以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
圧電デバイスは、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともにz方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスとして水晶振動子1の概略構成を示す分解斜視図である。また、図2は、図1のII−II線における水晶振動子1の断面図である。
水晶振動子1は、例えば、図1に示すように、概略して3つの部材からなる。すなわち、水晶振動子1は、凹部3aが形成された素子搭載部材3と、凹部3aに収容された振動素子5と、凹部3aを塞ぐ蓋部材7とを有している。
水晶振動子1は、例えば、蓋部材7により凹部3aが塞がれた状態で、概ね直方体状であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、x方向又はy方向においては1辺の長さが1〜2mmであり、z方向においては1辺の長さが0.2〜0.4mmである。凹部3aは蓋部材7により封止され、その内部は、例えば、真空とされ、又は、窒素が封入されている。
素子搭載部材3は、公知のものと同様でよい。素子搭載部材3は、例えば、素子搭載部材3の主体となる基体9と、振動素子5を実装するための素子搭載パッド11と、水晶振動子1を不図示の回路基板等に実装するための外部端子13とを有している。
基体9は、絶縁材料から構成されている。絶縁材料は、例えば、セラミック又は樹脂である。基体9は、複数部材から構成されていてもよいし、全体が一体的に形成されていてもよい。基体9は、振動素子5を搭載且つ封止可能であれば、適宜な形状とされてよい。例えば、基体9は、上面側が開放された概ね直方体の箱形状に形成されており、上述の凹部3aを有している。
素子搭載パッド11は、例えば、凹部3aの底面に設けられている。より具体的には、例えば、凹部3aの底面の長手方向の一方側(x方向の正側)に、1対の素子搭載パッド11が設けられている。1対の素子搭載パッド11は、凹部3aの底面の短手方向(y方向)に並んでいる。素子搭載パッド11は、例えば、層状(板状含む。以下同じ。)に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよい。素子搭載パッド11は、2種以上の金属層が積層されて構成されていてもよい。なお、後述する他の層状の導電体(13、17、18、19、20等)も、素子搭載パッド11と同様に、2種以上の金属層から構成されてよい。
外部端子13は、例えば、素子搭載部材3の下面の4隅に設けられている。各外部端子13は、例えば、層状に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよい。水晶振動子1は、例えば、外部端子13と不図示の回路基板のパッドとが半田等により接合されることにより回路基板に実装される。
一の外部端子13と一の素子搭載パッド11とは不図示の接続導体により接続され、他の一の外部端子13と他の一の素子搭載パッド11とは不図示の接続導体により接続されている。接続導体は、例えば、基体9の内部に設けられたビア導体や内層導体によって構成されている。
振動素子5は、概略矩形の板状に形成されており、その主面を凹部3aの底面に対向させて凹部3aに収容される。振動素子5は、その短辺側の端部において導電性のバンプ21(図2)により素子搭載パッド11に接合される。これにより、振動素子5は、素子搭載部材3に片持ち梁のように支持されるとともに、素子搭載パッド11と電気的に接続される。
バンプ21は、振動素子の実装に利用されている公知のもの又はその他電子素子の実装に利用されている公知のものとされてよい。例えば、バンプ21は、導電性接着剤(例えば樹脂に銀フィラーを混ぜたAgペースト)からなる。
蓋部材7の構成は、公知のものと同様でよい。例えば、蓋部材7は、金属から構成されている。蓋部材7は、例えば、概ね矩形の平板状に形成されており、素子搭載部材3の枠部上面に重ねられている。蓋部材7と素子搭載部材3とは、例えば、両者に設けられた金属層同士が溶接されることにより互いに固定されている。
図3は、振動素子5を蓋部材7側から見た斜視図であり、図4は、振動素子5を凹部3aの底面側から見た斜視図であり、図5は、振動素子5の展開図である。
