〔発明が解決しようとする課題〕
車載カメラなどの情報取得センサがスライド式にブラケットに取り付けられ、板ばねのばね力によってブラケットに保持される場合には、車両が走行する際に情報取得センサがブラケットに対し変位し易い。即ち、板ばねの圧縮変形量が変化し、支持軸が係合溝内にて移動することがある。また、係合突起を係合孔に嵌め込むことができるよう、係合孔は係合突起よりも大きいので、係合突起が係合孔内にて遊動することが避けられない。
情報取得センサが取り付け完了後にブラケットに対し変位すると、フロントガラスに対する情報取得センサの位置が、本来あるべき位置とは異なることになるため、車両前方情報取得装置の情報取得精度が低下する。そのため、支持軸をブラケットに設けられた受け入れ溝に支持軸を挿入し、その状態にて情報取得センサを支持軸の周りに枢動させ、情報取得センサ及びブラケットに設けられた逆止係合構造によってそれらを一体的に保持することが考えられる。
しかし、枢動式の取り付けの場合にも、支持軸が予め設定された挿入位置まで挿入されていない状態で情報取得センサが枢動されると、フロントガラスに対する情報取得センサの位置が、本来あるべき位置とは異なることになる。ブラケットに対する車両前方情報取得装置の取り付けは、それらの下方に位置する作業者によって行われる。支持軸が受け入れ溝に挿入されると、支持軸がブラケットによる死角に入るため、作業者が受け入れ溝内における支持軸の位置を正確に把握することは容易ではない。
更に、支持軸が適正に挿入されていない状態で、情報取得センサが所定の取り付け位置へ向けて枢動されると、情報取得センサとブラケットとの間に摩擦力が作用する場合には、摩擦力によって情報取得センサがブラケットに保持される。その場合には、作業者が情報取得センサを枢動させる力を解除しても、情報取得センサはブラケットに保持された状態を維持するため、作業者は、情報取得センサが所定の取り付け位置に到達し、逆止係合構造の係合が完了したと誤認識し易い。
本発明の主要な課題は、情報取得センサが枢動式に取り付けられる車両前方情報取得装置において、受け入れ溝への支持軸の挿入が不適切であるときには、情報取得センサが不適切にブラケットに取り付けられることを防止することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、車両前方情報取得センサと、フロントガラスの内面に固定され車両前方情報取得センサを保持するブラケットとを有し、情報取得センサは、外方へ突出する支持軸を有し、ブラケットは支持軸を受け入れる受け入れ溝を有する車両前方情報取得装置が提供される。
情報取得センサは、フロントガラスに対し予め設定された角度範囲内にて傾斜した状態で支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入され、支持軸の周りにフロントガラスに近づくよう枢動せしめられ、情報取得センサ及びブラケットの一方に設けられた逆止係合部材が、情報取得センサ及びブラケットの他方に設けられた被係合部材に係合することにより、ブラケットに予め設定された取り付け位置にて取り付けられるよう構成される。
情報取得センサ及びブラケットの少なくとも一方は、支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていない状態で情報取得センサが支持軸の周りに枢動せしめられると、情報取得センサ及びブラケットの他方と干渉することによって逆止係合部材及び被係合部材が係合することを阻止する不正取り付け防止用干渉部を有する。
上記の構成によれば、情報取得センサは、支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されているときには、支持軸の周りに枢動せしめられることにより、ブラケットに対し予め設定された取り付け位置にもたらされる。そして、逆止係合部材及び被係合部材が互いに係合することにより、情報取得センサ及びブラケットは予め設定された取り付け位置に維持される。よって、情報取得センサをブラケットに予め設定された取り付け位置にて取り付けて保持することができる。
しかし、支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていないときには、情報取得センサが支持軸の周りに枢動せしめられても、不正取り付け防止用干渉部によって逆止係合部材及び被係合部材の係合が阻止される。換言すれば、作業者が予め設定された取り付け位置へ向けて情報取得センサを支持軸の周りに枢動させても、逆止係合部材及び被係合部材は係合せず、情報取得センサはブラケットに取り付けられた状態にならない。よって、作業者が受け入れ溝内における支持軸の位置を把握することを要することなく、情報取得センサが予め設定された取り付け位置以外の位置にてブラケットに取り付けられたような状態になることを防止することができる。
本発明によれば、上記の構成において、支持軸は情報取得センサの一端に近接して両側部に設けられ、二つの支持軸は一端に沿って互いに整合しており、不正取り付け防止用干渉部は、二つの支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていない状態で、情報取得センサが支持軸の周りにフロントガラスに近づくよう枢動せしめられると、情報取得センサ及びブラケットの他方干渉することによって逆止係合部材及び被係合部材が係合することを阻止する第一の不正取り付け防止用干渉部を含んでいてよい。
上記の構成によれば、不正取り付け防止用干渉部は第一の不正取り付け防止用干渉部を含んでいる。二つの支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていない状態で、情報取得センサが支持軸の周りに枢動せしめられると、第一の不正取り付け防止用干渉部によって逆止係合部材及び被係合部材が係合することが阻止される。従って、二つの支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていない場合に、情報取得センサが不適切にブラケットに取り付けられた状態になることを防止することができる。
本発明によれば、上記の構成において、支持軸は情報取得センサの一端に近接して両側部に設けられ、二つの支持軸は一端に沿って互いに整合しており、一方の支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入され且つ他方の支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入されていない状態で情報取得センサが支持軸の周りにフロントガラスに近づくよう枢動せしめられると、情報取得センサ及びブラケットの他方干渉することによって逆止係合部材及び被係合部材が係合することを阻止する第二の不正取り付け防止用干渉部を含んでいてよい。
