JP6351803B2 - エンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法 - Google Patents

エンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法 Download PDF

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本発明は、発電機能とエンジン始動時のモータ機能を備えたモータジェネレータと、エンジン始動時にモータジェネレータを補助してエンジンのクランキングを行うスタータと、を搭載した車両のエンジン始動制御に関し、特に、エンジン始動時にモータジェネレータとスタータを最適に併用することにより、それぞれの負荷を軽減し、モータジェネレータ、モータジェネレータのインバータ、およびスタータの低コスト化を実現するエンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法に関するものである。
発電機能とエンジン始動機能を備えたモータジェネレータと、エンジン始動時にエンジンのクランキングを行うスタータとが搭載され、設定された条件によりエンジンを自動停止し、再始動の要求によりエンジンを再始動させる、アイドリングストップ機能が搭載された車両が、従来からよく知られている。
この種の車両においては、エンジンと連動するモータジェネレータを用いて、エンジン出力を発電電力に変換するとともに、モータジェネレータとスタータを状況により使い分け、もしくは併用して、エンジンを始動するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、通常運転時には、エンジンの回転出力によりモータジェネレータからバッテリが充電され、エンジン始動時には、バッテリ電力によりモータジェネレータおよびスタータに駆動トルクが供給される。
例えば、特許文献1に記載されたエンジン始動制御装置では、エンジンの温度に関する情報と補機に関する情報のうちの少なくとも一方と、エンジンをクランキングするのに必要なトルク等の情報とに基づいて、モータジェネレータによるクランキングと、スタータによるクランキングと、モータジェネレータとスタータの両方によるクランキングのうちのいずれかを選択して、エンジンを始動することが明記されている。
さらに、特許文献1に記載されたエンジン始動制御装置では、エンジンのクランキング開始後にベルトのスリップ状態(以下、ベルトの滑りと称す)を判定し、始動制御装置は、エンジンのクランキング開始後にベルトの滑りに基づいて、モータジェネレータによるクランキングとスタータによるクランキングのうちの一方を選択して、エンジンを始動完了までクランキングする制御方法が明記されている。
特開2014−134130号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来のエンジン始動制御装置では、エンジン始動においては、所定の条件下では、スタータによりエンジンを始動させ、また、別の所定の条件下では、モータジェネレータによりエンジンを再始動させる制御になっている。さらに、それら以外の所定の条件下では、モータジェネレータとスタータの両方によりエンジンを始動させる制御になっている。
前記のような制御でエンジンを始動させる場合、ベルトの滑りがない場合に、スタータを停止させることとなる。このため、例えば、エンジンのフリクショントルクの大きい低回転領域でスタータを停止させた場合には、スタータの停止に伴い、再度、ベルトの滑りが発生する可能性が懸念される。また、ベルトの滑りがある場合には、スタータのみでエンジンを始動完了させないといけない。すなわち、モータジェネレータを搭載しないタイプの車両に搭載されるスタータと同等の駆動トルクや回転速度を有する、回転性能が必要となる。この結果、モータジェネレータを搭載しないタイプの車両に搭載されるものと同等の機能・サイズが必要になり、モータジェネレータと相まって、エンジン始動制御装置が大型化してしまう問題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、モータジェネレータとスタータとを併用した最適なエンジン始動制御を行うことにより、ベルトの滑りを抑制し、ベルトの耐久性向上と、モータジェネレータとスタータの出力性能の適正化を図り、耐久性向上と小型化を実現することのできるエンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法を得ることを目的としている。
本発明に係るエンジン始動制御装置は、ベルトによりエンジンに常時連結されて、エンジン始動時に駆動トルクを発生させてクランキングを行う第1電動機と、エンジン始動時にギヤによりエンジンに連結されて、補助トルクを発生させてクランキングを行う第2電動機と、エンジン始動時に、第1電動機と第2電動機を併用してエンジンを併用クランキングする始動制御器と、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出器と、第1電動機の回転速度を検出する第1電動機回転速度検出器とを有するエンジン始動制御装置であって、始動制御器は、併用クランキング中にエンジン回転速度検出器により検出されたエンジンの回転速度と、第1電動機回転速度検出器により検出された第1電動機の回転速度との相対回転速度差を導出する機能を有し、エンジンの始動が完了するまで、エンジンの上死点において導出された相対回転速度差が第1の判定用回転速度差よりも大きい場合には、第1電動機の駆動トルクを下げる方向に調整する制御を継続するものである。
