以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の光量調節装置の第1の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。また、図2は、絞り装置を、絞り羽根(羽根部材)104〜109により形成される絞り開口を光が通過する方向(光軸方向)から見て示した図である。なお、図2では、図1中に示すカバー110を取り除いた状態を示している。さらに、図3は、図2に示した絞り装置を斜めに見て示した図である。また、これらの図において絞り装置の上下方向であって長手方向が、「光通過方向に直交する方向」に相当し、以下の説明では光軸直交方向と呼ぶことにする。また、これらの図における絞り装置の左右方向を幅方向と呼ぶことにする。
図1〜図3において、開口形成部材としての地板102には、光を通過させる固定開口102bが形成されている。地板102は、プレス加工や樹脂成形等によって製作されている。地板102の外面(光軸方向一方の面)のうち、固定開口102bから下方向に離れた位置(一端部側)には、絞り駆動部101が取り付けられている。絞り駆動部101は、例えば、不図示のロータマグネットと、このロータマグネットと一体で回転する動力伝達部材としての駆動レバー103と、通電されてロータマグネットを回転させる磁力を発生する不図示のコイルとを備えて構成される電磁駆動モータ(駆動源)である。または、ステッピングモータであってもよい。
駆動レバー103の羽根駆動ピン103i,103jは、地板102を貫通して地板102の内面側に突出している。駆動レバー103は、固定開口102bから下方向に離れて位置する軸の回りに、所定の角度範囲で回動する。駆動レバー103は、樹脂成形等によって製作されている。
駆動レバー103は、回動中心の位置を挟んだ左右両側の先端に、絞り羽根104〜109を駆動するための伝達部としての羽根駆動ピン103i,103jを別々に有する。羽根駆動ピン103iは、一対の直進羽根の一方である絞り羽根104と、第1の絞り羽根対を構成する絞り羽根105および絞り羽根109の3枚の絞り羽根に係合している。また、羽根駆動ピン103jは、一対の直進羽根の他方である絞り羽根107と、第2の絞り羽根対を構成する絞り羽根106および絞り羽根108の3枚の絞り羽根に係合している。
なお、絞り駆動部101の回転中心軸を地板102に貫通させた後に駆動レバー103を取り付け、駆動レバー103を地板102の内側に配置した構成としてもよい。
このように、本実施形態では、絞り駆動部101に取り付けられた1つの駆動レバー103に2つの羽根駆動ピン103i,103jを設け、同一(共通)の羽根駆動ピン103iに、絞り羽根104,105,109を係合させている。また、他の同一(共通)の羽根駆動ピン103jに、絞り羽根106,107,108を係合させている。そして、このように複数(2つ)の羽根駆動ピン103i,103jのそれぞれに3枚ずつの絞り羽根が係合した駆動レバー103を回動させることで、一対の直進羽根(絞り羽根104と絞り羽根107)を光軸直交方向に固定開口102bを挟み込むように移動させる。また、同時に第1の絞り羽根対(絞り羽根105と絞り羽根109)を一対の直進羽根の直進方向に対して交差する方向から固定開口部102bに対して斜め移動させる(固定開口部102bに進入させる)。さらに、同時に第2の絞り羽根対(絞り羽根106と絞り羽根108)を一対の直進羽根の直進方向に対して交差する方向から固定開口部102bに対して斜め移動させる(固定開口部102bに進入させる)。そして、これら6枚の絞り羽根104〜109によって円形に近い多角形状の絞り開口を形成するとともにそのサイズ(径)を変化させる。
以上の構成を採用することで、特許文献2のように、絞り開口の周囲に配置された駆動リング(環板)を回転させ、該駆動リングにおける互いに異なる駆動軸部によって直進絞り羽根や回転絞り羽根を駆動する場合に比べて、絞り装置の小型化に有利でありながらも、良好な形状の絞り開口を形成することができる。
なお、一対の直進羽根である絞り羽根104,107が光軸直交方向に移動するとは、絞り羽根104,107が幅方向に揺動(回転)したりシフトしたりしながら光軸直交方向に移動する場合(第1の実施形態)と光軸直交方向に直進(平行移動)する場合(後述の第2の実施形態)を含む意味である。
カバー110は、地板102との間に絞り羽根104〜109が移動する空間を形成するように地板102に取り付けられるカバーである。カバー110は、地板102に形成された固定開口102bに対応する開口110bを有する。カバー110は、プレス加工や樹脂成形等により製作されている。カバー110の内面(地板側の面)には、絞り羽根104〜109との摺動抵抗を低減するため、不図示のレールが形成されている。
本実施形態の絞り装置は、前述したように駆動レバー103を回動させることで絞り開口径を変化させることができ、さらに絞り開口を完全に閉じる(閉じきる)こともできる。このため、本実施形態の絞り装置は、シャッタ動作を行うことも可能である。つまり、本実施形態の絞り装置は、シャッタ装置として使用することもできる。
以下、各絞り羽根についてより詳細に説明する。絞り羽根104〜109は、プレス成形や樹脂成形等により製作される。
図4は、一対の直進羽根を示す図である。絞り羽根104、絞り羽根107は、一対の直進羽根を構成する羽根であり、固定開口102bを挟み込むように光通過開口に直交する方向に、ほぼ直線的(ほぼ直線状)に移動する。以下に、それぞれの絞り羽根について、詳細に説明する。
絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部104iにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)に光軸直交方向に延びるように形成された第2の係合部としてのガイド長孔部104fには、地板102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン102fが摺動可能に係合している。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)は、駆動孔部104iにおいて羽根駆動ピン103iから駆動力を受け、駆動孔部104iが係合した羽根駆動ピン103iを中心に回転移動し、ガイド長孔部104fがガイドピン102fによってガイドされながら、光軸直交方向に駆動される。
このとき羽根駆動ピン103iは、絞り駆動部101を中心として円弧を描くように移動するため、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)は、ガイドピン102fによって光軸直交方向にガイドされながらガイドピン102fを中心として幅方向に揺動する。すなわち、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)は、地板102の下端に達して固定開口102bから退避したときには、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)の駆動孔部104iは、固定開口102bの中心と駆動レバー103の回転中心軸とを結ぶ線に近づく方向に引き込まれるように揺動する。このため、本実施形態では、図4に示す地板102の左側の角部102rを、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合よりも内側に引っ込んだ円弧状に形成でき、その分、地板102を小さくすることができる。
また、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)を揺動させずに単に直進移動させる場合は、駆動孔部104iを絞り装置の幅方向に長い長孔とし、地板102に設けるガイドピン102fを2つにして直進移動できるようにし、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)に形成するガイド長孔部104fも2つ設ける必要がある。しかしながら、本実施形態では揺動しながら光軸直交方向に駆動されるため、地板102に設けるガイドピン102fを1つにすることができる。また、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)に形成するガイド長孔部104fも1つにできる。この結果、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)を小さくすることができ、その分さらに地板102を小さくすることができる。したがって、絞り装置の小型化が可能となり、この絞り装置を搭載したカメラや交換レンズ等の光学機器も小型化することができる。
絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)のガイドピン102fを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部104fをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根104(一対の直進羽根の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部104fのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)は、第3の係合部である円形の駆動孔部107jにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103jと回転可能に係合している。また、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)に光軸直交方向に延びるように形成された第4の係合部としてのガイド長孔部107cには、地板102に形成されたガイド部(案内部)としてのガイドピン102cが摺動可能に係合している(挿通されている)。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)は、駆動孔部107jにおいて羽根駆動ピン103jから駆動力を受け、駆動孔部107jが係合した羽根駆動ピン103jを中心に回転移動し、ガイド長孔部107cがガイドピン102cによってガイドされながら、光軸直交方向に駆動される。
このとき羽根駆動ピン103jは、絞り駆動部101を中心として円弧を描くように移動するため、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)は、ガイドピン102cによって光軸直交方向にガイドされながらガイドピン102cを中心として幅方向に揺動する。すなわち、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)は、地板102の下端に達して固定開口102bに進入したときには、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)の駆動孔部107jは、固定開口102bの中心と駆動レバー103の回転中心軸とを結ぶ線に近づく方向に引き込まれるように揺動する。このため、本実施形態では、図4に示す地板102の右側の角部102rを、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合よりも内側に引っ込んだ円弧状に形成でき、その分、地板102を小さくすることができる。
また、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)を揺動させずに単に直進移動させる場合は、駆動孔部107jを絞り装置の幅方向に長い長孔とし、地板102に設けるガイドピン102cを2つにして直進移動できるようにし、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)に形成するガイド長孔部107cも2つ設ける必要がある。しかしながら、本実施形態では揺動しながら光軸直交方向に駆動されるため、地板102に設けるガイドピン102cを1つにすることができる。また、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)に形成するガイド長孔部107cも1つにできる。この結果、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)を小さくすることができ、その分さらに地板102を小さくすることができる。したがって、絞り装置の小型化が可能となり、この絞り装置を搭載したカメラや交換レンズ等の光学機器も小型化することができる。
絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)のガイドピン102cを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部107cをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根107(一対の直進羽根の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部107cのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
また、絞り羽根107には、ガイドピン102dとの干渉を回避するための長穴部107dが形成されている。ガイドピン102dが長穴部107dを貫通させるようにすることで、絞り羽根107の形状をその強度を確保できる形状とすることができるとともに、ガイドピン102dを地板102に効率良く配置することができる。また、長穴部107dを絞り羽根107に形成することで、絞り羽根107を軽量化することができ、シャッタ動作に有効である。
図5は、第1の絞り羽根対を示す図である。絞り羽根105、絞り羽根109は、第1の絞り羽根対を構成し、駆動レバー103の羽根駆動ピン103iに、一端部同士が光軸方向に互いに重畳される。そして、一対の直進羽根の直進移動方向に対して、交差する方向から固定開口102bに対して斜め方向に移動する。以下に、それぞれの絞り羽根について、詳細に説明する。
絞り羽根105(第1の絞り羽根対の一方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部105iにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根105(第1の絞り羽根対の一方)に光軸直交方向に延びるように形成された第5の係合部としてのガイド長孔部105eには、地板102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン102eが摺動可能に係合している。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根105(第1の絞り羽根対の一方)は、駆動孔部105iにおいて羽根駆動ピン103iから駆動力を受け、駆動孔部105iが係合した羽根駆動ピン103iを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部105eがガイドピン102eによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向(幅方向)から、固定開口102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根105(第1の絞り羽根対の一方)のガイドピン102eを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部105eをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根105(第1の絞り羽根対の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部105eのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根109(第1の絞り羽根対の他方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部109iにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根109(第1の絞り羽根対の他方)に光軸直交方向に延びるように形成された第5の係合部としてのガイド長孔部109eには、地板102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン102eが摺動可能に係合している。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根109(第1の絞り羽根対の他方)は、駆動孔部109iにおいて羽根駆動ピン103iから駆動力を受け、駆動孔部109iが係合した羽根駆動ピン103iを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部109eがガイドピン102eによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向から、固定開口102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根109(第1の絞り羽根対の他方)のガイドピン102eを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部109eをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根109(第1の絞り羽根対の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部109eのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
