以下に、本発明の実施形態に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
まず、第1の実施形態に係る電子部品10aの回路構成について図面を参照しながら説明する。図1Aは、第1の実施形態に係る電子部品10aの等価回路図である。
電子部品10aは、バンドパスフィルタであり、図1に示すように、外部電極14a〜14c、インダクタL1〜L4,L11,L12及びコンデンサC1〜C4,C11,C12,C21〜C25を備えている。
外部電極14a,14bは、高周波信号の入出力端子である。外部電極14cは、接地電位に接続されるグランド端子である。外部電極14aと外部電極14bとは、信号経路SLにより接続されている。
インダクタL11、コンデンサC21〜C25及びインダクタL12は、信号経路SL上に設けられており、外部電極14aから外部電極14bへとこの順に電気的に直列に接続されている。
コンデンサC11は、信号経路SLと外部電極14cとの間に接続されており、より詳細には、インダクタL11とコンデンサC21との間と外部電極14cとの間に接続されている。これにより、インダクタL11とコンデンサC11とは、ローパスフィルタLPF1を構成している。ローパスフィルタLPF1のカットオフ周波数は、周波数fc1である。
コンデンサC12は、信号経路SLと外部電極14cとの間に接続されており、より詳細には、インダクタL12とコンデンサC25との間と外部電極14cとの間に接続されている。これにより、インダクタL12とコンデンサC12とは、ローパスフィルタLPF2を構成している。ローパスフィルタLPF2のカットオフ周波数は、周波数fc2である。周波数fc1と周波数fc2とは実質的に等しい。
インダクタL1及びコンデンサC1は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されることにより、LC直列共振器LC1を構成している。本実施形態では、インダクタL1及びC1は、コンデンサC21とコンデンサC22との間と外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されている。LC直列共振器LC1の共振周波数は、周波数fa1である。
インダクタL2及びコンデンサC2は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されることにより、LC直列共振器LC2を構成している。本実施形態では、インダクタL2及びC2は、コンデンサC22とコンデンサC23との間と外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されている。LC直列共振器LC2の共振周波数は、周波数fa2である。
インダクタL3及びコンデンサC3は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されることにより、LC直列共振器LC3を構成している。本実施形態では、インダクタL3及びC3は、コンデンサC23とコンデンサC24との間と外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されている。LC直列共振器LC3の共振周波数は、周波数fa3である。
インダクタL4及びコンデンサC4は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されることにより、LC直列共振器LC4を構成している。本実施形態では、インダクタL4及びC4は、コンデンサC24とコンデンサC25との間と外部電極14cとの間に電気的に直列に接続されている。LC直列共振器LC4の共振周波数は、周波数fa4である。
ここで、周波数fc1,fc2は、周波数fa1〜fa4よりも高くなるように、電子部品10aが設計されている。これにより、LC直列共振器LC1〜LC4及びローパスフィルタLPF1,LPF2は、周波数fc1,fc2と周波数fa1〜fa4との間の帯域の高周波信号を外部電極14aから外部電極14bへと通過させるバンドパスフィルタを構成している。
また、インダクタL1及びコンデンサC21,C22は、ハイパスフィルタHPF1を構成している。ハイパスフィルタHPF1は、カットオフ周波数fc11よりも高い帯域の高周波信号を、信号経路SLを通過させる
インダクタL2及びコンデンサC22,C23は、ハイパスフィルタHPF2を構成している。ハイパスフィルタHPF2は、カットオフ周波数fc12よりも高い帯域の高周波信号を、信号経路SLを通過させる。
インダクタL3及びコンデンサC23,C24は、ハイパスフィルタHPF3を構成している。ハイパスフィルタHPF3は、カットオフ周波数fc13よりも高い帯域の高周波信号を、信号経路SLを通過させる。
インダクタL4及びコンデンサC24,C25は、ハイパスフィルタHPF4を構成している。ハイパスフィルタHPF4は、カットオフ周波数fc14よりも高い帯域の高周波信号を、信号経路SLを通過させるハイパスフィルタHPF4を構成している。
次に、電子部品10aの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。図1Bは、電子部品10aの外観斜視図である。図2ないし図5は、電子部品10aの分解図である。電子部品10aにおいて、積層体12の積層方向を上下方向と定義する。また、電子部品10aを上側から平面視したときに、電子部品10aの上面の長辺が延在する方向を左右方向と定義し、電子部品10aの上面の短辺が延在する方向を前後方向と定義する。
電子部品10aは、図1Bないし図5に示すように、積層体12、外部電極14a〜14c、インダクタ導体層18a,18b,42a〜42d,30a〜30f,118a,118b,142a〜142d,130a〜130f、コンデンサ導体層20a〜20c,21,22,32,40a,40b,44,46,60,120a〜120c,121,122,132,140a,140b,144、接続導体層47,147及びビアホール導体(層間接続導体の一例)v1〜v8,v10〜v14,v51〜v55,v101〜v108,v110〜v114を備えている。
積層体12は、直方体状をなしており、絶縁体層16a〜16qが上側から下側へとこの順に積層されることにより構成されている。絶縁体層16a〜16qは、上側から平面視したときに、左右方向に延在する長方形状をなしており、例えば、セラミック等により作製されている。以下では、絶縁体層16a〜16qの上面を表面と呼び、絶縁体層16a〜16qの下面を裏面と呼ぶ。
外部電極14a,14bはそれぞれ、図1Bに示すように、積層体12の左面及び右面に設けられており、上下方向に延在する帯状をなしている。また、外部電極14a,14bの上端及び下端は、積層体12の上面及び下面に折り返されている。
外部電極14cは、図1Bに示すように、積層体12の下面の中央に設けられており、長方形状をなしている。外部電極14a〜14cは、例えば、銀等からなる下地電極上にNiめっき及びSnめっきが施されることにより作製されている。
インダクタ導体層18aは、絶縁体層16jの表面上に設けられており、絶縁体層16jの左側の短辺の中央を始点とし、絶縁体層16jの左半分の領域の中央を終点とする線状導体層である。インダクタ導体層18aは、始点から終点に向かって反時計回りに周回している。インダクタ導体層18aは、外部電極14aと接続されている。
インダクタ導体層18bは、絶縁体層16iの表面上に設けられており、絶縁体層16iの左半分の領域の中央を始点とし、始点の右側に位置する点を終点とする線状導体層である。インダクタ導体層18bは、始点から終点に向かって反時計回りに周回している。
ビアホール導体v1は、絶縁体層16iを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層18aの終点とインダクタ導体層18bの始点とを接続している。これにより、インダクタ導体層18a,18b及びビアホール導体v1は、螺旋状のインダクタL11を構成している。
コンデンサ導体層20aは、絶縁体層16gの表面上に設けられており、長方形状の導体層と2本の線状導体層とが組み合わされて構成されている。コンデンサ導体層20aは、絶縁体層16gの左半分の領域に設けられている。一方の線状導体層は、長方形状の導体層の右側の辺から右側に向かって延在している。他方向の線状導体層は、長方形状の導体層の後ろ側の辺から後ろ側に向かって延在している。
コンデンサ導体層20bは、絶縁体層16fの表面上に設けられており、長方形状の導体層と1本の線状導体層とが組み合わされて構成されている。コンデンサ導体層20bは、絶縁体層16fの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層20aと重なっている。線状導体層は、長方形状の導体層の前側の辺から前側に向かって延在している。
コンデンサ導体層20cは、絶縁体層16hの表面上に設けられており、長方形状の導体層と1本の線状導体層とが組み合わされて構成されている。コンデンサ導体層20cは、絶縁体層16hの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層20aと重なっている。線状導体層は、長方形状の導体層の前側の辺から前側に向かって延在している。これにより、コンデンサ導体層20a〜20cは、コンデンサC21を構成している。
ビアホール導体v2は、絶縁体層16g,16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層18bの終点とコンデンサ導体層20aの右端とを接続している。これにより、インダクタL11とコンデンサC21とが電気的に直列に接続されている。
コンデンサ導体層22は、絶縁体層16oの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層22は、絶縁体層16oの左半分の領域の後端近傍に設けられている。
コンデンサ導体層60は、絶縁体層16pの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層60は、絶縁体層16pの略全面を覆っており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層22と重なっている。これにより、コンデンサ導体層22,60は、コンデンサC11を構成している。
ビアホール導体v3は、絶縁体層16g〜16nを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層20aの後端とコンデンサ導体層22とを接続している。これにより、コンデンサC11とインダクタL11とコンデンサC21とが接続されている。
