(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明の二次電池の実施形態1について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る二つの二次電池100を示す外観斜視図である。
二次電池100は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属材料によって製作された矩形箱形の電池容器10を備える角形二次電池である。電池容器10は、上部に開口を有する扁平な有底角筒状の電池缶11と、電池缶11の開口を封止する長方形の板状の電池蓋12とを有している。電池缶11は、例えば、前記の金属材料に深絞り加工を施すことによって扁平な有底角筒状に形成されている。
電池容器10の幅方向すなわち電池蓋12の長手方向の両端には、電池容器10の外側で電池蓋12の上面に、異なる材料からなる正極及び負極の外部端子20A,20Bが設けられている。外部端子20A,20Bと電池蓋12との間には、絶縁部材としてのガスケット13が配置され、外部端子20A,20Bが電池蓋12に対して電気的に絶縁されている。
正極の外部端子20Aは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、負極の外部端子20Bは、例えば銅又は銅合金によって製作されている。正極及び負極の外部端子20A,20Bは、それぞれ、概ね円柱状に形成されている。なお、正極及び負極の外部端子20A,20Bの形状は、円柱状に限られず、例えば、概ね直方体形状のブロック状、又は矩形の板状に形成してもよい。
二次電池100は、正極及び負極の20A,20Bのうち、一方の外部端子20Aの材料に対する溶接性に優れた材料からなり、他方の外部端子20Bに超音波圧接された金属部材21を備えている。本実施形態において、金属部材21は、例えば、厚さが数mm程度の金属製の板状の部材であり、正極の外部端子20Aの材料に対する溶接性に優れた材料からなり、負極の外部端子20Bの上面に超音波圧接されている。
ここで、一方の材料に対する他方の材料の溶接性とは、一方の材料と他方の材料とを適切な溶接方法によって溶接する際に、良好な溶接を行うことができる材料の能力を表すものである。本実施形態では、正極の外部端子20Aの材料、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金に溶接した時に、要求する接合強度及び電気的特性が得られる材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金等が、正極の外部端子20Aの材料に対する溶接性に優れた材料である。
すなわち、金属部材21の材料として、正極の外部端子20Aの材料に対する溶接性に優れた同種の金属、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金、或いは異種の金属、例えばニッケル又はニッケル合金等を用いることができる。なお、ニッケル又はニッケル合金は、負極の外部端子20Bの材料である銅又は銅合金に対する溶接性にも優れている。本実施形態の二次電池100において、金属部材21は、正極及び負極の外部端子20A,20Bのうち、一方の正極の外部端子20Aの材料と同種の金属、すなわちアルミニウム又はアルミニウム合金によって製作されている。
また、超音波圧接によって、金属部材21と外部端子20Bとが、それらの接触界面で拡散接合され、接合界面に金属部材21及び外部端子20Bの材料とは組成が異なる接合層CL(図4D参照)が形成される。接合層CLにおいては、接合される各部材の材料が、例えば、塑性流動によって相互に入り込んだ状態になる。また、超音波圧接によって形成される接合層CLの厚さは、例えば、0.1μm〜数μm、又は、数μm〜数十μm程度である。これに対し、例えば抵抗溶接等、その他の溶接方法によって接合界面に形成される接合層の厚さは、例えば、0.1mm〜数mm程度である。したがって、金属部材21と外部端子20Bとが超音波圧接されたか否かは、例えば、両者の接合界面近傍の断面を走査型電子顕微鏡等によって撮影し、形成された接合層CLの形態、組成、厚さ等を測定することで判別することができる。
