JP6281493B2 - 信号処理装置、信号処理方法、測定方法、測定装置 - Google Patents
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Description
これら特許文献に記載される従来技術は、何れも、閉曲面の外側で起こった事象の音の再現を行うものである。
このような没入感を聴覚的に与えるためには、対象とする或る場所について、その場所の印象(空間の印象)を音によってユーザに知覚させるように再現を行うことを要する。
しかしながら、対象とする或る場所についてさらなる臨場感・没入感をユーザに与えるためには、閉曲面の外側における事象に基づくのみでなく、閉曲面の内側で起こった事象に基づいてもその場所に自分がいるとの印象を与えることができるような技術が望まれる。
すなわち、本技術の信号処理装置は、再現環境においてユーザを取り囲むように配置された複数のマイクロフォンにより内向きの指向性で収音して得られた、上記ユーザの発した音についての収音信号を入力する入力部を備える。
また、測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向
性で収音した結果に基づき測定された、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数に基づき、上記入力部により入力された上記収音信号に処理を施して、上記測定環境における音場を再現するための再現用信号を得る音響信号処理部を備える。
また、上記音響信号処理部で得られた上記再現用信号に基づき、上記再現環境において上記ユーザを取り囲むように配置され内向きの指向性で発音を行う複数のスピーカを発音させる発音制御部を備えるものである。
つまり、本技術の信号処理方法は、再現環境においてユーザを取り囲むように配置された複数のマイクロフォンにより内向きの指向性で収音して得られた、上記ユーザの発した音についての収音信号を入力する入力手順を有する。
また、測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき測定された、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数に基づき、上記入力手順により入力した上記収音信号に処理を施して、上記測定環境における音場を再現するための再現用信号を得る音響信号処理手順を有する。
また、上記音響信号処理手順により得た上記再現用信号に基づき、上記再現環境において上記ユーザを取り囲むように配置され内向きの指向性で発音を行う複数のスピーカを発音させる発音制御手順を有するものである。
つまり本技術の測定方法は、測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数を測定するものである。
すなわち本技術の測定装置は、測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次外向きの指向性で所定音が発音されるように、上記第1の閉曲面上に設置されたスピーカによる発音を実行させる発音制御部を備える。
また、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置に設置されたマイクロフォンにより外向きの指向性で収音して得られる、上記発音制御部の制御により順次発音された音についての収音信号を順次入力し、それら収音信号に基づき、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数を測定する測定部を備えるものである。
ここで、いわゆる「エコーロケーション」のように、自らが発した音がどう伝わるかを聴覚的に知覚認識することで、経験則から大体の空間構造をつかむことが可能である。このことから上記本技術によれば、ユーザは自らが発した音に基づき、音響的にその空間の
印象をより知覚し易くなる。つまりこの結果、或る場所についての臨場感や没入感を従来よりも増すことができる。
また上記本技術の測定方法(及び測定装置)によれば、このような音場再現の実現のために必要とされる伝達関数の測定を実現できる。
また、本技術の測定方法(及び測定装置)によれば、そのような音場再現の実現に必要とされる伝達関数の測定を実現できる。
<1.実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法の概要>
<2.音場再現の手法>
<3.音場再現のための測定手法>
(3-1.測定手法の概要)
(3-2.測定1について)
(3-3.測定2について)
<4.伝達関数に基づく音場再現>
(4-1.第1伝達関数に基づく音場再現)
(4-2.第2伝達関数に基づく音場再現)
<5.信号処理システムの構成>
<6.変形例>
(6-1.閉曲面について)
(6-2.指向性について)
(6-3.測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の対処)
(6-4.移動体を用いた測定手法)
(6-5.その他の変形例)
先ずは図1により、本実施の形態の信号処理システムで実現する再現手法の概要について説明しておく。
図1において、サイトAとは、ユーザ0を没入させたい場所、つまりはその情景や音の広がり等を再現したい場所(再現対象とする場所)を意味するものである。
また図中のサイトBは、再現対象とする場所の情景や音の広がりの再現を行う場所を意味する。このサイトBは、例えばユーザ0自身の部屋などと考えればよい。
図のようにサイドB内には、ユーザ0を取り囲むように配置された複数のスピーカ2Bと、画像表示を行う表示装置3とが設置されている。
没入したい場所の画像と共にその場所の音場100をユーザ0に提示することで、その場所に対するユーザ0の没入感をより高めることができる。
再現したい場所の指定は、例えばユーザ0により行う。例えば、本システムによるサービスを享受するにあたっては、表示装置3上に表示された地図画像から、任意の位置を指定する。この指定された位置の位置情報から、該位置に対応する場所が特定され、該場所について上記のような画像や音による再現を行う。
後述するように、本実施の形態では、このように複数のスピーカで取り囲んだ空間の他にも、複数のマイクロフォンで取り囲んで形成される空間も存在することになる。
本明細書においては、このように複数個のスピーカ又はマイクロフォンで取り囲んで形成される空間の界面、換言すれば、それら複数個のスピーカ又はマイクロフォン同士を結んで形成される空間の界面を、「音響閉曲面」或いは単に「閉曲面」と称することとする。
図1に示すように、サイトB内の複数のスピーカ2Bによって形成される音響閉曲面は、閉曲面1Bと表記する。
上記のように本実施の形態では、サイトBにおいてサイトAの音場を再現するが、この音場再現の具体的な手法として、本実施の形態では、主に図3に示される2つの手法(手法1及び手法2)を提案する。
先ず、手法1としては、サイトBにおける閉曲面1Bの内側に居るユーザ0が発した音(例えばユーザ0が発した声、物を落とした時の衝突音、食事中であれば食器等が触れ合う時の音など)が、サイトAで反響したように感じられる音場100を複数のスピーカ2Bによって再現するものである。後に詳述するように、この手法1の実現のためには、ユーザ0を取り囲むように配置した複数のマイク5Bによってユーザ0の発した音をリアルタイムに収音し、対応する伝達関数で処理することで、音場再現用の音響信号(スピーカ2Bより出力すべき音響信号)を生成することになる。