上記の構成によれば、不正取り付け防止用干渉部は第二の不正取り付け防止用干渉部を含んでいる。一方の支持軸が適正に受け入れ溝に挿入され且つ他方の支持軸が受け入れ溝に適切に挿入されていない状態で情報取得センサが支持軸の周りに枢動せしめられると、第二の不正取り付け防止用干渉部によって逆止係合部材及び被係合部材の係合が阻止される。従って、一方の支持軸しか適正に受け入れ溝に挿入されていない場合に、情報取得センサが不適切にブラケットに取り付けられた状態になることを防止することができる。
本発明によれば、上記の構成において、情報取得センサの第一の不正取り付け防止用干渉部は、情報取得センサが支持軸の周りに枢動せしめられる際における枢動半径が最も大きい部分と干渉するよう、ブラケットに設けられていてよい。
上記の構成によれば、情報取得センサの枢動半径が最も大きい部分と支持軸との間に第一の不正取り付け防止用干渉部が設けられている場合に比して、情報取得センサに与えられる枢動阻止トルクを大きくすることができる。よって、第一の不正取り付け防止用干渉部の負荷を低減しつつ、情報取得センサが不適切にブラケットに取り付けられた状態になることを効果的に防止することができる。
本発明によれば、上記の構成において、二つの支持軸が互いに整合する方向に沿って隔置された一対の第一の不正取り付け防止用係合部が設けられていてよい。
上記の構成によれば、一対の第一の不正取り付け防止用係合部が、二つの支持軸に沿って隔置された状態にて設けられる。よって、二つの支持軸が受け入れ溝に適切に挿入されていない状態になっても、一対の第一の不正取り付け防止用干渉部によって逆止係合部材及び被係合部材の係合を効果的に阻止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、二つの支持軸が互いに整合する方向に沿って隔置された一対の第二の不正取り付け防止用係合部が設けられていてよい。
上記の構成によれば、一対の第二の不正取り付け防止用係合部が、二つの支持軸に沿って隔置された状態にて設けられる。よって、二つの支持軸の何れが受け入れ溝に適切に挿入されていない状態になっても、第二の不正取り付け防止用干渉部によって逆止係合部材及び被係合部材の係合を効果的に阻止することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、情報取得センサは枢動半径が最も大きい部分に被案内部を有し、ブラケットは情報取得センサが支持軸の周りにフロントガラスに近づくよう枢動せしめられる際に被案内部を案内する案内部を有し、第一の不正取り付け防止用干渉部は、案内部と一体に設けられていてよい。
上記の構成によれば、情報取得センサが支持軸の周りにフロントガラスに近づくよう枢動せしめられる際に、情報取得センサの被案内部がブラケットの案内部によって案内される。よって、情報取得センサを予め設定された取り付け位置へ円滑に且つ確実に枢動させることができる。また、第一の不正取り付け防止用干渉部は、案内部と一体に設けられている。よって、第一の不正取り付け防止用干渉部が案内部と別体に設けられている場合に比して、第一の不正取り付け防止用干渉部の強度を容易に確保し、車両前方情報取得装置の構造を簡略化することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、ブラケットは情報取得センサを覆うカバーをブラケットに取り付けるための一対の取り付け部を有し、第二の不正取り付け防止用干渉部は、取り付け部と一体に設けられていてよい。
上記の構成によれば、カバーをブラケットに取り付けるための一対の取り付け部を有効に利用して、ブラケットの第二の不正取り付け防止用干渉部を取り付け部と一体に設けることができる。よって、第二の不正取り付け防止用干渉部が取り付け部と別体に設けられている場合に比して、第二の不正取り付け防止用干渉部の強度を容易に確保し、車両前方情報取得装置の構造を簡略化することができる。
また、本発明によれば、上記の構成において、支持軸が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝に挿入される際に、情報取得センサがフロントガラスに対し予め設定された角度範囲内にて傾斜していないときには、支持軸の外周面と受け入れ溝の壁面とが干渉することにより、支持軸が予め設定された挿入位置まで移動されることが阻止されるようになっていてよい。
上記の構成によれば、情報取得センサがフロントガラスに対し予め設定された角度範囲内にて傾斜していないときには、受け入れ溝内の予め設定された挿入位置まで支持軸を移動させることができない。よって、例えば情報取得センサのフロントガラスの側の面に弾性保護シートなどが貼り付けられている場合にも、弾性保護シートなどがブラケットに係合して損傷することを回避することができる。また弾性保護シートなどがブラケットに係合して損傷した状態で、情報取得センサがブラケットに取り付けられることを防止することができる。
以下に添付の図を参照しつつ、好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、PCSセンサがブラケットに取り付けられた状況について、本発明による車両前方情報取得装置の第一の実施形態として構成されたPCSセンサ装置10を、斜め後方且つ下方から見た図として示す斜視図である。
なお、以下の説明において、「前端及び右側などの位置関係」並びに「前方などの方向」については、PCSセンサが車両に取り付けられた状況を、車室内から車両の前前方を見た場合の位置関係及び方向である。また、本願に添付の図面においては、煩雑化を避けるため、一部の図を除き断面のハッチングは省略されている。
<PCSセンサ装置10の構成>
図1に示されているように、PCSセンサ装置10は、PCSセンサ12と、フロントガラス14の内面に接着により固定されたブラケット16とを有している。フロントガラス14は、図には示されていない車両の前方へ向かうにつれて低くなるよう前傾状態にて車体に取り付けられている。なお、PCSセンサ12を覆うカバー18(図13参照)がブラケット16に取り付けられるようになっている。ブラケット16及びカバー18は樹脂にて形成されているが、金属などの他の材料にて形成されてもよい。