金属部材21は、隣接する二次電池100の外部端子20A,20Bを接続するバスバーBを溶接可能に平滑化されたバスバー接合面21aを有している。電池蓋12の上面からバスバー接合面21aまでの高さは、電池蓋12の上面から正極の外部端子20Aの上面までの高さと等しくなっている。すなわち、電池蓋12の上面に垂直な高さ方向において、電池蓋12の上面から負極の外部端子20Bの上面までの高さは、電池蓋12の上面から正極の外部端子20Aの上面までの高さよりも、金属部材21の厚さの分だけ低くなっている。
詳細は後述するが、板状の金属部材21の下面を外部端子20Bの上面に超音波圧接すると、外部端子20Bに接合される金属部材21の下面と反対側の上面には、例えば、数百μm程度の凹凸が形成される。その後、金属部材21の上面に、例えば、切削加工処理、研磨加工処理、又は溶融加工処理等、凹凸を平滑化して表面粗さを低減する表面処理を施すことで、バスバー接合面21aが設けられている。バスバーBの溶接を良好に行う観点から、バスバー接合面21aの表面粗さは、例えば、算術平均粗さRaで、好ましくは6.3μm以下、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。
また、一方の外部端子20Aの上面と金属部材21のバスバー接合面21aとに溶接されるバスバーBは、一方の外部端子20Aの材料と同種の材料によって製作されている。すなわち、本実施形態において、バスバーBは、正極の外部端子20Aの材料と同種の材料、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、金属部材21と同等の厚さを有する長方形の板状の部材である。
電池蓋12の正極及び負極の外部端子20A,20Bの間には、ガス排出弁14と注液口15とが設けられている。ガス排出弁14は、例えばプレス加工によって電池蓋12を薄肉化することによって設けられ、さらに開裂溝14aが形成されている。ガス排出弁14は、例えば過充電によって電池容器10の内圧が所定値を超えて上昇すると、開裂溝14aが開裂して開放され、電池容器10の内部のガス等を放出して内圧を低下させる。注液口15は、電池容器10の内部に電解液を注入するのに用いられ、例えばレーザ溶接によって注液栓16bが溶接されて封止されている。
例えば、組電池を構成するために、複数の二次電池100をバスバーによって直列に接続する際には、二次電池100を厚さ方向に積層させ、互いに隣接する二次電池100の正極及び負極の外部端子20A,20Bの位置を交互に180°反転させて配置する。そして、隣接する一方の二次電池100の正極の外部端子20Aと、他方の二次電池100の負極の外部端子20Bとを、バスバーBによって接続する。これを二次電池100の積層方向に繰り返すことで、厚さ方向に積層された複数の二次電池100が直列に接続される。ここで、バスバーBは、一端が正極の外部端子20Aの上面に溶接によって接合され、他端が負極の外部端子20Bの上面に超音波圧接された金属部材21に溶接によって接合される。
図2は、図1に示す二次電池100の内部構造を示す分解斜視図である。
電池缶11は、高さ方向の上端が開放され、上部に開口部11aを有する有底角筒状の略直方体形状の容器である。電池缶11は、高さ方向の下端を閉塞する底面11bと、厚さ方向に対向する面積の大きい一対の広側面11cと、幅方向に対向する面積の小さい一対の狭側面11dとを有している。
電池蓋12の長手方向の両端で、電池容器10の内側となる電池蓋12の下面には、絶縁部材17を介して正極及び負極の集電板30A、30Bが固定されている。正極の集電板30Aは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって製作され、負極の集電板30Bは、例えば、銅又は銅合金によって製作されている。集電板30A、30Bは、それぞれ、電池蓋12に概ね平行な板状の基部31と、基部31から電池缶11の底面11bに向けて延びる板状の端子部32と、を有している。
外部端子20A,20Bは、概ね円柱形状に形成された部分の下面から電池蓋12の上面に対して垂直に延びる柱状の接続部22を有している。外部端子20A,20Bのそれぞれの接続部22は、例えば円柱状に形成され、電池蓋12と、その上下に配置されたガスケット13及び絶縁部材17と、集電板30A,30Bのそれぞれの基部31に形成された貫通孔を貫通している。ガスケット13及び絶縁部材17は、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂材料によって製作されている。