また、本発明に係るエンジン始動制御方法は、ベルトによりエンジンに常時連結されて、エンジン始動時に駆動トルクを発生させてクランキングを行う第1電動機と、エンジン始動時にギヤによりエンジンに連結されて、補助トルクを発生させてクランキングを行う第2電動機と、エンジン始動時に、第1電動機と第2電動機を併用してエンジンを併用クランキングする始動制御器と、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出器と、第1電動機の回転速度を検出する第1電動機回転速度検出器とを有するエンジン始動制御装置により実行されるエンジン始動制御方法であって、始動制御器において、エンジンに対してエンジン始動要求が発生したか否かを判定する第1ステップと、第1ステップによりエンジン始動要求が発生したと判定された場合には、第1電動機と第2電動機を併用してエンジンを併用クランキングする第2ステップと、第2ステップにより併用クランキングを開始した後に、エンジン回転速度検出器により検出されたエンジンの回転速度と、第1電動機回転速度検出器により検出された第1電動機の回転速度との相対回転速度差を導出する第3ステップと、エンジンの上死点において、第3ステップで導出された相対回転速度差が第1の判定用回転速度差よりも大きい場合には、第1電動機の駆動トルクを下げる方向に調整する第4ステップとを有し、エンジンの始動が完了するまで、エンジンの上死点において、第3ステップおよび第4ステップを継続するものである。
本発明によれば、併用クランキング中にエンジンとモータジェネレータ(第一電動機)の回転速度を比較することで、ベルトの滑りを検出し、ベルトの滑りが発生しているときは、モータジェネレータ(第一電動機)がベルトの伝達能力以上の駆動トルクを発生させていると判断し、駆動トルクを下げることでベルトの滑りを減少させることのできる構成を備えている。この結果、モータジェネレータとスタータとを併用した最適なエンジン始動制御を行うことにより、ベルトの滑りを抑制し、ベルトの耐久性向上と、モータジェネレータとスタータの出力性能の適正化を図り、耐久性向上と小型化を実現することのできるエンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るエンジン始動制御装置を搭載する車両の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1による始動制御器において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2による始動制御器において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3による始動制御器において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4による始動制御器において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明のエンジン始動制御装置およびエンジン始動制御方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るエンジン始動制御装置を搭載する車両の概略構成を示すブロック図である。図1において、エンジン1は、アイドリングストップのエンジン停止、あるいはエンジン再始動を判断する機能を含む、エンジン1の制御を行うエンジン制御装置(以下、エンジンECUと称する)6により駆動制御されている。
エンジン1のクランクシャフト11には、ベルト12を介して、例えば第1電動機としてのモータジェネレータ2が常時連結されている。また、例えば第2電動機としてのスタータ3の補助トルクの出力部となるピニオン31は、クランクシャフト11と一体となったリングギヤ13に補助トルクを伝達する。そして、このスタータ3は、リングギヤ13に着脱可能な状態で装着されている。なお、以下では、スタータ3から出力される駆動トルクを、補助トルクと称して説明する。
モータジェネレータ2には、モータジェネレータ2の電源として機能するインバータ21が接続されている。さらに、インバータ21は、バッテリ4と、モータジェネレータ2の発電および駆動の制御を行うモータジェネレータ制御回路(以下、MG制御回路と称する)22とに接続されている。
スタータ3は、スタータ3へ電力の供給を行うための電気接点の開閉機能を持った電磁スイッチ32を備えている。そして、電磁スイッチ32は、バッテリ4に接続されている。
MG制御回路22および電磁スイッチ32の励磁端子32aは、それぞれエンジン始動時の制御を行うエンジン始動制御装置5に接続されている。なお、以下では、エンジン始動制御装置5を始動制御器5と称して説明する。
また、始動制御器5は、エンジンECU6に接続されており、エンジン1の始動制御手段を有する。なお、始動制御器5は、エンジンECU6に内蔵される構成とすることも可能である。
さらに、エンジン1は、クランクシャフトの回転角度を検出するクランク角センサー14を備えており、クランク角度信号は、エンジンEUC6に送信されるとともに、エンジンECU6経由か、もしくは、直接に、始動制御器5へ送信される。
ここで、エンジン回転速度検出器としては、例えば、クランク角センサー14の出力信号を演算することにより、エンジン1のクランクシャフトの回転速度を導出する手法を採用することが可能である。
次に、モータジェネレータ2の機能について説明する。モータジェネレータ2は、発電機の機能と、モータの機能の2つの機能を有している。発電機として機能するときは、エンジン1が稼働状態の場合であり、エンジン1の駆動トルクにより、クランクシャフト11からベルト12を介して常時回転している状態で、MG制御回路22によって制御されるインバータ21で発電電力を整流して、バッテリ4の充電を行っている。
また、モータとして機能するときは、エンジン1へ駆動トルクを供給する場合であり、バッテリ4の電力を使用し、MG制御回路22によって制御されるインバータ21を介して電力供給を受け、モータとして駆動される。さらに、ベルト12を介してクランクシャフト11へ駆動トルクが伝達され、エンジン1が駆動される。
なお、モータジェネレータ2は、エンジン1の始動が完了した後には、モータの機能を停止し、発電機の機能を開始する。また、エンジン1へ駆動トルクを供給するときは、エンジン1の始動時と、エンジン1の発生トルクを補うトルクアシスト時の2つがある。
ここで、第1電動機回転速度検出器であるモータジェネレータ回転速度検出器としては、例えば、インバータ21でのモータジェネレータ2駆動用の電流周波数などの情報から演算することにより、モータジェネレータ2の回転速度を導出する手法を採用することが可能である。
次に、スタータ3の機能について説明する。スタータ3は、エンジン始動時に使用され、電磁スイッチ32の励磁端子32aに電圧が印加されることにより、電磁スイッチ32の電気接点が閉路されて、スタータ3のモータ部へ電力が供給されるとともに、ピニオン31がリングギヤ13側へ移動する。そして、リングギヤ13とピニオン31が噛合うことにより、スタータ3のモータ部で発生する補助トルクが、クランクシャフト11へ伝達され、エンジン1を駆動する。
