JP2013222517A - 角形二次電池 - Google Patents

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Kinya Aota
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Abstract

【課題】発電要素の揺れや振動に対する正・負極集電板が受ける外力を低減する。
【解決手段】発電要素40の正極合剤未塗工部41cは、軸芯から側端部に向けて、厚さ(Z)方向に2つの分割積層部に分割されている。正極集電板には、各分割積層部に対応して、その基部から二股に分割された接合部23aが形成されており、それぞれの接合部23aが各分割積層部に接合されている。負極集電板には、1つの接合部33のみが形成され、この接合部33が、軸芯上に位置する負極合剤未塗工部42cの積層部に接合される。これにより、発電要素40からの衝撃や振動により集電板が受ける外力を低減することができる。
【選択図】図6

Description

この発明は、角形二次電池に関し、より詳細には、発電要素に接続される正・負極の集電板を備える角形二次電池に関する。
角形二次電池は、電池容器内に、正・負極の電極を、セパレータを介して捲回した扁平直方体状の発電要素が収容され、電解液が注入された構造を有している。
電池容器は、正・負極の外部接続用端子が取り付けられた電池蓋により電池缶の開口を密封することにより構成される。正負極の外部接続用端子には、発電要素に接続された正・負極の集電板が接続される。発電要素は、セパレータを介して正・負極の電極が捲回され、扁平直方体状に形成されている。
正・負極の電極は、それぞれ、金属シートに正・負極の活物質を塗工して形成され、一側縁部に正・負極の活物質が塗工されていない合剤未塗工部を有している。正・負極の合剤未塗工部は、発電要素の相対向する側縁に沿って形成されている。正・負極の未塗工部には、それぞれ、正・負極の集電板が接合される。
正・負極の集電板は、電池蓋に取り付けられる基部と、この基部から垂直に折曲され、正・負極の金属シートに接合される接合片を有する形状とされている。正・負極の集電板の接合片は、発電要素の捲回の中心軸と平行に、すなわち、正・負極の合剤未塗工部と平行に設けられている。正・負極の金属シートは、異なる材料により形成され、例えば、リチウムイオン角形二次電池では、正極用にはアルミニウム系金属、負極用には銅系金属が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には記載されていないが、正・負極の集電板は、通常、金属シートの接合強度を大きくし、抵抗を小さくするために、対応する極性の金属シートと同一の材料により形成される。
特開2011−165436号公報
電池容器内に収容された発電要素には、例えば、車両に搭載された場合には、走行時に衝撃や振動等の外力が作用する。発電要素は、正・負極の未塗工部間の長さが大きい扁平直方体状に捲回されているため、特に、捲回の中心軸に直交する方向、換言すれば、発電要素の厚さ方向に大きく振動しやすい。正極集電板の材料であるアルミニウム系金属は負極集電板の材料である銅系金属よりも剛性が低いため、正極集電板が損傷を受け易い。
本発明の角形二次電池は、一側縁に沿って正極合剤未塗工部が形成された正極シートを有する正極電極と、一側縁と反対側の他側縁に沿って負極合剤未塗工部が形成された負極シートを有する負極電極とがセパレータを介して扁平直方体状に捲回され、正極電極と負極電極とが積層された発電要素と、開口部を有し、発電要素が収容されると共に電解液が注入された電池缶と、正極電極に接続される正極端子と負極電極に接続される負極端子とが設けられ、電池缶の開口部を塞いで電池缶と共に密封構造を構成する蓋部材と、正極電極の正極シートと正極端子とを接続する正極集電板と、負極電極の負極シートと負極端子とを接続する負極集電板と、を備え、正極集電板と負極集電板とは異なる材料により形成され、正極集電板と負極集電板のうち、発電要素の振動に対する耐性が小さい方の極性の集電板に二股に分割された接続片を設け、この極性と同一極性の合剤未塗工部を、捲回の中心を境に2つの分割積層部に分割し、各分割積層部に、それぞれ、二股に分割された接続片を接続し、他方の極性の合剤未塗工部に他の集電板を1箇所で接続したことを特徴とする。
この発明の角形二次電池によれば、発電要素の振動に対する耐性が小さい方の極性の集電板が受ける外力を低減することができる。
本発明に係る角形二次電池の一実施の形態の外観斜視図。 図1に示された角形二次電池の分解斜視図。 図2に図示された角形二次電池を、さらに、電池蓋組立体と発電要素に分解した斜視図。 発電要素の斜視図。 図1のV−V線断面図。 発電要素と正・負極集電板の接合状態を説明するための模式的断面図。
