JP6347673B2 - Yag単結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、CZ法またはEFG法等によりYAG単結晶および添加物を含んだYAG単結晶(R:YAG単結晶、ここでRはNd、Ce、等の添加物)を製造する方法に関し、特にモリブデン坩堝等の安価な坩堝を用いた単結晶の育成を可能にするYAG単結晶の製造方法に関する。
活性イオンを含んだ固体レーザ用単結晶のなかでも特にNd:YAG(ネオジウム添加イットリウム・アルミニウム・ガーネット)単結晶は、現在工業的に最も有用な固体レーザ材料であり、種々のレーザ発振装置に使用されている。Nd:YAG単結晶は、通常高周波誘導加熱方式のCZ(チョクラルスキー)法により、高価なイリジウム(Ir)坩堝を用いて製造されている。更に、融点が1950℃程度と極めて高いため、結晶育成時には原料融液が充填されたイリジウム坩堝の周囲及び融液面の上方等を、高融点で高純度のアルミナ(Al)あるいはジルコニア(Zr)製の耐火物や粉末等により覆い、保温する必要がある。Nd:YAG単結晶の育成において、これらの保温材として使用される耐火物をどのように構成するかは重要な育成条件である。
これらの耐火物は、高温である融液またはイリジウム坩堝に近接して使用される場合、収縮割れ等の劣化を生じる。特に融液の上方に近接して配置される耐火物は高温となり、かつ融液からの赤外線放射にもさらされる。このため、温度環境がその耐火物の最高使用可能温度近傍となりやすく、保温性の劣化が大きくなる。この耐火物の劣化は特に温度勾配の変化等の結晶育成条件の変化を招く。これを防止するため、特許文献1および2に記載のように、YAG単結晶を育成する場合、一般的に、円孔を有するイリジウム円盤を融液と耐火物との間、あるいは耐火物の代わりに配置する。イリジウム円盤は、それ自体に保温性はないが変形劣化がなく、融液からの赤外線放射を育成中を通じて遮断する役割を果たし、温度勾配を大きくして結晶育成をスムーズにすると同時に耐火物の劣化を低減し育成条件を安定化する。
また、イリジウム円盤上にイリジウム円筒を接触配置し、原料融液及び結晶育成が行われている空間と耐火物等とを隔てることにより、耐火物等からの不純物混入が避けられる。単結晶の原料粉末の純度は99.999%程度であるが、不純物として特に問題にされる酸化鉄(Fe)等の遷移金属はPPMの単位においても検出できない程度に原料からは除去されている。酸化鉄等の遷移金属の結晶への混入は色中心の発生を招くので光吸収が増大し、レーザ発振の際発振光の損失となり、特性低下の原因となる。しかし、アルミナ(Al)やジルコニア(Zr)耐火物の材料の純度は99%程度であり、酸化硅素(SiO)、酸化鉄、酸化カルシウム(CaO)等をそれぞれ0.数%程度含んでいる。従って、上記イリジウム円筒による措置は耐火物の収縮割れ等による耐火物からの不純物混入を防止し、レーザ材料の特性低下を防ぐ重要な手段である。
特開平6−183895号公報 特開平6−135800号公報
上記のイリジウム坩堝を用いる従来の製造方法では、イリジウムが高価であるので製造コストが高くなることや耐火物の使用可能限界が数回と短いことが問題となっている。
イリジウム坩堝をより安価なモリブデン坩堝に変えることが考えられるが、単に代えただけではYAG単結晶の結晶育成は不可能である。前述のアルミナ(Al)やジルコニア(Zr)等の酸化物による耐火物を用いた構成では耐火物から発生する酸素でモリブデン坩堝が燃えてしまう。一方、耐火物をカーボン断熱材に変えた場合、高周波誘導加熱方式ではカーボンで一部の高周波が遮断され加熱効率が悪くなる。この高周波の遮断を防ぐためカーボンフェルトを耐火物に用いることが考えられるが、カーボンが蒸発しやすいため、結晶中にカーボンが混入してしまうという問題は残る。
また、従来、抵抗加熱方式によるモリブデン坩堝でのYAG単結晶の育成は試みられていたが、モリブデン坩堝が原料に溶け出して融点が上がり十分な育成が出来なかった。結晶化原料を用いてモリブデン坩堝と反応しないよう注意して育成したとしても、抵抗加熱炉では温度勾配の制御が難しく、黒く着色した結晶しか得られず実用化されなかった。唯一、タングステンヒーターとモリブデン坩堝およびモリブデン保温材を用いてYAG単結晶を育成出来ているが、タングステンヒーターとモリブデン保温材の寿命が短く実用的ではなかった。
