以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1は、プリンタ1の概略構成を示す断面図である。図1では、プリンタ1が備える各構成要素の内で、説明のために必要な部分のみを示し、その他の構成要素については省略している。
プリンタ1は、主な構成要素として、ロール紙ホルダ2、ヘッド3、供給側リボンローラ4A、巻取側リボンローラ4B、切断部5、プラテンローラ9、排出ローラ14、リボンガイドローラ15、グリップローラ17、ピンチローラ18などを有する。これらの各構成要素は、筐体7の中に配置されている。
プリンタ1は、インクリボン4に塗布されたインクをロール状の用紙10に転写して画像を印刷する熱転写プリンタである。プリンタ1は、ヘッド3に対して用紙10を往復動させることにより、用紙10の同一領域上に、例えばイエロー、マゼンタおよびシアンの複数色およびオーバーコートをインクリボン4から順次転写する。印刷された用紙10は、切断部5により切断されて、プリンタ1の前面12に設けられた排出口6からプリンタ1の外部に排出される。なお、以下では、画像を印刷(プリント)することを「印画」ともいう。
ロール紙ホルダ2は、ロール状に巻かれた用紙10を保持する。用紙10の材質は、熱転写プリンタに使用可能なものであれば特に限定されない。ロール紙ホルダ2は、用紙駆動部22によって正方向または逆方向に駆動され、その中心軸の周りに回転する。ロール紙ホルダ2が正方向に回転することにより、用紙10は、ヘッド3とプラテンローラ9の間を通過して、排出口6に向けて搬送される。また、ロール紙ホルダ2が逆方向に回転することにより、用紙10はロール紙ホルダ2に巻き戻される。
供給側リボンローラ4Aと巻取側リボンローラ4Bは、インクリボン4を保持する。これらのローラは、インクリボン駆動部24によって駆動され、それぞれの中心軸の周りに回転する。この駆動により、インクリボン4は、供給側リボンローラ4Aから供給され、リボンガイドローラ15を介してヘッド3とプラテンローラ9の間を通過して、巻取側リボンローラ4Bに巻き取られる。
インクリボン4は、例えば、イエロー、マゼンタおよびシアンの各インク領域ならびにオーバーコートの領域が同じ順序で長手方向に繰り返し配置された帯状のシートである。ただし、インクリボン4はこのような複数色のインクを含むシートに限らず、単色のインクのみを含むシートであってもよい。
ヘッド3は、プラテンローラ9に対して移動可能に構成され、印画時には、インクリボン4と用紙10を間に挟んだ状態でプラテンローラ9に押圧される。ヘッド3は、内蔵された複数の発熱体を発熱させて、インクリボン4上の各色インクとオーバーコートを用紙10の同一領域上に順次転写することにより、用紙に画像を印刷する。この転写は、インクリボン4を巻き取りながらインクリボン4の領域ごとに繰り返される。ヘッド3には、例えば、昇華型、熱溶融型などの熱転写プリンタの種類に応じた機構が用いられる。
図2は、ヘッド3の斜視図である。ヘッド3は、サーマルヘッドともいい、印画部(グレーズ、発熱体)31、記憶部32、モールド33、パワーコネクタ34およびロジックコネクタ35を有する。
印画部31は、主走査方向の画素数に対応する個数の発熱体が配列して構成される。各発熱体は、画像データに応じてヘッド駆動部23により通電されることで発熱し、その熱でインクリボン4のインクを用紙10に転写させる。以下では、印画部31を構成する個々の発熱体のことを、「発熱体31」という。
記憶部32は、ヘッド3に起因する濃度ムラを補正するための後述する補正データが記憶される、電気的に書換え可能な不揮発性メモリ(EEPROM)である。モールド33は、ヘッド3に内蔵された図示しないドライバICや配線を保護するための枠体である。パワーコネクタ34は、各発熱体31を図示しない電源に接続するための端子である。ロジックコネクタ35は、ヘッド3を制御部20に接続し、ヘッド3の動作を制御するための端子である。
図1に戻って、グリップローラ17とピンチローラ18は、用紙10を挟んで搬送する。グリップローラ17は、用紙駆動部22によって、用紙10を送り出す方向(正方向)か、または巻き戻す方向(逆方向)のいずれかに回転駆動される。ピンチローラ18は、グリップローラ17に従動して回転する。また、ピンチローラ18は、用紙10の搬送時には、グリップローラ17に当接してグリップローラ17との間で用紙10を保持し、用紙10の搬送時以外には、グリップローラ17から離間して用紙10を解放する。
ロール紙ホルダ2からヘッド3とプラテンローラ9の間を通過した用紙10は、排出経路13を通って、排出ローラ14により排出口6に向けて搬送される。切断部5は、排出経路13を通過し、排出口6からプリンタ1の外部に排出された用紙10を、排出口6の手前の位置で切断する。切断部5は、切断駆動部25により駆動される。切断部5は、排出経路13上における排出口6の直前に配置される。
