JP6349354B2 - エアゾール用塗料組成物 - Google Patents
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Description
前記変性エポキシ樹脂の質量平均分子量が、10000以上であり、
前記変性エポキシ樹脂のガラス転移温度が、20〜80℃であり、
前記変性エポキシ樹脂の溶解性パラメータ(SP1)と前記混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)との差(SP1−SP2)が、−2.0〜3.0であり、
前記噴射剤の溶解性パラメータ(SP3)と前記変性エポキシ樹脂の溶解性パラメータ(SP1)との差(SP3−SP1)が、−6.0〜−1.0であり、
前記噴射剤の溶解性パラメータ(SP3)と前記混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)との差(SP3−SP2)が、−6.0〜−1.0である、
エアゾール用塗料組成物。
本発明のエアゾール用塗料組成物は、変性エポキシ樹脂を含む。「変性エポキシ樹脂」とは、硬化剤を使用することなく単独で成膜可能なエポキシ樹脂の総称を指す。
変性エポキシ樹脂としては、例えば、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、フェノール変性エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。塗膜の付着性及び耐食性の観点から、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂が好ましい。
溶解性パラメータ(SP値)については、種々の計算方法や実測方法があるが、樹脂の溶解性パラメータについては、濁点滴定によって測定することができる。この方法では、樹脂をアセトンに溶解させ、樹脂溶液を調製した後、貧溶媒を滴下し、濁りを生じるまでに要した貧溶媒の量を求める。この際、SP値の低い貧溶剤とSP値の高い貧溶剤とで別々に測定する。本発明における樹脂のSP値は、SP値の低い貧溶剤としてヘキサンを、SP値の高い貧溶剤として水を用いた場合の測定値である。本発明における樹脂のSP値は、具体的には下記のK.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12,2359,1968)によって求めることができる。
δ=(Vml 1/2・δml+Vmh 1/2・δmh)/(Vml 1/2+Vmh 1/2)
ただし、
δ:樹脂のSP値(cal/cm3)1/2
Vml:アセトンと、濁りが生じるまでに滴下したヘキサンの合計体積
Vmh:アセトンと、濁りが生じるまでに滴下した水の合計体積
δml:ヘキサンを滴下し、濁りが生じた時点でのアセトン/ヘキサン混合溶液のSP値
δmh:水を滴下し、濁りが生じた時点でのアセトン/水混合溶液のSP値
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。また、ΔHおよびVとしては、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の、原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)とを用いることができる。
変性エポキシ樹脂は、エアゾール用塗料組成物の固形分に対して、好ましくは10〜48質量%、より好ましくは15〜45質量%含まれる。変性エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であれば、塗膜の付着性及び耐食性に優れる。
本発明の混合溶剤は、エアゾール用塗料組成物に含まれる、噴射剤以外の少なくとも2種の溶剤の混合物である。混合溶剤を構成する溶剤としては、例えば、キシレン,エチレングリコールモノ−ノルマルプロピルエーテル, トルエン, メチルイソブチルケトン, イソプロピルアルコール, ブタノール, アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。
混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)は、好ましくは8.5〜12.0、より好ましくは8.7〜11.5、更に好ましくは8.8〜11.0である。混合溶剤の溶解性パラメータが上記範囲内であれば、エアゾール缶内で変性エポキシ樹脂が分離又は固化しにくい。
混合溶剤に用いられる溶剤としては、公知の市販品を使用できる。
本発明のエアゾール用塗料組成物は、混合溶剤を、噴射剤以外のエアゾール用塗料組成物成分の総質量に対して、好ましくは45〜70質量%、より好ましくは55〜65質量%含む。混合溶剤の含有量が上記範囲内であれば、エアゾール用塗料組成物の塗装性に優れる。
「噴射剤」とは、スプレー缶に封入して、スプレーとして塗料組成物を噴霧させるための溶剤である。
本発明に用いられる噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、HFO−1234zE等が挙げられる。変性エポキシ樹脂や混合溶剤との相溶性の観点から、ジメチルエーテル(DME)が好ましい。
噴射剤としては、公知の市販品を使用できる。