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、高価なイリジウム坩堝を用いずに、結晶性が良好なYAG単結晶および添加物を含んだYAG単結晶の育成を可能にする実用的なYAG単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
第1の観点では、本発明のYAG単結晶の製造方法は、イットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の原料を坩堝に入れて溶融し、前記単結晶を育成させるイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法において、前記単結晶が育成される領域の周囲の少なくとも一部に、前記領域に面する側がモリブデンプレートに覆われたカーボンからなる保温材を用いることを特徴とする。
前述のように、YAG単結晶の育成において、耐火物の構成は重要な育成条件である。抵抗加熱方式は高周波誘導加熱方式に比べ熱交換効率が良く、一般的に製造装置を安価に構成できる。この場合、通常使用されるカーボンヒーターは耐熱・耐久性に優れている。カーボンは熱伝導が高く保温材に適していないとされていたが、最近、断熱性に優れたフェルトあるいは成形断熱材が入手可能となり、安価で耐久性に優れた抵抗加熱炉の実現が可能となっている。しかし、抵抗加熱方式は坩堝を直接加熱する高周波誘導加熱方式に比べ温度勾配が作り難いという欠点があった。そこで本発明では、カーボンからなるフェルトあるいは成形断熱材等を熱伝導の高いモリブデンプレートと組み合わせて使用することで上記の欠点を解消し、所望の温度勾配を得ることを可能としている。
また、1850℃以上の温度ではカーボンは微量の昇華を始める。その昇華したカーボンがYAG単結晶と反応すると二酸化炭素(CO)を発生するとともに結晶中の酸素を奪い、結晶を黒く着色させる。すなわち結晶は酸素欠陥により黒化する。本発明においては、モリブデンプレートが存在することにより、蒸発したカーボンに原料および結晶が触れるのを防ぎ、上記現象を抑えることが出来る。
以上のように、本発明では、熱伝導度の高いモリブデンプレートと耐熱・耐久性の高いカーボンを組み合わせた保温材を耐火物等として用いることにより、YAG単結晶の育成に必要な高い温度領域において抵抗加熱炉で必要とされる温度勾配の制御を可能とし、さらに、カーボンの結晶育成領域に面する側をモリブデンプレートで覆うことによりカーボンが蒸発して結晶育成領域に入るのを抑えることができる。これにより、イリジウム坩堝を用いずに、結晶性が良好なYAG単結晶の育成が可能となる。
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点のYAG単結晶の製造方法において、前記坩堝として、モリブデン坩堝を用いることを特徴とする。単結晶育成において一般的に使用され、工業的にも実績のあるモリブデン坩堝を用いることにより、実用的な結晶製造装置を構成することができる。例えば、抵抗加熱方式の装置を構成する場合、中央部に配置されたモリブデン坩堝をYAG単結晶の溶融温度である1950℃以上に加熱することが可能なカーボンヒーターを用い、結晶育成領域の周囲は内側がモリブデンプレートで覆われたカーボン断熱材を配置し、モリブデン坩堝の上方にはモリブデン円筒を設置し、その上端は中央に少なくとも製造する結晶径よりも大きい開口部を有するモリブデンの蓋で蓋をする。なお、高周波誘導加熱方式の装置に本発明を適用することも可能であり、その場合にはカーボンヒーターは不要となる。
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点のYAG単結晶の製造方法において、抵抗加熱方式を用いて前記坩堝を加熱することにより前記原料を溶融することを特徴とする。本発明では高い温度領域において抵抗加熱炉で必要とされる温度勾配の制御を可能としており、一般的な酸化物単結晶に用いられている抵抗加熱方式を用いることにより、単結晶製造装置を構成する上での成熟した従来の技術を適用でき、製造装置の実現が容易となる。なお、高周波誘導加熱方式においても、上述の温度分布制御の容易性、育成結晶に対するカーボンの影響の抑制という本発明の特長を有効に生かすことができる。
