JP6364548B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置及び該バルブタイミング制御装置の製造方法 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置及び該バルブタイミング制御装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置及び該バルブタイミング制御装置の製造方法に関する。
内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
この内燃機関のバルブタイミング制御装置は、電動モータの回転力を、減速機構を介してカムシャフトに伝達することによって、クランクシャフトと前記カムシャフトの相対回転位相を変換して吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御するようになっている。
そして、前記電動モータには、バッテリー電源の電流がカバー部材に設けられた一対の給電用ブラシが、給電プレートに設けられた内外二重の円環状の給電用スリップリングに摺接しつつ通電され、さらにここから切換用ブラシやコミュテータを介して通電されるようになっている。
特開2013−36401号公報
しかしながら、前記公報記載のバルブタイミング制御装置にあっては、前記各給電用スリップリングの平坦状の摺接面や、該摺接面に摺接する前記各給電用ブラシの先端面に、駆動時における熱的影響などによって短時間のうちに酸化皮膜が形成され易く、この酸化被膜によって、通電時における各給電用スリップリングと各給電用ブラシとの間の電気抵抗が大きくなってしまうおそれがある。
この結果、前記各給電用ブラシから各給電用スリップリングへの通電量が制限されて前記電動モータの出力が低下し、バルブタイミングの制御応答性が低下すると共に、制御の不安定化を招くおそれがある。
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、給電用ブラシの先端面に形成された酸化皮膜、または給電用スリップリングの摺接面に形成された酸化皮膜の少なくとも一方を除去して電動モータの出力低下を抑制することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的としている。
本願発明は、とりわけ、電動モータの前端側に軸方向から対向して配置されたカバー部材と、前記電動モータに設けられた円環状の給電用スリップリングと、前記カバー部材に設けられ、先端面が前記給電用スリップリングの摺接面に摺接しながら前記電動モータに給電する給電用ブラシと、前記給電用スリップリングの摺接面に形成された微小凹凸部または凹部と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、給電用スリップリングと給電用ブラシとの間の電気抵抗の上昇を抑制して、バルブタイミングの制御応答性の低下や制御の不安定化を解消することができる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 本実施形態に供される給電プレートの背面図である。 同給電プレートの正面図である。 本実施形態に供される内外二重のスリップリングの斜視図である。 Aは本実施形態に供される内側の給電用スリップリングの正面図、BはAのC−C線断面図である。 実験による車両の走行距離と電気抵抗との関係を示す折れ線グラフである。 Aは第2実施形態に供される内側の給電用スリップリングの正面図、BはAのD矢視図である。 Aは第3実施形態に供される内側の給電用スリップリングの正面図、BはAのE−E線断面図である。 Aは第4実施形態に供される内側の給電用スリップリングの正面図、BはAのF−F線断面図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態では、吸気弁側に適用したものであるが、排気弁側にも適用可能である。
〔第1実施形態〕
このバルブタイミング制御装置は、図1及び図2に示すように、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する第1部材であるタイミングスプロケット1と、シリンダヘッド01上に軸受02を介して回転自在に支持され、前記タイミングスプロケット1から伝達された回転力によって回転する第2部材であるカムシャフト2と、タイミングスプロケット1の前方位置に配置されたカバー部材3と、タイミングスプロケット1とカムシャフト2の間に配置されて、機関運転状態に応じて両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構4と、を備えている。
前記タイミングスプロケット1は、全体が鉄系金属によって環状一体に形成され、内周面が段差径状のスプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられて、巻回された図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトからの回転力を受けるギア部1bと、前記スプロケット本体1aの軸方向前端側に一体に設けられた内歯構成部5と、から構成されている。
また、このタイミングスプロケット1は、スプロケット本体1aと前記カムシャフト2の前端部に設けられた後述する従動部材9の外周面との間に介装された1つの大径ボールベアリング7によって、従動部材9を介して前記カムシャフト2に相対回転自在に支持されている。
前記大径ボールベアリング7は、外輪7aと、内輪7b及び該両輪7a、7bの間に介装されたボール7cと、から構成され、前記外輪7aがスプロケット本体1aの内周側に固定されているのに対して内輪7bが従動部材9の外周側に固定されている。
前記内歯構成部5は、前記スプロケット本体1aの前端部側に一体に設けられ、前方へ延出した円筒状に形成されていると共に、内周には波形状の複数の内歯5aが形成されている。
また、前記内歯構成部5の前端側には、後述するモータハウジング13が軸方向から突き当て状に配置されて複数のボルト8によって固定されている。