ビアホール導体v51〜v55は、絶縁体層16p,16qを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層60と外部電極14cとを接続している。これにより、コンデンサC11と外部電極14cとが接続されている。
インダクタ導体層30aは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、絶縁体層16cの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30aの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層30aは、左側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。
インダクタ導体層30bは、絶縁体層16dの表面上に設けられており、絶縁体層16dの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30bの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層30bは、左側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。インダクタ導体層30aとインダクタ導体層30bとは、上側から平面視したときに、一致した状態で重なっている。
ビアホール導体v4は、絶縁体層16c〜16gを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層20b,20cの前端とインダクタ導体層30a,30bの前端とを接続している。
インダクタ導体層30cは、絶縁体層16kの表面上に設けられており、絶縁体層16kの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30cの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層30cは、左側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。また、インダクタ導体層30cの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30a,30bの前端よりも前側に位置している。インダクタ導体層30cの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30a,30bの後端と重なっている。
ビアホール導体v5は、絶縁体層16c〜16jを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層30a,30bの後端とインダクタ導体層30cの後端とを接続している。
インダクタ導体層30dは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、絶縁体層16bの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30dの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。これにより、インダクタ導体層30dは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30a〜30cの両端と重なり、インダクタ導体層30a〜30cの両端以外の部分とは重なっていない。また、インダクタ導体層30dの前端は、インダクタ導体層30cの前端と重なっている。インダクタ導体層30dの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30cの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v6は、絶縁体層16b〜16jを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層30cの前端とインダクタ導体層30dの前端とを接続している。
インダクタ導体層30eは、絶縁体層16lの表面上に設けられており、絶縁体層16lの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30lの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。これにより、インダクタ導体層30eは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30a〜30cの後端と重なり、インダクタ導体層30a〜30cの後端以外の部分とは重なっていない。また、インダクタ導体層30eの後端は、インダクタ導体層30dの後端と重なっている。インダクタ導体層30eの前端は、上側から平面視したときに、絶縁体層16lの左側の短辺の中央近傍に位置している。
インダクタ導体層30fは、絶縁体層16mの表面上に設けられており、絶縁体層16mの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層30fの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。これにより、インダクタ導体層30fは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30a〜30cの後端と重なり、インダクタ導体層30a〜30cの後端以外の部分とは重なっていない。更に、インダクタ導体層30eとインダクタ導体層30fとは、上側から平面視したときに、一致した状態で重なっている。また、インダクタ導体層30fの後端は、インダクタ導体層30dの後端と重なっている。インダクタ導体層30fの前端は、上側から平面視したときに、絶縁体層16mの左側の短辺の中央近傍に位置している。
ビアホール導体v7は、絶縁体層16b〜16lを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層30dの後端とインダクタ導体層30e,30fの後端とを接続している。
以上のように、インダクタ導体層30a〜30f及びビアホール導体v4〜v7は、互いに接続されることによりインダクタL1を構成している。これにより、インダクタL1は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL1は、左側から平面視したときに、反時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。また、インダクタL1は、ビアホール導体v4がコンデンサ導体層20b,20cに接続されているので、コンデンサC21に接続されている。
また、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層30aと外周側のインダクタ導体層30dとを含んでいる。インダクタ導体層30aの両端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30dと重なっている。また、インダクタ導体層30aの両端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30dに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層30aの少なくとも一部は、インダクタ導体層30dに対して右側にずれて位置している。
更に、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層30cと外周側のインダクタ導体層30eとを含んでいる。インダクタ導体層30cの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30eと重なっている。また、インダクタ導体層30cの後端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30eに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層30cの少なくとも一部は、インダクタ導体層30eに対して右側にずれて位置している。
以上のように構成されたインダクタL1では、インダクタL1の一部が左右方向に対して垂直な平面S1に位置し、インダクタL1の残部が平面S1に対して右側にずれて位置している。より詳細には、インダクタL1のインダクタ導体層30a〜30cの両端、インダクタ導体層30d〜30f及びビアホール導体v4〜v7は、平面S1に位置している。一方、インダクタ導体層30a〜30cの両端以外の部分は、平面S1よりも右側に位置している。
コンデンサ導体層32は、絶縁体層16nの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層32は、絶縁体層16nの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層60と重なっている。これにより、コンデンサ導体層32,60は、コンデンサC1を構成している。
ビアホール導体v8は、絶縁体層16l,16mを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層30fの前端とコンデンサ導体層32とを接続している。これにより、インダクタL1とコンデンサC1とが接続されている。また、コンデンサ導体層60がビアホール導体v51〜v55により外部電極14cと接続されているので、コンデンサC1が外部電極14cと接続されている。
コンデンサ導体層40aは、絶縁体層16fの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層40aは、絶縁体層16fの中央(対角線の交点)に対して左側に位置している。
コンデンサ導体層40bは、絶縁体層16hの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層40bは、絶縁体層16hの中央(対角線の交点)に対して左側に位置している。コンデンサ導体層40aとコンデンサ導体層40bとは、上側から平面視したときに、一致した状態で重なっている。
コンデンサ導体層21は、絶縁体層16eの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層21は、絶縁体層16eの前後方向の中央において左右方向に延在しており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層40a及びコンデンサ導体層20bと重なっている。これにより、コンデンサ導体層20b,21,40aは、コンデンサC22を構成している。