また、プリンタ1は、制御部20、データメモリ21、用紙駆動部22、ヘッド駆動部23、インクリボン駆動部24、切断駆動部25および通信インタフェース26を備える。
制御部20は、CPUやメモリなどを含むマイクロコンピュータで構成され、プリンタ1の全体の動作を制御する。データメモリ21は、通信インタフェース26を介してホストコンピュータから受信した画像データを蓄積する記憶領域である。用紙駆動部22は、グリップローラ17とロール紙ホルダ2を駆動するモータであり、用紙10を送り出す方向か、または巻き戻す方向のいずれかにそれぞれを回転させる。ヘッド駆動部23は、画像データに基づいてヘッド3を駆動し、用紙10上に画像を印刷させる。インクリボン駆動部24は、供給側リボンローラ4Aと巻取側リボンローラ4Bを駆動するモータであり、巻取側リボンローラ4Bがインクリボン4を巻き取る方向か、または供給側リボンローラ4Aにインクリボン4を巻き戻す方向のいずれかに、供給側リボンローラ4Aと巻取側リボンローラ4Bを回転させる。切断駆動部25は、切断部5を駆動するモータである。通信インタフェース26は、例えば、通信ケーブルを介してホストコンピュータから印刷対象の画像データを受信する。
以下では、プリンタ1での濃度ムラの補正について説明する。濃度ムラの適正補正量は印刷される画像の濃度と相関があるため、プリンタ1は、このことを利用して濃度ムラを補正する。プリンタ1では、単一階調の画像データに基づき印刷された検査画像の濃度が測定され、その濃度分布から、ヘッド3内の各発熱体31と、その発熱体31の位置におけるヘッドの発色特性に応じたその発熱体31への印加エネルギーの補正量との対応関係を表す「補正テーブル」が作成される。そして、プリンタ1は、その補正テーブルと、印刷する画像濃度に応じて補正テーブルによる濃度補正をどの程度効かせるかを定めた「補正量調整テーブル」とを使用して、ヘッド3の平均の印画濃度と印刷画像の濃度の情報から、発熱体31ごとの印加エネルギーの補正量を算出する。補正テーブルは第1の対応関係の一例であり、補正量調整テーブルは第2の対応関係の一例である。プリンタ1は、補正された印加エネルギーでヘッド3を駆動して画像を印刷することで、サーマルヘッドの熱特性の差や機械形状の差などに起因して印刷画像に濃淡差(ヘッド固有の濃度ムラ)が発生することを防止する。
図3は、検査画像の例を示す図である。図3に示す検査画像40は、単一階調のグレーの画像である。プリンタ1では、このような単一階調の検査画像40を使用して補正テーブルが作成される。このため、プリンタ1では、複数階調の帯状パターンの濃度を測定する必要はなく、1階調の測定でよいので、濃度ムラの補正作業が簡略化される。
図3では、ヘッド3による印刷の主走査方向Xと副走査方向Yも示している。主走査方向Xは、ヘッド3の発熱体31が配列する方向であり、副走査方向Yは、プリンタ1による印刷方向である。検査画像40は、その副走査方向Yの両端に、複数の細長い白色のマーカ41を有する。図3では、マーカ41が両端に5個ずつある場合の例を示している。プリンタ1では、ヘッド3内にある特定の発熱体31により、検査画像40上にマーカ41を設ける。各マーカ41は、検査画像40上のX方向の位置とヘッド3内の発熱体31の位置との対応関係を示す。各発熱体31は、画素数に対応して狭いピッチで設けられているため、実際には、1つのマーカ41は、隣接する複数の発熱体31に対応している。マーカ41を設けることにより、検査画像40の印刷時やその濃度を測定するための読取(スキャン)時に用紙の蛇行が生じても、ヘッド3内の発熱体31と画像上の濃度ムラとの位置関係がわかる。また、ヘッド3の公差により主走査方向(X方向)における発熱体31の位置にバラつきが生じることがあるが、マーカ41を用いれば、そのようなバラつきがあっても各発熱体31の位置を特定することができる。したがって、濃度ムラを適正に補正することが可能になる。
図4(A)および図4(B)は、濃度ムラの補正データを作成する処理の例を示すフローチャートである。図4(A)は全体のフローを示し、図4(B)は図4(A)のステップS13における補正テーブルの作成処理の詳細フローを示す。また、図5(A)〜図9(O)は、補正テーブルの作成処理を説明するための図である。図4(A)および図4(B)に示すフローは、プリンタ1が印刷した検査画像40の濃度分布の測定データを図示しないPCなどで処理することにより実行される。