モータ部の出力軸とピニオン31を含むピニオン移動体とは、モータ部が回転駆動したときに、ピニオン移動体が静止位置からリングギヤ13側への推進力が発生する角度を持ったヘリカルスプラインで係合されている。
エンジン1側でスタータ3の補助トルクが不要となった場合には、励磁端子32aの電圧の印加が解消される。これにより、ピニオン31がリングギヤ13と噛合っている状態が解消されるとともに、電磁スイッチ32の電気接点が開路されて、スタータ3のモータ部への電力の供給がなくなる。
モータジェネレータ2は、エンジン始動時には、MG制御回路22やインバータ21によって駆動されるモータとして機能する。そして、モータジェネレータ2からエンジン1への駆動トルクの伝達は、ベルト12で行われる。この場合、低温時や駆動トルクが大きい時のベルト12の滑りが懸念される。
次に、本実施の形態1における始動制御器5による一連動作について説明する。図2は、本発明の実施の形態1による始動制御器5において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS110において、始動制御器5は、エンジンECU6へ入力されるエンジンおよび車両の運転状態等を示す運転状態信号に基づいて、エンジン1の始動のためのエンジン始動要求があるか否かを判定する。
そして、ステップS110での判定の結果、エンジン始動要求がない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン始動要求があるまで、状態を維持して待機する。一方、ステップS110での判定の結果、エンジン始動要求がある場合(YES)には、ステップS111に進む。
そして、ステップS111において、始動制御器5は、電磁スイッチ32を駆動して電気接点を閉路する。この結果、モータ回路に通電がなされることにより、電流がスタータ3のモータ部に供給され、モータ部に補助トルクが発生し、スタータ3が起動される。
また、電磁スイッチ32を駆動して電気接点を閉路することによって、ピニオン31は、リングギヤ13に噛み合う位置に移動する。その結果、モータ部の補助トルクが、噛み合ったピニオン31とリングギヤ13とを介してクランクシャフト11に伝達され、エンジン1を回転駆動することとなる。そして、燃料噴射が開始される。
さらに、ステップS111において、始動制御器5は、バッテリ4の電力を使用して、MG制御回路22によって制御されるインバータ21を介して、モータジェネレータ2へ電力を供給する。この結果、モータジェネレータ2は、モータとして駆動され、ベルト12を介してクランクシャフト11へ駆動トルクを伝達することで、エンジン1を駆動する。
このようなエンジン始動後、エンジンECU6は、クランク角センサー14からのクランク角信号により得られる現在のクランク角度およびクランク角信号の周期に基づいて、エンジン1の回転速度、つまり、リングギヤ13の回転速度を演算して、監視している。
始動制御器5は、ステップS111において、スタータ3とモータジェネレータ2による併用クランキングを開始した後、ステップS112において、現在のクランク角度をモニターし、上死点付近でのエンジン1の回転速度が、判定用として設定された所定の回転速度以上か否かを判定する。
ここで、本実施の形態1において、所定の回転速度を、例えば、エンジン1のクランク角度が上死点のときのスタータ3の回転速度とした場合には、始動制御器5は、ステップS112において、上死点でのエンジン1の回転速度が、そのときのスタータ3の回転速度以上か否かを判定することになる。
このとき、エンジン1の回転速度とスタータ3の回転速度は、リングギヤ13の歯数とピニオン31の歯数による回転速度の相関性を考慮した回転速度同士で比較される。
そして、ステップS112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、そのときのスタータ3の回転速度以上である場合(YES)には、ステップS113に進み、始動制御器5は、スタータ3を停止させる。すなわち、ピニオン31がリングギヤ13と噛合っている状態が解消されるとともに、電磁スイッチ32の電気接点が開路されて、スタータ3のモータ部への電力の供給がなくなる。
スタータ3を停止させた後、ステップS114において、始動制御器5は、エンジン1が完爆したか否か、すなわち、エンジン1が始動完了したか否かの判定を行う。ステップS114での判定の結果、エンジン1が始動完了していない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン1が始動完了する判定が行われるまで、状態を維持して待機する。
一方、ステップS114での判定の結果、エンジン1が完爆している場合(YES)には、ステップS115へと進む。そして、ステップS115において、始動制御器5は、MG制御回路22によるモータジェネレータ2への電力供給を停止し、モータの機能を停止させる。
一方、先のステップS112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、そのときのスタータ3の回転速度以上でない場合(NO)には、ステップS123に進み、始動制御器5は、エンジン1が完爆したか否か、すなわち、エンジン1が始動完了したか否かの判定を行う。
ステップS123での判定の結果、エンジン1が始動完了していない場合(NO)には、再度ステップS112に戻り、始動制御器5は、上死点でのエンジン1の回転速度とその時のスタータ3の回転速度を比較し、上死点でのエンジン1の回転速度が、そのときのスタータ3の回転速度以上か否かを判断する。
一方、ステップS123での判定の結果、エンジン1が完爆している場合(YES)には、ステップS124へと進む。そして、ステップS124において、始動制御器5は、スタータ3を停止させ、さらにMG制御回路22によるモータジェネレータ2への電力供給を停止し、モータの機能を停止させる。
これらの一連処理により、エンジン始動における、モータジェネレータ2とスタータ3による併用始動制御が終了する。
このように構成された始動制御器5によれば、以下の特徴を実現できる。