以下、本発明を、リチウムイオン角形二次電池を一実施の形態として図面と共に説明する。
図1は、この発明の角形二次電池の一実施の形態を示す外観斜視図である。図2は、図1に示された角形二次電池の分解斜視図であり、図3は、図2に図示された角形二次電池を、さらに、電池蓋組立体と発電要素に分解した斜視図である。
角形二次電池1は、電池蓋3および電池缶4とから構成される薄型のほぼ直方体形状の電池容器内に、発電要素40が収容され、図示はしないが非水電解液が注入されて構成されている。電池蓋3および電池缶4は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属により形成されている。
電池蓋3の中央部には、非水電解液を注入するための注液口11が設けられている。注液口11は、電解液注入後に注液栓15により封口される。注液栓15は、例えば、レーザ溶接によって電池蓋3の注液口11の周縁部に接合される。
また、電池蓋3には、過充電等により内部圧力が上昇した際に、圧力を抜くための開裂弁12が設けられている。開裂弁12には、開裂用の溝12aが形成されている。
電池缶4内に注入される非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
電池蓋3には、正極側の端子構成部と負極側の端子構成部とが設けられている。正極側の端子構成部は、外部正極端子(正極端子)61、正極接続端子62、正極端子板63等を備えている。負極側の端子構成部は、外部負極端子(負極端子)71、負極接続端子72、負極端子板73を備えている。詳細は後述するが、外部正極端子61、正極接続端子62、正極端子板63および外部負極端子71、負極接続端子72、負極端子板73は、それぞれ、電気的に接続され、電池蓋3とは絶縁して電池蓋3に取り付けられている。
電池蓋3の裏面側には正極集電板21と負極集電板31が設けられている。電池蓋3に、後述する正極側および負極側の端子構成部を組み付けて電池蓋組立体10(図3参照)が構成される。
電池缶4は、電池蓋3側に開口部4aを有する薄箱型に形成されている。電池缶4には、発電要素40が収容される。
発電要素40は、電池蓋組立体10と一体化された状態で、電池缶4の開口部4aから、電池缶4内に収容され、電池缶4の開口部4aは、電池蓋3により、その開口部4aが閉塞される。電池蓋3の周縁部3aは薄肉とされ(図5参照)、この周縁部3aを電池缶4の開口部4aの周縁部に嵌合した状態で、例えば、レーザ溶接によって電池缶4に接合され、外部に対し密封構造とされる。
発電要素40を、図示されていない絶縁袋内に収容した状態で電池缶4内に収容するようにしてもよい。
なお、本明細書においては、各図に図示されるように、角形二次電池1の幅方向をX方向、高さ方向をY方向、厚さ方向をZ方向として説明する。
図4は発電要素40の巻き終り側を展開した状態の外観斜視図である。
発電要素40は、正極電極41と負極電極42とを、第1、第2のセパレータ43、44を介在して軸芯の周りに扁平直方体状に捲回して形成されたものである。
正極電極41は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等のアルミニウム系金属からなる正極金属シート(正極シート)41aの表裏両面に正極合剤が塗工された正極合剤塗工部41bを有する。正極合剤塗工部41bは、正極金属シート41aの一側縁に、正極金属シート41aが露出された正極合剤未塗工部41cが形成されるように正極金属シート41aに正極合剤を塗工して形成される。
負極電極42は、例えば、銅または銅合金等の銅系金属からなる負極金属シート(負極シート)42aの表裏両面に負極合剤が塗工された負極合剤塗工部42bを有する。負極合剤塗工部42bは、正極合剤未塗工部41cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属シート42aが露出された負極合剤未塗工部42cが形成されるように負極金属シート42aに負極合剤を塗工して形成される。
正極合剤は、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn)100重量部に対し、導電剤として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練して作製する。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未塗工部41cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)90μmの正極電極41を得る。