最初に、図4(A)を参照して、全体のフローを説明する。まず、図3に示した検査画像40がプリンタ1により印刷される(ステップS11)。そして、印刷された検査画像40が図示しないスキャナにより読み取られ(ステップS12)、読み取られた画像データはPCに入力される。ヘッドの濃度ムラ補正を行うプリンタがカラープリンタである場合には、カラー画像として検査画像40をスキャンすることが好ましい。続いて、PCにより、補正テーブルが算出されてヘッド3の記憶部32に書き込まれる(ステップS13)。ステップS13では、補正テーブルと併せて、ヘッド3による平均の印画濃度の情報も算出されて記憶部32に書き込まれる。平均の印画濃度は、基準となるヘッドの濃度特性(印刷の基準濃度に関する情報)と調整対象のヘッドの濃度特性との差分情報として算出される。平均の印画濃度は、検査画像のスキャン画像の階調値から求めてもよいが、算出された補正テーブルによる補正がなされた条件で専用の検査画像を印刷し、専用の測色装置(分光濃度計など)により求めることで、より精度の高い補正が可能となる。
そして、この補正テーブルによる補正の下で、再び検査画像40がプリンタ1により印刷され(ステップS14)、スキャナにより読み取られる(ステップS15)。読み取られた画像データはPCに入力され、ステップS14で印刷された検査画像40の濃度分布のバラつき(濃度ムラ)が予め定められた基準値以下であるか否かが、PCにより判定される(ステップS16)。その際、例えば、濃度が最も薄い画素と最も濃い画素の濃度比が基準値と比較される。濃度分布のバラつきが基準値を超える場合(ステップS16でNo)には、ステップS13に戻って再び補正テーブルが算出される。一方、濃度分布のバラつきが基準値以下である場合(ステップS16でYes)には、補正データの作成処理は終了する。また、ステップS16では、平均の印画濃度の妥当性も併せて判定し、必要に応じてその情報を修正することが好ましい。平均の印画濃度の妥当性は、例えば専用の検査画像を印刷し、印刷された検査画像を専用の測色装置により測色し、基準となるヘッドの印刷濃度と比較することで判定可能である。
次に、図4(B)を参照して、図4(A)のステップS13における補正テーブルの作成処理の詳細フローを説明する。まず、入力された画像の中で、マーカ41の位置が検出される(ステップS21)。スキャンされた画像に含まれる複数のマーカ41の位置から、画像上の主走査方向Xにおける複数の発熱体に対応する位置が特定される。
図5(A)は検査画像40の例を示し、図5(B)はスキャンされた検査画像40’の例を示す。符号41’は、検出されたマーカである。図5(B)では、検査画像40’が傾いている場合の例を示している。用紙の蛇行によって、用紙に対して検査画像40が斜めに印刷されることもあれば、スキャナによる読取り時に検査画像40’が斜めになることもある。
検出されたマーカ41’の位置から検査画像40’の傾きの大きさがわかるため、検査画像40’の傾きがある場合には、既知の画像回転処理により検査画像40’の角度が補正される(ステップS22)。図5(C)は、傾きが補正された検査画像40’を示す。
続いて、スキャンされた画像に含まれる複数のマーカの位置が印刷の解像度から算出される位置に合うように、主走査方向における部分領域ごとに、スキャンされた画像が拡縮される(ステップS23)。図5(C)では、ヘッド3でマーカ41を印刷する発熱体31の5か所の位置A〜Eも併せて示している。また、図5(C)の破線は、ヘッド3の解像度から算出された、主走査方向Xにおけるマーカ41の理論上の位置を示す。一方、発熱体31のピッチにはバラつきがあるため、実際のスキャンされた検査画像40’上のマーカ41’の位置は、図5(C)に示すように、マーカ41の理論上の位置からずれることがある。そこで、図5(C)に示すように、主走査方向Xにおけるマーカ41’の位置を基準に検査画像40’を副走査方向Yに切断して4つの部分領域a〜dに分け、各部分領域を主走査方向Xに拡縮して再度結合することにより、発熱体31のピッチのバラつきによる影響が補正される。図5(D)は、部分領域ごとの拡縮が行われ、発熱体31のピッチのバラつきが補正された後の検査画像40’を示す。
例えば、検査画像の左端にある1つのマーカを基準にヘッド3の補正データを作成すると、検査画像の右端では、発熱体のピッチのバラつきの積算分だけ印刷位置とスキャン画像の読取り位置とにずれが生じ得る。ヘッドごとにピッチが一定であれば、ピッチが理論値とずれていても検査画像40’の全体を拡縮すればよいが、1本のヘッドの中でピッチが変化する場合には、そのような全体の拡縮ではピッチのバラつきを打ち消すことはできない。しかしながら、基準となるマーカをn(>1)個に増やして上記のように部分領域を拡縮することにより、積算ずれ量は1/nに抑えられる。そこで、複数のマーカ41’を基準に検査画像40’を複数の部分領域に分け、部分領域ごとに拡縮を行うことで、ヘッド3内の濃度分布をより正確に補正することが可能になる。