(特徴1)併用クランキング中にエンジン1の回転速度が落ち込む上死点付近の回転速度が、スタータ3の補助トルクが有効でない所定の回転速度以上であれば、スタータ3を停止できると判断できる。
特に、所定の回転速度を、エンジン1のクランク角度が上死点のときのスタータ3の回転速度とすることで、所定の回転速度以上の時点において、スタータ3がエンジン始動に不要と判断できる。つまり。モータジェネレータ2の駆動トルクのみでクランキングしている状態であると判断できるため、スタータ3を停止させても差し支えないことになる。
以上の結果、実施の形態1によれば、以下の2点の効果を得ることができる。
(効果1)スタータを早く停止させることができることで、スタータの使用時間の短縮化を図ることができる。この結果、スタータの劣化が抑制され、スタータの耐久性向上の効果が得られる。
(効果2)エンジン完爆回転域では、モータジェネレータの駆動トルクが働いていることとなる。このことにより、スタータによる補助トルクが要求されなくなるので、スタータを低回転・小出力仕様とすることができ、小型化の効果が得られる。
なお、上述した実施の形態1では、所定の回転速度を、エンジン1のクランク角度が上死点のときのスタータ3の回転速度であるとして説明した。この場合、スタータ3の回転速度は、実際のスタータ3の回転速度を測定して用いてもよい。ただし、実際のスタータ3の回転速度を測定して用いる場合には、スタータ3の回転速度を測定する回転センサーが、別途、必要になる。
そこで、スタータ3の回転速度を測定する回転センサーを用いない形でスタータ3の回転速度を得る、以下のような手法を採用することもできる。この手法においては、スタータ3の特性に応じて、スタータ3の起動時点を起点とした所定の時間毎に、スタータ回転速度をスタータ回転速度マップとしてあらかじめ設定して備えておく。そして、エンジン1のクランク角度が上死点時のスタータ3の回転速度を、あらかじめ設定したスタータ回転速度マップのデータより補完により導出することができる。
既存のシステムにおいて、エンジン1とモータジェネレータ2の回転速度は、モニターできるが、スタータ3の回転速度は、モニターできない。このため、起動からの時間に対応した回転速度マップをあらかじめ用意することで、回転センサーを追加する必要がなくなり、システムの低コスト化の効果が得られる。
さらに、スタータ回転速度マップは、エンジン水温またはエンジンオイル温度など、エンジン1に係る温度において、所定の温度毎に対応した複数のマップデータとすることができる。このように複数のマップデータを用いることで、温度変化によるスタータ3の特性変化、およびエンジン1のフリクショントルクの変化を考慮して、適切なデータを設定することができ、より精度のよい制御が可能となる効果が得られる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、所定の回転速度を、その時点のスタータ3の回転速度とする場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、所定の回転速度を、あらかじめ設定された一定の回転速度とする場合について説明する。
図3は、本発明の実施の形態2による始動制御器5において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。先の実施の形態1における図2のフローチャートと比較すると、本実施の形態2における図3のフローチャートは、ステップS112の処理内容が異なるとともに、ステップS123、ステップS124を不要としている点が異なっている。そこで、これらの相違点を中心に、以下に説明する。
本実施の形態2における図3のステップS112において、始動制御器5は、現在のクランク角度をモニターし、上死点付近でのエンジン1の回転速度が、所定の回転速度以上か否かを判定する。
ここで、本実施の形態2において、所定の回転速度を、例えば、スタータ3の特性から得られる無負荷回転速度とした場合には、始動制御器5は、ステップS112において、上死点でのエンジン1の回転速度が、スタータ3の無負荷回転速度以上か否かを判定することになる。
このとき、エンジン1の回転速度とスタータ3の回転速度は、リングギヤ13の歯数とピニオン31の歯数による回転速度の相関性を考慮した回転速度同士で比較される。
ステップS112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、あらかじめ設定された所定の回転速度以上でない場合(NO)には、上死点でのエンジン1の回転速度が、あらかじめ設定された所定の回転速度以上になるまで、状態を維持して待機する。
一方、ステップS112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、あらかじめ設定された所定の回転速度以上である場合(YES)には、ステップS113に進み、先の実施の形態1と同様の処理を行うこととなり、説明を省略する。
このように構成された始動制御器5によれば、以下の特徴を実現できる。
(特徴1)所定の回転速度を、スタータ3の無負荷回転速度以上、つまり、スタータ3が補助トルクを発生できない回転速度以上とすることで、その時点において、スタータ3がエンジン始動に不要か否かを判断できる。換言すると、モータジェネレータ2の駆動トルクのみでクランキングしている状態であることを判断できるため、スタータ3を停止させても差し支えないことになる。
以上の結果、実施の形態2によれば、以下の3点の効果を得ることができる。
(効果1)スタータを早く停止させることができることで、スタータの使用時間の短縮化を図ることができる。この結果、スタータの劣化が抑制され、スタータの耐久性向上の効果が得られる。
(効果2)エンジン完爆回転域では、モータジェネレータの駆動トルクが働いていることとなる。このことにより、スタータによる補助トルクが要求されなくなるので、スタータを低回転・小出力仕様とすることができ、小型化の効果が得られる。
(効果3)さらに、上死点でのエンジン1の回転速度を、スタータの無負荷回転速度である一定値と比較することができる。この結果、制御がシンプルになり、制御性向上の効果が得られるとともに、回転センサーを追加する必要がないので、システムの低コスト化の効果が得られる。