インダクタ導体層42aは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、インダクタ導体層30aに対して右側において前後方向に延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層42aの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層42aは、左側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。
インダクタ導体層42bは、絶縁体層16dの表面上に設けられており、インダクタ導体層30bに対して右側において前後方向に延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層42bの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層42bは、左側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。インダクタ導体層42aとインダクタ導体層42bとは、上側から平面視したときに、一致した状態で重なっている。
ビアホール導体v11は、絶縁体層16c〜16iを上下方向に貫通している。ビアホール導体v11の上端は、インダクタ導体層42a,42bの後端に接続されている。
インダクタ導体層42cは、絶縁体層16kの表面上に設けられており、インダクタ導体層30cに対して右側において前後方向に延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層42cの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。また、インダクタ導体層42cの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42a,42bの前端と重なっている。インダクタ導体層42cの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42a,42bの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v12は、絶縁体層16c〜16jを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層42a,42bの前端とインダクタ導体層42cの前端とを接続している。
インダクタ導体層42dは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、インダクタ導体層30dに対して右側において前後方向に延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層42dの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。これにより、インダクタ導体層42dは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42a,42bの両端と重なり、インダクタ導体層42a,42bの両端以外の部分とは重なっていない。また、インダクタ導体層42dの後端は、インダクタ導体層42cの後端と重なっている。インダクタ導体層42dの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42cの前端よりも前側に位置している。
ビアホール導体v13は、絶縁体層16b〜16jを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層42cの後端とインダクタ導体層42dの後端とを接続している。
ビアホール導体v14は、絶縁体層16b〜16mを上下方向に貫通している。ビアホール導体v14の上端は、インダクタ導体層42dの前端に接続されている。
以上のように、インダクタ導体層42a〜42c及びビアホール導体v11〜v14は、互いに接続されることによりインダクタL2を構成している。これにより、インダクタL2は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL2は、左側から平面視したときに、時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。
また、インダクタL2は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層42aと外周側のインダクタ導体層42dとを含んでいる。インダクタ導体層42aの両端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42dと重なっている。また、インダクタ導体層42aの両端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層42dに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層42aの少なくとも一部は、インダクタ導体層42dに対して右側にずれて位置している。
以上のように構成されたインダクタL2では、インダクタL2の一部が左右方向に対して垂直な平面S2に位置し、インダクタL2の残部が平面S2に対して右側にずれて位置している。より詳細には、インダクタL2のインダクタ導体層42a,42bの両端、インダクタ導体層42c,42d及びビアホール導体v11〜v14は、平面S2に位置している。一方、インダクタ導体層42a,42bの両端以外の部分は、平面S2よりも右側に位置している。
接続導体層47は、絶縁体層16jに設けられている線状導体層である。接続導体層47は、絶縁体層16jの中央の左上において左右方向に延在している。
ビアホール導体v10は、絶縁体層16f〜16iを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層40a,40bと接続導体層47の右端とを接続している。また、ビアホール導体v11の下端は、接続導体層47の左端に接続されている。これにより、インダクタL2は、接続導体層47及びビアホール導体v10を介して、コンデンサC22に接続されている。
コンデンサ導体層44は、絶縁体層16nの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層44は、絶縁体層16nの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層60と重なっている。これにより、コンデンサ導体層44,60は、コンデンサC2を構成している。
ビアホール導体v14の下端は、コンデンサ導体層44と接続されている。そのため、インダクタL2とコンデンサC2とが接続されている。また、コンデンサ導体層60がビアホール導体v51〜v55により外部電極14cと接続されているので、コンデンサC2が外部電極14cと接続されている。
インダクタ導体層118a,118b,142a〜142c,130a〜130f、コンデンサ導体層120a〜120c,121,122,132,140a,140b,144、接続導体層147及びビアホール導体v101〜v108,v110〜v114は、上側から平面視したときに、積層体12の上面の中央を前後方向に通過する直線に関して、インダクタ導体層18a,18b,42a〜42c,30a〜30f、コンデンサ導体層120a〜120c,121,122,132,140a,140b,144,146、接続導体層147及びビアホール導体v101〜v108,v110〜v114と線対称な構造を有している。したがって、インダクタ導体層118a,118b,142a〜142c,130a〜130f、コンデンサ導体層120a〜120c,121,122,132,140a,140b,144、接続導体層147及びビアホール導体v101〜v108,v110〜v114の説明を省略する。
また、コンデンサ導体層46は、絶縁体層16gの表面上に設けられており、2つの長方形状の導体層及び1本の線状導体層により構成されている。一方の長方形状の導体層は、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層40a,40bと重なっている。他方の長方形状の導体層は、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層140a,140bと重なっている。線状導体層は、2つのコンデンサ導体層を接続している。これにより、コンデンサ導体層40a,40b,46,140a,140bは、コンデンサC23を構成している。
以上のようなインダクタ導体層、コンデンサ導体層、接続導体層及びビアホール導体は、例えば、銀を主成分とする導電性ペースト等により作製されている。
(効果)
以上のように構成された電子部品10aによれば、インダクタL1に発生する寄生容量を低減できる。より詳細は、インダクタL1の一部が平面S1に位置し、インダクタL1の残部が平面S1に対して右側にずれて位置している。これにより、インダクタL1の一部とインダクタL1の残部との間に発生する寄生容量が低減される。その結果、インダクタL1に発生する寄生容量が低減されるようになる。なお、インダクタL2〜L4においても同じ理由により寄生容量が低減される。
ここで、積層方向において隣り合うインダクタ導体層30aとインダクタ導体層30dとの間には寄生容量が発生しやすい。そこで、インダクタ導体層30aの少なくとも一部は、インダクタ導体層30dに対して右側にずれて位置している。これにより、インダクタL1の寄生容量をより効果的に低減できる。なお、インダクタL2〜L4においても同じ理由により寄生容量が低減される。
以上のようにインダクタL1〜L4に発生する寄生容量が低減されると、電子部品10aの通過帯域が広くなる。より詳細には、インダクタL1〜L4に発生する寄生容量が大きくなると、LC直列共振器LC1〜LC4を構成しているインダクタL1〜L4がそれぞれLC並列共振器として機能するようになる。4つのLC並列共振器のインピーダンスは、それぞれの共振周波数において無限大となる。そのため、4つのLC並列共振器の共振周波数の高周波信号は、外部電極14cへと流れずに信号経路SLを流れる。4つのLC並列共振器の共振周波数は比較的に近いので、電子部品10aは、狭帯域なバンドパスフィルタとして機能する。
そこで、電子部品10aでは、インダクタL1〜L4に発生する寄生容量を低減している。これにより、インダクタL1〜L4がLC並列共振器として機能することが抑制される。その結果、電子部品10aが狭帯域なバンドパスフィルタとして機能することが抑制される。