さらに、スプロケット本体1aの内歯構成部5と反対側の後端部には、円環状の保持プレート61が配置されている。この保持プレート61は、金属板材によって一体に形成され、図1に示すように、外径が前記スプロケット本体1aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、内径が前記大径ボールベアリング7の外輪7aの内径よりも小さい径に設定されている。
前記保持プレート61の内周部61aは、前記外輪7aの軸方向の外端面に当接配置されている。また、前記内周部61aの内周縁所定位置には、径方向内側、つまり中心軸方向に向かって突出したストッパ凸部61bが一体に設けられている。
このストッパ凸部61bは、図4に示すように、ほぼ扇状に形成されて、先端縁61cが後述するストッパ溝2bの円弧状内周面に沿った円弧状に形成されている。
前記スプロケット本体1a(内歯構成部5)及び保持プレート61の各外周部には、前記ボルト8が挿通する6つのボルト挿通孔1c、61dが周方向のほぼ等間隔位置に貫通形成されている。前記6つのボルト8が、モータハウジング13の後述する雌ねじ孔13dに締結されることによって、前記タイミングスプロケット1と保持プレート61及びモータハウジング13が軸方向から共締め固定されている。
なお、前記スプロケット本体1aと内歯構成部5は、後述する減速機構12のケーシングとして構成されている。
前記カバー部材3は、図1及び図2に示すように、アルミニウム合金材よってカップ状に一体に形成されて、モータハウジング13の前端部を覆うように軸方向から対向配置された膨出状のカバー本体3aと、該カバー本体3aの開口側の外周縁に一体に形成された円環状の取付フランジ3bと、から構成されている。前記カバー本体3aは、外周部側に円筒壁3cが軸方向に沿って一体に形成されており、この円筒壁3cは、軸方向に短く形成されて内部に保持用孔3dが形成されている。
前記取付フランジ3bは、円周方向のほぼ等間隔位置に有する4つのボス部に形成されたボルト挿通孔3eが貫通形成されており、このボルト挿通孔3eに挿通するボルト54によってカバー部材3全体が後述するチェーンカバー49に固定されている。
また、前記カバー本体3aの外周側の内周面と前記モータハウジング13の外周面との間には、両者3a、13間をシールする大径なオイルシール50が介装されている。
前記チェーンカバー49は、図1に示すように、前記シリンダヘッド01と図外のシリンダブロックの前端側に前記タイミングスプロケット1に巻回された図外のチェーンを覆うよう上下方向に沿って配置固定されていると共に、前端側に一体に有する環状壁49aの円周方向の4箇所に前記ボルト54が螺着する雌ねじ孔49bがそれぞれ形成されている。
前記カムシャフト2は、外周に図外の吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有していると共に、前端部にフランジ部2aが一体に設けられている。また、カムシャフト2のフランジ部2a前端面から内部軸方向に沿って雌ねじ孔2cが形成されている。
前記フランジ部2aは、図1に示すように、外径が後述する従動部材9の固定端部9aの外径よりも僅かに大きく形成されて、各構成部品の組み付け後に、前端面の外周部が前記大径ボールベアリング7の内輪7bの軸方向外端面に当接配置されるようになっている。
また、前記フランジ部2aの外周には、図4に示すように、前記保持プレート61のストッパ凸部61bが係入するストッパ凹溝2bが円周方向に沿って形成されている。このストッパ凹溝2bは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されて、この長さ範囲で回動したストッパ凸部61bの両端縁が周方向の対向縁2c、2dにそれぞれ当接することによって、タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置を規制するようになっている。
前記カムボルト10は、図1に示すように、頭部10aの端面が小径ボールベアリング37の内輪に対して軸方向から当接支持していると共に、軸部10bの外周にカムシャフト2の雌ねじ孔2cに螺着する雄ねじ部10cが形成されている。
前記従動部材9は、鉄系金属によって一体に形成され、図1に示すように、後端側(カムシャフト2側)に形成された円板状の固定端部9aと、該固定端部9aの内周前端面から軸方向へ突出した円筒部9bと、から主として構成されている。
前記固定端部9aは、後端面が前記カムシャフト2のフランジ部2aの前端面に当接配置されて、前記カムボルト10の軸力によってフランジ部2aに軸方向から圧接固定されている。また、この固定端部9aの外周部には、後述する減速機構12の一部を構成する複数のローラ48を保持する円筒状の保持器36が一体に設けられている。一方、前記円筒部9bは、図1に示すように、中央に前記カムボルト10の軸部10bが挿通される挿通孔9dが貫通形成されていると共に、外周に後述する小径ボールベアリング37とニードルベアリング38が軸方向に沿って並設されている。
前記位相変更機構4は、前記従動部材9の円筒部9bの前端側に配置された前記電動モータ11と、該電動モータ11の回転速度を減速して前記従動部材9を介してカムシャフト2に伝達する減速機構12と、から主として構成されている。
前記電動モータ11は、図1及び図2に示すように、ブラシ付きのDCモータであって、前記タイミングスプロケット1と一体に回転するヨークである前記モータハウジング13と、該モータハウジング13の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸14と、モータハウジング13の内周面に固定されたステータである永久磁石15と、を備えている。
前記モータハウジング13は、図1に示すように、鉄系金属材によって有底筒状に形成されていると共に、前端部には、前端開口を封止状態に配置されたプレート部材である給電プレート16が固定されている。
また、前記モータハウジング13は、後端側に円板状の隔壁13aを有し、該隔壁13aのほぼ中央に後述する偏心軸部19が挿通される大径な軸挿通孔13bが形成されていると共に、該軸挿通孔13bの孔縁にカバー部材3方向へ突出した円筒状の延出部13cが一体に設けられている。また、前記隔壁13aの外周部側の後端面には、前記各ボルト8が螺着する6つの雌ねじ孔13dが円周方向の等間隔位置に形成されている。
