以下、液体噴射装置及び同液体噴射装置に装着される廃液収容体の実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置11は、矩形箱状の筐体部12と、筐体部12に取り付けられた開閉体13と、を備えている。開閉体13は、筐体部12に対して回動可能に取り付けられる矩形板状の本体部13aと、本体部13aに対して基端部が回動可能に取り付けられる矩形板状の延設部13bとを有する。
延設部13bは本体部13aよりも小さい。また、延設部13bの先端側には、手掛け部13cが凹設されている。開閉体13は、手掛け部13cに手を掛けて延設部13b及び本体部13aをそれぞれ所定の角度まで回動させることによって、図1に示す閉位置と図2に示す開位置とに配置される。
図2に示すように開閉体13を開位置に配置すると、筐体部12内に媒体Sを挿入するための挿入口14と、筐体部12内から媒体Sを排出するための排出口15とが露出する。開位置に配置された開閉体13は、挿入口14に挿入される媒体Sを支持する支持台(給紙トレイ)として機能する。
筐体部12において、挿入口14が開口する外壁を上壁16、上壁16の反対側の外壁を底壁17、排出口15が開口する外壁を前壁18、前壁18の反対側の外壁を後壁19という。また、筐体部12において、上壁16、底壁17、前壁18及び後壁19と交差する一対の外壁を外側壁20(20R,20L)という。そして、筐体部12において、上壁16側を天面側、底壁17側を底面側ということがある。
上壁16の表面(天面)側には、液体噴射装置11の操作を行うための操作部101と、操作部101の操作結果や液体噴射装置11の動作状況等を表示するための表示部102とが配置されている。また、上壁16の裏面(底面)側には、液体噴射装置11の動作を制御するための制御部103が配置されている。なお、操作部101及び表示部102は制御部103と電気的に接続されている。
閉位置に配置された開閉体13は、本体部13aが挿入口14、操作部101及び表示部102を覆うように上壁16の一部と重なるとともに、延設部13bが排出口15を覆うように前壁18の一部と重なる。また、上壁16及び前壁18には、それぞれ閉位置に配置された本体部13a及び延設部13bを収容する凹部16a,18aが凹設されている。開閉体13が閉位置に配置されると、開閉体13は凹部16a,18aに収容されることによって外面が筐体部12の外面と略面一をなして、筐体部12と一体化する。
液体噴射装置11の底壁17が載置面に向かい合うように載置される姿勢(図1及び図2に示す姿勢)を横置き、後壁19が載置面に向かい合うように載置される姿勢(図10に示す姿勢)を縦置きという。筐体部12は、底壁17の外面の面積よりも後壁19の外面の面積の方が小さいので、液体噴射装置11を縦置きの姿勢で載置すれば、載置面の面積が小さくて済む。そのため、使用時には液体噴射装置11を横置きする一方、非使用時には液体噴射装置11を縦置きして片づけておく、という使い方をすることが可能である。
なお、このように載置面に対する当接面となり得る底壁17及び後壁19に支持脚部12a(図3、図5及び図10参照)を突設しておくと、載置時の液体噴射装置11の姿勢を安定させることができる。また、液体噴射装置11は、このように載置時の姿勢を変化させることのできる筐体部12と、筐体部12と一体化可能な開閉体13とを備えることによって、持ち運び可能なモバイル型の液体噴射装置として好適に使用することができる。
図3に示すように、筐体部12内には、挿入口14から挿入された媒体Sを排出口15に向けて搬送する搬送機構21と、搬送される媒体Sを支持する媒体支持部22と、が収容されている。
搬送機構21は、挿入口14から媒体支持部22に向けて媒体Sを搬送する搬送ローラー23と、媒体支持部22から排出口15に向けて媒体Sを搬送する排出ローラー24と、を備える。また、搬送機構21は、駆動源である搬送モーター25と、搬送モーター25の駆動力を搬送ローラー23及び排出ローラー24に伝達するための歯車列等からなる動力伝達機構26と、を備える。
液体噴射装置11は、媒体支持部22に支持された媒体Sに向けて液体を噴射する液体噴射部31と、液体噴射部31を保持して、筐体部12内に架設されたガイドレール32に沿って往復移動するキャリッジ33と、を備える。液体噴射部31は、液体を液滴として噴射する複数のノズル34を有している。
液体噴射部31は、キャリッジ33とともに、媒体Sの搬送方向Fと交差する移動方向Mに沿って往復移動しながら、ノズル34から液滴を噴射する。液体噴射部31が噴射する液体は、例えば、キャリッジ33に着脱可能に装着される液体収容体104(図10参照)から供給される。なお、本実施形態において、ノズル34が液滴を噴射する噴射方向Jは、搬送方向F及び移動方向Mの双方と交差する方向である。また、液体噴射装置11が横置きされた場合に、噴射方向Jは鉛直下方(重力方向)となることが好ましい。
液体噴射部31の移動領域において、移動方向Mの第1端E1(図3では右端)側が液体噴射部31のホーム位置に設定される。そして、液体噴射部31は、移動領域において、第1端E1から第2端E2(図3では左端)に向かう移動方向Mへの往路移動と、第2端E2から第1端E1に向かう復路移動とを交互に行う。なお、本実施形態において、搬送モーター25は、搬送方向Fにおいて媒体支持部22よりも挿入口14に近い位置であって、移動方向Mにおいて第1端E1よりも第2端E2に近い位置に配置される。
媒体支持部22には、媒体Sを支持する複数の支持突部22aが移動方向M及び搬送方向Fに並ぶように設けられている。また、媒体支持部22には、移動方向Mにおける第1端E1側にシート収容凹部22bが設けられている。そして、シート収容凹部22bには、液体を吸収可能な液滴受容シート27が収容されている。
媒体支持部22のシート収容凹部22bと底壁17との間には、液体を吸収可能な吸収材28が配置されている。吸収材28は、液滴受容シート27よりも液体の吸収容量が大きいことが好ましい。また、媒体支持部22には、シート収容凹部22bの内底部にあたる位置に複数の開口が設けられているとともに、液滴受容シート27には、先端が吸収材28に接触するように開口を通じて垂れ下がる延設部27aが複数設けられている。
液滴受容シート27は、例えばL判写真用紙やはがきなど、サイズの小さい媒体Sの縁まで余白無く印刷を施す縁なし印刷を行う場合に、媒体Sの縁からはみ出た液滴を受容する。そして、液滴受容シート27が受容した液体は、延設部27aを伝って吸収材28に移行し、吸収材28に吸収される。
図4に示すように、液体噴射装置11は、液体噴射部31のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構41を備える。なお、図4においては、メンテナンス機構41の構成を明示するために、搬送機構21及びガイドレール32の図示を省略するとともに、媒体支持部22、キャリッジ33及び液体噴射部31を二点鎖線で図示している。また、図3においては、搬送機構21の構成を明示するために、メンテナンス機構41の図示を省略している。
メンテナンス機構41は、移動方向Mにおいてホーム位置と対応する位置に配置されるキャップ42と、キャップ42に吸引チューブ43を介して接続される吸引機構44と、キャップ42に基端側が接続される通気チューブ45と、通気チューブ45の先端側に設けられる大気開放弁46と、を備える。
キャップ42は、噴射方向Jに沿って移動可能であり、ホーム位置にある液体噴射部31に接触するキャッピング位置(図7に示す位置)と、キャッピング位置よりも底壁17に近い退避位置との間を移動する。