第4の観点では、本発明は、前記第1乃至第3の観点のYAG単結晶の製造方法において、前記原料の溶融前の工程において、前記領域にアルゴンガスを流入することを特徴とする。耐火物などの断熱材から放出されるガスにはカーボン化合物が多く含まれる。そこで、単結晶が育成される領域にアルゴンガスを流入し、例えばカーボンが蒸発する1850℃より低い温度の減圧アルゴン雰囲気で耐火物を熱処理することで、耐火物のガス出しをより効果的に行うことができる。また、同時に原料に含まれる不純物ガスの放出も行われる。このように原料の溶融前に結晶育成領域に雰囲気ガスとして不活性なアルゴンガスを流入し、減圧アルゴン雰囲気中で高温に保持して、原料や保温材に含まれる不純物ガスおよび酸素やカーボンを十分に炉外に放出した後、原料を溶融させることにより、結晶中へのカーボンなどの不純物混入を低減することができ、カーボンによるモリブデン坩堝の燃焼も防ぐことができる。なお、アルゴンガスの代わりに窒素ガスを用いると、2000℃付近でNOあるいはシアン系の有毒ガスが発生する。有毒ガスの発生を防ためには、炉内の雰囲気ガスには有害ガスの発生が無いアルゴンガスを用いることが望ましい。
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点のYAG単結晶の製造方法において、前記坩堝の温度を1550℃〜1850℃とした状態で、減圧雰囲気で前記原料のガス出しを行い、その後、前記原料を溶融させることを特徴とする。上記のように結晶育成領域に雰囲気ガスとして不活性なアルゴンガスを流入し、さらに、坩堝の温度を1550℃〜1850℃とした状態で、減圧雰囲気中で例えば30分以上長時間保持して、残存ガスを十分に放出した後、原料を溶融させることにより、原料からも効率よく不純物ガスを放出させて炉外に排出することができ、高品質の単結晶が得られる。
第6の観点では、本発明は、前記第1乃至第4の観点のYAG単結晶の製造方法において、前記単結晶を育成した後、該単結晶を1100℃〜1850℃の酸素雰囲気で熱処理することを特徴とする。育成された単結晶を1100℃〜1850℃の酸素雰囲気で熱処理することにより、結晶の光透過率を向上させることができ、より高品質の単結晶が得られる。
以上のように、本発明のYAG単結晶の製造方法によれば、高価なイリジウム坩堝を用いずに、結晶性が良好なYAG単結晶および添加物を含んだYAG単結晶の育成を可能にする実用的なYAG単結晶の製造方法が得られる。
実施例1に係るYAG単結晶の製造方法を説明するために示す図であり、抵抗加熱方式によるYAG単結晶の製造装置の構成の一例を示す模式的な断面図。 YAG単結晶の熱処理温度と光透過率の関係を測定した結果の一例を示す図であり、波長370nmにおける光透過率を示す。 作成されたYAG単結晶の外観写真を示し、(a)は実施例1により作成された単結晶、(b)は比較例の製造方法において作成された単結晶。 実施例1と比較例の製造方法において、結晶引上げ軸方向の温度分布を測定した結果を示す図。
以下、図面を参照して本発明のYAG単結晶の製造方法を実施例により詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複した説明を省略する。
図1は、実施例1に係るYAG単結晶の製造方法を説明するために示す図であり、抵抗加熱方式によるYAG単結晶の製造装置の構成の一例を示す模式的な断面図である。図1において、保温材ベース2上にカーボン断熱材3が設置され、その上にYAG単結晶が育成される領域の周囲を囲むような円筒状のカーボン保温材6が設置されている。このカーボン保温材6はその内面、すなわちYAG単結晶の育成領域に面する側はモリブデンプレート15に覆われている。モリブデン坩堝台5上のYAG単結晶の育成領域にはモリブデン坩堝8が設置され、その周囲には抵抗加熱用のカーボンヒーター7が設置されている。カーボンヒーター7は電極ベース1に取り付けられたカーボン電極4に接続されている。また、モリブデン坩堝8の上方にはモリブデン円筒13が設置され、その上端は中央に穴を設けたモリブデン蓋14で蓋をされている。
本実施例ではEFG法を適用して成長させるため、モリブデン坩堝8の中央にダイ10を設置している。ダイ10は幅40mm×高さ40mm×厚さ1mmの板2枚から成り、板の隙間が0.6mmになるよう構成し、モリブデン坩堝8の中心に配置した。
ここで、カーボン保温材6の内径は80mm、カーボンヒーター7の内径は60mm、モリブデン円筒13は内径φ55mm、高さ100mmで坩堝側にはさらに内径φ50、高さ50mmの円筒が入った2重構造となっている。モリブデン蓋14は穴の内径20mm、外径80mm、厚み0.5mm、モリブデン坩堝8は直径50mm、深さ30mm、厚さ2mmである。