第1の絞り羽根対はそれぞれ、同一の羽根駆動ピン103iに、駆動孔部105iと109iが重畳されて係合し、駆動力を与えられる。さらに、同一のガイドピン102eによってガイドされる。第1の絞り羽根対は、ガイド長孔部105eとガイド長孔部109eの形状を変えることで、一対の直進羽根の直進方向に対して、挟み込むように、それぞれ別の方向から斜めに固定開口102b内に侵入する。
図6は、第2の絞り羽根対を示す図である。絞り羽根106、絞り羽根108は、第2の絞り羽根対を構成し、駆動レバー103の羽根駆動ピン103jに、一端部同士が光軸方向に互いに重畳される。そして、一対の直進羽根の直進移動方向に対して、交差する方向から固定開口102bに対して斜め方向に移動する。以下に、それぞれの絞り羽根について、詳細に説明する。
絞り羽根106(第2の絞り羽根対の一方)は、第3の係合部である円形の駆動孔部106jにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103jと回転可能に係合している。また、絞り羽根106(第2の絞り羽根対の一方)に光軸直交方向に延びるように形成された第5の係合部としてのガイド長孔部106dには、地板102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン102dが摺動可能に係合している。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根106(第2の絞り羽根対の一方)は、駆動孔部106jにおいて羽根駆動ピン103jから駆動力を受け、駆動孔部106jが係合した羽根駆動ピン103jを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部106dがガイドピン102dによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向から、固定開口102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根106(第2の絞り羽根対の一方)のガイドピン102dを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部106dをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根106(第2の絞り羽根対の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部106dのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根108(第2の絞り羽根対の他方)は、第3の係合部である円形の駆動孔部108jにおいて、駆動レバー103の羽根駆動ピン103jと回転可能に係合している。また、絞り羽根108(第2の絞り羽根対の他方)に光軸直交方向に延びるように形成された第6の係合部としてのガイド長孔部108dには、地板102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン102dが摺動可能に係合している。
駆動レバー103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根108(第2の絞り羽根対の他方)は、駆動孔部108jにて羽根駆動ピン103jから駆動力を受け、駆動孔部108jが係合した羽根駆動ピン103jを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部108dがガイドピン102dによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向から、固定開口102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根108(第2の絞り羽根対の他方)のガイドピン102dを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部108dをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根108(第2の絞り羽根対の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部108dのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
第2の絞り羽根対はそれぞれ、同一の羽根駆動ピン103jに、駆動孔部106jと108jが重畳されて係合し、駆動力を与えられる。さらに、同一のガイドピン102dによってガイドされる。第2の絞り羽根対は、ガイド長孔部106dとガイド長孔部108dの形状を変えることで、一対の直進羽根の直進方向に対して、挟み込むように、それぞれ別の方向から斜めに固定開口102b内に侵入する。
そして、駆動レバー103の回動位置に対する絞り羽根104〜109の移動を、それぞれの羽根に形成されたガイド長孔部104f,105e,106d,107c,108d,109eの形状で調整することができる。これにより、図7に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、絞り羽根104〜109の開口形成用縁部104b,105b,106b,107b,108b,109bによって円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
ここで、第1の実施形態が小型化に有効、且つ、耐久性に優れており、薄型化が可能な理由について説明する。
第1の実施形態では、駆動レバー103に係合する絞り羽根の駆動孔部は、全て丸穴である。駆動孔部が長穴である場合に対して、横幅を抑えることが可能である。そのため、第1の実施形態では、長手方向全域において、横幅の変化が無い。駆動レバー103の周辺を突出させることなくレイアウトすることが可能である。部品の凹凸を削減することができるため、部品が簡略化され、低コスト、高品質につながる。また、絞り装置を小型化することで、鏡筒やカメラへの組合せも容易になり、組立性が向上する。
さらに駆動レバー103に係合する絞り羽根の駆動孔部を、丸穴にすることで、耐久性が向上する。第1の実施形態は、ゆっくり絞り羽根を開閉し光量を調整する作動の他、シャッタ機能としても使用可能である。シャッタ動作において、駆動レバー103は羽根が閉じる方向に高速で回転する。そのため、絞り羽根の駆動孔部では、駆動レバー103の羽根駆動ピン103i,103jから、高速なシャッタスピードを達成させるために必要な大きな力を受ける。また、高速なシャッタ作動のため、駆動レバー103は、地板102の不図示のストッパに衝突し、跳ね返る。絞り羽根の駆動孔部は、駆動レバー103の跳ね返りの際も大きな力を受ける。絞り羽根が閉じる方向に移動している状態で、急に駆動レバー103が絞り羽根が開く方向に跳ね返るため、絞り羽根の駆動孔部には大きな負荷が加わる。駆動孔部が長穴である場合、駆動孔部は駆動レバー103によって、引っ張られ、変形する。このため、駆動孔部が長穴である場合は、耐久回数に制限がでてしまう。駆動孔部が丸穴である場合、駆動孔部は駆動レバー103から力を受けるが、穴が歪むことは無いため、絞り羽根は変形しにくい。そのため、絞り羽根の耐久性が大幅に改善される。本実施形態のように、すべての駆動孔部を丸穴にすることが好ましい。また、羽根駆動ピンに係合する少なくとも1つ以上の丸穴の駆動孔部があるとよい。絞り羽根は、羽根駆動ピンとの係合部で重畳しているため、丸穴の駆動孔部の絞り羽根が他の絞り羽根の長穴係合部の変形を抑え込むことが可能である。
上述したように、第1の実施形態では、絞り羽根の耐久性が大幅に改善される。そのため、第1の実施形態では、絞り羽根の厚みを薄くすることが可能である。従来の虹彩絞りは、絞り羽根を多数枚重ね合わせ、円形の絞り開口を形成させること、さらに耐久性を確保するため、装置が肉厚になることが問題であった。第1の実施形態では、駆動レバー103から直接力を受ける絞り羽根の駆動孔部がすべて丸穴であるため、変形しにくい。そのため、絞り羽根の厚みを薄くすることが可能になり、装置の薄型化に有効である。