なお、スタータの無負荷回転速度である所定の回転速度は、エンジン水温またはエンジンオイル温度など、エンジン1に係る温度において、所定の温度毎に対応した複数のデータとすることができる。このように複数のデータを用いることで、温度変化によるスタータ3の特性変化、およびエンジン1のフリクショントルクの変化を考慮して、適切なデータを設定することができ、より精度のよい制御が可能となる効果が得られる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、上死点でのエンジン1の回転速度が所定の回転速度以上であるか否かを判定するステップS112を有する併用始動制御について説明した。これに対して、本実施尾形態3では、ステップS112とは別の判断ステップを有する併用始動制御について説明する。
図4は、本発明の実施の形態3による始動制御器5において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。先の実施の形態1における図2のフローチャートと比較すると、本実施の形態3における図4のフローチャートは、ステップS113〜ステップS115の処理の代わりに、ステップS120、ステップS122を備えている点が異なっている。そこで、これらの相違点を中心に、以下に説明する。
ステップS110において、始動制御器5は、エンジンECU6へ入力されるエンジンおよび車両の運転状態等を示す運転状態信号に基づいて、エンジン1の始動のためのエンジン始動要求があるか否かを判定する。
そして、ステップS110での判定の結果、エンジン始動要求がない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン始動要求があるまで、状態を維持して待機する。一方、ステップS110での判定の結果、エンジン始動要求がある場合(YES)には、ステップS111に進む。
そして、ステップS111において、始動制御器5は、電磁スイッチ32を駆動して電気接点を閉路する。この結果、モータ回路に通電がなされることにより、電流がスタータ3のモータ部に供給され、モータ部に補助トルクが発生し、スタータ3が起動される。
また、電磁スイッチ32を駆動して電気接点を閉路することによって、ピニオン31は、リングギヤ13に噛み合う位置に移動する。その結果、モータ部の補助トルクが、噛み合ったピニオン31とリングギヤ13とを介してクランクシャフト11に伝達され、エンジン1を回転駆動することとなる。そして、燃料噴射が開始される。
さらに、ステップS111において、始動制御器5は、バッテリ4の電力を使用して、MG制御回路22によって制御されるインバータ21を介して、モータジェネレータ2へ電力を供給する。この結果、モータジェネレータ2は、モータとして駆動され、ベルト12を介してクランクシャフト11へ駆動トルクを伝達することで、エンジン1を駆動する。
このようなエンジン始動後、エンジンECU6は、クランク角センサー14からのクランク角信号により得られる現在のクランク角度およびクランク角信号の周期に基づいて、エンジン1の回転速度、つまり、リングギヤ13の回転速度を演算して、監視している。
始動制御器5は、ステップS111において、スタータ3とモータジェネレータ2による併用クランキングを開始した後、ステップS120において、エンジン1の回転速度とモータジェネレータ2の回転速度をモニターする。さらに、始動制御器5は、エンジン1の回転速度とモータジェネレータ2の回転速度との相対回転速度差を導出し、導出した相対回転速度差が、判定用として設定された第1所定の回転速度差以下であるか否かを判断する。
つまり、この相対回転速度差は、エンジン1とモータジェネレータ2を常時連結しているベルト12の滑りに相当し、このベルト12の滑りに対する許容値が、第1所定の回転速度差としてあらかじめ設定されている。
このとき、エンジン1の回転速度とモータジェネレータ2の回転速度は、ベルト12を掛けられた各プーリのプーリ比による回転速度の相関性を考慮した回転速度同士で比較される。
そして、ステップS120での判定の結果、相対回転速度差が、第1所定の回転速度差以下である場合(YES)には、ステップS123に進み、始動制御器5は、エンジン1が完爆したか否か、すなわち、エンジン1が始動完了したか否かの判定を行う。
一方、相対回転速度差が第1所定の回転速度差以下でない場合(NO)には、ステップS122に進み、始動制御器5は、モータジェネレータ2の駆動トルクを低減させた後、ステップS124に進み、エンジン1が完爆したか否かを判断する。
このステップS122におけるモータジェネレータ2の駆動トルクの低減量は、相対回転速度差に応じて低減されるか、もしくはあらかじめ設定された所定のトルク値を用いて低減されるものとする。
低減量が相対回転速度差に応じて低減される場合には、現時点のトルク指令値から相対回転数差に応じたトルク指令値へ変更することになる。また、あらかじめ設定された所定のトルク値を用いて低減される場合には、現時点のトルク指令値から所定のトルク値を減じたトルク指令値へ変更することになる。
ステップS123での判定の結果、エンジン1が始動完了していない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン1が始動完了する判定が行われるまで、再度、ステップS120からの制御を実施する。
一方、ステップS123での判定の結果、エンジン1が完爆している場合(YES)には、ステップS124へと進む。そして、ステップS124において、始動制御器5は、スタータ3を停止させる。すなわち、ピニオン31がリングギヤ13と噛合っている状態が解消されるとともに、電磁スイッチ32の電気接点が開路されて、スタータ3のモータ部への電力の供給がなくなる。さらに、始動制御器5は、MG制御回路22によるモータジェネレータ2への電力供給を停止し、モータの機能を停止させる。
これらの一連処理により、エンジン始動における、モータジェネレータ2とスタータ3による併用始動制御が終了する。
このように構成された始動制御器5によれば、以下の特徴を実現できる。
(特徴1)併用クランキング中にエンジン1とモータジェネレータ2の回転速度を比較することで、ベルト12の滑りを検出できる。そして、ベルト12の滑りが発生しているときは、モータジェネレータ2がベルト12の伝達能力以上の駆動トルクを発生させていると判断でき、駆動トルクを下げることで、ベルト12の滑りを減少させることができる。よって、不要な電力消費を抑え、ベルト12やプーリ等の機構部品の消耗を抑制することができる。