図2及び図3に示されているように、PCSセンサ12は、樹脂製の支持ベース部材20と、これに固定されたセンサ本体22とよりなっている。センサ本体22は、車両の前方を撮影するCCDカメラ22A及びレーダーセンサ装置22Bを備えている。なお、PCSセンサ12の構成は、本発明にとって重要ではなく、PCSセンサ12は車両前方の情報を取得する機能を有する限り任意の構成を有していてよい。また、車両の前方の情報を取得する複数のセンサの一部が、例えば車両の前端に設けられるエンブレムの背後などに設置されてもよい。
図4に示されているように、ブラケット16は、車両の横方向に互いに隔置された一対の側壁部16Sと、それらの側壁部を一体に接続する前側接続部16F及び後側接続部16Rとを有する矩形のフレーム状をなしている。一対の側壁部16Sの内面の間の車両横方向の間隔は、PCSセンサ12の車両の横方向の幅よりも僅かに大きく、前側接続部16F及び後側接続部16Rの内面の間の車両前後方向の間隔は、PCSセンサ12の車両前後方向の長さよりも僅かに大きい。一対の側壁部16S及び前側接続部16Fは、一つの平面に沿ってフランジ状に延在するベース部16Bを有し、ベース部16B及び後側接続部16Rにてフロントガラス14の内面に接着により固定されるようになっている。
図2及び図3に示されているように、センサ本体22の前端部の側部には、車両横方向へ互いに離れるよう突出する一対の支持軸24が設けられており、一対の支持軸24の軸線24Aは互いに整合している。図4、図5及び図7に示されているように、ブラケット16の各側壁部16Sの前端部には、対応する支持軸24を受け入れる受け入れ溝16Gが設けられており、二つの受け入れ溝16Gは互いに同一の形態をなしている。
PCSセンサ12がブラケット16に取り付けられる際には、図5及び図7において実線にて示されているように、支持ベース部材20の平板状の底壁部20Aが、ブラケット16のベース部16Bに対し約45°をなす状態にて、一対の支持軸24が受け入れ溝16Gに予め設定された挿入位置まで挿入される。これによりPCSセンサ12はブラケット16に対し適正な取り付け開始位置に位置決めされる。次いで、図6において矢印Aにて示されているように、PCSセンサ12の後端部がブラケット16に対し押し付けられ、PCSセンサ12が支持軸24の周りに枢動せしめられることにより、ブラケット16に所定の取り付け位置にて取り付けられる。
図4に示されているように、ブラケット16の後側接続部16Rの中央には、PCSセンサ12が支持軸24の周りに枢動せしめられる際にPCSセンサ12の後端部を案内するための案内部26が設けられている。案内部26は、後側接続部16Rと一体をなし、フロントガラス14の側とは反対の方向へ後側接続部16Rに対し垂直に延在している。案内部26は、前方へ向けて開いたV溝26Gを有し、V溝26Gの深さ及び開口幅は、後側接続部16Rへ近づくにつれて小さくなり、後側接続部16Rに近い領域においては一定であるよう設定されている。
後側接続部16Rの案内部26に対し左側の領域には、矩形の切欠き28が設けられている。切欠き28の両側には、後側接続部16Rと一体にバンク28Aが設けられている。バンク28Aの高さは案内部26の高さよりも遥かに小さく設定されている。
図3、図5及び図11に示されているように、PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端は、PCSセンサ12が支持軸24の周りに枢動する際の枢動半径が最も大きい領域である。支持ベース部材20の後端の中央には、被案内部30が設けられている。被案内部30は、横方向に見て上向きに開いた実質的にU形をなす弾性変形可能な帯状部材であり、一方の脚部にて支持ベース部材20の後端と一体に接続されている。他方の脚部の外面の先端には係合突起30Pが一体に形成されており、係合突起30Pは後方へ向けて楔状に突出している。
PCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けて支持軸24の周りに枢動せしめられる際には、係合突起30Pが案内部26のV溝26Gに入り込み、V溝26Gの谷底に沿って移動する。よって、案内部26及び被案内部30は、PCSセンサ12が枢動せしめられる際に、PCSセンサ12の後端部がブラケット16に対し横方向にずれることがないよう、PCSセンサ12を所定の取り付け位置まで案内する。
PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置にあるときには、被案内部30は係合突起30PがV溝26Gの開口幅が一定の部分に係合し、案内部26によって押し戻されることにより弾性変形する。従って、PCSセンサ12は被案内部30の弾性変形により発生するばね力により、後側接続部16Rから離れる方向へ、即ち車両の前方へ付勢される。従って、支持軸24が受け入れ溝16G内の予め設定された挿入位置に保持されると共に、PCSセンサ12がブラケット16に対し後方へ変位することが抑制される。
PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端には、被案内部30に対し左側の位置に矩形の位置ずれ防止突起32が一体に形成され、支持ベース部材20の前端から遠ざかる方向へ突出している。位置ずれ防止突起32の幅は切欠き28の幅よりもごく僅かに小さく設定されている。よつて、PCSセンサ12が所定の取り付け位置に到達すると、位置ずれ防止突起32は切欠き28に嵌入し、これによりPCSセンサ12がブラケット16に対し横方向へ変位することを阻止する。なお、切欠き28内への位置ずれ防止突起32の移動は、バンク28Aによって案内される。
図2、図3及び図5に示されているように、PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端には、左右の側縁に近接して一対の板ばね34が一体に形成されている。図5、図6、図8及び図11に示されているように、板ばね34は、支持ベース部材20の前端から遠ざかる方向へ突出し、上方へ湾曲している。板ばね34は、PCSセンサ12が所定の取り付け位置に到達する直前に、ブラケット16の後側接続部16Rに設けられた当接台座35に当接する。よって、板ばね34は、枢動のためにPCSセンサ12の後端部に付与される押圧力とは実質的に逆方向のばね力をPCSセンサ12の後端部に付与する。
図7に示されているように、各受け入れ溝16Gは、導入部16GAと、案内部16GBと、支持軸24を予め設定された挿入位置にて保持する保持部16GCとを有している。導入部16GAは、ベース部16Bに対し約45°をなすよう、後方へ且つベース部16Bから離れる方向へ傾斜して延在しており、ベース部16Bに対する案内部16GBの傾斜角は、導入部16GAの傾斜角よりも小さい。