前記各部材の貫通孔を貫通した接続部22は、基部31の下面で先端部が塑性変形させられて拡径され、かしめ部が形成される。これにより、正負の外部端子20A,20Bのそれぞれが正負の集電板30A,30Bのそれぞれに電気的に導通し、これらの各部材がガスケット13及び絶縁部材17によって電池蓋12から電気的に絶縁された状態で、電池蓋12に一体的に固定される。
正負の集電板30A、30Bのそれぞれの端子部32は、電池容器10の厚さ方向における基部31の一側から、電池缶11の最大面積の広側面11cに沿って電池缶11の底面11bに向けて延びる板状に形成されている。正負の集電板30A、30Bのそれぞれの端子部32は、後述する捲回体40の捲回軸A方向において、基部31の外側の端部から下方に延びて、捲回体40の端部の集電板接合部41d、42dにそれぞれ接合されている。これにより、正極の集電板30Aが、捲回体40の捲回軸A方向の一方の端部で正電極41(図3参照)に電気的に接続され、負極の集電板30Bが、捲回体40の捲回軸A方向の他方の端部で負電極42(図3参照)に電気的に接続されている。
捲回体40は、正負の集電板30A、30Bのそれぞれの端子部32に接合されることで、正負の集電板30A、30B及び絶縁部材17,17を介して電池蓋12に固定されている。また、正負の外部端子20A,20B、ガスケット13、絶縁部材17、集電板30A、30B、及び捲回体40が電池蓋12に組み付けられることで、蓋組立体50が製作される。
電池缶11と捲回体40との間には、捲回体40を覆う絶縁ケース60が配置される。絶縁ケース60は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の絶縁性を有する樹脂材料によって製作されている。
二次電池100の製造時には、蓋組立体50を構成する捲回体40及び集電板30A,30Bの周囲を覆うように絶縁ケース60が配置される。そして、蓋組立体50は、捲回体40及び集電板30A,30Bの周囲が絶縁ケース60によって覆われた状態で、捲回体40の下方側の湾曲部40bから、電池缶11の開口部11aに挿入される。これにより、捲回体40及び集電板30A,30Bは、電池缶11との間に絶縁ケース60が配置され、電池缶11と電気的に絶縁された状態で、電池容器10に収容される。
捲回体40は、捲回軸A方向の両側に電池缶11の狭側面11dが位置し、捲回軸A方向が電池缶11の底面11b及び広側面11cに略平行に沿うように、電池缶11内に収容される。これにより、蓄電要素である捲回体40は、一方の湾曲部40bが電池蓋12に対向し、他方の湾曲部40bが電池缶11の底面11bに対向し、平坦部40aが広側面11cに対向した状態になる。
そして、電池蓋12によって電池缶11の開口部11aを閉塞した状態で、例えば、レーザ溶接によって電池蓋12の全周を電池缶11の開口部11aに接合する。これにより、電池缶11の開口部11aが電池蓋12によって密閉封止され、電池缶11と電池蓋12からなる電池容器10が形成される。
その後、電池蓋12の注液口15を介して電池容器10の内部に非水電解液を注入し、注液口15にシール材16aを挿入して圧入し、例えば、レーザ溶接によって注液栓16bを注液口15に接合して封止することで、電池容器10が密閉されている。電池容器10の内部に注入する非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中に、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
図3は、図2に示す捲回体40の一部を展開した分解斜視図である。なお、図3では、図2に示す集電板接合部41d,42dを捲回体40に形成する前の状態を示している。
捲回体40は、セパレータ43,44を介在させて積層させた正負の電極41,42を捲回軸Aに平行な軸心の周りに捲回して扁平形状に成形した捲回電極群である。捲回体40は、電池缶11の広側面11cに対向する平坦部40aと、電池蓋12及び電池缶11の底面11bに対向する湾曲部40bとを有する扁平形状に成形されている。平坦部40aは、電極41、42とセパレータ43、44が平坦に積層された部分であり、湾曲部40bは、電極41、42とセパレータ43、44が半円筒状に湾曲して積層された部分である。
セパレータ43、44は、正電極41と負電極42との間を絶縁すると共に、捲回体40の最外周に捲回された負電極42の外周にもセパレータ44が捲回されている。セパレータ43,44は、例えば多孔質のポリエチレン樹脂によって製作されている。