顔料は、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等を含んでもよい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック、キナクリドンレッド、ナフトールレッド、ベンズイミダゾロンイエロー、ハンザイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ及びジオキサジンバイオレット等が挙げられる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ等が挙げられる。防錆顔料としては、例えば、亜鉛粉末、酸化亜鉛、メタホウ酸バリウム、珪酸カルシウム、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛アルミニウム、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、バナジン酸/リン酸混合顔料等が挙げられる。
顔料としては、公知の市販品を使用できる。
本発明のエアゾール用塗料組成物は、顔料を含む場合、エアゾール用塗料組成物中の固形分の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは50〜88質量%、更に好ましくは60〜75質量%の顔料を含んでもよい。顔料の含有量が上記範囲内であれば、塗膜の付着性及び耐食性に優れる。
顔料が防錆顔料を含む場合には、変性エポキシ樹脂塗料は、防錆顔料を、変性エポキシ樹脂塗料の総質量に対して、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは1.5〜8質量%含む。変性エポキシ樹脂塗料における防錆顔料の含有量が上記範囲内であれば、塗装性を損なわずに、優れた耐食性を有する塗膜を形成することが可能になる。
顔料が着色顔料又は体質顔料を含む場合には、変性エポキシ樹脂塗料中の着色顔料又は体質顔料の含有量は、適宜調製できる。
尚、本発明のエアゾール用塗料組成物は、一般の金属基材に防食性を付与するために用いることもできる。金属基材としては、特に限定されるものではないが、その形状は、例えば板状、シート状、箔状等である。また、該基材を構成する金属としては、鉄鋼、亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられ、中でも、鉄鋼が好ましい。更に、上記金属基材としては、各種表面処理、例えば酸化処理が施されてもよい。一例として、アルマイト処理、リン酸塩処理、クロメート処理、ノンクロメート処理等の方法でアルミニウムに酸化処理を施した基材を用いることができる。なお、金属基材には、金属薄膜を表面に備える各種プラスチック基材(その形状は、例えば3次元の構造を持つ筐体及びフィルム等がある)も含まれる。金属の成膜には、蒸着、スパッタ、メッキ法等が利用できる。金属薄膜としては、アルミニウム、錫、亜鉛、金、銀、白金、ニッケル等の金属の薄膜が挙げられる。また、プラスチック基材としては、種々公知なものが使用でき、具体的には、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、アクリル、PS(ポリスチレン)、MS(MMAとスチレンの共重合体)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)や、これらのポリマーアロイ等が挙げられる。更に、プラスチック基材上に金属薄膜を形成する前に、プラスチック基材上に種々プライマー処理を施しても良い。
1)変性エポキシ樹脂溶液A(商品名:KA−1439A、荒川化学工業社製、固形分40%。溶剤成分:キシレン50%、シクロヘキサノン50%)、
2)変性エポキシ樹脂成分B(商品名:KA−1492、荒川化学工業社製、固形分55%。溶剤成分:キシレン50%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20%、メチルイソブチルケトン10%、n−ブタノール20%)
3)変性エポキシ樹脂成分C(商品名:KA−1474B、荒川化学工業社製、固形分60%。溶剤成分:キシレン100%)
4)変性エポキシ樹脂成分D(商品名:KA−1433J、荒川化学工業社製、固形分40%。溶剤成分:キシレン70%、シクロヘキサノン30%)
5)変性エポキシ樹脂成分E(商品名:アラキード9201N、荒川化学工業社製、固形分40%。溶剤成分:トルエン40%、メチルエチルケトン30%、イソプロピルアルコール20%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10%)
6)エポキシ樹脂溶液F(三菱化学社製エポキシ樹脂834(質量平均分子量530)をキシレンで希釈したもの。キシレン含有量10%。)
7)着色顔料(商品名:TITONE R−5N、堺化学工業社、製酸化チタン)
8)体質顔料(商品名:沈降性硫酸バリウム100、堺化学工業社製)
9)防錆顔料(商品名:ジンクホスフェートPZ20、SNCZ社製、リン酸亜鉛)
10)酸化ポリエチレン沈殿防止剤(商品名:ディスパロン4200−20、楠本化成社製)
11)レオロジーコントロール剤(商品名:BENTONE34、エレメンティス社製)