前記モータ出力軸14は、段差円筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置に形成された段差部13cを介してカムシャフト2側の大径部13aと、カバー部材3側の小径部13bと、から構成されている。
前記大径部13aは、外周に鉄心ロータ17が固定されていると共に、軸方向の後端部に減速機構12の一部を構成する偏心軸部19が一体に設けられている。
一方、前記小径部13bは、外周に円環部材20が圧入固定されていると共に、該円環部材20の外周面にコミュテータ21が軸方向から圧入固定されて前記段差部13cの外面によって軸方向の位置決めがなされている。前記円環部材20は、その外径が前記大径部13aの外径とほぼ同一に設定されていると共に、軸方向の長さが小径部13bよりも僅かに短く設定されている。
前記小径部13bの内周面には、モータ出力軸14や偏心軸部19内に供給されて前記各ベアリング37,38を潤滑するための潤滑油の外部への漏洩を規制する栓体39が圧入固定されている。
前記鉄心ロータ17は、複数の磁極を持つ磁性材によって形成され、外周側がコイル18のコイル線を巻回させるスロットを有するボビンとして構成されている。
一方、前記コミュテータ21は、導電材によって円環状に形成されて、前記鉄心ロータ17の極数と同数に分割された各セグメントに前記コイル18の引き出されたコイル線の端末が電気的に接続されている。
前記永久磁石15は、円周方向から4つに分割されて全体が円筒状に形成され、円周方向に複数の磁極を有していると共に、その軸方向の位置が前記鉄心ロータ17の軸方向の中心に対して前記給電プレート16側にオフセット配置されている。
前記給電プレート16は、図1及び図5に示すように、鉄系金属材からなる円盤状の鉄系の金属プレート部16aと、該金属プレート部16aの外面のほぼ全体をモールドした樹脂部16bと、から構成されている。
前記金属プレート部16aは、前記樹脂部16bに覆われていない外周部16cが前記モータハウジング13の前端部内周に形成された円環状の凹溝にかしめによって位置決め固定されていると共に、中央部にはモータ出力軸14の一端部などが挿通される軸挿通孔16dが貫通形成されている。また、金属プレート部16aは、前記軸挿通孔16dの内周縁に連続した所定の位置に図外の異形状の2つの保持孔が打ち抜きにより形成されている。
また、前記給電プレート16には、前記金属プレート部16aの各保持孔の内側に径方向に沿って配置されて、前記樹脂部16bの前端部に複数のリベット40により固定された銅製の一対のブラシホルダ23a、23bと、該各ブラシホルダ23a、23bの内部に摺動自在に収容配置されて、コイルスプリング24a、24bのばね力で円弧状の各先端面が前記コミュテータ21の外周面に径方向から弾接する整流子である一対の切換用ブラシ25a、25bと、を備えている。
また、前記樹脂部16bの前端面側には、内外二重の給電用スリップリング34,35がモールド固定されている。この両スリップリング34,35は、前記樹脂部16bから露出した摺接面である各前端面34a、35aに後述する一対の給電用ブラシ32、33の各先端面が摺接するようになっている。前記各切換用ブラシ25a、25bと各スリップリング34,35は、ハーネス27aによって電気的に接続されている。
前記内周側の小径なスリップリング34と外周側の大径なスリップリング35は、図6及び図7に示すように、銅材からなる薄板をプレスによって円環状に打ち抜き形成されていると共に、それぞれの径方向の幅Wが所定のほぼ同一幅に形成されている。また、各スリップリング34,35は、それぞれの外周縁と内周縁に各8つの突出部34b、34c、35b、35cが径方向に沿って突設されている。
前記各突出部34b,34c、35b,35cは、正面から視てそれぞれがほぼ矩形状に形成されて、円周方向の等間隔位置に設けられていると共に、各前記各外周縁から後端面に沿って径方向に突設されている。したがって、各突出部34b、34c、35b、35cは、各前端面34a、35aから一段低い段差状に形成されている。
前記内周側スリップリング34の内外周の各突出部34b、34cと、外周側スリップリング35の内外周の各突出部35b、35cは、互いに周方向でオフセットした位置に設けられている。
この各突出部34b、34c、35b、35cは、前記小径、大径スリップリング34,35が金属プレート部16aの前端部に樹脂部16bによって各前端面34a、35aが露出された状態でモールドされる際に、該樹脂部16bの内部に完全に埋め込まれた状態でモールドされて各スリップリング34,35全体を給電プレート16に強固に固定するようになっている。
また、前記各スリップリング34,35の各前記前端面34a、35aには、機械切削による微小な凹凸部である複数の切削条痕34d、35dが切削加工によって円環状に形成されている。この条痕34d、35dの具体的な説明は後述する。
前記カバー部材3には、合成樹脂材によって一体的にモールドされた保持体28が固定されている。この保持体28は、図1、図2に示すように、側面視ほぼL字形状に折曲形成され、前記カバー本体3aの保持用孔3dに挿入されるほぼ有底円筒状のブラシ保持部28aと、該ブラシ保持部28aと反対側に有するコネクタ部28bと、前記ブラシ保持部28aの一側面に一体に突設されて、前記カバー本体3aにボルト固定されるボス部28cと、内部に一部が埋設された一対の給電用端子片31、31と、から主として構成されている。
前記ブラシ保持部28aは、図1及び図2に示すように、ほぼ水平方向(軸方向)に延設されて、内部の上下位置(モータハウジング13の軸心に対して内外周側)に平行に形成された一対の角柱状の固定用孔内に一対の角筒状のブラシホルダ29a、29bがそれぞれ圧入固定されている。この各ブラシホルダ29a、29bの内部に給電用ブラシ32、33が軸方向へそれぞれ摺動自在に保持されている。
前記各ブラシホルダ29a、29bは、前後端に開口部が形成されて、前端側の開口部から前記各給電用ブラシ32、33の先端部が進退自在になっていると共に、各後端側の開口部を介して図外のピグテールハーネスの一端部が前記各給電用ブラシ32、33の後端に半田付けによって接続されている。
