域よりも前記第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない第2低抵抗領域と
    前記第2低抵抗領域の上に設けられた高抵抗層と
    を有し、
    前記第1低抵抗領域は、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有し、
    前記第2低抵抗領域における前記第2導電型の不純物濃度は、前記第1低抵抗領域のうち前記浅い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、前記第1低抵抗領域のうち前記深い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低い
    アンテナスイッチ回路。
  15. 前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、マルチゲート構造を有する
    請求項14記載のアンテナスイッチ回路。
  16. 前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、複数のスイッチング素子を多段接続してなる
    請求項14または15記載のアンテナスイッチ回路。
  17. アンテナと、
    前記アンテナへの送信信号の入力または前記アンテナで受信した受信信号の出力の切り替えを行うアンテナスイッチ回路を備え、
    前記アンテナスイッチ回路は、
    送信信号が入力される第1の端子と、
    アンテナに接続された第2の端子と、
    前記アンテナで受信した受信信号を出力する第3の端子と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
    前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続された第2のスイッチング素子と
    を備え、
    送信時に前記第1のスイッチング素子が導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が非導通状態になり、受信時に前記第1のスイッチング素子が非導通状態になりかつ前記第2のスイッチング素子が導通状態になり、
    前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の両方または一方は、
    化合物半導体で構成されたチャネル層を含む積層体と、
    前記積層体の上面側に設けられたゲート電極と
    を備え、
    前記積層体は、
    前記ゲート電極に対向して前記積層体の上面側に設けられ、前記チャネル層を走行するキャリアの第1導電型とは逆の第2導電型の不純物を含有する第1低抵抗領域と、
    前記第1低抵抗領域の外側に前記第1低抵抗領域に連続して設けられ、前記第1低抵抗領域よりも前記第2導電型の単位長さあたりの電荷量が少ない第2低抵抗領域と
    前記第2低抵抗領域の上に設けられた高抵抗層と
    を有し、
    前記第1低抵抗領域は、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さ以下である浅い領域と、前記第1低抵抗領域の表面からの深さが前記第2低抵抗領域の深さを超える深い領域とを有し、
    前記第2低抵抗領域における前記第2導電型の不純物濃度は、前記第1低抵抗領域のうち前記浅い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低く、かつ、前記第1低抵抗領域のうち前記深い領域における前記第2導電型の不純物濃度よりも低い
    無線通信装置。
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