JP6361809B2 - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents

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Description

本技術は、ユーザに或る場所についての没入感を与えるのに好適な信号処理装置とその方法に関する。
近年、インターネット上やアプリケーションソフトとして供される地図情報サービスに関しては、図形や記号等で示された俯瞰地図の他にも、衛星からの写真を組み合わせて表示したり、地上において実際に街中の景色・状況を撮影記録した画像を地図位置に合わせて表示したりするなど、新しいサービスが提案されている。特に、地上から撮影された画像情報を用いたサービスは、ユーザが実際に訪れたことがない場所を確認するのに非常に有用である。
一方で、現在、ユーザ(視聴者)の視界を覆ってしまうことで「そこに自分がいるとしか思えない」感覚を与える没入感技術(Immersive Reality) が広く研究されている。多くは、画像の表示(投影)が可能な(天井・床面を含めた)5面または6面で覆われた箱状の場所の中にユーザが身を置くことで、実現されるものである。
例えばこのような没入感ディスプレイを使って、先ほどの地図情報とリンクされた実際の写真を表示して(例えば人が等身大になるような処理を施して)臨場感を得ることが考えられている。
特許第4674505号公報 特許第4775487号公報 特許第4725234号公報 特許第4883197号公報 特許第4735108号公報
しかしながら、さらなる臨場感・没入感を得るためには、画像以外にも空間情報を表現する何らかの仕掛けが要請される。
本技術はかかる事情の下に為されたものであり、ユーザの没入感をより高めることのできる技術を提供することをその課題とする。
上記課題の解決のため、本技術では信号処理装置を以下のように構成することとした。
すなわち、本技術の信号処理装置は、ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンで上記ユーザの発した音を収音する収音部による収音信号を入力する収音信号入力部を備える。
また、指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音信号入力部より入力された信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理部を備える。

また、上記音響信号処理部により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音させる発音制御部を備えるものである。
また、本技術では信号処理方法として以下の方法を提案する。
すなわち、本技術の信号処理方法は、ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンにより上記ユーザの発した音を収音する収音部と、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音を行う発音部とを用いた信号処理方法であって、指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音部による収音信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理手順を有する。
また、上記音響信号処理手順により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記発音部により発音させる発音制御手順を有するものである。
上記本技術によれば、ユーザに対し、ユーザが発した音が指定位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場が提供されることになる。
ここで、臨場感や没入感を増すためには、画像以外に空間情報を表現する「音」の存在が重要となる。従って上記本技術によれば、ユーザの没入感をより高めることができる。
上記のように本技術によれば、ユーザの没入感をより高めることができる。
実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法の概要を説明するための図である。 実施の形態における音場再現の手法についての説明するための図である。 実施の形態における音場再現の手法の概要について説明するための図である。 実施の形態の音場再現を実現するための伝達関数の測定手法について説明するための図である。 再現環境に配置された複数のスピーカとその閉曲面、及び複数のマイクとその閉曲面を示した図である。 測定1としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。 同じく、測定1としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。 伝達関数の測定を行うためのシステム構成についての説明図である。 インパルス応答測定データの例を示した図である。 残響音成分以外の成分(直接音や初期反射音)による悪影響を抑制するための構成についての説明図である。 測定2としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。 実施の形態としての信号処理手法を実現するための信号処理システムの構成について説明するための図である。 対応関係情報の内容についての説明図である。 マトリクスコンボリューション部の具体的な内部構成例を示した図である。 実施の形態としての再現動作を実現するために本システムで実行されるべき処理の内容を示したフローチャートである。 手法2についてのレンダリング処理をクラウド上で行うとした場合のシステム構成例を示した図である。 再現環境においてスピーカが配置されて形成される閉曲面とマイクが配置されて形成される閉曲面との関係を例示した図である。 閉曲面の形状についての説明図である。 再現環境においてマイクが配置されて形成される閉曲面がスピーカが配置されて形成される閉曲面の内側に設定される場合を示した図である。 図19に示す場合に対応した測定環境での閉曲面の関係を示した図である。 無指向性のマイクを用いて有指向性マイクと等価な出力を得るための構成を例示した図である。 無指向性のスピーカを用いて有指向性スピーカと等価な出力を得るための構成を例示した図である。 測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の例を示した図である。 測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の伝達関数の変換手法についての説明図である。 移動体を用いた測定例1についての説明図である。 移動体を用いた測定例2についての説明図である。 移動体を用いた測定例3及び測定例4についての説明図である。
以下、本技術に係る実施の形態について説明していく。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法の概要>
<2.音場再現の手法>
<3.音場再現のための測定手法>
(3-1.測定手法の概要)
(3-2.測定1について)
(3-3.測定2について)
<4.伝達関数に基づく音場再現>
(4-1.第1伝達関数に基づく音場再現)
(4-2.第2伝達関数に基づく音場再現)
<5.信号処理システムの構成>
<6.変形例>
(6-1.閉曲面について)
(6-2.指向性について)
(6-3.測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の対処)
(6-4.移動体を用いた測定手法)
(6-5.その他の変形例)
<1.実施の形態の信号処理システムで実現する動作の概要>
先ずは図1により、本実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法の概要について説明しておく。
図1において、サイトAとは、ユーザ0を没入させたい場所、つまりはその情景や音の広がり等を再現したい場所(再現対象とする場所)を意味するものである。
また図中のサイトBは、再現対象とする場所の情景や音の広がりの再現を行う場所を意味する。このサイトBは、例えばユーザ0自身の部屋などと考えればよい。
図のようにサイドB内には、ユーザ0を取り囲むように配置された複数のスピーカ2Bと、画像表示を行う表示装置3とが設置されている。
本実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法は、大まかには、サイトBに配された表示装置3によって、サイトAに対応する画像情報を表示すると共に、同じくサイトBに配された複数のスピーカ2Bによって、サイトAの音場100を再現するというものとなる。
没入したい場所の画像と共にその場所の音場100をユーザ0に提示することで、その場所に対するユーザ0の没入感をより高めることができる。
なお、図1においては表示装置3として1面のみの表示面を有するものを例示しているが、没入感を高めるにあたっては、図2に示されるような前/左/右/上/下の少なくとも5面の表示面を有する表示装置3を配置することが望ましい。
ここで、実際のシステムにおいては、サイトAとしての再現対象とする場所は、複数の候補からの選択が可能とされる。
再現したい場所の指定は、例えばユーザ0により行う。例えば、本システムによるサービスを享受するにあたっては、表示装置3上に表示された地図画像から、任意の位置を指定する。この指定された位置の位置情報から、該位置に対応する場所が特定され、該場所について上記のような画像や音による再現を行う。
ここで、図1に示したサイドBにおける複数のスピーカ2Bによっては、ユーザ0を取り囲む空間が形成される。
後述するように、本実施の形態では、このように複数のスピーカで取り囲んだ空間の他にも、複数のマイクロフォンで取り囲んで形成される空間も存在することになる。
本明細書においては、このように複数個のスピーカ又はマイクロフォンで取り囲んで形成される空間の界面、換言すれば、それら複数個のスピーカ又はマイクロフォン同士を結んで形成される空間の界面を、「音響閉曲面」或いは単に「閉曲面」と称することとする。
図1に示すように、サイトB内の複数のスピーカ2Bによって形成される音響閉曲面は、閉曲面1Bと表記する。
なお以下の説明において、マイクロフォンについては単にマイクと略称することがある。
<2.音場再現の手法>
上記のように本実施の形態では、サイトBにおいてサイトAの音場を再現するが、この音場再現の具体的な手法として、本実施の形態では、主に図3に示される2つの手法(手法1及び手法2)を提案する。
先ず、手法1としては、サイトBにおける閉曲面1Bの内側に居るユーザ0が発した音(例えばユーザ0が発した声、物を落とした時の衝突音、食事中であれば食器等が触れ合う時の音など)が、サイトAで反響したように感じられる音場100を複数のスピーカ2Bによって再現するものである。後に詳述するように、この手法1の実現のためには、ユーザ0を取り囲むように配置した複数のマイク5Bによってユーザ0の発した音をリアルタイムに収音し、対応する伝達関数で処理することで、音場再現用の音響信号(スピーカ2Bより出力すべき音響信号)を生成することになる。
ここで、一般的に言う「エコーロケーション」のように、自らが発した音がどう伝わるか、を聴覚的に知覚認識することで、経験則から大体の空間構造をつかむことが可能である。従って上記手法1による音場再現によれば、ユーザ0は画像だけでなく、自らが発した音に基づき、音響的にもその空間の印象を知覚することができる。つまりこれにより、没入感を増すことができる。
