本発明のロール製品用コンテナの一実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。本実施形態においては、組み立て式のコンテナであって、6本のロール製品を収容可能なロール製品用コンテナ1を例示して本発明を説明する。ロール製品用コンテナ1は、また、断熱性に優れているとともに、静電気の帯電防止措置が施されているコンテナである。
図1は、ロール製品用コンテナ1の最外部の構造を示す模式的な斜視図であり、図2は、ロール製品用コンテナ1の内側に構成される支管受け部500及び断熱部600の構造を示す模式的な分解斜視図である。また、図3は、ロール製品用コンテナ1の組み立て状態の構造を示す図であって、図3(A)は、ロール製品用コンテナ1の平面図であって図3(B)のa−a方向から見た図であり、図3(B)は、ロール製品用コンテナ1の長手方向側面図であって図3(A)のb−b方向から見た図であり、図3(C)は、ロール製品用コンテナ1の短手方向側面図であって図3(A)のc−c方向から見た図である。
図1及び図2に示すように、ロール製品用コンテナ1は、パレット100、下金枠200、底板部300、側板400、支管受け部500、断熱部600及び上蓋700を有する。底板部300は、底板310、断熱材底板320、仕切り板設置支柱取付用底板330及び仕切り板設置支柱受け340を有し、側板400は、各々一対の固定側板410及び差込側板450を有する。また、支管受け部500は、仕切り板設置支柱510、仕切り板520及び連結棒560を有し、断熱部600は、断熱材側板610及び断熱材上蓋630を有する。
以下、各部の構成について詳細に説明する。
パレット100は、図1に示すように、ロール製品用コンテナ1の基台であって運搬台である。パレット100は、ステンレス、アルミニウムあるいはスチール等の金属の角材、角筒パイプあるいは断面がU字あるいはL字の棒状部材を溶接等により格子状に連結して構成した金属製パレットであり、平面形状が略長方形で所定の高さを有する直方体形状のパレットである。
パレット100には、四方側面に各々フォークリフトの爪部(フォーク)が差し込まれるリフト用開口101が形成されている。また、パレット100の四隅角部には、図4に示すように、ロール製品用コンテナ1を段積みする場合に後述する上蓋700のズレ防止凸部710が係合される係合部103が形成されている。また、パレット100において、後述する仕切り板設置支柱受け340の下部に相当する箇所は、上からの加重を受けるために金属部材が補強されている。
下金枠200は、パレット100の上面の周縁に沿って設置されるスチール等の金属製の枠部材である。下金枠200は、ロール製品用コンテナ1が組み立てられた状態において、側板400の位置を規定するとともに、これらを立設あるいは折り畳むための支持部材となる。下金枠200は、パレット100の上面の四隅位置に設置されるコーナー金具210、パレット100の長手方向の周縁に沿って設置され、隣接するコーナー金具部210間を接続する長手方向接続枠230、及び、パレット100の短手方向の周縁に沿って設置され、隣接するコーナー金具部210間を接続する短手方向接続枠250を有する。下金枠200は、溶接によりパレット100上に設置される。
下金枠200は、ロール製品用コンテナ1を折り畳んだときに、パレット100の上面に4枚の側板400(一対の固定側板410及び一対の差込側板450)、一対の支管受け部500、4枚の断熱材側板610(一対の固定側板側断熱材側板611及び一対の差込側板側断熱材側板615)、及び、断熱材上蓋630を重ねて載置可能な高さ、すなわちこれらの部材をパレット100上に収容可能な高さを有する。そしてロール製品用コンテナ1がそのように折り畳まれた場合、コーナー金具部210は、上蓋700を直接に支持する支柱として用いられる。
長手方向接続枠230及び短手方向接続枠250は、図1及び図3に示すように、所定の高さに形成された水平面である段差面231及び251を有する。この段差面231及び251上に側板400が載置される。すなわち、長手方向接続枠230の段差面231上に固定側板410が載置され、短手方向接続枠250の段差面251上に差込側板450が載置される。従って、段差面231及び251の幅は、固定側板410及び差込側板450の幅と略等しい。
また、長手方向接続枠230及び短手方向接続枠250において、段差面231及び251の外側上面には、図1に示すように、側板400の下枠の外面を支持する上部枠232及び252が形成されている。また、段部の内側下面のパレット100の上面との間は下部枠233及び253に形成されており、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の下部を囲んでいる。
コーナー金具210の上部には、長手方向接続枠230の段差面231に載置された固定側板410を回動可能に係合保持する係合部211が形成されている。係合部211は、固定側板410の側縁面両側下部に形成された係合ピン411と離脱可能に係合し、対向配置された固定側板410の対向する各側辺間に差込側板450が差し込まれ、ロール製品用コンテナ1が組み立てられた状態において、固定側板410が下金枠200から抜けないようにこれを保持する。
また、ロール製品用コンテナ1が折り畳み可能な状態、すなわち、差込側板450が引き抜かれた状態においては、係合部211は、固定側板410を遊合状態にしてこれを保持する。すなわち、コーナー金具210の係合部211は、固定側板410が回動可能かつ離脱可能な状態で、固定側板410を保持する。ロール製品用コンテナ1を折り畳む場合には、通常、この遊合状態のまま、固定側板410はパレット100の上面に折り畳まれる。