正極活物質にはマンガン酸リチウムを用いる場合について例示したが、スピネル結晶構造を有する他のマンガン酸リチウムや一部を金属元素で置換又はドープしたリチウムマンガン複合酸化物や層状結晶構造を有すコバルト酸リチウムやチタン酸リチウムやこれらの一部を金属元素で置換またはドープしたリチウム-金属複合酸化物を用いるようにしてもよい。
負極合剤は、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練して作製する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未塗工部42cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極電極42を得る。
負極活物質には非晶質炭素を用いる場合について例示したが、これに限定されるものではなく、リチウムイオンを挿入、脱離可能な天然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークスなどの炭素質材料等でよく、その粒子形状においても、鱗片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものではない。
また、正極金属箔、負極金属箔における塗工部の結着材としてPVDFを用いる場合について例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン、アクリル系樹脂などの重合体およびこれらの混合体などを用いることができる。
セパレータ43、44は、正極金属シート41aまたは負極金属シート42aを絶縁する役割を有している。負極電極42の負極合剤塗工部42bは、正極電極41の正極合剤塗工部41bよりも幅方向に大きく、これにより正極合剤塗工部41bは、必ず負極合剤塗工部42bに挟まれるように構成されている。
発電要素40は、図4に示すように、最外周の電極が負極電極42であり、さらにその外側にセパレータ44が捲回される。
発電要素40を形成するには、図示しない軸芯に先端部を巻き付けた第1、第2のセパレータ43、44の間に、それぞれ、負極電極42および正極電極41を配置して軸芯を回転する。この際、負極電極42の巻始め側端部を、正極電極41の巻始め側端部よりも内側に位置するように配置する。発電要素40には、軸芯を捲回装置に一体に設け、捲回後に、発電要素40のみを取り出す軸芯無しのものと、軸芯を捲回装置に取付け、捲回後に発電要素40と共に捲回装置から取り出す軸芯付きのものとがある。
発電要素40は、捲回して扁平直方体状に形成されることにより、正極金属シート41aの正極合剤未塗工部41cと、負極金属シート42aの負極合剤未塗工部42cが、それぞれ、積層状態に重合される。
発電要素40は、図3に図示されるように、正極合剤未塗工部41cと負極合剤未塗工部42cとが、電池缶4の長手方向であるX方向に配置された状態で電池缶4内に収容される。この状態で、正極集電板21が積層状態の正極合剤未塗工部41cに、負極集電板31が積層状態の負極合剤未塗工部42cに、例えば、超音波溶接により接合される。
図5は、図1のV−V線断面図である。
電池蓋3には、正極側の端子構成部として、外部正極端子61、正極接続端子62、正極端子板63、絶縁板64、ガスケット65および正極集電板21が取り付けられている。外部正極端子61、正極端子板63、正極接続端子62および正極集電板21は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等、正極金属シート41aと同一材料であるアルミニウム系金属により形成されている。
外部正極端子61は、基部61aと軸部61bを有し、軸部61bの外周には、雄ねじが形成されている。図示はしないが、雄ねじの外周にはバスバーが嵌入され、バスバーの上からナットを雄ねじに螺合して外部正極端子61にバスバーが締結される。このようにして、複数個の角形二次電池1をバスバーにより連結して電池モジュールが作製される。
絶縁板64は、電池蓋3上に固定されている。絶縁板64の中央部に貫通孔が形成された段部64aおよび鍔部64bが設けられている。段部64aの下方の鍔部64bの貫通孔は、段部64aの貫通孔よりも小径である。段部64a上には段部64aの貫通孔よりも大きい幅の、平面視で矩形の凹部64cが設けられている。
電池蓋3には、鍔部64bの貫通孔に嵌入する突出部3bが設けられており、この突出部3bの上端を鍔部64bにかしめることにより絶縁板64が電池蓋3上に固定される。
外部正極端子61は、その基部61aが絶縁板64の凹部64cに嵌入され、段部64aの上面に載置されている。この状態で、外部正極端子61が、その軸部61bが正極端子板63に設けられた開口部内を貫通して外部に突き出されている。