また、電子部品10aの通過特性において、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になる。より詳細には、電子部品10aは、ローパスフィルタLPF1,LPF2を備えている。これらのカットオフ周波数は、周波数fc1,fc2である。すなわち、ローパスフィルタLPF1,LPF2はそれぞれ、カットオフ周波数fc1,fc2よりも低い周波数の高周波信号を通過させる。そこで、電子部品10aにおいて、カットオフ周波数fc1,fc2を、電子部品10aの通過特性における高周波側のカットオフ周波数に一致させている。これにより、電子部品10aの通過特性において、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になる。
更に、以下の理由によっても、電子部品10aの通過特性において、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になる。より詳細には、電子部品10aは、ローパスフィルタLPF1,LPF2を備えている。ローパスフィルタLPF1,LPF2は、インピーダンスマッチング回路として機能する。これにより、電子部品10a内における高周波信号の反射が低減される。特に、電子部品10aの通過特性における高周波側のカットオフ周波数よりもやや低い周波数における高周波信号の反射が低減される。そのため、電子部品10aの通過特性における高周波側のカットオフ周波数よりもやや低い周波数では、減衰量が小さくなる。その結果、電子部品10aの通過特性における高周波側のカットオフ周波数までは減衰量が小さく、該カットオフ周波数よりも高くなると減衰量が大きくなる。すなわち、電子部品10aの通過特性において、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になる。
本願発明者は、電子部品10aが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。具体的には、電子部品10aの構造を有する第1のモデルを作成した。また、電子部品10aにおいて、ローパスフィルタLPF1,LPF2が設けられていない第2のモデルを作成した。第2のモデルは比較例に相当する。
本願発明者は、第1のモデル及び第2のモデルを用いて、通過特性及び反射特性を演算させた。図6Aは、第1のモデルの通過特性(S21)及び反射特性(S11)を示したグラフである。図6Bは、第2のモデルの通過特性(S21)及び反射特性(S11)を示したグラフである。縦軸は|S11|,|S21|を示し、横軸は周波数を示す。
図6Bの通過特性では、高周波側のカットオフ周波数における立下りが緩慢であるのに対して、図6Aの通過特性では、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻であることが分かる。これにより、ローパスフィルタLPF1,LPF2が設けられることにより、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になることが分かる。
更に、図6Bの反射特性では、高周波側のカットオフ周波数の近傍である2.0GHz近傍には、ピークが形成されていない。一方、図6Aの反射特性では、高周波側のカットオフ周波数の近傍である2.0GHz〜2.5GHzの間において、ピーク2つ形成されている。これは、ローパスフィルタLPF1,LPF2がインピーダンスマッチング回路として機能しているためである。その結果、第1のモデルの通過特性における高周波側のカットオフ周波数よりもやや低い周波数における高周波信号の反射が低減される。よって、第1のモデルの通過特性における高周波側のカットオフ周波数よりもやや低い周波数では、減衰量が小さく、該カットオフ周波数よりも高くなると減衰量が大きくなる。すなわち、第1のモデルの通過特性において、高周波側のカットオフ周波数における立下りが急峻になる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電子部品10bの構成について図面を参照しながら説明する。電子部品10bの等価回路は、電子部品10aの等価回路と同じであるので図1を援用する。電子部品10bの外観斜視図も、電子部品10aの外観斜視図と同じであるので図2を援用する。図7ないし図10は、電子部品10bの分解図である。
電子部品10bは、インダクタL1〜L4の構造について電子部品10aと相違する。そこで、以下ではこの相違点を中心に電子部品10bについて説明する。
また、電子部品10aでは、内周側のインダクタ導体層30aの両端は、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30dと重なっている。また、内周側のインダクタ導体層30aの両端以外の部分は、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30dに対して右側に位置している。同様に、内周側のインダクタ導体層30cの後端は、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30eと重なっている。また、内周側のインダクタ導体層30cの後端以外の部分は、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30eに対して右側に位置している。
一方、電子部品10bでは、内周側のインダクタ導体層30aの全体は、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30dに対して右側に位置している。また、内周側のインダクタ導体層30cは、上側から平面視したときに、外周側のインダクタ導体層30eに対して右側に位置している。これにより、ビアホール導体v6,v7が平面S1に位置し、ビアホール導体v4,v5が平面S1に位置していない。すなわち、互いに隣り合う内周側のビアホール導体v4と外周側のビアホール導体v6とは、左右方向にずれて位置している。また、互いに隣り合う内周側のビアホール導体v5と外周側のビアホール導体v7とは、左右方向にずれて位置している。なお、インダクタL2〜L4もインダクタL1と同様の構成を有している。
以上のように構成された電子部品10bにおいても、電子部品10aと同じ作用効果を奏することができる。
更に、電子部品10bでは、以下の理由により、インダクタL1の寄生容量がより効果的に低減される。より詳細には、インダクタL1では、互いに隣り合うビアホール導体v4とビアホール導体v6との間には寄生容量が発生しやすい。互いに隣り合うビアホール導体v5とビアホール導体v7との間には寄生容量が発生しやすい。そこで、互いに隣り合う内周側のビアホール導体v4と外周側のビアホール導体v6とは、左右方向にずれて位置している。また、互いに隣り合う内周側のビアホール導体v5と外周側のビアホール導体v7とは、左右方向にずれて位置している。これにより、インダクタL1の寄生容量をより効果的に的減できる。なお、インダクタL2〜L4においても同じ理由により寄生容量が低減される。
本願発明者は、電子部品10a,10bが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。より詳細には、電子部品10a,10bの構造を有する第1のモデル及び第3のモデルを作成した。また、電子部品10bにおいて、インダクタL1〜L4の全体がそれぞれ、平面S1〜S4に位置する電子部品を第4のモデルとして作成した。第4のモデルは比較例である。そして、本願発明者は、第1のモデル、第3のモデル及び第4のモデルの通過特性を演算させた。図11は、第1のモデル、第3のモデル及び第4のモデルの通過特性(S21)を示したグラフである。縦軸は|S21|を示し、横軸は周波数を示す。
図11を参照すると、第3のモデルの通過帯域が最も広く、第4のモデルの通過帯域が最も狭いことが分かる。第4のモデルでは、インダクタ導体及びビアホール導体のいずれもが左右方向にずれていない。第1のモデルでは、インダクタ導体のみが左右方向にずらされている。第3のモデルでは、インダクタ導体及びビアホール導体のいずれもが左右方向にずれている。したがって、第4のモデルにおいてインダクタの寄生容量が最も大きく、第3のモデルにおいてインダクタの寄生容量が最も小さい。本シミュレーションによれば、インダクタの寄生容量が小さくなるにしたがって、電子部品の通過帯域が広くなることが分かる。
(第3の実施形態)
(電子部品の構成)
まず、第3の実施形態に係る電子部品10cの回路構成について図面を参照しながら説明する。図12は、第3の実施形態に係る電子部品10cの等価回路図である。
電子部品10cは、LC直列共振器LC1〜LC4の代わりにLC並列共振器LC11〜LC14を備えている点において電子部品10aと相違する。電子部品10cは、バンドパスフィルタであり、図12に示すように、外部電極14a〜14c、インダクタL1〜L4及びコンデンサC1〜C4,C31〜C35を備えている。
外部電極14a,14bは、高周波信号の入出力端子である。外外部電極14cは、接地電位に接続されるグランド端子である。外部電極14aと外部電極14bとは、信号経路SLにより接続されている。
コンデンサC31〜C35は、信号経路SL上に設けられており、外部電極14aから外部電極14bへとこの順に電気的に直列に接続されている。
インダクタL1及びコンデンサC1は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されることにより、LC並列共振器LC11を構成している。本実施形態では、インダクタL1及びC1は、コンデンサC31とコンデンサC32との間と外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されている。LC並列共振器LC11の共振周波数は、周波数fa11である。
インダクタL2及びコンデンサC2は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されることにより、LC並列共振器LC12を構成している。本実施形態では、インダクタL2及びC2は、コンデンサC32とコンデンサC33との間と外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されている。LC並列共振器LC12の共振周波数は、周波数fa12である。
インダクタL3及びコンデンサC3は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されることにより、LC並列共振器LC13を構成している。本実施形態では、インダクタL3及びC3は、コンデンサC33とコンデンサC34との間と外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されている。LC並列共振器LC13の共振周波数は、周波数fa13である。
インダクタL4及びコンデンサC4は、信号経路SLと外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されることにより、LC並列共振器LC14を構成している。本実施形態では、インダクタL4及びC4は、コンデンサC34とコンデンサC35との間と外部電極14cとの間に電気的に並列に接続されている。LC並列共振器LC14の共振周波数は、周波数fa14である。