キャップ42が液体噴射部31に接触するキャッピング位置に移動すると、キャップ42はノズル34が開口する閉空間を形成する。このように、キャップ42によってノズル34が開口する閉空間を形成することを「キャッピング」という。なお、キャップ42がキャッピング位置から退避位置に移動すると、キャッピングは解除される。そして、液体を噴射しない電源オフ時などに、液体噴射部31はホーム位置に移動して、キャッピングされた状態で待機する。
大気開放弁46が通気チューブ45の先端を開放する開弁位置に変位すると、キャップ42が形成する閉空間は大気に連通した状態になる。また、大気開放弁46が通気チューブ45の先端を閉塞する閉弁位置に変位すると、閉空間が密閉された状態になり、ノズル34の乾燥が抑制される。
吸引機構44は、例えば、弾性変形可能なチューブを偏心状態にある押圧部材が押し潰しつつ回転移動することで吸引力を発生させるチューブポンプ等からなる吸引ポンプである。大気開放弁46が閉弁位置にあるときに吸引機構44が駆動すると、閉空間が減圧されて負圧になる。これにより、ノズル34を通じて液体噴射部31から液体が排出される吸引クリーニングが実行される。なお、吸引機構44をチューブポンプとした場合には、押圧部材によるチューブの押し潰しを解除することによって閉空間を大気と連通させることができるので、このような場合には、大気開放弁46及び通気チューブ45を備えなくてもよい。
吸引クリーニングは、例えばノズル34が目詰まりするなどして液体の噴射不良が生じた場合などに、こうした噴射不良を解消するためのメンテナンス動作として行われる。そのため、吸引クリーニングによってノズル34から排出される液体は、液体噴射部31内に混入した気泡や増粘した液体の溶質成分などを含む廃液として扱われる。
吸引クリーニングの実行後には、大気開放弁46を開弁位置に変位させて閉空間の負圧を解消した上で、キャップ42を液体噴射部31から離れる方向に相対移動させることでキャッピングを解除する。またその後、吸引機構44を駆動することによって、キャップ42に残っている液体を排出する空吸引を行う。
噴射不良を解消するためのメンテナンス動作として、液体噴射部31が退避位置にあるキャップ42に向けて液滴を噴射するフラッシングを行うこともある。なお、フラッシングを行った後には、吸引機構44を駆動することによって、キャップ42が受容した液体を排出する空吸引を行う。
液体噴射装置11は、排出チューブ51を介して吸引機構44に接続された装着部52を備えている。装着部52は、噴射方向Jにおいて媒体支持部22と底壁17とに挟まれる位置であって、吸収材28よりも移動方向Mの第2端E2(図4では左端)に近い位置に配置されている。
装着部52には、廃液を収容可能な廃液収容体81が着脱可能に装着される。そして、吸引クリーニングやフラッシングによって液体噴射部31からキャップ42に排出された液体(廃液)は、吸引機構44の駆動に伴って、排出チューブ51を通じて装着部52に装着された廃液収容体81に収容される。本実施形態において、キャップ42、吸収材28、装着部52及び装着部52に装着された廃液収容体81は、第1端E1から第2端E2に向けて移動方向Mに順番に並ぶように配置されている。
本実施形態の廃液収容体81は、装着部52に対して、第2端E2側から第1端E1に向けて移動することによって液体噴射装置11に装着される。また、液体噴射装置11に装着された廃液収容体81は、第1端E1側から第2端E2に向けて移動することによって装着部52から脱着される(取り外される)。そのため、第2端E2から第1端E1に向かう方向(移動方向Mの反対方向)を廃液収容体81の装着方向Xといい、第1端E1から第2端E2に向かう方向(移動方向M)を廃液収容体81の脱着方向ということがある。さらに、廃液収容体81において、装着方向Xの前側(装着部52に装着される側)となる一端部(図4では右端部)を前端部、一端部の反対側となる他端部(図4では左端部)を後端部ということがある。
また、廃液収容体81の装着方向Xと交差する方向を幅方向Yといい、装着方向X及び幅方向Yの双方と交差する方向を厚さ方向Zという。なお、本実施形態の幅方向Yは、装着方向Xと直交する方向であり、廃液収容体81を装着部52に装着した状態において、搬送方向Fと一致する方向である。また、本実施形態の厚さ方向Zは、装着方向X及び幅方向Yの双方と直交する方向であり、廃液収容体81を装着部52に装着した状態において、噴射方向Jと一致する方向である。
筐体部12の底壁17には、廃液収容体81を収容可能な廃液収容体収容部48が噴射方向J(底面側)に向けて開口する態様で凹設されている。廃液収容体収容部48は、装着方向Xにおける長さが、廃液収容体81の装着方向Xにおける長さよりも長い。
廃液収容体収容部48には、装着部52に対して着脱される廃液収容体81を案内する移動案内部49が装着方向Xに延びるように設けられている。また、廃液収容体81の幅方向Yにおける両端側には、装着部52への装着時に移動案内部49と係合する案内突部81a,81bが突設されている。
なお、案内突部81a,81bは厚さ方向Zにおける位置が異なり(図11参照)、案内突部81aは移動案内部49に対して底面側から係合する一方で、案内突部81bは移動案内部49に対して天面側から係合する。すなわち、廃液収容体81が装着部52に装着されるために廃液収容体収容部48において装着方向Xに移動される時には、案内突部81a,81bが移動案内部49と係合することによって、廃液収容体81の噴射方向Jへの移動が抑制される。
図5に示すように、筐体部12の底壁17には、液体噴射装置11の装着部52に廃液収容体81を装着するための装着口17aが廃液収容体収容部48と連通する態様で設けられている。装着口17aには、一対の係止爪47aを有する開閉蓋47が回動により開閉可能な状態で取り付けられる。
開閉蓋47には、装着部52に装着された廃液収容体81の脱着方向への移動を規制するための係止突部47bが突設されている。また、廃液収容体81の後端部には、係止突部47bと係合可能な移動規制部82が突設されている。
廃液収容体81を装着口17aから廃液収容体収容部48に収容した後、廃液収容体81を装着部52に向けて装着方向Xに移動させると、廃液収容体81が装着部52に装着される。
このように廃液収容体81を装着部52に装着した後、開閉蓋47を回動させて係止爪47aを装着口17aに係止させると、係止突部47bと移動規制部82とが係合して、廃液収容体81の脱着方向への移動が規制される。
廃液収容体81には、廃液収容体81を装着部52から取り外すときに指等を掛けることのできる指掛け部83が凹設されている。そして、廃液収容体81を装着部52から取り外すときには、開閉蓋47を開いて係止突部47bと移動規制部82との係合を解除した後に、指掛け部83に指を掛けるなどして廃液収容体81を脱着方向に移動させる。そして、装着口17aを通じて廃液収容体81を廃液収容体収容部48から取り出す。このように廃液収容体81を着脱することにより、廃液収容体81における廃液の収容量が規定の容量を超えた場合などに、廃液収容体81の交換を行う。
次に、キャップ42の構成について詳述する。
図6に示すように、キャップ42は、吸引チューブ43が接続される第1接続突部61と、通気チューブ45が接続される第2接続突部62と、が突設されたキャップ部材63を有する。本実施形態において、第1接続突部61と第2接続突部62とは移動方向Mに並ぶように配置されるとともに、第2接続突部62は第1接続突部61よりもホーム位置に近い位置に配置される。