支持軸24は、軸線24Aの周りに周方向へ互いに隔置され且つ径方向外方へ突出する三つの案内凸部24Xと、案内凸部24Xから周方向へ隔置された位置に設けられた挿入阻止突起24Yとを有している。案内凸部24X及び挿入阻止突起24Yは、軸線24Aに沿って延在し、支持軸24が受け入れ溝16Gの保持部16GCにあるときには、互いに共働して軸線24Aの周りに回転可能に支持軸24を保持する。案内凸部24X及び挿入阻止突起24Yは、支持軸24の軸線24Aに垂直な断面形状が円形である場合に比して、支持軸24と保持部16GCとの接触面積を低減する。よって、支持軸24が保持部16GC内にて回転する際の摩擦抵抗が低減される。
図7において、実線は、支持ベース部材20の底壁部20Aが、ベース部16Bに対し45°を含む所定の角度範囲内にて傾斜している状況を示している。これに対し、破線は、底壁部20Aの傾斜角が所定の角度範囲内の値よりも小さい状況を示している。PCSセンサ12の傾斜角が所定の角度範囲内にあるときには、案内凸部24X及び挿入阻止突起24Yは、支持軸24が予め設定された挿入位置、即ち保持部16GCまで受け入れ溝16Gに挿入されることを許容する。しかし、PCSセンサ12の傾斜角が所定の角度範囲内の値よりも小さいときには、案内凸部24X及び挿入阻止突起24Yは、支持軸24が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝16Gに挿入されることを阻止する。
図には示されていないが、PCSセンサ12の支持ベース部材20の底面20A(フロントガラス14の側の面)には、例えばスポンジシート又は不織布のような弾性緩衝材が張り付けられている。弾性緩衝材は支持ベース部材20とフロントガラス14との間にて緩衝作用を発揮する。PCSセンサ12の傾斜角が所定の角度範囲内の値よりも小さいときに支持軸24の挿入が制限されるのは、PCSセンサ12の取り付け時に、弾性緩衝材がブラケット16などに係合して剥離又は損傷することを防止するためである。
図2、図3、図6及び図8に示されているように、PCSセンサ12の支持ベース部材20の両側部には、弾性変形可能な逆止係合部36が一体に形成されている。各逆止係合部36は、センサ本体22に対し支持ベース部材20の底壁部20Aとは反対の側へ突出するよう、センサ本体22から隔置された状態にて延在している。各逆止係合部36は、逆止爪部36Aと、該逆止爪部と一体をなし逆止爪部よりも先端側に位置する干渉爪部36Bとを有し、逆止爪部36Aは逆止係合部36の外面側(センサ本体22とは反対の側)に設けられている。
図4に示されているように、ブラケット16の各側壁部16Sには、対応する逆止爪部36Aと逆止的に係合可能な被係合部38が設けられている。一対の被係合部38の内面の間の車両横方向の距離は、一対の逆止係合部36の外面の間の距離よりも大きく、一対の逆止爪部36Aの下端の外面の間の距離よりも小さい。よって、PCSセンサ12がブラケット16に取り付けられる際には、各逆止係合部36は逆止爪部36Aの部分を除き対応する被係合部38の内側に位置する。
図6及び図8は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置に位置決めされた状態を示している。これらの図に示されているように、各逆止爪部36Aは、対応する被係合部38に設けられた孔38Aに嵌入し、被係合部38は逆止爪部36Aと逆止的に係合する。逆止爪部36Aは、板ばね34のばね力により、被係合部38の孔38Aよりも先端側の部分に押圧される。
以上の工程によりブラケット16に対するPCSセンサ12の取り付けが完了し、PCSセンサ12はブラケット16及びフロントガラス14に対し所定の取り付け位置に保持される。逆止爪部36Aの前後方向の幅は、孔38Aの幅よりも僅かに小さい。よって、PCSセンサ12の取り付けが完了すると、逆止係合部36及び被係合部38は、互いに共働してPCSセンサ12がブラケット16に対し前後方向に変位することを阻止する。
なお、PCSセンサ12の後端部がブラケット16に対し押し付けられ、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置に取り付けられる際には、ブラケット16を介してフロントガラス14に過大な力が作用しないことが好ましい。よって、PCSセンサ12は、車両の横方向の一方の後端部がブラケット16に対し押し付けられ、しかる後車両の横方向の他方の後端部がブラケット16に対し押し付けられることが好ましい。
第一の実施形態においては、図4に示されているように、ブラケット16の後側接続部16Rには、案内部26の両側部と一体をなすよう、一対の中央干渉リブ40が形成されている。これらの中央干渉リブ40は、ブラケット16の後側接続部16Rの前縁より前方へ突出した状態にて後側接続部16Rに垂直に柱状に延在している。
なお、上記突出の量は、図9及び図10において一点鎖線にて示されているように、ブラケット16に対するPCSセンサ12の位置関係が適正であれば、中央干渉リブ40がPCSセンサ12の後端に干渉しない大きさである。また、上記突出の量は、図9及び図10において二点鎖線にて示されているように、上記位置関係が適正でなければ、中央干渉リブ40がPCSセンサ12の後端に干渉する大きさである。更に、一対の中央干渉リブ40の間隔は、被案内部30の後側の脚部の幅よりも僅かに大きい値に設定されている。よって、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置に取り付けられる際に、被案内部30の後側の脚部は中央干渉リブ40の間に入り込むことができる。
また、ブラケット16の後側接続部16Rの左右の端部に近接した位置には、カバー18(図13参照)の後端部を取り付けるための被係合部42が一体に設けられている。各被係合部42は、後側接続部16Rに垂直に延在し、後側接続部16Rに垂直な方向に見て前方へ向けて開いたステープル形をなしている。各被係合部42は、カバー18の後端部に設けられたクリップ(図示せず)が差し込まれる孔42Aを有している。
更に、第一の実施形態においては、ブラケット16の後側接続部16Rには、各当接台座35に隣接してその横方向外側の位置に側部干渉リブ44が一体に形成され、後側接続部16Rに垂直に前後方向に延在している。図示の実施形態においては、側部干渉リブ44は、対応する被係合部42の外側の脚部42Bと一体に形成されているが、脚部42Bとは独立に設けられていてもよい。
<従来の構造との対比>