ここで、周波数fa11〜fa14は、異なる周波数を有している。これにより、LC並列共振器LC11〜LC14は、周波数fa11〜fa14の帯域の高周波信号を外部電極14aから外部電極14bへと通過させるバンドパスフィルタを構成している。
次に、電子部品10cの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。図13ないし図15は、電子部品10cの分解図である。電子部品10cの外観斜視図は、電子部品10aの外観斜視図と同じであるので図1Bを援用する。
電子部品10cは、図13ないし図15に示すように、積層体12、外部電極14a〜14c、コンデンサ導体層218a〜218c,220,221,222,224a,224b,250,260,318a〜318c,320,321,322,324a,324b、インダクタ導体層230a〜230e,232a〜232c,330a〜330e,332a〜332c及びビアホール導体v201〜v214,v301〜v314を備えている。
積層体12は、直方体状をなしており、絶縁体層16a〜16mが上側から下側へとこの順に積層されることにより構成されている。電子部品10cの積層体12は、電子部品10aの積層体12と同じであるので説明を省略する。
電子部品10cの外部電極14a〜14cは、電子部品10aの外部電極14a〜14cと同じであるので説明を省略する。
コンデンサ導体層218aは、絶縁体層16fの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層218aは、絶縁体層16fの左半分の領域に設けられており、絶縁体層16fの左側の短辺に引き出されている。これにより、コンデンサ導体層218aは、外部電極14aに接続されている。
コンデンサ導体層218bは、絶縁体層16eの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層218bは、絶縁体層16eの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層218aと重なっている。
コンデンサ導体層218cは、絶縁体層16gの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層218cは、絶縁体層16gの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層218aと重なっている。これにより、コンデンサ導体層218a〜218cは、コンデンサC31を構成している。
コンデンサ導体層220は、絶縁体層16kの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層220は、絶縁体層16kの左半分の領域に設けられている。
コンデンサ導体層260は、絶縁体層16lの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層260は、絶縁体層16lの表面の略全面を覆っている。これにより、コンデンサ導体層260は、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層220と重なっている。その結果、コンデンサ導体層220とコンデンサ導体層260とは、コンデンサC1を構成している。
ビアホール導体v201は、絶縁体層16g〜16jを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層218cとコンデンサ導体層220とを接続している。これにより、コンデンサC31とコンデンサC1とが接続されている。
ビアホール導体v250は、絶縁体層16l,16mを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層260と外部電極14cとを接続している。これにより、コンデンサC1は、外部電極14cに接続されている。
インダクタ導体層230aは、絶縁体層16hの表面上に設けられており、絶縁体層16hの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。
ビアホール導体v203は、絶縁体層16gを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層218cの前端とインダクタ導体層230aの前端とを接続している。
インダクタ導体層230bは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、絶縁体層16cの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。また、インダクタ導体層230bの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230aの後端よりも後ろ側に位置している。インダクタ導体層230bの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230aの前端と重なっている。
ビアホール導体v204は、絶縁体層16c〜16gを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層230aの前端とインダクタ導体層230bの前端とを接続している。
インダクタ導体層230cは、絶縁体層16iの表面上に設けられており、絶縁体層16iの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。インダクタ導体層230cの後端は、左側に折り曲げられている。インダクタ導体層230cの前端は、インダクタ導体層230bの前端よりも前側に位置している。インダクタ導体層230cの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230bの後端と重なっている。
ビアホール導体v205は、絶縁体層16c〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層230bの後端とインダクタ導体層230cの後端とを接続している。
インダクタ導体層230dは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、絶縁体層16bの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。インダクタ導体層230dの前端は、インダクタ導体層230cの前端と重なっている。インダクタ導体層230dの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230cの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v206は、絶縁体層16b〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層230cの前端とインダクタ導体層230dの前端とを接続している。
インダクタ導体層230eは、絶縁体層16jの表面上に設けられており、絶縁体層16jの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。インダクタ導体層230eの後端は、左側に折り曲げられている。また、インダクタ導体層230eの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230dの後端と重なっている。
ビアホール導体v207は、絶縁体層16b〜16iを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層230dの後端とインダクタ導体層230eの後端とを接続している。
以上のように、インダクタ導体層230a〜230e及びビアホール導体v203〜v207は、互いに接続されることによりインダクタL1を構成している。これにより、インダクタL1は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL1は、左側から平面視したときに、反時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。また、インダクタL1は、ビアホール導体v203がコンデンサ導体層218cに接続されているので、コンデンサC31に接続されている。
また、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層230bと外周側のインダクタ導体層230dとを含んでいる。インダクタ導体層230bは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230dに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層230bは、インダクタ導体層230dに対して右側にずれて位置している。
また、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層230aと外周側のインダクタ導体層230cとを含んでいる。インダクタ導体層230aは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230cに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層230aは、インダクタ導体層230cに対して右側にずれて位置している。
また、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層230cと外周側のインダクタ導体層230eとを含んでいる。インダクタ導体層230cは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層230eに対して左側に位置している。これにより、インダクタ導体層230cは、インダクタ導体層230eに対して左側にずれて位置している。
以上のように構成されたインダクタL1では、インダクタL1の一部が左右方向に対して垂直な平面S1に位置し、インダクタL1の残部が平面S1に対して右側にずれて位置している。より詳細には、インダクタL1のインダクタ導体層230c,230d、ビアホール導体v206,v207は、平面S1に位置している。一方、インダクタ導体層230a,230b,230e及びビアホール導体v204,v205は、平面S1よりも右側に位置している。
ビアホール導体v208は、絶縁体層16j,16kを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層230eの前端とコンデンサ導体層260とを接続している。また、コンデンサ導体層260がビアホール導体v250により外部電極14cと接続されているので、インダクタL1が外部電極14cと接続されている。
コンデンサ導体層224aは、絶縁体層16eの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層224aは、絶縁体層16eの中央(対角線の交点)に対して左側に位置している。
コンデンサ導体層224bは、絶縁体層16gの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層224bは、絶縁体層16gの中央(対角線の交点)に対して左側に位置している。コンデンサ導体層224aとコンデンサ導体層224bとは、上側から平面視したときに、一致した状態で重なっている。
コンデンサ導体層222は、絶縁体層16dの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層222は、絶縁体層16dの前後方向の中央において左右方向に延在しており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層218b及びコンデンサ導体層224aと重なっている。これにより、コンデンサ導体層218b,222,224aは、コンデンサC32を構成している。
コンデンサ導体層221は、絶縁体層16kの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層221は、絶縁体層16kの中央(対角線の交点)に対して左側に位置しており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層260と対向している。これにより、コンデンサ導体層221とコンデンサ導体層260とは、コンデンサC2を構成している。また、コンデンサ導体層260がビアホール導体v250により外部電極14cと接続されているので、コンデンサC2が外部電極14cと接続されている。
ビアホール導体v209は、絶縁体層16e〜16jを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層224a,224bとコンデンサ導体層221とを接続している。これにより、コンデンサC32とコンデンサC2とが接続されている。
インダクタ導体層232aは、絶縁体層16hの表面上に設けられており、絶縁体層16hの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層232aの前端は、右側に折り曲げられている。
ビアホール導体v210は、絶縁体層16gを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層224bの前端とインダクタ導体層232aの前端とを接続している。
インダクタ導体層232bは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、絶縁体層16cの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在する線状導体層である。また、インダクタ導体層232bの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232aの後端と重なっている。インダクタ導体層232bの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232aの前端よりも前側に位置している。
ビアホール導体v211は、絶縁体層16c〜16gを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層232aの後端とインダクタ導体層232bの後端とを接続している。
インダクタ導体層232cは、絶縁体層16iの表面上に設けられており、絶縁体層16iの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在する線状導体層である。インダクタ導体層232cの前端は、右側に折り曲げられている。これにより、インダクタ導体層232cの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232bの前端と重なっている。また、インダクタ導体層232cの後端は、インダクタ導体層232bの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v212は、絶縁体層16c〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層232bの前端とインダクタ導体層232cの前端とを接続している。
インダクタ導体層232dは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、絶縁体層16bの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在する線状導体である。インダクタ導体層232dの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232cの後端と重なっている。インダクタ導体層232dの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232cの前端よりも前側に位置している。
ビアホール導体v213は、絶縁体層16b〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層232cの後端とインダクタ導体層232dの後端とを接続している。
ビアホール導体v214は、絶縁体層16b〜16kを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層232dの前端とコンデンサ導体層260とを接続している。
以上のように、インダクタ導体層232a〜232d及びビアホール導体v210〜v214は、互いに接続されることによりインダクタL2を構成している。これにより、インダクタL2は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL2は、左側から平面視したときに、時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。また、インダクタL2は、ビアホール導体v210がコンデンサ導体層224bに接続されているので、コンデンサC32に接続されている。また、インダクタL2は、ビアホール導体v250がコンデンサ導体層260と外部電極14cとを接続しているので、外部電極14cに接続されている。
また、インダクタL2は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層232bと外周側のインダクタ導体層232dとを含んでいる。インダクタ導体層232bは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232dに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層232bは、インダクタ導体層232dに対して右側にずれて位置している。
また、インダクタL2は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層232aと外周側のインダクタ導体層232cとを含んでいる。インダクタ導体層232aは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層232cに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層232aは、インダクタ導体層232cに対して右側にずれて位置している。
以上のように構成されたインダクタL2では、インダクタL2の一部が左右方向に対して垂直な平面S2に位置し、インダクタL2の残部が平面S2に対して右側にずれて位置している。より詳細には、インダクタL2のインダクタ導体層232c,232d、ビアホール導体v213,v214は、平面S1に位置している。一方、インダクタ導体層232a,232b及びビアホール導体v211,v212は、平面S1よりも右側に位置している。
コンデンサ導体層318a〜318c,320,321,322,324a,324b、インダクタ導体層330a〜330e,332a〜332c及びビアホール導体v301〜v314は、上側から平面視したときに、積層体12の上面の中央を前後方向に通過する直線に関して、コンデンサ導体層218a〜218c,220,221,222,224a,224b、インダクタ導体層330a〜330e,332a〜332c及びビアホール導体v301〜v314と線対称な構造を有している。したがって、コンデンサ導体層218a〜218c,220,221,222,224a,224b、インダクタ導体層330a〜330e,332a〜332c及びビアホール導体v301〜v314の説明を省略する。
また、コンデンサ導体層250は、絶縁体層16fの表面上に設けられており、2つの長方形状の導体層及び1本の線状導体層により構成されている。一方の長方形状の導体層は、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層224a,224bと重なっている。他方の長方形状の導体層は、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層324a,324bと重なっている。線状導体層は、2つのコンデンサ導体層を接続している。これにより、コンデンサ導体層224a,224b,250,324a,324bは、コンデンサC33を構成している。
(効果)
以上のように構成された電子部品10cによれば、電子部品10aと同様に、インダクタL1〜L4に発生する寄生容量を低減できる。
本願発明者は、電子部品10cが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。本願発明者は、電子部品10cの構成を有する第5のモデルを作成し、電子部品10cにおいてインダクタL1〜L4がそれぞれ平面S1〜S4に位置する電子部品の第6のモデルを作成した。第6のモデルは比較例である。そして、第5のモデル及び第6のモデルの通過特性を演算させた。図16は、第5のモデル及び第6のモデルの通過特性(S21)を示したグラフである。縦軸は|S21|を示し、横軸は周波数を示す。
図16によれば、第5のモデルの方が第6のモデルよりも広帯域化が図られていることが分かる。これは、インダクタL1〜L4の寄生容量が低減されることにより、LC並列共振器LC11〜LC14の周波数fa11〜fa14が低下することが抑制されたためである。
(第4の実施形態)
(電子部品の構成)