キャップ部材63は、搬送方向F及び移動方向Mに延びる底部64と、底部64と交差して噴射方向Jに延びる側壁部65とを有している。キャップ部材63の底部64は、搬送方向Fが長手方向になるとともに移動方向Mが短手方向になる平面視略長方形状をなす。そして、側壁部65のうち、搬送方向F上流側の部分を第1側壁65a、搬送方向F下流側の部分を第2側壁65b、移動方向Mにおける第1端側(図7では右側)の部分を第3側壁65c、移動方向Mにおける第2端側(図7では左側)の部分を第4側壁65dとすると、側壁65c,65dは側壁65a,65bよりも長い。そして、第1接続突部61及び第2接続突部62は搬送方向Fに突出するように第2側壁65bに突設されている。
図7に示すように、キャップ部材63の底部64と側壁部65とは、液体を貯留可能な液体貯留部66を形成する。キャップ部材63の側壁部65の先端には、弾性変形可能な環状のリップ部67が取り付けられている。そして、キャップ42が閉空間を形成するときには、リップ部67が液体噴射部31に弾性変形しつつ密着することによって、閉空間の密閉度が高まる。
キャップ部材63は、第1接続突部61及び第2側壁65bを貫通するように形成された排出孔68を有する。すなわち、キャップ部材63には、吸引チューブ43に連通する排出孔68が形成されている。
図8に示すように、第2側壁65bの第2接続突部62と対応する位置には、液体貯留部66に突出するように通気流路形成部65eが突設されている。そして、キャップ部材63は、第2接続突部62、第2側壁65b及び通気流路形成部65eを貫通するように形成された通気孔69を有する。
キャップ部材63の底部64には、排出孔68に連通するとともに底部64の長手方向に延びる溝71が凹設されている。溝71の排出孔68に接続される端部を下流端とすると、溝71の上流端は平面視略円形状をなして、底部64の長手方向(搬送方向F)及び短手方向(移動方向M)における中央付近に位置する。また、通気孔69は、液体貯留部66において、溝71の平面視略円形状の上流端よりも排出孔68に近い位置であって、底部64から離れた位置に開口する。
キャップ部材63の底部64には、長手方向(搬送方向F)に沿って複数(本実施形態では2つ)の支持軸72が突設されている。本実施形態において、溝71の平面視円形状をなす上流端は、底部64の長手方向において2つの支持軸72の間に配置されている。また、溝71は、支持軸72を避けるように屈曲している。
図8及び図9に示すように、キャップ42の液体貯留部66内には、可撓性を有するシート状部材73が溝71を覆うように底部64に重ねられている。
図8に示すように、シート状部材73には、溝71の上流端と重なる位置に吸引孔73aが形成されている。また、シート状部材73には、液体貯留部66内において支持軸72を挿通可能な貫通孔73bが形成されている。さらに、シート状部材73には、通気流路形成部65eと対応する位置に切り欠き73cが形成されている。
液体貯留部66には、底部64との間にシート状部材73を介在させた状態で、液体を吸収可能な液体吸収体74,75が層状に重ねられる態様で収容されている。液体吸収体74,75には、液体貯留部66内において支持軸72を挿通可能な貫通孔74b,75bがそれぞれ形成されている。また、液体吸収体74,75には、通気流路形成部65eと対応する位置に切り欠き74c,75cがそれぞれ形成されている。
本実施形態において、液体吸収体74,75のうち、シート状部材73側に配置される液体吸収体74は多孔質材料からなり、リップ部67側に配置される液体吸収体75は不織布からなる。多孔質材料である液体吸収体74の内部に形成された多数の孔は、互いに連通する連続孔であり、液体貯留部66に貯留される液体に対する親和性が高いことが好ましい。
本実施形態において、液体吸収体74は、液体吸収体75及びキャップ部材63よりも圧縮弾性率が高い弾性体からなる。なお、本実施形態では、液体貯留部66に材質の異なる2種の液体吸収体74,75を収容しているが、いずれか一種類の液体吸収体を収容するようにしてもよい。また、液体吸収体として、本実施形態に例示するものと異なる材質のものを採用することもできる。
さらに、キャップ42は、液体吸収体74,75を介してシート状部材73を押さえる押さえ部材76を備えることが好ましい。押さえ部材76は、液体吸収体75のリップ部67側の面である外面を均一に押さえつつ、液体吸収体75の外面を広く露出させるように、例えば金属によって網状に形成することができる。
押さえ部材76は、支持軸72の先端を挿通可能な挿通孔76bを有する。そして、挿通孔76bに挿通した支持軸72の先端を熱等でつぶして図7に示すように半球状にすることによって、押さえ部材76をキャップ部材63に固定する。
押さえ部材76は、液体貯留部66内において液体吸収体74,75を押圧して圧縮変形させた状態に保持することが好ましい。なお、本実施形態では、押さえ部材76の押圧により、液体吸収体75よりも圧縮変形しやすい(柔らかい)液体吸収体74の方が液体吸収体75よりも高い圧縮率で圧縮変形する。
図10に示すように、液体吸収体74,75の毛管力によって吸収可能な液体の液面高さをHa、排出孔68の延設方向(本実施形態では底部64の長手方向となる搬送方向F)における底部64の長さをLb、同延設方向における排出孔68と吸引孔73aの距離をLcとした場合に、Ha+Lc≧Lbであることが好ましい。なお、吸引孔73aを溝71の上流端部分に重なるように配置する場合、排出孔68と吸引孔73aの距離Lcは、上記延設方向における溝71の長さとほぼ一致する。
例えば、液体吸収体74をウレタンまたはポリビニルアルコール等の合成樹脂中に気体を細かく分散させることで発泡させた発泡体として、その密度を0.023〜0.099g/cc、孔(気泡)の直径を200〜300マイクロメートル程度にすると、その孔が互いに連通する連続孔の毛管力によって、インクが15〜25mm程度吸い上げられる。
また、不織布からなる液体吸収体75は、その密度を0.065〜0.175g/cc、繊維間の隙間を70マイクロメートル程度にすると、その隙間の毛管力によって、インクが20mm前後吸い上げられる。なお、毛管力によって吸収可能な液体の液面高さHaの値が大きいほど、その液体吸収体の液体を保持する能力が高いといえる。
本実施形態では、液体吸収体74として、密度が約0.023g/cc、孔の直径が約300マイクロメートルのウレタンフォームを採用する結果、液体吸収体74が毛管力によって吸収可能な液体の液面高さHaは約15mmである。また、液体吸収体75として、密度が約0.175g/cc、繊維間の隙間が70マイクロメートル程度の合成繊維からなる不織布を採用する結果、液体吸収体75が毛管力によって吸収可能な液体の液面高さHaは約23mmである。
次に、キャップ42の作用について説明する。
キャップ42を構成するキャップ部材63は、側壁部65を貫通するように排出孔68が形成されるので、吸引チューブ43を接続するための第1接続突部61が側方(キャップ部材63の長手方向)に向けて突設される。そのため、底部64から噴射方向Jに向けて第1接続突部を突出させる場合よりも、キャップ42を噴射方向Jにおいて小型化(薄型化)することができる。
さらに、通気孔69を形成する第2接続突部62を、第2側壁65bに第1接続突部61と同じ向きで突設することによって、第1接続突部61と第2接続突部62を異なる方向に突設する場合よりも、キャップ42を小型化することができる。
なお、液体噴射装置11は、図10に示すように縦置きする際に要する載置面の面積を低減することが好ましい。その点、キャップ42を薄型化する(噴射方向Jにおいて小型化する)ことによって、液体噴射装置11を薄型化して、縦置きに要する面積を低減することが可能になる。