続いて、図6(E)に示すように、検査画像40’のうち、マーカ41’がある外周部分を除いた中央部分42が切り出され、その中央部分42について、発熱体ごとの平均階調値が算出される(ステップS24)。その際、R(赤),G(緑),B(青)の各色について、主走査方向Xに配列した複数の発熱体に対応する各位置で、副走査方向Yにおける各画素の階調の平均値が算出される。図6(F)は、こうして算出されたRGBの各色に対する平均階調値の、主走査方向Xにおける分布の例を示す。
さらに、RGBの各色について、副走査方向Yの各平均階調値の、主走査方向Xにおける移動平均が算出される(ステップS25)。すなわち、隣接する複数の発熱体についての平均階調値の移動平均が算出される。図7(G)は、主走査方向Xの前後に10個ずつの計20個の発熱体について、色ごとに、図6(F)に示した平均階調値の移動平均を計算した結果を示す。このように移動平均をとることにより、印画時またはスキャン時に付着したゴミなどの影響や、発熱体の位置とスキャン位置との微妙なずれの影響が軽減される。移動平均をとる発熱体の個数は、少なすぎるとゴミやスキャンの位置ずれの影響を受けやすくなり、多すぎると周期の短い濃度ムラを補正できなくなってしまうので、対象とする発熱体の左右各3〜20個程度の発熱体とすると効果的である。
また、移動平均の算出と併せて、RGBの色ごとに、ステップS24で算出された各平均階調値の、全発熱体についての平均値も算出しておく。図7(G)では、RGBの色ごとに算出された全発熱体についての平均値Rave,Gave,Baveも併せて示している。
続いて、図7(H)に示すように、ステップS25で算出されたRGB各色の平均階調値を全発熱体の平均値で割って、各色の濃度分布が求められる。さらに、得られた各色の濃度分布の波形を平均することにより、RGB3色の平均濃度分布の波形も求められる。図7(H)における縦軸の「1」は、全発熱体についての濃度の平均値に相当する。
そして、各色の濃度分布の波形に対し、インクリボン4の塗布ムラの影響を軽減する処理が行われる(ステップS26)。3色の濃度分布の波形に共通に現れる変動成分はヘッド3に起因する濃度ムラであるが、1色の波形のみに現れる変動成分は、インクリボン4の塗布ムラなどヘッド以外の要素に起因する可能性が高い。塗布ムラのあるインクリボン4を使用して印刷された検査画像40から補正データを作成すると、塗布ムラのないインクリボン4を使用して印刷したときに、逆に印刷画像に濃度ムラができてしまう。そこで、ステップS26の処理により、RGB各色の濃度分布の波形のうち、1色の波形のみに現れる濃度分布の変動成分については、補正データへの寄与が小さくなるように重み付けされる。この塗布ムラの影響を軽減する処理の一実施例について、図7(I)〜図8(L)を用いて説明する。
まず、図7(I)に示すように、主走査方向Xにおける各発熱体31の位置について、RGB各色の濃度分布の波形と、RGB3色の平均濃度分布の波形(平均波形)との差分(%)が求められる。
そして、平均波形との差分が0付近の予め定められた基準範囲を超えて変位する箇所について、RGB3色のうち1色のみの差分の符号が他の2色の差分の符号と異なるか否かが判定される。差分の波形が基準範囲を超える箇所について、1色のみ他の2色とは反対側に変位しているならば、その箇所はインクリボン4の塗布ムラ部分であるとする。一方、差分の波形が基準範囲内に収まる箇所については、色別の差分の符号にかかわらず、インクリボン4の塗布ムラ部分ではないとする。図8(J)に示した例では、平均波形との差分の絶対値が0〜d1の範囲を基準範囲とすると、矢印X0で示した部分が塗布ムラ部分であると判定される。
塗布ムラ部分であると判定された箇所については、図8(K)に示すように、平均波形との差分が小さくなるような修正処理が行われる。修正処理では、まず、差分の絶対値がd2を超える(ただしd1<d2とする)箇所について、差分の大きさにかかわらずその絶対値がd2に修正され(符号81を参照)、次に、差分の絶対値がd1を超える部分が一定比率で圧縮される(符号82を参照)。
実際には、RGB各色の差分波形が上記の結果となるように、RGB各成分の濃度分布の波形について修正処理が行われる。修正処理が行われた色については、全発熱体についての平均値を算出し、修正処理後の濃度波形をその新たな平均値で割ることで、塗布ムラの影響を減じた濃度分布の波形が得られる。図8(L)は、塗布ムラの影響の軽減する処理(修正処理)の前後の各色の濃度分布を示す。塗布ムラ部分においてR,Gの濃度分布と比べて大きく変位していたBの濃度分布は、修正処理によってR,Gの濃度分布に近付くことがわかる。
このように、インクリボン4の塗布ムラがヘッド3の補正データに与える影響を抑えることにより、使用されるインクリボン4によって逆に濃度ムラが発生する可能性が少なくなる。また、濃度ムラの補正データの作成時にも、塗布ムラの少ない選別品ではなく、一般向けに販売されているものと同等の、通常管理のインクリボン4を使用できるため、補正データを作成するためのインクリボン4の入手性(納期)や製造コスト(副資材コスト)の点でも有利となる。