振動素子5は、例えば、圧電素板の一例である水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための第1励振電極17及び第2励振電極18と、振動素子5を素子搭載パッド11に実装するための第1引出電極19及び第2引出電極20とを有している。第1引出電極19は第1励振電極17と接続されており、第2引出電極20は第2励振電極18と接続されている。
水晶片15は、例えば、全体として一定の厚さの板状に形成されており、より具体的には、矩形(例えば長方形)の板状の本体15aと、本体15aから突出する第1突片15b及び第2突片15cとを有している。
なお、本実施形態において矩形は、その角部が全体の形状を損なわない程度に面取りされたものを含むものとする。例えば、短辺がその長さの1/10以下の長さでカットされたものを含むものとする。当該面取りは、エッチング等の精度によって意図せずに生じるものであってもよいし、意図的になされたものであってもよい。その他、矩形は、エッチング等の精度によって辺が微小に湾曲したものも含むものとする。
本体15aは、第1主面15aaと、その背面の第2主面15abと、これら主面の外周に位置する第1側面15ac〜第4側面15afとを有している。第1主面15aaは、蓋部材7に対向する面であり、第2主面15abは、凹部3aの底面に対向する面である。第1側面15ac及び第2側面15adは、第1主面15aaの短辺に位置する面であり、第3側面15ae及び第4側面15afは、第1主面15aaの長辺に位置する面である。
なお、本実施形態を説明する図において、x方向は、第1側面15ac及び第2側面15adに直交する方向であり、y方向は、第3側面15ae及び第4側面15afに直交する方向であり、z方向は、第1主面15aa及び第2主面15abに直交する方向である。図3及び図4において、中心線CLは、x方向に平行に延び、水晶片15の重心を通る線である。
第1突片15b及び第2突片15cは、例えば、第1側面15acから突出しており、また、両者は、第1側面15acのy方向の両端に位置している。第1突片15b及び第2突片15cは、例えば、平面視において矩形に形成されている。
第1突片15b及び第2突片15cの各種寸法は適宜に設定されてよい。また、2つの突片の各種寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
例えば、第1突片15b及び第2突片15cの突出量(x方向)は、互いに同一であり、また、本体15aの1辺の長さに比較して小さい。例えば、各突片の突出量は、本体15aの長辺の長さの1/8以上1/6以下、及び/又は、80μm以上100μm以下である。
また、例えば、第1突片15bの幅(y方向)は、第2突片15cの幅(y方向)よりも小さい。また、各突片の幅は、本体15aの1辺の長さに比較して小さい。例えば、各突片の幅は、本体15aの短辺の1/5以上1/3以下、及び/又は、130μm以上170μm以下である。
第1励振電極17、第2励振電極18、第1引出電極19及び第2引出電極20は、水晶片15の表面に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。なお、これらは、例えば、互いに同一の材料及び厚みで形成されている。
第1励振電極17及び第2励振電極18は、公知の構成と同様とされてよい。例えば、第1励振電極17は、第1主面15aaにおいてその中央側に少なくとも一部(本実施形態では全体)が位置している。また、第2励振電極18は、第2主面15abにおいてその中央側に少なくとも一部(本実施形態では全体)が位置している。第1励振電極17及び第2励振電極18は水晶片15を挟んで対向している。第1励振電極17及び第2励振電極18は、例えば、互いに同一の形状及び大きさであり、平面視において完全に重なっている。第1励振電極17及び第2励振電極18の形状は、例えば、第1主面15aaの4辺と平行な4辺を有する矩形である。
第1引出電極19及び第2引出電極20は、例えば、第2主面15ab側においてのみ、素子搭載パッド11と接続されるように構成されている。その一方で、第1引出電極19及び第2引出電極20は、それぞれ、水晶片15に対して第1主面15aa側及び第2主面15ab側の双方に亘って設けられている。具体的には、以下のとおりである。