また、本実施形態では、底部64に凹設された溝71とシート状部材73とによって、排出孔68に連通する流路が形成されるので、吸引機構44が駆動すると、シート状部材73に形成された吸引孔73a及び排出孔68を通じて液体貯留部66内が吸引される。
このとき、溝71を薄いシート状部材73によって覆うことで流路を形成することによって、溝71を板材等で覆う場合よりも、キャップ42及び液体噴射装置11をさらに薄型化することが可能になる。さらに、溝71を覆うシート状部材73を薄くすると、吸引機構44が駆動したときにシート状部材73が撓みやすいので、底部64(液体貯留部66を形成する底面)とシート状部材73との隙間をなくして、効率よく液体貯留部66内を吸引することが可能になる。
特に、本実施形態では、シート状部材73に接する位置に圧縮弾性率が高い液体吸収体74を圧縮変形した状態で配置しているので、液体吸収体74の弾性復元力によって、シート状部材73は底部64に対してより強く押しつけられる。
ここで、液体噴射装置11において吸引クリーニングを行うと、ノズル34から排出された液体が液体噴射部31に付着した液滴となって残ることがある。そして、リップ部67側にある液体吸収体75は、液体噴射部31に付着した液滴に触れて吸収することによって、液体噴射部31から液滴を除去するという機能を有する。
そのため、液体吸収体75は、キャップ42が閉空間を形成したときに、液体噴射部31に近い位置に配置する必要があるが、液体吸収体75が液体を吸収して膨張すると、ノズル34に接触して、ノズル34内に形成された液面(メニスカス)を乱してしまうおそれがある。そのため、リップ部67側に位置する液体吸収体75は、液体の吸収等による変形が少ないことが好ましい。
その点、シート状部材73側に弾性変形率の大きい液体吸収体74を配置する一方で、リップ部67側に変形率の小さい液体吸収体75を配置すれば、液体吸収体74によってシート状部材73を底部64に押し付けつつ、液体吸収体75のノズル34への接触を抑制することが可能になる。なお、液体貯留部66に変形しにくい液体吸収体75のみを収容する場合であっても、押さえ部材76によって液体吸収体75を押さえることによって、シート状部材73を底部64に押し付けることが可能である。
さらに、キャップ部材63の底部64は平面視略長方形状をなし、排出孔68はその短辺側となる第2側壁65bに設けられるため、排出孔68から直接液体貯留部66の吸引を行うと、第1側壁65a側に吸引力が及びにくい。その点、キャップ部材63において、排出孔68は側壁部65に設けられているものの、排出孔68は溝71を通じて底部64の中央付近に配置された吸引孔73aと連通している。そのため、吸引機構44が駆動すると、底部64の中央付近から、液体吸収体74,75に吸収された液体が吸引される。
ところで、図10に示すように液体噴射装置11が縦置きされた場合、キャップ42は、第2側壁65b、排出孔68及び通気孔69が液体貯留部66の鉛直上方に配置されるとともに、第1接続突部61及び第2接続突部62が第2側壁65bから鉛直上方に突出する縦向きの姿勢になる。そして、液体吸収体74,75の液体保持力が小さいと、キャップ42が縦向きの姿勢になったときに、吸引孔73aよりも鉛直下方に位置する液体を吸引することが困難になる。
その点、Ha+Lc≧Lbの条件を満たす場合、すなわちHa≧Lb−Lcの場合には、液体噴射装置11が縦置きされた場合にも、液体吸収体74,75の毛管力によって、第1側壁65a側にある液体が吸引孔73aまで吸い上げられる。すなわち、吸引孔73aより鉛直下方の液体を液体吸収体74,75の毛管力によって吸い上げ、吸引機構44の駆動によって縦向きになったキャップ42の液体貯留部66から液体を排出することができる。
なお、液体噴射装置11の載置面が傾いている場合にも、キャップ42の姿勢が傾いて排出孔68が吸引孔73aより鉛直上方に位置する姿勢態様になるおそれがある。そのため、液体噴射装置11が縦置きされない場合にも、Ha+Lc≧Lbの条件を満たしておけば、傾いたキャップ42から液体を排出することができるので、好ましい。
本実施形態では、液体吸収体75よりも液体吸収体74の方がHaの値が小さく、また、液体吸収体74がシート状部材73と接する位置に配置されていることから、Haを15mmとする。また、吸引孔73aを底部64の長手方向における中央に配置する場合、Lcは1/2Lbとほぼ等しい値になる。そのため、底部64の長手方向における長さLbを30mm程度まで長くしても、Ha+Lc≧Lbの条件を満たして、縦向きになった液体貯留部66の液体を吸引することができる。なお、底部64の長手方向における吸引孔73aの位置を中央よりも第1側壁65aに近づけると、底部64の長手方向における長さLbを30mmより長くしても、Ha+Lc≧Lbの条件を満たすことができる。
また、電源オフ時などには、ノズル34の乾燥を抑制するために、液体貯留部66内に液体を残存させた状態でキャッピングを行うことがある。そのため、通気孔69が液体貯留部66内において鉛直下側に位置すると、通気孔69に液体が流入して詰まったり、液体が漏出したりするおそれがある。その点、通気孔69を第2側壁65b側であって、底部64から離れた位置に開口することにより、縦置きまたは横置きのいずれの姿勢であっても、通気孔69に対する液体の流入を抑制することが可能になる。
ここで、液体噴射装置11が縦置きされた状態でキャッピングを解除すると、液体貯留部66内の液体が漏出して、筐体部12内が汚れてしまうおそれがある。こうしたおそれを低減するため、液体噴射装置11が筐体部12の姿勢を検知する検知部77を備え、筐体部12の姿勢が縦置きになっていることを検知部77が検知した場合には、キャッピングの解除を制限することが好ましい。また、その他にも、液体噴射動作(印刷やフラッシングなど)やノズル34のメンテナンス動作、液体収容体104の交換など、液体の漏出によって筐体部12内が汚れてしまうおそれがある所定の動作を制限することが好ましい。
さらに、媒体Sが挿入口14に挿入されたことを検知する不図示の媒体センサーを液体噴射装置11に備え、媒体センサーが媒体Sを検知した際に、筐体部12の姿勢が縦置きになっていることを検知部77が検知した場合には、媒体Sの給送を停止することが好ましい。これにより、媒体Sの搬送不良の発生を低減することができる。なお、媒体センサーが媒体Sを検知した際に筐体部12の姿勢が縦置きになっていることを検知部77が検知した場合に、駆動源である搬送モーター25のモータートルクを増加することによって、媒体Sの給送を抑制するようにしてもよい。
検知部77は、光学式の検出センサー(例えば、ROHM社製の光学式センサー「RPI−1035」等)を採用すれば、筐体部12内の任意の位置に配置することができる。中でも、検知部77を配置する位置は、適度な振動を発生する振動源が取り付けられている部材上であることが好ましい。
例えば、本実施形態の検知部77は、筐体部12内において、吸引機構44に固定されている。そして、吸引機構44の駆動時には、検知部77に適度な振動が付与される。そのため、重力で転動する錘を用いるような検知部77を使用した場合、検知前に吸引機構44を駆動させてから検知を行うなどの方法で長期保存後の固着による検知不良を抑制することが可能となる。
また、吸引機構44の駆動中は検知を行わず、吸引機構44の駆動が止まったタイミングで検知を行う方法を採用することによって、通常検知時に振動源の振動による誤検知を抑制することが可能となる。ここで、振動源の振動周波数を可聴周波数以下である20Hz以下にすれば、振動による騒音を低減することできるので、好ましい。