まず、第4の実施形態に係る電子部品10dの回路構成について図面を参照しながら説明する。図17は、第4の実施形態に係る電子部品10dの等価回路図である。
電子部品10dは、電子部品10aと同様に、バンドパスフィルタである。ただし、電子部品10dは、インダクタL4及びコンデンサC4,C11,C12,C21、C24,C25が設けられていない点において、電子部品10aと相違する。電子部品10dのその他の回路構成は、電子部品10aと同じであるので説明を省略する。
次に、電子部品10dの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。図18ないし図20は、電子部品10dの分解図である。電子部品10dにおいて、積層体12の積層方向を上下方向と定義する。また、電子部品10dを上側から平面視したときに、電子部品10dの上面の長辺が延在する方向を左右方向と定義し、電子部品10dの上面の短辺が延在する方向を前後方向と定義する。なお、電子部品10dの外観斜視図は、電子部品10aの外観斜視図と同じであるので、図1Bを援用する。
電子部品10dは、図1B、図18ないし図20に示すように、積層体12、外部電極14a〜14c、インダクタ導体層418a,418b,430a〜430c,442a〜442e,518a,518b,530a〜530c、コンデンサ導体層420a,420b,434,452,460,520a,520b,534、接続導体層432,440,532及びビアホール導体v1〜v7,v10〜v17,v51〜v54,v101〜v107を備えている。
積層体12は、直方体状をなしており、絶縁体層16a〜16mが上側から下側へとこの順に積層されることにより構成されている。電子部品10dの積層体12の構成は、電子部品10aの積層体12の構成と基本的に同じであるので説明を省略する。
電子部品10dの外部電極14a〜14cは、電子部品10aの外部電極14a〜14cと同じであるので説明を省略する。
インダクタ導体層418aは、絶縁体層16hの表面上に設けられており、絶縁体層16hの左側の短辺の中央を始点とし、絶縁体層16hの左半分の領域の中央を終点とする線状導体層である。インダクタ導体層418aは、始点から終点に向かって時計回りに周回している。インダクタ導体層418aは、外部電極14aと接続されている。
インダクタ導体層418bは、絶縁体層16fの表面上に設けられており、絶縁体層16fの左半分の領域の中央を始点とし、始点の右側に位置する点を終点とする線状導体層である。インダクタ導体層418bは、始点から終点に向かって時計回りに周回している。
ビアホール導体v1は、絶縁体層16f,16gを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層418aの終点とインダクタ導体層418bの始点とを接続している。これにより、インダクタ導体層418a,418b及びビアホール導体v1は、螺旋状のインダクタL11を構成している。
コンデンサ導体層420aは、絶縁体層16eの表面上に設けられており、長方形状の導体層と1本の線状導体層とが組み合わされて構成されている。コンデンサ導体層420aは、絶縁体層16eの左半分の領域に設けられている。線状導体層は、長方形状の導体層の左側の辺から左側に向かって延在している。
コンデンサ導体層420bは、絶縁体層16dの表面上に設けられており、長方形状の導体層である。コンデンサ導体層420bは、絶縁体層16dの左半分の領域に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層420aと重なっている。これにより、コンデンサ導体層420a,420bは、コンデンサC22を構成している。
ビアホール導体v2は、絶縁体層16eを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層418bの終点とコンデンサ導体層420aとを接続している。これにより、インダクタL11とコンデンサC22とが電気的に直列に接続されている。
インダクタ導体層430aは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、絶縁体層16cの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層430aの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。
ビアホール導体v3は、絶縁体層16c〜16eを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層420aの左端とインダクタ導体層430aの前端とを接続している。
インダクタ導体層430bは、絶縁体層16iの表面上に設けられており、絶縁体層16iの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層430cの前端及び後端はそれぞれ、左側に折り曲げられていない。インダクタ導体層430bは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430aと重なっている。また、インダクタ導体層430bの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430aの前端よりも前側に位置している。インダクタ導体層430bの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430aの後端と重なっている。
ビアホール導体v4は、絶縁体層16c〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層430aの後端とインダクタ導体層430bの後端とを接続している。
インダクタ導体層430cは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、絶縁体層16bの左側の短辺に沿って延在する線状導体層である。ただし、インダクタ導体層430cの前端及び後端はそれぞれ、右側に折り曲げられている。インダクタ導体層430cは、右側に向かって開口する角張ったU字型をなしている。これにより、インダクタ導体層430cは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430aとは重なっていない。インダクタ導体層430cの前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430bの前端と重なっており、インダクタ導体層430cの前端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430bの前端以外の部分と重なっていない。また、インダクタ導体層430cの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430bの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v5は、絶縁体層16b〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層430bの前端とインダクタ導体層430cの前端とを接続している。
ビアホール導体v6は、絶縁体層16b〜16iを上下方向に貫通している。ビアホール導体v6の上端は、インダクタ導体層430cの後端に接続されている。
以上のように、インダクタ導体層430a〜430c及びビアホール導体v3〜v6は、互いに接続されることによりインダクタL1を構成している。これにより、インダクタL1は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL1は、左側から平面視したときに、反時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。また、インダクタL1は、ビアホール導体v3がコンデンサ導体層420aに接続されているので、コンデンサC22に接続されている。
また、インダクタL1は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層430aと外周側のインダクタ導体層430cとを含んでいる。インダクタ導体層430aは、上側から平面視したときに、インダクタ導体層430bに対して左側に位置している。これにより、インダクタ導体層430aは、インダクタ導体層430cに対して左側にずれて位置している。
以上のように構成されたインダクタL1では、インダクタL1の一部が左右方向に対して垂直な平面S1に位置し、インダクタL1の残部が平面S1に対して右側にずれて位置している。より詳細には、インダクタL1のインダクタ導体層430cの両端、インダクタ導体層430a,430b及びビアホール導体v3〜v6は、平面S1に位置している。一方、インダクタ導体層430cの両端以外の部分は、平面S1よりも左側に位置している。
コンデンサ導体層434は、絶縁体層16kの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層434は、絶縁体層16kの左半分の領域に設けられている。
コンデンサ導体層460は、絶縁体層16lの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層460は、絶縁体層16lの略全面を覆っており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層434と重なっている。これにより、コンデンサ導体層434,460は、コンデンサC1を構成している。
接続導体層432は、絶縁体層16jの表面上に設けられている線状導体層である。接続導体層432は、絶縁体層16jの左側の短辺に沿って延在している。ビアホール導体v6の下端は、接続導体層432の後端に接続されている。
ビアホール導体v7は、絶縁体層16jを上下方向に貫通しており、接続導体層432の前端とコンデンサ導体層434とを接続している。これにより、インダクタL1とコンデンサC1とが電気的に直列に接続されている。
ビアホール導体v51〜v54は、絶縁体層16l,16mを上下方向に貫通しており、コンデンサ導体層460と外部電極14cとを接続している。これにより、コンデンサC1と外部電極14cとが接続されている。
インダクタ導体層518a,518b,530a〜530c、コンデンサ導体層520a,520b,534、接続導体層532及びビアホール導体v101〜v107は、上側から平面視したときに、積層体12の上面の中央を前後方向に通過する直線に関して、インダクタ導体層418a,418b,430a〜430c、コンデンサ導体層420a,420b,434、接続導体層432及びビアホール導体v1〜v7と線対称な構造を有している。したがって、インダクタ導体層518a,518b,530a〜530c、コンデンサ導体層520a,520b,534、接続導体層532及びビアホール導体v101〜v107の説明を省略する。