中央干渉リブ40及び側部干渉リブ44は、従来の車両前方情報取得装置には設けられていない。従来の車両前方情報取得装置においては、ブラケット16に対しPCSセンサ12が適正に位置決めされずに取り付けが行われると、PCSセンサ12があたかも適正にブラケット16に取り付けられたかのような状況になることがある。
例えば、左右両方の支持軸24が予め設定された挿入位置まで適正に受け入れ溝16Gに挿入されていない状況(不十分な挿入状況の場合)について考える。この不十分な挿入状況の場合にも、適正な位置決めにて取り付けが行われる場合と同様に、PCSセンサ12はブラケット16に対し傾斜しない。しかし、PCSセンサ12は本来あるべき位置(図9及び図10において一点鎖線にて示された位置)よりもブラケット16に対し後方側へ変位した状態、例えば図9において二点鎖線にて示された状態になる。
ブラケット16にPCSセンサ12を取り付ける作業者は、ブラケット16の下方にいて支持軸24を受け入れ溝16Gに挿入して押し込む。しかし、PCSセンサ12が所定の角度範囲内にて傾斜していないときには、支持軸24が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝16Gに挿入されることが案内凸部24X及び挿入阻止突起24Yによって阻止される。また、支持軸24が受け入れ溝16Gに挿入されると、支持軸24は受け入れ溝16Gの周囲の部分の死角に入るので、作業者が受け入れ溝16G内における支持軸24の位置を正確に把握することが困難である。そのため、作業者が不十分な挿入状況を看過することがある。
この不十分な挿入状況においては、被係合部30の係合突起30Pは案内部26のV溝26Gに入り込み、V溝26Gの谷底に沿って移動する。しかし、PCSセンサ12は本来あるべき位置よりもブラケット16に対し後方側へ変位しているため、被係合部30の弾性変形量が適正な位置決めにて取り付けが行われる場合よりも大きくなる。その結果、係合突起30PとV溝26Gの壁面との間に高い押圧力が作用し、その押圧力、従ってその押圧力に起因する摩擦力は、ブラケット16に対するPCSセンサ12の枢動が進行するにつれて増大する。
その結果、ブラケット16に対するPCSセンサ12の傾斜角が小さくなった段階で発生する高い摩擦力により、PCSセンサ12はブラケット16に保持された状態になり、PCSセンサ12は落下しなくなる。従って、作業者は、「支持軸24が受け入れ溝16Gの保持部16GCに到達した状態で、PCSセンサ12がブラケット16に所定の取り付け位置にて適正に取り付けられた」と誤認する場合がある。
これに対し、第一の実施形態においては、ブラケット16の後側接続部16Rの中央には、一対の中央干渉リブ40が設けられている。図9において二点鎖線にて示され、図12において実線にて示されているように、PCSセンサ12の後端部の上面が中央干渉リブ40の下面の前縁に係合する。よって、PCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することが、中央干渉リブ40によって阻止される。
また、図12に示されているように、左側の支持軸24は予め設定された挿入位置まで受け入れ溝16Gに挿入されているが、右側の支持軸24が予め設定された挿入位置まで受け入れ溝16Gに挿入されていない状況について考える。この不適切な傾斜挿入状況においては、PCSセンサ12がブラケット16に対し左方へ傾斜した状態になり、支持軸24の軸線24Aはそれが本来あるべき位置24A0に対し傾斜する。なお、不適切な傾斜挿入状況も、PCSセンサ12がブラケット16に取り付けられる際の傾斜角が、所定の範囲の下限値又はそれよりも僅かに小さい場合に生じ易い。
上述のように、支持軸24が受け入れ溝16Gに挿入されると、支持軸24は受け入れ溝16Gの周囲の部分の死角に入るので、作業者が受け入れ溝16G内における支持軸24の位置を正確に把握することが困難である。そのため、不十分な傾斜挿入状況の場合と同様に、作業者が不適切な傾斜挿入状況を看過することがある。
この不適切な傾斜挿入状況においては、被係合部30の係合突起30Pは案内部26のV溝26Gに入り込むが、V溝26Gの谷底に沿って移動せず、V溝26Gの斜面に係合する状態で移動する。そのため、係合突起30PとV溝26Gの壁面との間に高い押圧力が作用し、その押圧力、従ってその押圧力に起因する摩擦力は、ブラケット16に対するPCSセンサ12の枢動が進行するにつれて増大する。
その結果、ブラケット16に対するPCSセンサ12の傾斜角が小さくなった段階で発生する高い摩擦力により、PCSセンサ12はブラケット16に保持された状態になり、PCSセンサ12は落下しなくなる。従って、不適切な傾斜挿入状況の場合にも、作業者は、「支持軸24が受け入れ溝16Gの保持部16GCに到達した状態で、PCSセンサ12がブラケット16に所定の取り付け位置にて適正に取り付けられた」と誤認する場合がある。
これに対し、第一の実施形態においては、ブラケット16の後側接続部16Rの左右の端部に近接した領域には、一対の側部干渉リブ44が設けられている。よって、上述の不適切な傾斜挿入状況が発生すると、図10において二点鎖線にて示されている事態になる。即ち、被係合部30の上端部及び/又は支持ベース部材20の後端部の上面が中央干渉リブ40の下面の前縁に係合する。よって、中央干渉リブ40はPCSセンサ12がブラケット16に対し更に上方へ枢動することを阻止する。また、外方へ変位している側(図10に示された傾斜の場合には左側)の板ばね34が、対応する側部干渉リブ44の下面に係合し、側部干渉リブ44もPCSセンサ12がブラケット16に対し更に上方へ枢動することを阻止する。
中央干渉リブ40及び側部干渉リブ44によるPCSセンサ12の枢動阻止は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動する前に行われる。よって、PCSセンサ12はブラケット16により保持された状態にならず、作業者がPCSセンサ12の後端部を枢動させるための押圧力を解除すると、PCSセンサ12の後端部がブラケット16から離れるよう変位する。従って、たとえ作業者が不十分な挿入状況又は不適切な傾斜挿入状況を看過しても、PCSセンサ12がブラケット16に適正に取り付けられたと誤認することを効果的に防止することができる。