検知部77は、キャップ部材63の長手方向における傾きを検知して、水平に対するキャップ部材63の長手方向における傾斜角度が所定の閾値(例えば、20度)を超えた場合に、上述した所定動作の制限を行うようにすることが好ましい。なお、動作の制限を行う傾斜角度の閾値は、側壁部65の高さ(噴射方向Jにおける長さ)や液体吸収体74,75の液体保持力などに応じて任意に変更することができる。
その他、キャッピングせずに液体噴射動作(印刷やフラッシングなど)を行っているときに傾斜角度が所定の閾値を越えた場合にも、液体噴射動作及び媒体Sの給送動作を停止したり、搬送モーター25のモータートルクを増加したりすることが好ましい。特に、液体噴射装置11が蓄電池を備えて、この蓄電池の電力で動作可能である場合には、持ち運んでいる最中に誤って操作ボタン等が押され、意図せずにキャッピングの解除や液体の噴射等が実行されてしまうおそれがある。そのため、液体噴射装置11が蓄電池を備える場合には、特に、傾斜角度の検出による動作の制限を行うことが好ましい。
次に、装着部52の構成について詳述する。
図11(a),(b)に示すように、装着部52には、脱着方向(装着方向Xの反対方向)及び厚さ方向Zに開口する接続用凹部53が凹設されている。また、接続用凹部53には、脱着方向に向けて突出する突出部54と、廃液を排出する円筒状の排出部55とが、幅方向Yに並ぶように突設されている。排出部55には、排出チューブ51に連通する接続孔56が形成されている。
突出部54には、制御部103(図2参照)と電気的に接続された基板接続部57が取り付けられている。基板接続部57は、接触圧に応じて弾性変位可能な可動接触部57aを有している。可動接触部57aは、外力を受けていないときには突出部54から厚さ方向Zに突出した状態となっているとともに、外力を受けることによって突出部54に近づく方向に弾性変位する。
突出部54は、幅方向Yに沿って突出するように設けられた一対の係合突部58を有している。一対の係合突部58は、幅方向Yにおいて基板接続部57を挟む位置に配置されている。基板接続部57は係合突部58よりも脱着方向に突出しているとともに、係合突部58は基板接続部57よりも厚さ方向Zに突出している。
図11(b)に示すように、係合突部58には、装着方向X及び幅方向Yに延びて互いに対向する係合面58a,58cと、装着方向X及び厚さ方向Zに延びて係合面58a,58cと交差する係合面58bと、を有する凹部が凹設されている。なお、係合面58aは厚さ方向Zを向いている一方で、係合面58cは厚さ方向Zの反対方向を向いている。また、係合面58a,58b,58cと交差する係合突部58の先端面58dは、幅方向Y及び厚さ方向Zに延びる。そして、接続孔56の中心は、係合面58cを含む平面(図11(b)において一点鎖線で示す仮想的な面)上に位置する。
続いて、廃液収容体81の構成について詳述する。
図12に廃液収容体81の分解斜視図を示すとともに、図13〜図18に廃液収容体81の外観を示す。
本実施形態において、廃液収容体81の装着方向Xにおける長さをL1、幅方向Yにおける長さをL2、厚さ方向Zにおける長さ(厚さ)をL3とすると、L1>L2>L3である。すなわち、廃液収容体81は装着方向Xが長手方向であるとともに、厚さ方向Zにおける長さが短い薄型の外形を有している。そのため、廃液収容体81は、薄型の液体噴射装置11に対して好適に装着される。
図12に示すように、廃液収容体81は、廃液を吸収可能な吸収体84と、吸収体84を収容可能な収容凹部85が形成された有底箱状の収容部材86と、収容凹部85の開口部を覆うフィルム部材87と、吸収体84とシート状部材73との間に配置される補強部材88と、を有する。なお、補強部材88はフィルム部材87よりも剛性が高い部材である。
収容部材86は、収容凹部85の内底面を形成する底壁部86aと、装着方向X及び厚さ方向Zに延びて底壁部86aと交差する一対の側壁部86b,86cと、壁部86a,86b,86cと交差する前壁部86d及び後壁部86eと、を有する。そして、壁部86a,86b,86c,86d,86eによって収容凹部85が形成されるとともに、収容凹部85とフィルム部材87とによって、廃液を収容可能な収容部89が囲み形成される。フィルム部材87には、収容部89を大気と連通させるための大気連通孔87aが形成されている。なお、大気連通孔87aの数や位置は、任意に変更することができる。
収容部材86は、装着方向Xにおける一端部(前端部)に、収容部89から装着方向Xに突出する凸部91を有している。凸部91の幅方向Yにおける両端部は、収容部89の幅方向Yにおける両端部を形成する側壁部86b,86cよりも幅方向Yにおける内側に配置される。また、収容部材86の装着方向Xにおける他端部(後端部)には、幅方向Yにおける一方の角部を切り欠いた切り欠き部81cが形成されている。
図5に示すように、廃液収容体81を装着部52に装着して開閉蓋47を閉じるときに、開閉蓋47に設けられた一対の係止爪47aは、収容部材86に凸部91と切り欠き部81cとを設けることによって形成される隙間に収納される。なお、係止爪47aの収納に対応するために、収容部材86の前端部は、側壁部86cと凸部91との接続部分となる角部が切り欠かれている。
図12〜図18に示すように、案内突部81a,81bは、幅方向Yの外側に向けて突出するように、収容部材86の側壁部86b,86cに突設されている。案内突部81bは、厚さ方向Zにおいて、案内突部81aよりもフィルム部材87に近い位置に配置されている。また、案内突部81aは、装着方向Xにおいて、案内突部81bよりも凸部91に近い位置に配置されている。
図12に示すように、凸部91には、厚さ方向Zの反対方向及び装着方向Xに向けて開口する接続凹部92と、装着方向Xに延びる廃液導入部93とが幅方向Yに並ぶように設けられている。廃液導入部93は、脱着方向における端部が収容部89に連通しているとともに、装着方向における端部が凸部91の先端面に開口している。そして、廃液導入部93は装着方向Xに向けて開口する挿入口93aを有する。
廃液導入部93の挿入口93aはフィルム94によって覆われている。フィルム94には、十字状の切り目94aが形成されている。なお、廃液導入部93の壁面の一部は、フィルム部材87によって形成されている。
凸部91は、底壁部86aから延設される第1壁部91aと、第1壁部91aと交差して廃液導入部93の壁面の一部を形成する第2壁部91bと、第1壁部91aと交差して第2壁部91bと対面する位置に配置される第3壁部91cと、廃液導入部93の壁面の一部を形成する第4壁部91d(図20参照)と、を有している。そして、壁部91a,91b,91c及び前壁部86dは接続凹部92を形成している。
第1壁部91aには、接続端子95を有する回路基板100が接続凹部92内に位置するように取り付けられている。回路基板100は、収容部89に収容されている廃液の収容量等の情報を記憶する記憶素子を備えている。
接続凹部92内には、一対の案内部96(96F,96S)が幅方向Yにおいて接続端子95を挟むように設けられている。一対の案内部96F,96Sのうち、一方の案内部96Fは接続凹部92の内側に向けて突出するように第2壁部91bに突設されているとともに、他方の案内部96Sは接続凹部92の内側に向けて突出するように第3壁部91cに突設されている。すなわち、収容部材86の一端部(前端部)において、案内部96Fは、幅方向Yにおいて接続端子95と廃液導入部93との間に配置されている。