ここで、図中に示すように閉曲面1BがサイトA内にあるものと仮定し、該サイトA内における閉曲面1Bの外側の或る位置にて音が発せられたとした場合、該音は、閉曲面1Bに直接到達する成分の他に、サイトA内における構造物や障害物を介した反射音・残響音(各材質・構造ごとに異なる)の成分を伴う場合もある。手法2では、このような反響音も含めて、サイトAにおける環境音を知覚させるものである。
(3-1.測定手法の概要)
図4は、実施の形態の音場再現を実現するための伝達関数の測定手法について説明するための図である。
図4Aは、測定のためにサイトA内に配置する複数のマイク5Aを模式的に表す。
図4Bは、手法1に対応する測定手法(測定1と表記する)、図4Cは手法2に対応する測定手法(測定2)をそれぞれ模式的に表す。なお図4Dは、サイトAの環境音を、該サイトAに配置した複数のマイク5Aによりそのまま収録する手法を模式的に表している。
具体的に該測定1では、サイトAに配置した測定用のスピーカ2Aから外向きに発せられた音(測定用信号)が、サイトAにおける反響の影響を受けて、同じくサイトAに配置した各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定する。
従ってこの伝達関数を用いて、サイトBのマイク5Bにより収音した信号(ユーザ0が発した音)を加工してスピーカ2Bにより出力することで、該ユーザ0が発した音がサイトAで反響したように感じられる音場100をサイトBにて構築することができる。
しかしながら、このように単に収録した環境音を流すとした場合は、1つのサイトについて2種以上の環境音を再現しようとしたときに、そのサイトにて複数回の収録を行うことが必要とされる等の問題がある。
例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)など従来のメディアに収録される音は、制作側の意図の下、チャンネル毎に完成されたパッケージとされており、パッケージに納められた各チャンネルの音響信号は対応するスピーカのチャンネルに対応して鳴らすことで、概ね制作側の意図する音質・音場を実現してきた。
しかしながら近年、制作側の意図として「聞かせたい」音場・音質などを、「各音源の音響ストリーム信号」と「その音源がどう動くか、どういう位置にあるか」の「メタ情報」のセット(暫定的にオブジェクトと呼ぶ)を複数個重ねたものと考え、これをどう再生環境に応じて実現(レンダリング)するかを再生環境側に委ねた「オブジェクトベースのオーディオ(または音場表現)」の考え方が出てきた。
このようなオブジェクトベースの手法により、再生環境の多様化が進みつつある現状においてだけでなく、再生環境が将来的に飛躍的な性能向上を行った場合でも、制作者の意図に応じて再生環境の性質・性能に合わせて、音場・音質の再現が可能となる。
具体的に、該測定2では、複数のマイク5Aが配される閉曲面1Aの外側の任意位置に配置した測定用のスピーカ2Aから発された音(測定用信号)が、サイトAにおける反響の影響も含めて、各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定する。
すなわち、閉曲面1Bに対して到達する音が該閉曲面1Bと交差するときの波面を想定したとき、該想定波面を、閉曲面1Bの内側に創造するように複数のスピーカ2Bから再生するというものである。
以下、測定1としての伝達関数の測定手法の具体的な例を図5〜図7を参照して説明する。
先ず、図5に、ユーザ0の居るサイトB(再現環境)に配置された複数のスピーカ2B及び閉曲面1Bと、複数のマイク5B及び閉曲面4Bとを示す。先の説明からも理解されるように、サイトBに配置されるマイク5Bは、ユーザ0が発した音をリアルタイムに収
音するために設けられたものである。
このとき、マイク5Bとしては、閉曲面4Bの内側に居るユーザ0が発した音をサイトAにおける反響の影響を与えてスピーカ2Bから出力するというシステムを実現する上では、内向き(閉曲面4Bの内側方向)の指向性を有することを要する。このため本例では、各マイク5Bとして有指向性のマイクロフォンを用い、その指向方向が閉曲面4Bの内側方向に向くように設置するものとしている。
また、スピーカ2Bとしては、その発音方向が閉曲面1Bの内側方向に向くように設置する。すなわち、スピーカ2Bとしては有指向性スピーカを用い、その指向性を内向きに設定する。
なおこのとき、指向性の方向は、閉曲面に対して垂直であることが望ましい。
なお以下では、上記の各位置に配置されたマイク5Bを、その配置位置に対応させてそれぞれマイクV1,V2,V3,・・・,VMと表記することもある。同様に、スピーカ2Bについても、それぞれその配置位置に対応させてスピーカW1,W2,W3,・・・,WNと表記することもある。
これら図6,図7では、サイトA(測定環境)における複数のスピーカ2A及び閉曲面1Aと、複数のマイク5A及び閉曲面4Aとを示している。
またサイトAの閉曲面1A上に配置されるマイク5Aの数はN個であるとし、それらの配置位置は図のようにR1,R2,R3,・・・,RNであるとする。
なおサイトAについても、上記の各位置に配置されたスピーカ2Aをその配置位置に対応させてそれぞれスピーカQ1,Q2,Q3,・・・,QMと表記し、またマイク5Aについてもそれぞれその配置位置に対応させてマイクR1,R2,R3,・・・,RNと表記することがある。
また、サイトAにおける閉曲面1Aは、サイトBにおける閉曲面1Bとそのサイズ・形
状が同じで、且つ閉曲面1A上における各マイク5Aの位置関係(R1,R2,R3,・・・,RNの並び順及びそれらの配置間隔)は、閉曲面1B上における各スピーカ2Bの位置関係(W1,W2,W3,・・・,WNの並び順及びそれらの配置間隔)と同じであるとする。
このようにして得られる各マイク5Aの収音信号に基づき、Q1の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数を得ることができる。
このようにして得られる各マイク5Aの収音信号に基づき、Q2の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5Aまでのインパルス応答を測定する。これにより、Q2の位置のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数を得ることができる。
すなわち、1つのスピーカ2Aを順次Q1,Q2,Q3,・・・,QMの各位置に配置・発音することで、上記のM×N個の伝達関数を求めるのに必要な測定を行うことができる。
但し、測定ごとにスピーカ2Aを移動させるには煩わしさを伴うので、本例では、Q1〜QMの各位置にスピーカ2Aを配置し、それらのスピーカ2Aのうち測定音を出力するスピーカ2Aを順次選択することで、M×N個の伝達関数の測定を行うものとする。
この図8に示されるように、測定1の実現のためには、M個のスピーカ2Aと、N個のマイク5Aと、測定装置10とを設ける。
セレクタ18は、DAC/アンプ部17から入力された測定用信号を、端子部11-1〜11-Mのうち制御部15により指示された端子部11(つまりスピーカ2A)に択一的に出力する。