また、長手方向接続枠230の外面中央上部には、図1に示すように、ロール製品用コンテナ1を折り畳んだ状態において上蓋700のゴムバンド720を掛止するがゴムバンド受け金具235が設置されている。
底板部300は、図1及び図2に示すように、パレット100上面の下金枠200で囲まれた範囲に載置され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の下面を規定する。底板部300は、底板310、断熱材底板320、仕切り板設置支柱取付用底板330及び仕切り板設置支柱受け340を有する。このうち、底板310、断熱材底板320及び仕切り板設置支柱取付用底板330は、パレット100の上面からこの順序で順次積層されている。
底板310は、パレット100の上部に載置される通常の底板であって、例えば合板製の板状部材である。
断熱材底板320は、底板310の上部に載置され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間に対して下方向(床方向)への伝熱、及び、下方向からの伝熱を遮断するための板状断熱部材である。断熱材底板320は、比較的厚みのある(本実施形態においては30mm程度)板状の発泡プラスチック部材により形成される。より具体的には、断熱材底板320は、例えばミラブロック(「ミラブロック」は株式会社ジェイエスピーの登録商標)等の発泡部材である。
仕切り板設置支柱取付用底板330は、断熱材底板320のさらに上部に載置され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の底面を形成する例えば合板製の板状部材である。仕切り板設置支柱取付用底板330は、パレット100の上部四隅位置(すなわち仕切り板設置支柱取付用底板330の四隅位置)に、仕切り板設置支柱受け340を設置するための部材である。なお、仕切り板設置支柱受け340は、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間に仕切り板設置支柱510を立設するための部材である。また、仕切り板設置支柱取付用底板330の上面周縁には、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間を被覆する後述する断熱部600の断熱材側板610を固定設置するための面ファスナー331が設置されている。
仕切り板設置支柱取付用底板330の四隅に設置されている仕切り板設置支柱受け340は、上述したように、各々、仕切り板設置支柱510を立設するための基台である。仕切り板設置支柱受け340は、図5(A)及び図5(B)に示すように、平板状基材341の上面中央部に、基材341に対して垂直に、筒状部材である受けパイプ342が設置された構成である。この受けパイプ342に、仕切り板設置支柱510が抜き差しされる。平板状基材341と受けパイプ342はともにスチール等の金属製であり、溶接されて一の部材に一体化されている。
仕切り板設置支柱受け340は、平板状基材341の四隅に各々形成されたボルト用穴344に各々ボルト345を挿入し、各々、図6(A)及び図6(B)に示すように仕切り板設置支柱取付用底板330の裏面でナット346を締めることにより、仕切り板設置支柱取付用底板330に対して設置される。この状態で、受けパイプ342の筒状内部343に仕切り板設置支柱510の下端を挿入することにより、仕切り板設置支柱510は仕切り板設置支柱取付用底板330の四隅位置に、換言すればパレット100上面のロール製品用コンテナ1の内部収容空間の四隅位置に立設される。
帯電防止用導通部350は、仕切り板設置支柱受け340とパレット100とを電気的に接続し、ロール製品を収容保持する支管受け部500が帯電するのを、換言すればロール製品が帯電するのを防ぐ構成である。帯電防止用導通部350は、図6(A)及び図6(B)に示すように、底板部300の少なくとも断熱材底板320及び底板310を貫通するねじ部材353又は354により構成される。このねじ部材353又は354の好ましい例は、テクスねじ(「テクス」はイリノイ・ツール・ワークス・インコーポレイテッドの登録商標)あるいはタッピングビスと言われているドリリングタッピングスクリュー等のねじ部材である(以下、テクスねじ353又はテクスねじ354と称する場合もある)。
帯電防止用導通部350の好適な一具体例は、図6(A)に示すように、仕切り板設置支柱取付用底板330に仕切り板設置支柱受け340を設置しているボルト−ナット345,346のうち(上述した実施形態においては、4箇所の仕切り板設置支柱取付用底板330に合計16本のボルト−ナット345,346が装着されている。)少なくとも1つのボルト−ナット345,346に対して、そのボルト−ナット345,346の下端部とパレット100の上面との両方に接触するようにテクスねじ353を設置するものである。
図6(A)に示す帯電防止用導通部350においては、ねじ部材353を図示のごとく設置するために、パレット100と導通させるボルト−ナット345,346が配置される位置の断熱材底板320の上面に座ぐり352を形成する。座ぐり352の深さは、テクスねじ353を締めたときにテクスねじ353の頭部の上面が、断熱材底板320の上面とほぼ同じか、断熱材底板320の上面よりわずかに突出する状態となるように、テクスねじ353の頭部の高さとほぼ同じか若干浅い程度が好ましい。
この座ぐり352に、締めると先端部がパレット100に若干入り込む程度のねじ部分の長さを有するテクスねじ353を入れて締め、テクスねじ353が、断熱材底板320及び底板310を貫通し、その先端部がパレット100に若干入り込む位置に達した状態とする。このように帯電防止用導通部350(テクスねじ353)を設置した断熱材底板320及び310に対して、仕切り板設置支柱受け340が設置された仕切り板設置支柱取付用底板330を断熱材底板320の上に載置することにより、帯電防止用導通部350が設置された箇所においては仕切り板設置支柱受け340を仕切り板設置支柱取付用底板330に設置しているボルト−ナット345,346の下端部が帯電防止用導通部350のテクスねじ353の頭部上面に接触する。その結果、金属製である仕切り板設置支柱受け340と金属製であるパレット100とが金属製のテクスねじ353により接続されたこととなり、これらは電気的に接続され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の帯電をコンテナ外に逃す導電路が形成される。
また、帯電防止用導通部350の好適な他の具体例は、図6(B)に示すように、仕切り板設置支柱取付用底板330の平板状基材341から直接、パレット100に対して、底板部300を貫通するテクスねじ354を設置するものである。
図6(B)に示す帯電防止用導通部350においては、4箇所の仕切り板設置支柱受け340のいずれか1つにおいて、平板状基材341の周辺部のいずれか2箇所のボルト−ナット345,346の間の位置に、テクスねじ354を、その平板状基材341を貫通し、さらに仕切り板設置支柱取付用底板330、断熱材底板320及び底板310が積層された底板部300を貫通し、その先端部がパレット100に若干入り込む位置に達した状態となるように、ねじ込む。その結果、金属製である仕切り板設置支柱受け340と金属製であるパレット100とが金属製のテクスねじ354により接続されたこととなり、これらは電気的に接続され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の帯電をコンテナ外に逃す導電路が形成される。
側板400は、パレット100の長手方向の周縁に沿って対向配置される一対の固定側板410と、その一対の固定側板410の対向する両側縁部を接続するように、パレット100の短手方向の周縁に沿って対向配置される一対の差込側板450とを有する。ロール製品用コンテナ1が組み立てられた状態において、これら4枚の側板400は下金枠200に沿って下金枠200の上部に設置され、換言すればパレット100の周縁に沿って設置され、ロール製品用コンテナ1の上部空間を取り囲み、パレット100の上にロール製品を収容する内部収容空間を形成する。また、ロール製品用コンテナ1が折り畳まれたときには、側板400は、パレット100の上部に傾倒され重ねられて載置される。
固定側板410の側縁面両側下部には、外方向に突出するように形成された係合ピン411が設置されており、下金枠200のコーナー金具210の上部に形成された係合部211に回動可能に係合される。
また、固定側板410の側縁面両側の内側には、差込側板450を抜き差しするための図示せぬ溝が形成されている。一対の固定側板410を下金枠200の長手方向接続枠230に沿って設置した後、対向する固定側板410の側縁面に各々形成された対向する溝の間に各々差込側板450を差し込むことにより、一対の差込側板450が、一対の固定側板410の対向する両側縁部を接続するように、その一対の固定側板410の間に設置される。
固定側板410の係合ピン411がパレット100のコーナー金具210の係合部211に係合されて、固定側板410の下縁が下金枠200の長手方向接続枠230の上部枠232側に寄せられた状態において、上述のように対向する固定側板410の間に差込側板450が設置されることにより、係合ピン411は係合部211と係合する位置に保持されることとなり、固定側板410は長手方向接続枠230(下金枠200)から上方向に離脱不能な状態となる。また、その状態において固定側板410は、差し込まれた差込側板450のために内側方向への回動(傾倒)も不可能な状態となる。
一方で、固定側板410の係合ピン411がパレット100のコーナー金具210の係合部211に係合されているが、差込側板450が抜き取られている場合には、固定側板410は係合ピン411を回転軸として回動可能な状態であり、特にパレット100の上部に傾倒可能な状態である。ロール製品用コンテナ1が折り畳まれる場合には、固定側板410はこの状態で回動されて、パレット100の上部に傾倒される。
また、固定側板410の係合ピン411が下金枠200のコーナー金具210の係合部211の箇所に配置されているが、固定側板410の下縁が長手方向接続枠230の上部枠232から離れた側に寄せられた状態においては、係合ピン411は係合部211に対して上方に離脱可能な状態である。この状態において、係合ピン411が係合部211と離脱されることにより、固定側板410は下金枠200から、すなわちパレット100から分離される。
各側板400(一対の固定側板410及び一対の差込側板450)は、各々、例えばプラスチック段ボール板の周囲をスチール製の枠部材で囲んだ構成である。本実施形態においては、側板400の面材を構成するプラスチック段ボール板として、導電材料を含み導電性に形成された帯電防止プラスチック段ボール板を使用する。
固定側板410の外面中央上部には、ロール製品用コンテナ1を組み立てた状態において上蓋700のゴムバンド720を掛止するがゴムバンド受け金具415が設置されている。
また、差込側板450の上部外面の両側付近には、隣接する固定側板410の上端部と差込側板450の上端部とを連結する連結具453が設けられており、これにより、一対の固定側板410と一対の差込側板450は、各々隣接する側板間で順次上端部が連結される。
支管受け部500は、ロール製品用コンテナ1が収容する複数のロール製品が、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間に適切に収容されるように、ロール製品の各支管を保持する保持部である。
支管受け部500は、図2に示すように、仕切り板設置支柱510、仕切り板520、及び、連結棒560を有する。
仕切り板設置支柱510は、パレット100の上面の四隅位置に設置される4本の部材であり、仕切り板520を保持するための支柱である。仕切り板設置支柱510は、前述した仕切り板設置支柱受け340の受けパイプ342に嵌入されることによりパレット100上に立設される。
短手方向に隣接する2本の仕切り板設置支柱510の間には、図7に示すように、最下段仕切り板521が溶接により既に連結されており、これにより2本の仕切り板設置支柱510及び最下段仕切り板521が一体化されている。なお、2本の仕切り板設置支柱510と最下段仕切り板521とが一体化された図7に示す部材を、以下、仕切り板設置枠505と称する。従って、支管受け部500は、長手方向に対向配置される一対の仕切り板設置枠505を有することとなる。
各仕切り板設置枠505において、一対の仕切り板設置支柱510の内側の面、すなわち対向面には、仕切り板520を設置するための仕切り板設置溝511が形成されている。仕切り板設置支柱510の最下部には、既に最下段仕切り板521が溶接により連結されているので、仕切り板設置溝511は、最下段仕切り板521のすぐ上の位置から、仕切り板設置支柱510の最上部付近の間に設置される。各仕切り板設置枠505において、この仕切り板設置溝511に図8に示すような2枚の中間仕切り板522及び1枚の最上段仕切り板523を嵌挿し、最下段仕切り板521の上に順に積載することにより、図3(C)に示すような、6本のロール製品の支管を保持する支管受け部500が構成される。
また、各仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511の上部には、最上段仕切り板523に設けられた丸落とし金具550のスピンドル551が嵌挿される係合孔513が形成された係合金具512が設置されている。係合金具512は、各仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511の外面であって、対向配置される一対の仕切り板設置枠505において、外側となる面に設置される。
また、各仕切り板設置支柱510の上部の仕切り板設置溝511が設置された面とは反対側の面には、連結棒560の端部掛止部561が嵌挿される連結棒受け金具514が設置されている。連結棒受け金具514は、U字状の部材を溶接により仕切り板設置支柱510の外面に設置し、内部に連結棒560の端部掛止部561が嵌挿される孔が形成されたものである。
仕切り板520は、上述したように、ロール製品用コンテナ1の長手方向の両端に対向配置される支管受け部500ごとに、換言すれば収容するロール製品の両端に突出した支管端部を保持するために、さらに換言すれば各仕切り板設置枠505ごとに、1枚の最下段仕切り板521、2枚の中間仕切り板522、及び、1枚の最上段仕切り板523を有する。
最下段仕切り板521は、図7を参照して上述したように、ロール製品用コンテナ1の短手方向に隣接する仕切り板設置支柱510の間の下部に溶接により設置されている。最下段仕切り板521の上面には、ロール製品の一方の支管端部を受ける半円形状の支管受け524が2列形成されている。また、各支管受け524の外側は、ロール製品の離脱を防止するためのストッパー525が設置されている。
中間仕切り板522は、図8に示すように、下面に角型の支管押さえ526が2列形成されており、下段の最下段仕切り板521あるいは中間仕切り板522の支管受け524に載置されたロール製品の一方の支管端部を上方から押さえる構成となっている。中間仕切り板522の上面には、最下段仕切り板521と同様に、ロール製品の一方の支管端部を受ける半円計上の支管受け524が2列形成されており、また、その各支管受け524の外側に、ロール製品の離脱を防止するためのストッパー525が設置されている。
このような構成の中間仕切り板522を最下段仕切り板521あるいは下段の中間仕切り板522の上に設置することにより、図9に示すように、下側の最下段仕切り板521あるいは中間仕切り板522の支管受け524の上に、上側の中間仕切り板522の支管押さえ526が配置されることとなり、ロール製品の支管端部を四方から保持する支管保持部528が形成される。これにより、ロール製品の支管端部が確実に所望の位置に固定保持される。
最上段仕切り板523は、中間仕切り板522の下面と同様に、その下面に角型の支管押さえ526が2列形成されており、下段の中間仕切り板522の支管受け524に載置されたロール製品の一方の支管端部を上方から押さえる構成となっている。最上段仕切り板523の上面には、支管受け524及びストッパー525は形成されない。これにより、図9を参照して上述したのと同様に、中間仕切り板522の支管受け524の上に最上段仕切り板523の支管押さえ526が配置されることとなり、ロール製品の支管端部を四方から保持する支管保持部528が形成される。
最上段仕切り板523の上部外側の両端部には、最上段仕切り板523が仕切り板設置溝511から抜けないように最上段仕切り板523を仕切り板設置支柱510に係合させるための丸落とし金具550が設置されている。
仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511に2枚の中間仕切り板522を嵌挿し、最後に、図10に示すように、最上部に最上段仕切り板523を嵌挿した後、作業者が丸落とし金具550を操作して、丸落とし金具550のスピンドル551が係合金具512の係合孔513に嵌挿されるようにする。その結果、最上段仕切り板523は仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511から抜けない状態となり、仕切り板520が仕切り板設置支柱510(仕切り板設置枠505)に設置された状態が保持できる。
なお、これら各仕切り板520、すなわち、最下段仕切り板521、中間仕切り板522及び最上段仕切り板523は、いずれもスチール板を重箱状に折り曲げ加工して形成される。
連結棒560は、一対の仕切り板設置枠505の広がり防止のために、対向配置された仕切り板設置枠505の上部を連結する部材である。連結棒560は、棒状部材あるいは筒状部材の両端に同じく棒状部材あるいは筒状部材の短片を略90度の角度で溶接し、両端部に折り曲がった端部掛止部561を形成した部材である。この折り曲がった端部掛止部561を、図2に示すように、対向配置された仕切り板設置枠505の上部両側に設置されている連結棒受け金具514に挿入することにより、仕切り板設置枠505の上部が両側において実質的に連結された状態となり、仕切り板設置枠505の広がりが防止され、支管受け部500の剛性が高まる。
このような構成の支管受け部500においては、対向配置された仕切り板設置枠505が連結棒560により連結されることにより、各々が金属製の部材で形成されている各構成部は、全て連結されることとなる。換言すれば、電気的に導通状態となる。また、支管受け部500は、前述したように、仕切り板設置支柱510が仕切り板設置支柱受け340に嵌挿されることによりパレット100上に立設されるものであり、仕切り板設置支柱受け340を設置しているボルト−ナット345,346の1つは、前述した帯電防止用導通部350によりパレット100と導通状態となっている。従って、支管受け部500は、電気的にアースされた状態に維持されており、断熱材底板320の上部に配置されていたとしてもこれが帯電をすること、すなわち、静電気を帯びることはない。
断熱部600は、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間を被覆するように載置され、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間に対して周囲への伝熱、及び、周囲からの伝熱を可能な限り遮断し、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間を所望の一定温度に保持する。
断熱部600は、図2に示すように、4枚の断熱材側板610及び1枚の断熱材上蓋630を有する。4枚の断熱材側板610は、2枚の固定側板側断熱材側板611及び2枚の差込側板側断熱材側板615で構成される。
断熱材側板610及び断熱材上蓋630の各々は、比較的厚みのある(本実施形態においては30mm程度)板状の発泡プラスチック部材にアルミシートを張り合わせた断熱材である。
断熱部600は、図11(A)に示すように、4枚の断熱材側板610及び1枚の断熱材上蓋630を接合して下側が開口した直方体形状を形成し、ロール製品が収容されたロール製品用コンテナ1の支管受け部500に覆いかぶせることにより設置する。そのために、断熱材側板610及び断熱材上蓋630の各々には、その側周面及び側周面と接合される周縁部に各々面ファスナー641が装着されている。これらを図11(B)に示すように接合することにより、図11(A)に示すような直方体形状の断熱部600が容易に形成できる。また、使用後は、直方体形状の断熱部600を容易に解体することができる。
断熱部600においては、さらに、4枚の断熱材側板610の側面部に、図11(A)に示すような補強面ファスナー642が装着されており、側周面及び周縁部の面ファスナー641で直方体形状の断熱部600を形成した後、さらに、この補強面ファスナー642により断熱材側板610を順次強固に接続するようになっている。このような構成にすることにより、断熱部600の密閉性を高くすることができ、断熱性能を一層高めることができる。
図11(A)のように直方体形状に形成した断熱部600は、ロール製品が収容された支管受け部500の周囲に上から被せ、下側開口部の周縁に装着されている面ファスナー641を、前述した仕切り板設置支柱取付用底板330の周縁に装着されている面ファスナー331と接合させる。これにより、断熱部600は底板部300(仕切り板設置支柱取付用底板330)の上周縁に容易に離脱不能に装着されることとなる。そして、底板部300には断熱材底板320が配置されているので、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の全周囲は、断熱部600と断熱材底板320により被覆されることとなる。従って、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間は、極めて高い断熱性能を有することとなる。
上蓋700は、パレット100上に固定側板410及び差込側板450により形成される内部収容空間の上部開口を閉塞する平板状部材である。上蓋700の上面の四隅には、ロール製品用コンテナ1にロール製品を収容した状態で、あるいは、ロール製品用コンテナ1が折り畳まれた状態で、各々ロール製品用コンテナ1が順次段積み可能なように、ズレ防止凸部710が形成されている。ズレ防止凸部710は、パレット100の下面に形成される係合部103に係合可能な配置、形状で上蓋700に形成されている。図4に示すように、上蓋700の上面のズレ防止凸部710をパレット100の下面の係合部103に係合させてロール製品用コンテナ1を順次段積みすることにより、段積みしたロール製品用コンテナ1のズレ等が防止される。
また、上蓋700の長手方向の両側面には、ゴムバンド720が設置されている。ゴムバンド720は、ロール製品用コンテナ1が組み立てられた状態においては固定側板400のゴムバンド受け金具415に、また、ロール製品用コンテナ1が折り畳まれた状態においては下金枠200のゴムバンド受け金具235に掛止され、いずれの場合も、上蓋700が容易に開放されないようにこれを保持する。
なお、上蓋700も、固定側板410及び差込側板450と同様の、帯電防止プラスチック段ボール板を使用する。
次に、このような構造のロール製品用コンテナ1の使用方法及び使用形態について説明する。まず、折り畳まれているロール製品用コンテナ1を組み立てて、ロール製品を収容して搬送等する際のロール製品用コンテナ1の使用方法及び使用形態について説明する。
ロール製品用コンテナ1を組み立てる場合には、まず、側板400が設置されていない状態で、支管受け部500の仕切り板設置枠505の仕切り板設置支柱510を仕切り板設置支柱取付用底板330の仕切り板設置支柱受け340に嵌挿し、一対の仕切り板設置枠505をパレット100上に立設する。
その状態で、最下段に収容する2本のロール製品を、その両端の支管端部が仕切り板設置枠505の下部に設置されている最下段仕切り板521の支管受け524に載置収容されるように、ロール製品用コンテナ1に搬入する。
最下段のロール製品を搬入し収容したら、一対の仕切り板設置枠505の各々について、2段目の仕切り板としての中間仕切り板522を設置する。中間仕切り板522は、仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511に両側部を嵌挿し、最下段仕切り板521に当たるまで仕切り板設置溝511内を下方にずらすことにより、仕切り板設置枠505に設置される。
中間仕切り板522を設置したら、2段目に収容する2本のロール製品を、その両端の支管端部が仕切り板設置枠505に設置した中間仕切り板522の支管受け524に載置収容されるように、ロール製品用コンテナ1に搬入する。そして、2段目のロール製品を搬入し収容したら、3段目の仕切り板としての2枚目の中間仕切り板522を1枚目の中間仕切り板522と同様に設置し、さらに設置した中間仕切り板522の支管受け524に、3段目に収容する2本のロール製品を搬入し収容する。
3段目のロール製品を搬入し収容したら、一対の仕切り板設置枠505の各々について最上段仕切り板523を設置する。最上段仕切り板523は、仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511に両側部を嵌挿し仕切り板設置枠505の最上部に設置するとともに、各最上段仕切り板523の上部両側に設置されている丸落とし金具550を操作し、そのスピンドル551が、仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511の上部に設置されている係合金具512の係合孔513に嵌挿されるようにする。その結果、最上段仕切り板523はもとより、その下段に嵌挿設置された2枚の中間仕切り板522も仕切り板設置溝511から抜けなくなり、中間仕切り板522及び最上段仕切り板523が仕切り板設置枠505上に保持される。すなわちこの状態で、6本のロール製品は、支管受け部500に適切に保持されたこととなる。
上述のように最上段仕切り板523を設置したら、さらに連結棒560を対向する仕切り板設置枠505の上端部を両側で各々連結するように設置する。すなわち、連結棒560の一方の端部掛止部561を、一方の仕切り板設置枠505の連結棒受け金具514に嵌挿させるとともに、連結棒560の他方の端部掛止部561を、他方の仕切り板設置枠505の連結棒受け金具514に嵌挿させ、これらを連結棒560により連結する。仕切り板設置枠505の両側の上部を各々連結棒560で連結することにより、仕切り板設置枠505の上部が広がることは略完全に防止でき、ロール製品の脱落等が確実に防止できる安全な状態となる。
このようにロール製品を支管受け部500に収容したら、断熱部600を、図11を参照して前述したように直方体形状に組立て、これをロール製品を収容した支管受け部500を被覆するように上から被せる。そして下縁に装着された面ファスナー641を、仕切り板設置支柱取付用底板330に装着された面ファスナー331に押圧してこれらを接合する。その結果、断熱部600がパレット100上に設置されるとともに、ロール製品が収容された空間は周囲から断熱される。
断熱部600を設置したら、固定側板410をパレット100の長手方向に沿って設置し、対向設置された固定側板410の対向する両側縁部に形成されている溝に差込側板450を挿入することにより差込側板450を設置し、連結具453により、固定側板410の上端部と差込側板450の上端部とを連結する。そして、固定側板410及び差込側板450で囲まれたロール製品用コンテナ1の収容空間の上部開口を上蓋700により閉塞し、ゴムバンド720を固定側板410のゴムバンド受け金具415に掛止する。
これにより、ロール製品用コンテナ1の組み立て及びロール製品の収容作業が終了する。
次に、ロール製品を収容して輸送されたロール製品用コンテナ1からロール製品を取り出し、ロール製品用コンテナ1を折り畳み回送等する場合のロール製品用コンテナ1の使用方法及び使用形態について説明する。
ロール製品を収容したロール製品用コンテナ1を輸送等し目的地に到着したら、上蓋700を開放し、固定側板410と差込側板450の上部を結合している連結具453を解除し、2枚の差込側板450を引き抜く。続いて、固定側板410の下縁をロール製品用コンテナ1の内部方向に移動させて係合ピン411と下金枠200の係合部211との係合状態を解除し、固定側板410も下金枠200から、すなわちロール製品用コンテナ1本体から分離する。
次に、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間を被覆している断熱部600を取り外す。断熱部600の取り外しは、図11(A)に示すように下方向に開口した直方体形状の断熱部600を一体的にロール製品用コンテナ1から取り外し、その後断熱部600を断熱材上蓋630と4枚の断熱材側板610とに分解するようにしてもよいし、断熱部600がロール製品用コンテナ1に設置されている状態で、まず断熱材上蓋630を取り外し、その後順次断熱材側板610を取り外すようにしてもよい。いずれにしても、断熱材側板610と断熱材上蓋630、断熱材側板610相互、あるいは、断熱材側板610とロール製品用コンテナ1の仕切り板設置支柱取付用底板330とは、いずれも面ファスナー331,641,642により接合されているので、少し強い力を加えることにより取り外すことができる。
断熱部600を取り外したら、次に、支管受け部500からロール製品を搬出できるようにする。そのために、まず、一対の仕切り板設置枠505の上端部間を連結している連結棒560を取り外す。次に、一対の仕切り板設置枠505から、各々最上段仕切り板523を取り外す。最上段仕切り板523は、丸落とし金具550のスピンドル551が仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511に設置された係合金具512の係合孔513に嵌挿されることにより仕切り板設置支柱510に係合されているので、丸落とし金具550を操作しスピンドル551の係合状態を解除する。その結果、最上段仕切り板523は仕切り板設置溝511に沿って上方に移動可能となり、上に抜き取ることができる。
このようにして一対の仕切り板設置枠505の各々から最上段仕切り板523を抜き取ると、最上段の2本のロール製品は取り出し可能となる。パレット100の長手方向には何ら側板パネル等がないので、作業者はロール製品にワイヤー、ロープ等をかける等の作業を容易に行うことができ、これによりロール製品用コンテナ1からロール製品を搬出することができる。
最上段のロール製品を搬出したら、ロール製品の支管の支持から解放された上側の中間仕切り板522を取り外す。上側の中間仕切り板522は、支管受け524におけるロール製品の支管の支持がなくなった時点で仕切り板設置溝511に沿って上方に移動可能になっているので、単にこれを上方にずらして取り外せばよい。
一対の仕切り板設置枠505から各々上側の中間仕切り板522を取り外したら、2段目の2本のロール製品は取り出し可能となる。最上段のロール製品と同様に、作業者はロール製品にワイヤー、ロープ等をかける等してロール製品用コンテナ1からロール製品を搬出する。
続いて、同様に下側の中間仕切り板522を取り外し、3段目(最下段)の2本のロール製品を取り出す。これにより、6本全てのロール製品が搬出されたこととなる。
全てのロール製品を搬出したら、回送等に備えてロール製品用コンテナ1を折り畳む。ロール製品用コンテナ1を折り畳む際には、まず、ロール製品を搬出する際に各仕切り板設置枠505から分離した2枚の中間仕切り板522及び1枚の最上段仕切り板523を、再度仕切り板設置枠505に装着する。すなわち、これらの部材を仕切り板設置支柱510の仕切り板設置溝511の間に嵌挿し、最上段の最上段仕切り板523の丸落とし金具550を仕切り板設置支柱510の係合金具512に係合させる。これにより、支管受け部500は、一対の板状の部材となる。
支管受け部500を板状に復帰させたら、図12に示すように、この一対の仕切り板設置枠505をパレット100上に載置する。続いて、取り外した2枚の差込側板450をその上に載置する。さらに、その上に、4枚の断熱材側板610及び断熱材上蓋630に分解した断熱部600を載置する。そして、ロール製品用コンテナ1を組み立てるときと同様に、固定側板410を下金枠200に設置する。すなわち、固定側板410の係合ピン411を下金枠200のコーナー金具210の係合部211に係合させ、固定側板410を下金枠200の長手方向接続枠230に沿って回動可能に連結した状態とする。そして、2枚の固定側板410を各々パレット100の上部空間側に傾倒させ、パレット100の上面に積載された断熱部600の上面に重ねる。そして最後に、これらの上部を上蓋700で被覆し、上蓋700のゴムバンド720を、下金枠200のゴムバンド受け金具235に係合させ、上蓋700が容易に外れないようにする。これによりロール製品用コンテナ1の折り畳みが完了し、ロール製品用コンテナ1は小さい容積で回送等することができる。
このように、本発明のロール製品用コンテナ1においては、複数の仕切り板520の間にロール製品の支管を保持する構成において、最下段仕切り板521は仕切り板設置支柱510に溶接により強固に一体化されており、また、最上段仕切り板523は丸落とし金具550により仕切り板設置支柱510に係合するように構成されている。従って、搬送等中にロール製品が浮き上がる等の不具合を完全に防止することができ、ロール製品を安全に搬送等することができる。
また、対向配置される一対の仕切り板設置枠505は、ロール製品を収容して搬送等する際には連結棒560によりその上部間が連結されている。そのため、仕切り板設置枠505の広がりが防止され、ロール製品の支管端部が支管受け524から脱落する等の不具合を完全に防止することができる。また、支管受け部500全体の剛性も高まり、ロール製品を一層安全に搬送等することができる。
また、特に本願発明のロール製品用コンテナ1においては、ロール製品を収容したロール製品用コンテナ1の内部収容空間は、断熱材により完全に囲まれている。すなわち、下側は底板部300に断熱材底板320が配置されており、上側及び四方横側は断熱部600で被覆される。従って、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間と外部との熱伝導が抑制され、実質的にロール製品用コンテナ1の内部収容空間を所望温度の恒温状態に維持することができる。その結果、温度により特性が変化してしまうような精密材料や特殊材料等についても、本願発明のロール製品用コンテナ1により適切に搬送等することができる。
さらにまた、本願発明のロール製品用コンテナ1においては、側板400及び上蓋700としては導電材料を含み導電性に形成された帯電防止プラスチック段ボール板を使用し、断熱部600を構成する断熱材側板610及び断熱材上蓋630としては発泡プラスチック部材にアルミシートを張り合わせた断熱材を使用している。また、底板部300には、断熱材底板320及び底板310を貫通してパレット100に接続する帯電防止用導通部350が形成されており、仕切り板設置支柱受け340を底板部300に設置するためのボルト−ナット345,346のいずれかが、帯電防止用導通部350に接続するように形成されている。また、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間においては、支管受け部500は全て金属製であるとともに、支管受け部500は仕切り板設置支柱510が仕切り板設置支柱受け340に嵌挿されることによりパレット100上に設置されており、また、一対の仕切り板設置枠505間は連結棒560を介して接続されている。
このように、本発明のロール製品用コンテナ1においては、導電性材料で形成された各構成部は必ず金属製のパレット100に電気的に接続された状態に構成されておりお、帯電した状態、すなわち静電気が作用するような状態になることがない。したがって、静電気に対して敏感な精密材料や特殊材料等についても、本願発明のロール製品用コンテナ1により適切に搬送等することができる。
断熱性能を有するコンテナ等においては、通常、発泡プラスチック材料により断熱性を得ている場合が多いが、発泡プラスチック材料を用いた場合には、コンテナ内部が電気的に絶縁された状態となったり、部分的に放電不可能な構成部分が生じることが多く、そのような場合、帯電状態となった部材が静電気による悪影響を収容物に与える可能性がある。本発明のロール製品用コンテナ1は、そのような発泡プラスチック材料による断熱性能を効率よく利用する一方で、帯電防止用導通部350等によりロール製品用コンテナ1の各構成部は常に放電可能な状態に形成したものであって、断熱性能と帯電防止という通常矛盾すると言っても過言ではない両性能を同時に実現したものであり、温度や静電気に敏感な精密材料や特殊材料等を適切に搬送等することができる。極めて優れたコンテナである。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、上述したロール製品用コンテナ1は断熱部600及び断熱材底板320により断熱性能を実現したものであるが、本発明を改変したロール製品用コンテナとして、より積極的にロール製品用コンテナの内部収容空間の温度を管理することのできるロール製品用コンテナも実現可能である。具体的には、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間に、蓄冷剤、蓄熱材等の部材を設置すれば、ロール製品用コンテナ1の内部収容空間の温度を積極的に所望の温度に設定することができ、そして上述した本発明の断熱性能を発揮する各構造により、その所望の設定温度を効率よく維持することができる。
設置する蓄冷剤、蓄熱材の量を、ロール製品用コンテナ、その内部収容空間、あるいは、収容対象のロール製品の熱容量、収容、搬送の時間等を考慮して算出すれば、極めて高い精度でロール製品用コンテナの内部収容区間の温度を一定に保持することができる。
蓄冷剤、蓄熱材等の部材を設置する方法は任意の方法でよいが、例えば、それらの部材を収容製品と干渉しないように天井から吊るす等の方法により、ロール製品用コンテナの内部収容空間に設置するようにしてよい。
このような格子柄のロール製品用コンテナも、本発明のロール製品用コンテナの改変の範囲内である。