12)ジメチルシリコーンオイル系表面調整剤(商品名:KF−69、信越シリコーン社製)
容器に、変性エポキシ樹脂溶液A18.0部、エポキシ樹脂溶液F1.0部、着色顔料10.0部、体質顔料15.0部、防錆顔料3.0部、添加剤3.0部、溶剤50.0部(トルエン24.0部、エチレングリコールモノ−ノルマルプロピルエーテル21.0部、アセトン2.0部、メチルイソブチルケトン3.0部)を、順次仕込み、これらの成分を混合することにより、実施例1の変性エポキシ樹脂塗料を調製した。
原料配合を、表1又は表2に示される配合に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜3の変性エポキシ樹脂塗料を調製した。
但し、比較例2及び3の塗料においては、変性エポキシ樹脂が混合溶剤に相容していなかった。
上記により製造された実施例1〜10及び比較例1〜3の変性エポキシ樹脂塗料と、噴射剤(ジメチルエーテル)とを容量比1:1の割合で、それぞれエアゾール容器に充填して実施例1〜10及び比較例1〜3のエアゾール用塗料組成物を調製した。
実施例1〜10及び比較例1〜3のエアゾール用塗料組成物について、スプレーの噴射性を評価した。
○:全量噴霧可能であり、異常は認められない
×:ノズル詰まりが認められる
○:塗膜の残存率が90%以上
×:塗膜の残存率が90%未満
○:上塗塗膜の残存率が90%以上
×:上塗塗膜の残存率が90%未満
◎:錆がほとんど認められないか、わずかにクロスカット部周辺に錆が認められる。(錆はカット部より5mm未満。)
○:クロスカット部周辺に錆が認められる。(錆はカット部より5mm〜10mm)
×:塗膜全体に錆・フクレが認められる。
◎:塗膜外観に異常はなく、付着性試験にも異常がない(付着性試験における塗膜の残存率90%以上)。
○:塗膜外観において僅かな塗膜変色が見られるが、塗膜表面に膨れがなく、付着性試験には異常がない(付着性試験における塗膜の残存率90%以上)。
×:塗膜外観に膨れ、ワレなどの著しい異常が見られるか、又は付着性試験において剥離が認められる(付着性試験における塗膜の残存率90%未満)。
Claims (9)
- 変性エポキシ樹脂と、混合溶剤と、噴射剤とを含む1液形のエアゾール用塗料組成物であって、
前記変性エポキシ樹脂の質量平均分子量が、10000以上であり、
前記変性エポキシ樹脂のガラス転移温度が、20〜80℃であり、
前記変性エポキシ樹脂の溶解性パラメータ(SP1)と前記混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)との差(SP1−SP2)が、−2.0〜3.0であり、
前記噴射剤の溶解性パラメータ(SP3)と前記変性エポキシ樹脂の溶解性パラメータ(SP1)との差(SP3−SP1)が、−6.0〜−1.0であり、
前記噴射剤の溶解性パラメータ(SP3)と前記混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)との差(SP3−SP2)が、−6.0〜−1.0であり、
前記混合溶剤が、キシレン、エチレングリコールモノ-ノルマルプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及び3−エトキシプロピオン酸エチルからなる群から選択される2種以上の溶剤の混合物であり、
前記変性エポキシ樹脂が、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂からなる群から選択される、
エアゾール用塗料組成物。 - 前記変性エポキシ樹脂の溶解性パラメータ(SP1)が、8.5〜12.5である、請求項1に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記混合溶剤の溶解性パラメータ(SP2)が、8.5〜12.0である、請求項1又は2に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記噴射剤が、ジメチルエーテルからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記変性エポキシ樹脂の質量平均分子量が、12000〜100000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記変性エポキシ樹脂の質量平均分子量が、20000〜50000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記変性エポキシ樹脂のガラス転移温度が、25〜80℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 前記変性エポキシ樹脂のガラス転移温度が、40〜80℃である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
- 更に顔料を含み、前記顔料の含有量が、エアゾール用塗料組成物中の固形分の総質量に対して50質量%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアゾール用塗料組成物。
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