電池蓋3の突出部3bの上面と外部正極端子61の基部61aとは離間しており、外部正極端子61は、電池蓋3とは電気的に絶縁されている。
正極接続端子62は、小径部62aと大径部62bを有する段付き円柱状に形成されており、大径部62bの下端部には正極集電板21がかしめにより固定されている。電池蓋3には、正極接続端子62が挿通される貫通孔3cが設けられている。この電池蓋3に設けられた貫通孔3cには、下端に鍔部を有するリング状のガスケット65が嵌入され、ガスケット65に正極接続端子62が挿通されている。正極接続端子62の大径部62bは、その上面がガスケット65の鍔部に当接され、電池蓋3とは電気的に絶縁されている。
電池蓋3の貫通孔3cに対応して、絶縁板64に貫通孔64dが形成されている。ガスケット65は円筒状の中空部を有し、この中空部と絶縁板64に設けられた貫通孔64dを貫通して正極接続端子62が取り付けられている。正極接続端子62の小径部62aは、正極端子板63の貫通孔に挿通され、この小径部62aの上部をかしめることにより正極端子板63が正極接続端子62に固定されている。大径部62bは、正極集電板21の貫通孔に挿通され、この大径部62bの上部(図5では下方に位置する)をかしめることにより、正極集電板21が正極接続端子62に固定されている。
正極接続端子62と電池蓋3とはガスケット65により電気的に絶縁されており、上述した如く、外部正極端子61と電池蓋3とは電気的に絶縁されているので、正極の端子構成部は、電池蓋3と電気的に絶縁されている。また、外部正極端子61は、正極端子板63および正極接続端子62を介在して正極集電板21に電気的に接続されている。
正極の端子構成部は下記のようにして作製される。
絶縁板64の鍔部64bの貫通孔を電池蓋3の突出部3bに嵌入すると共に、絶縁板64の貫通孔64dを電池蓋3の貫通孔3cに位置合せする。
電池蓋3の突出部3bの上部をかしめて、電池蓋3上に絶縁板64を固定する。
電池蓋3の貫通孔3cと絶縁板64の貫通孔64dにガスケット65を嵌入する。ガスケット65の嵌入は、電池蓋3と絶縁板64をかしめる前に行ってもよい。
予め、正極集電板21を、正極接続端子62の大径部62bにかしめておき、正極集電板21が取り付けられた正極接続端子62を、ガスケット65の貫通孔に挿通する。
外部正極端子61の基部61aを絶縁板64の凹部64cに嵌入する。
正極端子板63の貫通孔を外部正極端子61の軸部61bに嵌入する。
外部正極端子61のもう1つの貫通孔を正極接続端子62の小径部62aに嵌入し、小径部62aをかしめる。
これにより、電池蓋3に、外部正極端子61、正極接続端子62、正極端子板63、絶縁板64、ガスケット65および正極集電板21が一体に取り付けられる。
同様に、負極の端子構成部は、外部負極端子71、負極接続端子72、負極端子板73、負極集電板31、および図示はしないが絶縁板、ガスケットを備えている。外部負極端子71、負極接続端子72、負極端子板73、負極集電板31は、銅または銅合金等、負極金属シート42aと同一材料の銅系金属により形成されている。
負極の端子構成部も、正極の構成部と同様の手順で、電池蓋3に一体に取り付けられる。
しかしながら、正極集電板21と負極集電板31とは、材料のみでなく、構造が相違している。以下、このことについて詳述する。
図3を参照して説明する、正極集電板21の基部22および負極集電板31の基部32は、それぞれ、電池蓋3の裏面側における、X方向の相対向する端部側に取り付けられる。
正極集電板21の基部22は、電池蓋3の幅方向であるZ方向に幅広く形成されており、ほぼ直角にY方向に屈曲された断面L字形状を有する。正極集電板21の基部22の下端部は二股に分割され、一対の接続片23が形成されている。
各接続片23は、正極電極41の正極合剤未塗工部41cに接合される接合部(接続部)23aおよび基部22と接合部23aとを連結する湾曲部23bを有する。一対の接続片23は、発電要素40の軸芯の中心軸に対して線対称に形成されており、各接続片23の接合部23aは、それぞれ、湾曲部23b側から先端側に向けて、発電要素40の軸芯側に傾斜して形成されている。上述した如く、発電要素40の正極合剤未塗工部41は、捲回されて積層状態に重合されているが、後述する如く、捲回の軸芯の中心線を境界として、厚さ方向に二股に分割されている。そして、各接続片23の接合部23aは、それぞれ、二股に分割された積層状の正極合剤未塗工部41cに接合される。