また手法2としては、閉曲面1B内に居るユーザ0に、再現対象であるサイトAにおける環境音を該サイトAでの反響も含めて知覚させるというものである。
ここで、図中に示すように閉曲面1BがサイトA内にあるものと仮定し、該サイトA内における閉曲面1Bの外側の或る位置にて音が発せられたとした場合、該音は、閉曲面1Bに直接到達する成分の他に、サイトA内における構造物や障害物を介した反射音・残響音(各材質・構造ごとに異なる)の成分を伴う場合もある。手法2では、このような反響音も含めて、サイトAにおける環境音を知覚させるものである。
このような手法2を上記の手法1と併せて行うことで、ユーザ0のサイトAへの没入感をさらに高めることができる。
<3.音場再現のための測定手法>
(3-1.測定手法の概要)
図4は、実施の形態の音場再現を実現するための伝達関数の測定手法について説明するための図である。
図4Aは、測定のためにサイトA内に配置する複数のマイク5Aを模式的に表す。
図4Bは、手法1に対応する測定手法(測定1と表記する)、図4Cは手法2に対応する測定手法(測定2)をそれぞれ模式的に表す。なお図4Dは、サイトAの環境音を、該サイトAに配置した複数のマイク5Aによりそのまま収録する手法を模式的に表している。
ここで、図4Aに示されるように、サイトAに測定のため配置した複数のマイク5Aにより囲まれた空間の界面を、閉曲面1Aとする。この閉曲面1Aは、理想的には、ユーザ0の居るサイトBの閉曲面1Bと同サイズ且つ同形状とされることが望ましい。さらに言えば、閉曲面1A上のマイク5Aは、閉曲面1B上のスピーカ2Bと同数で且つ同じ位置関係で配置されることが望ましいものである。
先ず、図4Bに示す測定1では、図3に示した手法1にて閉曲面1Bの内側に居るユーザ0自身が発した音を加工する際に用いる伝達関数を測定することになる。
具体的に該測定1では、サイトAに配置した測定用のスピーカ2Aから外向きに発せられた音(測定用信号)が、サイトAにおける反響の影響を受けて、同じくサイトAに配置した各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定する。
従ってこの伝達関数を用いて、サイトBのマイク5Bにより収音した信号(ユーザ0が発した音)を加工してスピーカ2Bにより出力することで、該ユーザ0が発した音がサイトAで反響したように感じられる音場100をサイトBにて構築することができる。
なお、この図の例では複数のマイク5Aが配置された閉曲面1Aの内側に測定用のスピーカ2Aを配置して測定を行う例を示したが、これは、再現環境としてのサイトBにおいて、再現用の複数のスピーカ2B(閉曲面1B)が、ユーザ0の発した音を収音する複数のマイク5B(閉曲面4B)の内側に配置されることに対応したものである。後述もするようにこれら閉曲面1Bと閉曲面4Bの位置関係は逆転させることができ、その場合、測定1では測定用のスピーカ2Aを閉曲面1Aの外側に配置することになる(図5等を参照)。
一方、先の手法2に対応した、図4Cに示す測定2では、閉曲面1Bの外側の任意位置に定位されるべき音源に基づく音響信号を加工する際に用いる伝達関数を測定する。
ここで、先に説明した手法2は、最も簡単には、図4Dに示されるようにサイトAに配置した複数のマイク5AによってサイトAの環境音を収音し、それらの収音信号を閉曲面1B上の対応する位置のスピーカ2Bからそれぞれ出力することで実現が可能である(特にサイトBに配されるスピーカ2AとサイトAに配されるマイク5Aとが同数で且つ同じ配置関係の場合)。
しかしながら、このように単に収録した環境音を流すとした場合は、1つのサイトについて2種以上の環境音を再現しようとしたときに、そのサイトにて複数回の収録を行うことが必要とされる等の問題がある。
そこで本実施の形態では、手法2の実現にあたって、いわゆる「オブジェクトベースのオーディオ」の概念を採用する。
ここで、「オブジェクトベースのオーディオ」について簡単に説明しておく。
例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)など従来のメディアに収録される音は、制作側の意図の下、チャンネル毎に完成されたパッケージとされており、パッケージに納められた各チャンネルの音響信号は対応するスピーカのチャンネルに対応して鳴らすことで、概ね制作側の意図する音質・音場を実現してきた。
しかしながら近年、制作側の意図として「聞かせたい」音場・音質などを、「各音源の音響ストリーム信号」と「その音源がどう動くか、どういう位置にあるか」の「メタ情報」のセット(暫定的にオブジェクトと呼ぶ)を複数個重ねたものと考え、これをどう再生環境に応じて実現(レンダリング)するかを再生環境側に委ねた「オブジェクトベースのオーディオ(または音場表現)」の考え方が出てきた。
このようなオブジェクトベースの手法により、再生環境の多様化が進みつつある現状においてだけでなく、再生環境が将来的に飛躍的な性能向上を行った場合でも、制作者の意図に応じて再生環境の性質・性能に合わせて、音場・音質の再現が可能となる。
なお、上記の「レンダリング」を実現するレンダラーとしては、ヘッドホン用のレンダラーから、22.2chシステムやImmersive環境用の多数個のスピーカによる音場レンダラーに至るまで、再生環境に応じた各種のレンダラーが存在する。なお、Immersive環境用の音場レンダラーは、現在複数の手法が提案されており、WFS(Wave Field Synthesis:波面合成)や、BoSC(Boundary Surface Control Principle,:境界音場制御)や、キルヒホッフの積分則を簡易化した手法(特許第4775487号公報、特許第4674505号公報など)など様々なものが知られている。
図4Cに示した測定2は、上記のようなオブジェクトベースの音場再現手法を採る場合において、閉曲面1Bの外側の任意位置に定位されるべき音源を、該位置に定位させ、且つ該位置より発せられる音がサイトAでの反響を受けたかたちでユーザ0に知覚されるようにするための伝達関数を測定するものである。
具体的に、該測定2では、複数のマイク5Aが配される閉曲面1Aの外側の任意位置に配置した測定用のスピーカ2Aから発された音(測定用信号)が、サイトAにおける反響
の影響も含めて、各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定する。
ここで本実施の形態において、測定1,測定2で測定した伝達関数を用いた音場再現は、以下の思想に基づき実現されるものである。
すなわち、閉曲面1Bに対して到達する音が該閉曲面1Bと交差するときの波面を想定したとき、該想定波面を、閉曲面1Bの内側に創造するように複数のスピーカ2Bから再生するというものである。
(3-2.測定1について)
以下、測定1としての伝達関数の測定手法の具体的な例を図5〜図7を参照して説明する。
先ず、図5に、ユーザ0の居るサイトB(再現環境)に配置された複数のスピーカ2B及び閉曲面1Bと、複数のマイク5B及び閉曲面4Bとを示す。先の説明からも理解されるように、サイトBに配置されるマイク5Bは、ユーザ0が発した音をリアルタイムに収音するために設けられたものである。
このとき、マイク5Bとしては、閉曲面4Bの内側に居るユーザ0が発した音をサイトAにおける反響の影響を与えてスピーカ2Bから出力するというシステムを実現する上では、内向き(閉曲面4Bの内側方向)の指向性を有することを要する。このため本例では、各マイク5Bとして有指向性のマイクロフォンを用い、その指向方向が閉曲面4Bの内側方向に向くように設置するものとしている。
また、スピーカ2Bとしては、その発音方向が閉曲面1Bの内側方向に向くように設置する。すなわち、スピーカ2Bとしては有指向性スピーカを用い、その指向性を内向きに設定する。
なおこのとき、指向性の方向は、閉曲面に対して垂直であることが望ましい。
ここで、以下の説明では、サイトBに配置されるスピーカ2Bの数はN個であり、またサイトBに配置されるマイク5Bの数はM個であるとする。図のように、マイク5Bは、それぞれ閉曲面4B上におけるV1,V2,V3,・・・,VMの各位置に配置され、またスピーカ2Bはそれぞれ閉曲面1B上におけるW1,W2,W3,・・・,WNの各位置に配置されているとする。
なお以下では、上記の各位置に配置されたマイク5Bを、その配置位置に対応させてそれぞれマイクV1,V2,V3,・・・,VMと表記することもある。同様に、スピーカ2Bについても、それぞれその配置位置に対応させてスピーカW1,W2,W3,・・・,WNと表記することもある。
図6及び図7は、測定1としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。
これら図6,図7では、サイトA(測定環境)における複数のスピーカ2A及び閉曲面1Aと、複数のマイク5A及び閉曲面4Aとを示している。
図からも分かるように、ここでの説明では、サイトAの閉曲面4A上におけるスピーカ2Aの配置箇所はM個であるとする。それらの配置位置は、図のようにQ1,Q2,Q3,・・・,QMと表記する。
またサイトAの閉曲面1A上に配置されるマイク5Aの数はN個であるとし、それらの配置位置は図のようにR1,R2,R3,・・・,RNであるとする。
なおサイトAについても、上記の各位置に配置されたスピーカ2Aをその配置位置に対応させてそれぞれスピーカQ1,Q2,Q3,・・・,QMと表記し、またマイク5Aについてもそれぞれその配置位置に対応させてマイクR1,R2,R3,・・・,RNと表記することがある。
ここで、サイトAのスピーカ2A、マイク5Aについては、ユーザ0から発せられサイトAでの反響による影響を受けた音をユーザ0に知覚させるための伝達関数を求めるという目的から、スピーカ2A、マイク5Aについては外向きの指向性を有することが必要である。この点より、スピーカ2Aには有指向性スピーカを用いその指向性を外向きとし、またマイク5Aについても有指向性のマイクロフォンを用い、図のようにその指向方向が外向きとなるようにする。この場合も指向性の方向は、閉曲面に対して垂直であることが望ましい。
ここで、本説明では便宜上、サイトAにおける閉曲面4Aは、サイトBにおける閉曲面4Bとそのサイズ・形状が同じで、且つ閉曲面4A上における各スピーカ2Aの位置関係(Q1,Q2,Q3,・・・,QMの並び順及びそれらの配置間隔)は、閉曲面4B上における各マイク5Bの位置関係(V1,V2,V3,・・・,VMの並び順及びそれらの配置間隔)と同じであるとする。
また、サイトAにおける閉曲面1Aは、サイトBにおける閉曲面1Bとそのサイズ・形状が同じで、且つ閉曲面1A上における各マイク5Aの位置関係(R1,R2,R3,・・・,RNの並び順及びそれらの配置間隔)は、閉曲面1B上における各スピーカ2Bの位置関係(W1,W2,W3,・・・,WNの並び順及びそれらの配置間隔)と同じであるとする。
上記の前提を踏まえた上で、測定1では、閉曲面4A上の各位置(Q1〜QM)のスピーカ2Aから順次測定音を出力し、測定音を出力したスピーカ2Aから閉曲面1A上の各マイク5Aの位置(R1〜RN)までのそれぞれの伝達関数を順次求める。
図6では、Q1の位置のスピーカ2Aから測定音を出力し、サイトAでの反射等の影響を受けた該測定音をR1〜RNの各マイク5Aで収音する様子を示している。