伝達関数測定部14は、制御部15からの指示に応じて、ADC/アンプ部13から入力された各マイク5Aからの収音信号に基づいてインパルス応答(伝達関数)の測定を行う。
特にこの場合の制御部15は、先に説明した測定1としての測定動作が実現されるように、測定用信号出力部16、セレクタ18、伝達関数測定部14に対する制御を行う。具体的には、Q1,Q2,Q3,・・・,QMの各スピーカ2Aより測定用信号に基づく発音が順次行われるように測定用信号出力部16及びセレクタ18に対する制御を行うと共に、各スピーカ2Aによる発音のタイミングに同期して、各マイク5Aによる収音信号に基づく伝達関数の測定が行われるように、伝達関数測定部14による測定タイミングを制御する。
これにより、前述したM×N個の伝達関数の測定が実現される。
イクの指向性によっては、図9のように残響音成分の他にも直接音や初期反射音を含んでおり、場合によってはこれらが臨場感演出の阻害要因になる可能性もある。
なお確認のため述べておくと、直接音とは、スピーカ2Aから発せられ(サイトAでの反射を介さず)直接的にマイク5Aに到達する音を意味するものである。
図10にそのための構成を示した。
図中のインパルス応答測定データは、マイク5Aによる収音信号に基づき測定したインパルス応答のデータ(時間軸波形データ)を意味している。
このインパルス応答測定データを、図のように信号成分分解処理部19によって時間軸上で直接音、初期反射音、残響音に分解する。
直接音、初期反射音については、それぞれ乗算部20,21でそのバランスを変更(レベル調整)する。このようにバランス調整された直接音、初期反射音の成分と、信号成分分解処理部19で得られた残響音成分とを、加算部22により加算する。
本例で用いる伝達関数は、測定された(生の)インパルス応答データについて上記のような成分分解・バランス調整が行われたものであるとする。
図11は、測定2としての伝達関数の測定の具体的な手法についての説明図である。
前述のように測定2は、閉曲面1Bの外側の任意位置に定位されるべき音源を、該位置に定位させ、且つ該位置より発せられる音がサイトAでの反響を受けたかたちでユーザ0に知覚されるようにするべく、閉曲面1Aの外側の任意位置に配置した測定用のスピーカ2Aから発された音が、サイトAにおける反響の影響も含めて、各マイク5Aにどのように到達するかを表す伝達関数(インパルス応答)を測定するものである。
このように音源を「定位させたい位置」が複数ある場合には、その「定位させたい位置」ごとの伝達関数の測定を行う。
但しこの場合、スピーカ2Aの接続数は、音源を定位させたい位置の数に応じた数となる。具体的に、音源を定位させたい位置の数だけスピーカ2Aを接続した場合には、制御部15としては、測定音を出力すべきスピーカ2Aをセレクタ18に順次選択させ、且つ測定音の出力タイミングに同期して伝達関数の測定処理を実行するように伝達関数測定部14を制御することになる。
(4-1.第1伝達関数に基づく音場再現)
前述のように、第1伝達関数は、Q1のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR11〜QR1N)、Q2のスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QR21〜QR2N)、・・・,QMのスピーカ2AからR1〜RNの各マイク5AまでのN個の伝達関数(QRM1〜QRMN)の合計M×N個である。
この前提の下で、例えばW1の位置から出力すべき音響信号を考えてみると、このW1位置からは、ユーザ0から閉曲面4B上のV1〜VMの各方向に発せられ、それぞれサイトAによる反響の影響を受けて該W1位置まで戻って来る音が出力されるべきものとなる。
すなわち、W1位置のスピーカ2Bより出力されるべき音響信号を信号W1とすると、該信号W1は、
W1=V1×QR11+V2×QR21+V3×QR31+・・・+VM×QRM1
と表すことができる。但し上式において、V1〜VMはマイクV1〜VMの収音信号を意味するものであるとする。
このようにW1信号としては、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音を、それぞれW1(R1)への伝達関数(QR11,QR21,・・・,QRM1)のうち対応する1の伝達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものとなる。
W2=V1×QR12+V2×QR22+V3×QR32+・・・+VM×QRM2
W3=V1×QR13+V2×QR23+V3×QR33+・・・+VM×QRM3
と表すことができる。すなわち、W2信号としては、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音をそれぞれW2(R2)への伝達関数(QR12,QR22,・・・,QRM2)のうち対応する1の伝達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものであり、またW3信号は、V1〜VM(Q1〜QM)の各方向に出た音をそれぞれW3(R3)への伝達関数(QR13,QR23,・・・,QRM3)のうち対応する1の伝達関数で処理して得られるM個の信号を足し合わせたものとなる。
先の説明からも理解されるように、第2伝達関数を用いる手法2は、サイトAにおける環境音を該サイトAでの反響も含めてユーザ0に知覚させるものであって、手法1のように、マイク5Bによる収音信号に対して伝達関数による処理を施すものではない。
手法2では、マイク5Bによる収音信号ではなく、予め収録等された所定の音源に対して第2伝達関数による処理を施すことになる。
例えば最も簡易的な例として、或る1つの音源を或る1つの位置に定位させるとした場合には、該音源に基づく音響信号をそれぞれR1〜RNの各位置の収音信号に基づき測定した第2伝達関数で処理してN個の信号を得、これを再現環境におけるW1〜WNのスピーカ2Bのうちそれぞれ対応する1のスピーカ2Bより出力すればよい。
或いは、音源Aを位置a、音源Bを位置bにそれぞれ定位させるといったときは、音源A側については、該音源Aに基づく音響信号を位置aについての測定で得たN個の第2伝達関数でそれぞれ処理してN個の信号を得、また音源B側については、該音源Bに基づく音響信号を位置bについての測定で得たN個の第2伝達関数でそれぞれ処理してN個の信号を得る。そして、これら音源A側、音源B側についてそれぞれ得たN個の信号を、スピーカ2Bの各位置(W1〜WN)ごとに加算して、W1〜WNの各位置のスピーカ2Bより出力すべき信号を得る。
図12は、上記により説明した実施の形態としての信号処理手法を実現するための信号処理システムの構成について説明するための図である。
この図12に示すように、本実施の形態の信号処理システムは、M個のマイク5Bと、信号処理装置30と、N個のスピーカ2Bと、表示装置3と、サーバ装置25とを少なく
とも有して構成される。
具体的に、サーバ装置25には、地図データ25A、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、対応関係情報25D、及びオブジェクトベースデータ25Eが格納されている。