第1引出電極19は、第1励振電極17から延び、配線として機能する第1配線部19aと、第1配線部19aの先端に接続され、パッドとして機能する第1パッド部19bとを有している。第1パッド部19bは、第2主面15ab側に位置し、バンプ21(図2)により素子搭載パッド11と接続される。これにより、第1励振電極17は、第1引出電極19、バンプ21、素子搭載パッド11及び素子搭載部材3内の不図示の導体を介して外部端子13と接続される。
第1配線部19aは、例えば、第1主面15aaにおいて第1励振電極17から延び、水晶片15の側面を経由して第2主面15ab側へ延びている。
より具体的には、例えば、まず、第1配線部19aは、第1主面15aaにおいて第1励振電極17から第1側面15ac側へ延びている。当該部分は、例えば、第1励振電極17の第1側面15ac側の1辺のうちの端部から第1側面15acに直交する方向(x方向)へ、概ね一定の幅で延びている。この幅は、例えば、第1突片15bの幅(x方向)よりも小さく、また、第1突片15bの内側(中心線CL側)の1辺の延長上に位置している。
その後、一部は、第1主面15aaにおいて中心線CL側へ広がるとともに、第1側面15acを経由して第2主面15abに到達している。当該部分の幅(x方向)は、例えば、概ね一定である。また、当該部分の中心線CL側の縁部のy方向の位置は、例えば、第1パッド部19bの中心線CL側の縁部のy方向の位置と一致している。
また、他の一部は、第1主面15aaにおいて中心線CLとは反対側へ広がるとともに、第1突片15bの第1主面15aa側の面に延び、次に、第1突片15bの中心線CL側の第1内側側面15bcを経由して、第1突片15bの第2主面15ab側の面に到達している。当該部分は、例えば、第1突片15bの第1主面15aa側の面の全面、及び、第1内側側面15bcの全面に亘っている。
なお、第1配線部19aにおいて、第1側面15acに位置する部分と、第1内側側面15bcに位置する部分とはこれらの側面の角部を介して互いに接続されている。また、第1配線部19aにおいて、第1主面15aaの第1側面15ac側において広がる部分の幅(y方向)は、例えば、第1パッド部19bの幅(y方向、最大幅)と同等であり、y方向の位置が一致している。
第1パッド部19bは、例えば、第2主面15abにおいて第1側面15ac側に位置するとともに、第1突片15bの第2主面15ab側の面に位置している。第1パッド部19bの形状は適宜に設定されてよいが、例えば、第1パッド部19bは、第2主面15abにおいては、第2主面15abの4辺に平行な4辺を有する矩形に形成され、また、第1突片15bの第2主面15ab側の面においてはその全面に形成されている。
バンプ21は、第1パッド部19bのうち、例えば、主として第2主面15ab(本体15a)に位置する部分に密着する。バンプ21は、第1パッド部19bのうち、第1突片15bの第2主面15ab側の面に位置する部分に対して、密着していてもよいし、密着していなくてもよい。バンプ21は、その他、第1配線部19aの第1側面15ac及び第1内側側面15bcに位置する部分等に密着していてもよい。
第2引出電極20は、第2励振電極18から延び、配線として機能する第2配線部20aと、第2配線部20aの先端に接続され、パッドとして機能する第2パッド部20bと、第2パッド部20bから延びるダミー部20cとを有している。第2パッド部20bは、第2主面15ab側に位置し、バンプ21(図2参照)により素子搭載パッド11と接続される。これにより、第2励振電極18は、第2引出電極20、バンプ21、素子搭載パッド11及び素子搭載部材3内の不図示の導体を介して外部端子13と接続される。
第2配線部20aは、第2主面15abにおいて第2励振電極18から第1側面15ac側へ延びている。より具体的には、例えば、第2配線部20aは、第2励振電極18の第1側面15ac側の1辺のうちの第1引出電極19とは反対側の端部から、第1側面15acに直交する方向(x方向)へ、概ね一定の幅で延びている。この幅は、例えば、第2突片15cの幅(x方向)よりも小さく、また、x方向に見て第2突片15cの幅(x方向)に収まる位置にある。
第2パッド部20bは、第2主面15abにおいて第1側面15ac側に位置しているとともに、第2突片15cの第2主面15ab側の面に位置している。第2パッド部20bの形状は適宜に設定されてよいが、例えば、第2パッド部20bは、第2主面15abにおいては、第2主面15abの4辺に平行な4辺を有する矩形に形成され、また、第2突片15cの第2主面15ab側の面においてはその全面に形成されている。