このようにして得られる各マイク5Aの収音信号に基づき、Q1の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数を得ることができる。
ここで本例では、上記測定音としては、TSP(Time Stretched Pulse:時間引き延ばしパルス、Swept Sineも同義)信号に基づく音を出力し、その収音信号からインパルス応答を測定する。このインパルス応答のデータは、或るスピーカ2Aから出た音が、サイトAの反響による影響を受けて或るマイク5Aまでどのように到達するかを表す伝達関数となる。
また図7では、Q2の位置のスピーカ2Aから測定音を出力し、サイトAでの反射等の影響を受けた該測定音をR1〜RNの各マイク5Aで収音する様子を示している。
このようにして得られる各マイク5Aの収音信号に基づき、Q2の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5Aまでのインパルス応答を測定する。これにより、Q2の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数を得ることができる。
このようなR1〜RNの各マイク5Aによる収音信号に基づく伝達関数の測定を、測定音を出力するスピーカ2Aを順次変更してQM位置まで実行する。これにより、伝達関数としては、Q1のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR11〜QR1Nと表記)、Q2のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR21〜QR2Nと表記)、・・・,QMのスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QRM1〜QRMNと表記)の、合計M×N個の伝達関数が
得られる。
これらM×N個の伝達関数は、下記式1のように行列化して表すことができる。
Figure 0006361809
なお、これらM×N個の伝達関数を求めるにあたっては、測定音を、Q1〜QMの各位置で順次出力できればよく、そのために必要なスピーカ2Aの個数は最小で1つで良い。すなわち、1つのスピーカ2Aを順次Q1,Q2,Q3,・・・,QMの各位置に配置・発音することで、上記のM×N個の伝達関数を求めるのに必要な測定を行うことができる。
但し、測定ごとにスピーカ2Aを移動させるには煩わしさを伴うので、本例では、Q1〜QMの各位置にスピーカ2Aを配置し、それらのスピーカ2Aのうち測定音を出力するスピーカ2Aを順次選択することで、M×N個の伝達関数の測定を行うものとする。
ここで以下、これら測定1で測定される、ユーザ0が発した音がサイトAでの反響を受けてどのように伝達するかを表す伝達関数のことを、第1伝達関数とも表記する。
図8は、上記により説明した測定1としての伝達関数の測定を行うためのシステム構成についての説明図である。
この図8に示されるように、測定1の実現のためには、M個のスピーカ2Aと、N個のマイク5Aと、測定装置10とを設ける。
測定装置10には、M個のスピーカ2Aを接続するためのM個の端子部11(11-1〜11-M)と、N個のマイク5Aを接続するためのN個の端子部12(12-1〜12-N)とが設けられる。
また測定装置10の内部には、図のようにADC(A/Dコンバータ)/アンプ部13、伝達関数測定部14、制御部15、測定用信号出力部16、DAC(D/Aコンバータ)/アンプ部17、及びセレクタ18が設けられる。
測定用信号出力部16は、制御部15による制御に基づき、測定用信号としてのTSP信号をDAC/アンプ部17に出力する。DAC/アンプ部17は、入力された測定用信号をD/A変換及び増幅し、セレクタ18に出力する。
セレクタ18は、DAC/アンプ部17から入力された測定用信号を、端子部11-1〜11-Mのうち制御部15により指示された端子部11(つまりスピーカ2A)に択一的に出力する。
ADC/アンプ部13は、各端子部12から入力される、各マイク5Aからの収音信号を増幅及びA/D変換して伝達関数測定部14に出力する。
伝達関数測定部14は、制御部15からの指示に応じて、ADC/アンプ部13から入力された各マイク5Aからの収音信号に基づいてインパルス応答(伝達関数)の測定を行う。
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータで構成され、上記ROM等に格納されたプログラムに従った処理を実行することで、測定装置10の全体制御を行う。
特にこの場合の制御部15は、先に説明した測定1としての測定動作が実現されるように、測定用信号出力部16、セレクタ18、伝達関数測定部14に対する制御を行う。具体的には、Q1,Q2,Q3,・・・,QMの各スピーカ2Aより測定用信号に基づく発音が順次行われるように測定用信号出力部16及びセレクタ18に対する制御を行うと共に、各スピーカ2Aによる発音のタイミングに同期して、各マイク5Aによる収音信号に基づく伝達関数の測定が行われるように、伝達関数測定部14による測定タイミングを制御する。
これにより、前述したM×N個の伝達関数の測定が実現される。
ここで、実用面では、伝達関数の時間軸表現であるインパルス応答は、各スピーカ、マイクの指向性によっては、図9のように残響音成分の他にも直接音や初期反射音を含んでおり、場合によってはこれらが臨場感演出の阻害要因になる可能性もある。
なお確認のため述べておくと、直接音とは、スピーカ2Aから発せられ(サイトAでの反射を介さず)直接的にマイク5Aに到達する音を意味するものである。
そこで本例では、測定したインパルス応答を、直接音、初期反射音、残響音に時間軸上で成分分解し、それらのバランスを変えて再合成するということを行う。
図10にそのための構成を示した。
図中のインパルス応答測定データは、マイク5Aによる収音信号に基づき測定したインパルス応答のデータ(時間軸波形データ)を意味している。
このインパルス応答測定データを、図のように信号成分分解処理部19によって時間軸上で直接音、初期反射音、残響音に分解する。
直接音、初期反射音については、それぞれ乗算部20,21でそのバランスを変更(レベル調整)する。このようにバランス調整された直接音、初期反射音の成分と、信号成分分解処理部19で得られた残響音成分とを、加算部22により加算する。
本例で用いる伝達関数は、測定された(生の)インパルス応答データについて上記のような成分分解・バランス調整が行われたものであるとする。
(3-3.測定2について)
図11は、測定2としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。
前述のように測定2は、閉曲面1Bの外側の任意位置に定位されるべき音源を、該位置に定位させ、且つ該位置より発せられる音がサイトAでの反響を受けたかたちでユーザ0に知覚されるようにするべく、閉曲面1Aの外側の任意位置に配置した測定用のスピーカ2Aから発された音が、サイトAにおける反響の影響も含めて、各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定するものである。
具体的に測定2では、サイトAにおいて、再現対象の音源を定位させたいとする位置にスピーカ2Aを配置し、該スピーカ2Aにより出力した測定音を、閉曲面1A上の各マイク5Aにより収音し、それぞれインパルス応答を測定する。これにより、スピーカ2Aを配置した位置に音源を定位させ、且つ該音源に基づく音がサイトAにおける反響の影響を受けた音として知覚されるようにするための伝達関数群を得ることができる。
ここで、音源を定位させたい位置が複数箇所あるという場合には、サイトAにおける複数箇所で同様の伝達関数の測定を行う。例えば、図11中に実線で示したスピーカ2Aの位置で測定音の放音及び各マイク5Aによる収音を行って伝達関数を測定した後、破線に示すスピーカ2Aの位置で測定音の放音及び各マイク5Aによる収音を行って伝達関数を測定するというものである。
このように音源を「定位させたい位置」が複数ある場合には、その「定位させたい位置」ごとの伝達関数の測定を行う。
ここで以下、これら測定2で測定される、閉曲面1Aの外側の任意位置から発された音がサイトAにおける反響の影響も含めて閉曲面1A側にどのように到達するかを表す伝達関数のことを、第2伝達関数とも表記する。
なお確認のため述べておくと、上記測定2は、測定音を発するスピーカ2Aを閉曲面1Aに対してどの方向に向けるかにより、音源の指向性も表現可能な伝達関数を得ることができるものである。
上記のような測定2に関しても、先の図8に示した測定装置10を用いて実現することができる。
但しこの場合、スピーカ2Aの接続数は、音源を定位させたい位置の数に応じた数となる。具体的に、音源を定位させたい位置の数だけスピーカ2Aを接続した場合には、制御部15としては、測定音を出力すべきスピーカ2Aをセレクタ18に順次選択させ、且つ測定音の出力タイミングに同期して伝達関数の測定処理を実行するように伝達関数測定部14を制御することになる。
<4.伝達関数に基づく音場再現>
(4-1.第1伝達関数に基づく音場再現)
前述のように、第1伝達関数は、Q1のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR11〜QR1N)、Q2のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR21〜QR2N)、・・・,QMのスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QRM1〜QRMN)の合計M×N個である。
ここで、図5に示したサイトB(再現環境)において、閉曲面1B上に配置されたスピーカ2Bの数はN個であり、従って最終的に得るべき音響信号はN系統であることが分かる。
この前提の下で、例えばW1の位置から出力すべき音響信号を考えてみると、このW1位置からは、ユーザ0から閉曲面4B上のV1〜VMの各方向に発せられ、それぞれサイトAによる反響の影響を受けて該W1位置まで戻って来る音が出力されるべきものとなる。
すなわち、W1位置のスピーカ2Bより出力されるべき音響信号を信号W1とすると、該信号W1は、
1=V1×QR11+V2×QR21+V3×QR31+・・・+VM×QRM1
と表すことができる。但し上式において、V1〜VMはマイクV1〜VMの収音信号を意味するものであるとする。
このようにW1信号としては、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音を、それぞれW1(R1)への伝達関数(QR11,QR21,・・・,QRM1)のうち対応する1の伝
達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものとなる。
同様に、W2やW3の位置についても、ユーザ0からV1〜VMの各方向に発せられそれぞれサイトAによる反響の影響を受けてW2位置,W3位置までそれぞれ戻って来る音が出力されるべきものとなり、従ってこれらW2位置、W3位置のスピーカ2Bよりそれぞれ出力されるべき信号W2,W3は、
2=V1×QR12+V2×QR22+V3×QR32+・・・+VM×QRM2
3=V1×QR13+V2×QR23+V3×QR33+・・・+VM×QRM3