以上の説明から解るように、中央干渉リブ40は、不十分な挿入状況において、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第一の不正取り付け防止用干渉部として機能する。また、中央干渉リブ40及び側部干渉リブ44は、不適切な傾斜挿入状況において、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第二の不正取り付け防止用干渉部として機能する。なお、中央干渉リブ40は、上述のように、補助的に第二の不正取り付け防止用干渉部としても機能する。
なお、ブラケット16に対しPCSセンサ12が適正に位置決めされて取り付けが行われる場合には、図9及び図10において一点鎖線にて示されているように、被係合部30の係合突起30PはV溝26Gの谷底に沿って移動する。また、被案内部30の後側の脚部は中央干渉リブ40の間に入り込んで移動し、PCSセンサ12のベース部材20の後端は、中央干渉リブ40より僅かに前方側を通過する。更に、一対の板ばね34は、それぞれ対応する側部干渉リブ44よりも互いに近い側を通過する。
よって、中央干渉リブ40及び側部干渉リブ44は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ枢動し、その位置に取り付けられることを阻害しない。また、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動することができるので、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することも阻害されない。従って、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することにより、PCSセンサ12は、ブラケット16に対し前後方向及び上下方向へ移動しないよう、所定の取り付け位置に取り付けられた状態に保持される。
更に、図示の実施形態においては、図13に示されているように、カバー18の内面には、一対の突起46が底壁部18Bと一体に設けられている。一対の突起46は横方向に互いに隔置され且つ側壁部18Sに近接して前後方向に延在している。各突起46の先端部は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置に位置決めされ、逆止爪部36Aが被係合部38に設けられた孔38Aに嵌合すると、対応する干渉爪部36Bの内側に位置する。よって、突起46は逆止係合部36の干渉爪部36Bと干渉しないので、カバー18をブラケット16に取り付けることができる。
しかし、PCSセンサ12がブラケット16に所定の取り付け位置にて取り付けられておらず、逆止爪部36Aが孔38Aに嵌合していないときには、逆止係合部36が被係合部38によって内方(センサ本体22の側)へ弾性変形せしめられる。そのため、突起46は逆止係合部36の干渉爪部36Bと干渉し、カバー18をブラケット16に取り付けることが阻止されるようになっている。よって、逆止係合部36、被係合部38及び突起46は、ブラケット16に対するPCSセンサ12の取り付けが適正でない状態でカバー18がブラケット16に取り付けられることを防止する不適正取り付け防止構造48を構成している。なお、不適正取り付け防止構造48の構造は、後述の他の実施形態においても設けられていてよい。
従って、ブラケット16に対するPCSセンサ12の取り付けが適正でない状態でカバー18がブラケット16に取り付けられることを効果的に防止することができる。また、作業者は、カバー18をブラケット16に取り付けることができないことによっても、ブラケット16に対するPCSセンサ12の取り付けが適正でないことを認識することができる。
特に、ブラケット16に対するPCSセンサ12の取り付けが適正でない場合に、突起46が干渉してカバー18の取り付けを阻止する干渉爪部36Bは、逆止爪部36Aと共に逆止係合部36を形成している。よって、干渉爪部36Bが逆止爪部36Aを有する逆止係合部36とは別の部位に形成されている場合に比して、ブラケット16にPCSセンサ12を取り付けるための逆止係合部及び不適正取り付け防止構造48の構造を単純化することができる。
[第二の実施形態]
図14及び図15は、本発明による車両前方情報取得装置の第二の実施形態として構成されたPCSセンサ装置のブラケット16の要部を示す拡大部分平面図である。なお、図14及び図15において、図1乃至図8に示された部材に対応する部材には、これらの図において付された符号と同一の符号が付されている。このことは、後述の他の実施形態を示す図についても同様である。
図14及び図15と図4又は図9及び図10との比較から解るように、第二の実施形態においては、第一の実施形態において設けられている中央干渉リブ40は設けられていない。案内部26の両側部の前面は、ブラケット16の後側接続部16Rの前縁と同一の平面内に位置している。第一の実施形態の場合と同様に、各側部干渉リブ44は、対応する被係合部42の外側の脚部42Bと一体に形成されているが、ブラケット16の後側接続部16Rの前縁から前方へ突出している。
なお、上記突出の量は、図14及び図15において一点鎖線にて示されているように、ブラケット16に対するPCSセンサ12の位置関係が適正であれば、側部干渉リブ44がPCSセンサ12の後端に干渉しない大きさである。また、上記突出の量は、図14及び図15において二点鎖線にて示されているように、上記位置関係が適正でなければ、側部干渉リブ44がPCSセンサ12の後端に干渉する大きさである。
第二の実施形態において、左右の支持軸24(図2及び図3参照)が予め設定された挿入位置まで適正に受け入れ溝16Gに挿入されているときには、図14及び図15において一点鎖線にて示されているように、PCSセンサ12はブラケット16に対し適正に位置決めされる。よって、PCSセンサ12は、側部干渉リブ44に干渉されることなく、ブラケット16に対し所定の取り付け位置へ枢動することができる。
しかし、第一の実施形態の説明において上述した不十分な挿入状況が発生すると、図14において二点鎖線にて示された事態になる。即ち、PCSセンサ12は、ブラケット16に対し傾斜しないが、本来あるべき位置(図14において一点鎖線にて示された位置)よりもブラケット16に対し後方側へ変位した状態になる。よって、PCSセンサ12の後端部の上面が中央干渉リブ40の下面の前縁に係合するので、側部干渉リブ44はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
また、第一の実施形態の説明において上述した不適切な傾斜挿入状況が発生すると、図15において二点鎖線にて示された事態になる。即ち、横方向外方へ変位している側(図15に示された傾斜の場合には左側)の板ばね34が、対応する側部干渉リブ44の下面に係合する。よって、不適切な傾斜挿入状況の場合にも、側部干渉リブ44はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