以上説明したように、本実施形態の絞り装置は、各絞り羽根を、駆動リング等の絞り開口の周囲で回転する部品を用いずに、1つの駆動レバー103を駆動させることで移動させる。そのため、絞り装置を長手方向および幅方向において小型化でき、さらに光軸方向での厚みを薄くすることができる。
なお、本実施形態では、絞り羽根104〜109に孔部や溝部を形成し、駆動レバー103や地板102に形成されたピンをこれらの孔部や溝部に係合(挿入)させる場合について説明した。しかし、絞り羽根にピンを設け、これを駆動レバーや地板に形成された孔部や溝部に挿入する構成を採用することも可能である。
<第2の実施形態>
図8は、本発明の光量調節装置の第2の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。また、図9は、第2の実施形態の一対の直進羽根の正面図である。
絞り羽根204、絞り羽根207は、一対の直進羽根であり、地板202の固定開口202bを挟み込むように光通過開口に直交する方向に、直線的に移動する。
絞り羽根204は、長穴204iが駆動レバー203の羽根駆動ピン203iと係合し、長穴204eが地板202のガイドピン202eと係合し、長穴204fが地板のガイドピン202fと係合する。駆動レバー203を回動させることで、絞り羽根204は、羽根駆動ピン203iより力を受け、作動する。絞り羽根204は、2つのガイドピン202eと202fによって、移動方向をガイドされるため、固定開口202bに向かって直線的に移動する。
絞り羽根207は、長穴207jが駆動レバー203の羽根駆動ピン203jと係合し、長穴207cが地板202のガイドピン202cに係合し、長穴207dが地板202のガイドピン202dに係合する。駆動レバー203を回動させることで、絞り羽根207は、羽根駆動ピン203jより力を受け、作動する。絞り羽根207は、2つのガイドピン202cと202dによって、移動方向をガイドされるため、固定開口202bに向かって直線的に移動する。
第1の絞り羽根対、第2の絞り羽根対は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、図10に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
<第1及び第2の実施形態のまとめ>
第1及び第2の実施形態の概念をまとめるにあたり、「揺動羽根」とは、図1の絞り羽根105および絞り羽根109のように、その回転中心となる羽根駆動ピン103iが動くことにより、全体として揺動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。また、「回動羽根」とは、後述する図12の絞り羽根306、絞り羽根308のように、その回転中心となる回転中心ピン302d,302eが立設固定されていて、固定された中心の回りに回動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。
第1及び第2の実施形態の概念は、図11も参照して記載すると以下のように表わすことができる。なお、以下では、この概念を第1の実施形態を示す図1の符号を参照して記載する。
(a)光量調節装置は、光が通過する開口部(102b)を形成する開口形成部材(102)と、開口形成部材上で移動して開口部内に光通過開口を形成する羽根群(104〜109)と、開口部の外側に配置され、羽根群に係合して動力を伝達する動力伝達部材(103)とを備える。
(b)羽根群は、開口部(102b)及び動力伝達部材(103)の回動中心を結ぶ直線上において開口部の両側に対向配置され開口部に対して進退する一対の直進羽根(104,107)と、一対の直進羽根の移動方向両側で開口部に対して斜め方向に揺動して進入する複数の揺動羽根(105,106,108,109)とを有する。
(c)羽根群が有する第1羽根群(104,105,109)が係合する動力伝達部材(103)の一端部(103i)が開口部(102b)に接近し且つ羽根群が有する第2羽根群(106,107,108)が係合する動力伝達部材の他端部(103j)が開口部(102b)から離間する過程において、光通過開口のうち動力伝達部材側の半分を形成する第1開口縁部を第1羽根群(104,105,109)によって形成し(中央縁部が絞り羽根104により形成され、中央縁部以外の縁部が絞り羽根105,109により形成される)、且つ光通過開口のうち動力伝達部材側とは反対側の残り半分を形成する第2開口縁部を第2羽根群(106,107,108)によって形成し、第1羽根群は、一対の直進羽根のうち一方の直進羽根(104)と他の第1羽根対(105,109)とを含み、第2羽根群は、一対の直進羽根のうち他方の直進羽根(107)と他の第2羽根対(106,108)とを含み、他の第1羽根対及び他の第2羽根対の少なくとも一方の羽根対は、揺動羽根で構成されている。
つまり、ここで説明した光量調節装置の構成では、光通過開口の半分を形成する第1開口縁部を動力伝達部材による開口部への押し込み側の第1羽根群によって形成するために当該第1羽根群を動力伝達部材の一端部に集約して動作させ、残り半分を形成する第2開口縁部を動力伝達部材による開口部への引き込み側の第2羽根群によって形成するために当該第2羽根群を動力伝達部材の他端部に集約して動作させるようにしている。これにより、省スペースで無駄のない羽根の走行を実現できる他、良好な絞り開口形状を形成できる。
なお、第1及び第2の実施形態においては、上記の他の第1羽根対及び他の第2羽根対は、ともに「揺動羽根」で構成されており、「回動羽根」は用いていない。
<第3の実施形態>
図12は、本発明の光量調節装置の第3の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。図13は、第3の実施形態の第3羽根対の正面図である。絞り羽根306、絞り羽根308は、第3の絞り羽根対を構成する。
絞り羽根306は、駆動カム溝部306jにおいて、駆動レバー303の羽根駆動ピン303jと摺動可能に係合している。また、絞り羽根306に形成された係合部である回転中心孔部306dには、地板302に形成された回転中心部(回転中心軸部)としての回転中心ピン302dが回転可能に係合している。
駆動レバー303が所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根306は、図13に示すように、駆動カム溝部306jが羽根駆動ピン303jから駆動力を受け、回転中心孔部306dが係合した回転中心ピン302dを中心として光軸直交面内で回転(旋回)する。この回転の速さは、駆動カム溝部306jの形状によって調整可能である。また、駆動カム溝部306jの形状によって絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根308は、駆動カム溝部308jにおいて、駆動レバー303の羽根駆動ピン303jと摺動可能に係合している。また、絞り羽根308に形成された係合部である回転中心孔部308eには、地板302に形成された回転中心部(回転中心軸部)としての回転中心ピン302eが回転可能に係合している。
駆動レバー303が所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根308は、図13に示すように、駆動カム溝部308jが羽根駆動ピン303jから駆動力を受け、回転中心孔部308eが係合した回転中心ピン302eを中心として光軸直交面内で回転(旋回)する。この回転の速さは、駆動カム溝部308jの形状によって調整可能である。また、駆動カム溝部308jの形状によって絞り開口の形状の補正も可能である。
一対の直進羽根は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様あるいは、複合した形態である。第1の絞り羽根対は、第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態では、図14に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
<第4の実施形態>
図15は、本発明の光量調節装置の第4の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。
第4の実施形態は、第2の実施形態の一対の直進羽根と、第1の実施形態の第1の絞り羽根対と、第3の実施形態の第3の絞り羽根対と、を組み合わせた例である。
第4の実施形態では、図16に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
なお、この第4の実施形態では、絞り羽根404(一対の直進羽根の一方)の長穴404iの脇および羽根全体のほぼ中央部には、羽根の表面からわずかに突出するエンボス加工部404a,404bが形成されている。また、絞り羽根407(一対の直進羽根の他方)の角部には、羽根の表面からわずかに突出するエンボス加工部407aが形成されている。さらに、絞り羽根406の回転中心孔部406dの脇には、羽根の表面からわずかに突出するエンボス加工部406aが形成されている。これらのエンボス加工部404a,404b,407a,406aは、重なり合う絞り羽根同士の接触面積を減らし、摺動抵抗を低減させる役割を果たす。
<第5の実施形態>
図17は、本発明の光量調節装置の第5の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。図18は、第5の実施形態の第4羽根対の正面図である。絞り羽根506、絞り羽根508は、第4の絞り羽根対を構成する。
第4の絞り羽根対はそれぞれ、同一の羽根駆動ピン503jに、駆動孔部506j,508jが重畳され係合し、駆動力を与えられる。
絞り羽根506は、一対の直進羽根の直進方向に対して、斜めに固定開口502b内に侵入する。絞り羽根508は、一対の直進羽根の直進方向に対して、回転しつつ固定開口502b内に侵入する。第4の絞り羽根対は、第2の絞り羽根対の一方と第3の絞り羽根対の一方を組み合わせた絞り羽根対である。
第5の実施形態では、図19に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
<第6の実施形態>
図20は、本発明の光量調節装置の第6の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。
第6の実施形態は、基本的には第4の実施形態を示す図15と同様の構成であり、一部に第1の実施形態または第5の実施形態の構成を組み合わせている。
図20において、絞り羽根608には、係合部である回転中心孔部608eと駆動カム溝部608jが形成されている。また、回転中心孔部608eの脇には、羽根の表面からわずかに突出するエンボス加工部608aが形成されている。なお、絞り羽根606は、図15における絞り羽根406と同様の構成である。
また、絞り羽根607(一対の直進羽根の他方)は、図15における絞り羽根407とほぼ同様の構成であるが、第1の実施形態における絞り羽根107のように、直線形状ではないカム形状のガイド長孔部607cと、ガイドピン102dとの干渉を回避するための長穴部607dが形成されている。この構成により、絞り羽根607は、第1の実施形態における絞り羽根107のようにわずかに揺動運動を行う。これにより、第1の実施形態と同様に地板102を小さくできる効果が得られる。
また、絞り羽根604(一対の直進羽根の一方)は、図15における絞り羽根404とほぼ同様の構成であるが、絞り羽根404の長穴404iが丸穴604iになり、絞り羽根604は、絞り羽根404のように純粋な直線運動ではなく、わずかに揺動するように構成されている。それに対応して、絞り羽根404のガイド長孔404eに対応する長穴部604eは、ガイドピン102dとの干渉を回避するための長穴となっている。
また、絞り羽根604のほぼ中央部には、図15における絞り羽根404のエンボス加工部404bと同様のエンボス加工部604bが形成されている。これにより、羽根同士の摺動抵抗が低減される。
第6の実施形態では、図21に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
<第3乃至第6の実施形態のまとめ>
第3乃至第6の実施形態の概念をまとめるにあたり、第1及び第2の実施形態のまとめでも既に説明したように、「揺動羽根」とは、図12の絞り羽根105および絞り羽根109のように、その回転中心となる羽根駆動ピン303iが動くことにより、全体として揺動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。また、「回動羽根」とは、図12の絞り羽根306、絞り羽根308のように、その回転中心となる回転中心ピン302d,302eが立設固定されていて、固定された中心の回りに回動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。
第3乃至第6の実施形態の概念は、図22も参照して記載すると以下のように表わすことができる。なお、以下では、この概念を第3の実施形態を示す図12の符号を参照して記載する。
(a)光量調節装置は、光が通過する開口部(302b)を形成する開口形成部材(302)と、開口形成部材上で移動して開口部内に光通過開口を形成する羽根群(104,105,107,109,306,308)と、開口部の外側に配置され、羽根群に係合して動力を伝達する動力伝達部材(303)とを備える。
(b)羽根群は、開口部(302b)及び動力伝達部材(303)の回動中心を結ぶ直線上において開口部の両側に対向配置され開口部に対して進退する一対の直進羽根(104,107)と、一対の直進羽根の移動方向両側で開口部に対して斜め方向に揺動して進入する複数の揺動羽根(105,109,306,308)とを有する。
(c)羽根群が有する第1羽根群(104,105,109)が係合する動力伝達部材(303)の一端部(303i)が開口部(302b)に接近し且つ羽根群が有する第2羽根群(306,107,308)が係合する動力伝達部材の他端部(303j)が開口部(302b)から離間する過程において、光通過開口のうち動力伝達部材側の半分の部分を形成する第1開口縁部を第1羽根群(104,105,109)によって形成し、且つ光通過開口のうち動力伝達部材側とは反対側の残り半分を形成する第2開口縁部を第2羽根群(107,306,308)によって形成し、第1羽根群は、一対の直進羽根のうち一方の直進羽根(104)と他の第1羽根対(105,109)とを含み、第2羽根群は、一対の直進羽根のうち他方の直進羽根(107)と他の第2羽根対(306,308)とを含み、他の第1羽根対及び他の第2羽根対の少なくとも一方の羽根対(105,109)は、揺動羽根で構成されている。
なお、第3乃至第6の実施形態においては、上記の他の第1羽根対は「揺動羽根」で構成されており、他の第2羽根対は「回動羽根」で構成されている。
<第7の実施形態>
図23は、第1乃至第6の実施形態で説明した絞り装置のいずれかを搭載した光学機器としてのビデオカメラ(撮像装置)の概略構成を示している。
ビデオカメラのレンズ鏡筒部21内には、変倍レンズ32、光路を絞る第1乃至第5の実施形態のいずれかの絞り装置20、およびフォーカスレンズ29を含む撮影光学系が収容されている。
CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成される撮像素子25は、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号を出力する。絞り装置20の絞り開口を変化させたりNDフィルタを進退させたりすることにより、撮像素子25上に形成される被写体像の明るさ(つまりは撮像素子25に到達する光量)を適正に設定することができる。
撮像素子25から出力された電気信号は、画像処理回路26において種々の画像処理を施される。これにより、映像信号(ビデオ出力)が生成される。
コントローラ22は、不図示のズームスイッチがユーザにより操作されることに応じて、ズームモータ31を制御し、変倍レンズ32を移動させて変倍(ズーミング)を行わせる。また、コントローラ22は、映像信号のコントラストを検出し、そのコントラストに応じてフォーカスモータ28を制御し、フォーカスレンズ29を移動させてオートフォーカスを行う。
さらに、コントローラ22は、映像信号のうち輝度情報に基づいて、絞り装置20の絞り駆動部101(およびND駆動部)を制御し、光量を調節する。これにより、撮影時のボケやゴーストを自然な形状にすることができ、高画質の映像を記録することができる。また、レンズ鏡筒部に内蔵された絞り装置20が小型であるので、レンズ鏡筒部およびビデオカメラ全体の小型化を図ることができる。
上記の第1乃至第7の実施形態によれば、光通過方向に直交する方向に移動する一対の直進羽根と、一対の直進羽根の進行方向に対して交差する方向から斜めに移動する他の絞り羽根対との組み合わせによって良好な形状の絞り開口を形成することができる。
しかも、絞り開口から光通過方向に直交する方向に離れた位置に回転中心を持つ駆動レバーに設けた同一の伝達部で両絞り羽根を駆動することにより、絞り開口の周囲で駆動リング等の部材を回転させる構成に比べて、装置を全体的に小型化することができる。
また、動力伝達部材である駆動レバーのピンに係合する絞り羽根の駆動孔部をすべて丸穴にすることで、駆動レバー周辺の装置の突出を抑制し、装置を全体的に小型化することができる。