と表すことができる。すなわち、W2信号としては、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音をそれぞれW2(R2)への伝達関数(QR12,QR22,・・・,QRM2)のうち対応する1の伝達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものであり、またW3信号は、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音をそれぞれW3(R3)への伝達関数(QR13,QR23,・・・,QRM3)のうち対応する1の伝達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものとなる。
他の信号W4〜WNについても、同様にして求められるものである。
以上を踏まえ、信号W1〜WNの演算式を行列を用いて表現すると、次の式2のようになる。
Figure 0006361809
上記式2で表される演算を行うことで、閉曲面1B内のユーザ0が発した音がサイトAで反響したように感じられる音場をユーザ0に知覚させるためにW1〜WNの各スピーカ2Bから出力されるべき信号W1〜WNを得ることができる。
(4-2.第2伝達関数に基づく音場再現)
先の説明からも理解されるように、第2伝達関数を用いる手法2は、サイトAにおける環境音を該サイトAでの反響も含めてユーザ0に知覚させるものであって、手法1のように、マイク5Bによる収音信号に対して伝達関数による処理を施すものではない。
手法2では、マイク5Bによる収音信号ではなく、予め収録等された所定の音源に対して第2伝達関数による処理を施すことになる。
具体的に手法2では、先の測定2によって1つのスピーカ2Aの配置位置につきN個測定される第2伝達関数を用いて、所定音源に対する処理を施すことで、再現環境としてのサイトBに配置された各スピーカ2Bより出力すべき信号を得る。
例えば最も簡易的な例として、或る1つの音源を或る1つの位置に定位させるとした場合には、該音源に基づく音響信号をそれぞれR1〜RNの各位置の収音信号に基づき測定
した第2伝達関数で処理してN個の信号を得、これを再現環境におけるW1〜WNのスピーカ2Bのうちそれぞれ対応する1のスピーカ2Bより出力すればよい。
或いは、音源Aを位置a、音源Bを位置bにそれぞれ定位させるといったときは、音源A側については、該音源Aに基づく音響信号を位置aについての測定で得たN個の第2伝達関数でそれぞれ処理してN個の信号を得、また音源B側については、該音源Bに基づく音響信号を位置bについての測定で得たN個の第2伝達関数でそれぞれ処理してN個の信号を得る。そして、これら音源A側、音源B側についてそれぞれ得たN個の信号を、スピーカ2Bの各位置(W1〜WN)ごとに加算して、W1〜WNの各位置のスピーカ2Bより出力すべき信号を得る。
<5.信号処理システムの構成>
図12は、上記により説明した実施の形態としての信号処理手法を実現するための信号処理システムの構成について説明するための図である。
この図12に示すように、本実施の形態の信号処理システムは、M個のマイク5Bと、信号処理装置30と、N個のスピーカ2Bと、表示装置3と、サーバ装置25とを少なくとも有して構成される。
先ず前提として、本例の場合、ユーザ0による位置情報の指定のために表示されるべき地図情報に関するデータ、及び指定位置情報から特定される場所に対応して表示されるべき画像データや、手法1としての音場再現で用いる第1伝達関数の情報、及び手法2としての音場再現で用いるオブジェクトベースのデータについては、サーバ装置25に格納されているとする。
具体的に、サーバ装置25には、地図データ25A、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、対応関係情報25D、及びオブジェクトベースデータ25Eが格納されている。
地図データ25Aは、上記の地図情報(地図画像)の表示に供されるデータである。また画像データ25Bは、再現対象とする場所についての画像データであり、例えば、再現対象とする場所ごとに該場所の様子を撮影して得た画像データとなる。
また第1伝達関数情報25Cは、先に説明した測定1によって再現対象とする場所ごとに測定した第1伝達関数の情報を表すものである。
またオブジェクトベースデータ25Eは、手法2としての音場再現で用いるオブジェクトベースのデータを包括的に表したものである。このオブジェクトベースデータ25Eとしては、先の測定2で再現対象とする場所ごとに測定した第2伝達関数の情報である第2伝達関数情報25E1と、オブジェクト分離音源25E2とが含まれる。
オブジェクト分離音源25E2は、再現対象とする場所に存在する音源であり、これは、例えば再現対象とする場所での収録信号から所要の音源を抽出したものと考えればよい。この音源の抽出の処理としては、上記収録信号に対して、ノイズ除去や残響抑制などを行う。これにより、S/N(ノイズ対雑音比)の良い、残響感も抑制された音源データを得ることができる。すなわち、オブジェクトベースの音場再現に適した音源データを得ることができる。
対応関係情報25Dは、指定位置情報に応じた場所に対応する画像を表示し、且つ該場所に対応する音場を再現するという本システムの動作を実現するために用いられる情報であり、具体的には、図13に示されるように、場所と、該場所に対応して表示すべき画像と、該場所に対応した手法1の音場再現で使用する第1伝達関数と、該場所に対応した手法2の音場再現で使用するオブジェクト分離音源(図中オブジェクト音源)及び第2伝達関数とを対応づけた情報とされる。
本例の場合、上記の画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源は、それぞれIDで管理される。
対応関係情報25Dには、その場所に対応して用いられるべき画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源についてのIDが記述され、該IDから、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、第2伝達関数情報25E1、オブジェクト分離音源25E2として格納される実データのうち実際に用いる実データを特定できるようになっている。
なお、この図に示す対応関係情報25Dでは、手法2の音場再現で使用するデータに関して、1つの場所につきそれぞれ2つのオブジェクト分離音源及び第2伝達関数が対応づけられているが、これは、1つの場所につきそれぞれ2つの音源を異なる位置に定位させる手法に対応したものである。
図12に戻り、信号処理装置30は、通信部44を備えており、該通信部44により、上記のサーバ装置25との間で、例えばインターネットなどのネットワーク26を介したデータ通信を行うことが可能とされる。
信号処理装置30には、M個のマイク5Bを接続するためのM個の端子部31(31-1〜31-M)と、N個のスピーカ2Bを接続するためのN個の端子部39(39-1〜39-N)とが設けられる。
また信号処理装置30には、先の図1にも示した表示装置3を接続するための端子部43も設けられる。
また、信号処理装置30内部には、ADC/アンプ部32、加算部33-1〜33-M、ハウリング制御/エコーキャンセル部34,36、マトリクスコンボリューション部35、加算部37-1〜37-N、DAC/アンプ部38、制御部40、操作部41、表示制御部42、通信部44、メモリ45、リファレンス音再生部46、及びバス48が設けられる。
ここで、マトリクスコンボリューション部35、制御部40、表示制御部42、通信部44、メモリ45、リファレンス音再生部46、レンダリング部47は、それぞれバス48に接続されており、該バス48を介して相互にデータ通信を行うことが可能とされる。
信号処理装置30内において、端子部31-1〜31-Mを介して入力された各マイク5Bによる収音信号は、ADC/アンプ部32にてチャンネルごとにA/D変換及び増幅される。
ADC/アンプ部32でチャンネルごとにA/D変換及び増幅された各マイク5Bによる収音信号は、加算部33-1〜33-Mのうち対応するチャンネルの加算部33にそれぞれ入力される。
該加算部33-1〜33-Mによっては、V1〜VMの各チャンネルの収音信号に対し、リファレンス音再生部46により再生されたリファレンス音としての音響信号が加算されるが、これについては後に改めて説明する。
加算部33-1〜33-Mを介した収音信号は、ハウリング制御/エコーキャンセル部34に供給される。
このハウリング制御/エコーキャンセル部34は、マトリクスコンボリューション部35の後段に設けられたハウリング制御/エコーキャンセル部36と共に、フィードバックによるハウリングを避けるために設けられる。図のようにこれらハウリング制御/エコーキャンセル部34,36は、両者が連携処理できるように接続されている。

ここで、本システムでは、再現環境下においてマイク5Bとスピーカ2Bとを配置するが、これらマイク5Bとスピーカ2Bとについては比較的近接して配置されることになるため、場合によっては、両者の作用で過剰な発振動作が生じてしまう虞がある。そこで、本例ではハウリング制御/エコーキャンセル部34,36を設けて、このような過剰な発振動作の発生の防止を図るものとしている。
マトリクスコンボリューション部35は、各マイク5Bにより収音され、ハウリング制御/エコーキャンセル部34を介して入力される各信号に対して第1伝達関数に基づく処理を施して、手法1としての音場再現の実現のために各スピーカ2Bより出力されるべき信号を生成する。
具体的にマトリクスコンボリューション部35は、ハウリング制御/エコーキャンセル部34より入力されたM個の信号(V1〜VM)に対し、制御部40からの指示された第1伝達関数(QR11〜QRMN)に基づく処理を施して、手法1としての音場再現の実現のために各スピーカ2Bより出力されるべきN個の信号を生成する。
ここで図14に、マトリクスコンボリューション部35の具体的な内部構成例を示す。
なおこの図では、第1伝達関数を時間軸表現(インパルス応答化)したものを係数とするFIR(Finite Impulse Response)デジタルフィルタを使った場合の構成例を示している。
またこの図において、信号V1〜VMは、先の図12からも理解されるようにハウリング制御/エコーキャンセル部34を介してマトリクスコンボリューション部35に入力される信号を表すものであり、また信号W1〜WNはマトリクスコンボリューション部35からハウリング制御/エコーキャンセル部36に入力される信号を表すものとなる。
先ず前提として、この場合におけるフィルタ50はFIRデジタルフィルタとなる。
この場合のマトリクスコンボリューション部35には、信号V1〜VMの各信号ごとに、それぞれN個のフィルタ50(末尾が1〜Nとなる)が設けられる。この図では、信号V1を入力するフィルタ50-11〜50-1Nと、信号V2を入力するフィルタ50-21〜50-2Nと、信号VMを入力するフィルタ50-M1〜50-MNとを代表して示している。
図のように信号V1を入力するフィルタ50-11〜50-1Nには、V1(Q1)の位置に対応する第1伝達関数QR11〜QR1Nに基づくフィルタ係数が設定される。
また信号V2を入力するフィルタ50-21〜50-2Nには、V2(Q2)の位置に対応する第1伝達関数QR21〜QR2Nに基づくフィルタ係数が設定され、信号VMを入力するフィルタ50-M1〜50-MNには、VM(QM)の位置に対応する第1伝達関数QRM1〜QRMNに基づくフィルタ係数が設定される。
図示は省略しているが、他の信号(V3〜VM-1)を入力する各N個のフィルタ50にも、その信号が収音されるマイク5B位置に対応するN個の第1伝達関数に基づくフィルタ係数がそれぞれ設定されることになる。