正電極41は、正極集電体である正極金属箔41aと、正極金属箔41aの両面に塗布された正極活物質合剤からなる正極合剤層41bとを有している。長尺帯状の正電極41の幅方向の一側は、正極合剤層41bが形成されず、正極金属箔41aが露出した箔露出部41cとされている。正電極41は、箔露出部41cが負電極42の箔露出部42cと捲回軸A方向の反対側に配置されて、捲回軸Aの周りに捲回されている。
正電極41を製作するには、例えば、正極活物質に導電材、結着剤及び分散溶媒を添加して混練した正極活物質合剤を、幅方向の一側を除く正極金属箔41aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断する。正極金属箔41aとしては、例えば、厚さ約20μm〜30μm程度のアルミニウム箔を用いることができる。正極金属箔41aの厚みを含まない正極合剤層41bの厚さは、例えば、約90μmである。
正極活物質合剤の材料としては、例えば、正極活物質として100重量部のマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)を、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛を、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を、分散溶媒としてN−メチルピロリドン(以下、NMPという。)を、それぞれ用いることができる。
正極活物質は、前記したマンガン酸リチウムに限定されず、例えば、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウム、一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物を用いてもよい。また、正極活物質として、層状結晶構造を有するコバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、及びこれらの一部を金属元素で置換又はドープしたリチウム−金属複合酸化物を用いてもよい。
負電極42は、負極集電体である負極金属箔42aと、負極金属箔42aの両面に塗布された負極活物質合剤からなる負極合剤層42bとを有している。長尺帯状の負電極42の幅方向の一側は、負極合剤層42bが形成されず、負極金属箔42aが露出した箔露出部42cとされている。負電極42は、その箔露出部42cが正電極41の箔露出部41cと捲回軸A方向の反対側に配置されて、捲回軸A周りに捲回されている。
負電極42を製作するには、例えば、負極活物質に結着剤及び分散溶媒を添加して混練した負極活物質合剤を、幅方向の一側を除く負極金属箔42aの両面に塗布し、乾燥、プレス、裁断する。負極金属箔42aとしては、例えば、厚さ約10μm〜20μm程度の銅箔を用いることができる。負極金属箔42aの厚みを含まない負極合剤層42bの厚さは、例えば、約70μmである。
負極活物質合剤の材料としては、例えば、負極活物質として100重量部の非晶質炭素粉末を、結着剤として10重量部のPVDFを、分散溶媒としてNMPをそれぞれ用いることができる。負極活物質は、前記した非晶質炭素に限定されず、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料やSiやSnなどの化合物(例えば、SiO、TiSi2等)、又はそれらの複合材料を用いてもよい。負極活物質の粒子形状についても特に限定されず、鱗片状、球状、繊維状又は塊状等の粒子形状を適宜選択することができる。
なお、前記した正極及び負極の合剤層41b,42bに用いる結着材は、PVDFに限定されない。前記した結着材として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体及びこれらの混合体などを用いてもよい。
捲回体40は、捲回軸A方向の両端で積層した正負の電極41,42の箔露出部41c,42cがそれぞれ束ねられ、図2に示すように、正負の集電板接合部41d,42dが形成される。そして、例えば、超音波圧接によって、正負の集電板接合部41d,42dに、それぞれ正負の集電板30A,30Bが接合されることで、正負の電極41,42が、それぞれ正負の集電板30A,30Bを介して、それぞれ正負の外部端子20A,20Bに接続される。