不十分な挿入状況及び不適切な傾斜挿入状況の何れの場合にも、側部干渉リブ44によるPCSセンサ12の枢動阻止は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動する前に行われる。よって、側部干渉リブ44は、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第一及び第二の不正取り付け防止用干渉部として機能する。従って、たとえ作業者が受け入れ溝16G内における支持軸24の不十分な挿入状況又は不適切な傾斜挿入状況を看過しても、PCSセンサ12がブラケット16に対し適正に取り付けられたと誤認することを効果的に防止することができる。
[第三の実施形態]
図16及び図17は、本発明による車両前方情報取得装置の第三の実施形態として構成されたPCSセンサ装置のブラケット16の要部を示す拡大部分平面図である。
図16及び図17と図4又は図9及び図10との比較から解るように、第三の実施形態においては、第二の実施形態と同様に中央干渉リブ40は設けられていない。また、第一及び第二の実施形態と異なり、被係合部42の外側の脚部42Bと一体をなす側部干渉リブ44も設けられていない。しかし、ブラケット16の後側接続部16Rの前縁部には、一対の側部干渉リブ50が設けられており、図には示されていないが、一対の側部干渉リブ50は第一及び第二の実施形態の側部干渉リブ44と実質的に同一の高さを有している。
各側部干渉リブ50は、後側接続部16Rに設けられた当接台座35に隣接してそれよりも横方向の中央側に位置している。各側部干渉リブ50は、後側接続部16Rの前縁より前方へ突出した状態で、後側接続部16Rの前縁に部分的に沿って延在している。なお、上記突出の量は、図16及び図17において一点鎖線にて示されているように、ブラケット16に対するPCSセンサ12の位置関係が適正であれば、側部干渉リブ50がPCSセンサ12の後端に干渉しない大きさである。また、上記突出の量は、図16及び図17において二点鎖線にて示されているように、上記位置関係が適正でなければ、側部干渉リブ50がPCSセンサ12の後端に干渉する大きさである。
第三の実施形態において、左右の支持軸24が予め設定された挿入位置まで適正に受け入れ溝16Gに挿入されているときには、図16及び図17において一点鎖線にて示されているように、PCSセンサ12はブラケット16に対し適正に位置決めされる。よって、PCSセンサ12は、側部干渉リブ50に干渉されることなく、ブラケット16に対し所定の取り付け位置へ枢動することができる。
しかし、上述した不十分な挿入状況が発生すると、図16において二点鎖線にて示された事態になる。よって、PCSセンサ12の後端部の上面が側部干渉リブ50の下面の前縁に係合するので、側部干渉リブ50はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
また、前述の不適切な傾斜挿入状況が発生すると、図17において二点鎖線にて示されている事態になる。即ち、PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端部が、横方向内方へ変位している側において、対応する側部干渉リブ50の下面の前縁に係合する。よって、不適切な傾斜挿入状況の場合にも、側部干渉リブ50はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
不十分な挿入状況及び不適切な傾斜挿入状況の何れの場合にも、側部干渉リブ50によるPCSセンサ12の枢動阻止は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動する前に行われる。よって、側部干渉リブ50は、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第一及び第二の不正取り付け防止用干渉部として機能する。従って、たとえ作業者が支持軸24の不十分な挿入状況又は不適切な傾斜挿入状況を看過しても、PCSセンサ12がブラケット16に対し適正に取り付けられたと誤認することを効果的に防止することができる。
[第四の実施形態]
図18は、PCSセンサがブラケットに取り付けられた状況について、本発明による車両前方情報取得装置の第四の実施形態として構成されたPCSセンサ装置10を、斜め後方且つ下方から見た図として示す斜視図である。図19及び図20は、第四の実施形態のブラケット16の要部を示す拡大部分平面図である。
図18乃至図20と図4又は図9及び図10との比較から解るように、第四の実施形態においては、上述の第一の実施形態の場合と同様に、中央干渉リブ40が設けられている。しかし、第一乃至第三の実施形態と異なり、側部干渉リブ44及び50は設けられていない。
図18乃至図20に示されているように、PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端部には、一対の干渉突起52が一体に設けられ、前後方向に直線的に延在している。一対の干渉突起52は、被案内部30の横方向両側に位置し、案内部26の両側部の外面の間の距離よりも僅かに大きい距離だけ互いに横方向に隔置されている。
図示の実施形態においては、干渉突起52は、PCSセンサ12がブラケット16に所定の位置にて取り付けられた状況において、干渉突起52の先端が案内部26の両側部の後面よりも後方に位置する長さを有している。更に、干渉突起52の図19及び図20の紙面に垂直な方向の強度が確保されるよう、該方向の寸法は横方向の寸法よりも大きい値に設定されている。
図19及び図20の一点鎖線は、第四の実施形態において、左右の支持軸24が予め設定された挿入位置まで適正に受け入れ溝16Gに挿入されている状況を示している。この状況においては、中央干渉リブ40はPCSセンサ12の後端部と干渉せず、干渉突起52は中央干渉リブ40と干渉しない。よって、PCSセンサ12はブラケット16に対し所定の取り付け位置へ枢動することができる。
しかし、上述した不十分な挿入状況が発生すると、図19において二点鎖線にて示された事態になる。よって、第一の実施形態の場合と同様に、PCSセンサ12の後端部の上面が中央干渉リブ40の下面の前縁に係合する。従って、中央干渉リブ40はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