またマトリクスコンボリューション部35には、N個の加算部51(51-1〜51-N)が設けられる。これら加算部51-1〜51-Nは、各フィルタ50で対応する第1伝達関数に基づくフィルタ処理が施された信号のうち、対応するものを入力し、信号W1〜WNを得るための加算を行う。
具体的に、加算部51-1には、各フィルタ50のうち、末尾が1のフィルタ50で得られた信号が入力され、また加算部51-2には末尾が2のフィルタ50で得られた信号が入力される。また加算部51-Nには、末尾がNのフィルタ50で得られた信号が入力される。
つまり加算部51-1〜51-Nには、W1〜WN(R1〜RN)の位置のうち、その末尾の数値に応じた位置の第1伝達関数で処理されたM個の信号が入力されるものである。

加算部51-1〜51-Nの各々は、このように入力されたM個の信号をそれぞれ加算(合成)するものである。
上記の構成により、先の式2に示した信号W1〜WNの演算を実現できる。
なお、ここでは時間軸演算の例を示したが、時間軸演算としては畳み込み演算を行ってもよい。或いは周波数演算であれば、伝達関数による掛け算を行うことになる。
説明を図12に戻す。
マトリクスコンボリューション部35で得られたN個の信号(W1〜WN)は、チャンネルごとにハウリング制御/エコーキャンセル部36による処理を経て、加算部37-1〜37-Nのうち対応するチャンネルの加算部37にそれぞれ入力される。
加算部37-1〜37-Nは、ハウリング制御/エコーキャンセル部36より入力される信号に対し、レンダリング部47から入力される信号を加算してDAC/アンプ部38に出力する。
DAC/アンプ部38は、加算部37-1〜37-Nによる出力信号についてチャンネルごとにD/A変換及び増幅を行い、端子部39-1〜39-Nに出力する。これにより、W1〜WNの各チャンネルのスピーカ2Bが、それぞれ対応するチャンネルの音響信号に応じた発音を行うようにされる。
レンダリング部47は、手法2としての音場再現を実現するための信号処理を行うために設けられたものである。
レンダリング部47は、制御部40による指示に従って、ネットワーク26経由でサーバ装置25より送信されたオブジェクト分離音源に対し、同じくネットワーク26経由でサーバ装置25より送信された第2伝達関数に基づく処理を施すことで、サイトAにおける環境音を該サイトAでの反響も含めてユーザ0に知覚させるために各スピーカ2Bより出力されるべきN系統の音響信号を生成する。
なお先の説明からも理解されるように、複数の音源をそれぞれ別の位置に定位させる場合には、レンダリング部47は、各音源を対応する第2伝達関数(N個)で処理して得たN系統の音響信号を、チャンネルごとに加算することで、各スピーカ2Bより出力されるべきN系統の音響信号を得ることになる。
表示制御部42は、端子部43を介して接続された表示装置3の表示制御を行う。具体的に、この場合の表示制御部42は、制御部40による指示に基づき、ネットワーク26経由でサーバ装置25より送信された地図データに基づく画像や、同じくネットワーク26経由でサーバ装置25より送信された画像データに基づく画像を表示装置3に表示させる。
メモリ45は、各種データの記憶を行う。特にこの場合のメモリ45は、サーバ装置25より送信されたデータを一時的に蓄積(バッファリング)するために用いられる。
制御部40は、例えばCPU,ROM,RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に格納されたプログラムに従った処理を実行することで、信号処理装置30の全体制御を行う。
この制御部40には操作部41が接続されており、制御部40は、該操作部41に対して行われたユーザ0による操作に応じた操作情報の受付を行い、該操作情報に応じた処理を実行することで、ユーザ0による操作に応じた動作を実現する。
特に、この場合の制御部40は、次の図15に示される処理を実行することで、実施の形態としての再現動作の実現を図る。
図15は、実施の形態としての再現動作を実現するために本システムで実行されるべき処理の内容を示したフローチャートである。
なお図15において、信号処理装置と示した処理は、信号処理装置30が備える制御部40によって実行されるものであり、サーバ装置と示した処理はサーバ装置25が備える制御部(不図示)によって実行されるものである。
また、この図に示す処理が開始されるにあたっては、既に、操作部41を介したユーザ0の操作入力に基づき、所要の位置情報の指定が為された状態にあるとする。
図15において、信号処理装置30の制御部40は、ステップS101において、指定位置情報をサーバ装置25に送信するための処理を行う。すなわち、通信部44により、指定位置情報をネットワーク26を介してサーバ装置25に送信させる。
サーバ装置25の制御部は、信号処理装置30側から送信された指定位置情報が受信されたことに応じ、ステップS201において、指定位置情報に対応する場所の特定を行う。この場所の特定は、例えば予め定められた位置情報と場所との対応関係情報を参照して行う。
ステップS201で場所の特定を行った後、サーバ装置25の制御部は、ステップS202において特定した場所に応じた画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、及びオブジェクト分離音源を信号処理装置30に対して送信する。
具体的には、対応関係情報25Dに基づき、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、第2伝達関数情報25E1、オブジェクト分離音源25E2としてそれぞれ格納されている画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源のうちの、特定された場所と対応する画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源を信号処理装置30に対して送信する。
信号処理装置30側では、このようにサーバ装置25側から画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源が送信されたことに応じ、ステップS102において、画像表示、及び第1,第2伝達関数を用いた処理の実行制御を行う。すなわち、サーバ装置25側から送信された画像データについては、該画像データが表示装置3に表示されるように表示制御部42に対する指示を行う。また、サーバ装置25側から送信された第1伝達関数については、該第1伝達関数に基づき先の式2の演算を実行するようにマトリクスコンボリューション部35に指示を行う。また、サーバ装置25側から送信された第2伝達関数、オブジェクト分離音源については、これら第2伝達関数、オブジェクト分離音源に基づくレンダリング処理がレンダリング部47にて実行されるように該レンダリング部47に対する指示を行う。
これにより、ユーザ0に対し指定位置情報から特定される場所に対応する画像を提示できると共に、ユーザ0が発した音が上記指定位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を提供し、且つ、該場所の環境音を該場所での反響音も含めてユーザ0に知覚させることができる。
このような本実施の形態としての信号処理システムによれば、画像情報の提示のみを行う場合よりもユーザの没入感を高めることができる。
ここで、先に触れたように、本実施の形態では、リファレンス音再生部46を設けて、リファレンス音の出力も行うものとされる。

このリファレンス音としては、サイトBでのリアルタイムの収録音ではなく、予め準備された音データ(収音した音を元にしたものでも良いし、人工音でも良い)を使用する。
意図としては、手法1と同様にエコーロケーションであり、再現対象とする場所が異なっても、同じ音源素材を引き続き出力することで、その場所がどのような空間になっているか音響情報的に提示することが可能である。この場合、単にリアルタイム収音した音のみを第1伝達関数で処理して出力する場合よりも、高い再現性により音響情報による場所の構造等の把握が可能である。
図12に示したように、リファレンス音再生部46にて再生されたリファレンス音は加算部33-1〜33-Mによって各マイク5Bによる収音信号(ADC/アンプ部32によるA/D変換及び増幅後)にそれぞれ加算される。
マトリクスコンボリューション部35は、このようにリファレンス音が加算された各チャンネルの収音信号(V1〜VM)に基づき先の式2による演算を行う。このようなマトリクスコンボリューション部35による処理で得られたN系統の信号(W1〜WN)がハウリング制御/エコーキャンセル部36→加算部37→DAC/アンプ部38→端子部39を介して対応するスピーカ2Bによりそれぞれ出力される。
これにより、エコーロケーション効果をより高めて、ユーザ0の没入感をさらに増すことができる。
ここで、上記説明では、手法2の実現のためのレンダリング処理を、ユーザ0の居る再現環境側に置かれた信号処理装置30にて実行する場合を例示したが、該レンダリング処理は、再現環境とは離隔された、ネットワーク26上の所要のサーバ装置にて行う(つまりいわゆるクラウドにて行う)ようにすることもできる。
図16は、手法2についてのレンダリング処理をクラウド上で行うとした場合のシステム構成例を示している。
なおこの図では、レンダリング処理をサーバ装置25にて行う場合の構成例を示しているが、地図データ25Aや第1伝達関数情報25Cなどのデータを格納するサーバ装置とレンダリング処理を実行するサーバ装置とが別体であってもよい。
図示するようにこの場合は、サーバ装置25にレンダリング部52が設けられる。またこの場合、信号処理装置30においては、レンダリング部47に代えて出力制御部53が設けられる。
この場合のサーバ装置25は、指定位置情報に基づく場所が特定されたことに応じ、該場所に対応する第2伝達関数及びオブジェクト分離音源を用いたレンダリング処理をレンダリング部52にて行う。
この場合、信号処理装置30に対しては、該レンダリング部52にて得られたレンダリング処理後の音響信号(N系統)がサーバ装置25より送信されてくる。
この場合の信号処理装置30における制御部40は、このようにサーバ装置25より送信されたN系統の音響信号を、出力制御部53によって、加算部37-1〜37−Nのうちの対応するチャンネルの加算部37にそれぞれ出力させる。
このようにレンダリング処理をクラウド上で実行するものとすれば、信号処理装置30の処理負担を効果的に軽減できる。
なお、レンダリング処理を信号処理装置30側(ローカル側)で行うかクラウド上で行うかは、ネットワークのスピードやクラウド・ローカルの処理能力の比率等に応じて適宜切り替えるようにしても良い。
また、先の図12では、第1伝達関数情報25C、オブジェクトベースデータ25Eが全てサーバ装置25に記憶されるものとしたが、これらの情報のうち少なくとも何れかを、信号処理装置30側に記憶させてもよい。その場合、信号処理装置30では、指定位置情報から特定される場所の第1伝達関数、オブジェクト分離音源、第2伝達関数の情報を該信号処理装置30内の記憶部から取得して処理に用いることになる。
<6.変形例>
(6-1.閉曲面について)
ここで、これまでの説明では特に言及しなかったが、上記により説明した実施の形態としての音場再現手法を考慮すると、再現環境で複数のスピーカ2Bが配される閉曲面1Bと、同じく再現環境で複数のマイク5Bが配される閉曲面4Bとしては、少なくとも、それぞれがユーザ0を取り囲むように設定されていればよく、閉曲面1Bと閉曲面4Bは交差しても良いものである。