図4(B)のフローに戻って、塗布ムラの影響を軽減する処理の後で、得られた各色の濃度分布の波形を平均することにより、単色成分の影響が抑えられたRGB3色の平均濃度分布の波形が求められる(ステップS27)。図7(I)〜図8(L)に示した例では、塗布ムラ部分において、塗布ムラのあるBの重み付けを小さくすることにより、塗布ムラが濃度補正データの算出に及ぼす影響を低減していることとなる。図9(M)は、図8(L)に示す各色の濃度分布の波形から求められたRGB3色の平均濃度分布の波形を示す。なお、図9(M)およびこれまでに示した濃度分布の各グラフの縦軸は、上に行くほど、RGBの階調値が大きくなり、逆にYMC(イエロー、マゼンタおよびシアン)の階調値は小さくなり、したがって濃度が低くなることを意味し、下に行くほど、RGBの階調値が小さくなり、逆にYMCの階調値は大きくなり、したがって濃度が高くなることを意味する。
そして、ステップS27で得られた平均濃度分布が、発熱体31ごとの印加エネルギーの補正量に換算される(ステップS28)。印刷される画像の濃度とヘッド3への印加エネルギーは比例関係にあるため、この換算は、塗布ムラの影響を軽減する処理がなされた後の平均濃度分布に係数を掛けることで行われる。図9(N)は、図9(M)に示すRGB3色の平均濃度分布と、それにより得られた印加エネルギーの補正量の分布を示す。このようにして、平均濃度分布に基づき、発熱体31ごとの印加エネルギーの補正量が求められる。
最後に、ステップS28で得られた印加エネルギーの補正量の分布を、主走査方向Xの左右端(中央部分42の外側)に外挿して、左右端も含むすべての発熱体31についての印加エネルギーの補正量の分布が求められる(ステップS29)。図9(O)は、左端のマーカ41に対応する位置Aの発熱体よりも左側と、右端のマーカ41に対応する位置Eの発熱体よりも右側に、印加エネルギーの補正量の分布を示すカーブが延長された状態を示す。
一般に、用紙の端部に近い位置では印刷結果が安定しないため、用紙の端部での濃度の測定値を補正データの作成に使用すると、補正値の信頼性が低下する。また、一般に、縁なしの全面印刷が行われるためにヘッド3の通電幅は印刷対象の用紙幅より広く、検査画像40の印刷結果からだけでは全発熱体の濃度ムラの補正値を求めることはできない。そこで、スキャンされた検査画像40’のうち、印刷された検査画像40の端部に対応する予め定められた範囲を除いた中央部分42の平均濃度分布を算出し、用紙の端部に近い箇所については外挿により濃度ムラの補正値を求めることが好ましい。
以上で、図4(B)に示す補正テーブルの作成処理の詳細フローは終了する。上記のフローで最終的に得られた印加エネルギーの補正量の分布が、発熱体31ごとの濃度ムラの補正テーブルとして使用される。
図10(A)〜図10(E)は、画像の濃度に応じた補正量の調整について説明するための図である。発熱体31ごとの実際の印画濃度のバラつきは、印刷対象の画像の濃度によって変化する。このため、単一階調の検査画像40の濃度測定結果から得られた上記の補正テーブルにより印加エネルギーを補正して印画すると、印刷画像の濃度によっては適正な結果が得られないことがある。
図10(A)〜図10(E)の左側には、互いに濃度が異なる単一階調の印刷画像51〜55を示している。図10(A)の印刷画像51の濃度が最も低く、図10(A)〜図10(E)の順に濃度が高くなり、図10(E)の印刷画像55の濃度が最も高い。また、各図の中央には印加エネルギーの補正前の印刷画像51〜55の濃度分布Cを、右側には補正後の印刷画像51〜55の濃度分布Cをそれぞれ示している。各グラフの横軸は、主走査方向Xの発熱体31の位置を表す。図10(A)〜図10(E)からわかるように、印刷画像の濃度が低い場合には、補正後の濃度分布Cはほぼ均一に、全発熱体についての平均値に相当する「1」の値をとるが、印刷画像の濃度が高くなるほど、補正後の濃度分布Cにも大きな濃度差が現れる。特に、図10(D)と図10(E)では、補正前には主走査方向Xの中央付近で低く、左右端の付近で高かった濃度分布が、補正後には逆に、主走査方向Xの中央付近で高く、左右端の付近で低い濃度分布に変化する。これは、印刷画像の濃度が高い場合に、上記の補正テーブルによる補正が効きすぎることを示している。
図11は、補正量調整テーブルの例を示す図である。図10(A)〜図10(E)を用いて説明したように、印刷画像の濃度が低いほど濃度の補正はかかりにくく、印刷画像の濃度が高いほど濃度の補正はかかりやすいという特性がある。そこで、プリンタ1では、印画濃度にかかわらず濃度ムラを適正に補正できるように、上記の補正テーブルから得られる補正量を印画濃度に応じてどの程度効かせるかを定めた補正量調整テーブルを用意する。図11の横軸は階調値を、縦軸は画像濃度ごとの補正率(調整係数)を表す。なお、図11では、RGBの階調値とY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の階調値を併記している。
この補正量調整テーブルによれば、基準となる階調値pより印画濃度が低い場合には補正テーブルによる補正量を100%効かせるが、基準となる階調値pより印画濃度が高い場合には、印画濃度が高いほど補正テーブルによる補正量を効かせる割合は低くなる。そして、印画濃度が最大の場合には、補正テーブルによる補正量を効かせる割合は、例えば50%程度に抑えられる。プリンタ1では、補正量調整テーブルを参照して得られる補正率で、新たに印刷される画像の濃度に応じて印加エネルギーの補正量が調整される。これにより、単一階調の検査画像40の濃度測定結果から得られた補正テーブルであっても、印刷画像の濃度によらず、全階調値において濃度分布を適正に補正することが可能になる。
図12(A)〜図12(E)は、補正量調整テーブルを用いた補正量の調整例を示す図である。図12(A)〜図12(E)では、図10(A)〜図10(E)と同様に、互いに濃度が異なる単一階調の印刷画像51〜55と、印加エネルギーの補正前の印刷画像51〜55の濃度分布Cと、補正後の印刷画像51〜55の濃度分布Cとをそれぞれ示している。図11について説明した補正率の低下が始まる階調値pは、印刷画像53と印刷画像54の間の濃度に対応しているとする。
この場合、図12(A)〜図12(C)に示す印刷画像51〜53の場合には、補正テーブルによる補正量を100%効かせるため、補正後の濃度分布Cは、図10(A)〜図10(C)に示したものと同一である。一方、図12(D)と図12(E)に示す印刷画像54,55の場合には、濃度が高いほど(すなわち、印刷画像54より印刷画像55の方が)補正テーブルによる補正量を効かせる割合が低くなる。図12(D)と図12(E)では、補正量調整テーブルを用いた調整前と調整後の補正テーブルの波形も重ねて示している。補正量調整テーブルを使用することにより、補正後の濃度分布Cは、図10(D)と図10(E)に示したものとは異なり、ほぼ均一に、全発熱体についての平均値に相当する「1」の値をとる。このように、補正量調整テーブルの使用により、印刷画像の濃度によらずに濃度分布を適正に補正することが可能になる。
上記の補正テーブルおよび補正量調整テーブルならびにヘッド3による平均の印画濃度の情報は、濃度ムラの補正データとして、ヘッド3内に取り付けられた不揮発性メモリ(EEPROM)である記憶部32に記憶される。濃度ムラは主にサーマルヘッドに起因するため、プリンタの本体ではなくサーマルヘッド内の記憶部に補正データを記憶しておけば、サーマルヘッドが交換されたときに、ユーザが濃度を補正するための操作を行わなくても、そのサーマルヘッドに合った補正データにより濃度ムラを補正することが可能になる。
なお、補正テーブルはヘッドごとに作成されるが、補正量調整テーブルは、同一仕様のヘッドであれば、複数のヘッドで同一のテーブルとなる。このため、補正量調整テーブルの値は、個々のヘッドの調整時に測定および算出されることはないが、ヘッドの改良などで熱特性が変わった場合などには、新たなヘッドの特性に応じて変更される。このため、補正量調整テーブルも、プリンタ本体側の記憶部でなく、ヘッド内の記憶部32に記憶することが好ましい。そうすることで、改良仕様のヘッドを取り付けた場合に、プリンタ本体を改変しなくても、良好な濃度ムラの補正結果が得られる。
プリンタ1は、画像を印刷するときには、ヘッド3の記憶部32内の補正データを読み出して、濃度ムラの補正処理を行う。その際、制御部20は、補正テーブルから得られる発熱体31ごとの印加エネルギーの補正量に、新たに印刷される画像の濃度に応じて補正量調整テーブルから得られる補正率(調整係数)を乗じて得られる量だけ、各発熱体31への印加エネルギーを補正する。また、制御部20は、転写されるインクの色ごとに、新たに印刷される画像のその色の濃度に応じて、発熱体31ごとの印加エネルギーを補正する。そして、制御部20は、ヘッド駆動部23を制御し、補正された印加エネルギーに応じて各発熱体31を発熱させて、インクリボン4の各色インクを用紙に順次転写させる。
また、制御部20は、基準となるヘッドの濃度特性(印刷の基準濃度に関する情報)と調整対象のヘッドの濃度特性との差分情報である平均の印画濃度の情報も参照して、印加エネルギーの補正量を決定することが好ましい。すなわち、制御部20は、平均の印画濃度の情報と補正テーブルから得られる、各発熱体31による印刷の濃度を基準濃度に合わせるために必要な発熱体ごとの補正量を求め、その補正量に、新たに印刷される画像の濃度に応じた補正率を乗じて得られる量だけ、各発熱体31への印加エネルギーを補正することが好ましい。これにより、単一ヘッド内の幅方向の濃度ムラだけでなく、複数のヘッド間の濃度差も低減させることが可能になる。