YAG単結晶の育成において、高純度の酸化イットリウム(Y2)、酸化アルミニウム(Al2)粉末を所要の比になるように秤量混合した原料45gをモリブデン坩堝8に入れ、以下のような手順で溶かし込んだ。カーボンヒーター7に電流を流し、モリブデン坩堝8内の原料を溶かすと原料融液9となり、ダイ10の隙間から原料が上昇する。本実施例の装置では、結晶の育成領域にアルゴンガスを流入し、カーボンが蒸発しないアルゴンガス圧力と温度領域の上限で、かつ効率よく原料のガス出しが出来る最適条件として、温度1550℃〜1850℃、アルゴンガス圧力0.02〜0.06MPaを選択した。その最適な高温減圧アルゴン雰囲気で30分以上放置した後、3時間かけて原料を溶解させた。このとき融液温度は上昇せず、結晶引き上げ軸12の先端の種結晶11が溶けることなくシーディングが出来た。このときのカーボンヒーター7に流れた電流は390Aで、電圧は31.5Vであった。固化したメルトは透明な結晶状態であり、シーディング後、4mm/hで種結晶を引き上げたところ、幅45mm×厚さ27mm、長さ100mmの結晶欠陥や歪の無い高品質結晶が得られた。なお、実験においては、装置各部の構造や形状、目的とする結晶、育成条件によっては、圧力は減圧雰囲気であれば有効であることが確認できた。
YAG単結晶を育成した後、さらにそれを1200℃〜1850℃の酸素雰囲気で熱処理を行った。図2はこの場合のYAG単結晶の熱処理温度と光透過率の関係を測定した結果の一例を示す図であり、波長370nmにおける光透過率を示す。1200℃以上の温度においては波長370nm付近の吸収が消え、実用上問題のない光透過率特性が得られることを確認した。熱処理温度を1850℃以上に設定した場合には前述のようにカーボンの昇華が生ずるので、熱処理温度は1850℃以下が望ましい。また、酸素分圧がより高い雰囲気では、熱処理温度は1100℃以上であれば有効であることが実験により確認できた。このように1100℃〜1850℃の酸素雰囲気での熱処理により、さらに高品質の単結晶が得られる。
なお、結晶育成においてダイ10の隙間を0.1mmとした場合には原料の供給量が少ないため高速育成することが出来ず、1.5mm以上ではダイ10表面に原料融液9が上昇しない。このため、ダイ10の隙間は上記のように0.6mmに設定した。これは、毛細管現象により原料融液9が効率よくダイ表面に上昇するための本実施例における最適寸法である。
また、比較条件として、本実施例の装置を用いて、カーボンヒーター6の電流を400A、電圧を32Vとして、ガス出しをせずに、1時間で溶融させた後、シーディングした場合、種結晶11は溶けてしまった。これは、原料に含まれる酸素によってモリブデン坩堝8が溶け出し、モリブデンが混入した原料融液9の融点が上昇したためである。
上記の本実施例の装置の最適条件で育成した単結晶の場合、固化したメルトは透明な結晶状態であったが、後述の比較条件で育成した場合のメルトは不透明な金属光沢をもつ表面であった。このことからも比較条件での育成の場合には、モリブデン坩堝8からモリブデンが溶け出して融液温度が上昇していることは明らかである。
本実施例の装置の最適条件で育成した場合、結晶欠陥や歪の無い高品質の板状結晶が得られた。その板状結晶の直交クロスニコル写真を撮影したところ歪は見られなかった。
比較例
本発明の有効性を確認するため、従来の製造方法でYAG結晶の育成を行った。ここで使用した製造装置は、カーボン保温材6の内面のモリブデンプレート15がなく、モリブデン円筒13の代わりにカーボンの円筒を用い、モリブデン蓋14の代わりにカーボンの蓋を用いたことのみが実施例1で用いた図1の装置と異なり、他の部分や形状は図1の装置と同じである。また、育成の雰囲気や温度も実施例1と同様な制御を行った。
このようにして従来の方法で育成した結晶の直交クロスニコル写真を撮影したとこと、黒い点や明るい縞状に見える結晶欠陥や歪が確認された。また、その結晶の表面には白色の層ができており、その層を蛍光X線分析を行ったところ、酸化イットリウム(Y2)の層であることが確認された。これは、蒸発したカーボンがメルト内に混入し、YAG原料を分解、蒸発して生じたイットリウム(Y)あるいは炭化イットリウム(YC)などが結晶表面に付着した後、酸化して酸化イットリウム(Y2)になったものと思われる。この反応としては以下の反応が生じていると考えられる。
+3C=2Y+3CO↑
または、 Y+3C=YC+2CO↑+O↑
結晶付着後は、2Y+3O→Y
Al+9C=Al(融液に残存)+6CO↑