図17は、閉曲面1Bと閉曲面4Bの関係の例を示している。
図17Aは、閉曲面1Bがユーザ0を取り囲むように設定され且つ閉曲面1Bが閉曲面4Bの内側に設定された例である。図17Bは図17Aに示す例において、閉曲面1Bと閉曲面4Bとがより近接した例である。また図17Cは閉曲面1Bと閉曲面4Bとが共にユーザ0を取り囲むように設定されるが、閉曲面1Bの一部が閉曲面4Aの外側にはみ出している例である。
また図17Dに示す例は、図17Cの例において、閉曲面4Bのみがユーザ0を取り囲むように設定されたものである。また図17Eに示す例は、閉曲面1Bが閉曲面4Bの内側に設定され且つ閉曲面4Bがユーザ0を取り囲むように設定されているが、閉曲面1Bがユーザ0を取り囲むようには設定されていないものである。
これら図17A〜図17Eの例のうち本技術が適正に成立するのは、図17A〜図17Cに示す例となる。
このように閉曲面1Bと閉曲面4Bとは、少なくともそれらの一部同士が重なる領域が形成されるように設定されればよく、該重なる領域内にユーザが存在すれば、本技術が適正に成り立つ。
また、マイク、スピーカにより形成される閉曲面の形状は、ユーザ0を取り囲むことのできる形状であれば特に限定されず、例えば図18に示すような楕円型の閉曲面1B-1、又は円柱型の閉曲面1B-2、又は多角形型の閉曲面1B-3のような形状であってもよい。
なお図18では複数のスピーカ2Bによる閉曲面1Bの形状を例示したが、複数のマイク5Bによる閉曲面4Bの形状についても同様である。
ここで、閉曲面上におけるスピーカやマイクの配置間隔は、理想的には、対象とする周波数の半波長以下の間隔で並ぶのが望ましい。但し、これを忠実に実現しようとするとスピーカやマイクの設置数が莫大になる可能性もある。
実際においては、効果を体感してみて、現実的な数を設定することが望ましいものとなる。
またこれまでの説明では、閉曲面1Bが閉曲面4Bの内側にあって、閉曲面1Bよりも閉曲面4Bの方がそのサイズが大である場合を例示したが、逆に閉曲面1Bの方が閉曲面4Bよりもサイズが大であっても問題は無い。
一例として、図19に、閉曲面4Bが閉曲面1Bの内側に設定される場合を示しておく。
このように閉曲面4Bが閉曲面1Bの内側に配置される場合には、測定環境としてのサイトAでは、図20に示すように、スピーカ2Aを配置する閉曲面4Aを、マイク5Aを配置する閉曲面1Aの内側に設定することになる。
(6-2.指向性について)
これまでの説明では、マイク5A,5Bに関して、有指向性のマイクを用いる場合を例示したが、これらマイク5A,5Bに関しては、必ずしもデバイス単体として有指向性を有するものである必要性はなく、無指向性のマイクを用いることもできる。
その場合は、複数の無指向性マイクを用いていわゆるマイクアレーを形成することで、有指向性マイクと等価な出力を得ることが可能である。
図21は、無指向性のマイク5A又は5Bを用いて有指向性マイクと等価な出力を得るための構成の例を示している。
図のようにマイク5A又は5Bが端から順に1番〜5番まで配置されているとする。また、これら1番〜5番のマイク5A又は5Bと共に、この場合は3つ1組とされた遅延回路が2つ設けられているとする(遅延回路54-11〜54-13の組、及び遅延回路54-21〜54-23の組)。図のように遅延回路54-11〜54-13による出力は加算部55-1にて加算され、また遅延回路54-21〜54-23による出力は加算部55-2にて加算されて出力される。
遅延回路54-11には1番のマイク5A又は5Bの出力が、また遅延回路54-12には2番のマイク5A又は5Bの出力が、遅延回路54-13には3番のマイク5A又は5Bの出力がそれぞれ入力される。また遅延回路54-21には2番のマイク5A又は5Bの出力が、また遅延回路54-22には3番のマイク5A又は5Bの出力が、遅延回路54-23には4番のマイク5A又は5Bの出力がそれぞれ入力される。
例えばこのような構成において、遅延回路54-11〜54-13の遅延量を適切に設定することで、加算部55-1の出力として、1番〜3番のマイク5A又は5Bの収音信号で実現可能な所定の第1方向の収音信号を得ることができる。同様に遅延回路54-21〜54-23の遅延量を適切に設定することで、加算部55-2の出力として、2番〜4番のマイク5A又は5Bの収音信号で実現可能な所定の第2方向の収音信号を得ることができる。
このように複数配列された無指向性マイクの収音信号を適切な遅延を与えて加算(合成)することで、マイクアレーを形成し、有指向性マイクと等価な出力を得ることができる。
なお、図21の例では1つの指向方向を実現するために3つのマイクからの収音信号を遅延・加算するものとしたが、少なくとも2以上のマイクからの収音信号を遅延・加算すれば、指向性の表現は可能である。
また、スピーカについても、同様にアレースピーカを形成することで、デバイス自体は無指向性であっても有指向性の機能を実現可能である。
図22は、無指向性のスピーカ2A又は2Bを用いて有指向性スピーカと等価な出力を得るための構成の例を示している。
この場合も図のようにスピーカ2A又は2Bが端から順に1番〜5番まで配置されているとする。また、これら1番〜5番のスピーカ2A又は2Bと共に、3つ1組とされた遅延回路が2つ設けられる(遅延回路56-11〜56-13の組、及び遅延回路56-21〜56- 23の組)。図のように遅延回路56-11〜56-13に対しては、第1方向に出力すべき音響信号が与えられ、また遅延回路56-21〜56-23に対しては第2方向に出力すべき音響信号が与えられる。
1番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-11の出力が与えられる。また、2番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-12の出力と遅延回路56-21の出力とが加算部57-1で加算されて与えられる。また3番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-13による出力と遅延回路56-22による出力とが加算部57-2で加算されて与えられる。また4番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-23の出力が与えられる。
例えばこのような構成において、遅延回路56-11〜56-13の遅延量を適切に設定することで、1番〜3番のスピーカ2A又は2Bの出力音として、所定の第1方向への出力音を得ることができる。同様に遅延回路56-21〜56-23の遅延量を適切に設定することで、2番〜4番のスピーカ2A又は2Bの出力音として、所定の第2方向への出力音を得ることができる。
なお確認のため述べておくと、測定環境下において測定音を各方向(Q1〜QM)に順に出力するといった用途を考えた場合には、第1方向に出力すべき音響信号と第2方向に出力すべき音響信号を遅延回路56に同時に与えず、タイミングをずらして与えることになる。例えば、第1方向に測定音を出力する際には、測定用信号を遅延回路56-11〜56-13に対してのみ与え、遅延回路56-21〜56-23に対しては与えず、逆に第2方向に測定音を出力する際には測定用信号を遅延回路56-21〜56-23に対してのみ与え、遅延回路56-11〜56-13には与えないようにするものである。
このように、複数配列された無指向性のスピーカに与える音響信号に適切な遅延を与えることで、スピーカアレーを形成し、有指向性スピーカと等価な作用を得ることができる。
(6-3.測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の対処)
これまでの説明では便宜上、サイトBとサイトAとの関係において、閉曲面1B,1Aの組と閉曲面4B,4Aの組とがそれぞれ同サイズ・同形状とされる場合を例示したが、実際には、再現環境のマイク・スピーカの配置に対して、測定環境でのスピーカ・マイク位置を正確に合わせるのは困難である。
図23は、その一例を示している。
図23に示すサイトBでは、先の図5に示したものと同じ閉曲面1B及び閉曲面4Bが設定されているとする。
この場合、測定環境としてのサイトAでは、理想的には、それぞれ閉曲面1Bと同サイズ・同形状による閉曲面1Aと、閉曲面4Bと同サイズ・同形状による閉曲面4Aとが、閉曲面1Bと閉曲面4Bとの位置関係と同じ位置関係で設定されるべきであるが、実際にはこれは非常に困難である。
この図の例ではサイトAにおいて、図のように閉曲面1Aとサイズ・形状の異なる閉曲面1A’と、閉曲面4Aとサイズ・形状が異なる閉曲面4A’とが設定されたものとする。
ここで、図24に示すように、閉曲面4A’上に配置されるスピーカ2AをA系列の測定スピーカとする。また閉曲面1A’上に配置されるマイク5AをB系列の測定マイクとする。なおこれまでの説明通り、本来の閉曲面4A上に配置されるスピーカ2AはQ系列、本来の閉曲面1A上に配置されるマイク5AはR系列とする。

この場合、閉曲面4A’と閉曲面4Aとはサイズ・形状が異なるので、配置されるスピーカ2Aの数は同数とは限らない。本来の閉曲面4A上に配置されるスピーカ2Aの数は前述の通りM個であるのに対し、閉曲面4A’上に配置されるスピーカ2Aの数はK個とおく。
同様に、閉曲面1A’と閉曲面1Aとはサイズ・形状が異なるので配置されるマイク5Aの数は同数とは限らず、本来の閉曲面1A上に配置されるマイク5Aの数は前述の通りN個であるのに対し、閉曲面4A’上に配置されるマイク5Aの数はL個とおく。
この場合、サイトBにおける閉曲面4B上にはV系列のマイク5BがM個配置されており、閉曲面1B上にはW系列のスピーカ2BがN個配置されている。
この前提の下で、手法1としての適正な音場再現を実現するためには、次の式3に示すような伝達関数の変換を伴う演算を行って、各スピーカ2Bより出力すべき音響信号を得るものとすればよい。
Figure 0006361809
但し式3において、AB11〜ABKLは、A系列の各スピーカ位置(A1〜AK)からB系列の各マイク位置(B1〜BL)までの伝達関数を表すものである。これらAB11〜ABKLの伝達関数は、先の伝達関数QR11〜QRMNと同様、測定環境における各スピーカ位置ごと(この場合はK箇所)に測定音を順次出力し、それらを順次各マイク5A(この場合はL個)で収音した結果からそれぞれ測定するものである。
また式3において、BR11〜BRLNは、B系列の各マイク位置(B1〜BL)からR系列の各マイク位置(R1〜RN)までの伝達関数を表す。
これら伝達関数BR11〜BRLNは、図中に示す位置関係による閉曲面1A’と閉曲面1AとをサイトAとしての測定環境に実際に構築せずとも、例えば無響室などの所定の環境下において測定が可能である。具体的には、閉曲面1A’、閉曲面1Aとそれぞれ同サイズ・同形状の閉曲面を閉曲面1a’、閉曲面1aとしたとき、これら閉曲面1a’と閉曲面1aを例えば無響室にて図中に示す閉曲面1A’と閉曲面1Aと同じ位置関係で設定し、閉曲面1a’としてのB系列の各位置(B1〜BL)からスピーカにより順次測定音を出力し、それらを順次、閉曲面1aとしてのR系列の各位置(R1〜RN)に配置したマイクで収音した結果からそれぞれ測定することができる。
また式3において、QA11〜QAMKは、Q系列の各スピーカ位置(Q1〜QM)からA系列の各スピーカ位置(A1〜AK)までの伝達関数を表す。