ダミー部20cは、第1引出電極19と第2引出電極20との質量差の低減に寄与する部分である。ダミー部20cは、第2パッド部20bから水晶片15の側面を経由して第1主面15aaまで延びている。
具体的には、例えば、ダミー部20cの一部は、第1側面15acにおいて第2主面15ab側から第1主面15aa側へ延びている。当該部分の幅(x方向)は、例えば、概ね一定である。また、当該部分の中心線CL側の縁部のy方向の位置は、例えば、第2パッド部20bの中心線CL側の縁部のy方向の位置と一致している。
また、例えば、ダミー部20cの他の一部は、第2突片15cの中心線CL側の第2内側側面15ccを経由して、第2突片15cの第1主面15aa側の面に到達し、さらに、この面を第1主面15aa(本体15a)側へ延びている。当該部分は、例えば、第2内側側面15ccの全面、及び、第2突片15cの第1主面15aa側の面の全面に亘っている。
ダミー部20cは、第1主面15aaに位置する部分を有している。当該部分は、例えば、第1主面15aaにおいて第1側面15acに沿って延びる長尺形状とされている。この第1主面15aaに位置する部分の幅(y方向)は、例えば、第2パッド部20bの幅(y方向)と同等とされている。その一方で、当該部分のx方向における大きさは、第2パッド部20bのx方向における大きさよりも小さい。
従って、第1主面15aaの平面視(平面透視)において、ダミー部20cの第1主面15aaに位置する部分と第1励振電極17との距離は、第2パッド部20bと第1励振電極17との距離よりも長い。例えば、前者は、後者の1.5倍以上、又は、2倍以上である。また、ダミー部20cの第1主面15aaに位置する部分の面積は、第2パッド部20bの面積よりも小さい。例えば、前者は、後者の半分以下、又は、1/4以下である。このような距離及び/又は面積の設定により、第1励振電極17とダミー部20cとの間の電界の強度は低くされている。
バンプ21は、第2パッド部20bのうち、例えば、主として第2主面15ab(本体15a)に位置する部分に密着する。バンプ21は、第2パッド部20bのうち、第2突片20bの第2主面15ab側の面に位置する部分に対して、密着していてもよいし、密着していなくてもよい。バンプ21は、その他、ダミー部20cの第1側面15ac及び第2内側側面15ccに位置する部分等に密着していてもよい。
第1引出電極19及び第2引出電極20は、第1主面15aaの平面視において、第1引出電極19の第1主面15aaをx方向に延びる部分と、第2引出電極20の第2主面15abをx方向に延びる部分とを除いて、中心線CLに対して概ね線対称の形状及び大きさとされている。ただし、本実施形態では、第1突片15bの幅(y方向)が第2突片15cの幅(y方向)よりも若干小さくなっている分、両者の幅方向の各種寸法に若干の相違がある。また、第1引出電極19の第1主面15aaをx方向に延びる部分と、第2引出電極20の第2主面15abをx方向に延びる部分とは、その長さを除いて、概ね、中心線CLに対して180°回転対称の形状及び大きさとされている。
図6は、振動素子5の製造方法の手順を示すフローチャートである。
まず、水晶片15が多数個取りされるウェハが用意され、このウェハに対してエッチングが行われる(ステップST1)。エッチングは、公知の方法によりなされてよい。例えば、フォトリソグラフィーによってウェハ表面にレジストからなるエッチングマスクを形成し、その後、適宜な薬液を用いてウェットエッチングを行う。その後、エッチングマスクが除去される。
図7は、このエッチングがなされたウェハ51の一部を示す平面図である。
エッチングによって、ウェハ51は、複数の水晶片15と、複数の水晶片15の周囲に位置する枠部55とを有している。水晶片15と枠部55とは、第1突片15b及び第2突片15cの先端において接続されている。なお、ウェハ51において、水晶片15の第1側面15ac側に、開口61が形成されていると捉えることもできる。
図6に戻る。エッチングの後、ウェハ51には、各種の電極が形成される(ステップST2)。電極の形成は、公知の方法によりなされてよい。例えば、フォトリソグラフィーによりレジストからなるマスクをウェハ51に形成し、当該マスクを介して蒸着により金属材料を成膜する。蒸着は、真空蒸着であってもよいし、スパッタリングであってもよい。その後、レジストからなるマスクが除去される。