さらに、駆動レバーに係合する絞り羽根の駆動孔部を丸穴にし、絞り羽根の変形を防止することで、装置の耐久性を向上することができる。このことにより、従来装置より薄い絞り羽根を採用することができるようになるため、装置の薄型化が可能である。さらに絞り羽根を薄くすることで、絞り開口を形成する絞り羽根の端面反射を抑制することができるため、端面の反射光による光学系への影響を低減することができる。
また、上記各実施形態に係る発明は、換言すると、
光が通過する開口部を形成する開口形成部材と、
前記開口形成部材上で移動して前記開口部内に光通過開口を形成する羽根群と、
前記開口部の外側に配置され、前記羽根群に係合して動力を伝達する動力伝達部材と、
前記動力伝達部材の一端部に係合し、前記開口部内に光通過開口を形成する羽根群と
を備え、
前記羽根群は、直線状に動作する直進羽根と、前記直進羽根の直進動作における両側から前記光開口の中心に向かって揺動する揺動羽根とからなり、
前記羽根群によって、前記光通過開口における前記動力伝達部材側の半分もしくは前記動力伝達部材とは反対側の半分を形成することを特徴とする光量調節装置である。
すなわち、動力伝達部材の一端部に係合された羽根群によって、光通過開口のうち動力伝達部材側の半分もしくは動力伝達部材とは反対側の半分を形成することによって、羽根群が係合される動力伝達部材の一端部付近に羽根群を回動させるためのスペースを設ける必要がなく、省スペース化を図ることができる。
特に、動力伝達部材の一端部と他端部の両方に係合される羽根群を直進跳人揺動羽根とで構成すれば、動力伝達部材の両端部付近に羽根群を回動させるためのスペースを設ける必要がなく、更なる省スペース化を図ることができる。
<第8の実施形態>
図24は、本発明の光量調節装置の第8の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。また、図25は、絞り装置を、絞り羽根(羽根部材)1104〜1107により形成される絞り開口を光が通過する方向(光軸方向)から見て示した図である。なお、図25では、図24中に示すカバー1110を取り除いた状態を示している。さらに、図26は、図25に示した絞り装置を斜めに見て示した図である。また、これらの図において絞り装置の上下方向であって長手方向が、「光通過方向に直交する方向」に相当し、以下の説明では光軸直交方向と呼ぶことにする。また、これらの図における絞り装置の左右方向を幅方向と呼ぶことにする。
図24〜図26において、ベース部材としての地板1102には、光を通過させる固定開口1102bが形成されている。地板1102は、プレス加工や樹脂成形等によって製作されている。地板1102の外面(光軸方向一方の面)のうち、固定開口1102bから下方向に離れた位置(一端部側)には、絞り駆動部1101が取り付けられている。絞り駆動部1101は、例えば、不図示のロータマグネットと、このロータマグネットと一体で回転する駆動レバー1103と、通電されてロータマグネットを回転させる磁力を発生する不図示のコイルとを備えて構成される電磁駆動モータ(駆動源)である。または、ステッピングモータであってもよい。
駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103i,1103jは、地板1102を貫通して地板1102の内面側に突出している。駆動レバー1103は、固定開口1102bから下方向に離れて位置する軸の回りに、所定の角度範囲で回動する。駆動レバー1103は、樹脂成形等によって製作されている。
駆動レバー1103は、回動中心の位置を挟んだ左右両側の先端に、絞り羽根1104〜1107を駆動するための伝達部としての羽根駆動ピン1103i,1103jを別々に有する。羽根駆動ピン1103iは、一対の直進羽根の一方である絞り羽根1104と、第1の絞り羽根対を構成する絞り羽根1105および絞り羽根1107の3枚の絞り羽根に係合している。また、羽根駆動ピン1103jは、一対の直進羽根の他方である絞り羽根1106に係合している。
なお、絞り駆動部1101の回転中心軸を地板1102に貫通させた後に駆動レバー1103を取り付け、駆動レバー1103を地板1102の内側に配置した構成としてもよい。
このように、本実施形態では、絞り駆動部1101に取り付けられた1つの駆動レバー1103に2つの羽根駆動ピン1103i,1103jを設け、同一(共通)の羽根駆動ピン1103iに、絞り羽根1104,1105,1107を係合させている。また、他の羽根駆動ピン1103jに、絞り羽根1106を係合させている。そして、このように複数(2つ)の羽根駆動ピン1103i,1103jのそれぞれに絞り羽根が係合した駆動レバー1103を回動させることで、一対の直進羽根(絞り羽根1104と絞り羽根1106)を光軸直交方向に固定開口1102bを挟み込むように移動させる。また、同時に第1の絞り羽根対(絞り羽根1105と絞り羽根1107)を一対の直進羽根の直進方向に対して交差する方向から固定開口部1102bに対して斜め移動させる(固定開口部1102bに進入させる)。そして、これら4枚の絞り羽根1104〜1107によって円形に近い多角形状の絞り開口を形成するとともにそのサイズ(径)を変化させる。
以上の構成を採用することで、特許文献2のように、絞り開口の周囲に配置された駆動リング(環板)を回転させ、該駆動リングにおける互いに異なる駆動軸部によって直進絞り羽根や回転絞り羽根を駆動する場合に比べて、絞り装置の小型化に有利でありながらも、良好な形状の絞り開口を形成することができる。
なお、一対の直進羽根である絞り羽根1104,1106が光軸直交方向に移動するとは、絞り羽根1104,1106が幅方向に揺動(回転)したりシフトしたりしながら光軸直交方向に移動する場合と光軸直交方向に直進(平行移動)する場合を含む意味である。
カバー1110は、地板1102との間に絞り羽根1104〜1107が移動する空間を形成するように地板1102に取り付けられるカバーである。カバー1110は、地板1102に形成された固定開口1102bに対応する開口1110bを有する。カバー1110は、プレス加工や樹脂成形等により製作されている。カバー1110の内面(地板側の面)には、絞り羽根1104〜1107との摺動抵抗を低減するため、不図示のレールが形成されている。
本実施形態の絞り装置は、前述したように駆動レバー1103を回動させることで絞り開口径を変化させることができ、さらに絞り開口を完全に閉じる(閉じきる)こともできる。このため、本実施形態の絞り装置は、シャッタ動作を行うことも可能である。つまり、本実施形態の絞り装置は、シャッタ装置として使用することもできる。
以下、各絞り羽根についてより詳細に説明する。絞り羽根1104〜1107は、プレス成形や樹脂成形等により製作される。
図27は、一対の直進羽根を示す図である。絞り羽根1104、絞り羽根1106は、一対の直進羽根を構成する羽根であり、固定開口1102bを挟み込むように光通過開口に直交する方向に、ほぼ直線的(ほぼ直線状)に移動する。以下に、それぞれの絞り羽根について、詳細に説明する。
絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部1104iにおいて、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)に光軸直交方向に延びるように形成された第2の係合部としてのガイド長孔部1104fには、地板1102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン1102fが摺動可能に係合している。
駆動レバー1103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)は、駆動孔部1104iにおいて羽根駆動ピン1103iから駆動力を受け、駆動孔部1104iが係合した羽根駆動ピン1103iを中心に回転移動し、ガイド長孔部1104fがガイドピン1102fによってガイドされながら、光軸直交方向に駆動される。
このとき羽根駆動ピン1103iは、絞り駆動部1101を中心として円弧を描くように移動するため、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)は、ガイドピン1102fによって光軸直交方向にガイドされながらガイドピン1102fを中心として幅方向に揺動する。すなわち、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)は、地板1102の下端に達して固定開口1102bから退避したときには、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)の駆動孔部1104iは、固定開口1102bの中心と駆動レバー1103の回転中心軸とを結ぶ線に近づく方向に引き込まれるように揺動する。このため、本実施形態では、図27に示す地板1102の左側の角部1102rを、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合よりも内側に引っ込んだ円弧状に形成でき、その分、地板1102を小さくすることができる。
