JP6345067B2 - 移行中栓付きヒンジキャップ - Google Patents
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また、移行中栓は内周壁が注出筒の内周に嵌合しているだけなので、密封性が十分ではなかった。
特に、容器内に加熱された内容液を充填する場合、内圧が高まるとともに高温の熱が移行中栓に伝わって変形することがあり、そのために未開封の容器から液漏れが発生する可能性があった。
また、外周壁の下端には、注出筒外周に係合可能な封緘筒がヒンジ側の所定円弧範囲に形成された弱化連結部を介して連設されており、上蓋の頂壁下面からは外周壁に係合する嵌合筒が垂設されているから、ワンタッチで上蓋を開蓋することによって簡単に開封することができるとともに、ヒンジの反対側は外周壁と封緘筒が連結されていないから、負荷の大きい開封初期に大きな力を必要とすることなく容易に開封することができる。
また、嵌着係合部が環状溝に嵌合したとき上蓋の頂壁裏面に当接する略環状の押圧突条が、環状壁上面に設けられている実施形態では、移行中栓を注出筒に確実に嵌合させることができるとともに、高温充填時に発生する内圧による移行中栓の浮き上がり、脱落を防止することができる。
さらに、上蓋の裏面に押圧突条の切欠き部に嵌合して径方向に延びる回り止め突部を設けた実施形態では、ヒンジキャップに対して移行中栓を位置決めし、回転することを防ぐことができる。
注出筒外周に、閉蓋時に外周壁下端と当接可能に配置された当接面が設けられている実施形態では、移行中栓付きヒンジキャップを容器本体に装着する打栓工程で、嵌合溝に嵌合する注出開口部に力が集中することがなく、注出開口部の変形や破損を防止することができる。
外側筒部9の下部内周には、容器本体Eの口部7外周に設けられた係止突条13に係合する縮径突部14が設けられている。
外周筒部9のヒンジCと反対側の上部外周面には、開蓋時に手指が入りやすいように切り欠かれた切欠き凹面19が形成されている。
また、外側筒部9の外周面のヒンジC近傍には、縦方向に切り込み部17が設けられ、その底部には薄肉弱化部18が形成されている。
これらの薄肉弱化部16,18は、移行中栓付きヒンジキャップを容器本体Eから分別して廃棄する際の引き裂きラインを形成している。
上筒部22は、下筒部4との連設部位から上方へ向けて漸次縮径する縮径部23と、縮径部23の上端に連設し内周に注出口を形成する開口筒部24とからなり、開口筒部24の先端開口部には、外側に湾曲したリップ部25が形成されている。
側周壁31は、周方向所定位置の下端部でヒンジCに連設し、ヒンジCと反対側の下端部には摘み部34が突設されている。
側周壁31の下部内周面には、蓋係合部11の膨出部12に係合する係合溝35が設けれている。
嵌合筒32の内周上端部には、頂壁30の裏面から所定高さに垂設された回り止め突部40が径方向に延設されている。
外周壁53の上部外周には、嵌合筒32の環状溝37に嵌合するフック状の嵌着係合部55が突設され、嵌着係合部55は、下部に段部56が形成され、上部にはなだらかに傾斜した上傾斜面57が形成されている。
押圧突条59は、嵌着係合部55が環状溝37に嵌合し、移行中栓Dが上蓋Bに装着されたとき、頂壁30の裏面に当接する高さに形成されている。
本実施例では、切欠き部58はヒンジC側に設けられているが、必ずしもヒンジC側である必要はなく、適宜の方向に配置可能である。
また、押圧突条59は、本実施例のように、平面視で外周壁53に重なる環状壁54の外縁部に配設されている必要はないが、外周壁53に近い環状壁54の外周側に設けられることが好ましい。
環状壁54を有底内筒50、外筒51、外周壁53のそれぞれ上端部を連設した平坦な形状とした点、嵌着係合部55をフック状とした点なども、種々の設計変更が可能であり、これに限定されない。
本実施例では、弱化連結部61は、周方向複数箇所に設けた橋絡部からなっているが、これに限らずミシン目の入った薄肉部等、種々の形態の弱化部であってよい。
また、本実施例では、弱化連結部61が配設された円弧範囲は、中心P回りの円周角θが180°になっているが、これに限定されず、弱化連結部61の必要な連結強度と破断しやすさとの関係で適宜決定できる。
封緘筒60の内周下部には、注出筒2の係合凸条20の下面に係合して注出筒2の外周からの抜け出しを阻止する係合凸部62が設けられ、係合凸部62の下部はなだらかな傾斜面63を形成している。
嵌合筒32は、上蓋Bが完全に閉じられたときに、係合凸部62が係合凸条20を乗り越えているように封緘筒60を押し込めるだけの長さに設定されている。
また、上蓋Bに嵌着された移行中栓Dの外周壁53下端は、上蓋Bが閉じられたとき、注出筒2の当接面21に当接可能な位置に配置されている。