以上の構成に基づき、本実施形態の二次電池100は、例えば、外部の発電装置等から供給された電力を、外部端子20A,20B及び集電板30A,30Bを介して捲回体40の正負の電極41,42の合剤層41b,42b間に蓄積することで充電される。また、二次電池100は、捲回体40の正負の電極41,42の合剤層41b,42b間に充電した電力を、集電板30A,30B及び外部端子20A,20Bを介して、モータ等、電力を消費する外部負荷に電力を供給する。
以下、前記した本実施形態の二次電池100が備える正極及び負極の外部端子20A,20Bのうち、一方の負極の外部端子20Bに対して金属部材21を接合する工程について説明する。
図4Aから図4Cは、超音波圧接によって負極の外部端子20Bに対して金属部材21を接合する工程を示す工程図である。図4Dは、負極の外部端子20Bに超音波圧接によって接合された金属部材21にバスバー接合面21aを形成する工程を示す工程図である。金属部材21を負極の外部端子20Bに接合する工程、及び、金属部材21にバスバー接合面21aを形成する工程は、例えば、前記した電池蓋12に負極の外部端子20Bを固定する工程の前に行われる。
超音波圧接によって負極の外部端子20Bに対して金属部材21を接合する際には、まず、図4Aに示すように、外部端子20Bの側方からアンビルAnを当接させて、外部端子20Bを固定する。アンビルAnは、外部端子20Bの側面に当接する面が平坦であってもよいが、円筒状の外部端子20Bの側面に適合する半円筒状の曲面を有する一対のアンビルAnを用いてもよい。外部端子20Bは、一対のアンビルAnでホーンHを振動させる方向の両側から挟み込んで固定することができる。なお、外部端子20Bが略直方体のブロック形状である場合には、外部端子20Bの互いに垂直な二つの側面にそれぞれ垂直な二方向から、二対のアンビルAnで外部端子20Bを挟み込んで固定してもよい。
次に、アンビルAnによって固定された外部端子20Bの上面に金属部材21を載置する。そして、金属部材21の上面にホーンHの凹凸Haを押し当て、ホーンHによって金属部材21を外部端子20Bに向けて加圧した状態で、金属部材21の下面と外部端子20Bの上面とを接触させる。これにより、金属部材21の上面が塑性変形してホーンHの凹凸Haが食い込んだ状態になる。
次に、図4Bに示すように、ホーンHを超音波振動させて金属部材21と外部端子20Bとの超音波圧接を行う。具体的には、ホーンHによって金属部材21を外部端子20Bに向けて加圧して、金属部材21の下面と外部端子20Bの上面とを所定の面圧で接触させた状態で、両部材の接触界面に沿ってホーンHを超音波振動させる。ここで、ホーンHの超音波振動の周波数は、例えば約20kHz又はそれ以上である。
超音波圧接では、例えば、接触界面である金属部材21の下面と外部端子20Bの上面との摩擦によって、両部材の酸化被膜や汚れが除去され、両部材の材料間で金属原子の拡散が生じ、拡散接合によって両部材が固相接合される。なお、超音波圧接において、負極の外部端子20Bの材料の焼きなまし温度以上になる接合条件とし、負極の外部端子20Bの残留応力を除去するようにしてもよい。
超音波圧接によって、図4Cに示すように、金属部材21と外部端子20Bとの接触界面の全体に亘って接合層CLが形成され、金属部材21と外部端子20Bとが強固かつ緻密に接合される。一方、接合層CLと反対側の金属部材21の上面には、ホーンHの凹凸Haに対応する凹凸21bが形成される。この凹凸21bによる金属部材21の上面の算術平均粗さRaは、例えば、数百μm程度である。このような凹凸21bを有する金属部材21の上面にバスバーBを良好に溶接するのは困難であり、金属部材21とバスバーとの間の十分な接合強度及び電気的特性を確保するのは困難である。
そのため、本実施形態では、図4Dに示すように、例えば、金属部材21の上面全体に、表面粗さを低減するための表面加工処理を施して、バスバー接合面21aを形成する。ここで、表面粗さを低減するための表面加工処理としては、例えば、切削加工処理、研磨加工処理、溶融加工処理等を行うことができる。なお、バスバーBが溶接されない金属部材21の側面には、表面加工処理を施さなくてもよい。
以下、本実施形態の二次電池100の作用について説明する。
図5は、二次電池100の正極の外部端子20Aと、負極の外部端子20Bに超音波圧接された金属部材21とに、それぞれバスバーB,Bを溶接する工程を示す工程図である。図6は、金属部材21にバスバーBが溶接された状態を示す外部端子20B、金属部材21、及びバスバーBの断面図である。