負極集電板31の基部32は、電池蓋3に沿って延出された部分と、この延出された部分の端部からほぼ直角にY方向に屈曲された部分を有する。基部32の下端部には、鈍角にZ方向に屈曲され、Y方向に平行となるように屈曲された接合部(接続部)33が一体に形成されている。つまり、負極集電板31には、発電要素40の軸芯の中心線と平行な1つの接合部33のみが形成され、この接合部33が負極電極42の負極合剤未塗工部42cに接合される。
図6は、発電要素40と正・負極集電板21、31の接合状態を説明するための模式的断面図である。
発電要素40において、負極合剤未塗工部42cは、捲回の中心線O−Oに対して平行に積層され、圧縮されている。負極集電板31の接合部33は、負極合剤未塗工部42cと平行に設けられている。負極集電板31の接合部33と負極合剤未塗工部42cとは、積層された負極合剤未塗工部42cの一面に負極集電板31の接合部33を配し、他面に保護板51を配して溶接される。すなわち、負極集電板31の接合部33と保護板51との間に積層された負極合剤未塗工部42cを挟み込んで、超音波溶接により接合される。保護板51は、銅系金属とすることが望ましい。
一方、正極側では、発電要素40の積層された正極合剤未塗工部41cは、捲回の中心から、二股に分割されている(以下、積層された正極合剤未塗工部41cの分割された各積層部を分割積層部という)。
正極合剤未塗工部41cの各分割積層部は、長手方向であるX方向の端部側が、最も大きく離間するように、ほぼ直線状に傾斜している。
各分割積層部の傾斜角は、捲回の中心線O−Oに対して対称である。正極集電板21の一対の接合部23aは、それぞれ、正極合剤未塗工部41cの各分割積層部に平行に設けられている。正極集電板21の各接合部23aと各分割積層部の正極合剤未塗工部41cとは、負極側と同様に、それぞれ、正極集電板21の接合部23aと反対側に保護板52を配して超音波溶接により接合される。正極合剤未塗工部41cを二股に分割するには、発電要素40の軸芯の長手方向であるX方向の端部から、断面V字形状の枠部材を差し込んで、端部側を厚さ方向(Z方向)に押し広げるようにする。この状態で、枠部材の開口から保護板52を正極集電板21の内面側に配置し、超音波溶接を行う。保護板52自体を断面V字形状に形成し、保護板52により、捲回された正極合剤未塗工部41cを、軸芯から二股に分割するようにしてもよい。
保護板52は、アルミニウム系金属とすることが望ましい。
このように、正極集電板21と発電要素40の正極合剤未塗工部41cとは、捲回の中心線O−Oに対して対称な2つの位置で接合されている。また、負極集電板31と発電要素40の負極合剤未塗工部42cとは、捲回の中心線O−O上の1つの位置で接合されている。すなわち、発電要素40は、正極側において2箇所、負極側において1箇所の合計3箇所において、正・負極集電板21、31に接合されている。
このため、発電要素40からの衝撃や振動により集電板が受ける外力を低減することができ、特に、負極集電板31よりも剛性の小さい正極集電板21の損傷を防止することができる。
従来では、発電要素40は、正極側も負極側も、それぞれ、1箇所において正・負極集電板に接合されていた。このような構造では、発電要素40からの衝撃や振動によって正・負極集電板に生じる応力が大きくなる。特に、正・負極集電板における接合部と基部との境界部付近に作用する応力は大きく、銅系金属からなる負極集電板よりも剛性の小さいアルミニウム系金属からなる正極集電板が損傷を受けやすい。
この場合、発電要素40を、正極側においても、負極側においても、二股に分割して、発電要素と正・負極集電板とを4箇所で接合する構造とすることができる。しかし、この場合には、発電要素のZ方向の振動を抑制する効果は小さい。
これに対し、本発明による上記実施形態では、発電要素40と正・負極集電板21、31との接合部を奇数箇所としたので、いずれの方向からの衝撃や振動に対しても、正極集電板21が受ける外力を低減することができる。また、正極集電板21の外力の低減のみでなく、負極集電板31の外力も低減することができる。
以上の通り、本実施形態では、正極集電板21と負極集電板31のうち、発電要素40の振動に対する耐性が小さい方の極性の集電板のみに二股に分割された接続片を設け、この極性と同一極性のシートを、捲回の中心を境に2つの分割積層部に分割し、各分割積層部に接続片23を接合したので、正・負極集電板21、31の発電要素の振動により集電板が受ける外力を低減することができる、という効果を奏する。
なお、上記実施形態では、正極集電板21の各接合部23aを、発電要素40の捲回の中心線O−Oに対して傾斜する構造として例示した。しかし、正極集電板21の各接合部23aを、発電要素40の捲回の中心線O−Oに平行にしてもよい。但し、正極集電板21の各接合部23aに対する正極集電板21の各接合部23aの角度が余り大きくなると、接合部23aと正極合剤未塗工部41cとの境界部に大きな応力が作用するので、この点に対しては留意が必要である。