オブジェクト分離音源25E2は、再現対象とする場所に存在する音源であり、これは、例えば再現対象とする場所での収録信号から所要の音源を抽出したものと考えればよい。この音源の抽出の処理としては、上記収録信号に対して、ノイズ除去や残響抑制などを行う。これにより、S/N(ノイズ対雑音比)の良い、残響感も抑制された音源データを得ることができる。すなわち、オブジェクトベースの音場再現に適した音源データを得ることができる。
対応関係情報25Dには、その場所に対応して用いられるべき画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源についてのIDが記述され、該IDから、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、第2伝達関数情報25E1、オブジェクト分離音源25E2として格納される実データのうち実際に用いる実データを特定できるようになっている。
上記のサーバ装置25との間で、例えばインターネットなどのネットワーク26を介したデータ通信を行うことが可能とされる。
また信号処理装置30には、先の図1にも示した表示装置3を接続するための端子部43も設けられる。
また、信号処理装置30内部には、ADC/アンプ部32、加算部33-1〜33-M、ハウリング制御/エコーキャンセル部34,36、マトリクスコンボリューション部35、加算部37-1〜37-N、DAC/アンプ部38、制御部40、操作部41、表示制御部42、通信部44、メモリ45、リファレンス音再生部46、及びバス48が設けられる。
ここで、マトリクスコンボリューション部35、制御部40、表示制御部42、通信部44、メモリ45、リファレンス音再生部46、レンダリング部47は、それぞれバス48に接続されており、該バス48を介して相互にデータ通信を行うことが可能とされる。
該加算部33-1〜33-Mによっては、V1〜VMの各チャンネルの収音信号に対し、リファレンス音再生部46により再生されたリファレンス音としての音響信号が加算されるが、これについては後に改めて説明する。
このハウリング制御/エコーキャンセル部34は、マトリクスコンボリューション部35の後段に設けられたハウリング制御/エコーキャンセル部36と共に、フィードバックによるハウリングを避けるために設けられる。図のようにこれらハウリング制御/エコーキャンセル部34,36は、両者が連携処理できるように接続されている。
ここで、本システムでは、再現環境下においてマイク5Bとスピーカ2Bとを配置するが、これらマイク5Bとスピーカ2Bとについては比較的近接して配置されることになるため、場合によっては、両者の作用で過剰な発振動作が生じてしまう虞がある。そこで、本例ではハウリング制御/エコーキャンセル部34,36を設けて、このような過剰な発振動作の発生の防止を図るものとしている。
具体的にマトリクスコンボリューション部35は、ハウリング制御/エコーキャンセル部34より入力されたM個の信号(V1〜VM)に対し、制御部40からの指示された第1伝達関数(QR11〜QRMN)に基づく処理を施して、手法1としての音場再現の実現のために各スピーカ2Bより出力されるべきN個の信号を生成する。
なおこの図では、第1伝達関数を時間軸表現(インパルス応答化)したものを係数とす
るFIR(Finite Impulse
Response)デジタルフィルタを使った場合の構成例を示している。
またこの図において、信号V1〜VMは、先の図12からも理解されるようにハウリング制御/エコーキャンセル部34を介してマトリクスコンボリューション部35に入力される信号を表すものであり、また信号W1〜WNはマトリクスコンボリューション部35からハウリング制御/エコーキャンセル部36に入力される信号を表すものとなる。
この場合のマトリクスコンボリューション部35には、信号V1〜VMの各信号ごとに、それぞれN個のフィルタ50(末尾が1〜Nとなる)が設けられる。この図では、信号V1を入力するフィルタ50-11〜50-1Nと、信号V2を入力するフィルタ50-21〜50-2Nと、信号VMを入力するフィルタ50-M1〜50-MNとを代表して示している。
また信号V2を入力するフィルタ50-21〜50-2Nには、V2(Q2)の位置に対応する第1伝達関数QR21〜QR2Nに基づくフィルタ係数が設定され、信号VMを入力するフィルタ50-M1〜50-MNには、VM(QM)の位置に対応する第1伝達関数QRM1〜QRMNに基づくフィルタ係数が設定される。
図示は省略しているが、他の信号(V3〜VM-1)を入力する各N個のフィルタ50にも、その信号が収音されるマイク5B位置に対応するN個の第1伝達関数に基づくフィルタ係数がそれぞれ設定されることになる。
具体的に、加算部51-1には、各フィルタ50のうち、末尾が1のフィルタ50で得られた信号が入力され、また加算部51-2には末尾が2のフィルタ50で得られた信号が入力される。また加算部51-Nには、末尾がNのフィルタ50で得られた信号が入力される。
つまり加算部51-1〜51-Nには、W1〜WN(R1〜RN)の位置のうち、その末尾の数値に応じた位置の第1伝達関数で処理されたM個の信号が入力されるものである。
加算部51-1〜51-Nの各々は、このように入力されたM個の信号をそれぞれ加算(合成)するものである。
マトリクスコンボリューション部35で得られたN個の信号(W1〜WN)は、チャンネルごとにハウリング制御/エコーキャンセル部36による処理を経て、加算部37-1〜37-Nのうち対応するチャンネルの加算部37にそれぞれ入力される。
レンダリング部47は、制御部40による指示に従って、ネットワーク26経由でサーバ装置25より送信されたオブジェクト分離音源に対し、同じくネットワーク26経由でサーバ装置25より送信された第2伝達関数に基づく処理を施すことで、サイトAにおける環境音を該サイトAでの反響も含めてユーザ0に知覚させるために各スピーカ2Bより出力されるべきN系統の音響信号を生成する。
なお先の説明からも理解されるように、複数の音源をそれぞれ別の位置に定位させる場合には、レンダリング部47は、各音源を対応する第2伝達関数(N個)で処理して得たN系統の音響信号を、チャンネルごとに加算することで、各スピーカ2Bより出力されるべきN系統の音響信号を得ることになる。
この制御部40には操作部41が接続されており、制御部40は、該操作部41に対して行われたユーザ0による操作に応じた操作情報の受付を行い、該操作情報に応じた処理を実行することで、ユーザ0による操作に応じた動作を実現する。
なお図15において、信号処理装置と示した処理は、信号処理装置30が備える制御部40によって実行されるものであり、サーバ装置と示した処理はサーバ装置25が備える制御部(不図示)によって実行されるものである。
また、この図に示す処理が開始されるにあたっては、既に、操作部41を介したユーザ0の操作入力に基づき、所要の位置情報の指定が為された状態にあるとする。
。この場所の特定は、例えば予め定められた位置情報と場所との対応関係情報を参照して行う。
具体的には、対応関係情報25Dに基づき、画像データ25B、第1伝達関数情報25C、第2伝達関数情報25E1、オブジェクト分離音源25E2としてそれぞれ格納されている画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源のうちの、特定された場所と対応する画像データ、第1伝達関数、第2伝達関数、オブジェクト分離音源を信号処理装置30に対して送信する。