図8は、この電極形成がなされたウェハ51の一部を示す平面図である。
水晶片15においては、第1励振電極17、第2励振電極18(図8では不図示)、第1引出電極19及び第2引出電極20が形成される。これらの形状等は、既に説明したとおりである。
また、枠部55においては、第1検査用電極63及び第2検査用電極65が形成される。第1検査用電極63及び第2検査用電極65は、例えば、枠部55の第1主面15aa側の面に形成される。
第1検査用電極63は、第1引出電極19と接続されている。より具体的には、第1検査用電極63は、第1引出電極19の第1配線部19aのうち、第1突片15bの第1主面15aa側の面に形成された部分の先端と接続されている。
第2検査用電極65は、第2引出電極20と接続されている。より具体的には、第2検査用電極65は、第2引出電極20のダミー部20cのうち、第2突片15cの第1主面15aa側の面に形成された部分の先端と接続されている。
図6に戻る。電極形成の後、振動素子5の特性検査を行う(ステップST3)。具体的には、例えば、電気特性試験装置の1対のプローブ67(図8)を第1検査用電極63及び第2検査用電極65に当接させる。すなわち、電気特性試験装置を、第1検査用電極63及び第2検査用電極65、並びに、第1引出電極19及び第2引出電極20を介して、第1励振電極17及び第2励振電極18に接続する。そして、1対のプローブ67を介して第1励振電極17及び第2励振電極18に電圧を印加して、例えば、振動素子5の発振周波数やクリスタルインピーダンス値(CI値)を測定する。なお、この検査結果は、例えば、振動素子5の発振周波数の調整等に供される。
その後、振動素子5は、枠部55から分離される。例えば、ステップST1と同様のエッチングにより、第1突片15b及び第2突片15cの先端と、枠部55との間の部分が除去される。
以上のとおり、本実施形態の振動素子5では、水晶片15は、矩形の板状の本体15aと、本体15aからその主面に沿う方向へ突出する第1突片15b及び第2突片15cとを有している。第1励振電極17及び第2励振電極18は、本体15aの第1主面15aa及び第2主面15abに位置している。第1引出電極19及び第2引出電極20は、第1励振電極17及び第2励振電極18に接続されており、少なくとも一部が第1突片15b及び第2突片15cに位置している。
従って、例えば、引出電極に必要な面積の少なくとも一部を突片において確保することができる。必要な面積は、例えば、振動素子5を機械的及び電気的に素子搭載部材3に接続するために必要なバンプ21の密着面積、その周囲の余裕量(無くてもよい)、配線部において抵抗値が高くならないように配線部の幅を大きくするための面積である。
そして、突片を設けて引出電極の面積を確保することから、突片を設けずに本体15aを大きくした場合に比較して、振動素子5の振動に係る特性の変化が少ないと期待される。さらに、突片は、突片が無い振動素子においても生じる、本体15aと枠部55とを接続する部分から構成できるから、ウェハ51から切り出せる振動素子の数を減らすことなく、引出電極の面積を確保できる(水晶片15を大きくできる)。
別の観点では、引出電極の面積を減じることなく、引出電極の位置を第1突片15b側及び第2突片15c側へずらすことができる。これにより、例えば、引出電極と励振電極との距離を確保し、これらの間の意図しない電界の強度を低くすることができる。そして、突片を設けて引出電極の位置をずらすことから、上述のように、突片を設けずに本体15aを大きくした場合に比較して、振動に係る特性の変化が小さいことが期待され、また、ウェハ51から切り出せる振動素子の数を減らさなくてよい。
また、例えば、バンプ21(の少なくとも一部)が引出電極のうち突片に位置する部分(の少なくとも一部)と接している場合においては、水晶片15の励振電極によって励振される領域と、水晶片15のバンプ21によって固定される領域との間の、第1主面15aaに直交する断面の面積が小さくなる。従って、例えば、励振される領域の振動が、固定される領域側においてのみ固定によって規制され、振動のバランスが低下することが低減される。その結果、水晶振動子1の特性が向上することが期待される。また、実装のばらつきによって水晶振動子1の特性にばらつきが生じるおそれも低減される。
また、本実施形態では、第1引出電極19及び第2引出電極20は、第1励振電極17及び第2励振電極18から本体15aの1辺(第1側面15ac)に向かって延びており、第1突片15b及び第2突片15cは、その1辺の両端部から1辺に直交する方向に突出している。
このように第1引出電極19及び第2引出電極20が同一の1辺に向かって延びている場合、バンプ21が潰れて引出電極の外へ広がったときに、一方の引出電極に接合されたバンプ21が、他方の引出電極又は他方のバンプ21に接触し、2つの引出電極が短絡されるおそれがある。しかし、本実施形態では、バンプ21が第1突片15bと第2突片15cとの隙間(開口61であった部分)に逃げることができるから、上記のような短絡のおそれが低減される。
また、本実施形態では、第1引出電極19は、第1突片15bにおいて、第1突片15bの一方の主面(第1主面15aa側の面)から他方の主面(第2主面15ab側の面)へ、第1突片15bのその突出方向に対する側方の面(本実施形態では第1内側側面15bc)を経由して延びている。
従って、第1引出電極19のうち、第1主面15aa側と第2主面15ab側とを接続する部分の幅を第1突片15bに確保することができることになる。その結果、例えば、第1引出電極19に幅が狭い部分が形成されることを抑制し、ひいては、振動素子5のクリスタルインピーダンスが大きくなることを抑制できる。また、例えば、第1引出電極19のうち、第1主面15aaから第1側面15acを経由する部分の面積(特に第1主面15aaに位置する部分の面積)を小さくし、第1引出電極19と第2励振電極18との距離を長くし、これら電極の間の電界の強度を小さくすることができる。
また、本実施形態の振動素子5の製造方法は、ウェハ51をエッチングして、水晶片15と、水晶片15の外周に位置し、水晶片15と接続された枠部55とを形成するエッチング工程(ステップST1)と、水晶片15に、第1励振電極17及び第2励振電極18と、これら1対の励振電極に接続された第1引出電極19及び第2引出電極20とを形成する電極形成工程(ステップST2)と、電極形成後の水晶片15を枠部55から分離する分離工程(ステップST4)と、を有している。水晶片15は、矩形の板状の本体15aと、本体15aからその主面に沿う方向へ突出する第1突片15b及び第2突片15cとを有している。第1励振電極17及び第2励振電極18は、本体15aの第1主面15aa及び第2主面15abに位置している。第1引出電極19及び第2引出電極20は、第1励振電極17及び第2励振電極18に接続されており、少なくとも一部が第1突片15b及び第2突片15cに位置している。エッチング工程の後且つ分離工程の前のウェハ51において、第1突片15b及び第2突片15cの先端と枠部55とが接続されている。
従って、既に述べたように、突片は、突片が無い振動素子においても生じる、本体15aと枠部55とを接続する部分から構成されるから、ウェハ51から切り出せる振動素子5の数を少なくすることなく、突片を有する振動素子5を形成することができ、ひいては、引出電極の面積を確保することができる。
また、本実施形態の製造方法は、電極形成工程(ステップST2)の後、且つ、分離工程(ステップST4)の前に、第1励振電極17及び第2励振電極18に電圧を印加して振動素子5の検査を行う検査工程(ステップST3)を更に有している。電極形成工程では、枠部55に、第1引出電極19及び第2引出電極20のうち第1突片15b及び第2突片15cに位置する部分に接続された第1検査用電極63及び第2検査用電極65を形成する。検査工程では、第1検査用電極63及び第2検査用電極65に1対のプローブ67を当接させて第1励振電極17及び第2励振電極18に電圧を印加する。
従って、引出電極の突片に位置する部分は、枠部55に位置する検査用電極と引出電極との接続に好適に利用されることになる。別の観点では、検査用電極との接続に利用された導体層が、引出電極として利用されることになり、電極材料等の無駄が低減される。
以上の第1の実施形態において、水晶振動子1は圧電デバイスの一例であり、振動素子5は圧電振動素子の一例であり、水晶片15は圧電素板の一例である。
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る振動素子105の斜視図である。
この振動素子105は、水晶片115の形状、並びに、第1引出電極119及び第2引出電極120の形状のみが第1の実施形態の振動素子5と相違する。具体的には、以下のとおりである。