これら伝達関数QA11〜QAMKとしても、例えば無響室などで測定可能である。具体的には、閉曲面4A、閉曲面4A’とそれぞれ同サイズ・同形状の閉曲面を閉曲面4a、閉曲面4a’としたとき、これら閉曲面4aと閉曲面4a’を例えば無響室にて図中に示す閉曲面4Aと閉曲面4A’と同じ位置関係で設定し、閉曲面4aとしてのQ系列の各位置(Q1〜QM)からスピーカにより順次測定音を出力し、それらを順次、閉曲面4a’としてのA系列の各位置(A1〜AK)に配置したマイクで収音した結果からそれぞれ測定することができるものである。
このように、Q系列→A系列の伝達関数群、及びB系列→R系列の伝達関数群を別途測定しておくことで、測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合にも、測定環境で得た伝達関数を適正に変換でき、適正な音場再現を実現することができる。
なお確認のため述べておくと、上記の式3は、再現環境と測定環境とで使用するマイク・スピーカの数が異なる場合にも、適正な音場再現を実現できることを意味するものである。例えば極端には、再現環境でL/Rの2チャンネルのヘッドフォン装置が用いられる場合であっても、上記と同様のQ系列→A系列の伝達関数群、及びB系列→R系列の伝達関数群の測定を行っておくことで、測定環境で得た伝達関数群をこれらの伝達関数群を用いて式3のように変換することにより、音場再現が可能なものである。
ここで、上記では、手法1の実現のために必要な第1伝達関数群について説明したが、手法2で用いる第2伝達関数群についても、同様の考え方に基づき測定環境で得た伝達関数群を変換することで、測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の対処が可能である。
具体的な手法については、本発明者らの提案による特許4775487号公報にも開示されているが、確認のため、以下にその手法の概要を説明しておく。説明は、先の図11を参照して行う
例えば再現環境(サイトB)にて、図11中に示す閉曲面1Aよりも小さな閉曲面(仮に閉曲面1A’とおく)しか設定できなかったとする。このとき、閉曲面1AをQ系列(Q1〜QMのM箇所)とし、閉曲面1A’を仮にP系列(P1〜PJのJ箇所)とする。
例えば、或る音源Sを定位させたい位置が1箇所であるとすると、この場合の測定環境であるサイトAで測定される伝達関数は、該位置からQ1〜QMの各マイク位置までの伝達関数となる。これらの伝達関数をQ1〜QMとおく。測定環境の閉曲面と再現環境の閉曲面とが同サイズ・同形状であれば、上記音源Sを該伝達関数Q1〜QMで処理することで、適正な音場再現が可能である。
この場合は、閉曲面1Aと閉曲面1A’のサイズ・形状が異なることに対応させて、Q系列→P系列の伝達関数群を例えば無響室などの環境下で測定しておく。具体的には、無響室にて閉曲面1Aと閉曲面1A’とを設定し、閉曲面1AとしてのQ系列の各位置(Q1〜QM)からスピーカにより順次測定音を出力し、それらを順次、閉曲面1A’としてのP系列の各位置(P1〜PJ)に配置したマイクで収音した結果から、伝達関数QP11〜QPMJをそれぞれ測定する。
その上で、次の式4により、再現環境に配置されたJ個のスピーカ(X1〜XJ)から出力されるべき音響信号(X1〜XJ)を得る。
Figure 0006361809
このようにして、手法2についても、測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が
異なる場合(測定環境におけるマイクの数と再現環境におけるスピーカの数とが異なる場合)の対処が可能である。
(6-4.移動体を用いた測定手法)
実施の形態としての再現動作の実現のためには、多くの場所で、伝達関数の測定を行うことが望ましい。再現可能な場所をより多くできるためである。
多くの場所で効率良く伝達関数の測定を行うためには、スピーカ又はマイクを搭載した車輌などの移動体を用いることが有効である。
以下では、移動体を用いた測定手法の例について説明しておく。
図25は、移動体を用いた測定例1についての説明図である。
この測定例1では、図25Aに示されるように、複数のスピーカ2Aと複数のマイク5Aとを搭載した車輌60により、伝達関数の測定を行う。この例では、先の図6に示した配置による複数のスピーカ2Aと複数のマイク5Aとが車輌60に搭載されている。測定例1は、主に、手法1で必要とされる第1伝達関数の測定に好適なものである。
上記のような車輌60により、測定・移動を繰り返して、各場所における伝達関数を順次取得していく。
図25Bは、測定例1で測定された伝達関数についてのデータベースの内容を例示している。
図のようにこのデータベースでは、伝達関数IDと、発音位置と、受音位置と、測定日時と、データ(インパルス応答測定データ)との対応が取られる。この場合、発音位置の情報は、車輌60に搭載されたGPS(Global Positioning System)受信装置による位置情報を用いる。また、この場合の受音位置の情報は、車輌60に搭載されたマイク5Aの識別番号としている。
図26は、移動体を用いた測定例2についての説明図である。
図26Aに示されるように、この測定例2では、街の中に固定的又は半固定的に複数のマイク5Aが設置される。街中におけるマイク5Aの設置位置としては、例えば地面、電柱、壁、標識などを挙げることができる。また、監視カメラに対して併せて設置するなども考えられる。
この場合、移動体としては、測定例1でも用いた車輌60(スピーカ2A及びマイク5Aを搭載)が用いられる。
この車輌60に設置のマイク5Aにより、第1伝達関数の測定を行うことができる。
この場合の第2伝達関数の測定は、車輌60に設置のスピーカ2Aにより発した測定音を、街中に設置のマイク5A(及び車輌60に設置のマイクAを用いてもよい)により受音して行う。この測定例2では、街中に数多くのマイク5Aが設置されるため、1度の測定で数多くの伝達関数を得ることができる。
このように数多く測定された伝達関数を、図26Bのようにデータベース化して保存しておくことで、その中から後に必要とされる伝達関数を適宜選択して用いるということができる。
この図26Bに示すデータベースについて、先の図25Bに示したデータベースとの違いは、受音位置の情報が絶対位置情報とされる点である。これは、データベースから必要とされる伝達関数を選ぶ際に、発音位置との位置関係の特定を容易とするためである。
図27は、移動体を用いた測定例3及び測定例4についての説明図である。
測定例3,4は、複数の移動体を用いた測定例となる。
図27Aに示す測定例3では、移動体として、車輌60と、車輌60に対して先行する車輌61と、車輌60に対して後行する車輌62とを用いている。
ここで、移動体として車輌を用いる場合、特に街中の測定では、該車輌を道路上に走行させることになる。このとき、道路上にはマイク5Aを固定設置することは困難なため、車輌を1台のみとしてしまうと、該車輌の前後に伝達関数を測定できない空白区間が形成されてしまう虞がある。測定例3,4によれば、この空白区間を補うことができる。
図示するように図27Aの測定例3では、先行する車輌61、後行する車輌62にはスピーカ2Aは設置されずマイク5Aのみが設置されるものとしている。この例では、該車輌61,62上のマイク5Aの位置(受音位置)も含めて、先の図26Bに示したようなデータベースを構築する。
また図27Bの測定例4は、図27Aに示した測定例3について、車輌60に代えてスピーカ2Aのみを搭載した車輌63を用いるようにしたものである。
この場合は、街中のマイク5Aと、車輌61,62上のマイク5Aとを用いて第1伝達関数の測定を行うことになる。
また、この場合も第2伝達関数については、街中のマイク5Aと車輌61,62上のマイク5Aとを用いて、1度に数多くの伝達関数の測定が可能となる。
ここで、測定例3,4のように複数台の車輌を用いる場合には、これら複数台の車輌のその時々の距離や方向などが異なることを利用して、より多くの発音位置・受音位置の組み合わせについて伝達関数を得ることもできる。
なお、車輌を用いた測定では、車輌が停止時ではなく走行しながらの収音を行うことも想定される。その際には、データベースに収音時の車輌走行スピードも記録しておくことで、ドップラー効果を後から信号処理にて軽減することができる。
また、街中にマイク5Aを設ける場合、それらが有指向性マイクであると、設置後に指向方向を変更することは非常に困難であるから、その分、測定の自由度が阻害されることになる。この点を考慮し、街中に設置するマイク5Aについては無指向性のマイクとして、前述したマイクアレーの処理によって指向性を変更可能とする。これにより、測定の自由度を向上でき、より多くのパターンの伝達関数を得る上で非常に有効である。
(6-5.その他の変形例)
ここで、本技術については、以下のような変形例も可能である。
これまでの説明では、手法2の音場再現に関して、オブジェクト分離音源を用いる場合を例示したが、手法1の音場再現についても、マイク5Bによる収音信号に対して、ノイズ除去や残響抑制などの処理を施すこともできる。
ここで、手法1では、サイトBに配置されたスピーカ2Bより音場再現のための音が出力される。このとき、サイトBではユーザ0の発した音を収音するマイク5Bがスピーカ2Bに比較的近接して配置されるので、上記音場再現のためにスピーカ2Bよりされた音が、マイク5Bによって収音されることになる。これは、本来はユーザ0が発した音についてのみ第1伝達関数による処理が施されるべきであるのに、音場再現用の音が加わった音について第1伝達関数による処理が施されてしまうことを意味する。

そこで、上記のようにマイク5Bによる収音信号に対しオブジェクト分離音源と同様のノイズ除去や残響抑制の処理を施して、ユーザ0から発せられた音の成分が抽出されるようにする。すなわち、このようにオブジェクト分離した音源に対して第1伝達関数による処理が施されるようにするものである。これにより、手法1の音場再現について、S/Nの向上が図られ、音場再現の品質をさらに向上することができる。
なお、上記のようなノイズ除去や残響抑制の処理は、先の図12に示した構成において、例えばADC/アンプ部32と加算部33との間で行うものとすればよい。
またこれまでの説明では、1つの場所につき対応する1つの画像を表示することを前提としたが、例えば時間帯ごとに異なる画像を表示するといったこともできる。例えば、再現対象とする場所について時間帯ごとに複数の画像を撮影・保存しておく。これらの画像のうち、例えば再現環境に置かれた信号処理装置30が計時する現在時刻情報に応じた時間帯や、或いは再現対象とする場所での現在時刻(例えば信号処理装置30が計時する現在時刻から計算で求められる)に応じた時間帯の画像を選択して表示する。或いは、ユーザ0が指定した任意の時間帯の画像を選択して表示してもよい。
なお、このような時間帯に応じた再現は、手法2としての音場再現にも適用できる。具体的には、1つの場所につき時間帯ごとの複数のオブジェクト分離音源を用意しておき、例えば再現環境又は再現対象とする場所での現在時刻に応じた時間帯、或いはユーザ0が指定した任意の時間帯の音源を再現音として出力するものである。
このような時間帯に応じた再現を実現することで、より臨場感を増すことができる。
またこれまでの説明では、地図上で指定された位置情報に応じた場所についての再現を行う場合を例示したが、例えばGPSで検出された現在位置の情報を、指定位置情報として用いてもよい。すなわち、GPSで検出された現在位置情報から特定される場所についての再現を行うものである。