このリファレンス音としては、サイトBでのリアルタイムの収録音ではなく、予め準備された音データ(収音した音を元にしたものでも良いし、人工音でも良い)を使用する。
意図としては、手法1と同様にエコーロケーションであり、再現対象とする場所が異なっても、同じ音源素材を引き続き出力することで、その場所がどのような空間になっているか音響情報的に提示することが可能である。この場合、単にリアルタイム収音した音のみを第1伝達関数で処理して出力する場合よりも、高い再現性により音響情報による場所の構造等の把握が可能である。
マトリクスコンボリューション部35は、このようにリファレンス音が加算された各チャンネルの収音信号(V1〜VM)に基づき先の式2による演算を行う。このようなマトリクスコンボリューション部35による処理で得られたN系統の信号(W1〜WN)がハウリング制御/エコーキャンセル部36→加算部37→DAC/アンプ部38→端子部39を介して対応するスピーカ2Bによりそれぞれ出力される。
なおこの図では、レンダリング処理をサーバ装置25にて行う場合の構成例を示しているが、地図データ25Aや第1伝達関数情報25Cなどのデータを格納するサーバ装置とレンダリング処理を実行するサーバ装置とが別体であってもよい。
この場合、信号処理装置30に対しては、該レンダリング部52にて得られたレンダリング処理後の音響信号(N系統)がサーバ装置25より送信されてくる。
(6-1.閉曲面について)
ここで、これまでの説明では特に言及しなかったが、上記により説明した実施の形態としての音場再現手法を考慮すると、再現環境で複数のスピーカ2Bが配される閉曲面1Bと、同じく再現環境で複数のマイク5Bが配される閉曲面4Bとしては、少なくとも、それぞれがユーザ0を取り囲むように設定されていればよく、閉曲面1Bと閉曲面4Bは交差しても良いものである。
図17Aは、閉曲面1Bがユーザ0を取り囲むように設定され且つ閉曲面1Bが閉曲面4Bの内側に設定された例である。図17Bは図17Aに示す例において、閉曲面1Bと閉曲面4Bとがより近接した例である。また図17Cは閉曲面1Bと閉曲面4Bとが共にユーザ0を取り囲むように設定されるが、閉曲面1Bの一部が閉曲面4Aの外側にはみ出している例である。
また図17Dに示す例は、図17Cの例において、閉曲面4Bのみがユーザ0を取り囲むように設定されたものである。また図17Eに示す例は、閉曲面1Bが閉曲面4Bの内側に設定され且つ閉曲面4Bがユーザ0を取り囲むように設定されているが、閉曲面1Bがユーザ0を取り囲むようには設定されていないものである。
このように閉曲面1Bと閉曲面4Bとは、少なくともそれらの一部同士が重なる領域が形成されるように設定されればよく、該重なる領域内にユーザが存在すれば、本技術が適正に成り立つ。
なお図18では複数のスピーカ2Bによる閉曲面1Bの形状を例示したが、複数のマイク5Bによる閉曲面4Bの形状についても同様である。
実際においては、効果を体感してみて、現実的な数を設定することが望ましいものとなる。
このように閉曲面4Bが閉曲面1Bの内側に配置される場合には、測定環境としてのサイトAでは、図20に示すように、スピーカ2Aを配置する閉曲面4Aを、マイク5Aを配置する閉曲面1Aの内側に設定することになる。
これまでの説明では、マイク5A,5Bに関して、有指向性のマイクを用いる場合を例示したが、これらマイク5A,5Bに関しては、必ずしもデバイス単体として有指向性を有するものである必要性はなく、無指向性のマイクを用いることもできる。
その場合は、複数の無指向性マイクを用いていわゆるマイクアレーを形成することで、有指向性マイクと等価な出力を得ることが可能である。
ための構成の例を示している。
図のようにマイク5A又は5Bが端から順に1番〜5番まで配置されているとする。また、これら1番〜5番のマイク5A又は5Bと共に、この場合は3つ1組とされた遅延回路が2つ設けられているとする(遅延回路54-11〜54-13の組、及び遅延回路54-21〜54-23の組)。図のように遅延回路54-11〜54-13による出力は加算部55-1にて加算され、また遅延回路54-21〜54-23による出力は加算部55-2にて加算されて出力される。
遅延回路54-11には1番のマイク5A又は5Bの出力が、また遅延回路54-12には2番のマイク5A又は5Bの出力が、遅延回路54-13には3番のマイク5A又は5Bの出力がそれぞれ入力される。また遅延回路54-21には2番のマイク5A又は5Bの出力が、また遅延回路54-22には3番のマイク5A又は5Bの出力が、遅延回路54-23には4番のマイク5A又は5Bの出力がそれぞれ入力される。
なお、図21の例では1つの指向方向を実現するために3つのマイクからの収音信号を遅延・加算するものとしたが、少なくとも2以上のマイクからの収音信号を遅延・加算すれば、指向性の表現は可能である。
図22は、無指向性のスピーカ2A又は2Bを用いて有指向性スピーカと等価な出力を得るための構成の例を示している。
この場合も図のようにスピーカ2A又は2Bが端から順に1番〜5番まで配置されているとする。また、これら1番〜5番のスピーカ2A又は2Bと共に、3つ1組とされた遅延回路が2つ設けられる(遅延回路56-11〜56-13の組、及び遅延回路56-21〜56-23の組)。図のように遅延回路56-11〜56-13に対しては、第1方向に出力すべき音響信号が与えられ、また遅延回路56-21〜56-23に対しては第2方向に出力すべき音響信号が与えられる。
1番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-11の出力が与えられる。また、2番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-12の出力と遅延回路56-21の出力とが加算部57-1で加算されて与えられる。また3番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-13による出力と遅延回路56-22による出力とが加算部57-2で加算されて与えられる。また4番のスピーカ2A又は2Bには、遅延回路56-23の出力が与えられる。
出力すべき音響信号を遅延回路56に同時に与えず、タイミングをずらして与えることになる。例えば、第1方向に測定音を出力する際には、測定用信号を遅延回路56-11〜56-13に対してのみ与え、遅延回路56-21〜56-23に対しては与えず、逆に第2方向に測定音を出力する際には測定用信号を遅延回路56-21〜56-23に対してのみ与え、遅延回路56-11〜56-13には与えないようにするものである。
これまでの説明では便宜上、サイトBとサイトAとの関係において、閉曲面1B,1Aの組と閉曲面4B,4Aの組とがそれぞれ同サイズ・同形状とされる場合を例示したが、実際には、再現環境のマイク・スピーカの配置に対して、測定環境でのスピーカ・マイク位置を正確に合わせるのは困難である。
図23に示すサイトBでは、先の図5に示したものと同じ閉曲面1B及び閉曲面4Bが設定されているとする。