接続導体層440は、絶縁体層16dの表面上に設けられており、左右方向に延在する線状導体層である。接続導体層440は、コンデンサ導体層420bとコンデンサ導体層520bとを接続している。これにより、コンデンサC22とコンデンサC23とが、電気的に直列に接続されている。
インダクタ導体層442aは、絶縁体層16gの表面上に設けられており、T字型をなす線状導体層である。インダクタ導体層442aは、2本の線状導体層により構成されている。一方の線状導体層は、絶縁体層16gの左右方向の中央において前後方向に延在している。他方の線状導体層は、一方の線状導体層の前端に接続され、左右方向に延在している。
インダクタ導体層442bは、絶縁体層16cの表面上に設けられており、インダクタ導体層430aとインダクタ導体層530aとの間において前後方向に延在する線状導体層である。インダクタ導体層442bは、線状導体層444,446を含んでいる。線状導体層444は、絶縁体層16cの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在している。線状導体層446は、絶縁体層16cの中央(対角線の交点)の右側において前後方向に延在している。線状導体層444の後端と線状導体層446の後端とは互いに接続されている。また、線状導体層444,446の前端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442aの他方の線状導体層の両端と重なっている。線状導体層444,446の後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442aの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v11は、絶縁体層16c〜16fを上下方向に貫通しており線状導体層444の前端とインダクタ導体層442aとを接続している。ビアホール導体v12は、絶縁体層16c〜16fを上下方向に貫通しており線状導体層446の前端とインダクタ導体層442aとを接続している。
インダクタ導体層442cは、絶縁体層16iの表面上に設けられており、インダクタ導体層430bとインダクタ導体層530bとの間において前後方向に延在する線状導体層である。本実施形態では、インダクタ導体層442cは、絶縁体層16iの左右方向の中央において前後方向に延在している。したがって、インダクタ導体層442cは、上側から平面視したときに、線状導体層444,446の後端以外の部分とは重なっておらず、線状導体層444と線状導体層446との間に位置している。また、インダクタ導体層442cの前端は、上側から平面視したときに、線状導体層444,446の前端よりも前側に位置している。インダクタ導体層442cの後端は、上側から平面視したときに、線状導体層444,446の後端と重なっている。
ビアホール導体v13は、絶縁体層16c〜16hを上下方向に貫通しており、線状導体層444,446の後端とインダクタ導体層442cの後端とを接続している。
インダクタ導体層442dは、絶縁体層16bの表面上に設けられており、インダクタ導体層430cとインダクタ導体層530cとの間において前後方向に延在する線状導体層である。インダクタ導体層442dの前端は、インダクタ導体層442cの前端と重なっている。インダクタ導体層442dの後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442cの後端よりも後ろ側に位置している。
ビアホール導体v14は、絶縁体層16b〜16hを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層442cの前端とインダクタ導体層442dの前端とを接続している。
インダクタ導体層442eは、絶縁体層16jの表面上に設けられており、接続導体層432と接続導体層532との間において前後方向に延在する線状導体層である。インダクタ導体層442eは、線状導体層448,450を含んでいる。線状導体層448は、絶縁体層16jの中央(対角線の交点)の左側において前後方向に延在している。線状導体層450は、絶縁体層16jの中央(対角線の交点)の右側において前後方向に延在している。これにより、インダクタ導体層442cは、線状導体層448,450とは重なっておらず、線状導体層448と線状導体層450との間に位置している。また、線状導体層448の後端と線状導体層450の後端とは互いに接続されている。また、線状導体層448,450の後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442dの後端と重なっている。
ビアホール導体v15は、絶縁体層16b〜16iを上下方向に貫通しており、インダクタ導体層442dの後端と線状導体層448,450の後端とを接続している。
以上のように、インダクタ導体層442a〜442e及びビアホール導体v10〜v15は、互いに接続されることによりインダクタL2を構成している。これにより、インダクタL2は、左右方向(積層方向に垂直な直交方向)から平面視したときに渦巻状をなしている。本実施形態では、インダクタL2は、左側から平面視したときに、反時計回りに周回しながら、内側から外側へと向かう。
また、インダクタL2は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層442bと外周側のインダクタ導体層442dとを含んでいる。線状導体層444,446の後端は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442dと重なっている。また、線状導体層444の後端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442dに対して左側に位置している。線状導体層446の後端以外の部分は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442dに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層442bの少なくとも一部は、インダクタ導体層442dに対して左右両側にずれて位置している。
また、インダクタL2は、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層442cと外周側のインダクタ導体層442eとを含んでいる。線状導体層448は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442cに対して左側に位置している。線状導体層450は、上側から平面視したときに、インダクタ導体層442cに対して右側に位置している。これにより、インダクタ導体層442eは、インダクタ導体層442cに対して左右両側にずれて位置している。
コンデンサ導体層452は、絶縁体層16kの表面上に設けられている長方形状の導体層である。コンデンサ導体層452は、コンデンサ導体層434とコンデンサ導体層534との間に設けられており、上側から平面視したときに、コンデンサ導体層460と重なっている。これにより、コンデンサ導体層434,460は、コンデンサC2を構成している。
ビアホール導体v16は、絶縁体層16jを上下方向に貫通しており、線状導体層448の前端とコンデンサ導体層452とを接続している。ビアホール導体v17は、絶縁体層16jを上下方向に貫通しており、線状導体層450の前端とコンデンサ導体層452とを接続している。これにより、インダクタL2とコンデンサC2とが電気的に直列に接続されている。また、コンデンサ導体層460がビアホール導体v51〜v54により外部電極14cと接続されているので、コンデンサC2が外部電極14cと接続されている。
以上のように、LC直列共振器LC1は、LC直列共振器LC2に対して左側に設けられている。LC直列共振器LC3は、LC直列共振器LC2に対して右側に設けられている。
(効果)
以上のように構成された電子部品10dは、電子部品10aと同じ効果を奏することができる。
また、電子部品10dでは、インダクタ導体層442b,442eはそれぞれ、互いに電気的に並列接続された2本の線状導体層により構成されている。これにより、インダクタ導体層442b,442eの直流抵抗値が低減され、インダクタL2の直流抵抗値が低減される。その結果、電子部品10dの挿入損失の低減が図られる。なお、インダクタ導体層442b,442eは、3本以上の線状導体層が電気的に並列接続されて構成されていてもよい。
また、電子部品10dでは、線状導体層444は、インダクタ導体層442dに対して左側にずらされているので、インダクタL1に近接するようになる。その結果、線状導体層444とインダクタL1との電磁気的な結合が強くなる。同様に、線状導体層446は、インダクタ導体層442dに対して右側にずらされているので、インダクタL3に近接するようになる。その結果、線状導体層446とインダクタL3との電磁気的な結合が強くなる。同じ理由により、線状導体層448とインダクタL1との電磁気的な結合が強くなり、線状導体層450とインダクタL3との電磁気的な結合が強くなる。すなわち、インダクタL1とインダクタL2との電磁気的な結合度、及び、インダクタL2とインダクタL3との電磁気的な結合度が強くなる。
また、インダクタ導体層442bが線状導体層444,446により構成されている。線状導体層444と線状導体層446との左右方向の間隔が大きくなれば、インダクタ導体層442bの電流経路の長さが長くなる。すなわち、インダクタL2のインダクタンス値が大きくなる。このように、線状導体層444,446の間隔を調整することにより、インダクタL2のインダクタンス値を調整することが可能となる。同じ理由により、線状導体層448,450の間隔を調整することにより、インダクタL2のインダクタンス値を調整することが可能となる。
(その他の実施形態)
本発明に係る電子部品は、電子部品10a〜10dに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
なお、電子部品10a〜10dの構成を任意に組み合わせてもよい。
なお、電子部品10a〜10dにおいて、互いに隣り合う内周側のインダクタ導体層と外周側のインダクタ導体層とが左右方向にずれて位置せず、互いに隣り合わないインダクタ導体層同士が左右方向にずれて位置していてもよい。例えば、電子部品10aにおいて、インダクタ導体層30dが、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30fに対して右側又は左側にずれており、インダクタ導体層30a〜30c,30eが、上側から平面視したときに、インダクタ導体層30fと重なっていてもよい。なお、ビアホール導体に関しても、インダクタ導体層と同じことが言える。