5. 発明の詳細な説明
本明細書において提供されるのは、癌を治療、管理又は予防する方法であって、そのような治療、管理又は予防が必要な患者に、単一の薬として又は併用療法の一部として、治療的又は予防的に有効な量の3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与することを含む。いくつかの実施態様において、当該化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。いくつかの実施態様において、当該化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。
ある種の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、癌の治療、管理又は予防における使用のために、一又は二以上の追加の薬物(又は「第二の活性薬剤」)との組み合わせで投与される。第二の活性薬剤は、小分子及び大分子(例えば、タンパク質及び抗体)を包含し、その数例は、幹細胞はもちろんのこと、その例は本明細書において提供されている。方法又は治療であって、本明細書において提供される化合物の投与との組み合わせで使用され得るものは、これらに限定されないが、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、放射線療法、及び癌を治療、予防又は管理するために現在使用されている、薬物以外を基本とする他の療法を包含する。ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物は、ワクチン・アジュバントとして使用され得る。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、一部において、ある種の癌細胞と関連するある種の遺伝子又はタンパク質の発現が、疾患治療の有効性又は進展を示すためにバイオマーカーとして使用され得るという発見を基本としている。そのような癌は、これらに限定されないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄性白血病(AML)及び固体腫瘍を包含する。ある種の実施態様において、癌は、非ホジキンリンパ腫において、活性化されたB細胞表現型の癌である。具体的には、これらのバイオマーカーは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる患者の治療の有効性を、予測し、評価し及び追跡するために使用され得る。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、一部において、セレブロン(CRBN)が、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体のようなある種の薬物の抗増殖活性と関連しているという発見を基本としている。いくつかの実施態様において、CRBNは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる疾患治療の有効性又は進展を示すために、バイオマーカーとして使用され得る。特定の理論に結び付けられることなしに、CRBNの結合は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体のようなある種の化合物の抗増殖又は他の活性のために、寄与し得又は必要とされ得もする。
特定の理論によって限定されることなしに、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、AML、及び固体腫瘍のような癌のあるタイプにおいて、成長阻害、アポトーシス及び血管形成因子の阻害に介在できる。3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を使用する治療の前又は後において、いくつかの細胞タイプにおける、いくつかの癌関連遺伝子の発現の試験において、いくつかの癌関連遺伝子又はタンパク質の発現レベルが、癌治療の予測及びモニタリングのためのバイオマーカーとして使用され得ることが発見された。
他のタイプのリンパ腫細胞と比べて、非ホジキンリンパ腫における活性化されたB細胞表現型の細胞において、NF-κB活性のレベルが高められることも、そして、そのような細胞は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対して、感受性であり得ることも発見された。これは、非ホジキンリンパ腫患者において、リンパ腫細胞におけるNF-κB活性のベースライン活性が、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療のための予測バイオマーカーであり得ることを示唆している。
それゆえ、ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者における治療に対する腫瘍の反応を予測する方法である。一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者における治療に対する腫瘍の反応を予測する方法であって、当該方法は、当該患者から腫瘍組織を得、当該腫瘍からタンパク質又はRNAを精製し、そして、例えばタンパク質又は遺伝子発現解析により、バイオマーカーの存在又は不存在を測定することを含む。モニタリングされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であり得る。ある種の実施態様において、当該バイオマーカーは、DLBCLの活性化されたB細胞表現型に関連した遺伝子である。当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。一の実施態様において、当該バイオマーカーはNF-κBである。
他の実施態様において、当該方法は、当該患者から腫瘍細胞を得、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の存在又は不存在下において当該細胞を培養し、培養した細胞からRNA又はタンパク質を精製し、そして、例えば遺伝子又はタンパク質発現解析により、バイオマーカーの存在又は不存在を測定することを含む。
ある種の実施態様において、バイオマーカーの存在又は不存在は、定量リアルタイムPCR(QRT-PCR)、 マイクロアレイ、フローサイトメトリー又は免疫蛍光法によって測定される。他の実施態様において、バイオマーカーの存在又は不存在は、ELISAを基本とする方法又は当該技術分野で公知の他の同様の方法で測定される。
本明細書において提供される方法は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療のために、癌患者、例えば非ホジキンリンパ腫患者を、スクリーニング又は同定する方法を包含する。具体的には、本明細書において提供されるのは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対して、より高い反応率を有するか又は有する見込みがある患者を選択する方法である。
一の実施態様において、当該方法は、当該患者から腫瘍細胞を得、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の存在又は不存在下において、当該細胞を培養し、培養した細胞からRNA又はタンパク質を精製し、そしてある特定のバイオマーカーの存在又は不存在を測定することにより、治療に対して反応を示す可能性のある患者を同定することを含む。モニタリングされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であり得る。治療された試料における発現は、例えば、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを超えて増大し得る。ある種の実施態様において、当該バイオマーカーは、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子である。当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。一の実施態様において、当該バイオマーカーはNFκBである。
他の実施態様において、本明細書において提供されるのは、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、AML又は固体腫瘍の患者において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対する腫瘍の反応をモニタリングする方法である。当該方法は、当該患者から生物試料を得、当該生物試料中における一又は二以上のバイオマーカーの発現を測定し、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を当該患者に投与し、その後、当該患者から第二の生物試料を得、当該第二の生物試料中におけるバイオマーカーの発現を測定し、そしてバイオマーカーの発現レベルを比較することを含み、ここで、治療後におけるバイオマーカー発現レベルの増大は、有効な腫瘍反応の可能性を示す。一の実施態様において、治療後におけるバイオマーカー発現レベルの低下は、有効な腫瘍の反応の可能性を示す。ある種の実施態様において、当該バイオマーカーは、非ホジキンリンパ腫の活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子である。当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。一の実施態様において、当該バイオマーカーはNFκBである。
ある種の実施態様において、当該方法は、活性化されたB細胞表現型に関連する一又は二以上のバイオマーカー遺伝子の発現を測定することを含む。当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。モニタリングされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であり得る。治療された試料における発現は、例えば、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを超えて増大し得る。
さらに他の実施態様において、薬物治療プロトコルを実施している患者の薬剤服用順守をモニタリングする方法が提供される。当該方法は、患者から生物試料を得、当該試料中における少なくとも一つのバイオマーカーの発現レベルを測定し、そして、対照の治療されていない試料中の発現レベルと比べて、当該患者の試料における発現レベルが増大又は減少されているか否かを測定することを含み、ここで、増大又は減少された発現は、薬物治療プロトコルを実施している患者が薬剤服用を順守していることを示す。一の実施態様において、一又は二以上のバイオマーカーの発現が増大される。モニタリングされる発現は、例えば、mRNA発現又はタンパク質発現であり得る。治療された試料における発現は、例えば、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを超えて増大し得る。ある種の実施態様において、当該バイオマーカーは、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子である。当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。一の実施態様において、当該バイオマーカーはNFκBである。
他の実施態様において、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、AML又は固体腫瘍の患者における、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対する感受性を予測する方法が提供される。一の実施態様において、当該患者は非ホジキンリンパ腫患者、具体的には、DLBCL患者である。当該方法は、当該患者から生物試料を得、任意に当該生物試料からmRNAを単離又は精製し、例えばRT-PCRによってmRNA転写産物を増幅させ、ここで、一又は二以上の特定のバイオマーカーのより高いべースライン・レベルは、癌が、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対して感受性であろうという、より高い可能性を示す。一の実施態様において、バイオマーカーは、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子である。
他の実施態様において、NHL、例えばDLBCL患者において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対する感受性を予測する方法は、当該患者から腫瘍試料を得、当該腫瘍試料をパラフィンで埋め込まれホルマリンで固定されたブロックに埋め込み、そして、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているハンス(Hans)らの文献、Blood, 2004, 103: 275-282に記載されているように、CD20、CD10、bcl-6、IRF4/MUM1、bcl-2、シクリンD2、及び/又はFOXP1に対する抗体で当該試料を染色することを含む。一の実施態様において、CD10、bcl-6、及びIRF4/MUM-1染色は、結果を予測するために、DLBCLをGCBと非GCBのサブグループに分けるために使用され得る。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者において、治療に対する腫瘍反応を予測する方法であって:
(i) 当該患者から生物試料を得;
(ii) 当該生物試料において、NF-κB経路の活性を測定し;そして
(iii) 当該生物試料におけるNF-κB活性のレベルを、非活性化B細胞リンパ腫サブタイプの生物試料の当該活性レベルと比較することを含み;
ここで、非活性化B細胞サブタイプリンパ腫細胞と比較して、NF-κB活性の増大したレベルは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対して、有効な患者腫瘍の反応の可能性を示す方法である。
一の実施態様において、当該生物試料中のNF-κB経路の活性を測定することは、当該生物試料中のNF-κBのレベルを測定することを含む。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者において、治療に対する腫瘍の反応をモニタリングする方法であって:
(i) 当該患者から生物試料を得;
(ii) 当該生物試料において、NF-κB活性のレベルを測定し;
(iii) 治療有効量の3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を当該患者に投与し;
(iv) 当該患者から第二の生物試料を得;
(v) 当該第二の生物試料において、NF-κB活性のレベルを測定し;そして
(vi) 当該第一の生物試料におけるNF-κB活性のレベルを、当該第二の生物試料の当該活性レベルと比較することを含み;
ここで、当該第一の生物試料と比較して、当該第二の生物試料におけるNF-κB活性の減少したレベルは、有効な患者腫瘍の反応の可能性を示す方法である。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者において、薬物治療プロトコルを伴う患者の薬剤服用順守をモニタリングする方法であって:
(i) 当該患者から生物試料を得;
(ii) 当該生物試料において、NF-κB活性のレベルを測定し;
(iii) 当該生物試料におけるNF-κB活性のレベルを、対照の治療していない試料と比較することを含み;
ここで、対照と比較して、当該生物試料におけるNF-κB活性の減少したレベルは、薬物治療プロトコルを伴う患者の薬剤服用順守を示す方法である。
一の実施態様において、前記非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
他の実施態様において、NF-κB活性のレベルは、酵素結合免疫吸着検査法によって測定される。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者における治療に対する腫瘍の反応を予測する方法であって;
(i) 当該患者から生物試料を得;
(ii) 当該生物試料から細胞を培養し;
(iii) 培養した細胞からRNAを精製し;そして
(iv) 対照の非ホジキンリンパ腫の活性化されていないB細胞表現型と比較して、非ホジキンリンパ腫の活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子の増大された発現を同定することを含み;
ここで、非ホジキンリンパ腫の活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子の増大された発現は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対する、有効な患者腫瘍の反応の可能性を示す方法である。
一の実施態様において、増大した発現は、約1.5倍、2.0倍、3倍、5倍、又はそれを超える増大である。
一の実施態様において、活性化されたB細胞表現型に関連する前記遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。
一の実施態様において、非ホジキンリンパ腫の活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子の発現の同定は、定量リアルタイムPCRによって行われる。
また、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫を治療又は管理する方法であって;
(i) 3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性がある非ホジキンリンパ腫を有する患者を同定し、;そして
(ii) 当該患者に治療に有効な量の3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与する
ことを含む方法である。
一の実施態様において、前記非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
他の実施態様において、前記非ホジキンリンパ腫は、活性化されたB細胞表現型のものである。
他の実施態様において、前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、RIVA、U2932、TMD8、OCI-Ly3又はOCI-Ly10細胞株において過剰発現された一又は二以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。
他の実施態様において、前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、RIVA、U2932、TMD8又はOCI-Ly10細胞株において過剰発現された一又は二以上のバイオマーカーの発現によって特徴付けられる。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性があるリンパ腫を有する患者を同定することは、当該患者のリンパ腫の表現型の特徴付けを含む。
一の実施態様において、当該リンパ腫の表現型は、活性化されたB細胞サブタイプとして特徴付けられる。
一の実施態様において、当該リンパ腫の表現型は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の活性化されたB細胞サブタイプとして特徴付けられる。
ある種の実施態様において、当該リンパ腫の表現型の同定は、リンパ腫を有する患者から生物試料を得ることを含む。一の実施態様において、生物試料は、細胞培養又は組織の試料である。一の実施態様において、生物試料は、腫瘍細胞の試料である。他の実施態様において、生物試料は、リンパ節生検、骨髄生検、又は末梢血腫瘍細胞の試料である。一の実施態様において、生物試料は血液試料である。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性がある非ホジキンリンパ腫を有する患者を同定することは、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子の同定を含む。一の実施態様において、活性化されたB細胞表現型に関連する当該遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性がある非ホジキンリンパ腫を有する患者を同定することは、患者におけるNF-κB活性のレベルを測定することを含む。他の実施態様において、患者におけるNF-κB活性のレベルを測定することは、当該患者から得られた腫瘍細胞において、ベースラインNF-κB活性レベルを測定することを含む。
他の実施態様において、前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、以下の一又は二以上によって特徴付けられる:
(i) SPIBの過剰発現、活性化されたB細胞サブタイプ細胞の生存のために必要とされる造血に特異的なEtsファミリーの転写因子;
(ii) GCBサブタイプ細胞と比べてより高度に構成的なIRF4/MUM1発現;
(iii) 3トリソミーによって上方制御された、より高度に構成的なFOXP1発現;
(iv) より高度に構成的なBlimp1、すなわちPRDM1の発現;
(v) より高度に構成的なCARD11遺伝子発現;及び
(vi) 非活性化B細胞サブタイプDLBCL細胞との比較において、NF-κB活性の増大したレベル。
本明細書において提供される予後因子と共に使用され得る追加の予後因子は、負わされている疾患(腫瘍)の予後因子、絶対的なリンパ腫計数(ALC)、リンパ腫のための最後のリツキシマブ治療からの時間、又は上記のものすべてである。また、本明細書において提供されるのは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体による投薬に対して、臨床反応を予測し、臨床反応をモニタリングし、又は患者の薬剤服用順守をモニタリングすることを目的として、癌の範囲内におけるCRBN発現レベル、又はDDB1、DDB2、IRF4もしくはNF-κB発現レベルに基づいて、癌患者の群を選択する方法であり、ここで、当該癌患者は、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、黒色腫及び固体腫瘍の患者から選択される。
一の実施態様において、当該癌患者は多発性骨髄腫患者である。
一の実施態様において、当該癌患者は非ホジキンリンパ腫患者である。
一の実施態様において、当該癌患者の群を選択する方法は、癌の範囲内におけるDDB1発現レベルに基づく。
一の実施態様において、当該癌患者の群を選択する方法は、癌の範囲内におけるDDB2発現レベルに基づく。
一の実施態様において、当該癌患者の群を選択する方法は、癌の範囲内におけるIRF4発現レベルに基づく。
一の実施態様において、当該癌患者の群を選択する方法は、癌の範囲内におけるNF-κB発現レベルに基づく。
他の実施態様において、当該方法は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体による投薬に対して、臨床反応を予測し、臨床反応をモニタリングし、又は患者の薬剤服用順守をモニタリングすることを目的として、患者のT細胞、B細胞、又はプラズマ細胞の範囲内におけるCRBN発現レベル、又はDDB1、DDB2、IRF4もしくはNF-κB発現レベルに基づいて、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に反応性の癌患者の群を選択することを含む。
一の実施態様において、癌患者は、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、黒色腫及び固体腫瘍の患者から選択される。
また、本明細書において提供されるのは、癌、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、及び固体腫瘍の治療方法であり、この方法は、患者の全体としての生存の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、患者の全体としての生存の改善は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性の患者集団においてみられる。いくつかの実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性の患者集団は、本明細書において提供される一又は二以上のバイオマーカーによって特徴付けられる。
他の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、及び固体腫瘍の治療方法であり、この方法は、患者の疾患から解き放たれた生存をもたらす。いくつかの実施態様において、患者の疾患から解き放たれた生存は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性の患者集団においてみられる。いくつかの実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性の患者集団は、本明細書において提供される一又は二以上のバイオマーカーによって特徴付けられる。
他の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、及び固体腫瘍の治療方法であり、この方法は、患者集団における目的とする反応率の改善をもたらす。いくつかの実施態様において、患者集団は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性である。いくつかの実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性である患者集団は、本明細書において提供される一又は二以上のバイオマーカーによって特徴付けられる。
他の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌、例えばリンパ腫、非リンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、及び固体腫瘍の治療方法であり、この方法は、患者の進行までの又は進行から解き放たれた生存への改善された時間をもたらす。いくつかの実施態様において、患者の進行までの又は進行から解き放たれた生存への改善された時間は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性である患者集団においてみられる。いくつかの実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に感受性である患者集団は、本明細書において提供される一又は二以上のバイオマーカーによって特徴付けられる。
また、本明細書において提供されるのは、有効なリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、AML又は固体腫瘍の治療の可能性を予測するために、又は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療の有効性をモニタリングするために有用なキットである。当該キットは、固体の担体、及び生物試料中におけるバイオマーカーの発現を検出するための手段を含む。そのようなキットは、例えば、試験紙(dipstick)、メンブレン、チップ、ディスク、試験紙(test strip)、フィルター、ミクロスフェア、スライド、マルチウェル・プレート、又は光ファイバーを使用することができる。当該キットの固体の担体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球状物、多糖類、毛細管、フィルム、プレート又はスライドであることができる。当該生物試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、臓器、オルガネラ、体液、血液試料、尿試料、又は皮膚試料であることができる。当該生物試料は、例えば、リンパ節生検、骨髄生検、又は末梢血腫瘍細胞の試料であることができる。
一の実施態様において、当該キットは、固体担体、当該固体担体に接触している核酸、ここで、当該核酸は、NHL中で活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子のmRNAの少なくとも20、50、100、200、350又はそれを超える塩基に相補的であり、及び生物試料中のmRNAの発現を検出するための手段を含む。一の実施態様において、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子は、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。