この場合、測定環境としてのサイトAでは、理想的には、それぞれ閉曲面1Bと同サイズ・同形状による閉曲面1Aと、閉曲面4Bと同サイズ・同形状による閉曲面4Aとが、閉曲面1Bと閉曲面4Bとの位置関係と同じ位置関係で設定されるべきであるが、実際にはこれは非常に困難である。
この図の例ではサイトAにおいて、図のように閉曲面1Aとサイズ・形状の異なる閉曲面1A’と、閉曲面4Aとサイズ・形状が異なる閉曲面4A’とが設定されたものとする。
この場合、閉曲面4A’と閉曲面4Aとはサイズ・形状が異なるので、配置されるスピーカ2Aの数は同数とは限らない。本来の閉曲面4A上に配置されるスピーカ2Aの数は前述の通りM個であるのに対し、閉曲面4A’上に配置されるスピーカ2Aの数はK個とおく。
同様に、閉曲面1A’と閉曲面1Aとはサイズ・形状が異なるので配置されるマイク5Aの数は同数とは限らず、本来の閉曲面1A上に配置されるマイク5Aの数は前述の通りN個であるのに対し、閉曲面4A’上に配置されるマイク5Aの数はL個とおく。
この前提の下で、手法1としての適正な音場再現を実現するためには、次の式3に示すような伝達関数の変換を伴う演算を行って、各スピーカ2Bより出力すべき音響信号を得るものとすればよい。
これら伝達関数BR11〜BRLNは、図中に示す位置関係による閉曲面1A’と閉曲面1AとをサイトAとしての測定環境に実際に構築せずとも、例えば無響室などの所定の環境下において測定が可能である。具体的には、閉曲面1A’、閉曲面1Aとそれぞれ同サイズ・同形状の閉曲面を閉曲面1a’、閉曲面1aとしたとき、これら閉曲面1a’と閉曲面1aを例えば無響室にて図中に示す閉曲面1A’と閉曲面1Aと同じ位置関係で設定し、閉曲面1a’としてのB系列の各位置(B1〜BL)からスピーカにより順次測定音を出力し、それらを順次、閉曲面1aとしてのR系列の各位置(R1〜RN)に配置したマイクで収音した結果からそれぞれ測定することができる。
これら伝達関数QA11〜QAMKとしても、例えば無響室などで測定可能である。具体的には、閉曲面4A、閉曲面4A’とそれぞれ同サイズ・同形状の閉曲面を閉曲面4a、閉曲面4a’としたとき、これら閉曲面4aと閉曲面4a’を例えば無響室にて図中に示す閉曲面4Aと閉曲面4A’と同じ位置関係で設定し、閉曲面4aとしてのQ系列の各位置(Q1〜QM)からスピーカにより順次測定音を出力し、それらを順次、閉曲面4a’としてのA系列の各位置(A1〜AK)に配置したマイクで収音した結果からそれぞれ測定することができるものである。
数群を変換することで、測定環境と再現環境とで閉曲面のサイズ・形状が異なる場合の対処が可能である。
具体的な手法については、本発明者らの提案による特許4775487号公報にも開示されているが、確認のため、以下にその手法の概要を説明しておく。説明は、先の図11を参照して行う
例えば、或る音源Sを定位させたい位置が1箇所であるとすると、この場合の測定環境であるサイトAで測定される伝達関数は、該位置からQ1〜QMの各マイク位置までの伝達関数となる。これらの伝達関数をQ1〜QMとおく。測定環境の閉曲面と再現環境の閉曲面とが同サイズ・同形状であれば、上記音源Sを該伝達関数Q1〜QMで処理することで、適正な音場再現が可能である。
実施の形態としての再現動作の実現のためには、多くの場所で、伝達関数の測定を行うことが望ましい。再現可能な場所をより多くできるためである。
多くの場所で効率良く伝達関数の測定を行うためには、スピーカ又はマイクを搭載した車輌などの移動体を用いることが有効である。
以下では、移動体を用いた測定手法の例について説明しておく。
この測定例1では、図25Aに示されるように、複数のスピーカ2Aと複数のマイク5
Aとを搭載した車輌60により、伝達関数の測定を行う。この例では、先の図6に示した配置による複数のスピーカ2Aと複数のマイク5Aとが車輌60に搭載されている。測定例1は、主に、手法1で必要とされる第1伝達関数の測定に好適なものである。
図のようにこのデータベースでは、伝達関数IDと、発音位置と、受音位置と、測定日時と、データ(インパルス応答測定データ)との対応が取られる。この場合、発音位置の情報は、車輌60に搭載されたGPS(Global Positioning System)受信装置による位置情報を用いる。また、この場合の受音位置の情報は、車輌60に搭載されたマイク5Aの識別番号としている。
図26Aに示されるように、この測定例2では、街の中に固定的又は半固定的に複数のマイク5Aが設置される。街中におけるマイク5Aの設置位置としては、例えば地面、電柱、壁、標識などを挙げることができる。また、監視カメラに対して併せて設置するなども考えられる。
この車輌60に設置のマイク5Aにより、第1伝達関数の測定を行うことができる。
この図26Bに示すデータベースについて、先の図25Bに示したデータベースとの違いは、受音位置の情報が絶対位置情報とされる点である。これは、データベースから必要とされる伝達関数を選ぶ際に、発音位置との位置関係の特定を容易とするためである。
測定例3,4は、複数の移動体を用いた測定例となる。
図27Aに示す測定例3では、移動体として、車輌60と、車輌60に対して先行する車輌61と、車輌60に対して後行する車輌62とを用いている。
データベースを構築する。
この場合は、街中のマイク5Aと、車輌61,62上のマイク5Aとを用いて第1伝達関数の測定を行うことになる。
また、この場合も第2伝達関数については、街中のマイク5Aと車輌61,62上のマイク5Aとを用いて、1度に数多くの伝達関数の測定が可能となる。
ここで、本技術については、以下のような変形例も可能である。
これまでの説明では、手法2の音場再現に関して、オブジェクト分離音源を用いる場合を例示したが、手法1の音場再現についても、マイク5Bによる収音信号に対して、ノイズ除去や残響抑制などの処理を施すこともできる。
ここで、手法1では、サイトBに配置されたスピーカ2Bより音場再現のための音が出力される。このとき、サイトBではユーザ0の発した音を収音するマイク5Bがスピーカ2Bに比較的近接して配置されるので、上記音場再現のためにスピーカ2Bよりされた音が、マイク5Bによって収音されることになる。これは、本来はユーザ0が発した音についてのみ第1伝達関数による処理が施されるべきであるのに、音場再現用の音が加わった音について第1伝達関数による処理が施されてしまうことを意味する。
そこで、上記のようにマイク5Bによる収音信号に対しオブジェクト分離音源と同様のノイズ除去や残響抑制の処理を施して、ユーザ0から発せられた音の成分が抽出されるようにする。すなわち、このようにオブジェクト分離した音源に対して第1伝達関数による処理が施されるようにするものである。これにより、手法1の音場再現について、S/Nの向上が図られ、音場再現の品質をさらに向上することができる。
このような時間帯に応じた再現を実現することで、より臨場感を増すことができる。
これは例えば、再現環境に居るユーザ0の通話相手が遠隔地に居て、該通話相手の居る場所の音場を再現するといったシステムに好適なものである。この場合は、例えば通話相手の使用する携帯電話装置などで検出された現在位置情報がサーバ装置25に送信され、該現在位置情報に基づきサーバ装置25が対応する場所を特定することになる。
(1)
再現環境においてユーザを取り囲むように配置された複数のマイクロフォンにより内向きの指向性で収音して得られた、上記ユーザの発した音についての収音信号を入力する入力部と、