(特徴2)ベルト12の滑りだけの判断でスタータ3を停止させるのではなく、完爆判定を経て、スタータ3を停止させている。この結果、スタータ3の停止に伴い、再度、ベルト12の滑りが発生することを抑制することができる。
(特徴3)さらに、併用クランキング中にエンジン1の回転速度が落ち込む上死点付近の回転速度が、スタータ3の補助トルクが有効でない回転速度以上であれば、スタータ3を停止できると判断できる。つまり、モータジェネレータ2の駆動トルクのみでクランキングしている状態であると判断できるため、スタータ3を停止させても差し支えないことになる。
以上の結果、実施の形態3によれば、以下の2点の効果を得ることができる。
(効果1)スタータを早く停止させることができることで、スタータの使用時間の短縮化を図ることができる。この結果、スタータの劣化が抑制され、スタータの耐久性向上の効果が得られる。
(効果2)エンジン完爆までスタータを使用する頻度が減少する上、エンジン完爆回転域では、モータジェネレータの駆動トルクが働いていることとなる。このことにより、スタータによる補助トルクが要求されなくなるので、スタータ3を低回転・小出力仕様とすることができ、小型化の効果が得られる。
なお、上述した実施の形態3では、ステップS122でモータジェネレータ2の駆動トルク指令値を変更させる制御としたが、直接的にモータジェネレータ2の電流を変更させる制御としても、同様の効果が得られる。
さらに、相対回転速度差を判断するに当たっては、上死点付近のエンジン1の負荷が大きくなり回転速度が落ち込むときのエンジン1の回転速度とモータジェネレータ2の回転速度から、判断する制御としてもよい。この場合、ベルト12の滑りが最も大きく発生しやすい、上死点付近での相対回転速度差を確認することで、相対回転速度を常時確認する必要がなく、より効率よく判断ができ、制御性向上の効果が得られる。
さらに、第1所定の回転速度差以下の値として判定用に設定された第2所定の回転速度差を用いて、相対回転速度差がこの第2所定の回転速度差以下の場合には、始動制御器5は、ベルト12の滑りの発生がないと判断してスタータ3を停止し、モータジェネレータ2のみでのクランキングを実施してもよい。
この場合、スタータ3を早く停止させることで、スタータ3の使用時間の短縮化を図ることにより、スタータの劣化が抑制される。さらに、エンジン完爆までスタータを使用する頻度が減少し、完爆回転域での補助トルクが要求されなくなるため、低回転仕様とすることができる。よって、低耐久・低回転仕様による低コスト化の効果が得られる。
また、相対回転速度差が第1所定の回転速度差以下になり、ベルト12の滑りが許容値以下となった場合には、始動制御器5は、現時点のトルク指令値から所定のトルク上昇値を加算したトルク指令値へ変更する制御を実施して、段階的にトルク指令値を上昇させてもよい。このとき、トルク指令値の上昇は、ベルト12の滑り状況である相対回転速度差をモニターしながら、比較的ゆるやかに上昇させることが望ましい。
実施の形態4.
本実施の形態4では、先の実施の形態3におけるエンジン始動のための併用始動制御に対して、上死点付近でのエンジン1の回転速度が、所定の回転速度以上か否かを判定して、スタータ3を停止する先の実施の形態1または2の制御を追加する場合について説明する。
図5は、本発明の実施の形態4による始動制御器5において実行される、併用始動制御の流れを示すフローチャートである。本実施の形態4における図5のフローチャートは、先の実施の形態1における図2のフローチャートと、先の実施の形態3における図4のフローチャートを組合せるとともに、ステップS121をさらに追加した構成となっている。
ステップS110、ステップS111については、先の実施の形態3と同一であるため、説明を省略する。
ステップS120での判定の結果、相対回転速度差が、第1所定の回転速度差以下である場合(YES)には、ステップ121に進み、始動制御器5は、相対回転速度差が第2所定の回転速度差以下であるか否かを判断する。ここで、第2所定の回転速度差は、第1所定の回転速度差以下に設定されている。
一方、相対回転速度差が、第1所定の回転速度差以下でない場合(NO)には、ステップS122に進み、始動制御器5は、モータジェネレータ2の駆動トルクを低減させた後、ステップS123に進む。
ステップS121での判定の結果、相対回転速度差が第2所定の回転速度差以下である場合(YES)には、ステップ112に進み、始動制御器5は、現在のクランク角度をモニターし、上死点でのエンジン1の回転速度が、所定の回転速度以上か否かを判断する。
一方、ステップS121での判定の結果、相対回転速度差が第2所定の回転速度差以下でない場合(NO)には、ステップS123に進む。
ステップ112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、所定の回転速度以上である場合(YES)には、ステップS113に進み、始動制御器5は、スタータ3を停止させる。すなわち、ピニオン31がリングギヤ13と噛合っている状態が解消されるとともに、電磁スイッチ32の電気接点が開路されて、スタータ3のモータ部への電力の供給がなくなる。
一方、ステップ112での判定の結果、上死点でのエンジン1の回転速度が、所定の回転速度以上でない場合(NO)には、ステップS123に進む。
始動制御器5は、ステップ113において、スタータ3を停止させた後、ステップS114において、エンジン1が完爆したか否か、すなわち、エンジン1が始動完了したか否かの判定を行う。ステップS114での判定の結果、エンジン1が始動完了していない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン1が始動完了する判定が行われるまで、状態を維持して待機する。
一方、ステップS114での判定の結果、エンジン1が完爆している場合(YES)には、ステップS115へと進む。そして、ステップS115において、始動制御器5は、MG制御回路22によるモータジェネレータ2への電力供給を停止し、モータの機能を停止させる。
一方、ステップ123に進んだ場合には、始動制御器5は、エンジン1が完爆したか否かの判定を行う。ステップS123での判定の結果、エンジン1が始動完了していない場合(NO)には、始動制御器5は、エンジン1が始動完了する判定が行われるまで、再度、ステップS120からの制御を実施する。
一方、ステップS123での判定の結果、エンジン1が完爆している場合(YES)には、ステップS124へと進む。そして、ステップS124において、始動制御器5は、スタータ3を停止させる。すなわち、ピニオン31がリングギヤ13と噛合っている状態が解消されるとともに、電磁スイッチ32の電気接点が開路されて、スタータ3のモータ部への電力の供給がなくなる。
さらに、始動制御器5は、MG制御回路22によるモータジェネレータ2への電力供給を停止し、モータの機能を停止させる。これらの一連処理により、エンジン始動における、モータジェネレータ2とスタータ3による併用始動制御が終了する。
このように構成された始動制御器5によれば、以下の特徴を実現できる。
(特徴1)併用クランキング中にエンジン1とモータジェネレータ2の回転速度を比較することで、ベルト12の滑りを検出できる。そして、ベルト12の滑りが発生しているときは、モータジェネレータ2がベルト12の伝達能力以上の駆動トルクを発生させていると判断でき、駆動トルクを下げることで、ベルト12の滑りを減少させることができる。よって、不要な電力消費を抑え、ベルト12やプーリ等の機構部品の消耗を抑制することができる。
(特徴2)ベルト12の滑りだけの判断でスタータ3を停止させるのではなく、完爆判定を経て、スタータ3を停止させている。この結果、スタータ3の停止に伴い、再度、ベルト12の滑りが発生することを抑制することができる。
(特徴3)さらに、第1所定の回転速度差以下の値に設定された第2所定の回転速度差と相対回転速度差とを比較することで、ベルト12の滑りが少ないもしくはほぼないと判断した上で、併用クランキング中にエンジン1の回転速度が落ち込む上死点付近の回転速度が、スタータ3の補助トルクが有効でない回転速度以上であれば、スタータ3を停止できると判断できる。つまり、モータジェネレータ2の駆動トルクのみでクランキングしている状態であると判断できるため、スタータ3を停止させても差し支えないことになる。
以上の結果、実施の形態4によれば、以下の2点の効果を得ることができる。
(効果1)スタータを早く停止させることができることで、スタータの使用時間の短縮化を図ることができる。この結果、スタータの劣化が抑制され、スタータの耐久性向上の効果が得られる。
(効果2)エンジン完爆までスタータを使用する頻度が減少する上、エンジン完爆回転域では、モータジェネレータの駆動トルクが働いていることとなる。このことにより、スタータによる補助トルクが要求されなくなるので、スタータ3を低回転・小出力仕様とすることができ、小型化の効果が得られる。
なお、第2所定の回転速度差は、第1所定の回転速度差よりも小さい値にして、ベルト12の滑りに対する安全率を大きく設定してもよいし、すでに第1所定の回転速度で十分な安全率を有するときは、同じ値としても差し支えない。
また、図5におけるステップS112は、先の実施の形態1における図2のステップS112の代わりに、先の実施の形態2における図3のステップS112を用いることもできる。
上述した実施の形態1〜4におけるエンジン1の始動においては、併用始動制御手段の具体例を説明した。しかしながら、始動制御器5は、モータジェネレータ2のみでエンジン1をクランクングする単独始動制御手段も備えている。従って、併用始動制御手段と単独始動制御手段の2つの始動制御手段を、所定の条件に応じて使い分けることも可能である。
例えば、エンジン水温またはエンジンオイル温度など、エンジン1に係る温度において、所定温度以下のときに併用始動制御が実施され、所定温度より高い温度域のときには、単独始動制御のモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が実施されるように使い分けてもよい。
また、車両の状態に応じて、自動でエンジン1を停止・再始動させるアイドリングストップ機能が搭載された車両において、運転手のキー操作によるエンジン1の始動時には、併用始動制御が実施され、アイドリングストップによるエンジン1の停止状態からの再始動時には、単独始動制御のモータジェネレータ2によるエンジン1の始動が実施されるように使い分けてもよい。
このような、併用始動制御手段と単独始動制御手段の2つの始動制御手段を所定の条件に応じて使い分ける制御とした場合には、エンジン1の始動制御方法としては、併用始動制御手段とモータジェネレータ2での単独始動制御手段の2つしかない。このため、スタータ3が単独でエンジン1の始動を完了させることがない。よって、スタータ3の小出力化・低回転仕様化による小型化・低コスト化の効果が得られる。
また、ベルト12の滑りが発生しやすく、エンジン1のフリクショントルクが大きくなる、エンジン温度が所定の温度以下では、併用始動制御を実施し、ベルト12の滑りが発生しにくく、エンジン1のフリクショントルクが小さくなる、エンジン温度が所定の温度を超える高温時では、単独始動制御を実施するように使い分けてもよい。
このように、温度に応じて2つの始動制御手段を使い分けることで、モータジェネレータ2とスタータ3は、それぞれで、低温時の大きなフリクショントルクに対応する必要がなく、ベルト12の滑りも抑制される。よって、モータジェネレータ2とスタータ3の小出力化による小型化・低コスト化の効果と、ベルト12の耐久性向上の効果が得られる。
また、上述した実施の形態1〜4におけるエンジン1の併用始動制御において、始動制御器5は、ステップ111でスタータ3とモータジェネレータ2をともに起動する説明を行った。このとき、スタータ3の起動と同時にモータジェネレータ2を起動してもよいし、スタータ3の起動に対して前後してモータジェネレータ2を起動しても、どちらでもよく、本発明の効果は、同様に得られる。
ただし、始動初期は、モータジェネレータ2を起動してクランキングを開始し、遅れ時間を設けてスタータ3を起動する場合には、すでに回転を始めているリングギヤ13にスタータ3のピニオン31を噛合せることになる。このため、スタータ3の起動と同時にモータジェネレータ2を起動するか、スタータ3の起動に対して遅れ時間を設けてモータジェネレータ2を起動することが望ましい。