図17に示すように、一対の案内部96(96F,96S)は、装着方向X及び幅方向Yに延びる案内面96aを有している。案内面96aは、接続端子95と反対方向(厚さ方向Z)を向いている。また、廃液導入部93の開口中心(挿入口93a及び切り目94aの中心)は、2つの案内面96aを含む平面(図17に一点鎖線で示す仮想的な面)上に位置する。
また、接続端子95よりも接続凹部92の内奧側には、前壁部86dよりも装着方向Xに突出する一対の規制突部97が設けられている。図12に示すように、規制突部97は、装着方向Xにおいて、案内部96と前壁部86dの間に位置している。
図12に示すように、収容部材86は、収容部89内に突出する複数の突部86f,86gを有している。本実施形態において、突部86fは正面視十字状をなして底壁部86aに突設され、突部86gは板状をなして側壁部86b,86cに突設される。また、突部86f,86gの厚さ方向Zにおける長さは、側壁部86b,86cよりも短く、突部86f,86gの厚さ方向Zにおける端部は底壁部86aに接している。
吸収体84は、厚さ方向Zにおける長さが突部86f,86gよりもやや短い板状をなして、突部86f,86gをそれぞれ挿入可能な挿入部84a,84bを有する。吸収体84は、収容凹部85に収容された場合に、挿入部84a,84bに突部86f,86gがそれぞれ挿入されることによって、収容部89内における装着方向X及び幅方向Yに沿う移動が抑制される。
また、吸収体84の後端部には、切り欠き部81cに対応する切り欠き部84cと、指掛け部83に対応する切り欠き凹部84dが形成されている。さらに、吸収体84の前端部には、廃液導入部93の後端部に収容される延出部84eが形成されている。なお、延出部84eは廃液導入部93の挿入口93a付近には配置されず、廃液導入部93内において挿入口93aと延出部84eとの間には隙間が設けられる。
補強部材88は、吸収体84のフィルム部材87側の面を覆う本体部88fと、吸収体84の前端部に係止される第1係止部88aと、吸収体84の後端部に係止される一対の第2係止部88bとを有している。補強部材88は、収容部89に収容された場合に、第1係止部88aが吸収体84の前端部に係合するとともに第2係止部88bが吸収体84の後端部に係合することによって、収容部89内における装着方向Xに沿う移動が抑制される。
補強部材88は、シート状の樹脂材料によって構成されることが好ましいが、例えば金属材料等によって板状または網状に形成することもできる。補強部材88が樹脂材料または金属材料からなるシート状または板状をなす場合、第1係止部88a及び第2係止部88bは、補強部材88の前端部及び後端部を厚さ方向Zに折り曲げることによって、本体部88fと一体形成することができる。
また、補強部材88の後端部には、切り欠き部81cに対応する切り欠き部88cと、指掛け部83に対応する第1切り欠き凹部88dとが形成されている。さらに、補強部材88の後端部において、第1切り欠き凹部88dの内底部にあたる位置には、第2切り欠き凹部88eが形成されている。第2切り欠き凹部88eは、フィルム部材87の大気連通孔87aと吸収体84との間に位置して、大気連通孔87aと収容部89とを連通させる。そのため、補強部材88が網状に形成される場合などには、補強部材88に第2切り欠き凹部88eを設けなくてもよい。
図19に示すように、補強部材88は、収容部89に収容された場合に、収容部材86に設けられた突部86f,86gとフィルム部材87との間に本体部88fが配置される。そのため、厚さ方向Zが重力方向となるように廃液収容体81が配置された場合には、補強部材88は突部86f,86gによって支持される。
なお、補強部材88を剛性の高い材料によって構成して、厚さ方向Zにおいて第1係止部88a及び第2係止部88bの長さを吸収体84よりも長くした場合には、第1係止部88a及び第2係止部88bによって本体部88fを支持することが可能になる。そのため、この場合には、収容部材86に突部86f,86gを設けなくてもよい。
図20に示すように、廃液収容体81の接続凹部92は、装着方向Xに向けて開口し、装着部52への装着時に突出部54の挿入を可能とする態様で、廃液収容体81の装着方向Xにおける一端部(前端部)に形成されている。これに対して、装着部52の接続用凹部53は、廃液収容体81の一端部に設けられた凸部91の挿入を可能とする態様で、脱着方向に向けて開口している。
なお、図21には、装着部52に装着された廃液収容体81を示す。
次に、装着部52及び廃液収容体81の作用について説明する。
図20に示すように、廃液収容体81を装着部52に装着するために、廃液収容体81を装着部52に向けて装着方向Xに移動させると、装着部52の接続用凹部53に廃液収容体81の凸部91が挿入されるとともに、廃液収容体81の接続凹部92に突出部54が挿入される。
このとき、接続凹部92内に設けられた一対の案内部96が突出部54を案内することによって、基板接続部57に対して接続端子95の位置が合わせられるとともに、排出部55に対して廃液導入部93の位置が合わせられる。
具体的には、図22に示すように、突出部54に設けられた係合突部58の係合面58a,58b,58cからなる凹部に案内部96が挿入されて、案内部96の案内面96aが係合面58cと対向する態様で、凹状をなす係合面58a,58b,58cに沿って、凸状をなす案内部96が装着方向Xに移動する。すなわち、案内部96は、係合面58aによって厚さ方向Zの反対方向への移動が抑制され、係合面58cによって厚さ方向Zへの移動が抑制され、さらに係合面58bによって幅方向Yに沿う移動が抑制された状態で、装着方向Xに真っ直ぐ移動する。
ここで、一対の案内部96は、幅方向Yにおいて接続端子95を挟むように設けられているために、一対の案内部96で突出部54を案内することによって、基板接続部57に対して接続端子95の位置が合わせられる。また、一方の案内部96Fは、幅方向Yにおいて接続端子95と廃液導入部93との間に配置されているので、案内部96Fで突出部54を案内することによって、排出部55に対して廃液導入部93の位置が合わせられる。このように、一対の案内部96によって、基板接続部57に対する接続端子95の位置合わせと、排出部55に対する廃液導入部93の位置合わせとが行われる。
そして、廃液収容体81の規制突部97が係合突部58の先端面58dに突き当たると、廃液収容体81の装着方向Xへの移動が規制され、廃液収容体81の装着部52への装着が完了する。なお、このときの廃液収容体81の位置を装着位置という。
このように、規制突部97及び係合突部58の先端面58dは、装着方向Xに移動する廃液収容体81を装着位置にて停止させる位置決め部として機能する。なお、規制突部97を設けずに、突出部54を前壁部86dに突き当たらせることによって廃液収容体81の装着方向Xへの移動を規制することもできるが、規制突部97及び係合突部58を設けて廃液収容体81と突出部54が接触する面積を小さくした方が、位置決めの精度が高くなる。
なお、図23に示すように、接続端子95は、一対の案内部96を構成する一方の案内部96Fと他方の案内部96Sとの間の領域AR(図23に二点鎖線で示す)と対向するように配置されることが好ましい。このようにすれば、領域ARと接続端子95とが装着方向Xに離れている場合よりも、接続端子95の位置が基板接続部57に対して正確に合わせられる。
図22に示すように、廃液収容体81が装着位置にあるとき、基板接続部57の可動接触部57aは接続端子95と所定の接触圧で接触して弾性変位し、接続端子95が基板接続部57と電気的に接続された状態になる。これにより、回路基板100と制御部103とが電気的に接続されて、回路基板100と制御部103との間で、廃液の収容量等に関する情報の伝送が可能になる。