プリンタ1のようにYMCの混色にてフルカラー画像を得るプリンタの場合には、YMCの各色について、上記の補正テーブルと補正量調整テーブルを使用して、各発熱体31の印加エネルギーが補正される。上記の補正テーブルと補正量調整テーブルはRGBの値で例示しているが、Y,M,CはそれぞれB,G,Rの補色であるため、RGBの各色について補正することは、CMYの各色について補正することと同義である。
図13〜図17は、濃度ムラの補正量の例を示す図である。
図13は、印刷画像が中間調グレーである場合の濃度ムラの補正量の例を示す図である。図13の左側には印刷画像61を、中央には印加エネルギーの補正テーブルΔEを、右側にはY,M,Cの各色についての印加エネルギーの補正量ΔE(Y),ΔE(M),ΔE(C)を示す。各グラフの横軸は、主走査方向Xの発熱体31の位置を表す。印刷画像61のYMC各色についての階調値は、図11について説明した補正率の低下が始まる階調値pより低濃度側であるとする。この場合、各色について補正量調整テーブルから得られる補正率は100%であるため、各色について、補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ、発熱体31ごとの印加エネルギーが補正される。
図14は、印刷画像がシアンのベタである場合の濃度ムラの補正量の例を示す図である。図13と同様に、図14の左側には印刷画像62を、中央には印加エネルギーの補正テーブルΔEを、右側にはY,M,Cの各色についての印加エネルギーの補正量ΔE(Y),ΔE(M),ΔE(C)を示す。各グラフの横軸は、主走査方向Xの発熱体31の位置を表す。印刷画像62の階調値は、YとMが0、Cが255である。この場合、補正量調整テーブルから得られる補正率は、YとMが100%、Cが50%程度であるため、YとMについては補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ、Cについては補正テーブルから得られる補正量の50%程度だけ、発熱体31ごとの印加エネルギーが補正される。図14における破線のグラフは補正量の調整前の波形を、実線のグラフは補正量の調整後の波形をそれぞれ示す。
図15は、印刷画像が緑のベタである場合の濃度ムラの補正量の例を示す図である。図13と同様に、図15の左側には印刷画像63を、中央には印加エネルギーの補正テーブルΔEを、右側にはY,M,Cの各色についての印加エネルギーの補正量ΔE(Y),ΔE(M),ΔE(C)を示す。各グラフの横軸は、主走査方向Xの発熱体31の位置を表す。印刷画像63の階調値は、YとCが255、Mが0である。この場合、補正量調整テーブルから得られる補正率は、YとCが50%程度、Cが100%であるため、YとCについては補正テーブルから得られる補正量の50%程度だけ、Mについては補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ、発熱体31ごとの印加エネルギーが補正される。図15における破線のグラフは補正量の調整前の波形を、実線のグラフは補正量の調整後の波形をそれぞれ示す。
図16は、印刷画像がベルギー国旗である場合の濃度ムラの補正量の例を示す図である。図16の左側には印刷画像64と、印刷画像64を構成するためのYMC各色の画像(プレーン)を示す。ベルギー国旗は左から順に黒、黄、赤の領域で構成されるため、Yプレーンは全面が階調値255のイエロー、Mプレーンは左側64aと右側64cが階調値255のマゼンタで中央64bが階調値0、Cプレーンは左側64aのみが階調値255のシアンで中央64bと右側64cは階調値0となる。図16の中央には印加エネルギーの補正テーブルΔEを、右側にはY,M,Cの各色についての印加エネルギーの補正量ΔE(Y),ΔE(M),ΔE(C)を示す。図16に示す印刷画像64の横方向が主走査方向Xであるとし、各グラフの横軸は主走査方向Xの発熱体31の位置を表す。図16における破線のグラフは補正量の調整前の波形を、実線のグラフは補正量の調整後の波形をそれぞれ示す。
Yプレーンについては、補正量調整テーブルから得られる補正率は全面で50%程度であるため、全発熱体31について、補正テーブルから得られる補正量の50%程度だけ、印加エネルギーが補正される。Mプレーンについては、補正量調整テーブルから得られる補正率は左側64aと右側64cで50%程度、中央64bで100%である。このため、左側64aと右側64cに対応する発熱体31については補正テーブルから得られる補正量の50%程度だけ、中央64bに対応する発熱体31については補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ、発熱体31ごとの印加エネルギーが補正される。Cプレーンについては、補正量調整テーブルから得られる補正率は左側64aで50%程度、中央64bと右側64cで100%である。このため、左側64aに対応する発熱体31については補正テーブルから得られる補正量の50%程度だけ、中央64bと右側64cに対応する発熱体31については補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ、発熱体31ごとの印加エネルギーが補正される。