一の実施態様において、有効なリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、AML又は固体腫瘍の治療の可能性を予測するために、又は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療の有効性をモニタリングするために有用なキットが提供される。当該キットは、固体の担体、及び生物試料中におけるNF-κBの発現を検出するための手段を含む。一の実施態様において、当該生物試料は、細胞培養物又は組織試料である。一の実施態様において、当該生物試料は、腫瘍細胞の試料である。他の実施態様において、当該生物試料は、リンパ節生検、骨髄生検、又は末梢血腫瘍細胞の試料である。一の実施態様において、当該生物試料は血液試料である。一の実施態様において、NHLはDLBCLである。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるキットは、定量リアルタイムPCR(QT-PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリー又は免疫蛍光法によってバイオマーカーの発現を検出するための手段を採用する。他の実施態様において、当該バイオマーカーの発現は、ELISAを基本とする方法又は当該技術分野で公知の他の同様の方法で測定される。
本明細書において提供される方法及びキット、例えば、CDNAハイブリダイゼーション及びサイトメトリック・ビーズ・アレイ法と関連して、追加のmRNA及びタンパク質発現技術が使用され得る。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、非ホジキンリンパ腫患者において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を用いる治療に対する腫瘍の反応を予測するためのキットであって:
(i) 固体担体;及び
(ii) 生物試料中で非ホジキンリンパ腫の活性化されたB細胞表現型バイオマーカーの発現を検出するための手段を含むキットである。
一の実施態様において、当該バイオマーカーはNF-κBである。
一の実施態様において、当該バイオマーカーは、活性化されたB細胞表現型に関連する遺伝子であり、かつ、IRF4/MUM1、FOXP1、SPIB、CARD11及びBLIMP/PDRM1からなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、従来において、癌を治療、予防又は管理するために使用されている治療との組み合わせで投与される。そのような従来の治療は、これらに限定されないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物療法及び免疫療法を包含する。
また、本明細書において提供されるのは、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体、及び第二の、又は追加の活性薬剤を含む、医薬組成物、単一単位の投薬形態、投薬処方及びキットである。第二の活性薬剤は、薬の特定の組み合わせ、又は「カクテル」を包含する。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるリンパ腫を治療、予防及び/又は管理する方法は、標準治療の反応しなかった患者に使用され得る。一の実施態様において、リンパ腫は、従来の治療で再発しているか、難治性であるか又は従来の治療に抵抗性である。
他の実施態様において、本明細書において提供されるリンパ腫を治療、予防及び/又は管理する方法は、治療が初めての患者、すなわち、まだ治療を受けていない患者において使用され得る。
ある種の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、治療有効量の一又は二以上の追加の活性薬剤との組み合わせで又はそれに代わって投与される。第二の活性薬剤は、小分子及び大分子(例えば、タンパク質及び抗体)を包含し、その例は、幹細胞と同様に、本明細書において提供されている。本明細書において提供される化合物の投与との組み合わせで使用され得る方法又は治療は、これらに限定されないが、手術、輸血、免疫療法、生物療法、放射線療法、及び望ましくない血管形成と関連付けられた又はそれによって特徴付けられた疾患及び状態を治療、予防又は管理するために現在使用されている他の薬に基づかない療法を包含する。
一の実施態様において、追加の活性薬剤は、アルキル化剤、アデノシン類似体、糖質コルチコイド、キナーゼ阻害剤、SYK阻害剤、PDE3阻害剤、PDE7阻害剤、ドキソルビシン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ベンダムスチン、フォルスコリン、リツキシマブ、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
一の実施態様において、当該追加の活性薬剤はリツキシマブである。他の実施態様において、当該追加の活性薬剤はプレドニゾンである。
一の実施態様において、前記糖質コルチコイドはヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンである。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、約0.1乃至約100mg/日、約0.1乃至約50mg/日、約0.1乃至約25mg/日、約0.1乃至約20mg/日、約0.1乃至約15mg/日、約0.1乃至約10mg/日、約0.1乃至約7.5mg/日、約0.1乃至約5mg/日、約0.1乃至約4mg/日、約0.1乃至約3mg/日、約0.1乃至約2.5mg/日、約0.1乃至約2mg/日、約0.1乃至約1mg/日、約0.1乃至約0.5mg/日、又は約0.1乃至約0.2mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1乃至約100mg/日、約0.1乃至約50mg/日、約0.1乃至約25mg/日、約0.1乃至約20mg/日、約0.1乃至約15mg/日、約0.1乃至約10mg/日、約0.1乃至約7.5mg/日、約0.1乃至約5mg/日、約0.1乃至約4mg/日、約0.1乃至約3mg/日、約0.1乃至約2.5mg/日、約0.1乃至約2mg/日、約0.1乃至約1mg/日、約0.1乃至約0.5mg/日、又は約0.1乃至約0.2mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1乃至約100mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1乃至約25mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1乃至約5mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1、0.2、 0.5、1,2、2.5、3、4、5、7.5、10、15、20、25、50、又は100mg/日の量で投与される。一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.1 mg/日の量で投与される。他の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約0.2 mg/日の量で投与される。他の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約1.0mg/日の量で投与される。他の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、約5.0mg/日の量で投与される。
一の実施態様において、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンは、1日に2回投与される。
本発明において提供されるのは、本明細書に開示された方法において使用され得る医薬組成物(例えば、単一単位の投薬形態)である。ある種の実施態様において、当該医薬組成物は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体、及び第二の活性薬剤を含む。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、経口投与される。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カプセル中で又は錠剤で投与される。
一の実施態様において、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、28日サイクルにおいて、21日間投与され、その後7日間休む。
5.1 定義
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「被験者」又は「患者」は、霊長類(例えばヒト)、牛、羊、山羊、馬、犬、猫、兎、ラット又はマウスを含む哺乳類を含めて、但しこれらに限定されることなく、動物を指す。本明細書において、用語「被験者」及び「患者」は、例えばヒト被験者のような哺乳類被験者を指して、交換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、疾患(disease)又は病気(disorder)の、又は当該疾患若しくは病気に関連する一又は二以上の症状の、根絶又は改善を指す。ある種の実施態様において、当該用語は、一又は二以上の予防又は治療剤の、そのような疾患若しくは病気に罹っている患者への投与の結果として、疾患若しくは病気の広がり又は悪化を最小化することを指す。いくつかの実施態様において、当該用語は、具体的な疾患の症状の発現後における、本明細書において提供される化合物の、他の追加の活性薬剤と一緒の又はそのような活性薬剤なしでの投与を指す。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、疾患もしくは病気の、又はその一もしくは二以上の症状の、発現、再発もしくは広がりの予防を指す。ある種の実施態様において、当該用語は、症状の発現前における、特に本明細書において提供される疾患もしくは病気の危険性のある患者への、他の追加の活性化合物と一緒の又はそのような活性化合物なしでの、本明細書において提供される化合物での治療又は当該化合物の投与を指す。当該用語は、具体的な疾患の症状の阻害又は軽減を包含する。特に、ある疾患の家族歴のある患者は、ある種の実施態様において、予防的投与計画の対象である。加えて、再発症状の履歴がある患者もまた、予防のための潜在的な対象者である。この点に関して、用語「予防」は、用語「予防的治療」と交換可能に使用され得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「管理する」、「管理している」又は「管理」は、疾患もしくは病気の、又はその一もしくは二以上の症状の、進行、広がり又は悪化を予防又は遅延させることを指す。しばしば、患者が予防剤及び/又は治療剤から得る有益な効果が、疾患もしくは病気の治癒をもたらさない。この観点において、用語「管理している」は、当該疾患の再発を予防又は最小化しようとして、又は寛解にとどまっている時間を長くしようとして、特定の疾患に罹患した患者を治療していることを包含する。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、化合物の、用語「治療的に有効な量」は、疾患もしくは病気の治療もしくは管理において治療の恩恵を提供するのに、又は疾患若しくは病気に関連する一もしくは二以上の症状を遅らせるか又は最小にするために、十分な量である。化合物の治療的に有効な量は、単独での若しくは他の療法との組合せでの、当該疾患もしくは病気の治療もしくは管理に治療の恩恵を提供する治療剤の量を意味する。用語「治療的に有効な量」は、総合的な治療を改善し、疾患もしくは病気の症状もしくは原因を低減させもしくは避けさせる、又は他の治療剤の治療効果を高める量を包含し得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、化合物の「予防的に有効な量」は、疾患若しくは病気の予防、又はその再発の予防に十分な量である。化合物の予防的に有効な量は、単独での若しくは他の薬剤との組合せでの、疾患の予防において予防の恩恵を提供する治療剤の量を意味する。用語「予防的に有効な量」は、総合的な予防を改善し又は他の予防剤の予防有効性を高める量を包含し得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「薬学的に許容され得る担体」、「薬学的に許容され得る賦形剤」、「生理学的に許容され得る担体」、又は「生理学的に許容され得る賦形剤」は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、又は封入材料のような、薬学的に許容され得る物質、組成物、又はビヒクルを指す。一の実施態様において、各成分は、医薬処方の他の原料と混合可能という意味において、そして合理的な利益/危険比で釣り合っており、度を超えた毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題もしくは合併症なしに、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触しての使用に適するという意味において、「薬学的に許容可能」である。レミントン(Remington)の文献:The Science and Practice of Pharmacy,第21版;リッピンコット ウィリアム及びウィルキンズ(Lippincott Williams & Wilkins)の文献,フィラデルフィア、ペンシルベニア州、2005; Handbook of Pharmaceutical Excipients, 第5版;ロゥエ(Rowe)ら編,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005;及びHandbook of Pharmaceutical Additives,第3版;アッシュ及びアッシュ(Ash and Ash)編, Gower Publishing Company: 2007; Pharmaceutical Preformulation and Formulation, ギブソン(Gibson)編, CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2004)を参照されたい。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「腫瘍」は、悪性・良性に関わらず、すべての新生物細胞の成長及び増殖と、そしてすべての前癌状態及び癌状態の細胞及び組織を指す。本明細書で使用される場合、「新生の」は、悪性・良性に関わらず、異常な組織成長をもたらす無調節な又は制御されていない細胞成長のいずれかの形態を指す。したがって、「新生細胞」は、無調節な又は制御されていない細胞成長を有する、悪性又は良性の細胞を包含する。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「再発した」は、治療後に癌の寛解に至った被験者又は哺乳類が、癌細胞の再来を受けるという状況を指す。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、「有効な患者腫瘍の反応」は、患者に対する、治療の恩恵における何らかの増加を指す。「有効な患者腫瘍の反応」は、腫瘍の進行率において、例えば5%、10%、25%、50%、又は100%の低減であることができる。「有効な患者腫瘍の反応」は、癌の身体的症状において、例えば、5%、10%、25%、50%、又は100%の低減であることができる。「有効な患者腫瘍の反応」は、遺伝子発現、細胞計数、分析結果その他のような何らかの適切な手段で測定したときに、患者の反応における、例えば、5%、10%、25%、50%、100%、200%、又はそれを超える増加であることもできる。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「可能性」は、一般的にある事象の起こる確率の増加を指す。患者腫瘍の反応の有効性に関して使用される場合、用語「可能性」は、一般的に、腫瘍の進行率又は腫瘍細胞成長が減少するであろうということについて、増大した確率を予期する。患者腫瘍の反応の有効性に関して使用される場合、用語「可能性」は、また、一般的に、腫瘍の治療において進行の増大の証拠であり得る、mRNA又はタンパク質の発現のような指標の増大を意味する。
本明細書で使用され、別途特定されなければ、用語「予測する」は、一般的に、前もって決定し又は伝えることを意味する。例えば、癌治療の有効性を「予測する」というように使用される場合、用語「予測する」は、治療が始まる前に、又は治療期間が実質的に進行する前に、癌治療の結果の可能性が最初に決定され得ることを意味し得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「モニタリングする」は、本明細書で使用される場合、一般的に、活性の監視、管理、制御、観察、追跡、又は監督を指す。例えば、用語「化合物の有効性をモニタリングする」は、患者の癌治療において又は腫瘍細胞培養において、有効性の追跡を指す。同様に、個別に又は治験において、患者の薬剤服用順守との関連で使用する場合、「モニタリングする」は、患者が実際に、規定通りに試験される免疫調節化合物を取っていることの追跡又は確認を指す。モニタリングは、例えば、mRNA又はタンパク質バイオマーカーの発現を追跡することで、実施され得る。
癌又は癌関連疾患の改善は、完全な又は部分的な反応として特徴付けられ得る。「完全な反応」は、何らかの従前の異常な放射線学的検査、骨髄、及び脳脊髄液(CSF)又は異常な単クローン性タンパク質測定の正常化を伴って、臨床的に検出可能な疾患が無いことを指す。「部分的な反応」は、新たな病変なしに、全ての測定可能な腫瘍負荷(即ち、被験者中に存在する悪性細胞の数、又は腫瘍塊の測定された容積若しくは異常単クローン性タンパク質の量)の、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の低減を指す。用語「治療」は、完全な及び部分的な反応の両者をもくろむ。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「難治性又は抵抗性」は、集中的な治療の後でさえ、被験者又は哺乳類が、その体内に残りの癌細胞を有している状況を指す。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「薬物抵抗性」は、疾患が薬物(単数)又は薬物(複数)での治療に反応しない状態を指す。薬物抵抗性は、本質的であり得、これは、疾患が決して薬物(単数)又は薬物(複数)に反応性ではないことを意味し、又は後天的であり得、これは、その疾患に対して従前は反応していた薬物(単数)又は薬物(複数)に、その疾患が反応しなくなることを意味する。ある種の実施態様において、薬物抵抗性は本質的である。ある種の実施態様において、薬物抵抗性は後天的である。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、化合物を用いる治療に関連して使用されたとき、用語「感受性」及び「感受性であること」は、治療される腫瘍又は疾患の進行の減少又は低減において、化合物の有効性の程度を指す相対的な用語である。例えば、ある化合物に関連して、細胞又は腫瘍の治療に関して使用される場合、用語「増大した感受性」は、腫瘍治療の有効性における、少なくとも5%、又はそれを超える増大を指す。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「発現された」又は「発現」は、本明細書で使用される場合、遺伝子の二本の核酸らせん構造の一本の領域に少なくとも一部において相補的なRNA核酸分子を与える、遺伝子からの転写を指す。用語「発現された」又は「発現」は、本明細書で使用される場合、タンパク質、ポリペプチド又はその一部を与える、RNA分子からの翻訳も指す。
「上方制御されている」mRNAは、一般的に、与えられた治療又は状態において増加されている。「下方制御されている」mRNAは、一般的に、与えられた治療又は状態に反応した、mRNAの発現レベルにおける低減を指す。いくつかの状況において、mRNAレベルは、与えられた治療又は状態において変化しないままであり得る。
患者試料に由来するmRNAは、免疫調節性化合物で治療されるとき、治療されていない対照と比べて、「上方制御されている」ことができる。この上方制御は、例えば、比較される対照mRNAレベルの、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%又はそれを超える増加であり得る。
一方、mRNAは、ある種の免疫調節性化合物又は他の薬剤の投与に反応して、「下方制御されている」又はより低レベルで発現されていることができる。下方制御されたmRNAは、例えば、比較される対照mRNAレベルの、約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%又はそれを下回るレベルで存在し得る。
同様に、患者試料からのポリペプチド又はタンパク質バイオマーカーのレベルは、免疫調節性化合物で治療されるとき、治療されていない対照と比べて増加され得る。この増加は、比較される対照タンパク質レベルの、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%又はそれを超えるものであり得る。
代わりに、タンパク質バイオマーカーのレベルは、ある種の免疫調節性化合物又は他の薬剤の投与に反応して、低下され得る。この低下は、例えば、比較される対照タンパク質レベルの、約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%又はそれを下回るレベルで存在し得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、本明細書で使用される場合、用語「測定する(determining)」、「測定する(measuring)」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」及び「アッセイする」は、一般的に、測定のいずれかの形態を指し、そして、ある成分が存在する可否かを測定することを包含する。これらの用語は、定量的及び/又は定性的測定の両者を包含する。評価することは、相対的又は絶対的であり得る。「存在を評価すること」は、それが存在するか又はしないかを決定することのみならず、存在する何かの量を測定することも包含し得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「薬学的に許容され得る塩」は、その用語が参照する化合物の非毒性の酸及び塩基付加塩を包含する。許容され得る非毒性酸付加塩は、例えば、塩酸、 臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニチン酸、サリチル酸、フタル酸、塞栓(embolic)酸、エナント酸等を包含する当該技術分野で公知の有機及び無機酸又は塩基に由来するものを包含する。
その性質が酸性である化合物は、様々な薬学的に許容され得る塩基とともに、塩を形成することができる。そのような酸性化合物の薬学的に許容され得る塩基付加塩を調製するために使用され得る塩基は、非毒性塩基付加塩、即ち、これらには限定されないが、アルカリ金属 又はアルカリ土類金属塩、そして具体的にはカルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウム塩、薬学的に許容され得る陽イオンを含有する塩を形成するものである。適切な有機塩基は、これらに限定されないが、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(meglumaine)(N-メチルグカミン)、リシン及びプロカインを包含する。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「溶媒和物」は、本明細書において提供される化合物又はその塩を意味し、それは、さらに、非共有分子間力によって結合された化学量論量の又は非化学量論量の溶剤を含む。当該溶剤が水である場合、当該溶媒和物は水和物である。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「プロドラッグ」は、ある化合物の誘導体であって、当該化合物を提供するように、生物学的状況(イン・ビトロ又はイン・ビボ)の下で加水分解され得、酸化され得、又は反応し得るものを意味する。プロドラッグの例は、これらに限定されないが、本明細書において提供される式Iの化合物の誘導体であって、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カーボネート、生物加水分解性ウレイド、及び生物加水分解性ホスフェイト類似体のような生物加水分解性部分を含むものを包含する。プロドラッグの他の例は、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む、本明細書において提供される式Iの化合物の誘導体を包含する。プロドラッグは、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery、172-178、949-982 (マンフレッド イー ウォルフ(Manfred E. Wolff)編、第五版 1995)、及びDesign of Prodrugs (エイチ バンドガード(H. Bundgaard)編、Elselvier、ニューヨーク 1985)に記載されているような方法を使用して、調製され得る。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「生物加水分解性アミド」、「生物加水分解性エステル」、「生物加水分解性カルバメート」、「生物加水分解性カーボネート」、「生物加水分解性ウレイド」、及び「生物加水分解性ホスフェイト」は、1) 当該化合物の生物活性を妨げず、摂取、作用の継続、又は作用の発現のようなイン・ビボにおける当該化合物の有利な性質をもたらし得るか、又は2)生物学的に不活性であるが、イン・ビボで生物学的に活性な化合物に変えられるもののいずれかであって、それぞれ、化合物のアミド、エステル、カーバメート、カーボネート、ウレイド、又はホスフェイトを意味する。生物加水分解性エステルの例は、これらに限定されないが、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(アセトキシメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、及びピバロイルオキシエチル・エステルのような)、ラクトニルエステル(フタリジル及びチオフタリジル・エステルのような)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(メトキシカルボニル−オキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチル及びイソプロポキシカルボニルオキシエチル・エステルのような)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、及びアシルアミノアルキルエステル(アセタミドメチル・エステルのような)を包含する。生物加水分解性アミドの例は、これらに限定されないが、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドを包含する。生物加水分解性カルバメートの例は、これらに限定されないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環及びヘテロ芳香族環アミン、及びポリエーテルアミンを包含する。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「立体化学的に純粋」は、化合物の一つの立体異性体を含み、当該化合物の他の立体異性体が実質的に含まれていない組成物を意味する。例えば、不斉中心を有する化合物の立体化学的に純粋な組成物は、当該化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まないであろう。二つの不斉中心を有する化合物の立体化学的に純粋な組成物は、当該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないであろう。ある種の実施態様において、立体化学的に純粋な化合物は、約80重量%を超える当該化合物の一つの立体異性体と、約20重量%未満の当該化合物の他の立体異性体とを、約90重量%を超える当該化合物の一つの立体異性体と、約10重量%未満の当該化合物の他の立体異性体とを、約95重量%を超える当該化合物の一つの立体異性体と、約5重量%未満の当該化合物の他の立体異性体とを、又は約97重量%を超える当該化合物の一つの立体異性体と、約3重量%未満の当該化合物の他の立体異性体とを含む。本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「立体化学的に(stereomerically)濃縮されている」は、約60重量%を超えるある化合物の一つの立体異性体、約70重量%を超える、又は約80重量%を超えるある化合物の一つの立体異性体を含む組成物を意味する。本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「鏡像異性的に純粋」は、一つの不斉中心を有する化合物の立体化学的に純粋な組成物を意味する。同様に、用語「立体化学的に(stereomerically)濃縮されている」は、一つの不斉中心を有する化合物の立体化学的に(stereomerically)濃縮されている組成物を意味する。