測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき測定された、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数に基づき、上記入力部により入力された上記収音信号に処理を施して、上記測定環境における音場を再現するための再現用信号を得る音響信号処理部と、
上記音響信号処理部で得られた上記再現用信号に基づき、上記再現環境において上記ユーザを取り囲むように配置され内向きの指向性で発音を行う複数のスピーカを発音させる発音制御部と
を備える信号処理装置。
(2)
上記音響信号処理部は、
上記伝達関数として、直接音、初期反射音、残響音の成分バランスが調整された伝達関数を用いる
上記(1)に記載の信号処理装置。
(3)
上記音響信号処理部は、
上記収音信号にノイズ及び残響の抑制処理を施した上で上記伝達関数に基づく処理を施す
上記(1)又は(2)何れかに記載の信号処理装置。
(4)
上記収音信号に対して所要の音響信号を加算する第1の加算部をさらに備え、
上記音響信号処理部は、
上記第1の加算部により上記音響信号が加算された上記収音信号に対して上記伝達関数に基づく処理を施す
上記(1)乃至(3)何れかに記載の信号処理装置。
(5)
上記測定環境にて収録された音源に基づく音響信号を、上記音響信号処理部による上記伝達関数に基づく処理で得られた上記再現用信号に対して加算する第2の加算部をさらに備える
上記(1)乃至(4)何れかに記載の信号処理装置。
(6)
上記再現環境における上記複数のマイクロフォンとして有指向性マイクロフォンが用いられ、
上記入力部は、該有指向性マイクロフォンによる収音信号を入力する
上記(1)乃至(5)何れかに記載の信号処理装置。
(7)
上記再現環境における上記複数のマイクロフォンとして無指向性マイクロフォンが用いられ、
上記入力部は、
複数の上記無指向性マイクロフォンの出力の遅延調整を行うことで有指向性マイクロフォンを用いた場合と等価な収音信号を得る
上記(1)乃至(5)何れかに記載の信号処理装置。
(8)
上記再現環境における上記複数のスピーカとして有指向性スピーカが用いられ、
上記発音制御部は、
上記再現用信号に基づき上記有指向性スピーカを発音させる
上記(1)乃至(7)何れかに記載の信号処理装置。
(9)
上記再現環境における上記複数のスピーカとして無指向性スピーカが用いられ、
上記発音制御部は、
複数の上記無指向性スピーカに発音させる信号の遅延調整を行うことで有指向性スピーカを用いた場合と等価な発音を実現する
上記(1)乃至(7)何れかに記載の信号処理装置。
(10)
上記音響信号処理部は、
上記第1の閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第3の閉曲面、上記第2の閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第4の閉曲面、上記再現環境に配置された上記複数のマイクロフォンにより上記ユーザを取り囲んで形成される閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第5の閉曲面、上記再現環境に配置された上記複数のスピーカにより上記ユーザを取り囲んで形成される閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第6の閉曲面としたとき、
これら第3〜第6の閉曲面が同一環境下に設定された場合における、上記第5の閉曲面
上の各位置から上記第3の閉曲面上の各位置までの間の伝達関数と、上記第6の閉曲面上の各位置から上記第4の閉曲面上の各位置までの間の伝達関数とに基づき、上記測定環境で測定された伝達関数を変換して得られた伝達関数に基づいて、上記収音信号に対する処理を行う
上記(1)乃至(9)何れかに記載の信号処理装置。
(11)
測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数を測定する
測定方法。
(12)
スピーカ又はマイクロフォンの少なくとも何れかを搭載した移動体を用いて上記伝達関数の測定を行う
上記(11)に記載の測定方法。
(13)
上記移動体にはスピーカ及びマイクロフォンの双方が搭載され、
該移動体の上記スピーカから発した測定用信号を該移動体の上記マイクロフォンで収音した結果に基づき上記伝達関数の測定を行う
上記(12)に記載の測定方法。
(14)
上記移動体にはスピーカが搭載され、
上記測定環境には複数のマイクロフォンが設置されており、
上記移動体の上記スピーカより発した測定用信号を上記測定環境に設置された上記マイクロフォンで収音した結果に基づき、上記伝達関数の測定を行う
上記(12)に記載の測定方法。
(15)
上記マイクロフォンとして有指向性マイクロフォンを用いる
上記(11)乃至(14)何れかに記載の測定方法。
(16)
上記マイクロフォンとして無指向性マイクロフォンを用い、複数の上記無指向性マイクロフォンの出力の遅延調整を行うことで有指向性マイクロフォンを用いた場合と等価な収音信号を得る
上記(11)乃至(14)何れかに記載の測定方法。
(17)
上記スピーカとして有指向性スピーカを用いる
上記(11)乃至(16)何れかに記載の測定方法。
(18)
上記スピーカとして無指向性スピーカを用い、複数の上記無指向性スピーカへの入力の遅延調整を行うことで有指向性スピーカを用いた場合と等価な発音を実現する
上記(11)乃至(16)何れかに記載の測定方法。
表示装置、5A,5B マイク、10 測定装置、11-1〜11-M,12-1〜12-N,39-1〜39-N,43 端子部、13,32 ADC/アンプ部、14 伝達関数測定部、15,40 制御部、16 測定用信号出力部、17,38 DAC/アンプ部、18 セレクタ、19 信号成分分解処理部19、20,21 乗算部、22,31-1〜33-M,37- 1〜37-N,51-1〜51-N,55-1,55-2,57-1,57-2 加算部、25 サーバ装置、26 ネットワーク、30 信号処理装置、34,36 ハウリング制御/エコーキャンセル部、41 操作部、42 表示制御部、44 通信部、45 メモリ、46 リファレンス音再生部、47,52 レンダリング部、50-11〜50-1N,50-21〜50-2N,50-M1〜50-MN フィルタ、53 出力制御部、54-11〜54-13,54-21〜54-23,56-11〜56-13,56-21〜56-23 遅延回路
Claims (20)
- 再現環境においてユーザを取り囲むように配置された複数のマイクロフォンにより内向きの指向性で収音して得られた、上記ユーザの発した音についての収音信号を入力する入力部と、
測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき測定された、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数に基づき、上記入力部により入力された上記収音信号に処理を施して、上記測定環境における音場を再現するための再現用信号を得る音響信号処理部と、
上記音響信号処理部で得られた上記再現用信号に基づき、上記再現環境において上記ユーザを取り囲むように配置され内向きの指向性で発音を行う複数のスピーカを発音させる発音制御部と、