図3は作成されたYAG単結晶の外観写真を示し、(a)は実施例1により作成された単結晶、(b)は比較例の製造方法において作成された単結晶である。これからも実施例1の製造方法では、上記の従来の製造方法の比較例による歪みが大きい外観形状と比べて優れた外観形状の高品質のYAG結晶が得られることがわかる。
図4は、実施例1と比較例の製造方法において、結晶引上げ軸方向の温度分布を測定した結果を示す図である。実施例1の方はモリブデンプレートの存在により結晶成長に適した温度分布が得られているのに対して、従来装置ではそれよりも温度勾配が小さく、十分な温度制御ができていないことがわかる。
以上のように、本発明による実施例1の製造方法では上記の従来の製造方法による比較例と比べて高品質のYAG結晶が得られることが確認できた。
さらに実施例1において引き上げ速度を1〜10mm/hまで変えて結晶を育成し、その結晶品質を確認したところ、表1に示す通り、8mm/h以下の引き上げ速度で品質の良い結晶が得られることを確認した。表中のそれぞれの評価項目で、○は良好な状態、△は不十分な状態であることを示している。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではないことは言うまでもなく、目的とする単結晶の特性や形状などに応じて変更可能である。例えば、坩堝の材料としてはタングステンやタンタルを用いることができる。製造装置の各部の構造、形状、材質なども目的とするYAG結晶の特性、形状に合わせて変更可能である。また、使用する製造装置の各部の構造や形状などによって、各部の温度などの育成条件も最適化することが望ましい。YAG単結晶には使用目的に合わせて、Nd、Ceなどの添加物が添加されてもよい。
本発明は、安価な板状の結晶が要求される携帯電話、スマートフォン、タブレット型情報端末などの携帯型端末機器や時計などの表示部の窓材として使用されるYAG単結晶の製造方法にも適用することができる。
1 電極ベース
2 保温材ベース
3 カーボン断熱材
4 カーボン電極
5 モリブデン坩堝台
6 カーボン保温材
7 カーボンヒーター
8 モリブデン坩堝
9 原料融液
10 ダイ
11 種結晶
12 結晶引上げ軸
13 モリブデン円筒
14 モリブデン蓋
15 モリブデンプレート

Claims (6)

  1. イットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の原料を坩堝に入れて溶融し、前記単結晶を育成させるイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法において、
    前記単結晶が育成される領域の周囲の少なくとも一部に、前記領域に面する側がモリブデンプレートに覆われたカーボンからなる保温材を用い、
    前記領域にアルゴンガスを流入し、前記領域のアルゴンガス圧力を0.02MPa〜0.06MPa、前記坩堝の温度を1550℃〜1850℃とした状態で、前記原料および前記保温材のガス出しを行い、
    その後、前記原料を溶融させること、
    を特徴とするイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
  2. 前記坩堝として、モリブデン坩堝を用いることを特徴とする請求項1に記載のイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
  3. 抵抗加熱方式を用いて前記坩堝を加熱することにより前記原料を溶融することを特徴とする請求項1または2に記載のイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
  4. 前記単結晶は、1mm/時間〜8mm/時間の引き上げ速度で引き上げられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
  5. 前記単結晶は、2mm/時間〜8mm/時間の引き上げ速度で引き上げられることを特徴とする請求項4に記載のイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
  6. 前記単結晶を育成した後、該単結晶を1100℃〜1850℃の酸素雰囲気で熱処理することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のイットリウム・アルミニウム・ガーネット単結晶の製造方法。
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