本明細書で使用される場合、別途特定されなければ、用語「約」又は「およそ」は、測定された特定の値について、当業者が許容できる誤差を意味し、これは、一部において、その値がどのように測定され(measured)又は測定された(determined)かによる。ある種の実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。ある種の実施態様において、用語「約」又は「およそ」は、与えられた値又は範囲の、50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
5.2 癌の承認のための臨床での追跡評価項目
「全生存」は、何らかの原因による死までの無作為化された時間として定義され、且つ、包括解析集団において測定される。全生存は、無作為化されコントロールされた研究において評価されるべきである。全生存における統計的に意味のある改善の証拠は、毒性のプロファイルが受け入れ可能であるならば臨床的に意味があると考慮され得、そしてしばしば新薬承認をサポートする。
いくつかの評価項目は、腫瘍の評価に基づいている。これらの評価項目は、無病生存率(DFS)、客観的奏功率(ORR)、無憎悪期間(TTP)、無憎悪生存率(PFS)、及び治療成功期間(TTF)を包含する。これらの時間依存性評価項目におけるデータの収集及び解析は、間接的評価、計算、及び推定(例えば、腫瘍の測定)に基づく。
一般的に、「無病生存率」(DFS)は、腫瘍の再発又は何らかの原因による死までの無作為化からの時間として定義される。全生存は、大部分の補助療法のための従来の評価項目であるけれども、DFSは、生存が引き延ばされ得た状況において、生存評価項目を非現実的なものにする重要な評価項目であり得る。DFSは、臨床上の恩恵を代理することができ、又は、臨床上の恩恵の直接的証拠を提供することができる。この測定は、効果の大きさ、そのリスク-便益関係、及び疾患状況に基づいている。特にその従前の腫瘍進行の記録なしに死が書き留められている場合、DFSの定義は理解され難い。これらの出来事は、疾患の再発又は打ち切り事象として記録され得る。死の統計分析のためのすべての方法は、いくつかの制限を有しているけれども、すべての死(すべての原因の死)を再発として考慮することは、不公平な判断を最小化できる。DFSは、特に観察のない長い期間の後に死亡する患者においては、この定義を使用して過大評価され得る。試験群間において長期間の追跡調査のための訪問の頻度が同様ではないか、又は、毒性のための脱落がランダムではないならば、不公平な判断が導入され得る。
客観的奏功率(ORR)は、最小期間で所定量の腫瘍サイズの低下があった患者の比率として定義される。反応継続時間は、普通は、最初の反応の時から記録された腫瘍進行までが測定される。一般的に、FDAは、ORRを、部分的反応と完全な反応の合計として定義している。このようなやり方で定義するとき、ORRは薬物の抗腫瘍活性の直接的尺度であり、それは、単一アーム研究において評価され得る。可能な場合には、標準化された基準は、反応を突き止めるために使用されるべきである。様々な反応基準は、適切であると考えられる(例えば、RECIST基準)(ゼラッセ(Therasse)らの文献、(2000) J. Natl. Cancer Inst, 92: 205-16)。ORRの意義は、その大きさ及び継続時間によって、並びに完全な反応の百分率(腫瘍が検出されない証拠)によって評価される。
「無憎悪期間」(TTP)及び「無憎悪生存率」(PFS)は、薬物承認の主要評価項目としての役割を果たす。TTPは、無作為化から客観的腫瘍進行までの時間として定義され;TTPは、死を含まない。PFSは、無作為化から客観的腫瘍進行又は死までの時間として定義される。TTPと比べてPFSは、好ましい、調整された評価項目である。PFSは死を包含し、したがって、全体的な生存に対してより良く相関し得る。PFSは、患者の死が腫瘍進行に無作為に関係付けられているとみなす。しかしながら、死の大多数が癌とは関係していない状況においては、TTPは、許容され得る評価項目であり得る。
薬物承認をサポートする評価項目として、PFSは腫瘍の成長を反映することができ、且つ、生存の恩恵の決定の前に評価され得る。その決定は、その後の治療によって混乱させられない。既定の試料サイズのために、PFSの効果の大きさは、全体としての生存の効果よりも大きくなり得る。しかしながら、存在する多くの異なる悪性腫瘍についての、生存の代理としてのPFSの形式的確認は、困難であり得る。データは、生存の効果とPFSとの間において、関係の着実な評価を為さしめるために、時には不十分である。癌の検査はしばしば小さく、且つ、存在する薬物の証明された生存の恩恵は、一般的に控えめである。認可承認をサポートするための評価項目としてのPFSの役割は、異なる癌の状況において様々である。PFSの改善が直接的な臨床上の恩恵又は臨床上の恩恵の代理を示すか否かは、利用できる治療と比べて、新たな治療の効果の大きさ及びリスク−便益による。
「治療成功期間」(TTF)は、無作為化から何らかの理由、これは疾患の進行、治療毒性及び死を包含するが、による治療の中止までの時間を測定する、複合評価項目として定義される。TTFは、薬物承認のための規制評価項目としては勧められない。TTFは、これらの追加の変数から、有効性が十分に区別されていない。規制評価項目は、毒性、患者又は医師の離脱、又は患者の不耐性から、薬物の有効性を明確に区別すべきである。
5.3 化合物
本明細書において提供される方法における使用に適する化合物は、式Iの構造を有する3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン:
又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体である。
一の実施態様において、当該化合物は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである。一の実施態様において、当該化合物は、化合物Iの薬学的に許容され得る塩である。一の実施態様において、当該化合物は、3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
一の実施態様において、当該化合物は、式I-Sの構造を有する(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである:
一の実施態様において、当該化合物は、化合物I-Sの薬学的に許容され得る塩である。一の実施態様において、当該化合物は、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
一の実施態様において、当該化合物は、式I-Rの構造を有する(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンである:
一の実施態様において、当該化合物は、化合物I-Rの薬学的に許容され得る塩である。一の実施態様において、当該化合物は、(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン塩酸塩である。
式Iの化合物は、本明細書において提供された実施例に記載された方法に従って、又は、その開示の全てが引用により本明細書に組み込まれている米国出願公開第US2011-0196150号に記載されているように、調製され得る。当該化合物は、また、本明細書における教示に基づいて、当業者に明らかな他の方法にしたがって合成され得る。
本明細書において提供される化合物は、LPSで刺激されたhPBMC及びヒト全血中のTNF-α、IL-1β、及び他の炎症性サイトカインを著しく阻害する。TNF-αは、急性炎症の間にマクロファージ及び単球によって産生される炎症性サイトカインである。TNF-αは、細胞内における様々なシグナル伝達事象の原因である。TNF-αは、癌において、病理学的な役割を演じ得る。理論によって制限されることなしに、本明細書において提供される免疫調節化合物によって与えられた生物学的効果の一つは、TNF-αの合成の低減である。本明細書において提供される免疫調節化合物は、TNF-αmRNAの分解を増進させる。本明細書において提供される化合物はまた、これらの状況下において、IL-1βを強く阻害し且つIL-10を刺激する。
さらに、何らかの具体的な理論によって制限されることなしに、本明細書において提供される化合物はT細胞の強い共刺激剤であり、且つ、適切な条件下において、用量依存的に細胞増殖を増大させる。
ある種の実施態様において、理論によって制限されることなしに、本明細書において提供される免疫調節化合物によって与えられた生物学的効果は、これらに限定されないが、抗血管形成効果及び免疫調節効果である。
本明細書において提供される式Iの化合物は、一つの不斉中心を含み、且つ、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ混合物、として存在し得る。この開示は、そのような化合物の立体化学的に純粋な形態の使用も、それらの形態の混合物の使用も包含する。例えば、本明細書において提供される式Iの化合物のエナンチオマーを、等しい量で又は等しくない量で含む混合物は、本明細書で開示された方法及び組成物において使用され得る。これらの異性体は、非対照的に合成され得、又は、キラル・カラムやキラル分割剤のような標準的な技術を使用して分割され得る。例えば、ヤックエス ジェイ(Jacques, J.)らの文献、Enantiomers、 Racemates and Resolutions (ワイレイ−インターサイエンス(Wiley-Interscience)、ニューヨーク、1981);ワイレン エス エイチ(Wilen, S. H.)らの文献、Tetrahedron 33:2725 (1977);エリール イー エル(Eliel, E. L.)の文献、Stereochemistry of Carbon Compounds (マグロウヒル(McGraw-Hill)、ニューヨーク、1962);及びワイレン エス エイチ(Wilen, S. H.)の文献、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁 (イー エル エリール(E.L. Eliel)編、ノートルダム大学出版(Univ. of Notre Dame Press)、ノートルダム(Notre Dame)、インディアナ州、1972)を参照されたい。
仮に、表現された構造とその構造に与えられた名称との間に食い違いがあるならば、表現された構造により多くのウェイトが与えられることとなっていることに気づくべきである。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、ボールド体又は点線で示されていないならば、その構造又はその構造の一部は、その構造の全ての立体異性体を包含しているとして解釈されることとなっている。
5.4 第二の活性薬剤
本明細書において提供される化合物、例えば式Iの化合物、又はエナンチオマー若しくはそのエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、本明細書において提供される方法及び組成物において、一又は二以上の他の薬学的に活性な化合物(「第二の活性薬剤」)と組み合わされ得る。ある種の組み合わせが、特定のタイプの癌及び望ましくない血管形成と関連し又はそれによって特徴付けられたある種の疾患又は状況の治療において相乗的に働く。本明細書において提供される化合物は、ある種の第二活性薬剤に関連する副作用を緩和するようにも働き得、そして、いくつかの第二の活性薬剤は、本明細書において提供される化合物に関連する副作用を緩和するために使用され得る。
一又は二以上の第二の活性原料又は活性薬剤は、本明細書において提供される方法及び組成物において、本明細書において提供される化合物と共に使用され得る。第二の活性薬剤は、大分子(例えばタンパク質)であることができ又は小分子(例えば、合成無機、有機金属、又は有機分子)であることができる。
大分子活性薬剤の例は、これらに限定されないが、造血成長因子、サイトカイン、及び単クローン性及び多クローン性抗体を包含する。ある種の実施態様において、大分子活性薬剤は、天然に存在する又は人工的に作られたタンパク質のような生物学的分子である。この開示において特に有用なタンパク質は、イン・ビトロ又はイン・ビボにおいて、造血前駆細胞及び免疫学的に活性な形成(poietic)細胞の生存及び/又は増殖を刺激するタンパク質を包含する。他の物質が、イン・ビトロ又はイン・ビボにおいて、細胞中の委ねられた赤芽球前駆細胞の細胞分裂及び分化を刺激する。具体的なタンパク質は、これらに限定されないが、IL-2(組み換えIL-II(“rIL2”)及びカナリア痘IL-2を包含して)、IL-10、IL-12、及びIL-18のようなインターロイキン;インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、及びインターフェロンγ-Ibのようなインターフェロン;GM-CF及びGM-CSF;GC-CSF、BCG、癌抗体、及びEPOを包含する。
開示の方法及び組成物において使用され得る具体的なタンパク質は、これらに限定されないが、フィルグラスチム(filgrastim)、これは、米国において商品名NEUPOGEN(登録商標)(アムジェン(Amgen)、サウザンド・オーク、カリフォルニア州)で販売されている;サルグラモスチム(sargramostim)、 これは、米国において商品名LEUKINE(登録商標)(イムネックス(Immunex)、シアトル、ワシントン州)で販売されている;及び組み換えEPO、これは、米国において商品名EPGEN(登録商標)(アムジェン(Amgen)、サウザンド・オーク、カリフォルニア州)で販売されている、を包含する。
ActRII受容体の阻害剤又はアクチビン-ActRII阻害剤は、本明細書において提供される方法及び組成物において使用され得る。ActRII受容体の阻害剤は、ActRIIA阻害剤とActRIIB阻害剤を包含する。ActRII受容体の阻害剤は、ActRIIのアクチン結合ドメインを含むポリペプチドであり得る。ある種の実施態様において、アクチン結合ドメイン含有ポリペプチドは、抗体のFc部分に結合されている(即ち、ActRII受容体のアクチン結合ドメインを含むポリペプチドと、抗体のFc部分とを含む複合体が作出されている)。ある種の実施態様において、アクチン結合ドメインは、リンカー、例えばペプチド・リンカーを介して、抗体のFc部分に結合されている。アクチビン又はActRII結合のために選択されたそのような非抗体タンパク質の例並びにそのような非抗体タンパク質の設計及び選択のための方法は、各々についてその全体が引用により本明細書に組み込まれている国際公開WO/2002/088171、国際公開WO/2006/055689、国際公開WO/2002/032925、国際公開WO/2005/037989、米国公開US 2003/0133939、及び米国公開US 2005/0238646中に見出される。一の実施態様において、ActRII受容体の阻害剤は、ACE-11である。他の実施態様において、ActRII受容体の阻害剤は、ACE-536である。
GM-CSFの組換え体及び突然変異型は、これらの各々の開示の全てが、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第5,391,485号、同第5,393,870号、及び同第5,229,496号に記載されているようにして、調製され得る。G-CSFの組換え体及び突然変異型は、これらの各々の開示の全てが、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第4,810,643号、同第4,999,291号、同第5,528,823号及び同第5,580,755号に記載されているようにして、調製され得る。
この開示は、天然の、自然発生の、又は組み換えタンパク質の使用を包含する。その開示は、さらに、自然発生のタンパク質の突然変異体及び誘導体(例えば、修飾体)であって、その突然変異体及び誘導体が基礎としているタンパク質の薬学的活性の少なくともいくつかをイン・ビボで示すものを包含する。突然変異体の例は、これらに限定されないが、タンパク質であって、それらのタンパク質の自然発生型における対応する残基とは異なる一又は二以上のアミノ酸残基を有するものを包含する。また、「突然変異体」の用語によって包含されるものは、タンパク質であって、それらの自然発生型には通常は存在する糖質部分を欠くもの(例えば、非グリコシル化型)である。誘導体の例は、これらに限定されないが、IgG1もしくはIgG3がタンパク質もしくは対象のタンパク質の活性部分に融合することによって形成されたタンパク質のような、ペグ化された誘導体及び融合タンパク質を包含する。例えば、ペニチェット エム エル(Penichet, M.L.)及びモリソン エス エル(Morrison, S.L.)の文献、J. Immunol. Methods 248:91-101 (2001)を参照されたい。
本明細書において提供される化合物との組み合わせで使用され得る抗体は、単クローン性抗体及び多クローン性抗体を包含する。抗体の例は、これらに限定されないが、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、ペルツズマブ(OMNITARG(商標))、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、エドレコロマブ(PANOREX(登録商標))、パニツムマブ及びG250を包含する。本明細書において提供される化合物は、また、抗-TNF-α抗体と組み合わせられ得、又は、抗-TNF-α抗体との組み合わせにおいて使用され得る。
大分子活性薬剤は、抗癌ワクチンの形態で投与され得る。例えば、IL-2、SCF、CXCl4(血小板因子4)、G-CSF、及びGM-CSFのようなサイトカインを、分泌するか又は分泌を引き起こすワクチンが、開示された方法、医薬組成物、及びキットにおいて使用され得る。例えば、エメンス エル エー(Emens, L.A.)らの文献、Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1):77-84 (2001)を参照されたい。
小分子である第二の活性薬剤は、また、本明細書において提供される化合物の投与に関連する副作用を軽減するために使用され得る。しかしながら、いくつかの大分子と同様に、多くのものは、本明細書において提供される化合物と共に(例えば、前、後、又は同時に)投与されたときに、相乗効果を提供できると信じられている。小分子第二の活性薬剤の例は、これらに限定されないが、抗癌剤、抗生物質、免疫抑制剤、及びステロイドを包含する。
抗癌剤の例は、これらに限定されないが、アブラキサン;アンギオテンシン変換酵素11(ace-11);アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アムルビシン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;二メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキュイナール・ナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴル;セレコキシブ(COX-2阻害剤);クロルアンブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デユアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロックスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシン・ナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ハーセプチン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;ラパチニブ;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソール・ナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサート・ナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガセ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポリフィマー・ナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ロミデプシン;サフィンゴル;塩酸サフィンゴル;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセート・ナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;PDA-001のような幹細胞治療剤;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール;タリソマイシン;テコガラン・ナトリウム;タキソテール;テガファー;塩酸テレキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシル・マスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンリューロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンを包含する。
他の抗癌薬は、これらに限定されないが、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TK拮抗薬;アルトレタミン;アムバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸、アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;拮抗薬D;拮抗薬G;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンス・オリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス制御剤;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;β-ラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;b-FGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニン・スルフォキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;;CaRest M3;CARN 700;軟骨組織由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルランズ(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コムブレタスタチンA4;コムブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタクソール、9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エデレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメクス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウム・テキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレン・ビスアセタミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イマチニブ(例えばGLEEVEC(登録商標))、イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドクソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメルラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリンアミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレクソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ルアトテカン;ルテチウム・テクサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;ミトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリアの細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロクソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;窒素酸化物抗酸化剤;ニツルリン(nitrullyn);オブリメルセン(GENASENSE(登録商標));O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;口腔サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼルリプチン;ペガスパルガセ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化物質阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピル ビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫制御薬;プロテインキナーゼC阻害剤(単数);プロテインキナーゼC阻害剤(複数);ミクロアルガル;プロテイン・チロシン・ホスファターゼ阻害剤;プリン・ヌクレオシド・ホスフォリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビン・ポリオキシエチレン接合体;raf拮抗薬;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテルリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロクイニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴル;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣薬;セムスチン;セネスセンス由来阻害剤1;センス・オリゴヌクレオチド;シグナル変換阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチド拮抗薬;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タルリムスチン;タモキシフェンメチオダイド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガファー;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣薬;チマルファシン;チモポエチン受容体作動薬;チモトリナン;チロイド刺激ホルモン;エチルエチオプルプリン錫;チラパザミン;チタノセン・ビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソール;ベラミン;ベルディンス(verdins);ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタンチン・スチマラマーを包含する。
一の実施態様において、前記第二の活性薬剤は、プロテアソーム阻害剤である。一の実施態様において、当該プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート、サリノスポラミドA、カルフィゾミブ、ONX0912、CEP-18770、又はMLN9708である。
一の実施態様において、前記第二の活性薬剤は、HDAC阻害剤である。一の実施態様において、当該HDAC阻害剤は、ヴォリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アベキシノスタット、エンチノスタット;SB939、レスミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、スルフォラファン、ケベツリン、又はトリコスタチンAである。
一の実施態様において、前記第二の活性薬剤は、分裂抑制剤である。一の実施態様において、当該分裂抑制剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、又はコルヒチンである。一の実施態様において、当該タキサンは、パクリタキセル(アブラキサン)又はドセタキセルである。一の実施態様において、当該ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、又はビノレルビンである。
具体的な第二の活性薬剤は、これらに限定されないが、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(DECADRON(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチン、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、ギリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキサート、ARISA(登録商標)、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、リューコボリン、イリノテカン、ゼローダ、CPT-11、インターフェロンα、ペギ化インターフェロンα(例えば、PEG INTRON-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームのダウノルビシン、シタラビン、ドセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(DOXIL(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、リン酸エストラムスチンナトリウム(EMCYT(登録商標))、スリンダク、及びエトポシドを包含する。
5.5 バイオマーカー
本明細書において提供されるのは、癌治療の有効性を確かめるための、バイオマーカーとしてのmRNA又はタンパク質の使用に関係する方法である。mRNA又はタンパク質レベルは、具体的な薬剤が特定のタイプの癌、例えば非ホジキンリンパ腫の治療に成功しそうであるか否かを決定するために使用され得る。
生物マーカー又は「バイオマーカー」は、その検出が、特定の生物学的状態、例えば癌の存在のようなもの、を示す物質である。いくつかの実施態様において、当該バイオマーカーは個別に測定され、又はいくつかのバイオマーカーが同時に測定され得る。
いくつかの実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行に又は為された治療に対する疾患の感受性に関係があるかもしれない、mRNAの発現レベルにおける変化を示す。いくつかの実施態様において、当該バイオマーカーは、mRNA又はcDNAのような核酸である。
追加の実施態様において、「バイオマーカー」は、リスク、治療に対する感受性又は疾患の進行に関係があるかもしれない、ポリペプチド又はタンパク質の発現レベルにおける変化を示す。いくつかの実施態様において、当該バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質、又はそれらのフラグメントであり得る。具体的なタンパク質の相対レベルは、当該分野で公知の方法によって決定され得る。例えば、イムノブロット法、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、又は他の方法のような抗体に基づく方法が使用され得る。
5.6 治療及び予防方法
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌を治療及び予防する方法であって、本明細書において提供される化合物、例えば式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、患者に投与することを含む方法である。
他の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌を管理する方法であって、本明細書において提供される化合物、例えば式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、患者に投与することを含む方法である。本明細書において提供されるのは、リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫を治療又は管理する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるのは、予後因子を使用する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を包含するがこれらに限定されない、非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療又は管理のための方法である。
また、本明細書において提供されるのは、前もって癌の治療がなされたが、標準治療に対して反応性ではない患者も、前もっての治療が行われていない患者をも治療する方法である。本発明は、いくつかの疾患又は病気は、ある年齢群においてより一般的であるけれども、患者の年齢にかかわらず、患者を治療する方法をも包含する。本発明は、さらに、問題となっている疾患もしくは状態を治療するための試みにおいて手術を受けた患者も、そして手術を受けていない患者をも、治療する方法を包含する。癌患者は、均一ではない臨床兆候及び多様な臨床上の経過及び結果を有するので、患者になされる治療は患者の予後によって多様であり得る。熟練した臨床医は、過度の実験なしに、個々の癌患者を治療するために有効に使用され得る、具体的な第二剤、手術のタイプ、及び薬物に基づかない標準治療のタイプを、容易に決定することができるであろう。
本明細書において使用されている場合、用語「癌」は、これらに限定されないが、固体癌及び血液感染性腫瘍を包含する。用語「癌」は、これらに限定されないが、膀胱、骨、血液、脳、乳房、頸部、胸郭、結腸、子宮内膜、食道、目、頭、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、首、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽喉、及び子宮の癌を包含する、皮膚組織、臓器、血液、及び血管の疾患を示す。具体的な癌は、これらに限定されないが、進行性悪性腫瘍、アミロイド症、神経芽細胞腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、膠芽細胞腫多形型、膠芽細胞腫、脳幹神経膠腫、予後不良の悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、未分化希突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC&D大腸癌、切除不能大腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸膜浸出中皮腫症候群、腹膜癌、乳頭漿液性癌、婦人科癌、軟部組織の肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増加症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維形成異常症、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除された高リスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ヴァンデンストレームのマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無痛性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、及び平滑筋腫を包含する。
ある種の実施態様において、前記癌は血液感染性腫瘍である。ある種の実施態様において、当該血液感染性腫瘍は転移性である。ある種の実施態様において、当該血液感染性腫瘍は薬物抵抗性である。ある種の実施態様において、当該癌は骨髄腫又はリンパ腫である。
ある種の実施態様において、前記癌は固体腫瘍である。ある種の実施態様において、当該固体腫瘍は転移性である。ある種の実施態様において、当該固体腫瘍は薬物抵抗性である。ある種の実施態様において、当該固体腫瘍は、肝細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、又は膠芽細胞腫である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下した患者において、疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法(複数)である。ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下した患者において、疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法(単数)である。ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、これらに限定されないが、疾患、加齢、又は他の患者の因子のために腎機能が低下した患者に、適切な用量調整を提供する方法である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下したか又はその症状の患者において、再発した/難治性の多発性骨髄腫を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、治療有効量の式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異生体もしくはそのラセミ混合物を、腎機能が低下した、再発した/難治性の多発性骨髄腫の患者に投与することを含む方法である。一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下したか又はその症状の患者において、再発した/難治性の多発性骨髄腫を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、治療有効量の(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容され得る塩を、腎機能が低下した、再発した/難治性の多発性骨髄腫の患者に投与することを含む方法である。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下したか又はその症状の患者において、再発した/難治性の多発性骨髄腫を予防する方法であって、有効量の式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、互変異生体もしくはそのラセミ混合物を、腎機能が低下した、再発した/難治性の多発性骨髄腫を有しているリスクのある患者に投与することを含む方法である。一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下したか又はその症状の患者において、再発した/難治性の多発性骨髄腫を予防する方法であって、有効量の(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容され得る塩を、腎機能が低下した、再発した/難治性の多発性骨髄腫を有しているリスクのある患者に投与することを含む方法である。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、腎機能が低下した患者において、再発した/難治性の多発性骨髄腫を治療、予防、及び/又は管理する方法である。
ある種の実施態様(複数)において、当該化合物の治療又は予防有効量は、約0.005乃至約1,000mg/日、約0.01乃至約500mg/日、約0.01乃至約250mg/日、約0.01乃至約100 mg/日、約0.1乃至約100mg/日、約0.5乃至約100mg/日、約1乃至約100mg/日、約0.01乃至約50mg/日、約0.1乃至約50mg/日、約0.5乃至約50mg/日、約1乃至約50mg/日、約0.02乃至約25mg/日、又は約0.05乃至約10mg/日である。
ある種の実施態様(単数)において、治療又は予防有効量は、約0.005乃至約1,000mg/日、約0.01乃至約500mg/日、約0.01乃至約250mg/日、約0.01乃至約100 mg/日、約0.1乃至約100mg/日、約0.5乃至約100mg/日、約1乃至約100mg/日、約0.01乃至約50mg/日、約0.1乃至約50mg/日、約0.5乃至約50mg/日、約1乃至約50mg/日、約0.02乃至約25mg/日、又は約0.05乃至約10mg/一日おきである。
ある種の実施態様において、当該化合物の治療又は予防有効量は、約0.1、約0.2、約0.5、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、又は約150mg/日である。
一の実施態様において、本明細書において記載された状況のための、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の推奨される1日当たりの用量範囲は、約0.5 mg乃至約50mg/日の範囲内にあり、それは、好ましくは単回投与の1日1回用量として、又は1日を通して分割された用量において与えられる。いくつかの実施態様において、その用量は約1mg乃至約50mg/日の範囲内である。他の実施態様において、その用量は、約0.5乃至約5mg/日の範囲内である。1日当たりの具体的用量は、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50mg/日を包含する。
具体的な実施態様において、推奨される当初の容量は、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25又は50mg/日であり得る。他の実施態様において、推奨される当初の容量は、0.5、1、2、3、4、又は5mg/日であり得る。その用量は、15、20、25、30、35、40、45及び50mg/日に段階的に増量され得る。具体的な実施態様において、当該化合物は、NHL(例えばDLBCL)の患者に、約25mg/日の量で投与され得る。特定の実施態様において、当該化合物は、NHL(例えばDLBCL)の患者に、約10mg/日の量で投与され得る。
ある種の実施態様において、治療又は予防有効量は、約0.001 乃至約100 mg/kg/日、約0.01乃至約50mg/kg/日、約0.01乃至約25mg/kg/日、約0.01乃至約10mg/kg/日、約0.01乃至約9 mg/kg/日、0.01乃至約8mg/kg/日、約0.01乃至約7mg/kg/日、約0.01乃至約6 mg/kg/日、約0.01乃至約5mg/kg/日、約0.01乃至約4mg/kg/日、約0.01乃至約3mg/kg/日、約0.01乃至約2 mg/kg/日、又は約0.01乃至約1mg/kg/日である。
投薬量は、mg/kg/日以外の単位においても表現され得る。例えば、非経口投与のための用量は、mg/m2/日として表現され得る。当業者は、被験者の身長もしくは体重、又は両方が与えられれば、(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)用量をmg/kg/日からmg/m2/日に如何にして変換するかを容易に知るであろう。例えば、65kgのヒトについての1mg/kg/日という用量は、38mg/m2/日にほぼ等しい。
ある種の実施態様において、投与される化合物の量は、定常状態におけるその化合物の、約0.001乃至約500μM、約0.002乃至約200μM、約0.005乃至約100μM、約0.01乃至約50μM、約1乃至約50μM、約0.02乃至約25μM、約0.05乃至約20μM、約0.1乃至約20μM、約0.5乃至約20μM、又は約1乃至約20μMという範囲内の血漿濃度を提供するのに十分である。
他の実施態様において、投与される化合物の量は、定常状態におけるその化合物の、約5乃至約100nM、約5乃至約50nM、約10乃至約100nM、約10乃至約50nM又は約50乃至約100nMという範囲内の血漿濃度を提供するのに十分である。
本明細書において使用される場合、用語「定常状態における血漿濃度」は、本明細書において提供される化合物、例えば式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の投与の一定期間後に到達した濃度である。一旦定常状態に到達すると、その化合物の血漿濃度の時間依存性曲線上には、微小のピークと谷がある。
ある種の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.001乃至約500μM、約0.002乃至約200μM、約0.005乃至約100μM、約0.01乃至約50μM、約1乃至約50μM、約0.02乃至約25μM、約0.05乃至約20μM、約0.1乃至約20μM、約0.5乃至約20μM、又は約1乃至約20μMの範囲内の、その化合物の最高血漿濃度(ピーク濃度)を提供するのに十分である。
ある種の実施態様において、投与される化合物の量は、約0.001乃至約500μM、約0.002乃至約200μM、約0.005乃至約100μM、約0.01乃至約50μM、約1乃至約50μM、約0.01乃至約25μM、約0.01乃至約20μM、約0.02乃至約20μM、約0.02乃至約20μM、又は約0.01乃至約20μMの範囲内の、その化合物の最低血漿濃度(谷濃度)を提供するのに十分である。
ある種の実施態様において、投与される化合物の量は、約100乃至約100,000ng*時間/mL、約1,000乃至約50,000ng*時間/mL、約5,000乃至約25,000ng*時間/mL、又は約5,000乃至約10,000 ng*時間/mLの範囲内の、その化合物の濃度曲線下面積(AUC)を提供するのに十分である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される方法の一つで治療される患者は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の投与前に、抗癌療法で治療されていない。ある種の実施態様において、本明細書において提供される方法の一つで治療される患者は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の投与前に、抗癌療法で治療されている。ある種の実施態様において、本明細書において提供される方法の一つで治療される患者は、抗癌療法に対して薬物抵抗性が生じている。
いくつかの疾患又は病気は、ある年齢群においてより一般的であるけれども、本明細書において提供される方法は、患者の年齢にかかわらず、患者を治療することを包含する。さらに、本明細書において提供されるのは、問題となっている疾患又は状態を治療する目的で手術を受けた患者も、手術を受けていない患者をも、治療する方法である。癌を患っている被験者は、均一ではない臨床兆候及び多様な臨床上の経過及び結果を有するので、具体的な被験者になされる治療はその者の予後によって多様であり得る。熟練した臨床医は、過度の実験なしに、癌を有する個々の被験者を治療するために有効に使用され得る、具体的な第二薬剤、手術のタイプ、及び薬物に基づかない標準治療のタイプを、容易に決定することができるであろう。
治療される疾患及び被験者の状態によって、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、投与の経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、持続静注、嚢内の注入又は点滴、皮下注射、又は埋め込み)、吸入、経鼻、膣内、直腸、舌下、又は局所の(例えば、経皮的又は局部的な)ルートで投与され得る。式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、単独で又は共に、薬学的に許容され得る賦形剤、担体、アジュバント及びビヒクルを伴って適切な用量単位において、投与の各ルートに適切な処方が組まれ得る。
一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、経口で投与される。他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、非経口で投与される。さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、静注で投与される。
式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、例えば、単回の急速静注法、又は経口錠剤もしくは丸薬のような単回投与で;又は、例えば時間をかけた持続注入又は時間をかけて分割されたボーラス投与のように長い時間をかけて、供給され得る。当該化合物は、必要であれば、例えば患者が安定した疾患であるかもしくは退縮であると感じるまで、又は患者が疾患の進行もしくは許容できない毒性を感じるまで、繰り返し投与され得る。例えば、固体腫瘍の安定した疾患は、一般的に、測定可能な病変の直交する直径が、最後の測定時から25%以上増加していないことを意味する。固形癌における反応評価基準(RECIST)ガイドライン、Journal of the National Cancer Institute 92(3): 205-216 (2000)。安定な疾患又はその欠如は、患者の症状の評価、理学的検査、X腺、CAT、PET又はMRIスキャン及び他の一般的に受容されている評価モダリティを使用して画像化された腫瘍の可視化のような、この分野で公知の方法によって決定される。
式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日1回(QD)で、又は1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)のように1日に多数回に分けて、投与され得る。加えて、投与は、連続的であり得(すなわち、連続した何日間かにおいて毎日(daily)又は毎日(every day))、例えば周期的に断続(即ち、薬物なしの残りの数日間、数週間又は数か月間を含めて)であってよい。本明細書において使用されている場合、用語「毎日」は、例えば一定期間、式Iの化合物のような治療用化合物が、毎日、1回又は2回以上投与されることを意味することが意図されている。用語「連続的に」は、式Iの化合物のような治療用化合物が、少なくとも10日乃至52週の連続した期間、毎日投与されることを意味することが意図されている。本明細書において使用されているように、用語「断続的な」又は「断続的に」は、一定間隔毎の又は不規則な間隔での停止及び開始を意味することが意図されている。例えば、式Iの化合物の断続的な投与は、1乃至6日/週の投与、周期的な投与(例えば、2乃至8週の連続的な毎日の投与と、その後の、1週間までの、投与の無い残りの期間)、又は隔日の投与である。本明細書において使用される場合、用語「循環」は、式Iの化合物のような治療用化合物が、毎日又は連続的に、しかし投与がない期間を伴って、投与されることを意味することが意図されている。
いくつかの実施態様において、投与の頻度は、およそ1日1回投与乃至及びおよそ1月1回投与の範囲内である。ある種の実施態様において、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おき、1週間に2回、1週毎、2週毎、3週毎、又は4週間毎である。一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日1回投与される。他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日2回投与される。さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日3回投与される。さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日4回投与される。
ある種の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日目から6ヶ月まで、1週から3ヶ月まで、1週から4週まで、1週から3週まで、又は1週から2週まで、1日1回投与される。ある種の実施態様において、式Iの化合物、又はその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物は、1週間、2週間、3週間、又は4週間、1日1回投与される。一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1週間、1日1回投与される。他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、2週間、1日1回投与される。さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、3週間、1日1回投与される。さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、4週間、1日1回投与される。
5.6.1 第二の活性薬剤との併用療法
式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、本明細書に記載される癌の治療及び/又は予防に有用な他の治療剤と組み合わせられ得又は組み合わせて使用され得る。
一の実施態様において、本明細書において提供されるのは、癌を治療、予防、又は管理する方法であって、患者に(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体塩を;一又は二以上の第二の活性薬剤との組み合わせで、そして任意に放射線療法、輸血、又は手術との組合せで投与することを含む方法である。第二の活性薬剤は、本明細書に開示されている(例えば、5.4節を参照されたい)。
本明細書において使用される場合、用語「組合せで」は、二以上の治療(例えば、一又は二以上の予防剤及び/又は治療剤)の使用を包含する。しかしながら、用語「組合せで」の使用は、疾患又は病気の患者に治療(例えば、予防剤及び/又は治療剤)が為されるその順番を制限しない。第一の治療(例えば、本明細書において提供されている化合物のような予防又は治療剤、例えば、本明細書において提供されている化合物、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体)が、被験者に対する第二の治療(例えば予防又は治療剤)の実施の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、 6週間、8週間、又は12週間前)に、第二の治療の実施と同時に、又は第二の治療の実施の後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、 6週間、8週間、又は12週間後)に、為され得る。三種併用治療も、本明細書において考慮されている。
式Iの化合物と一又は二以上の第二の活性薬剤との患者に対する投与は、同じ又は異なる投与経路で、同時に又は連続して生じ得る。具体的な活性薬剤のために採用される具体的な投与経路の適切性は、活性薬剤それ自体(例えば、血流に入る前に分解することなく、経口で投与され得るか否か)及び治療される癌に依存するであろう。
式Iの化合物の投与経路は、第二の治療の投与経路に依存しない。一の実施態様において、式Iの化合物は経口投与される。他の実施態様において、式Iの化合物は静脈内投与される。したがって、これらの実施態様にしたがって、式Iの化合物は経口又は静脈内投与され、そして第二の治療は、経口で、非経口で、腹腔内に、静注で、動脈内に、経皮的に、舌下で、筋肉注射で、直腸に、口腔(内頬)経由で、鼻腔内に、リポソーム製剤で、吸入剤によって、経膣的に、眼内に、カテーテル又はステントによる局所的輸送によって、皮下に、脂肪内に、関節内に、硬膜下に、又は徐放投薬形態で投与され得る。一の実施態様において、式Iの化合物及び第二の治療は、同じ投与形態で、経口又は静脈注射によって、投与される。他の実施態様において、式Iの化合物は一の投与形態、例えば静脈注射によって投与され、一方、第二の薬剤(抗癌剤)は、他の投与形態、例えば経口で投与される。
一の実施態様において、第二の活性薬剤は静脈内又は皮下投与され、1日に1回又は2回、約1乃至約1000mg、約5乃至約500mg、約10乃至約350mg、又は約50乃至約200mgの量で投与される。第二の活性薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理される疾患のタイプ、疾患の重症度又はステージ、並びに本明細書において提供される式Iの化合物の量及び患者に同時に投与される任意の追加の活性薬剤に依存するであろう。ある種の実施態様において、第二の活性薬剤は、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標))、GM-CSF、G-CSF、SCF、EPO、タキソテール、イリノテカン、デカルバジン、トランスレチノイン酸、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン, ドキソルビシン、COX-2阻害剤、IL2、IL8、IL18、IFN、Ara-C、ビノレルビン、又はそれらの組合せである。
ある種の実施態様において、GM-CSF、G-CSF、SCF又はEPOは、4又は6週サイクルにおいて約5日間、約1乃至約750mg/m2/日、約25乃至約500mg/m2/日、約50乃至約250mg/m2/日、又は約50乃至約200mg/m2/日の範囲の量で、皮下に投与される。ある種の実施態様において、GM-CSFは、約60乃至約500 mcg/m2の量で2時間にわたって静脈内に、又は、約5乃至約12mcg/m2/日の量で、皮下に投与され得る。ある種の実施態様において、G-CSFは、初めは約1mcg/kg/日の量で皮下に投与され得、そして、総顆粒球数の増加に応じて調節され得る。G-CSFの維持投与量が、約300(より低年齢の患者)又は480mcgの量で皮下に投与される。ある種の実施態様において、EPOは、週に3回、10,000単位の量で皮下に投与され得る。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、メルファラン及びデキサメタゾンと共に、アミロイド症の患者に投与される。ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、ステロイドとが、アミロイド症の患者に投与され得る。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ゲムシタビン及びシスプラチンとともに、局所進行性の又は転移性の膀胱移行上皮癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、次のような第二の活性成分との組み合わせで投与される:再発したもしくは進行性の脳腫瘍又は再発性神経芽細胞腫の小児の患者にテモゾロミド;再発した又は進行性のCNS癌にセレコキシブ、エトポシド及びシクロホスファミド;再発性又は進行性の髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発した脳腫瘍、又は新たに診断された多形性膠芽腫の患者にテモダール;再発性膠芽細胞腫の患者にイリノテカン;脳幹神経膠腫の小児の患者にカルボプラチン;進行性悪性神経膠腫の小児の患者にプロカルバジン;予後が不良な悪性脳腫瘍、新たに診断された又は再発性多形性膠芽腫の患者にシクロホスファミド;高悪性度の再発性神経膠腫にGliadel(登録商標);未分化星状細胞腫にテモゾロミド及びタモキシフェン;又は神経膠腫、膠芽神経腫、未分化星状細胞腫又は未分化希突起グリオーマにトポテカン。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、メトトレキサート、シクロホスファミド、タキサン、アブラキサン、ラパチニブ、ハーセプチン、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン調節剤、エストロゲン受容体拮抗薬、及び/又はPLX3397(プレキシコン(Plexxikon))とともに、転移性乳癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、テモゾロミドとともに、神経内分泌腫瘍の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ゲムシタビンとともに、再発性又は転移性の頭部又は頸部癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ゲムシタビンとともに、膵臓癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ARISA(登録商標)、アバスタチン(avastatin)、タキソール、及び/又はタキソテールとの組み合わせで、結腸癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カペシタビン及び/又はPLX4032(プレッキシコン(Plexxikon))とともに、癌難治性結腸直腸癌の患者、又は、結腸もしくは直腸の癌において一次治療に失敗したか又は状態がよくない患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカンとの組み合わせにおいて、デュークスC&D大腸癌の患者又は従前に転移性大腸癌の治療を受けている患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カペシタビン、ゼローダ、及び/又はCPT-11との組み合わせにおいて、難治性大腸癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カペシタビン及びイリノテカンとともに、難治性大腸癌の患者又は切除不能なもしくは転移性の大腸癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、単独で又はインターフェロンαもしくはカペシタビンとの組合せにおいて、切除不能なもしくは転移性の肝細胞癌の患者に;又は、シスプラチン及びチオテパとともに、原発性もしくは転移性の肝癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ペギ化されたインターフェロンαとの組み合わせにおいて、カポジ肉腫の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、フルダラビン、カルボプラチン、及び/又はトポテカンとの組み合わせにおいて、難治性又は再発した又は高悪性度の急性骨髄性白血病の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、リポソーム化ダウノルビシン、トポテカン及び/又はシタラビンとの組み合わせにおいて、好ましくない核型急性骨髄芽球性白血病の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ゲムシタビン、アブラキサン、エルロチニブ、ゲフチニブ、及び/又はイリノテカンとの組み合わせにおいて、非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カルボプラチン及びイリノテカンとの組み合わせにおいて、非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ドセタキソールとともに、従前に、カルボ/VP16及び放射線療法で治療された非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カルボプラチン及び/又はタキソテールとの組み合わせにおいて、又はカルボプラチン、パクリタキセル及び/又は胸部放射線療法との組み合わせにおいて、非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、タキソテールとの組み合わせにおいて、ステージIIIB又はIVの非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、オブリメルセン(Genasense(登録商標))との組み合わせにおいて、非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ABT-737(アボット・ラボラトリーズ)及び/又はオバトクラックス(GX15-070)との組み合わせにおいて、リンパ腫及び他の血液の癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、単独で又はビンブラスチンやフルダラビンのような第二の活性成分との組み合わせにおいて、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫又は再発したもしくは難治性低悪性度濾胞性リンパ腫を包含しるがこれらに限定されない、様々なタイプのリンパ腫の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、タキソテール、IL-2、IFN、GM-CSF、PLX4032(プレッキシコン(Plexxikon))及び/又はダカルバジンとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの黒色腫の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、単独で又はビノレルビンとの組み合わせにおいて、悪性中皮腫の患者、又は胸膜の移植又は悪性の胸膜浸出中皮腫症候群を伴うステージIIIBの非小細胞肺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、GM-CSF、ビアキシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、パルミドロネート、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、三酸化ヒ素、PEG INTRON-A、ビンクリスチン、又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの多発性骨髄腫の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ドキソルビシン (Doxil(登録商標))、ビンクリスチン及び/又はデキサメタゾン(Decadron(登録商標))との組み合わせにおいて、再発した又は難治性の多発性骨髄腫の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、タキソール、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、ゼローダ、パクリタキセル、デキサメタゾン、又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの、腹膜癌、乳頭漿液性癌、難治性卵巣癌又は再発性卵巣癌のような卵巣癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、ゼローダ、5 FU/LV、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM-CSF、セレコキシブ、タキソテール、ガンシクロビル、パクリタキセル、アドリアマイシン、ドセタキセル、エストラムスチン、エムシット(Emcyt)、デンデロン(denderon)又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの前立腺癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、Celebrex(登録商標)、又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの腎細胞癌の患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、カペシタビン、IFN、Celebrex(登録商標)のようなCOX-2阻害剤、及び/又はスリンダック(sulindac)との組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの婦人科の、子宮の又は軟組織の癌患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、様々なタイプ又はステージの固体腫瘍患者に投与される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、又はそれらの組合せとの組み合わせにおいて、強皮症又は皮膚血管炎の患者に投与される。
また、本明細書に包含されるのは、患者に安全且つ有効に投与され得る抗癌薬又は抗癌剤の用量を増加させる方法であって、患者(例えばヒト)に、そのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与することを含む方法である。この方法によって恩恵を得られる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、小腸、大腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸、又はそれらの組合せにおける具体的な癌の治療のために、抗癌薬に関連する副作用に罹っているらしい患者である。本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の投与は、抗癌薬の量を制限させるかもしれないような重症度である副作用を、緩和もしくは低減させる。
一の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、経口で、そして毎日、約0.1乃至約150mg、約1乃至約50mg、又は約2乃至約25mgの範囲の量で、患者への抗癌薬の投与に関連した副作用の発生の前、発生の間、又は発生の後に投与される。ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、好中球減少症又は血小板減少症のような、しかしこれらに限定されない抗癌薬に関連する副作用を避けるために、ヘパリン、アスピリン、クマディン、又はG-CSFのような具体的な薬剤との組み合わせにおいて投与される。
一の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、望ましくない血管形成に関連し又はそれによって特徴付けられている疾患及び病気にかかっている患者に、抗癌薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、及びステロイドを包含するがこれらに限定されない追加の活性成分との組合せにおいて投与される。
他の実施態様において、本明細書に包含されるのは、癌を治療、予防及び/又は管理する方法であって、手術、免疫療法、生物療法、放射線療法、又は、現在、癌を治療、予防、又は管理するために使用されている薬に基づかない他の治療を含むがこれらに限定されない従来の治療ととも(例えば、その前、その間、又はその後)に、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与することを含む方法である。本明細書において提供される化合物と従来の治療とを組み合わせた使用は、ある種の患者には予想外に有効である、優れた治療計画を提供し得る。理論によって制限されることはないが、式Iの化合物は、従来の治療とともに実施されると相加又は相乗効果を提供し得るということが信じられる。
本明細書中のどこかで議論されているように、本明細書に包含されるのは、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物療法及び免疫療法を包含するがこれらに限定されない従来の治療に関連する、副作用又は望ましくない作用を低減し、治療し及び/又は防止する方法である。本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、他の活性成分とが、従来の治療に伴う副作用の発生の前、その発生の間、又はその発生の後に、患者に投与され得る。
一の実施態様において、式Iの化合物は、約0.1乃至約150mg、約1乃至約25mg、又は約2乃至約10mgの範囲の量で、経口で且つ毎日、単独で又は本明細書に開示された第二の活性薬剤(例えば5.4節を参照されたい)との組み合わせで、従来の治療の使用の前、使用の間、又は使用の後に投与され得る。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、ドセタキソールとが、前もってカルボ/VP16及び放射線療法で治療を受けた非小細胞肺癌患者に投与される。
5.6.2 移植治療を伴う使用
本明細書において提供される式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、移植片対宿主疾患(GVHD)のリスクを低減するために使用され得る。それゆえ、本明細書に包含されるのは、癌を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、移植治療とともに、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を投与することを含む方法である。
当業者はよく知っているように、癌の治療は、しばしば、疾患のステージ及びメカニズムに基づく。例えば、癌のある種のステージにおいて、不可避の白血病性形質転換が進展するにしたがって、末梢血幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄の移植が必要となり得る。本明細書において提供される式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、移植治療との組合せ使用は、優れた且つ予期されなかった相乗効果を提供する。特に、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、癌患者において、移植治療と共に与えられると、相加又は相乗効果を提供し得る免疫調節活性を示す。
式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、移植治療との組み合わせにおいて、侵襲的移植方法と関連する合併症及びGVHDのリスクを低減するように働き得る。本明細書に包含されるのは、癌を治療、予防及び/又は管理する方法であって、臍帯血、胎盤血、末梢血幹細胞、造血幹細胞製剤又は骨髄の移植の前、その移植の間又はその移植の後に、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を患者(例えばヒト)に投与することを含む方法である。本明細書において提供される方法における使用に適する幹細胞の例は、その開示の全てが参照によって本明細書に組み込まれている、米国特許第7,498,171号に開示されている。
一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、自己末梢血前駆細胞の移植の前、その移植の間、又はその移植の後に、多発性骨髄腫の患者に投与される。
他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、幹細胞移植の後に、再発している多発性骨髄腫の患者に投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、プレドニゾンとは、多発性骨髄腫の患者に、自己幹細胞移植に続いて維持療法として投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、デキサメタゾンとは、多発性骨髄腫の患者に、低リスク移植後のサルベージ療法として投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、デキサメタゾンとは、多発性骨髄腫の患者に、自己骨髄移植に続いて維持療法として投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、高用量でのメルファランの投与及び自己幹細胞移植に続いて、化学療法反応性の多発性骨髄腫の患者に投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、PEG INTRO-Aとは、多発性骨髄腫の患者に、自己のCD34で選択された末梢幹細胞の移植に続いて維持療法として投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、新たに診断された多発性骨髄腫の患者に、抗血管形成性を評価するために、移植後地固め化学療法を伴って投与される。
さらに他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、デキサメタゾンとは、多発性骨髄腫の65才以上の患者に、高用量のメルファルランでの治療及び末梢血幹細胞の移植に続いて、DCEP地固め化学療法の後の維持療法として投与される。
一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、NHL(例えばDLBCL)の患者に、自己末梢血前駆細胞の移植の前、その移植の間、又はその移植の後に投与される。
他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、NHL(例えばDLBCL)の患者に、幹細胞移植の後に投与される。
5.6.3 周期療法
ある種の実施態様において、本明細書において提供される予防又は治療剤は、周期的に患者に投与される。周期療法は、活性薬剤のある期間における投与と、その後のある期間における停止、そしてこの順次投与の繰り返しを包含する。周期療法は、治療の一又は二以上に対する抵抗性の発現を低減することができ、副作用を避け又は低減でき、及び/又は治療の有効性を改善することができる。
その結果として、ある種の実施態様において、本明細書において提供される式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、約1週又は2週の停止期間を伴う4乃至6週周期において、1回量又は分割した量で、毎日投与される。周期方法は、さらに、投与周期の頻度、数、及び長さが増加されることを許容する。したがって、ある種の実施態様において本明細書に包含されるのは、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の、その化合物が単独で投与される場合に標準的である周期よりもより多くの周期の投与である。ある種の実施態様において、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、第二の活性成分も投与されることとはなっていない患者において標準的に用量を制限する毒性を生じさせるであろう周期数よりも、より多くの周期数で投与される。
一の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、毎日、そして3又は4週間連続して、約0.1乃至約150mg/日の用量で投与され、その後1又は2週間中断される。
他の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、第二の活性成分とは、第二の活性成分に30乃至60分先立って生じる式Iの化合物の投与を伴って、4乃至6週の周期の間、経口で投与される。ある種の実施態様において、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、第二の活性成分との組み合わせは、各周期、約90分にわたる静脈内注射によって投与される。ある種の実施態様において、一周期は、毎日の、そして3乃至4週間の、約0.1乃至約150mg/日の式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、約50乃至約200mg/m2/日の第二の活性成分の投与と、その後の1又は2週間の停止とを包含する。ある種の実施態様において、患者に組合せ治療が為される間の周期数は、約1乃至約24周期、約2乃至約16周期、又は約4乃至約3周期の範囲内である。
5.7 医薬組成物及び投薬形態
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、医薬組成物及び投薬形態であって、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を含むものである。他の実施態様において、医薬組成物及び投薬形態は、一又は二以上の賦形剤をさらに含む。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態は、一又は二以上の追加の活性成分をも含む。それゆえ、本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、第二の活性薬剤とを含む。任意の第二の、又は追加の活性成分は、本明細書に開示されている(例えば4.3節を参照されたい)。
本明細書において提供される単一単位の投薬形態は、患者に対する経口の、経粘膜の(例えば、鼻の、舌下の、腟の、頬の、又は直腸の)、非経口の(例えば、皮下の、静脈内の、ボーラス注入法、筋肉内の、又は動脈内の)、局所の(例えば、点眼薬又は他の眼科製剤)、経皮の(transdermal)、又は経皮的(transcutaneous)な投与に適している。投薬形態の例は、これらに限定されないが、錠剤;カプレット;軟ゼラチンカプセル剤のようなカプセル剤;カシェー;トローチ;薬用キャンディー;分散剤;座薬;粉末;エアロゾル(例えば、経鼻スプレー又は吸入具);ゲル;懸濁液(例えば、水性又は非水性懸濁液、水中油型乳化物、又は油中水型乳化液)、溶液及びエリキシル剤を含む、患者への経口又は経粘膜投与に適する液状の投薬形態;患者への非経口投与に適する液状の投薬形態;局所投与に適する点眼薬又は他の眼科製剤;及び患者への非経口投与に適する液状投薬形態を提供するように水で戻され得る滅菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)を包含する。
本明細書において提供される投薬形態の組成、形状及びタイプは、それらの用途に応じて多様であり得る。例えば、疾患の急性治療において使用される投薬形態は、同じ疾患の慢性治療において使用される投薬形態よりも、活性成分の一種又は二種以上をより多量に含有し得る。同様に、非経口の投薬形態は、同じ疾患の治療のために使用される経口の投薬形態よりも、活性成分の一種又は二種以上をより少量で含有し得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、 Easton PA (1990)を参照されたい。
特定の賦形剤が、本明細書において提供される医薬組成物又は投薬形態への組み込みに適するか否かは、投与経路を含むがこれらに限定されない、様々な因子に依存する。例えば、錠剤のような経口投薬形態は、非経口の投薬形態における使用には適さない賦形剤を含有し得る。特定の賦形剤の適切性は、その投与形態内における具体的な活性成分にも依存し得る。例えば、いくつかの活性成分の分解は、乳糖のようないくつかの賦形剤によって、又は水に曝露されたときに促進され得る。第一又は第二アミンを含む活性成分は、そのような促進された分解の影響を特に受けやすい。それゆえ、本明細書に包含されるのは、乳糖を、仮にあったとしても殆どない量で含有する医薬組成物及び投薬形態である。本明細書において使用されているように、用語「乳糖−フリー」は、存在する乳糖の量が、仮にあったとしても、活性成分の崩壊速度を実質的に増大させるのには不十分であることを意味する。
本明細書において提供される乳糖−フリーの組成物は、例えば米国薬局方(USP)25-NF20(2002)に掲載されている賦形剤を含有し得る。ある種の実施態様において、乳糖−フリーの組成物は、活性成分、結合剤/充填剤、及び滑沢化剤を、薬学的に混合可能であり且つ薬学的に許容され得る量で含む。ある種の実施態様において、乳糖−フリーの投薬形態は、活性成分、微晶質セルロース、まえもって糊化された澱粉、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
さらに、本明細書に包含されるのは、活性成分を含む、無水の医薬組成物及び投薬形態である。水は、いくつかの化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水の添加(例えば5%)は、保存可能期間又は経時による製剤の安定性のような特徴を決定するために、長期にわたる保存をシミュレーションするための手段として、調剤の分野において広く受け入れられている。例えば、ジェンズ・ティー・カーステンセン(Jens T. Carstensen)の文献、Drug Stability: Principles & Practice、第二版、Marcel Dekker、 NY、NY、1995、379-80頁を参照されたい。実際、水と熱はは、いくつかの化合物の分解を促進する。したがって、製造、処理、包装、貯蔵、輸送及び製剤の使用の間に、水分及び/又は湿分には一般的に遭遇するので、製剤における水の影響は大きな意義を有し得る。
本明細書において提供される無水の医薬組成物及び投薬形態は、無水又は低水分含有量の成分と、低水分又は低湿分状況を使用して調製され得る。乳糖及び第一もしくは第二アミンを含む少なくとも一種の活性成分を含有する医薬組成物及び投薬形態は、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に、水分及び/又は湿分との実質的な接触が予期されるならば、好ましくは無水である。
無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように、調製され且つ貯蔵されなければならない。つまり、ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、水への曝露を防ぐための材料を使用して包装され、それらを適切な方式のキットに組み入れることが可能とされている、無水の組成物である。適切な包装の例は、これらに限定されないが、密封されているフォイル、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスター包装、及びストリップ包装である。
本明細書に包含されるのは、活性成分が分解する速度を低減させる一又は二以上の化合物を含む、医薬組成物及び投薬形態である。そのような化合物は、本明細書において「安定化剤」として示されており、これらに限定されないが、アスコルビン酸のような抗酸化剤、pH緩衝液、又は塩緩衝液を包含する。
賦形剤の量及びタイプのように、投与形態中における活性成分の量及び具体的なタイプは、それが患者に投与されることとなっているその経路のような、しかしこれらに限定されない因子に依存して、異なり得る。ある種の実施態様において、本明細書において提供される投与形態は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、約0.10乃至約1000mg、約0.10乃至約500mg、約0.10乃至約200mg、約0.10乃至約150mg、約0.10乃至約100mg、又は約0.10乃至約50mgの範囲の量で含む。ある種の実施態様において、本明細書において提供される投与形態は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、約0.1、約1、約2、約5、約7.5、約10、約12.5、約15、約17.5、約20、約25、約50、約100、約150、又は約200mgの量で含む。
5.7.1 経口の投薬形態
ある種の実施態様において、本明細書において提供される経口投与に適する医薬組成物は、個別の投与形態として製剤化され、その例は、これらに限定されないが、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル剤、及び液体(例えば香味付けされたシロップ)を包含する。そのような投薬形態は、前もって決められた量の活性成分を含有し、且つ、いくつかの公知の調剤学の方法によって調製され得る。一般的に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、マック出版(Mack Publishing)、イーストン、ペンシルベニア州(1990)を参照されたい。
ある種の実施態様において、本明細書において提供される経口の投薬形態は、従来の調剤学の配合技術にしたがって、緊密な混合物中の活性成分を少なくとも一種の賦形剤と組み合わせることによって調製される。賦形剤は、投与のために所望される製剤の形態に応じて、多種多様の形態をとり得る。例えば、経口の液体又はエアロゾル投薬形態における使用に適する賦形剤は、これらに限定されないが、水、グリコール、油、アルコール、香味付け剤、防腐剤、及び着色剤を包含する。固体の経口投薬形態(例えば、粉末、錠剤、カプセル剤、及びカプレット)における使用に適する賦形剤の例は、これらに限定されないが、澱粉、砂糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢化剤、結合剤、及び崩壊剤を包含する。
それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投薬の単位形態を示しており、その場合、固体の賦形剤が使用される。所望であれば、錠剤は、標準的な水を含む又は水を含まない技術によって被覆され得る。そのような投薬形態は、いくつかの公知の調剤方法によって調製され得る。ある種の実施形態において、医薬組成物及び投薬形態は、活性成分を、液体の担体、微粉化した固体担体、又はその両者と均一且つ緊密に混ぜ、その後、必要であれば生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。
ある種の実施態様において、錠剤は、圧縮又は成形によって調製される。ある種の実施態様において、圧縮された錠剤は、任意に賦形剤と混合された、自由流動形状の、例えば粉末又は顆粒の活性成分を、適切な機械で圧縮することによって調製される。ある種の実施態様において、成形された錠剤は、不活性な液状希釈剤で湿らせた粉末状の化合物の混合物を、適切な機械で成形することによって製造される。
本明細書において提供される経口の投薬形態において使用され得る賦形剤の例は、これらに限定されないが、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢化剤を包含する。本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態における使用に適する結合剤は、これらに限定されないが、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、又は他の澱粉、 ゼラチン、アカシア、 アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末状トラガカント、グアーガムのような天然及び合成ゴム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチル セルロース、酢酸 セルロース、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム )、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、前もって糊化された澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、Nos. 2208, 2906, 2910)、微晶質セルロース、及びそれらの混合物を包含する。
微晶質セルロースの適切な形態は、これらに限定されないが、アビセル(AVICEL)-PH-101、アビセル-PH-103 アビセルRC-581、アビセル-PH-105(エフ・エム・シー・コーポレーション、アメリカのビスコース部、アビセル販売課、マーカスフック、ペンシルベニア州)、及びそれらの混合物を包含する。具体的な結合剤は、微晶質セルロースとカルボキシメチルセルロース・ナトリウム(例えばアビセルRC-581)との混合物である。適切な無水又は低水分量の賦形剤又は添加剤は、アビセル-PH-103(商標)及び澱粉1500LMを包含する。
本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態における使用に適する充填剤は、これらに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末化セルロース、デクストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、前もって糊化された澱粉、及びこれらの混合物を包含する。ある種の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、医薬組成物又は投薬形態の約50乃至約99重量%の量で存在する。
本明細書において提供される組成物において、水を含む環境にさらされたときに崩壊する能力を有する錠剤を提供するために、崩壊剤が使用される。過剰量の崩壊剤を含有する錠剤は、貯蔵中に崩壊し得、一方、過少量の崩壊剤を含有する錠剤は、所望の速度で又は所望の状況下で崩壊し得ないであろう。したがって、活性成分の放出に悪影響を及ぼすような過剰でも過少でもない充分な量の崩壊剤が、本明細書において提供される固体の経口投薬形態を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて多様である。ある種の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物は、約0.5乃至約15重量%又は約1乃至約5重量%の崩壊剤を含む。
本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態における使用に適する崩壊剤は、これらに限定されないが、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、他の澱粉、前もって糊化された澱粉、他の澱粉、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物を包含する。
本明細書において提供される医薬組成物及び投薬形態における使用に適する滑沢化剤は、これらに限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加された植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物を包含する。追加の滑沢化剤は、これらに限定されないが、シロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL(アエロジル)200、ダブリュー・アール・グレース・カンパニー、バルチモア、メリーランド州)、合成シリカの凝固したエアゾール(プラーノのデグッサ・カンパニー、テキサス州)、CAB-O-SIL(発熱性二酸化シリコン、ボストンのカボット・カンパニー、マサチューセッツ州)、及びそれらの混合物を包含する。ある種の実施態様において、とにかく使用されるのであれば、滑沢化剤は、それらが添加される医薬組成物又は投薬形態の約1重量%未満の量で使用される。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と;無水ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイダル無水シリカ、及びゼラチンから選択される一種又は二種以上の賦形剤とを含む、固体の経口での投薬形態である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と、無水ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイダル無水シリカ、及びゼラチンとを含む、固体の経口での投薬形態である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、式Iの化合物の塩酸塩、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と;無水ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイダル無水シリカ、及びゼラチンから選択される一種又は二種以上の賦形剤とを含む、固体の経口での投薬形態である。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるのは、式Iの化合物の塩酸塩、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体と;無水ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイダル無水シリカ、及びゼラチンを含む、固体の経口での投薬形態である。
5.7.2 遅延放出性の投薬形態
ある種の実施態様において、本明細書において提供される活性成分は、制御された放出手段又は搬送装置によって投与される。実施例は、これらに限定されないが、それぞれの全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第 3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、及び同第5,733,566号に記載されているものを包含する。ある種の実施態様において、そのような投薬形態は、様々な比率で所望の放出プロフィールを提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマー・マトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はそれらの組合せを使用して、一種又は二種以上の活性成分のゆっくりとした又は制御された放出を提供するように使用されることとなっている。本明細書に包含されるのは、制御された放出に適応される錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ、及びカプレットを包含するがこれらに限定されない、経口投与に適する単一単位の投薬形態である。
すべての制御された放出型の医薬製品は、制御されない同等品によって達成された到達点を超えた、改善された薬物治療の一般的な終着点を有する。理想的には、薬物療法における最適に設計された制御された放出型製剤の使用は、最少時間でその状態を治療又は制御するために使用される最少の薬物によって特徴付けられる。制御された放出型製剤の利点は、薬物の長時間の活性、低減された投薬頻度、及び患者の薬物服用順守の増加を包含する。加えて、制御された放出型製剤は、作用の発現時間又は薬物の血中レベルのような他の特徴に影響を与えるために使用され得、したがって、副作用(例えば悪影響)の発生に影響を与え得る。
制御された放出型の製剤の大部分は、所望の治療効果を即座に生ずるある量の薬物(活性成分)を初めに放出し、そして、このレベルの治療又は予防効果を長時間にわたって維持するために、薬物の他の量を徐々に且つ連続的に放出するように設計され得る。体内における薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は、代謝され且つ体から排出される薬物量を置換するような速度で、投薬形態から放出されなければならない。活性成分の制御された放出は、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的な状態又は化合物を包含するがこれらに限定されない様々な状態によって刺激され得る。
5.7.3 非経口の投薬形態
非経口の投薬形態は、皮下、静脈内(ボーラス注入法を含む)、筋肉内、及び動脈内を包含するがこれらに限定されない、様々な経路によって患者に投与され得る。それらの投与は、混入物質に対する患者の自然免疫能を概して回避するので、非経口の投薬形態は、好ましくは殺菌されており、又は患者への投与の前に殺菌され得る。非経口の投薬形態の例は、これらに限定されないが、注入の準備ができた溶液、薬学的に許容され得る注入用ビヒクル中での溶解又は懸濁の準備ができた乾燥製品、注入の準備ができた懸濁物、及び乳化物を包含する。
本明細書において提供される、非経口の投薬形態を提供するために使用され得るいくつかの適切なビヒクルは、これらに限定されないが、米国薬局方の注射用蒸留水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル注射液のような、しかしこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのような、しかしこれらに限定されない水混和性ビヒクル;及びトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルのような、しかしこれらに限定されない非水性ビヒクルを包含する。
本明細書において開示される活性成分の一種又は二種以上の溶解性を高める化合物もまた、本明細書において提供される非経口の投薬形態に組み込まれ得る。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体が、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体、の溶解性を高めるために使用され得る。例えば、その全体が参照によって本明細書に組み入まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
5.7.4 局所的及び経粘膜の投薬形態
本明細書において提供される局所的及び経粘膜の投薬形態は、これらに限定はされないが、スプレー、エアロゾル、溶液、乳化物、懸濁物、点眼薬もしくは他の眼科用製剤、又は当業者に公知の他の形態を包含する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版及び第18版、Mack Publishing、Easton PA (1980年及び1990年);及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第4版、Lea & Febiger、Philadelphia (1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するために適切な投薬形態は、マウスウォッシュとして又は口腔ゲルとして製剤化され得る。
本明細書に包含される、局所的及び経粘膜の投薬形態を提供するために使用され得る適切な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の物質は、所与の医薬組成物又は投薬形態が適用されるであろう特定の組織に因る。その事実を考慮して、ある種の実施態様においては、賦形剤は、これらに限定はされないが、毒性が無く且つ薬学的に許容できる溶液、乳化物又はゲルを形成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物を包含する。保湿剤(moisturizers)又は保湿剤(humectants)もまた、所望であれば医薬組成物及び投薬形態に添加され得る。そのような成分の追加の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版及び第18版、Mack Publishing、Easton PA (1980年及び1990年)に見いだされ得る。
医薬組成物又は投薬形態のpHもまた、一又は二以上の活性成分の搬送を改善するために調節され得る。同様に、溶剤担体の極性、そのイオン強度、又は等張性が、搬送を改善するために調節され得る。ステアリン酸塩又はエステルのような化合物もまた、搬送を改善するために、一又は二以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変更するように、医薬組成物又は投薬形態に添加され得る。この点において、ステアリン酸塩又はエステルは、製剤のための脂質ビヒクルとしての、乳化剤又は界面活性薬剤としての、及び搬送増進又は浸透増進剤としての、役割を果たし得る。活性成分の異なる塩、水和物又は溶媒和物が、結果として得られる組成物の性質をさらに調節するために使用され得る。
5.7.5 キット
ある種の実施態様において、本明細書において提供される活性成分は、同時に又は同じ投与経路では患者に投与されない。それゆえ、本明細書に包含されるのは、医師によって使用されるときに、患者に対する適切な量での活性成分の投与を単純化できるキットである。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるキットは、本明細書において提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体、の投薬形態を含む。ある種の実施態様において、本明細書において提供されるキットは、オブリメルセン(GENASESE(登録商標))、メルファラン、G-CSF、GM-CSF、EPO、トポテカン、デカルバジン、イリノテカン、タキソテール、IFN、COX-2阻害剤、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、IL2、IL8、IL18、Ara-C、ビノレルビン、イソトレチノイン、13シスレチノイン酸、又はその薬学的に活性な突然変異体もしくは誘導体、又はそれらの組合せのような、追加の活性成分をさらに含む。追加の活性成分の例は、これらに限定されないが、本明細書に開示されているものを包含する(例えば5.4節を参照されたい)。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるキットは、活性成分を投与するために使用される手段をさらに含む。そのような手段の例は、これらに限定されないが、注射器、点滴用袋(ドリップ・バッグ)、パッチ、及び吸入具を包含する。
ある種の実施態様において、本明細書において提供されるキットは、さらに、移植用の細胞又は血液も、一又は二以上の活性成分を投与するために使用され得る薬学的に許容され得るビヒクルをも含む。例えば、活性成分が、非経口投与のために再構成されなければならない固体の形態で提供されるならば、当該キットは、非経口投与に適切な粒子を含まない殺菌溶液を形成するためにその中に活性成分が溶解され得る、適切なビヒクルの密閉された容器を含み得る。薬学的に許容され得るビヒクルの例は、これらに限定されないが、米国薬局方の注射用蒸留水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル注射液のような、しかしこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのような、しかしこれらに限定されない水混和性ビヒクル;及びトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルのような、しかしこれらに限定されない非水性ビヒクルを包含する。
6. 実施例
本発明のある種の実施態様は、次の非限定的な例によって説明される。
6.1 3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンの調製
6.1.1 3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸メチルエステル
冷却器、温度計及び撹拌棒を備えた2Lの三つ口丸底フラスコ中において、メタノール(800mL)に3-ヒドロキシ-2-メチル安息香酸(105g、690mmolが添加され、その後メタノール(250mL)の添加が行われた。上記溶液に硫酸(10mL、180mmol)が添加された。反応混合物が、62℃にて17時間撹拌された。溶剤が真空中で除去された。室温において、残渣(200mL)に水(600mL)がゆっくりと添加され、白色の固体が形成された。氷浴中で30分間、懸濁物が撹拌され、そして濾過された。固体が水(5×250mL)で洗浄され且つ乾燥され、白色固体として3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸メチルエステルが生じた(100g、収率87%)。その化合物は、さらなる精製なしに、次の工程で使用された:LCMS MH = 167;
6.1.2 3-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-2-メチル-安息香酸メチルエステル
撹拌棒及び温度計を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(300mL)、3-ヒドロキシ-2-メチル安息香酸メチル(90g、542mmol)及びイミダゾール(92g、1,354mmol)が添加された。内部温度を15乃至19℃に20分間にわたって制御するために、上記溶液に塩化ターシャリブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS-Cl)(90g、596mmol)が分割して添加され、添加の後、内部温度は1℃未満に低下された。氷浴が除去され、反応混合物は室温において16時間撹拌された。反応混合物が氷水(500mL)に添加され、得られた溶液は二分(700mL×2)された。各部分について、酢酸エチル(700mL)での抽出がなされた。各有機層が、冷水(350mL)及び食塩水(350mL)で洗浄された。有機層が合体され、硫酸マグネシウムで乾燥された。合体された有機層が濃縮され、薄茶色の油として3-(tert -ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-2-メチル-安息香酸メチルエステルが生じた(160g、粗収率100%)。その化合物は、さらなる精製なしに、次の工程で使用された:LCMS MH = 281;
6.1.3 2-ブロモメチル-3-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-安息香酸メチルエステル
酢酸メチル(500mL)中の3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-2-メチル安息香酸メチル(78.4g、280mmol)に、室温にてN-ブロモスクシンイミド(NBS)(49.8g、280mmol)を添加したところ、オレンジ色の懸濁物が生じた。得られた反応混合物は、油浴中で40℃にて加熱され、還流下に4時間、300wtの太陽光電球によって照射された。反応混合物は冷却され、亜硫酸ナトリウム溶液(2×600mL、50%飽和濃度)、水(500mL)及び食塩水(600mL)で洗浄された。有機層が、硫酸マグネシウムで乾燥され且つ活性炭で脱色された。有機層が濃縮され、薄茶色の油として2-ブロモメチル-3-(tert -ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-安息香酸メチルエステルが生じた(96g、粗収率91%)。その化合物は、さらなる精製なしに、次の工程で使用された:LCMS M-Br = 279;
6.1.4 4-カルバモイル酪酸メチルエステル
2Lの丸底フラスコ中において、撹拌下にあるアセトニトリル(1100mL)中の2-(ブロモメチル)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)安息香酸メチル(137.5g、325mmol)の溶液に、4,5-ジアミノ-5-オキソペンタノン酸メチル・塩酸塩(70.4g、358mmol)が添加された。その懸濁物に、滴下漏斗を通じて10分間にわたってN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(119ml、683mmol)が添加され、懸濁物は室温にて1時間撹拌され、そしてその混合物は油浴中で40℃にて23時間加熱された。反応混合物は、真空下に濃縮された。残渣がエーテル(600mL)中で撹拌され、白色固体が沈殿した。混合物が濾過され、固体がエーテル(400mL)で洗浄された。濾液は、塩酸(1N、200mL)、炭酸水素ナトリウム(飽和、200mL)及び食塩水(250mL)で洗浄された。水性の酸性の層と塩基性の層とが、別々に維持された。その後、固体がさらにエーテル(250mL)で洗浄され、そして、液体は上記酸性溶液及び塩基性溶液で洗浄された。二つの有機層が合体され、真空下に濃縮され、褐色の油として4-[4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-4-カルバモイル-酪酸メチルエステルが生じた(152g、粗収率115%、H NMRで77%の純度)。その化合物は、さらなる精製なしに、次の工程で使用された:LCMS MH=407。
6.1.5 4-カルバモイル-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-酪酸メチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(500mL)及び水(55mL)中の5-アミノ-4-(4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタノン酸メチル(152 g、288mmol)の撹拌している冷たい溶液に、炭酸カリウム(19.89g、144mmol)が、5分間にわたって分割して添加された。得られた反応混合物が、室温にて40分間撹拌された。反応混合物は、氷浴中にて冷却された。その混合物に、塩酸(12M、23.99ml、288mmol)がゆっくりと添加された。添加の後、その混合物にアセトニトリル(280mL)が添加され、固体が沈殿した。混合物が室温にて10分間撹拌され、そして濾過された。固体がアセトニトリル(50mL×4)で洗浄された。濾液が高真空下で濃縮され、黄色の油(168g)が生じた。その油はアセトニトリル(600mL)に溶解され、室温で10分間撹拌された。混合物が濾過され、固体がアセトニトリル(25mL×2)で洗浄された。濾液が高真空下で濃縮され、黄色の油(169g)が生じ、これは水(1200mL)とエーテル(1000mL)との混合物に添加された。混合物が3分間撹拌され、層が分離した。水性溶液が高真空下で濃縮され、残渣はアセトニトリル(160mL)中で撹拌され、一晩の撹拌の後、白色固体が生じた。混合物が濾過され、白色固体として4-カルバモイル-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-酪酸メチルエステルが生じた(46g、収率54%)。濾液は濃縮され、残渣は、アセトニトリル(60mL)中でさらに結晶化され、白色固体としてさらなる4-カルバモイル-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-酪酸メチルエステルが生じた(11.7g、収率14%)。濾液が濃縮され、残渣がISCOクロマトグラフィーで精製され、白色固体としてさらなる4-カルバモイル-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-酪酸メチルエステルが生じた(13.2g、収率15%)。得られた全生成物は、収率83%で70.9gであった:LCMS MH = 293;
6.1.6 3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
工程1: テトラヒドロフラン(THF)(60mL)中の3-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(2.5g、8.56mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(1.6mmol/gでポリマーに担持されている、12g、18.8mmol)が添加された。混合物は、室温にて15分間撹拌された。0℃にてアゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.96mL、18.8mmol)が添加され、混合物は0℃にて30分間撹拌された。0℃にて(4-モルフォリン-4-イルメチル-フェニル)-メタノール(2.62g、12.4mmol)が添加され、混合物は室温まで温められ、室温で一晩撹拌された。反応混合物は濾過され、そして濾液は濃縮された。結果として生じた油は、シリカゲルカラムで、塩化メチレンとメタノールで溶出(グラディエント、生成物は、6%メタノールで溶出した)することによって精製され、4-カルバモイル-4-[4-(4-モルフォリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-酪酸メチルエステルが生じた(2.2g、収率54%)。その生成物は、さらなる精製なしに、次の工程で使用された。
工程2: 4-カルバモイル-4-[4-(4-モルフォリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-酪酸メチルエステル(2.2g、4.57mmol)のテトラヒドロフラン溶液(50mL)に、0℃にてカリウムtert-ブトキシド(0.51g、4.57mmol)が添加された。混合物は、0℃にて10分間撹拌され、1規定の塩酸(5mL、5mmol)で、その後飽和炭酸水素ナトリウム(25mL)で急冷された。混合物が酢酸エチル(2×50mL)で抽出された。有機層が水(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして濃縮された。結果として得られた固体に酢酸エチル(10mL)が添加され、その後撹拌下にヘキサン(10mL)が添加された。懸濁物が濾過され、白色固体として3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンが生じた(1.5g、収率73%)。HPLC: Waters Symmetry C
18、5μm、3.9×150mm、1mL/分、240nm、グラディエントは5分で95/5アセトニトリル/0.1%リン酸まで:t
R=4.78分(97.5%);融点:210-212℃;
C
25H
27N
3O
5 についての分析計算値+ 0.86 H
2O: C, 64.58; H, 6.23; N, 9.04; 実測値: C, 64.77; H, 6.24; N, 8.88.
3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンから、キラル分離により、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン及び(R)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンが調製された。
6.2 アッセイ
6.2.1 T細胞によるサイトカイン産生
RosetteSep(登録商標)T細胞富化カクテルを使用して、T細胞が、陰性選択によってバフィー・コートから単離された。製造者の手順が、それ相応に実施された。96ウェルプレートの全てが、100μlの1×PBS(リン酸緩衝食塩水)中の3μg/mlの抗ヒトCD3抗体で、37℃にて4時間、プレコートされた。プレートは、T細胞アッセイの前に、RPMI-1640完全培地で3回洗浄された。その後、T細胞が、180μlのRPMI-1640完全培地中、2.5×105細胞/ウェルの密度で、CD3でプレコートされたプレートに蒔かれた。細胞は、10、 1、0.1、0.01、0.001、0.0001及び0.00001μMにおいて、20μlの10×で増量された化合物で処理された。最終的なジメチルスルホキシド(DMSO)の濃度は、0.25%であった。プレートは、37℃、5%CO2にて48時間インキュベートされた。48時間後、上清が採取され、次のサイトカイン/ケモカインが、マルチプレックス・サイトメトリック・ビーズ・アレイ(multi-plex cytomteric bead array)(CBA)アッセイによって試験された:IL-2、IL-3、IL-5、IL-10、IL-13、IL-15、IL-17a、GM-CSF、G-SCF、IFN-γ、TNF-α及び RANTES。CBAプレートは、Luminex IS100器具で解析された。各ドナーからのデータは、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)5.0ソフトウェアを使用してグラフ化され、平均pg/mL±標準誤差及びDMSOの対照の百分率±標準誤差として表された。
比較的低い濃度(0.01nM乃至1nM)の化合物Iは、刺激されたヒトT細胞において、IL-2、IL-3、IL-5、IL-10、IL-13、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α及びRANTES(10nM)を増大させた(図1及び図2)。大部分のサイトカイン及びケモカインの産生増大は、1乃至10nMの化合物Iにピークがあり、そして、そのレベルにとどまったか、又は、濃度が高まるにつれて徐々に低下した。1nMにおいて、化合物Iは、IL-2、IL-13、及びGM-CSFの産生を、それぞれ、対照細胞のそれらの7倍、5倍、及び3倍のレベルに高めた。10nMにおいて、化合物Iは、IL-2、IL-13、及びGM-CSFの産生を、それぞれ、対照細胞のそれらの22倍、6.5倍、及び6倍のレベルに高めた。化合物Iは、IL-10の産生を、濃度0.1nM及び1nMでは約1.5乃至3.5倍に高めたが、10nM以上では、IL-10の産生を阻害した。化合物Iは、IL-5の産生を、対照細胞のその産生を超えて6倍に高めたが、しかし、濃度が1nMのときのみであり;10nMでは、IL-5は2倍以下に高められた。化合物Iは、10nM乃至10μMの範囲の濃度において、RANTES産生を、対照細胞のその産生を超えて2乃至3倍に高めた。化合物Iは、1nM乃至10μMの範囲の濃度において、TNF-α及びIFN-γの産生を、2乃至3倍に高めた。
低濃度の化合物I-Rも、刺激されたヒトT細胞において、サイトカイン及びケモカインの産生を高めた。化合物I-Rの1nMまで低い濃度は、刺激されたヒトT細胞において、IL-2、IL-3、IL-5、IL-10、IL-13、GM-CSF、IFN-γ、RANTES及びTNF-αを増大させた(図3及び図4)。10nMにおいて、化合物I-Rは、IL-2、IL-13、及びGM-CSFの産生を、それぞれ、対照細胞のそれらの15倍、7倍、及び6倍に高めた。化合物I-Rは、IL-10の産生を、0.01乃至1nM濃度では約6倍に高めたが、10nM超では、IL-10の産生を阻害した。化合物I-Rは、IL-5の産生を、1乃至100nMの範囲の濃度では対照細胞のそれの2.5倍まで高めた。しかし、化合物I-Rは、1nMにおいて、化合物I-Sで見られた6倍の高まりを示さなかった。IL-5の産生増大パターン及びことによるとIFN-γ産生の増大のより低い程度を除いて、化合物I-Rによって表されたサイトカイン及びケモカインの増大プロフィールは、産生増大の大きさ及び増大が生じた濃度範囲に関して、化合物Iのそれらの増大プロフィールに似ていた。
低濃度の化合物I-Sも、刺激されたヒトT細胞において、サイトカイン及びケモカインの産生を高め、化合物I-Sによって表されたサイトカイン及びケモカインの増大プロフィールは、産生増大の大きさ及び増大が生じた濃度範囲に関して、化合物Iのそれに似ていた。化合物I-Sの1nMまで低い濃度は、刺激されたヒトT細胞において、IL-2、IL-3、IL-5、IL-10、IL-13、GM-CSF、IFN-γ、RANTES及びTNF-αを増大させた(図5及び図6)。10nM濃度において、化合物I-Sは、IL-2、IL-13、及びGM-CSFの産生を、それぞれ、対照細胞のそれらを超えて18倍、7倍、及び5倍に増大させた。化合物I-Sは、IL-10の産生を、0.1及び1nM濃度では約2乃至3倍に高めたが、10nM超では、IL-10の産生を阻害した。化合物Iに見られるように、化合物I-SによるIL-5産生の高まりは、1nMにピークがあった。一の実施態様において、化合物I-Sは、ポマリドミドでは10nMであることと比べて、およそ0.29nMの50%効果濃度(EC50)で、T細胞によるIL-2産生を共刺激した。
6.2.2 ヒト末梢血単核細胞中のサイトカインのプロファイリング
ヒトバフィー・コート50mlを、2本の50mlの円錐管に25mlずつに等分して入れ、そして、各円錐管に、25mlの殺菌されたハンクス平衡塩液(HBSS)が添加された。それらの管は、穏やかに反転混合された。15mlの室温のフィコール−パクー プラス(Ficoll-Paque Plus)(ジー・イー・ヘルスケア(GE Healthcare)(場所);カタログ番号17-1440-02)が、50mlの円錐管に等分して入れられた。その後、25mlのバフィー・コート/HBSS混合物が、フィコールの頂上に、穏やか且つゆっくりと積層された。試料が、450rpmにて35分間、遠心分離された。最上部の層が含有している血漿が、ピペットで吸われて捨てられた。単核細胞を含有する界面は、2本の50mlの円錐管に移された。両方の円錐管は、HBSSで総容量50mlで満たされ、そして、1200rpmで10分間、遠心分離された。細胞は、HBSS中で再度洗浄され、そして、1000rpmで10分間、高速回転された。細胞ペレットは、20mlのRPMI完全培地(RPMI/5%ヒト血清/1×ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン(RPMI/5%human sera/1xpen/strep/glut))で再懸濁され且つ計数された。
100μl(2×106/ml)のヒト末梢血単核細胞(hPBMCs)が、96ウェル平底プレートの各ウェルに添加され(最終細胞数=2×105/ウェル)、37℃で1時間インキュベートされた。各試験ウェルに20μl(10×)の化合物が添加され、20μlの培地含有2.5%ジメチルスルホキシド(DMSO)が、各対照ウェルに添加され([DMSO]最終=0.25%)、そして、プレートは37℃で1時間インキュベートされた。その後、細胞は、80μlの2.5ng/mlのリポ多糖(LPS)で刺激され([LPS]最終=1ng/ml)、37℃で18時間インキュベートされた。各ウェルから50μlの上清が3枚の新しい丸底96ウェルプレートに移され、ルミネックス解析のために-20℃にて保存された。各試料について、二つのウェルで実施された。
ルミネックスIS100装置を使用し、製造者の指示書(ミリポア(Millipore)、ビルリカ、マサチューセッツ州01821)に従って、上清試料について多重形式でサイトカインが解析された。IL-12及びGM-CSFの解析は、二つの構成部分を有する(two-plex)形式で、希釈されていない上清を使用して行われ、一方、すべての他のサイトカインは、1:20に希釈された上清を使用して、多数の構成部分を有する(multiplex)形式で行われた。データ解析は、アップステート・ビードビュー(Upstate Beadview)ソフトウェアを使用して実施された。非線形回帰、S状用量−反応を使用し、頂点を100%そして最低の部分を0%とし、可変勾配を許容して、50%阻害濃度(IC50)が算出された。50%効果濃度(EC50)は、246.9%に等しいS状曲線の上方拘束であって、10μMのポラリドミド(対照)によって産生された平均IL-10増大を表しているものと、100%への下方拘束に基づいていた。IC50は、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism) v5.00を使用して実施された。データの値は、n(二つ一組での実験の数)の平均±SEM(平均の標準誤差)を示している。
化合物Iは、(有効性の順で)IL-1β (IC50=0.00085μM)>TNF-α(IC50=0.0018)>MDC(IC50=0.0026μM)>GM-CSF(IC50=0.0092μM)>IL-6(IC50=0.01μM)>MIP-1α(IC50=0.19μM)>IL-8(IC50>10μM)の産生を阻害した。化合物Iは、10μMを超えるIC50値で、MIP-1βの産生にほとんど影響を与えなかった(図7A及び表1)。化合物Iは、0.1μMの濃度で、IL-10、MCP-1、及びRANTESの産生を、それぞれ対照の値の平均の百分率372%、208%、及び153%で高めた(図7B及び表2)。
化合物I-Rは、(有効性の順で)IL-1β(IC50=0.0062μM)>TNF-α(IC50=0.0095μM)>MDC(IC50=0.012μM)>GM-CSF(IC50=0.039μM)>IL-6(IC50=0.083μM)>MIP-1α(IC50=0.045μM)>MIP-1β(IC50>10μM)の産生を阻害した。化合物I-Rはまた、10μMを超えるIC50値で、IL-8産生に穏やかな阻害効果を示した(図8A及び表1)。化合物I-Rは、0.1μMの濃度で、IL-10、MCP-1、及びRANTESの産生を、それぞれ対照の値の平均の百分率442%、223%、及び151%で高めた(図8B及び表2)。
化合物I-Sは、(有効性の順で)IL-1β(IC
50=0.00046μM)>TNF-α(IC
50=0.00059μM)>MDC(IC
50=0.0021μM)>GM-CSF(IC
50=0.0022μM)>IL-6(IC
50=0.0038μM)>MIP-1α(IC
50=0.028μM)>MIP-1β(IC
50>10μM)の産生を阻害した。化合物I-Sはまた、10μMを超えるIC
50値で、IL-8産生に穏やかな阻害効果を示した(図9A及び表1)。化合物I-Sは、0.1μMの濃度で、IL-10、MCP-1、及びRANTESの産生を、それぞれ対照の値の平均の百分率379%、233%、及び153%で高めた(図9B及び表2)。
表1. 試験化合物のサイトカイン阻害プロファイルのまとめ
表2. 試験化合物のサイトカイン・プロファイルのまとめ
6.2.3 ナチュラル・キラー(NK)細胞のIFN-γ産生及び抗体依存性細胞毒性(ADCC)
健康なドナーからのNK細胞が、フィコール−ハイパク(Ficoll-Hypaque)(フィッシャー・サイエンティフィック有限責任会社(Fisher Scientific Co LLC)、ペンシルベニア)密度勾配遠心分離法の前に、ロゼッテセップ(RosetteSep)NK細胞富化カクテル(ステム・セル・テクノロジーズ(Stem Cell Technologies)、バンクーバー、ブリティッシュ・コロンビア州)を使用して、製造者の指示書に従って、陰性選択によってバフィー・コート血液から単離された。CD56+NK細胞が、フローサイトメトリー(ビー・ディー・バイオサイエンセス(BD Biosciences)、カリフォルニア州)で測定して、約85%の純度で単離された。
NK免疫グロブリンG誘導インターフェロンγ(IFN-γ)アッセイ: 96穴平底プレートが、100μg/mLのヒトIgG(シグマ)で、一晩、4℃にて被覆された。次の日、結合しなかったIgGは、冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×)で洗い流された。その後、IgGで被覆された96穴プレートに、180μLのRPMI-1640培地中において、2×105細胞/ウェルでNK細胞が蒔かれ、そして、10ng/mLの組換えヒトIL-2(アール・アンド・ディー・システムズ(R & D Systems)、ミネソタ州)が添加された。20μL容量のDMSO中において、試験化合物が添加された。試験化合物の終濃度は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、又は10μMであった。DMSOの終濃度は0.25%であった。48時間後、上清が採取され、IFN-γ産生についてELISAで解析された。
固定されたIgG及び組換えヒトIL-2刺激に反応してNK細胞IFN-γ産生を増大させる試験化合物を決定するために使用したデータは、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)v5.0ソフトウェアを使用し、各ドナーについて解析された。データは、二つの方法、(1)IFN-γが産生されたならば絶対量として(pg/mL±標準誤差)及び(2)1μMのポマリドミドの存在において産生されたIFN-γの量の百分率として、提供される。EC50は、最大生産量が1μMのポマリドミドの存在において産生されたIFN-γの量として定義された場合の、最大半量のIFN-γ産生を提供する試験化合物の濃度である。EC50値は、非線形回帰、S状用量−反応を使用し、頂点を100%そして最低の部分を0%とし、可変勾配を許容して、算出された。
ADCCアッセイ: 精製されたNK細胞(5×104)は、100μLの、フェノール(インビトロジェン(Invitrogen))無しでヒトアルブミン加血清(human AB+ serum)(ジェミニ・バイオ・プロダクツ(Gemini Bio Products)、カリフォルニア州)を2%で添加したRPMI-1640培地中で、96穴U底プレートに蒔かれ、そして、10ng/mLの組換えヒトIL-2及びリツキシマブ(5μg/mL)+0.01乃至10μMの異なる濃度の試験化合物で、48時間処理された。様々なリンパ腫細胞株(GCB-DLBCL:WSU-DLCL2及びファレージ(Farage);濾胞性リンパ腫:DoHH2;ABC-DLBCL:リーバ(Riva);バーキットリンパ腫[BL]:ラジ(Raji))が、5μg/mLのリツキシマブで、37℃で30分間処理された。結合しなかったリツキシマブは洗い流され、前もって処理されたエフェクター細胞(NK細胞)に、標的細胞(5×103/100μL/ウェル)が10:1の比率で添加され、そして、その二者は、37℃にて4時間、共インキュベートされた。NK細胞+腫瘍細胞からなる対照条件は、(1)培地のみ、(2)リツキシマブのみ、又は(3)IL-2のみで処理された。50μLの上清のアリコート(1/等分)を用い、腫瘍細胞に対するNK細胞の細胞毒性が、ADCCを測定するための標準的乳酸脱水素酵素(LDH)放出アッセイ(サイトトックス(CytoTox)96非放射性細胞毒性アッセイ、プロメガ(Promega)、ウィスコンシン州)を使用して解析された。1%トリトンX-100で溶解された標的細胞を使用して測定したところ、標的細胞単独による自然放出は、最大放出の15%未満であった。実験的放出は、対応する希釈度において、エフェクター細胞の自然放出を差し引くことによって修正された。特異的溶解の百分率は、次の式に従って算出された:特異的溶解%=100×(実験的−エフェクター自然発生−標的自然発生)/(標的最大値−標的自然発生)。
NK細胞が介在した特異的溶解は、次の式を用いて算出された:特異的溶解%=[(実験的放出−自然放出)/(最大放出−自然放出)]×100。結果は、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism) v5.0ソフトウェアを使用して解析された。データは、DMSOで処理された細胞と比較して、細胞毒性の百分率として示されている。
NK細胞IFN-γ産生のIgGが介在した誘導を高める化合物I、I-R及びI-Sの能力は、同時に決定された。合計で7人のNK細胞ドナーが、この実験に含められ、そして、その結果は図10(産生されたIFN-γのpg/mL量を表した)及び図11(ポマリドミドが1μMで存在するときに産生されたIFN-γと比較して、増大したIFN-γ産生の百分率として表した)に示されている。すべての化合物が、固定されたIgGとIL-2の刺激に反応して、用量に依存する方式で、NK細胞IFN-γ産生を高める。化合物Iは、ポマリドミドの示すパターンと同様のパターンで、IFN-γ産生を誘導した。化合物I-S及びI-Rは、化合物Iよりも少しばかり活性が強かった。
いくつかのリンパ腫細胞株に対する、リツキシマブに介在されたADCCの増大における化合物I、I-R及びI-Sの免疫調節活性が、各細胞株において、同時に測定された。合計で15人のNK細胞ドナーが含められ(各細胞株についてNK細胞の3人のドナー)、そして、その結果(図12)は、すべての化合物が、すべての細胞株において、用量依存的にNK細胞に介在されたADCCを誘導したことを示した。GCB-DLBCL細胞株(WSU-DLCL2及びファレージ(Farage))において、化合物Iによって示された活性は、ポマリドミドによって示されたものと同等であった。化合物Iのピーク活性は、WSU-DLCL2では0.1μMであり、しかし、ファレージ細胞では1μMであった。WSU-DLCL2細胞では、化合物I-Rは、化合物I-Sよりも活性が低かった。濾胞性リンパ腫細胞株(DoHH2)では、化合物Iは、化合物I-S及びI-Rよりも活性が低かった。ABC-DLBCL細胞株(リーバ(Riva))では、化合物Iは、化合物I-S及びI-Rよりも活性が低かった。化合物I-Rは、化合物I-Sよりも活性が低かった。BL細胞株(ラジ(Raji))では、化合物Iは、化合物I-S及びI-Rよりも活性が高かった。化合物Iのピーク活性は、0.1μMであった。化合物I-Rは、ラジ細胞において、化合物I-Sよりも活性が高かった。化合物Iのピーク活性は、WSU-DLCL2及びラジ細胞株においては0.1μMであったが、他の細胞株においては1μMであった。一般的に、化合物Iは、リーバ細胞を除く試験されたすべての細胞株において、化合物I-S及びI-Rよりも活性が高かった。化合物I-Rは、WSU-DLCL2及びリーバ細胞においては化合物I-Sよりも活性が低かったが、他の細胞株においてはそうではなかった。
6.2.4 ヒト血管内皮細胞の増殖、管形成、遊走、及び浸潤のアッセイ
ヒト臍帯血管内皮細胞の増殖アッセイ: 全ての増殖アッセイのために、ヒト臍帯血管内皮細胞が解凍され、EGM2培地中で、3乃至6代の継代まで増殖された。ヒト臍帯血管内皮細胞は、トリプシン処理がなされ、20%FBS/M199培地で洗浄され、そして、同じ培地を使用して、96穴細胞培養プレートに104細胞/100μL/ウェルで蒔かれた。そのプレートは、細胞を接着させるため、37℃にて一晩インキュベートされた。その後、その細胞は、1%FBS/M199培地で3回洗浄された後に、1%FBS/M199培地中で18時間、飢餓状態とされた。HUVEC増殖アッセイにおける成長因子の濃度の最適化のために、100μL/ウェルの、100ng/mLから開始して段階希釈された成長因子の組二つ(2×)が、二つ一組で、37℃にて72時間、加湿されCO2濃度が5%の細胞培養インキュベーター中でHUVECに添加された。試験化合物の解析のために、0.4%DMSO/1%FBS/M199培地中での試験化合物の段階希釈が、その培地の10mMのストックから、二つ一組でなされた。50μL/ウェルの段階的に希釈された試験化合物(10、1.0、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001μM)が、37℃にて1乃至2時間、細胞に添加された。細胞中のDMSOの終濃度は、0.1%であった。その後、相対的な成長因子の終濃度のもの(4×)50μLが、二つ一組で、37℃にて72時間、加湿されCO2濃度が5%の細胞培養インキュベーター中で各ウェルに添加された。20μLの培地中、1μCiの3H-チミジン(アマシャム(Amersham))を各ウェルに添加し、37℃にて5〜6時間、加湿されCO2濃度が5%の細胞培養インキュベーター中でインキュベートして、チミジン取込みが測定された。その後、細胞はトリプシン処理され、細胞採取器(トムテック(Tomtec))を使用してユニフィルター(UniFilter)GF/Cフィルター・プレート(パーキンエルマー(Perkin Elmer))上に採取された。そのプレートが風乾された後、そのプレートに20μL/ウェルのミクロシント(Microscint)20(パッカード(Packard))が添加され、その後、プレートはトップカウント(TopCount)NXT(パッカード(Packard))中で解析された。各ウェルについて、1分間カウントされた。実験は、3人のドナーのそれぞれについて、二つ一組で行われた。
ヒト臍帯血管内皮細胞の管形成アッセイ: 成長因子誘導HUVEC管形成アッセイにおいて、化合物が試験された。管形成プレートは、マトリゲルを重合させるために、37℃にて30分間インキュベートされた。HUVECは、0.1%BSAを含む基礎EBM2培地で3回洗浄された後、0.1%BSAを含む基礎EBM2培地中で、5時間飢餓状態とされた。細胞はトリプシン処理され且つ遠心分離された。その後、25μLの段階希釈された化合物の組(10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001μM)(4×)が、マトリゲルで被覆された管形成プレートに、二つ一組で、50μLの2×104細胞/ウェルと共に添加された。50μLのVEGF(4×;終濃度=25 ng/mL)又はbFGF (終濃度=10ng/mL)がそのプレートに添加された。その後、細胞は、37℃にて一晩(約18時間)、加湿されたインキュベーター中でインキュベートされた。小管ウェブは、2%FBS/HBSS中、4μg/μLのカルセインAMで30分間染色され、蛍光顕微鏡検査法で、画像が撮影された。小管は、管面積と管長さについて、メタモルフ(MetaMorph)管形成ソフトウェア・プログラムで定量化された。
ヒト臍帯血管内皮細胞の浸潤アッセイ: HUVEC浸潤アッセイにおいて、膜に付着し且つ挿入プレートの下方の室において、血管新生刺激(例えば、VEGF、bFGF、又はHGF)に反応して自由遊走させるため、接着性細胞に適切なタンパク質構造を提供するように、ヒト・フィブロネクチンの濃度が最適化された。HUVECは、0.1%BSAEBM2培地で3回洗浄された後に、0.1%BSAEBM2培地中で6時間、飢餓状態とされた。その後、細胞はトリプシン処理され、そして残りのトリプシンを除去するために遠心分離された。その後、125μL/ウェル中、約0.5乃至1×106細胞と、125μLの段階希釈された化合物の組(10、1、0.1、0.01、0.001μM)(8×)が、ビー・ディー・ファルコン(BD Falcon) 24穴及び96穴挿入プレート(insert plate)の上方の室に、二つ一組で添加され、約1乃至2時間、インキュベートされた。(当該プレートは、ヒト・フィブロネクチンで均一に被覆されている、蛍光遮断、ポリエチレンテレフタレート微多孔膜[3.0μmの細孔径]を含む。)その後、VEGF(25ng/mLの終濃度)、bFGF(10ng/mLの終濃度)又はHGF(25ng/mLの終濃度)の1.33×ストック溶液750μLが、下方の室に添加された。細胞は、37℃にて22 ±1時間インキュベートされた。遊走した細胞は、24穴プレートにおいては500μL/ウェル、96穴プレートにおいては200μL/ウェルを使用して、2%FBSを含むHBSS中、4μg/mLのカルセインAMで染色された。そのプレートは、37℃で90分間インキュベートされ、蛍光プレート・リーダーで読み取りがなされた。
細胞増殖、管形成、遊走、及び浸潤の阻害百分率は、試験試料の結果から、刺激されていなDMSOの対照の結果を差し引いて、すべての反復を平均化し、そして成長因子で刺激されたDMSO対照(0%阻害)を正規化して、算出された。IC50値は、グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)5.0を使用して算出された。
ヒト臍帯血管内皮細胞の増殖アッセイの結果: 成長因子最適化研究から得られた結果は、増殖誘導のためのVEGF、bFGF、及びHGFの最適濃度は、それぞれ25、10、及び25ng/mLであることを示していた。試験化合物は、最適化された成長因子濃度で試験され、結果は、化合物I、I-R及びI-Sが、VEGF、bFGF、又はHGFで誘導されたHUVECの増殖を阻害しないことを示していた(図13)。しかしながら、化合物I-Sによる、VEGF及びHGFで処理されたHUVECにおいて観察された増殖の著しい高まりがあった(VEGF処理:1乃至10μM;HGF処理:0.1乃至1μM)。また、化合物I(0.01乃至1μM)及び化合物I-R(0.1乃至1μM)による、bFGFで処理されたHUVECにおいて観察された著しい高まりがあった。IC
50値は、表3にまとめてある。
表3. 成長因子誘導ヒト臍帯血管内皮細胞増殖研究からのIC
50値のまとめ
ヒト臍帯血管内皮細胞の管形成アッセイの結果: 化合物I、I-R及びI-Sは、管長さ及び管面積の両者に関して、VEGFが誘導するHUVEC管形成を阻害する方向に向かっているという傾向を示した(図14)。すべての化合物は、VEGFが誘導するHUVEC管形成に、用量依存的な効果を示した。化合物I-Rは、10μMにおいて、管面積及び長さに著しい阻害を示した(対刺激されたDMSO対照でp<0.05)。また、効果は、VEGFが誘導するHUVEC管形成における効果よりもより少なく述べられたが、それらの化合物には、管長さ及び管面積の両者に関して、bFGFが誘導するHUVEC管形成を阻害するような傾向もあった(図14)。
ヒト臍帯血管内皮細胞の浸潤アッセイの結果: 化合物I、I-R及びI-Sは、VEGF、bFGF、及びHGFで誘導されたHUVEC浸潤を、用量依存的な形式で、著しく阻害した(図15)。それらの化合物は、HGFで誘導されたHUVEC浸潤に対する場合よりも、VEGF及びbFGFで誘導されたHUVEC浸潤に対し、より有効であった(表4)。IC
50値は、化合物I、I-R及びI-SによるVEGFで誘導されたHUVEC浸潤の阻害について、0.3nM未満であった。化合物I(0.4nM)及びI-S(0.1nM未満)のIC
50は、化合物I-Rの効能(13nM)の10倍超であった(表4)。
表4. 成長因子誘導ヒト臍帯血管内皮細胞浸潤における試験化合物の影響のまとめ
6.2.5 細胞サイクル、アポトーシス、及び抗増殖アッセイ
細胞サイクル解析: 細胞は、DMSO又は本明細書において提供されるある化合物のある量で、48時間処理された。サイクルテスト・プラス(CycleTEST PLUS)(べクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))を使用して、製造者のプロトコルに従って、細胞サイクルのヨウ化プロピディウム(propidium iodide)染色が行われた。染色に続いて、モドフィット・エル・ティー(ModFit LT)ソフトウェア(べクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)))を使用して、ファクスキャリバー(FACSCalibur)フローサイトメーターにより、細胞が解析された。
アポトーシス解析: 細胞は、DMSO又は本明細書において提供されるある化合物のある量で、様々な時点で処理され、その後アネキシンン・ブイ(annexin-V)洗浄緩衝液(ビー・ディー・バイオサイエンセス(BD Biosciences))で洗浄された。細胞は、アネキシンン・ブイ(annexin-V)結合タンパク質及びヨウ化プロピディウム(propidium iodide) (ビー・ディー・バイオサイエンセス(BD Biosciences))とともに、10分間インキュベートされた。試料は、フローサイトメトリーを使用して解析された。
化合物Iは、DoHH2細胞株において、アポトーシス及びそれに付随する細胞数の減少を誘導した。化合物Iは、DoHH2細胞株において、アポトーシスを誘導し且つ生細胞の数を低減するために、リツキサンと相加的に組み合わされた。
化合物I-Sは、DoHH2及びWSU-DLCL2細胞株において、G1停止を誘導した。化合物I-S及びリツキサンは、3日間の3H-チミジン取込みアッセイで試験された。化合物I-Sは、Rec-1 MCL細胞において0.027μMのIC50で、DoHH2 FL細胞において0.04μMのIC50で、そしてFarage DLBCL細胞において0.28μMのIC50で、強い抗増殖活性を示した。そのデータは、フラクショナル・プロダクト法で計算されるように、DoHH2 FL細胞において化合物I-Sはリツキサンと相乗的に組み合わさり;フラクショナル・プロダクト法で計算されるように、Farage DLBCL細胞において化合物I-Sはリツキサンと相加的乃至相乗的に組み合わさり、そして、フラクショナル・プロダクト法で計算されるように、Rec-1 MCL細胞において化合物I-Sはリツキサンと相加的に組み合わされたことを示した(図16)。
6.2.6 イン・ビトロでのDLBCL細胞のチミジン取込みアッセイ
様々な細胞遺伝学的特徴のDLBCL細胞株のパネルが、化合物I及びI-Sの抗増殖活性に対する感受性について試験された(図17)。細胞は、試験された化合物で、37℃にて5日間処理され;細胞の増殖は、
3H-チミジン取込み法によって測定された。0.1乃至1μMでスタートした両方の化合物が、DLBCL細胞のいくつかの株、特に、リーバ(Riva)、U2932、TMD8、OCI-Ly3及びOCI-Ly10細胞のようなABCサブタイプ細胞、の増殖を著しく阻害した。ABCサブタイプ細胞は、GCB-DLBCL及びPMBLを含む他のサブタイプ細胞と比べて、抗増殖効果に対してより感受性が強いように見える。化合物I-SのIC
50値は、表5にまとめられている。
表5. 第二のアッセイにおける化合物I-Sの抗増殖活性
6.2.7 レブリミドに抵抗性の細胞株
レブリミドに抵抗性の細胞株が、次のように調製された: NCI-H929細胞は、1μMのレブリミドを含む培養液中で、2か月間維持され、その後、次の3.5か月で、レブリミドが10μMまで高められた(登録R1-10、R2-10、R3-10、及びR4-10、)。
レブリミドに抵抗性の又は感受性の細胞株が、試験化合物で5日間処理され、その後、細胞増殖と生存能力が、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)染色によって評価された。レブリミドに抵抗性の細胞株に対する化合物I-Sの活性は、表6にまとめられている。データは、化合物I-Sがレブリミドに抵抗性の細胞株に対して活性であることを示した。一の実施態様において、細胞サイクル(S相)の50%の低減が、化合物I-SでのH929細胞の処理の24時間後に観察された。他の実施態様においては、48時間において、化合物I-Sは、スルビビン及び網膜芽細胞腫タンパク質(pRB)の発現を低減させ、且つ、シクリン依存性キナーゼ阻害剤p27の発現を増加させた。
表6. レブリミド抵抗性細胞株に対する化合物I-Sの活性
6.2.8 巨核球コロニー形成アッセイ
コロニー形成アッセイは、化合物/IL-3/IL-6/Tpoを伴う半固体コラーゲン・マトリックス中で処理された正常ヒト骨髄を使用して、14乃至16日間実施され、その結果は、表7にまとめられている。データは、化合物I-Sが、巨核球前駆細胞を阻害したことを示した。
表7. 巨核球コロニー形成アッセイで観察された阻害
6.2.9 DLBCL細胞におけるNFκB活性の阻害効果
DLBCL細胞が、試験化合物又はIKK1/2二重阻害剤(正の阻害剤対照として使用された)で2日間処理された。NFκB活性が、細胞からの核抽出物を用い、その後に処理を行って、アクティブ・モティーフ(Active Motif)の転写因子アッセイで試験された。式Iのラセミ化合物は、NFκBp65及びp50活性を、1μM及び10μM濃度で著しく阻害した。式Iのラセミ化合物は、TMD8及びOCI-Ly10細胞のようなABCサブタイプのいくつかのDLBCL株において、NFκB活性を阻害することが見出されていた。これらの結果は、NFκBシグナル変換における効果が、ABC-DLBCL細胞に対する式Iの化合物の抗増殖活性に包含され得るかもしれないこと、及び、ベースラインのNFκB活性は、その化合物を用いた治療に対するリンパ腫腫瘍の反応の予測バイオマーカーであることができることを示唆している。
6.2.10 追加の血管形成阻害アッセイ
化合物I、I-R、及びI-Sが、様々な血管形成阻害アッセイにおいて試験された。化合物I-Sは、ヒト臍帯動脈アッセイにおいて、52nMのIC50を有しており、それは、レブリミドと比べて約25倍有効であり、ポマリドミドと比べて約6倍有効であった。化合物I、I-R、及びI-Sは、ラットの大動脈アッセイで、穏やかな抗血管形成活性を示した。
6.3 マウスのマトリゲル血管形成モデル
マウスのマトリゲル血管形成モデルが、次のように実施された: 組換えヒトVegf、組換えヒトbFGF及びヘパリンを伴うマトリゲル・プラグが、薬物治療を伴って、C57B/6マウスに10日間挿入された。プラグは、IHCにより、msCD31について解析された。化合物Iは、3及び30mpkにおいて、血管の増大を著しく阻害した(図18)。
6.4 イン・ビボのマウス異種移植モデル
6.4.1 リンパ腫モデル
化合物Iは、単一薬剤として、及びリツキサンとの組み合わせで、WSU-DLCL2 DLBCL異種移植モデルで試験された(図19)。3及び30mg/kgの単一薬剤としての化合物Iは、レブリミド30mg/kgにおける阻害と同様の、腫瘍成長の阻害を示した。化合物Iがリツキサンとの組み合わせで投与されたときには、試験された全ての併用療法群において、完全縮小(腫瘍容量<25mm
3)が観察された(図19及び表8)。
表8. WSU-DLCL2 DLBCL異種移植モデルにおける、リツキサンとの組み合わせでの化合物Iの有効性
化合物I-Sが、DoHH2濾胞性リンパ腫異種移植モデルにおいて試験され、その結果は表9にまとめられている。データは、2及び40mg/kgの化合物I-Sは、単剤治療の研究において、腫瘍成長を著しく阻害したことを示した(図20)。データは又、3mg/kgの化合物I-Sとリツキサンとの組み合わせが、単剤治療と比べて腫瘍成長を著しく阻害し、且つ、腫瘍成長の阻害において、レブリミド30mg/kgとリツキサンとの組合せよりも有効であったたことも示した(図21)。CD31 IHCのデータは、図22に描かれている。
表9. DoHH2濾胞性リンパ腫異種移植モデルにおける化合物I-S の活性
a 91% S-エナンチオマー, 9% R-エナンチオマー
b 84% S-エナンチオマー, 16% R-エナンチオマー
化合物Iは、Rec-1マントル細胞リンパ腫異種移植モデルにおいて試験され、その結果は、図23に描かれている。
6.4.2 多発性骨髄腫モデル
化合物I、I-R、及びI-Sは、NCI-H929多発性骨髄腫異種移植モデルにおいて試験され、その結果は、図24に描かれている。データは、化合物I及びI-Sが、用量に依存する形式でH929腫瘍成長を著しく阻害し、且つ、互いに他方に匹敵するものであったことを示した。19日目に、化合物I-Sは30mg/kgで87%の腫瘍成長阻害を、3mg/kgで67%の腫瘍成長阻害を、そして0.3mg/kgで34%の腫瘍成長阻害を示した。
6.4.3 膠芽細胞腫モデル
化合物I、I-R、及びI-Sは、U87膠芽細胞腫異種移植モデルにおいて試験され、その結果は、図25に描かれている。データは、化合物I及びI-Sが、毎日30mg/kgでのU87腫瘍成長を著しく阻害したことを示した。一つの研究において、30mg/kgの化合物Iは、48日目に80%超の腫瘍成長阻害を示し、そして、30mg/kgの化合物I-Sは、48日目に約60%の腫瘍成長阻害を示した。他の研究において、15mg/kgの化合物I-Sは、43日目に約47%の腫瘍成長阻害を示した。試験された化合物のいずれにおいても、体重の著しい変化は観察されなかった。
6.4.4 結腸直腸モデル
化合物I、I-R、及びI-Sは、HCT116結腸直腸異種移植モデルにおいて試験され、その結果は、図26に描かれている。
6.4.5 肝細胞モデル
化合物I、I-R、及びI-Sは、Hep3b 肝細胞異種移植モデルにおいて試験され、その結果は、図27に描かれている。
6.5 薬物動態学
ラット及び猿(モンキー)における化合物I-Sの薬物動態が、表10にまとめられている。
表10. ラット及び猿(モンキー)における化合物I-S の薬物動態
* 67% S-エナンチオマー, 33% R-エナンチオマー
** >99.5% S-エナンチオマー, <0.5% R-エナンチオマー
6.6 セレブロンモデル
6.6.1 CRBNユビキチン化アッセイ
CRBNユビキチン化が、アミノ末端にヒスチジン−ビオチンタグが付けられたCRBN構築物で形質転換されたHEK293T細胞において測定され、その後、試験化合物と共に1時間プレインキュベートされ、その後プロテオソーム(proteosome)阻害剤で(ユビキチン化タンパク質の分解を止めるため)処理された。細胞は、SDS-PAGE及び抗ユビキチン抗体を使用するイムノブロット解析によるCRBNユビキチン化の測定のために、溶解され且つ処理された。
一の実施態様において、化合物I-Sは、上記のようなやり方を用いるセレブロン(CRBN)ユビキチン化アッセイで試験され、且つ、IC50値はレナリドミドが12.9μMでありポマリドミドが21.6μMであるけれども、IC50値が0.19μMであることが示された。他の実施態様において、化合物I-Sは、CRBNタンパク質の自己ユビキチン化を阻害した(IC50=0.5μM)が、CRBN-YW/AA突然変異体タンパク質は阻害しなかった。
6.6.2 サリドマイド親和性ビーズ競合アッセイ
空気抜きキャップ付きの2Lの三角フラスコ中でフラスコと振とうしながら、ヒト骨髄腫U266細胞が0.5×106細胞/mLで蒔かれ、1.5×106細胞/mLにおける対数期まで増殖され、細胞が遠心分離によって集められ、液体窒素中でペレットを凍結させる前に、計数され、PBS中で洗浄された。U266細胞ペレットは、NP-40溶解緩衝液(0.5%NP40、50mMトリス塩酸(pH8.0)、150mM塩化ナトリウム、0.5mMジチオスレイトール(DTT)、0.25mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、1×プロテアーゼ阻害剤混合物(ロッシュ(Roche)、インディアナポリス、インディアナ州)中で、およそ1乃至2×108細胞/ml(10乃至20mgタンパク質/ml)で、室温において溶かされた。細胞残屑及び核酸は、遠心分離(14,000rpm、30分、4℃)によって除去された。結果として得られた上清が、サリドマイド類似体親和性ビーズ結合アッセイでの使用の前に、CRBN含有U266抽出物として、氷の上で保存された
サリドマイド類似体が結合したビーズは、Tamagawa Seiko株式会社、日本からのFG親和性ビーズを用いて、イトウ(Ito)らの文献、”Identification of a primary target of thalidomide teratogenicity”、 Science 327:1345-1350、2010に記載された方法に従って調製され、アッセイでの使用前、4週間まで、4℃に保存された。
競合実験において、U266溶解物抽出物の0.5ml(3乃至5mgタンパク質)等分(アリコート)が、5μlのDMSO(対照)又は5μlのDMSO中の様々な濃度の化合物と共に、プレインキュベートされた(15分間、室温)。サリドマイド類似体が結合したビーズ(0.3-0.5mg)が、タンパク質抽出物に添加され、試料は回転された(2時間、4℃)。ビーズは0.5mlのNP40緩衝液で3回洗浄され、その後、結合したタンパク質が、SDS-PAGE試料緩衝液で溶離された。試料はSDS-PAGEに供され、抗CRBN65-76(1:10,000希釈)及び抗DDB1(1:2,000希釈)を用いてイムノブロット解析が行われた。CRBNバンド密度を定量するために、サリドマイド親和性ビーズ競合アッセイ、LI-CORオデッセイ系が使用され、CRBNの相対量は、少なくとも三つのDMSO対照を平均化し、100%結合としての平均化された対照に対するCRBNタンパク質の阻害百分率として、各競合試料中のCRBNを表すことによって、決定された。
固体化合物のストック(30mM)は、使用の1時間前にDMSO中で作られ、DMSO中での段階希釈は、抽出物への添加の直前に調製された。当所の30mMストックの希釈は、1:3で10mM溶液(又は最終アッセイにおける10uM)とされ、その後段階的に1:10希釈が行われた。
U266細胞は、振とうしているフラスコ内で対数期まで増殖され、細胞は遠心分離によって集められ、液体窒素中でペレットが凍結される前に、計数され且つPBSで洗浄された。
二つの独立したイムノブロット及び対照の密度に比較したCRBN信号密度の計算に供した、各実験からの試料を用いた二つの独立した実験からのデータは、対数阻害剤対可変傾斜を伴う反応にセットされたプリズムグラフ(PrismGraph)非線形回帰解析を使用して、グラフ化した。プリズムグラフ(PrismGraph)プログラムは、各化合物の濃度ポイントについて標準誤差を計算した。
化合物I-Sは、上記の手順を使用して、サリドマイド親和性ビーズ競合アッセイにおいて試験され、その結果は図28に描かれている。結果は、化合物I-Sが、内因性ヒトCRBNに結合することを示した。一の実施態様において、0.1μM濃度の化合物I-Sは、親和性ビーズへのCRBN結合の約50%の減少をもたらし、一方、3μM濃度のポマリドミドは、親和性ビーズへのCRBN結合の約50%の減少をもたらした。
6.6.3 B細胞疾患のための標的化セレブロン
(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物I-S」)のCRBN結合、ユビキチン化、及び細胞増殖への効果が描かれた。CRBNは、CUL4A、DDB1、及びROC-1を含むE3ユビキチン・リガーゼ複合体の一成分であり、サリドマイド、レナリドミド、及びポマリドミドの分子結合標的であることが見出された。
CRBNに対する結合研究は、試験化合物接合ビーズを使用して、競合アッセイで行われた。ヒトU266多発性骨髄腫(MM))細胞からの内因性CRBNが、細胞抽出物を、様々な濃度の化合物I-S又は陽性対照としてのポマリドミドとインキュベートすることによって測定された。サリドマイド酸類似体と連結した親和しビーズが、U266抽出物とインキュベートされ、ビーズの十分な洗浄の後、結合したタンパク質が溶離された。サリドマイド連結親和性ビーズに結合したCRBNが、定量的CRBNイムノブロット測定法によって測定された。
CRBNユビキチン化は、HEK293T細胞中で測定され、当該細胞は、アミノ末端のヒスチジン−ビオチンタグが付けられたCRBN構築物で形質転換され、その後、化合物と共に1時間プレインキュベートされ、その後MG132プロテアソーム阻害剤(ユビキチン化タンパク質の分解を止めるため)での処理がなされた。細胞は、SDS-PAGE及び抗ユビキチン抗体を使用するイムノブロット解析によるCRBNユビキチン化の測定のために、溶解され且つ処理された。細胞増殖の研究は、レナリドミド感受性の難治性多発性骨髄腫細胞中で行われた。レナリドミド抵抗性又は感受性H929MM細胞株が、化合物I-Sで5日間処理され、その後、細胞増殖と生存能力とが、7-アミノアクチノマイシンD(「7-ADD」)染色によって評価された。T細胞共刺激が、2日間の細胞培養において、固定された抗CD3抗体を使用して刺激された、精製された初代ヒトT細胞中で測定され、そしてサイトカイン分泌が、ELISAによって測定された。
正常ドナーの末梢血単核細胞から、免疫グロブリンM及びG(「IgG及びIgM」)の産生が、B細胞分化因子組換えヒトIL-2(20U/mL)、IL-10(50ng/mL)、IL-15(10ng/mL)、ビオチジンタグされたCD40リガンド(50ng/mL)、ポリヒスチジン・マウスIgG1抗体(5μg/mL)、及びODN2006-ヒトTLR9リガンド(10μg/mL)の存在下に4日間培養し、その後IL-2、IL-10、IL-15、及びIL-6(50ng/mL)により追加の3日間培養することによって測定された。IgM及びIgGは、ELISAによって測定された。
競合的CRBN結合研究において、3uM濃度のポマリドミドとのプレインキュベーションは、親和性ビーズへ結合したCRBNの約50%の減少をもたらし、一方、0.1μM濃度の化合物I-Sは、同様のCRBN結合粗もたらした。形質転換されたHEK293T細胞中でのCRBNユビキチン化の研究は、次の可能性をもたらした:化合物I-S IC50=0.19μM;レナリドミド IC50=12.9μM;及びポマリドミド IC50=21.6μM。化合物I-Sによる増殖阻害のためのIC50値は、親のH929細胞株における0.01μM及びDMSOで処理されたサブクローンにおける0.04μMから、レナリドミド抵抗性サブクローンにおける0.51乃至1.58μMにシフトした。
細胞サイクル(S相)における50%の低減は、化合物I-SでのH929細胞の処理の24時間後に明白であった。48時間において、化合物I-Sはスルビビン及び網膜芽細胞腫タンパク質(「pRB」)の発現を低減させ、シクリン依存性キナーゼ阻害剤p27の発現を増大させた。およそ0.29nMのEC50を伴う、T細胞による、化合物I-S共刺激IL-2産生が、ポマリドミドの10nMと比較された。化合物I-Sは、IgM及びIgG産生を、ポマリドミドの17nM及び63nMと比べて、それぞれ0.35及び2.1nMのIC50で阻害した。
結果は、この系において、化合物I-Sが、ポマリドミドと比べておよそ30倍高い親和性でCRBNと結合し、ポマリドミドと比べておよそ110倍大きい有効性でCRBNユビキチン化を阻害することを示している。化合物I-Sは、T細胞による共刺激IL-2産生に関し、ポマリドミドと比べておよそ34倍大きい有効性であり、免疫グロブリン産生の阻害についてはポマリドミドと比べて30乃至48倍大きい有効性である。
6.7 臨床上のプロトコル
進行した固体腫瘍、非ホジキンリンパ腫、又は多発性骨髄腫の被験者に経口で投与されるときの、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の安全性、耐性、薬物動態及び有効性を決定するための臨床研究が提供される。耐性の無い用量(NTD)、最大耐性用量(MTD)及び推奨される第二相用量(RP2D)が導かれる。治療前又は治療中の腫瘍生検における血管形成のバイオマーカーに対する化合物の効果もまた、評価される。
研究デザイン: 研究は二つの部分からなる。用量の増大(パートA)及び用量の広がり(パートB)である。パートAにおいて、被験者は、薬物動態(PK)を測定し、且つ、最大耐性用量(MTD)及び推奨される第二相用量(RP2D)を同定するために、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体の、単回又は多数回での上昇する用量を受け入れる。標準用量(3+3)上昇デザイン(シモン(Simon)らの文献、1997)は、初期毒性を同定するために使用される。三人の被験者の初期コホートは、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、第一のサイクルにおいて薬物に関連したと疑われるグレード3又はそれよりも高い毒性の最初の事例まで、(1回0.5mgで毎日)100%の用量増加において与えられ、その時点で、具体的なコホートは、合計6人被験者に広げられる。この標準的な上昇スケジュールは、耐性の無い用量(NTD)及びMTDを定めるために開始される。用量コホート内におけるより小さな上昇及び追加の被験者はまた、安全性のために評価され得る。およそ20乃至40人の被験者が、パートAで治療され且つ評価される。しかしながら、パートAにおける被験者の総数は、MTDを定めるために必要とされる用量コホートの数に依存する。サイクル1の間に、コホート中の6人の有効な被験者中の2人以上が、薬物に関連して用量を限定する毒性(DLT)を経験するとき、用量はNTDであると考えられる。NTDが定められると、用量上昇は停止する。MTDはサイクル1の間に、6人の価値のある被験者中の0人又は1人が薬物に関連して用量を限定する毒性(DLT)を経験するとき、NTDより下の最終用量レベルとして定義される。MTD及びRP2Dをより正確に決定するためには、中間の用量(即ち、NTDとNTD前の最終用量レベルとの間の一つ)又はいずれかの用量コホート内における追加の被験者が、必要とされる。
パートBでは、被験者は、パートAからのMTDでの及び/又は安全性に基づいたより低い用量レベルで、PK及び/又はPDデータで、投薬を開始し得る。およそ100人の被験者(コホート当たり20人まで)が、腫瘍のタイプによって階層化され、治療され、そして2サイクルの治療の後毎に、安全性と抗腫瘍活性が評価される。用量及び投薬スケジュールが、適切に決定される。パートBの間、安全性データは、必要に応じて、研究継続を考慮して定期的に見直される。
研究集団: 18才以上で、標準治療において進行した(又は標準治療に耐えることができなかった)被験者、又はその者のために標準的な抗癌治療が存在しない患者を包含して、進行した固体腫瘍(ST)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫(MM)、又は進行した切除不能固体腫瘍を有する、男性及び女性。選択された腫瘍のタイプは、転移性乳癌(mBC)、多形成膠芽腫(GBM)、肝細胞癌(HCC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び多発性骨髄腫(MM)を包含する。
研究の用量及び長さ: 最初のサイクルの間、パートAにおいてのみ、各被験者は、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、1日目に1日分の量を1回で投与され、その後48時間の観察とPKのサンプリング期間があり、1日目の後、28日間の毎日の連続した投薬がある(サイクル1=30日)。それに続くパートAサイクルにおいて、被験者は、1日目から28日目までの連続した投薬を伴う28日サイクルで治療される。式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体は、1日に1回又は2回、初期投薬量として、0.1、0.5、1、2、4、5、7.5、10、20、25、50、又は100mgの用量で与えられる。その用量は、1日1回与えられ、0.1、0.5、1、2、4、5、7.5、10mgであることができる。その用量は、1日2回与えられ、50、25、又は10mgであることができる。その用量は、治療の間、開始時の用量から、上昇又は下降するように調整され得る。上記のように、必要であれば、薬物は周期的な方法で与えられ得る。
パートBでは、被験者は、開始から28日間、連続的な投薬を受ける。開始後の、1回投薬と48時間のPKを集める期間はない。
疾患の進行の証拠、受け入れがたい毒性又は被験者/医者の中止の決定があれば、治療は中止される。被験者は、被験者が恩恵を得る限り、治験責任医師による判断にしたがって、中断なく化合物の受け入れを継続することができる。
およそ24か月を超えると、登録が生じる。能動的な治療及び被験者の追跡の終了に、追加の3-6か月を要し得る。
治療の研究: 0.1mg、0.5mg、1mg及び3mgカプセルとしての式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体が、経口投与のために供給される。当該化合物は、箱内の、28日分の薬物を含有するボトルの中において、包装されるであろう。
パートA(容量上昇相)において、用量レベルは、単回のPK投薬の後、0.5mg、1日1回で開始する。いずれかのコホートにおいて、最後の被験者に最初の用量が投薬されると、次のより高用量のプロトコルが特定された用量コホートが開始され得る前に、被験者は少なくとも30日間観察される。主席臨床試験医師及びスポンサーの医療監視者からなる安全性調査員会(SRC)によって承認されない限り、被験者内部での用量上昇は許されない。
パートBにおいて、被験者は、パートAからの安全性、PK及びPD評価に基づいて、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは多形体を、MTD及び/又はそれよりも少ない用量レベルで受領し得る。およそ100人の被験者(20人までの群での事前に選択された腫瘍のタイプ)が、安全性と抗腫瘍効果について評価される。
有効性評価の概説: 被験者は、2サイクルの後毎に、有効性について評価される。第一の有効性の変数は、反応である。腫瘍の反応は、固体腫瘍の反応評価基準(RECIST1.1)、NHLのための国際的ワークショップ基準(IWC)、多発性骨髄腫のための国際的均一反応基準(IURC)(付属書A、18.1節)、又はGBMのための神経腫瘍の反応評価(RANO)ワーキンググループに基づく。
第二の/予備的な評価項目は、血液及び腫瘍中のバイオマーカーの測定、病理組織学的反応、薬理ゲノム学の発見を伴う相互関係を包含する。補足的な有効性の変数(例えば、ECOGパフォーマンス状態、PETの経過及びの結果)も試験され、加えて、増強された血管新生の変化が、容量移動定数(volume transfer constant)(Ktrans)及びDCE-MRIを使用する初期AUC(IAUC)によって測定される。
安全性評価の概説: この研究のための安全性変数は、有害事象、臨床検査変数、12-リードECG(中心的に再評価された)、LVEF評価、理学的検査及び生体信号である。
薬物動態の評価の概説: 式Iの化合物及びその代謝産物のPKプロファイルが、最初の治療サイクルの間の一連の血液及び尿の収集物から決定される。これらは、可能であれば、薬効(PD)の経過及び結果と関連付けられる。
上記の実施例は、クレームされた実施態様をどのように作り且つ使用するかについて、当業者に、完全な開示及び記載を与えるように提供されており、且つ、本明細書に開示されたものの範囲を限定するように意図されていはいない。当業者には明らかな修飾は、次のクレームの範囲内であることが意図されている。この明細書において参照されたすべての刊行物、特許、及び特許出願は、そのような刊行物、特許、及び特許出願の各々が、具体的且つ個別に、参照によって本明細書に組み込まれることが示されているように、本明細書に組み込まれている。
6.8 腎機能障害のある患者における使用
(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物I-S」)は、サリドマイドのような従前の免疫調節化合物よりも有効である。免疫調節化合物は、難治性の及び/又は再発し且つ難治性の疾患の患者において、著しい臨床活性を示している。腎機能障害は、多発性骨髄腫の患者においては、その患者の40%超が罹患している、一般的な同時にある病的状態である(エレフゼラキス−パパピアコボウ(Eleftherakis-Papapiakovou)らの文献、Leuk Lymphoma 2011; 52(12):2299-2303)。
腎機能障害を伴う多発性骨髄腫患者は、本明細書の他のところで提供される治療レジメンに従って、化合物I-Sで治療される。代謝され、腎臓を経て排泄されるある種の免疫調節化合物が、親薬物としては低レベルで排泄されることが知られている。関連するポマリドミドのような免疫調節化合物の特徴が、親薬物への曝露は、腎機能の程度によって実質的に影響を受けないであろうということを示唆している。