例えば、スタータ3のみでクランキングを開始し、スタータ3の起動により発生するラッシュ電流が収まる時間以降か、または、スタータ3が起動された後のエンジン1の第1圧縮工程を経過した以降に、モータジェネレータ2を起動する制御としてもよい。
この場合には、電圧降下時にモータジェネレータ2を使用しないことによる、さらなる電圧降下の抑制が可能になる。この結果、モータジェネレータ2を駆動するインバータやモータ制御回路が、電圧降下によりリセットしてしまうことを防止できる。
また、低温時の最も負荷の大きい領域でモータジェネレータ2を使用せず、停止状態からの起動を行わないことが可能となる。この結果、駆動トルク・電流を抑制でき、モータジェネレータ2やインバータ21の大型化を抑制できる効果が得られる。
さらに、上述した実施の形態1〜4におけるスタータ3の停止においては、エンジン1のピストンストロークが下死点の直前のストローク域から上死点の直後のストローク域までを含むストローク域にあるかを予測し、スタータ3とエンジン1の連結を解除する時点を決定し、連結の解除を実施することができる。このような解除処理を実行することにより、連結解除時の異音の発生を抑制することができる。
さらに、上述した実施の形態1、2、4におけるスタータ3は、生涯にわたって、エンジン1の完爆判定の回転速度まで回転することがなく、リングギヤ側から回転駆動されることがない。このため、通常は備えられているワンウェイクラッチを備えていなくても、モータ部が高回転により破損することがない。この結果、ワンウェイクラッチをなくすことで、さらなる低コスト化の効果が得られる。
また、上述した実施の形態1〜4では、モータジェネレータ2とスタータ3への電力の供給は、1つのバッテリ4で行い、モータジェネレータ2とスタータ3が同じ電圧で使用されるシステムとして説明している。しかしながら、本発明は、このような場合に限定されるものではなく、例えば、モータジェネレータ2がスタータ3に比べ高電圧で使用される仕様に対しても、適用可能である。
このような仕様の場合には、例えば、バッテリ4とスタータ3の間には、バッテリ4の電圧を降圧する降圧DC/DCコンバータが必要となる。また、モータジェネレータ2とスタータ3のそれぞれには、別々のバッテリが接続されていて、その電圧においては、特に制限されない構成であってもよい。また、バッテリではなく、キャパシタ等の別の電源であってもよい。
1 エンジン、2 モータジェネレータ(第1電動機)、3 スタータ(第2電動機)、4 バッテリ、5 エンジン始動制御装置、6 エンジン制御装置(エンジンECU)、11 クランクシャフト、12 ベルト、13 リングギヤ、14 クランク角センサー、21 インバータ、22 モータジェネレータ制御回路(MG制御回路)、31 ピニオン、32 電磁スイッチ。

Claims (3)

  1. ベルトによりエンジンに常時連結されて、エンジン始動時に駆動トルクを発生させてクランキングを行う第1電動機と、
    前記エンジン始動時にギヤにより前記エンジンに連結されて、補助トルクを発生させてクランキングを行う第2電動機と、
    前記エンジン始動時に、前記第1電動機と前記第2電動機を併用して前記エンジンを併用クランキングする始動制御器と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出器と、
    前記第1電動機の回転速度を検出する第1電動機回転速度検出器と
    を有するエンジン始動制御装置であって、
    前記始動制御器は、
    前記併用クランキング中に前記エンジン回転速度検出器により検出された前記エンジンの回転速度と、前記第1電動機回転速度検出器により検出された前記第1電動機の回転速度との相対回転速度差を導出する機能を有し、
    前記エンジンの始動が完了するまで、前記エンジンの上死点において導出された前記相対回転速度差が第1の判定用回転速度差よりも大きい場合には、前記第1電動機の前記駆動トルクを下げる方向に調整する制御を継続する
    エンジン始動制御装置。
  2. 前記相対回転速度差は、所定の判定用回転速度差よりも小さく、
    前記始動制御器は、前記併用クランキング中に前記エンジン回転速度検出器により検出された前記エンジンの上死点での回転速度が、判定用回転速度以上であると判定した場合には、前記第2電動機と前記エンジンとの前記ギヤによる連結を解除するとともに、前記第2電動機を停止させる
    請求項1に記載のエンジン始動制御装置。
  3. ベルトによりエンジンに常時連結されて、エンジン始動時に駆動トルクを発生させてクランキングを行う第1電動機と、
    前記エンジン始動時にギヤにより前記エンジンに連結されて、補助トルクを発生させてクランキングを行う第2電動機と、
    前記エンジン始動時に、前記第1電動機と前記第2電動機を併用して前記エンジンを併用クランキングする始動制御器と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出器と、
    前記第1電動機の回転速度を検出する第1電動機回転速度検出器と
    を有するエンジン始動制御装置により実行されるエンジン始動制御方法であって、
    前記始動制御器において、
    前記エンジンに対してエンジン始動要求が発生したか否かを判定する第1ステップと、
    前記第1ステップにより前記エンジン始動要求が発生したと判定された場合には、前記第1電動機と前記第2電動機を併用して前記エンジンを併用クランキングする第2ステップと、
    前記第2ステップにより併用クランキングを開始した後に、前記エンジン回転速度検出器により検出された前記エンジンの回転速度と、前記第1電動機回転速度検出器により検出された前記第1電動機の回転速度との相対回転速度差を導出する第3ステップと、
    前記エンジンの上死点において、前記第3ステップで導出された前記相対回転速度差が第1の判定用回転速度差よりも大きい場合には、前記第1電動機の駆動トルクを下げる方向に調整する第4ステップと
    を有し、
    前記エンジンの始動が完了するまで、前記エンジンの上死点において、前記第3ステップおよび前記第4ステップを継続する
    エンジン始動制御方法。
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