また、廃液収容体81が装着位置にあるとき、一対の案内部96に設けられた案内面96aは、接続端子95に押圧されて弾性変位した可動接触部57aの弾性復元力によって、突出部54に設けられた係合面58cと係合する。そのため、可動接触部57aの弾性復元力によって接続端子95が基板接続部57から離れる方向に移動しようしても、案内面96aが係合面58cに係止されることによって、接続端子95の移動が抑制される。その結果、接続端子95と可動接触部57aとが所定の接触圧で接触した状態が維持される。
また、接続端子95は、一対の案内面96aを含む平面(図22に一点鎖線で示す仮想的な面)と平行をなすように平面的に配置されるので、厚さ方向に突出する複数の可動接触部57aとの接触圧が均等になる。
さらに、接続孔56の中心は2つの係合面58cを含む平面(図22に一点鎖線で示す仮想的な面)上に位置する一方、廃液導入部93の開口中心は2つの案内面96aを含む平面(図22に一点鎖線で示す仮想的な面)上に位置する。そのため、廃液収容体81が装着位置に移動するときに、互いに対向する係合面58cと案内面96aとが可動接触部57aの弾性復元力によって接触することによって、接続孔56の中心位置と廃液導入部93の中心位置が同じ平面上に配置される。これにより、厚さ方向Zにおいて接続孔56の中心位置と廃液導入部93の中心位置が合わせられるので、廃液導入部93と排出部55の位置をより正確に合わせた上で、排出部55を廃液導入部93に挿入することが可能になる。
そして、廃液収容体81の装着位置への移動に伴って、排出部55が切り目94a及び挿入口93aを通じて廃液導入部93に挿入されて、排出部55と廃液導入部93とが接続された状態になる。これにより、排出部55から排出された廃液を廃液収容体81に導入可能な状態になる。
排出部55は、廃液導入部93内において挿入口93aと延出部84eとの間に形成される隙間に配置される。そして、収容部89は大気連通孔87aを通じて大気と連通しているので、排出部55を通じて収容部89内に廃液が導入されると、導入された廃液の容量に相当する気体が大気連通孔87aを通じて収容部89の外に排出される。
ここで、廃液収容体収容部48において、廃液収容体81のフィルム部材87と対向する壁部に、廃液収容体81に設けられた大気連通孔87aに対応する位置から回路基板100に対し離れる方向に気体の流路となる不図示の凹部を形成してもよい。これにより、排出部55から排出される廃液が収容部89にスムーズに収容され、収容部89に収容された廃液が吸収体84に吸収されるとともに、収容部89に収容された廃液の蒸発が促進される。
また、上述した凹部に液体を吸収可能な吸収体を配置しておけば、廃液収容体81に収容された液体が大気連通孔87aから漏出してしまった場合にも、漏出した液体を吸収体が吸収することによって、漏出した液体の回路基板100に対する付着を抑制することができる。
なお、収容部89への廃液の流入方向において、廃液導入部93と大気連通孔87aとの距離が離れていると、廃液導入部93から大気連通孔87aに向かう流体(気体及び液体)の流れが乱れにくいので、収容部89において気体及び液体が流入方向にスムーズに拡散する。
図4に示すように、廃液導入部93が装着部52に装着された状態において、廃液導入部93には、移動方向Mの第1端E1側となる吸収材28側から第2端E2に向けて廃液が導入される。また、廃液導入部93が装着部52に装着された状態において、大気連通孔87aは、廃液導入部93よりも吸収材28から離れた第2端E2側に配置される。すなわち、本実施形態において、廃液導入部93と大気連通孔87aは廃液の流入方向(移動方向M)に離れた位置にあるので、吸収体84の長手方向(移動方向M)に廃液をスムーズに拡散させることができる。
排出部55から廃液収容体81に導入される廃液の量についての情報は、制御部103から回路基板100に伝送されて、回路基板100が備える記憶素子に記憶される。また、制御部103は、回路基板100が備える記憶素子に記憶された廃液の収容量を所定のタイミングで読み取り、廃液の収容量が既定値に達した場合にはその旨を表示部102に表示するなどして、ユーザーに廃液収容体81の交換を促す。
ここで、廃液を収容した廃液収容体81を液体噴射装置11から取り外すときに、ユーザーがフィルム部材87の部分をつかむなどして押圧すると、フィルム部材87を介して吸収体84が圧縮変形して、吸収体84に吸収されていた廃液が滲出し、廃液導入部93から漏出するおそれがある。
その点、本実施形態の廃液収容体81は、突部86f,86gとフィルム部材87との間に補強部材88が配置されている。そのため、フィルム部材87の部分が押圧された場合にも、その押圧力を補強部材88及び突部86f,86gが受けることによって、吸収体84の圧縮変形が抑制される。これにより、廃液収容体81からの廃液の漏出が抑制される。
また、廃液収容体81は、廃液導入部93と接続端子95とが幅方向Yに並ぶので、厚さ方向Zが重力方向となるように廃液収容体81を配置または載置した状態で、廃液導入部93から廃液が漏出したとしても、その漏出した廃液が接続端子95に付着しにくい。そのため、廃液収容体81を使用途中で液体噴射装置11から取り外し、その使用途中の廃液収容体81を再び液体噴射装置11に装着する場合などに、接続端子95に廃液が付着することに起因する接続端子95と基板接続部57との接触不良の発生が抑制される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)底部64に重ねられるシート状部材73と、底部64に凹設された溝71とによって、排出孔68に連通する流路が形成されるので、吸引機構44が駆動すると、シート状部材73に形成された吸引孔73aを通じて液体貯留部66内が吸引される。すなわち、シート状部材73の吸引孔73aは、溝71の一部と重なる位置に形成されるので、側壁部65に排出孔68を設けた場合にも、底部64に形成された溝71の吸引孔73aと重なる位置から、液体貯留部66内を吸引することができる。したがって、底部64と側壁部65とが液体貯留部66を形成するキャップ部材63において、液体貯留部66内の液体を側壁部65に設けた排出孔68から効率よく排出することができる。
(2)吸引機構44が駆動して、底部64に凹設された溝71とシート状部材73とで囲み形成される空間が吸引されると、シート状部材73が撓み変位して、底部64に密着する。これにより、シート状部材73と底部64との間に隙間を無くして、吸引孔73aを通じて液体貯留部66内を効率よく吸引することができる。
(3)液体噴射部31から排出された液体を液体吸収体74,75が吸収することによって、液体貯留部66からの液体の漏出を抑制することができる。また、底部64との間にシート状部材73を介在させた状態で液体貯留部66に液体吸収体74,75を収容することによって、シート状部材73が液体貯留部66の外に出ないようにすることができる。
(4)押さえ部材76によって液体吸収体74,75及びシート状部材73の移動を規制するとともに、シート状部材73を底部64に押しつけることができる。これにより、シート状部材73と底部64との間に隙間を無くして、吸引孔73aを通じて液体貯留部66内を効率よく吸引することができる。
(5)押さえ部材76によって液体吸収体74,75を圧縮変形させることによって、液体吸収体74,75の弾性復元力によってシート状部材73を底部64に押しつけることができる。これにより、シート状部材73と底部64との間に隙間を無くして、吸引孔73aを通じて液体貯留部66内を効率よく吸引することができる。