例えば、複数の二次電池100を直列に接続して組電池を構成する際には、図1及び図5に示すように、厚さ方向に互いに隣接する一方の二次電池100の正極の外部端子20Aと、他方の二次電池100の負極の外部端子20Bとを、バスバーBによって接続する。ここで、本実施形態の二次電池100では、正極及び負極の外部端子20A,20Bは、異なる材料からなり、バスバーBは、正極の外部端子20Aと同種の材料からなっている。具体的には、正極の外部端子20A及びバスバーBの材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、負極の外部端子20Bの材料は、銅又は銅合金である。
そのため、バスバーBを正極及び負極の外部端子20A,20Bに溶接した場合、正極の外部端子20AとバスバーBとの溶接は、溶接性に優れ、良好な溶接が可能な同種の金属の溶接となり、十分な接合強度及び電気的特性を得ることができる。しかし、負極の外部端子20BとバスバーBとの溶接は、溶接性に劣り、良好な溶接が困難な異種の金属、ここでは、銅又は銅合金と、アルミニウム又はアルミニウム合金との溶接となり、十分な接合強度及び電気的特性を得ることが困難である。
これに対し、本実施形態の二次電池100は、一方の外部端子20Aの材料に対する溶接性に優れた材料からなり、他方の外部端子20Bに超音波圧接されると共に、バスバーBが溶接されるバスバー接合面21aを有する金属部材21を備えている。
そのため、バスバーBの一端を、一方の二次電池100の正極の外部端子20Aに溶接し、バスバーBの他端を、他方の二次電池100の金属部材21に溶接することで、バスバーBの両端を、バスバーBの材料との溶接性に優れた材料に対して溶接することができる。したがって、バスバーBの溶接を容易かつ良好に行うことができ、バスバーBと一方の二次電池100の正極の外部端子20Aとの間、及び、バスバーBと他方の二次電池100の金属部材21との間で、良好な接合強度及び電気的特性が得られる。
バスバーBを金属部材21に溶接することで、バスバーBが金属部材21を介して他方の二次電池100の負極の外部端子20Bに接続される。そして、バスバーB及び金属部材21を介して、一方の二次電池100の正極の外部端子20Aと、他方の二次電池100の負極の外部端子20Bとが接続される。バスバーBと金属部材21との溶接方法としては、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接、アーク溶接等を適用することができる。バスバーBと金属部材21との溶接方式としては、例えば、重ね合わせ溶接、突き合せ溶接、すみ肉溶接等を適用することができる。
ここで、金属部材21は、負極の外部端子20Bに対して超音波圧接され、接触界面の全体に亘って拡散接合によって強固に接合されている。そのため、前記した特許文献1に記載された圧延クラッド材の中間部材の側端面と、負極接続端子の側端面との境界部分の溶接と比較して、金属部材21と負極の外部端子20Bとを、より広い面積で強固に接合することができる。したがって、金属部材21と負極の外部端子20Bとの間の接合強度及び電気的特性を向上させることができる。
図6に示すように、例えば、レーザ溶接を適用し、重ね合わせ溶接によってバスバーBを金属部材21に溶接する際には、溶接金属Wの下端が負極の外部端子20Bの上面又は接合層CLに達しないようにすることが好ましい。すなわち、金属部材21の溶込み深さdが金属部材の厚さTよりも浅くなるように、溶接条件を設定することが好ましい。これにより、銅又は銅合金からなる負極の外部端子20Bの溶接時の溶融を防止し、金属部材21と負極の外部端子20Bとの間の拡散接合による接合層CLの損傷を防止することができる。したがって、金属部材21と負極の外部端子20Bとの接合強度の低下が防止され、金属部材21と負極の外部端子20Bとの間で、良好な接合強度及び電気的特性が得られる。
また、金属部材21は、バスバーBが溶接されるバスバー接合面21aを有している。そのため、超音波圧接のホーンHによって金属部材21に形成された凹凸21bにバスバーBを溶接する場合と異なり、バスバーBの下面をバスバー接合面21aに密着させ、バスバーBと金属部材21との良好な溶接を行うことができる。これにより、超音波圧接によって凹凸21bが形成される金属部材21と、バスバーBとの間の接合強度及び電気的特性を向上させることができる。