図17(A)〜図17(C)は、印刷画像が日本国旗である場合の濃度ムラの補正量の例を示す図である。図17(A)〜図17(C)では、各図に示す印刷画像65の横方向が主走査方向X、縦方向が副走査方向Yであるとし、それぞれ副走査方向Yの位置が異なるライン65a〜65cでのY,M,Cの各色の補正量ΔE(Y),ΔE(M),ΔE(C)を示す。また、補正テーブルは、図13〜図16で示したものと同じであるとする。図17(A)〜図17(C)における破線のグラフは補正量の調整前の波形を、実線のグラフは補正量の調整後の波形をそれぞれ示す。
図17(A)に示すライン65a上では、主走査方向Xの全範囲が白色(YMCの階調値がすべて0)である。したがって、各色の補正率は100%であるため、各色について、補正テーブルから得られる補正量と同じ量だけ印加エネルギーが補正される。
図17(B)に示すライン65b上では、主走査方向Xの中央部分が赤色(YとMの階調値が255、Cの階調値は0)であり、それ以外の部分は白色(YMCの階調値がすべて0)である。したがって、YとMについては、中央部分の補正率が50%程度、それ以外の補正率は100%であるから、中央部分に対応する発熱体31については補正テーブルの補正量の50%程度だけ、それ以外の発熱体31については補正テーブルの補正量と同じ量だけ、印加エネルギーが補正される。一方、Cについては、全範囲の補正率が100%であるから、補正テーブルの補正量と同じ量だけ印加エネルギーが補正される。
図17(C)に示すライン65c上では、赤色部分の幅がライン65bと異なるだけであるから、各色の補正率については図17(B)の場合と同様である。
以上説明したように、プリンタ1では、補正テーブルと補正量調整テーブルを使用し、新たに印刷される画像の濃度に応じて、各発熱体31に印加されるエネルギーを補正する。補正テーブルは、単一階調の画像データに基づき印刷された検査画像の濃度分布から作成された発熱体31ごとの印加エネルギーの補正量を表し、補正量調整テーブルは、印刷される画像の濃度に応じて補正テーブルによる補正量をどの程度効かせるかを表す。これにより、サーマルヘッドに起因する濃度ムラがあっても、比較的容易に濃度ムラのない均一な印刷結果が得られる。
なお、画像の印刷速度を複数段階に切換え可能なプリンタの場合には、ヘッド3の記憶部32は、印刷速度ごとに作成された複数の補正テーブルを記憶することが好ましい。印刷速度に応じて各発熱体31の通電時間が異なるが、発色に必要なエネルギーは印画速度に関係なく同じである。印画速度が速い場合には、ヘッド3のピーク温度を相対的に高くして瞬間的に多くの熱量が加えられる一方で、印画速度が遅い場合には、ヘッド3のピーク温度を相対的に低くして、より長い時間をかけて同じ熱量が加えられる。ヘッド3のピーク温度に応じて印加エネルギーの補正量も変化することから、印刷速度に合った補正量の補正テーブルを記憶部32に記憶しておくとよい。また、濃度ムラの補正量は補正テーブルと補正量調整テーブルの両方を使用して決定されるので、補正量調整テーブルについても、印刷速度ごとに異なるものを記憶することが好ましい。この場合、制御部20は、印刷時に、ヘッド3の印刷速度に応じた補正テーブルと補正量調整テーブルを参照することにより、その印刷速度に合った補正量で、各発熱体31への印加エネルギーを補正する。
図18は、検査画像の別の例を示す図である。図18に示す検査画像70は、単一階調のグレーの画像に、発熱体31の位置を示す複数のマーカ71と、Y,M,Cの単色の帯72〜74とを設けたものである。図4(A)と図4(B)を用いて説明した濃度ムラの補正データの作成時には、図3の検査画像40に代えて、このようにYMCの単色の帯を有する検査画像70を使用してもよい。インクリボンのY染料はM成分やC成分を含んでおり、M染料とC染料も同様に他色の成分を含んでいる。このため、上記した塗布ムラの影響を軽減する処理の際に単一階調グレーの検査画像40のRGB成分から塗布ムラを評価した場合には、原因となったリボンパネル(インクリボン上の1つのインク領域)以外の色にも塗布ムラ成分が現れることがある。しかしながら、YMCの単色の帯を有する検査画像70を使用して各色を混色せずに印刷すれば、特定のリボンパネルにのみ発生する濃度ムラをより精度よく検出することが可能になる。