前記各給電用ブラシ32、33は、角柱状に形成されて所定の軸方向長さに設定されて、前記ブラシ保持部28の各ブラシホルダ29a、29bの内部後端に設けられた一対のコイルばね41a,41bによって、平坦な各先端面が前記各給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに軸方向からそれぞれ弾接するようになっている。
前記一対の給電用端子片31,31は、図1に示すように、一方側(下端側)の各端子31a、31aが露出状態に配置され、他方側(上端側)の各端子31b、31bが前記コネクタ部28bの雌型嵌合溝28d内に突設されている。前記一方側の各端子31a、31aは、図外の一対のピグテールハーネスの他端部が半田付けによって接続されている。
前記コネクタ部28bは、上端部に図外の雄型端子が挿入される前述の嵌合溝28dに臨む前記他方側端子31b、31bが雄型端子を介して図外のコントロールユニットに電気的に接続されている。
前記モータ出力軸14と偏心軸部19は、前記従動部材9の円筒部9bの外周面に設けられた小径ボールベアリング37と、該小径ボールベアリング37の軸方向側部に配置された前記ニードルベアリング38とによって回転自在に支持されている。
前記ニードルベアリング38は、偏心軸部19の内周面に圧入された円筒状のリテーナ38aと、該リテーナ38aの内部に回転自在に保持された複数の転動体であるニードルローラ38bと、から構成されている。このニードルローラ38bは、前記従動部材9の円筒部9bの外周面を転動している。
前記小径ボールベアリング37は、内輪が前記従動部材9の円筒部9bの前端縁とカムボルト10の頭部10aとの間に挟持状態に固定されている一方、外輪が前記偏心軸部19の段差拡径状の内周面に圧入固定されていると共に、前記内周面に形成された段差縁に当接して軸方向の位置決めがなされている。
また、前記モータ出力軸14(偏心軸部19)の外周面と前記モータハウジング13の延出部13cの内周面との間には、減速機構12の内部から電動モータ11内への潤滑油のリークを阻止する小径なオイルシール46が設けられている。
前記減速機構12は、図1〜図3に示すように、偏心回転運動を行う前記偏心軸部19と、該偏心軸部19の外周に設けられた中径ボールベアリング47と、該中径ボールベアリング47の外周に設けられたローラ48と、該ローラ48を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する保持器36と、該保持器36と一体の前記従動部材9と、から主として構成されている。
前記偏心軸部19は、円筒状に形成されて、外周面に形成されたカム面19aの軸心Yがモータ出力軸14の軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
前記保持器36は、図1に示すように、前記固定端部9aの外周部前端から前方へ断面ほぼL字形状に折曲されて、前記円筒部9bと同方向へ突出した有底円筒状に形成されている。
この保持器36の筒状先端部36aは、前記雌ねじ孔13dと前記延出部13cとの間に形成された円環凹状の収容空間Sを介してモータハウジング13の隔壁13a方向へ延出している。また、前記筒状先端部36aの周方向のほぼ等間隔位置には、図1及び図2に示すように、前記複数のローラ48をそれぞれ転動自在に保持するほぼ長方形状の複数のローラ保持孔36bが周方向の等間隔位置に形成されている。このローラ保持孔36b(ローラ48)は、その全体の数が前記内歯構成部5の内歯5aの全体の歯数よりも少なくなっている。これによって、減速比を得るようになっている。
前記中径ボールベアリング47は、前記ニードルベアリング38の径方向位置で全体がほぼオーバーラップする状態に配置され、内輪47aと外輪47b及び該両輪47a、47bとの間に介装されたボール47cとから構成されている。前記内輪47aは、前記偏心軸部19の外周面に圧入固定されているのに対して、前記外輪47bは、軸方向で固定されることなくフリーな状態になっている。つまり、この外輪47bは、軸方向の電動モータ11側の一端面がどの部位にも接触せず、また軸方向の他端面がこれに対向する保持器36の後端面との間に微小な第1隙間Cが形成されてフリーな状態になっている。また、この外輪47bの外周面には、前記各ローラ48の外周面が転動自在に当接していると共に、この外輪47bの外周側には、円環状の第2隙間C1が形成されて、この第2隙間C1によって中径ボールベアリング47全体が前記偏心軸部19の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。
前記各ローラ48は、鉄系金属によって形成され、前記中径ボールベアリング47の偏心動に伴って径方向へ移動しつつ前記内歯構成部5の内歯5aに嵌入すると共に、保持器36のローラ保持孔36bの両側縁によって周方向にガイドされつつ径方向に揺動運動させるようになっている。
前記減速機構12の内部には、潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段によって、前記収容空間S内に潤滑油が供給されて滞留し、ここから中径ボールベアリング47や各ローラ48を潤滑すると共に、さらには偏心軸部19とモータ出力軸14の内部に流入してニードルベアリング38や小径ボールベアリング37などの可動部の潤滑に供されるようになっている。なお、前記収容空間S内に滞留した潤滑油は、前記小径オイルシール46によってモータハウジング13内へのリークが阻止されている。
前記コントロールユニットは、図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類から情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出し、これに基づいて機関制御を行うと共に、前記給電用ブラシ32、33や各スリップリング34,35、切換用ブラシ25a、25b、コミュテータ21などを介してコイル18に通電してモータ出力軸14の回転制御を行い、減速機構12を介してカムシャフト2のタイミングスプロケット1に対する相対回転位相を制御するようになっている。
そして、前記各スリップリング34,35の前端面34a、35aに施された前記各切削条痕34d、35dは、旋盤の切削バイトによって形成されている。なお、以下では、両スリップリング34,35とも同じであるから、便宜上、図8A、Bに示すように、内周側のスリップリング34側について説明する。
前記切削条痕34dは、後述する製造方法で説明するように、旋盤の切削バイトの刃先を突き当てて形成され、前記前端面34aの全周に渡って複数の円環状に形成されていると共に、それぞれが横断面ほぼ三角形状の凹凸波形状に形成されている。
また、この各条痕34dは、面粗度(Ra)で表すと、図8Bに示すように、各先端縁34eから底縁34fまでの深さDが約0.4〜1.6μmに設定されている。
この面粗度Raの設定は、図9に示す車両の走行距離(km)と電気抵抗(mΩ)との関係から本願の発明者が実験によって求めたもので、前記従来公報の技術のように、スリップリング34を単にプレス加工によって形成したのみで、前端面34aに条痕を施さずに平坦状に形成されたもので走行距離を0〜約7万kmとした場合(黒丸)と、前端面34aに切削加工を行って面粗度Raを、深さDが約0.4μmとした場合(白抜き三角)と、約1.0μmとした場合(黒四角)と、約1.6μmとした場合(白抜き丸)で、走行距離を0〜約8万kmまでとした場合、さらには、深さDが約0.4μmとして走行距離を約14万kmに延長した場合(黒三角)に分けて実験を行った。
この実験結果からすると、前記従来の技術(黒丸)では、車両の初期の走行時から電気抵抗が大きく、さらに走行距離が0〜3万km、さらに7万kmまでに至るにしたがって急激に電気抵抗が大きくなっていることが明らかである。これは、駆動中における前記給電プレート16の周囲の熱的な影響など、つまり150℃以上の熱的影響などに起因して表面に酸化皮膜が形成されているからであると考えられる。
これに対して、切削条痕34dを施して、面粗度Ra(切削条痕34d、35d)の深さDを約0.4μm〜1.6μmに設定した場合(白抜き三角、黒四角、白抜き丸、黒三角)は、走行距離の長さに拘わらず、電気抵抗mΩが常に平均して低い値を示している。
このように、電気抵抗が低い値を示したのは、前記各給電用ブラシ32,33の先端面が各給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに摺接した際に、表面の酸化皮膜が前記条痕34d、35dによって除去されたことによるものである。
したがって、本実施形態では、面粗度Raの深さ、つまり条痕34d、35dの深さDを約0.4μm〜1.6μmに設定したものである。
なお、前記実験では、切削条痕34d、35dの深さDを0.4μm〜1.6μmに設定した場合について行ったが、酸化皮膜を除去するために必要な条痕深さは必ずしも前記深さDに限定されるものではなく、例えば0.2μm〜0.3μmの深さや、1.6μm以上の深さDであっても可能である。
〔バルブタイミング制御装置の製造方法〕
バルブタイミング制御装置の製造方法、特に、給電プレート16側の製造方法としては、まず、前記金属プレート部16aを樹脂成形金型によって樹脂部16bでモールドする際に、前記各給電用スリップリング34,35も予め樹脂成形金型内の所定位置に保持しておき、この状態で成形金型内に溶融樹脂を充填させることによって、金属プレート部16aと共に、前記給電用スリップリング34,35が前記各突出部34b〜35cを介してモールド固定される。
その後、前記給電プレート16全体を既存の旋盤機のチャックによって固定し、次に、この状態で、前記給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに切削バイトの先端を当接させる。
続いて、前記各給電用スリップリング34,35の中心を軸心として前記給電プレート16を回転させて、前記各前端面34a、35aの表面に各切削条痕34d、35dを円周方向に沿って形成する。
その後、前記給電プレート16を前記金属プレート部16aの外周部を、前記モータハウジング13の前端部にかしめ固定する。
これによって、前記各給電用スリップリング34,35の給電プレート16に対する固定と、各切削条痕34d、35dの形成などの一連の作業が完了する。
〔本実施形態の作動〕
以下、本実施形態の作動について説明すると、まず、機関のクランクシャフトの回転駆動に伴ってタイミングチェーンを介してタイミングスプロケット1が回転して、その回転力がスプロケット本体1aから内歯構成部5及びモータハウジング13に伝達されて、該モータハウジング13が同期回転する。一方、前記内歯構成部5の回転力が、各ローラ48から保持器36及び従動部材9を経由してカムシャフト2に伝達される。これによって、カムシャフト2のカムが吸気弁を開閉作動させる。
そして、機関始動後の所定の機関運転時には、前記コントロールユニットから各端子片31,31、各ピグテールハーネス及び給電用ブラシ32、33や各スリップリング34,35、さらに切換用ブラシ25a、25b、コミュテータ21などを介して電動モータ11のコイル18に通電される。これによって、モータ出力軸14が回転駆動され、この回転力が減速機構12を介してカムシャフト2に減速された回転力が伝達される。
すなわち、前記モータ出力軸14の回転に伴い偏心軸部19が偏心回転すると、各ローラ48がモータ出力軸14の1回転毎に保持器36の各ローラ保持孔36bで径方向へガイドされながら前記内歯構成部5の一つの内歯5aを乗り越えて隣接する他の内歯5aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ48の転接によって前記モータ出力軸14の回転が減速されつつ前記従動部材9に回転力が伝達される。
これにより、カムシャフト2がタイミングスプロケット1に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側に変換制御されるのである。
前記タイミングスプロケット1に対するカムシャフト2の正逆相対回転の最大位置規制(角度位置規制)は、前記ストッパ凸部61bの各側面が前記ストッパ凹溝2bの各対向面2c、2dのいずれか一方に当接することによって行われる。
したがって、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ最大に変換されて、機関の燃費や出力の向上が図れる。
そして、本実施形態では、前記各スリップリング34,35の各前端面34a、35aに、深さDが0.4μm〜1.6μmの円環状の切削条痕34d、35dを形成したことから、各給電用ブラシ32,33の先端面と前記角前端面34a、35aとの接触面圧が高くなり、駆動中における各給電用ブラシ32,33の先端面が前記各前端面34a、35aを摺接している間に、各前端面34a、35aに熱的影響などに起因して形成されている酸化皮膜を効果的に除去することが可能になる。また、同時に前記各給電用ブラシ32,33の各先端面に形成された酸化皮膜も効果的に除去される。
これによって、前記各給電用ブラシ32,33と各給電用スリップリング34,35との間の電気抵抗の上昇が抑制されて、電動モータ11の出力低下を回避できる。この結果、吸気弁のバルブタイミングの制御応答性の低下や制御の不安定化を解消することができる。
また、前記各給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aを切削加工することによって各前端面34a、35aの平面度が高くなって、各給電用ブラシ32,33の先端面との摺動性が良好になり、給電性が向上すると共に、部分的な摩耗の発生を抑制できる。
また、前記各スリップリング34,35は、それぞれの突出部34b、34c、35b、35cがそれぞれの段差部を利用して樹脂部16bに埋め込まれた状態でモールドされていることから、全体が給電用プレート16に強固に保持固定される。
このため、各スリップリング34,35の露出した各前端面34a、35aに前記各給電用ブラシ32、33の先端部が摺動している場合に、この摺動圧接力により発生し易い各スリップリング34,35の自由な回転を規制することができるばかりか、前記樹脂部16bから浮き上がって各スリップリング34,35の一部若しくは全部が脱落してしまうおそれがなくなる。つまり、各突出部34c〜35dが、各スリップリング34,35の回転止めや浮き上がり抑制機能を発揮するのである。
この結果、この点でも、各スリップリング34,35の各前端面34a、35aの平面度が常時安定かつ十分に確保されることから、給電性が向上する。
また、前記各スリップリング34,35の内外から対向する内外周縁に設けられた各突出部34b、35cを周方向へ位相を互いにずらして(オフセット)配置したことから、両スプリング34,35の径方向の間隔を十分に小さくすることが可能になる。このため、たとえ、それぞれに突出部34c、34dを設けていてもスリップリング34,35を含めた給電プレート16の径方向の大きさを小さくすることができる。
また、金属プレート部16aは、外周部16cを除く前後面側が樹脂部16b内に一体的にモールドされており、この樹脂部16bに前記各スリップリング34,35やブラシホルダ23a、23bを一体的にモールド固定されていることから、それぞれの固定作業が容易になる。
また、前記金属プレート部16aの外周部16cを露出させることによって、前記かしめ力を確保できることは勿論のこと、各給電用ブラシ32、33と各スリップリング34,35の摺動時に発生する熱を前記外周部16cから放熱させることが可能になる。
〔第2実施形態〕
図10A,Bは第2実施形態に供される内周側の給電用スリップリング34を示し、スリップリング34の基本構成は第1実施形態と同じであるが、異なるところは、各前端面34aに円環状の複数の切削条痕34dの他に、円周方向のほぼ60度の角度位置に、凹部である6つの溝部34gを径方向に沿ってそれぞれ形成したものである。
この各溝部34gは、径方向に沿って細長く形成されて、横断面ほぼ矩形状に形成されている共に、平坦な底面から立ち上がった両側壁面の両外端縁(エッジ)34h、34hが直角状に形成されている。なお、外周側の給電用スリップリング35も同様な構成である。
したがって、この実施形態によれば、給電用ブラシ32、33の各先端面が給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに摺動すると、それぞれの切削条痕34d、35dによって表面の酸化皮膜が除去されることは第1実施形態と同様であるが、さらに前記給電用ブラシ32,33の先端面が前記各溝部34g(35g)の両外端縁34h(35h)に衝接して前端面34a、35aの酸化皮膜の他に、前記各給電用ブラシ32,33の先端面の酸化皮膜も除去される。
したがって、給電用スリップリング34,35と給電用ブラシ32,33の両方向の酸化皮膜を効果的に除去することができるので、両者間の電気抵抗の上昇を一層抑制することが可能になる。この結果、電動モータ11の出力低下を十分に抑制できる。
なお、この実施形態と以下の実施形態では、前記各突出部34b、34cを図示せずに省略している。
〔第3実施形態〕
図11A,Bは第3実施形態を示し、この場合も便宜上、内側の給電用スリップリング34のみを示しており、この実施形態では、第1、第2実施形態の円環状の切削条痕を廃止して、給電用スリップリング34の前端面34aの円周方向の約60度角度位置に、溝部である円形溝34iを形成したものである。
前記各円形溝34iは、小径な円形穴として形成されて、スリップリング34の幅方向のほぼ中央位置に形成されていると共に、開口部の開口縁(エッジ)34jが縦断面ほぼ直角状に形成されている。
なお、外側の給電用スリップリング35にも同様な各円形溝が形成されている。
したがって、この実施形態では、給電用ブラシ32,33の先端面が給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに摺動した際に、前記各先端面が前記各円形溝34iの開口縁34jに摺接しつつこの開口縁34jの周辺から前記前端面34a、35aの酸化皮膜を除去すると共に、給電用ブラシ32,33の各先端面の酸化皮膜も除去することができる。
この実施形態では、前記各給電用スリップリング34,35の前端面34a、35aに単に円形溝34iを形成するだけであるから、各給電用スリップリング34,35のプレス成形時に一緒に形成できるので、これらの形成作業が容易である。
〔第4実施形態〕
図12A、Bは第4実施形態を示し、この場合も便宜上、内側の給電用スリップリング34のみを示しており、この実施形態では、第3実施形態の小径な円形溝に変えて、円周方向に沿った2連状の長溝34k、34kとしたものである。
前記各長溝34k、34kは、スリップリング34の円周方向の60度の角度位置に内外2つずつ配置形成され、その長さは比較的短く形成されていると共に、開口部の長手方向の前後孔縁34l、34mが直角状に形成されている。
したがって、この実施形態も給電用ブラシ32,33が摺動する際に、各長溝34k、34kの特に前後孔縁34l、34mに摺接することによって酸化皮膜の除去が行われるため、前記各実施形態と同様な作用効果が得られると共に、各長溝34k、34kをプレス成形時に一緒に形成できるので第3実施形態と同じく形成作業が容易である。
また、他の実施形態としては、前記溝部(凹部)として、円形穴や長溝ではなく、これらを貫通した貫通孔として形成することも可能である。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、前記凹部としては、酸化皮膜を効果的に除去できるものであれば様々の形状や数が考えられ、例えば、三角形や正方形などの多角形とすることも可能であり、また数も前端面34a、35aにランダムに数多くちりばめることも可能である。
以上説明した実施形態に基づく内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
第1部材に対する第2部材の相対回転位相を変更することによって、機関弁の作動特性を可変にする内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記第1部材または第2部材のいずれか一方に設けられ、モータ出力軸を回転駆動することによって前記第1部材と第2部材の相対回転位相を変更する電動モータと、
前記電動モータに軸方向から対向して配置されたカバー部材と、
前記電動モータに設けられた円環状の給電用スリップリングと、
前記カバー部材に設けられ、先端面が前記給電用スリップリングの摺接面に摺接しながら前記電動モータに給電する給電用ブラシと、
前記給電用スリップリングの摺接面に形成された凹凸部または凹部と、
を有している。
別の好ましい態様として、前記凹凸部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向に沿った切削条痕である。
さらに別の好ましい態様として、前記切削条痕は、前記給電用スリップリングの摺接面を旋盤によって切削加工することによって形成されている。
別の好ましい態様として、前記凹部は、前記給電用スリップリングの摺接面に形成された溝部である。
さらに別の好ましい態様として、前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向に沿って形成されている。
別の好ましい態様として、前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向へ沿って部分的に形成されている。
さらに、前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に径方向に沿って形成されている。
また、前記溝部は、給電用スリップリングをプレス成形によって形成する際に、同じプレス成形によって形成されている。
さらに好ましくは、前記凹部は、前記給電用スリップリングの摺接面に複数の溝部あるいは複数の貫通孔によって形成されている。
さらに好ましくは、前記凹部は、給電用スリップリングをプレス成形によって形成する際に、該プレス成形によって貫通孔として形成されている。
別の好ましい態様として、前記給電用スリップリングは、銅材からなる円環状の板材によって形成されている。
別の好ましい態様として、前記切削条痕は、前記給電用スリップリングの周方向に沿って形成されている。
別の好ましい態様として、前記切削条痕は、その面粗度がRa0.2μm以上である。
別の好ましい態様として、前記切削条痕は、その面粗度が1.6μm以下である。
別の好ましい態様として、バルブタイミング制御装置の製造方法に関し、クランクシャフトから回転力が伝達される駆動回転体と、カムシャフトに固定されて、前記駆動回転体と相対回転可能な従動回転体と、前記駆動回転体に設けられて、モータ出力軸を回転することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する電動モータと、前記電動モータの前端側に軸方向から対向して設けられたカバー部材と、前記電動モータの前端側に設けられたプレート部材と、該プレート部材に固定されて、前記電動モータに通電する給電用スリップリングと、前記カバー部材に設けられ、先端面が前記給電用スリップリングに電気的に接触する給電用ブラシと、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法であって、前記給電用スリップリングを、前記プレート部材を構成する樹脂材によってモールド固定する工程と、前記モールド固定された給電用スリップリングの前記給電用ブラシとの接触面を切削加工して該接触面に凹凸部を形成する工程と、前記接触面に凹凸部を形成した後に、前記プレート部材を前記電動モータの前端側に固定する工程と、を備えている。
別の好ましい態様として、前記給電用スリップリングの接触面を切削加工する工程は、前記プレート部材を予めチャックによって固定した後に、前記給電用スリップリングの中心を軸心として回転させながら前記接触面に切削バイトの刃先を当接させることによって行う。
別の好ましい態様として、前記電動モータは、円筒状のモータハウジングを有し、前記プレート部材は、前記モータハウジングに対して前記樹脂材の内部にモールド固定された芯金の外周部が固定されている。

Claims (17)

  1. 第1部材に対する第2部材の相対回転位相を変更することによって、機関弁の作動特性を可変にする内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    前記第1部材または第2部材のいずれか一方に設けられ、モータ出力軸を回転駆動することによって前記第1部材と第2部材の相対回転位相を変更する電動モータと、
    前記電動モータに軸方向から対向して配置されたカバー部材と、
    前記電動モータに設けられた円環状の給電用スリップリングと、
    前記カバー部材に設けられ、先端面が前記給電用スリップリングの摺接面に摺接しながら前記電動モータに給電する給電用ブラシと、
    前記給電用スリップリングの摺接面に形成された凹凸部または凹部と、
    を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹凸部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向に沿った切削条痕であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記切削条痕は、前記給電用スリップリングの摺接面を旋盤によって切削加工することによって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹部は、前記給電用スリップリングの摺接面に形成された溝部であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向に沿って形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に周方向へ沿って部分的に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記溝部は、前記給電用スリップリングの摺接面に径方向に沿って形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記溝部は、給電用スリップリングをプレス成形によって形成する際に、同じプレス成形によって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹部は、前記給電用スリップリングの摺接面に複数の溝部あるいは複数の貫通孔によって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹部は、給電用スリップリングをプレス成形によって形成する際に、該プレス成形によって貫通孔として形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  11. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記給電用スリップリングは、銅材からなる円環状の板材によって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  12. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記切削条痕は、前記給電用スリップリングの周方向に沿って形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記切削条痕は、その面粗度がRa0.2μm以上であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  14. 請求項13に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記切削条痕は、その面粗度が1.6μm以下であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  15. クランクシャフトから回転力が伝達される駆動回転体と、
    カムシャフトに固定されて、前記駆動回転体と相対回転可能な従動回転体と、
    前記駆動回転体に設けられて、モータ出力軸を回転することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する電動モータと、
    前記電動モータの前端側に軸方向から対向して設けられたカバー部材と、
    前記電動モータの前端側に設けられたプレート部材と、
    該プレート部材に固定されて、前記電動モータに通電する給電用スリップリングと、
    前記カバー部材に設けられ、先端面が前記給電用スリップリングに電気的に接触する給電用ブラシと、
    を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法であって、
    前記給電用スリップリングを、前記プレート部材を構成する樹脂材によってモールド固定する工程と、
    前記モールド固定された給電用スリップリングの前記給電用ブラシとの接触面を切削加工して該接触面に凹凸部を形成する工程と、
    前記接触面に凹凸部を形成した後に、前記プレート部材を前記電動モータの前端側に固定する工程と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法。
  16. 請求項15に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法において、
    前記給電用スリップリングの接触面を切削加工する工程は、前記プレート部材を予めチャックによって固定した後に、前記給電用スリップリングの中心を軸心として回転させながら前記接触面に切削バイトの刃先を当接させることによって行うことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法。
  17. 請求項16に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法において、
    前記電動モータは、円筒状のモータハウジングを有し、
    前記プレート部材は、前記モータハウジングに対して前記樹脂材の内部にモールド固定された芯金の外周部が固定されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置の製造方法。
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