振動素子105は、第1の実施形態の振動素子5と同様に、概略、矩形の板状に形成されており、水晶片115、その両主面に位置する第1励振電極17及び第2励振電極18、並びに、これらに接続された第1引出電極119及び第2引出電極120を有している。
ただし、振動素子105は、その対向する2辺(本実施形態では2つの短辺)側に、第1引出電極119及び第2引出電極120が位置するタイプの振動素子である。そして、これに対応して、第1突片115b及び第2突片115cは、本体115aの2つの短辺から突出している。
第1引出電極119は、第1主面115aaにおいて第1励振電極17から延び、水晶片115の側面を経由して第2主面115abに到達する第1配線部119aと、第2主面115abに位置し、バンプ21が接合される第1パッド部119bとを有している。第1配線部119aの少なくとも一部、及び/又は、第1パッド部119bの少なくとも一部は、第1突片115bに位置している。
第2引出電極120は、第2主面115abにおいて第2励振電極18から延びる第2配線部120aと、第2主面115abに位置し、バンプ21が接合される第2パッド部120bと、第2パッド部120bから水晶片115の側面を経由して第1主面115aaまで延びるダミー部120cとを有している。第2配線部120aの少なくとも一部、第2パッド部120bの少なくとも一部、及び/又は、ダミー部120cの少なくとも一部は、第2突片115cに位置している。
以上のとおり、第2の実施形態では、水晶片115は、本体115aからその主面に沿う方向へ突出する第1突片115b及び第2突片115cを有し、第1引出電極119及び第2引出電極120は、少なくとも一部が第1突片115b及び第2突片115cに位置している。
従って、第1の実施形態と同様の効果が奏される。例えば、引出電極に必要な面積を確保でき、且つ、本体を大きくする場合に比較して、振動に係る特性の変化が低減されることが期待され、また、ウェハ51から切り出される振動素子の数は減らない。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、水晶振動子等の圧電振動子に限定されず、例えば、発振回路を有する圧電発振器であってもよい。また、圧電振動子及び圧電発振器等の圧電デバイスは、IC(例えば発振回路を含んでいる)やサーミスタ等の、振動素子以外の電子素子を有していてもよい。また、振動素子は、圧電素板が水晶片の場合に限定されず、圧電素板に圧電材料が用いられていれば、例えば、圧電素板がセラミックであってもよい。
圧電デバイスのパッケージ(素子搭載部材や蓋体)を含めた全体の構造も適宜に変更可能である。例えば、単層基板に圧電振動素子を実装し、圧電振動素子に金属製のキャップを被せてもよい。素子搭載部材の上下両面に凹部を形成して、一方の凹部に振動素子を配置し、他方の凹部にサーミスタ又はICを配置してもよい。
振動素子は、裏表のいずれを実装面に対向させることができるものであってもよい。例えば、第1の実施形態のように、1対の引出電極が圧電素板の短辺側へ引き出されるものである場合において、1対の引出電極の形状は、長辺に平行な中心線に対して180°回転対称の形状とされていてもよい。
1対の引出電極は、少なくとも一部が1対の突片に位置していればよい。すなわち、1対の引出電極のうち、少なくとも一方が1対の突片の一方に位置すればよく、また、この一方の引出電極のうち少なくとも一部が一方の突片の少なくとも一部に位置していればよい。従って、例えば、パッド部は突片に位置せずに、配線部の一部のみが突片に位置してもよいし、配線部は突片に位置せずに、パッド部の一部のみが突片に位置してもよい。また、パッド部は、圧電素板の本体に位置せず、その全部が突片に位置していてもよい。
引出電極は、突片のいずれかの面に位置していればよく、主面と側面との双方に位置していなくてもよい。例えば、第1の実施形態において、第1引出電極19は第1内側側面15bcに設けられず、第2引出電極20は第2内側側面15ccに設けられないようにしてもよい。また、引出電極は、突片の外側側面に位置していてもよい。
バンプは、既に述べたように、突片又は引出電極のうち突片に位置する部分に接していてもよいし、接していなくてもよい。バンプが引出電極のうちの突片に位置する部分に接する場合において、バンプは、当初から引出電極の突片に位置する部分に接するように設計されていてもよいし、バンプの接着状態のばらつきによって引出電極の突片に位置する部分に接したり接しなかったりしてもよい。