また、金属部材21は、一方の外部端子20Aの材料と同種の材料からなっている。そのため、金属部材21の材料として、一方の外部端子20Aの材料との溶接性に優れた異種の材料、例えば、ニッケル又はニッケル合金を用いる場合と比較して、一方の外部端子20Aの材料に対する金属部材21の溶接性をさらに向上させることができる。したがって、一方の外部端子20Aの材料と同種の金属からなるバスバーBに対する金属部材21の溶接性をさらに向上させ、金属部材21とバスバーBとの間の接合強度及び電気的特性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態において、一方の外部端子20Aの材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、金属部材21が超音波圧接される他方の外部端子20Bの材料は、銅又は銅合金である。したがって、一方の外部端子20Aの材料と同種のアルミニウム又はアルミニウム合金からなるバスバーBと、銅又は銅合金からなる他方の外部端子20Bとの溶接を回避し、バスバーBと同種のアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属部材21に対してバスバーBを溶接することができる。よって、金属部材21とバスバーBとの間で、容易かつ良好に溶接を行うことができ、接合強度及び電気的特性を向上させることができる。
また、金属部材21のバスバー接合面21aの算術平均粗さRaは、6.3μm以下とされている。これにより、バスバー接合面21aとバスバーBとをより確実に密着させ、バスバー接合面21aとバスバーBとの間の溶接の信頼性を向上させることができる。なお、バスバー接合面21aの算術平均粗さRaが、例えば3.5μm以下であれば、より溶接の信頼性を向上させることができ、例えば1.0μm以下であれば、さらに溶接の信頼性を向上させることができる。また、バスバー接合面21aに対向するバスバーBの下面の表面粗さは、バスバー接合面21aと同等であることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、異なる材料からなる正極及び負極の外部端子20A,20Bを備え、バスバーBによって直列に接続される二次電池100において、バスバーBの溶接を容易にしつつ、バスバーBが接合される金属部材21と外部端子20Bとの間の接合強度及び電気的特性を従来よりも向上させることができる。
(実施形態2)
以下、本発明の二次電池の実施形態2について、図1から図4Cまでを援用し、図7A及び図7Bを用いて説明する。
図7Aは、本実施形態の二次電池の負極の外部端子20B、金属部材21Aを示す拡大断面図である。図7Bは、図7Aに示す金属部材21AにバスバーB1を溶接した状態を示す拡大断面図である。
本実施形態の二次電池は、金属部材21Aの上面の一部にバスバー接合面21aが形成されている点で、前述の実施形態1で説明した二次電池100と異なっている。本実施形態の二次電池のその他の点は、実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には、同一の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態では、図4Cに示すように、金属部材21Aを負極の外部端子20Bに超音波圧接によって接合した後、凹凸21bが形成された金属部材21Aの上面の一部に、前記した表面粗さを低減する表面加工処理を施す。これにより、図7Aに示すように、金属部材21Aの上面の一部に、バスバー接合面21aが形成されている。すなわち、本実施形態において、バスバー接合面21aは、超音波圧接によって凹凸が形成された金属部材21Aの表面の一部に形成された平滑面である。バスバー接合面21aは、例えば、金属部材21Aの上面の中央部に形成することができる。
このように、凹凸21bが形成された金属部材21Aの上面の一部に、バスバー接合面21aを形成する場合には、金属部材21Aの上面に対向するバスバーB1の下面に、金属部材21Aの上面に向けて突出する凸部Baを設ける。凸部Baは、金属部材21のバスバー接合面21aの形成位置に対応する位置、例えば、バスバーB1の端部の幅方向中央部に設けられる。凸部Baの下面は、バスバーBを金属部材21Aに溶接する際に、バスバー接合面21aに接合される溶接面である。ここで、バスバーB1の下面からの凸部Ba下面までの高さh1、すなわち凸部Baの突出量は、金属部材21のバスバー接合面21aから凹凸21bの凸部の頂点までの最大高さh2よりも大きくする。