これは例えば、再現環境に居るユーザ0の通話相手が遠隔地に居て、該通話相手の居る場所の音場を再現するといったシステムに好適なものである。この場合は、例えば通話相手の使用する携帯電話装置などで検出された現在位置情報がサーバ装置25に送信され、該現在位置情報に基づきサーバ装置25が対応する場所を特定することになる。
またこれまでの説明では、測定用信号としてTSP信号を用いた測定を行う場合を例示したが、これに代えてM系列による測定を行っても良い。
また、先の図26や図27に示したように街中で様々な発音位置・受音位置の組み合わせについて多数の伝達関数を測定し、そのうちから後に必要とされる伝達関数を選択して用いるといったシステムを想定した場合には、データベースに必要な伝達関数のデータが存在しないといったケースも想定され得る。このようにデータベースに必要な伝達関数が存在しない場合には、存在する他の伝達関数から補間を行って、必要な伝達関数を推定することもできる。
また、街中にマイク5Aが固定的又は半固定的に設置される場合は、再現対象とする場所の音を該マイク5Aでリアルタイムに収音し、これをネットワーク26経由で再現環境の信号処理装置30に伝送してスピーカ2Bより出力させてもよい。
また、本技術は以下に示す構成を採ることもできる。
(1)
ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンで上記ユーザの発した音を収音する収音部による収音信号を入力する収音信号入力部と、
指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音信号入力部より入力された信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理部と、
上記音響信号処理部により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音させる発音制御部と
を備える信号処理装置。
(2)
上記指定された位置情報から特定される場所で収録された音源に基づく音響信号を、上記第1の音響信号処理を施した信号に対して加算する加算部をさらに備える
上記(1)に記載の信号処理装置。
(3)
上記音源はオブジェクト分解された音源とされ、
上記加算部は、
上記指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音ではない音が、該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第2の伝達関数に基づき、上記音源に基づく音響信号に対し、上記音源に基づく音が上記音場再現の対象とする場所で発せられたように知覚させるための第2の音響信号処理が施されて得られた音響信号を、上記第1の音響信号処理を施した信号に対して加算する
上記(2)に記載の信号処理装置。
(4)
上記音響信号処理部は、
上記収音信号入力部により入力された信号に所要の音響信号を加算した信号に対して、上記第1の伝達関数に基づく上記第1の音響信号処理を施す
上記(1)乃至(3)何れかに記載の信号処理装置。
(5)
上記音響信号処理部は、
上記収音信号をオブジェクト分解して得た音源に対して、上記第1の伝達関数に基づく上記第1の音響信号処理を施す
上記(1)乃至(4)何れかに記載の信号処理装置。
(6)
音場再現の対象とする場所ごとに測定された上記第1の伝達関数が外部装置に記憶されており、
上記指定された位置情報に基づき、上記音響信号処理部が上記第1の音響信号処理で用いるべき伝達関数を上記外部装置から取得する取得部をさらに備える
上記(1)乃至(5)何れかに記載の信号処理装置。
(7)
音場再現の対象とする場所ごとの上記オブジェクト分解された音源及び上記第2の伝達関数が外部装置に記憶され、
上記第2の音響信号処理を実行するレンダリング部をさらに備えると共に、
上記指定された位置情報に基づき、上記レンダリング部が上記第2の音響信号処理で用いるべき上記オブジェクト分解された音源に基づく音響信号及び上記第2の伝達関数を上記外部装置から取得する取得部をさらに備え、
上記加算部は、
上記第1の音響信号処理を施した信号に対し、上記レンダリング部が上記取得部により取得した上記音響信号及び上記第2の伝達関数に基づく上記第2の音響信号処理を行って得た上記音響信号を加算する

上記(3)乃至(6)何れかに記載の信号処理装置。
(8)
上記第2の音響信号処理を実行するレンダリング部が外部装置に設けられ、
上記外部装置より上記第2の音響信号処理が施されて得られた上記音響信号を取得する取得部をさらに備えると共に、
上記加算部は、
上記第1の音響信号処理を施した信号に対し、上記取得部により取得した上記音響信号を加算する
上記(3)乃至(6)何れかに記載の信号処理装置。
(9)
ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンにより上記ユーザの発した音を収音する収音部と、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音を行う発音部とを用いた信号処理方法であって、
指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音部による収音信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理手順と、
上記音響信号処理手順により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記発音部により発音させる発音制御手順と
を有する信号処理方法。
0 ユーザ、1A,1B,4A,4B 閉曲面(音響閉曲面)、2A,2B スピーカ、3
表示装置、5A,5B マイク、10 測定装置、11-1〜11-M,12-1〜12-N,39-1〜39-N,43 端子部、13,32 ADC/アンプ部、14 伝達関数測定部、15,40 制御部、16 測定用信号出力部、17,38 DAC/アンプ部、18 セレクタ、19 信号成分分解処理部19、20,21 乗算部、22,31-1〜33-M,37-1〜37-N,51-1〜51-N,55-1,55-2,57-1,57-2 加算部、25 サーバ装置、26 ネットワーク、30 信号処理装置、34,36 ハウリング制御/エコーキャンセル部、41 操作部、42 表示制御部、44 通信部、45 メモリ、46 リファレンス音再生部、47,52 レンダリング部、50-11〜50-1N,50-21〜50-2N,50-M1〜50-MN フィルタ、53 出力制御部、54-11〜54-13,54-21〜54-23,56-11〜56-13,56-21〜56-23 遅延回路

Claims (9)

  1. ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンで上記ユーザの発した音を収音する収音部による収音信号を入力する収音信号入力部と、
    指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音信号入力部より入力された信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理部と、
    上記音響信号処理部により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音させる発音制御部と
    を備える信号処理装置。
  2. 上記指定された位置情報から特定される場所で収録された音源に基づく音響信号を、上記第1の音響信号処理を施した信号に対して加算する加算部をさらに備える
    請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 上記音源はオブジェクト分解された音源とされ、
    上記加算部は、
    上記指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音ではない音が、該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第2の伝達関数に基づき、上記音源に基づく音響信号に対し、上記音源に基づく音が上記音場再現の対象とする場所で発せられたように知覚させるための第2の音響信号処理が施されて得られた音響信号を、上記第1の音響信号処理を施した信号に対して加算する、
    請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 上記音響信号処理部は、
    上記収音信号入力部により入力された信号に所要の音響信号を加算した信号に対して、上記第1の伝達関数に基づく上記第1の音響信号処理を施す、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  5. 上記音響信号処理部は、
    上記収音信号をオブジェクト分解して得た音源に対して、上記第1の伝達関数に基づく上記第1の音響信号処理を施す、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  6. 音場再現の対象とする場所ごとに測定された上記第1の伝達関数が外部装置に記憶されており、
    上記指定された位置情報に基づき、上記音響信号処理部が上記第1の音響信号処理で用いるべき伝達関数を上記外部装置から取得する取得部をさらに備える、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  7. 音場再現の対象とする場所ごとの上記オブジェクト分解された音源及び上記第2の伝達関数が外部装置に記憶され、
    上記第2の音響信号処理を実行するレンダリング部をさらに備えると共に、
    上記指定された位置情報に基づき、上記レンダリング部が上記第2の音響信号処理で用いるべき上記オブジェクト分解された音源に基づく音響信号及び上記第2の伝達関数を上記外部装置から取得する取得部をさらに備え、

    上記加算部は、
    上記第1の音響信号処理を施した信号に対し、上記レンダリング部が上記取得部により取得した上記音響信号及び上記第2の伝達関数に基づく上記第2の音響信号処理を行って得た上記音響信号を加算する、
    請求項3に記載の信号処理装置。
  8. 上記第2の音響信号処理を実行するレンダリング部が外部装置に設けられ、
    上記外部装置より上記第2の音響信号処理が施されて得られた上記音響信号を取得する取得部をさらに備えると共に、
    上記加算部は、
    上記第1の音響信号処理を施した信号に対し、上記取得部により取得した上記音響信号を加算する、
    請求項3に記載の信号処理装置。
  9. ユーザを取り囲むように配された複数のマイクロフォンにより上記ユーザの発した音を収音する収音部と、上記ユーザを取り囲むように配された複数のスピーカにより発音を行う発音部とを用いた信号処理方法であって、
    指定された位置情報から特定される場所において測定された、該場所に設置されたスピーカから発せられた音が該場所で反響されて該場所に設置されたマイクロフォンにどのように伝達するかを表す第1の伝達関数に基づき、上記収音部による収音信号に対し、上記ユーザが発した音が上記位置情報から特定される場所で反響されたように感じられる音場を再現するための第1の音響信号処理を施す音響信号処理手順と、
    上記音響信号処理手順により上記第1の音響信号処理が施された信号に基づく音を、上記発音部により発音させる発音制御手順と、
    を有する信号処理方法。
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