また、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)を揺動させずに単に直進移動させる場合は、駆動孔部1104iを絞り装置の幅方向に長い長孔とし、地板1102に設けるガイドピン1102fを2つにして直進移動できるようにし、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)に形成するガイド長孔部1104fも2つ設ける必要がある。しかしながら、本実施形態では揺動しながら光軸直交方向に駆動されるため、地板1102に設けるガイドピン1102fを1つにすることができる。また、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)に形成するガイド長孔部1104fも1つにできる。この結果、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)を小さくすることができ、その分さらに地板1102を小さくすることができる。したがって、絞り装置の小型化が可能となり、この絞り装置を搭載したカメラや交換レンズ等の光学機器も小型化することができる。
絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)のガイドピン1102fを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部1104fをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根1104(一対の直進羽根の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部1104fのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)は、第3の係合部である円形の駆動孔部1106jにおいて、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103jと回転可能に係合している。また、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)に光軸直交方向に延びるように形成された第4の係合部としてのガイド長孔部1106cには、地板1102に形成されたガイド部(案内部)としてのガイドピン1102cが摺動可能に係合している(挿通されている)。
駆動レバー1103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)は、駆動孔部1106jにおいて羽根駆動ピン1103jから駆動力を受け、駆動孔部1106jが係合した羽根駆動ピン1103jを中心に回転移動し、ガイド長孔部1106cがガイドピン1102cによってガイドされながら、光軸直交方向に駆動される。
このとき羽根駆動ピン1103jは、絞り駆動部1101を中心として円弧を描くように移動するため、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)は、ガイドピン1102cによって光軸直交方向にガイドされながらガイドピン1102cを中心として幅方向に揺動する。すなわち、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)は、地板1102の下端に達して固定開口1102bから退避したときには、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)の駆動孔部1106jは、固定開口1102bの中心と駆動レバー1103の回転中心軸とを結ぶ線に近づく方向に引き込まれるように揺動する。このため、本実施形態では、図27に示す地板1102の右側の角部1102rを、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合よりも内側に引っ込んだ円弧状に形成でき、その分、地板1102を小さくすることができる。
また、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)を揺動させずに単に直進移動させる場合は、駆動孔部1106jを絞り装置の幅方向に長い長孔とし、地板1102に設けるガイドピン1102cを2つにして直進移動できるようにし、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)に形成するガイド長孔部1106cも2つ設ける必要がある。しかしながら、本実施形態では揺動しながら光軸直交方向に駆動されるため、地板1102に設けるガイドピン1102cを1つにすることができる。また、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)に形成するガイド長孔部1106cも1つにできる。この結果、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)を小さくすることができ、その分さらに地板1102を小さくすることができる。したがって、絞り装置の小型化が可能となり、この絞り装置を搭載したカメラや交換レンズ等の光学機器も小型化することができる。
絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)のガイドピン1102cを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部1106cをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根1106(一対の直進羽根の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部1106cのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
また、絞り羽根1106には、ガイドピン1102dとの干渉を回避するための長穴部1106dが形成されている。ガイドピン1102dを長穴部1106dを貫通させるようにすることで、絞り羽根1106の形状をその強度を確保できる形状とすることができるとともに、ガイドピン1102dを地板1102に効率良く配置することができる。また、長穴部1106dを絞り羽根1106に形成することで、絞り羽根1106を軽量化することができ、シャッタ動作に有効である。
図28は、第1の絞り羽根対を示す図である。絞り羽根1105、絞り羽根1107は、第1の絞り羽根対を構成し、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103iに、一端部同士が光軸方向に互いに重畳される。そして、一対の直進羽根の直進移動方向に対して、交差する方向から固定開口1102bに対して斜め方向に移動する。以下に、それぞれの絞り羽根について、詳細に説明する。
絞り羽根1105(第2の絞り羽根対の一方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部1105iにおいて、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根1105(第1の絞り羽根対の一方)に光軸直交方向に延びるように形成された第5の係合部としてのガイド長孔部1105eには、地板1102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン1102eが摺動可能に係合している。
駆動レバー1103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根1105(第1の絞り羽根対の一方)は、駆動孔部1105iにおいて羽根駆動ピン1103iから駆動力を受け、駆動孔部1105iが係合した羽根駆動ピン1103iを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部1105eがガイドピン1102eによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向から、固定開口1102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根1105(第1の絞り羽根対の一方)のガイドピン1102eを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部1105eをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根1105(第1の絞り羽根対の一方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部1105eのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