(6)液体吸収体74,75の毛管力によって吸い上げ可能な液体の液面高さHaと、排出孔68と吸引孔73aの距離Lcとを加算した値(Ha+Lc)は、排出孔68の延設方向における底部64の長さLbよりも大きい。そのため、キャップ部材63の姿勢態様が変化して排出孔68が溝71より鉛直上方に配置された場合にも、液体貯留部66の液体を排出孔68まで吸い上げることができる。
(7)通気孔69は液体貯留部66において底部64から離れた位置に開口するので、通気孔69への液体の流入を抑制することができる。また、キャップ部材63が傾いて、排出孔68が吸引孔73aより鉛直上方に位置する姿勢態様になった場合に、通気孔69が吸引孔73aよりも排出孔68に近い位置にあれば、通気孔69への液体の流入を抑制することができる。
(8)廃液収容体81を装着方向Xに移動させて装着部52に装着するときに、廃液収容体81の接続凹部92に突出部54が挿入されることで、接続凹部92に取り付けられた接続端子95と突出部54に取り付けられた基板接続部57との位置が大まかに合わせられる。続いて、接続凹部92内において、突出部54が対をなす案内部96によって案内されることによって、接続端子95の位置が基板接続部57に対して正確に合わせられる。さらに、対をなす案内部96のうちの一方は、幅方向Yにおいて接続端子95と廃液導入部93との間に配置されるので、接続端子95の位置を合わせる際に、廃液導入部93の位置を合わせることができる。したがって、装着部52に設けられた廃液の排出部55及び基板接続部57に対して位置を合わせつつ、廃液収容体81を装着部52に装着することができる。
(9)一方の案内部96Fを廃液導入部93及び接続凹部92を形成する第2壁部91bに突設することによって、廃液導入部93と案内部96の距離が短くなる。これにより、案内部96によって廃液導入部93の位置を正確に合わせることができる。
(10)廃液導入部93の開口中心は、一対の案内部96が有する案内面96aを含む平面上に位置するので、案内面96aによって装着部52に設けられた突出部54を案内することによって、装着方向X及び幅方向Yの双方と交差する厚さ方向Zにおいても、廃液導入部93の位置を合わせることができる。
(11)接続端子95の少なくとも一部は、案内部96Fと案内部96Sとの間の領域ARと対向するように配置されるので、領域ARと接続端子95とが装着方向Xに離れている場合よりも、接続端子95の位置を基板接続部57に対して正確に合わせることができる。
(12)廃液収容体81を装着部52に装着したときに、接続端子95に押圧された可動接触部57aの弾性復元力によって案内部96と突出部54とが係合することによって、可動接触部57aが所定の接触圧で接続端子95に接触した状態を維持することができる。これにより、廃液収容体81が振動等によりわずかに移動した場合などにも、接続端子95と基板接続部57とが電気的に接続した状態を維持することができる。
(13)凸部91の幅方向Yにおける両端部は、収容部89の幅方向Yにおける両端部よりも幅方向Yにおける内側に配置されるので、接続凹部92及び廃液導入部93を幅方向Yの端部に配置する場合よりも、接続凹部92及び廃液導入部93の他の部材等に対する不要な衝突を抑制することができる。
(14)収容部材86に形成された収容凹部85の開口部をフィルム部材87によって覆うことによって、収容凹部85の開口部を板状の部材によって覆う場合よりも、収容凹部85の深さ方向(厚さ方向Z)における小型化を実現し易くなる。また、吸収体84とフィルム部材87との間に補強部材88を配置することによって、収容凹部85に収容された吸収体84がフィルム部材87を介して押圧された場合に吸収体84の変形が抑制されるので、吸収体84に吸収された液体の漏出を抑制することができる。
(15)吸収体84に形成された挿入部84a,84bに収容部材86に設けられた突部86f,86gをそれぞれ差し込むことによって、収容凹部85内における吸収体84の移動を抑制することができる。
(16)突部86f,86gとフィルム部材87との間に補強部材88を配置することによって、フィルム部材87を介して押圧された補強部材88の移動を突部86f,86gによって抑制することができる。したがって、補強部材88が移動して吸収体84を押圧し、吸収体84に吸収されていた廃液が滲出して漏出する、という事態の発生を抑制することができる。
(17)補強部材88をシート状にすることによって、収容凹部85内において吸収体84を収容するためのスペースを大きく確保することができる。また、樹脂材料は成型が容易であるため、シート状の補強部材88を形成するのに適している。
なお、上記実施形態は以下に示す変形例のように変更してもよい。
・液体噴射装置11が大気開放弁46及び通気チューブ45を備えない場合には、キャップ部材63に通気孔69及び第2接続突部62を設けなくてもよい。
・キャップ42において、シート状部材73に設ける吸引孔73aは、溝71と重なる位置であれば、任意の位置に配置することができる。例えば、溝71の長手方向に沿って複数の吸引孔73aを配置してもよい。また、溝71の上流端側を複数に分岐させて、分岐した複数の端部と重なる位置にそれぞれ吸引孔73aを配置するようにしてもよい。
・キャップ42において、シート状部材73は必ずしも底部64の全体を覆う大きさでなくてもよく、少なくとも溝71を覆う形状及び大きさであればよい。
・キャップ42において、シート状部材73を底部64に接着してもよい。この場合には、キャップ42が液体吸収体74,75及び押さえ部材76を備えなくてもよいし、シート状部材73が可撓性を有さなくてもよい。
・装着部52に設けられる係合突部58が凹部を備えず、凸状の係合突部58と凸状の案内部96とが係合するようにしてもよい。あるいは、廃液収容体81が有する案内部96を凹状に形成して、凸状の係合突部58が凹状の案内部96に挿入されるようにしてもよい。
・廃液収容体81は、凸部91または切り欠き部81cを備えなくてもよい。
・廃液収容体81において、収容部材86が有する収容凹部85の開口部を覆うフィルム部材87を板部材に変更してもよい。そして、収容凹部85の開口部を板部材によって覆う場合には、廃液収容体81が補強部材88を備えなくてもよい。
・廃液収容体81において、廃液導入部93及び接続凹部92を形成する第2壁部91bとは別の壁部に案内部96Fを設けてもよい。また、一対の案内部96F、96Sは、凸部91から幅方向Yにおける外側に向けて突出するように設けてもよい。例えば、廃液収容体81において、廃液導入部93を形成する第4壁部91dに、幅方向Yにおける外側に向けて突出するように案内部96Fを設けてもよい。この場合、案内部96Sは、幅方向Yにおける外側に向けて突出するように第3壁部91cに設けてもよい。
・廃液収容体81において、一対の案内部96F、96Sは、それぞれ廃液導入部93を形成する第2壁部91b及び第4壁部91dに、幅方向Yにおける外側に向けて突出するように設けてもよい。
・上記実施形態において、装着部52に対して廃液収容体81の位置を合わせるための突出部54及び案内部96等の構造は、液体収容体104を液体噴射装置11(キャリッジ33等)に装着する際に位置を合わせるために採用することも可能である。
・液体噴射部が噴射する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う構成にしてもよい。
・媒体は用紙に限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛であってもよい。