JP6358272B2 - マグネシア・スピネル質耐火煉瓦 - Google Patents
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Description
また、特許文献4には、マグネシア質煉瓦及びマグネシア・スピネル質煉瓦に、ジルコニアを1〜10重量部添加して成型焼成する製造方法において、ジルコニアの粒度は88μ以下の微粉を5重量%以下におさえた粗粒としたことを特徴とする製造方法が開示されている。この製造方法によれば、マグネシア質煉瓦及びマグネシア・スピネル質煉瓦の耐スポーリング性を改善できるとしている。
まず、特許文献1は、熱間強度の向上効果は不十分であったが、その原因について探索した。その結果、マグネシア・スピネル質耐火煉瓦に添加されるZrO2は、常温での観察では粒界に存在して粒子間での結合を形成しているように見えるが、ZrO2はCaOと反応して部分安定化ZrO2を形成する。この部分安定化ZrO2は熱間での膨張収縮挙動が複雑であり、常温で結合しているように見えても熱間での結合強度には寄与していない。
そこで、焼成後に生成するZrO2含有化合物に着目して更なる検討を行った結果、添加したZrO2が焼成後にCaZrO3を主体的に形成する場合に熱間強度を向上させることが可能であることを見出した。より具体的には、マグネシア・スピネル質耐火煉瓦に含まれるCaOとZrO2の質量比(CaO/ZrO2質量比)を1.5以上2.5未満となるように調整することで、高強度かつ高耐食性材料を得ることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
マグネシア原料としては、市販の天然マグネシア、焼結マグネシア、電融マグネシア等のマグネシアを主体としたものでMgO含有量が90質量%以上のものであればいずれを使用してもかまわない。その中でも、特に、MgO含有量が98質量%のものを使用することが好ましい。
また、スピネル原料としては、MgOとAl2O3の合量が90質量%以上で、かつAl2O3を40質量%以上含んでいるものであれば焼結品、電融品共に使用可能である。MgOとAl2O3の合量が98質量%以上で、かつAl2O3を40質量%以上含むものが好ましい。MgOとAl2O3の合量が98質量%以上で、かつAl2O3を40質量%以上含むものが好ましい。
ここで、本発明のマグネシア・スピネル質耐火煉瓦において、MgO含有量は75〜94質量%、好ましくは77〜89質量%の範囲内である。MgO含有量が75質量%未満では、耐食性の低下が問題となるために好ましくない。また、MgO含有量が94質量%を超えると、耐スポーリング性の低下が問題となるために好ましくない。
得られた混練物は衝撃圧プレスであるフリクションプレス、スクリュープレスあるいはハイドロスクリュープレス等、静圧プレスである油圧プレスやトッグプレス等によって成形できる。その他にも、ランマープレスや振動プレス、CIPと呼ばれる成形機でも成形できる。これらの成形機には、真空脱気装置や温度制御装置(加温や冷却もしくは保温)等を付ける場合もある。プレス成形機による成形圧力や締め回数は成形される耐火煉瓦の大きさ原料の種類、配合量、バインダーの種類、温度(室温、原料やバインダー)、成形機の種類や大きさによって異なる。
なお、フェノール樹脂は、樹脂分60質量%のノボラック型フェノール樹脂溶液である。
熱間強度は高い事が好ましい。なお、得られた熱間静弾性率から耐スポーリング特性を評価することができる。即ち、熱間静弾性率が高くなると、耐スポーリング性が低下する関係におるため、熱間静弾性率は低いと、耐スポーリング性が良好であると判断できる。
「耐食試験」は、酸素−プロパン加熱による回転ドラム侵食試験を実施した。侵食剤として市販のポルトランドセメントを用い、1750℃、5時間の条件で実施した。侵食剤は1時間毎に取り換え、試験後の試料を長手方向に中央で切断し、侵食量を測定し、本発明品1を100とした溶損指数化した。値が小さいほど耐食性が高いことを意味している。
表4から、比較品1は、ZrO2を含んでおらず、CaZrO3の結合を形成することができず、熱間曲げ強度の発現は見られなかった。
比較品2は、特許文献1に係る耐火物であり、ZrO2を含有しているが、CaO/ZrO2質量比が1.5を下回っており、CaZrO3の熱間強度への寄与が見られず低い値を示した。
比較品3もCaO/ZrO2質量比が1.5を下回っており、やはり熱間強度の向上が阻害されていた。
比較品4は、CaO/ZrO2質量比が2.5であり、CaZrO3がほとんど生成せず、熱間強度への寄与が見られず、低い値を示した。
比較品5は、ZrO2及びCaOの含有量が多すぎて、過焼結が進行し熱間静弾性率の増大が見られた。これは耐スポーリング性の低下を意味しており適当ではない。
比較品6は焼結助剤としても機能するCaOの含有量が多すぎて、熱間静弾性率が増大し、耐スポーリング性が低下してしまった。
比較品7は、MgOの含有量が75質量%未満であり、耐食性が大幅に低下した。
比較品8は、MgOの含有量が94質量%を上回り、また、Al2O3の含有量が5質量%未満となり、熱間静弾性率が増大し、耐スポーリング性の低下が起きた。
比較品9は、Al2O3の含有量が5質量%未満であり、やはり耐スポーリング性の低下が起きた。
比較品10は、Al2O3の含有量が22質量%を上回っており、耐食性が低下してしまう問題が起きた。
Claims (3)
- 少なくともマグネシア原料及びスピネル原料から構成され、MgO:75〜94質量%、Al2O3:5〜22質量%、ZrO2:0.3〜2質量%、CaO:0.6〜3質量%未満からなり、CaO/ZrO2質量比が1.5以上2.5未満であることを特徴とするマグネシア・スピネル質耐火煉瓦。
- 少なくともマグネシア原料及びスピネル原料から構成され、MgO:75〜94質量%、Al2O3:5〜22質量%、ZrO2:0.3〜2質量%、CaO:0.6〜3質量%未満からなり、CaO/ZrO2質量比が1.5以上2.5未満である配合物を所定の形状に成形した後、1400〜2000℃で焼成することを特徴とするマグネシア・スピネル質耐火煉瓦の製造方法。
- 更に、アルミナ原料として、粒径150μm以下のアルミナを2質量%未満の量で添加する、請求項2記載のマグネシア・スピネル質耐火煉瓦の製造方法。
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