これにより、図7Bに示すように、金属部材21Aのバスバー接合面21aに、バスバーB1の凸部Baを接触させて、バスバーB1を金属部材21Aに溶接するときに、金属部材21Aの上面の凹凸21bがバスバーB1の下面に干渉することを確実に回避することができる。したがって、金属部材21Aの上面に形成するバスバー接合面21aの範囲を最小限にしつつ、バスバーB1を金属部材21Aに良好に溶接することができる。よって、本実施形態の二次電池によれば、前述の実施形態1の二次電池100と同様の効果が得られるだけでなく、バスバー接合面21aの形成を容易にして生産性を向上させることができる。
(実施形態3)
以下、本発明の二次電池の実施形態3について、図1から図6までを援用し、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の二次電池100Aを示す斜視図である。
本実施形態の二次電池100Aは、金属部材21Bが、正極及び負極の外部端子20A,20Bのうち、一方の負極の外部端子20Bの材料に対する溶接性に優れた材料からなり、他方の正極の外部端子20Aに超音波圧接されている点で、前述の実施形態1の二次電池100と異なっている。また、バスバーB2は、一方の負極の外部端子20Bの材料に対する溶接性に優れた材料からなっている。本実施形態の二次電池100Aのその他の点は、前述の実施形態1の二次電池100と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して、説明は省略する。
本実施形態の二次電池100Aは、一方の負極の外部端子20Bの材料が、銅又は銅合金であり、他方の正極の外部端子20Aの材料が、アルミニウム又はアルミニウム合金である。そして、金属部材21B及びバスバーB2は、一方の負極の外部端子20Bの材料と同種の銅又は銅合金からなっている。
これにより、複数の二次電池100Aを直列に接続して組電池を構成する際に、バスバーB2の一端を、一方の二次電池100Aの負極の外部端子20Bに溶接し、バスバーB2の他端を、他方の二次電池100Aの金属部材21Bに溶接することで、バスバーB2の両端を、バスバーB2の材料との溶接性に優れた材料に対して溶接することができる。
また、前述の実施形態1の二次電池100と同様に、積層方向に隣接する一方の二次電池100Aの負極の外部端子20BにバスバーB2の一端を溶接し、他方の二次電池100Aの金属部材21BにバスバーB2を溶接することで、バスバーB2が金属部材21Bを介して他方の二次電池100Aの正極の外部端子20Aに接続される。そして、バスバーB2及び金属部材21Bを介して、一方の二次電池100Aの負極の外部端子20Bと、他方の二次電池100Aの正極の外部端子20Aとが接続される。
また、前述の実施形態1の二次電池100と同様に、金属部材21Bは、正極の外部端子20Aに対して超音波圧接され、接触界面の全体に亘って拡散接合によって強固に接合されている。また、前述の実施形態1の二次電池100と同様に、金属部材21Bは、バスバー接合面21aを有している。
したがって、本実施形態の二次電池100Aによれば、前述の実施形態1の二次電池100と同様に、異なる材料からなる正極及び負極の外部端子20A,20Bを備え、バスバーB2によって直列に接続される二次電池100Aにおいて、バスバーB2の溶接を容易にしつつ、バスバーB2が接合される金属部材21Bと外部端子20Aとの間の接合強度及び電気的特性を従来よりも向上させることができる。また、銅又は銅合金製のバスバーを用いることで、複数の二次電池100A間の電気抵抗をより低減することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
例えば、金属部材の材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金に限定されず、正極及び負極の外部端子の材料に合わせて適宜変更することができる。また、バスバーの材料も、同様に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、に限定されず、正極及び負極の外部端子の材料および金属部材の材料に合わせて適宜変更することができる。