絞り羽根1107(第1の絞り羽根対の他方)は、第1の係合部である円形の駆動孔部1107iにおいて、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103iと回転可能に係合している。また、絞り羽根1107(第1の絞り羽根対の他方)に光軸直交方向に延びるように形成された第5の係合部としてのガイド長孔部1107eには、地板1102に形成されたガイド部(ガイド軸部)としてのガイドピン1102eが摺動可能に係合している。
駆動レバー1103が上述した所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根1107(第1の絞り羽根対の他方)は、駆動孔部1107iにおいて羽根駆動ピン1103iから駆動力を受け、駆動孔部1107iが係合した羽根駆動ピン1103iを中心に回転移動する。そして、ガイド長孔部1107eがガイドピン1102eによってガイドされながら、一対の直進羽根の直進方向に交差する方向から、固定開口1102bに対して斜めに移動する。
絞り羽根1107(第1の絞り羽根対の他方)のガイドピン1102eを中心とした揺動の速さは、ガイド長孔部1107eをカム溝形状に形成することによって調整が可能である。また、絞り羽根1107(第1の絞り羽根対の他方)が揺動せずに単に直進移動する場合に比べ、本実施形態では、ガイド長孔部1107eのカム溝形状の調整によって、良好な絞り開口形状を得るための絞り開口の形状の補正も可能である。
第1の絞り羽根対はそれぞれ、同一の羽根駆動ピン1103iに、駆動孔部1105iと1107iが重畳されて係合し、駆動力を与えられる。さらに、同一のガイドピン1102eによってガイドされる。第1の絞り羽根対は、ガイド長孔部1105eとガイド長孔部1107eの形状を変えることで、一対の直進羽根の直進方向に対して、挟み込むように、それぞれ別の方向から斜めに固定開口1102b内に侵入する。
そして、駆動レバー1103の回動位置に対する絞り羽根1104〜1107の移動を、それぞれの羽根に形成されたガイド長孔部1104f,1105e,1106c,1107eの形状で調整することができる。これにより、図29に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、絞り羽根1104〜1107の開口形成用縁部1104b,1105b,1106b,1107bによって円形に近いまたはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
ここで、第8の実施形態が小型化に有効、且つ、耐久性に優れており、薄型化が可能な理由について説明する。
第8の実施形態では、駆動レバー1103に係合する絞り羽根の駆動孔部は、全て丸穴である。駆動孔部が長穴である場合に対して、横幅を抑えることが可能である。そのため、第8の実施形態では、長手方向全域において、横幅の変化が無い。駆動レバー1103の周辺を突出させることなくレイアウトすることが可能である。部品の凹凸を削減することができるため、部品が簡略化され、低コスト、高品質につながる。また、絞り装置を小型化することで、鏡筒やカメラへの組合せも容易になり、組立性が向上する。
さらに駆動レバー1103に係合する絞り羽根の駆動孔部を、丸穴にすることで、耐久性が向上する。第8の実施形態は、ゆっくり絞り羽根を開閉し光量を調整する作動の他、シャッタ機能としても使用可能である。シャッタ動作において、駆動レバー1103は羽根が閉じる方向に高速で回転する。そのため、絞り羽根の駆動孔部では、駆動レバー1103の羽根駆動ピン1103i,1103jから、高速なシャッタスピードを達成させるために必要な大きな力を受ける。また、高速なシャッタ作動のため、駆動レバー1103は、地板1102の不図示のストッパに衝突し、跳ね返る。絞り羽根の駆動孔部は、駆動レバー1103の跳ね返りの際も大きな力を受ける。絞り羽根が閉じる方向に移動している状態で、急に駆動レバー1103が絞り羽根が開く方向に跳ね返るため、絞り羽根の駆動孔部には大きな負荷が加わる。駆動孔部が長穴である場合、駆動孔部は駆動レバー1103によって、引っ張られ、変形する。このため、駆動孔部が長穴である場合は、耐久回数に制限がでてしまう。駆動孔部が丸穴である場合、駆動孔部は駆動レバー1103から力を受けるが、穴が歪むことは無いため、絞り羽根は変形しにくい。そのため、絞り羽根の耐久性が大幅に改善される。本実施形態のように、すべての駆動孔部を丸穴にすることが好ましい。また、羽根駆動ピンに係合する少なくとも1つ以上の丸穴の駆動孔部があるとよい。絞り羽根は、羽根駆動ピンとの係合部で重畳しているため、丸穴の駆動孔部の絞り羽根が他の絞り羽根の長穴係合部の変形を抑え込むことが可能である。
上述したように、第8の実施形態では、絞り羽根の耐久性が大幅に改善される。そのため、第8の実施形態では、絞り羽根の厚みを薄くすることが可能である。従来の虹彩絞りは、絞り羽根を多数枚重ね合わせ、円形の絞り開口を形成させること、さらに耐久性を確保するため、装置が肉厚になることが問題であった。第8の実施形態では、駆動レバー1103から直接力を受ける絞り羽根の駆動孔部がすべて丸穴であるため、変形しにくい。そのため、絞り羽根の厚みを薄くすることが可能になり、装置の薄型化に有効である。
以上説明したように、本実施形態の絞り装置は、各絞り羽根を、駆動リング等の絞り開口の周囲で回転する部品を用いずに、1つの駆動レバー1103を駆動させることで移動させる。そのため、絞り装置を長手方向および幅方向において小型化でき、さらに光軸方向での厚みを薄くすることができる。
なお、本実施形態では、絞り羽根1104〜1107に孔部や溝部を形成し、駆動レバー1103や地板1102に形成されたピンをこれらの孔部や溝部に係合(挿入)させる場合について説明した。しかし、絞り羽根にピンを設け、これを駆動レバーや地板に形成された孔部や溝部に挿入する構成を採用することも可能である。
<第9の実施形態>
図30は、本発明の光量調節装置の第9の実施形態である絞り装置の分解斜視図である。図31は、第9の実施形態の第5羽根対の正面図である。絞り羽根1105、絞り羽根1207は、第5の絞り羽根対を構成する。
第9の実施形態は、第1の実施形態の絞り羽根1107が絞り羽根1207に置き換わったものである。
絞り羽根1207は、駆動カム溝部1207iにおいて、駆動レバー1203の羽根駆動ピン1203iと摺動可能に係合している。また、絞り羽根1207に形成された係合部である回転中心孔部1207eには、地板1202に形成された回転中心部(回転中心軸部)としての回転中心ピン1202eが回転可能に係合している。
駆動レバー1203が所定の角度範囲で回動すると、絞り羽根1207は、図31に示すように、駆動カム溝部1207iが羽根駆動ピン1203iから駆動力を受け、回転中心孔部1207eが係合した回転中心ピン1202eを中心として光軸直交面内で回転(旋回)する。この回転の速さは、駆動カム溝部1207iの形状によって調整可能である。また、駆動カム溝部1207iの形状によって絞り開口の形状の補正も可能である。
一対の直進羽根は、第1の実施形態と同様である。
第9の実施形態では、図32に示すように、開放絞り(左図)から閉じ切り(右図)までの各絞り状態において、円形に近い、またはほぼ正六角形の絞り開口を形成することができる。
<第8及び第9の実施形態のまとめ>
第8及び第9の実施形態の概念をまとめるにあたり、「揺動羽根」とは、図24の絞り羽根1105および絞り羽根1107のように、その回転中心となる羽根駆動ピン1103iが動くことにより、全体として揺動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。また、「回動羽根」とは、図30の絞り羽根1207のように、その回転中心となる回転中心ピン1202eが立設固定されていて、固定された中心の回りに回動する運動を行う絞り羽根のことを意味する。
なお、第8の実施形態においては、上記一対の直進羽根及び第1羽根対は、ともに「揺動羽根」で構成されており、「回動羽根」は用いていない。第9の実施形態においては、上記の一対の直進羽根及び他の第5羽根対の一方は、ともに「揺動羽根」で構成されており、第5羽根対の他方が「回動羽根」で構成されている。
以上説明した実施形態は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施形態に対して種々の変形や変更が可能である。