上記実施形態では、電池蓋組立体10の正極の端子構成部は、外部正極端子61、正極端子板63、正極接続端子62、絶縁板64、ガスケット65および正極集電板21を備える構造として例示した。しかし、正極の端子構成部は、上記構造に限られるものではなく、発電要素40の正極電極41に接続された正極集電板21が、電池蓋3とは絶縁された状態で外部接続用端子として電池蓋3の外部に導出される構造であればよい。
上記実施形態では、アルミニウム系金属により形成された正極集電板21が二股の接続片23を有する部材とし、銅系金属により形成された負極集電板31が1つの接合部33を有する部材として例示した。しかし、しかし、本願の発明はこれに限られるものではなく、正極集電板21と負極集電板31とが異なる材料により形成されており、振動に対する剛性が小さい方の極性の集電板のみ二股の接続片23を設けるようにすればよい。
上記実施形態では、リチウムイオン角形二次電池の場合で説明した。しかし、本発明は、ニッケル水素電池またはニッケル・カドミウム電池、鉛蓄電池のように水溶性電解液を用いる角形二次電池にも適用が可能である。
上記実施形態において、電池蓋3と電池缶4により構成される電池容器の形状は、高さ(Y方向の長さ)よりも長さ(X方向の長さ)が大きい形状とされている。しかし、これとは逆に、高さの方が長さよりも大きい角形二次電池に適用することが可能である。
その他、本発明は、種々、変形して適用することが可能であり、要は、正極集電板と負極集電板のうち、発電要素の振動に対する耐性が小さい方の極性の集電板のみに二股に分割された接続片を設け、この極性と同一極性の合剤未塗工部を、捲回の中心を境に2つの分割積層部に分割し、各分割積層部に、それぞれ、二股に分割された接続片を接続し、他方の極性の合剤未塗工部に他の集電板を1箇所で接続したものであればよい。
1 角形二次電池
3 電池蓋
4 電池缶
21 正極集電板
22 基部
23 接続片
23a 接合部(接続部)
23b 湾曲部
31 負極集電板
32 基部
33 接合部(接続部)
40 発電要素
41 正極電極
41a 正極金属シート
41b 正極合剤塗工部
41c 正極合剤未塗工部
42 負極電極
42a 負極金属シート
42b 負極合剤塗工部
42c 負極合剤未塗工部
51、52 保護板

Claims (5)

  1. 一側縁に沿って正極合剤未塗工部が形成された正極シートを有する正極電極と、前記一側縁と反対側の他側縁に沿って負極合剤未塗工部が形成された負極シートを有する負極電極とがセパレータを介して扁平直方体状に捲回され、前記正極電極と前記負極電極とが積層された発電要素と、
    開口部を有し、前記発電要素が収容されると共に電解液が注入された電池缶と、
    前記正極電極に接続される正極端子と前記負極電極に接続される負極端子とが設けられ、前記電池缶の前記開口部を塞いで前記電池缶と共に密封構造を構成する蓋部材と、
    前記正極電極の前記正極シートと前記正極端子とを接続する正極集電板と、
    前記負極電極の前記負極シートと前記負極端子とを接続する負極集電板と、を備え、
    前記正極集電板と前記負極集電板とは異なる材料により形成され、前記正極集電板と前記負極集電板のうち、前記発電要素の振動に対する耐性が小さい方の極性の集電板に二股に分割された接続片を設け、この極性と同一極性の合剤未塗工部を、捲回の中心を境に2つの分割積層部に分割し、前記各分割積層部に、それぞれ、二股に分割された前記接続片を接続し、他方の極性の合剤未塗工部に他の集電板を1箇所で接続したことを特徴とする角形二次電池。
  2. 請求項1に記載の角形二次電池において、前記正極集電板および前記正極シートはアルミニウム系金属により形成され、前記負極集電板よび前記負極シートは銅系金属により形成され、前記正極集電板に前記接続片が設けられていることを特徴とする角形二次電池。
  3. 請求項1または2に記載の角形二次電池において、前記接続片は前記発電要素の捲回の中心線にほぼ対称に設けられていることを特徴とする角形二次電池。
  4. 請求項3に記載の角形二次電池において、前記各分割積層部は、長手方向における端部が分割の根元部よりも厚さ方向に大きく離間する傾斜状に形成され、前記各接続片は、接続される前記各積層部と平行に設けられた接続部を有することを特徴とする角形二次電池。
  5. 請求項3に記載の角形二次電池において、前記他の集電板は、前記発電要素の捲回の中心軸に平行な接続部を有することを特徴とする角形二次電池。




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