を備える信号処理装置。 - 上記音響信号処理部は、
上記伝達関数として、直接音、初期反射音、残響音の成分バランスが調整された伝達関数を用いる、
請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記音響信号処理部は、
上記収音信号にノイズ及び残響の抑制処理を施した上で上記伝達関数に基づく処理を施す、
請求項1または2に記載の信号処理装置。 - 上記収音信号に対して所要の音響信号を加算する第1の加算部をさらに備え、
上記音響信号処理部は、
上記第1の加算部により上記音響信号が加算された上記収音信号に対して上記伝達関数に基づく処理を施す、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記測定環境にて収録された音源に基づく音響信号を、上記音響信号処理部による上記伝達関数に基づく処理で得られた上記再現用信号に対して加算する第2の加算部をさらに備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記再現環境における上記複数のマイクロフォンとして有指向性マイクロフォンが用いられ、
上記入力部は、該有指向性マイクロフォンによる収音信号を入力する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記再現環境における上記複数のマイクロフォンとして無指向性マイクロフォンが用いられ、
上記入力部は、
複数の上記無指向性マイクロフォンの出力の遅延調整を行うことで有指向性マイクロフォンを用いた場合と等価な収音信号を得る、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記再現環境における上記複数のスピーカとして有指向性スピーカが用いられ、
上記発音制御部は、
上記再現用信号に基づき上記有指向性スピーカを発音させる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記再現環境における上記複数のスピーカとして無指向性スピーカが用いられ、
上記発音制御部は、
複数の上記無指向性スピーカに発音させる信号の遅延調整を行うことで有指向性スピーカを用いた場合と等価な発音を実現する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 上記音響信号処理部は、
上記第1の閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第3の閉曲面、上記第2の閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第4の閉曲面、上記再現環境に配置された上記複数のマイクロフォンにより上記ユーザを取り囲んで形成される閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第5の閉曲面、上記再現環境に配置された上記複数のスピーカにより上記ユーザを取り囲んで形成される閉曲面とサイズ・形状が同一の閉曲面を第6の閉曲面としたとき、
これら第3〜第6の閉曲面が同一環境下に設定された場合における、上記第5の閉曲面
上の各位置から上記第3の閉曲面上の各位置までの間の伝達関数と、上記第4の閉曲面上の各位置から上記第6の閉曲面上の各位置までの間の伝達関数とに基づき、上記測定環境で測定された伝達関数を変換して得られた伝達関数に基づいて、上記収音信号に対する処理を行う、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 再現環境においてユーザを取り囲むように配置された複数のマイクロフォンにより内向きの指向性で収音して得られた、上記ユーザの発した音についての収音信号を入力する入力手順と、
測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき測定された、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数に基づき、上記入力手順により入力した上記収音信号に処理を施して、上記測定環境における音場を再現するための再現用信号を得る音響信号処理手順と、
上記音響信号処理手順により得た上記再現用信号に基づき、上記再現環境において上記ユーザを取り囲むように配置され内向きの指向性で発音を行う複数のスピーカを発音させる発音制御手順と、
を有する信号処理方法。 - 測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次スピーカにより外向きの指向性で所定音を発音し、この順次発音される音を、順次、上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置でマイクロフォンにより外向きの指向性で収音した結果に基づき、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数を測定する、
測定方法。 - スピーカ又はマイクロフォンの少なくとも何れかを搭載した移動体を用いて上記伝達関数の測定を行う、
請求項12に記載の測定方法。 - 上記移動体にはスピーカ及びマイクロフォンの双方が搭載され、
該移動体の上記スピーカから発した測定用信号を該移動体の上記マイクロフォンで収音した結果に基づき上記伝達関数の測定を行う、
請求項13に記載の測定方法。 - 上記移動体にはスピーカが搭載され、
上記測定環境には複数のマイクロフォンが設置されており、
上記移動体の上記スピーカより発した測定用信号を上記測定環境に設置された上記マイクロフォンで収音した結果に基づき、上記伝達関数の測定を行う、
請求項13に記載の測定方法。 - 上記マイクロフォンとして有指向性マイクロフォンを用いる、
請求項12〜15のいずれか1項に記載の測定方法。 - 上記マイクロフォンとして無指向性マイクロフォンを用い、複数の上記無指向性マイクロフォンの出力の遅延調整を行うことで有指向性マイクロフォンを用いた場合と等価な収音信号を得る、
請求項12〜15のいずれか1項に記載の測定方法。 - 上記スピーカとして有指向性スピーカを用いる、
請求項12〜17のいずれか1項に記載の測定方法。 - 上記スピーカとして無指向性スピーカを用い、複数の上記無指向性スピーカへの入力の遅延調整を行うことで有指向性スピーカを用いた場合と等価な発音を実現する、
請求項12〜17のいずれか1項に記載の測定方法。 - 測定環境における第1の閉曲面上に設定された複数の位置の各々から順次外向きの指向性で所定音が発音されるように、上記第1の閉曲面上に設置されたスピーカを発音させる発音制御部と、
上記測定環境における第2の閉曲面上に設定された複数の位置に設置されたマイクロフォンにより外向きの指向性で収音して得られる、上記発音制御部の制御により順次発音された音についての収音信号を順次入力し、それら収音信号に基づき、上記第1の閉曲面上の上記複数の位置の各々から発せられた音が上記第2の閉曲面上の上記複数の位置の各々にそれぞれどのように伝達するかを表す伝達関数を測定する測定部と、
を備える測定装置。
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