また、前述の不適切な傾斜挿入状況が発生すると、図20において二点鎖線にて示されている事態になる。即ち、横方向中央側へ変位している干渉突起52が対応する中央干渉リブ40の下面の前縁に係合し、干渉突起52はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
不十分な挿入状況及び不適切な傾斜挿入状況の何れの場合にも、干渉突起52によるPCSセンサ12の枢動阻止は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動する前に行われる。よって、中央干渉リブ40は、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第一の不正取り付け防止用干渉部として機能する。また干渉突起52及び中央干渉リブ40は、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第二の不正取り付け防止用干渉部として機能する。従って、たとえ作業者が支持軸24の不十分な挿入状況又は不適切な傾斜挿入状況を看過しても、PCSセンサ12がブラケット16に対し適正に取り付けられたと誤認することを効果的に防止することができる。
[第五の実施形態]
図21は、PCSセンサがブラケットに取り付けられた状況について、本発明による車両前方情報取得装置の第五の実施形態として構成されたPCSセンサ装置10を、斜め後方且つ下方から見た図として示す斜視図である。図22及び図23は、第五の実施形態のブラケット16を示す拡大部分平面図である。
図21乃至図23と図4又は図9及び図10との比較から解るように、第五の実施形態においては、上述の第二の実施形態の場合と同様に、中央干渉リブ40は設けられていないが、側部干渉リブ44は設けられている。第一及び第二の実施形態の場合と同様に、各側部干渉リブ44は、対応する被係合部42の外側の脚部42Bと一体に形成されている。しかし、各側部干渉リブ44は、ブラケット16の後側接続部16Rの前縁から前方へ突出しておらず、第一の実施形態の場合と同様に、各側部干渉リブ44の前端は後側接続部16Rの前縁に整合している。
PCSセンサ12の支持ベース部材20の後端部には、各板ばね34の横方向外側の位置に干渉突起54が設けられており、各干渉突起54は対応する板ばね34の根元部と一体的に形成されている。各干渉突起54は支持ベース部材20の後端部に沿ってブロック状に延在し、横方向の幅は側部干渉リブ44の厚さよりも大きい値に設定されている。
なお、上記突出の量は、図22及び図23において一点鎖線にて示されているように、ブラケット16に対するPCSセンサ12の位置関係が適正であれば、干渉突起54及び側部干渉リブ44が互いに干渉しない大きさである。また、上記突出の量は、図22及び図23において二点鎖線にて示されているように、上記位置関係が適正でなければ、干渉突起54が側部干渉リブ44と干渉する大きさである。
第五の実施形態において、左右の支持軸24が予め設定された挿入位置まで適正に受け入れ溝16Gに挿入されているときには、図22及び図23において一点鎖線にて示されているように、干渉突起54及び側部干渉リブ44は互いに干渉しない。よって、PCSセンサ12はブラケット16に対し所定の取り付け位置へ枢動することができる。
しかし、上述した不十分な挿入状況が発生すると、図22において二点鎖線にて示された事態になる。よって、左右の干渉突起54が対応する側部干渉リブ44の下面の前縁に係合する。従って、左右の干渉突起54及び側部干渉リブ44はPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
また、前述の不適切な傾斜挿入状況が発生すると、図230において二点鎖線にて示されている事態になる。よって、この場合には、横方向内方へ変位している側の干渉突起54が対応する側部干渉リブ44の下面の前縁に係合する。また、横方向外方へ変位している側の板ばね34が対応する側部干渉リブ44の下面に係合する。従って、干渉突起54及び板ばね34は、側部干渉リブ44と共働してPCSセンサ12が所定の取り付け位置へ向けてブラケット16に対し上方へ枢動することを阻止する。
不十分な挿入状況及び不適切な傾斜挿入状況の何れの場合にも、干渉突起54及び側部干渉リブ44によるPCSセンサ12の枢動阻止は、PCSセンサ12がブラケット16に対し所定の取り付け位置へ移動する前に行われる。よって、干渉突起54及び側部干渉リブ44は、被係合部38が逆止爪部36Aと逆止的に係合することを阻止する第一及び第二の不正取り付け防止用干渉部として機能する。従って、たとえ作業者が支持軸24の不十分な挿入状況又は不適切な傾斜挿入状況を看過しても、PCSセンサ12がブラケット16に対し適正に取り付けられたと誤認することを効果的に防止することができる。
なお、上述の各実施形態の説明においては、PCSセンサ12がブラケット16に対し左方へ傾斜する不適切な傾斜挿入状況についてのみ説明した。しかし、PCSセンサ12がブラケット16に対し右方へ傾斜する不適切な傾斜挿入状況の場合にも、左右が逆である点を除き、上述の作用効果と同様の作用効果が得られる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の各実施形態においては、中央干渉リブ40、側部干渉リブ44及び50は、車両前方情報取得センサとしてのPCSセンサ12が支持軸24の周りに枢動せしめられる際における枢動半径が最も大きい部分と干渉する。しかし、不正取り付け防止用干渉部は枢動半径が最も大きい部分以外の部分と干渉するよう設けられてもよい。
また、上述の第一乃至第五の実施形態の構成の一部が省略されてもよい。例えば、第一の実施形態における中央干渉リブ40及び側部干渉リブ44の一方が省略されてもよい。また、上述の第二及び第四の実施形態の構成の組合せのように、上述の第一乃至第五の実施形態の構成が任意の組合せにて組み合わされて実施されてもよい。
また、上述の各実施形態においては、案内部26の両側の不正取り付け防止用干渉部の構造は同一である。しかし、案内部26の両側の不正取り付け防止用干渉部の構造が相互に異なっていてもよい。
また、上述の第一及び第五の実施形態においては、側部干渉リブ44は、対応する被係合部42の外側の脚部42Bと一体に形成されている。しかし、側部干渉リブ44は、対応する被係合部42の内側の脚部と一体に形成されてもよい。
また、上述の第二、第三及び第五実施形態においては、第一の実施形態における中央干渉リブ40は設けられていない。しかし、第二、第三及び第五実施形態の何れかにおいて、中央干渉リブ40が設けられてもよい。