また、移行中栓Dの嵌着部D1と上蓋Bとを係合する嵌着係合部55と環状溝37の係合形態、封緘筒60とキャップ本体Aとを係合する係合凸条20と係合凸部の係合形態は、本実施例に限定されず、弱化連結部61の破断強度を上回る係合強さを有するものであれば種々の形態が採用可能である。
本実施例では、キャップ本体A、上蓋B、ヒンジCは合成樹脂により一体成形されるが、容器を使用後に容器本体Eから分別して廃棄できるようにするため、通常は柔らかい樹脂(LLD/PE等)が用いられるので、熱変形を防ぎ注出筒2との密閉性を高めるために、移行中栓Dはより硬めの樹脂を選定することが望ましい。
本実施例の移行中栓付きヒンジキャップを容器本体Eに装着するには、まず移行中栓Dを上蓋Bに取り付ける。
切欠き部58が回り止め突部40に嵌合するように位置決めしつつ押圧突条59を嵌合筒32内周に挿入して移行中栓Dを押し込んでいくと、フック状の嵌着係合部55の上傾斜面57が乗り越え突条38の下傾斜面39に当接するようになり、さらに移行中栓Dを押し込んでいくと、嵌着係合部55が乗り越え突条38を乗り越えて環状溝37に嵌合し、移行中栓Dが上蓋Bに装着される。
また、嵌着係合部55が環状溝37に嵌合し、移行中栓Dが上蓋Bに装着された状態では、押圧突条59が頂壁30裏面に当接、ないしは微少な隙間しかない当接寸前の当接状態になっている。
移行中栓Dが装着された上蓋Bを閉じていくと、係合凸部62の傾斜面63が係合凸条20に当接するようになるが、嵌合筒32の下端は封緘筒60の上端64に当接可能な位置に配置されているので、さらに上蓋Bを閉じていくと、嵌合筒32が封緘筒60を押圧するようになり、弱化連結部61を破断させることなく係合凸部62が係合凸条20を乗り越えていく。
同時に、有底内筒50は注出筒2の開口筒部24内周に嵌入して注出口を密閉し、リップ部25は密封溝52に液密に嵌合し有底内筒50外周と外筒51内周との間に挟持されている。
このとき図1に示すように、移行中栓付きヒンジキャップは、移行中栓Dを介して上蓋Bとキャップ本体Aが連結された未開封状態となっている。
そのとき、大きな打栓力が頂壁30を介して移行中栓Dにも働くが、その打栓力は、頂壁30裏面に当接する押圧突条59から外周壁53の下端に当接する当接面21を経て注出筒2全体に伝わり、密封溝52に嵌合するリップ部25のみに力が加わって変形したり破損したりすることを防止している。
また、高温の内容液を充填する場合、内圧が高まるとともに注出筒2や移行中栓Dに伝熱するが、押圧突条59と回り止め突部40が、環状壁54を介して有底内筒50の浮き上がりを防止するとともに、リップ部25が有底内筒50と外筒51とに挟持されて密封溝52に液密に嵌合しているので、密封性を高めるとともに移行中栓Dやリップ部25の熱変形を防ぎ、液漏れを防止することができる。
上蓋Bの摘み部34を把持して上方へ引き上げると、上蓋BがヒンジCを軸に回動し、係合溝35が蓋係合部11から抜け出し始めるとともに、上蓋Bに係合されている嵌着部D1が引き上げられ、注出筒2に係合されている封緘筒60に対してヒンジCの反対側から先に離隔していく。
この時点では、ヒンジCの反対側には弱化連結部61がないので、弱化連結部61による抵抗はなく、蓋係合部11と係合溝35の係合が解除し始める初期開蓋時の大きな力を必要とする操作にさらなる負荷をかけることはない。
上蓋Bおよび嵌着部D1がキャップ本体Aから大きく離れると、有底内筒50が注出筒2の開口筒部24から抜け出し、注出口が開口する(図4参照)。
弱化連結部61が破断する際には、破断音や破断した感触が使用者に伝わり、開封したことがわかる。また、開封後は、嵌着部D1から分離した封緘体60が凹溝5に収まっているので、開封したことが容易に視認可能である。
その後は、上蓋Bを開閉することによって、通常のヒンジキャップと同様にワンタッチで容器を使用することができる。
開蓋した上蓋Bを把持して外方に引っ張ると、ヒンジC近傍の外側筒部9が変形し、縦方向引き裂きラインを形成する切り込み部17によって形成された薄肉弱化部18が破断して縦方向に引き裂かれ、さらに続いて、切り込み部17に隣接するスリット溝15の底部に形成された薄肉弱化部16が破断していく。
周方向引き裂きラインを形成する薄肉弱化部16の破断が進行していくと、上蓋Bがキャップ本体Aから大きく離れて引っ張る力を大きくすることができるので、スリット溝15の終端部まで薄肉弱化部16の破断が完了して、さらに上蓋Bを引っ張ると、残った連結部分が変形してヒンジキャップを容易に口部7から除去することができる。
とくに、高温の内容液を充填しても液漏れが発生することがないので、各種たれやつゆ、調味料等を充填する容器のキャップとして好適に利用可能である。
B 上蓋
C ヒンジ
D 移行中栓
D1 嵌着部
E 容器本体
P 中心
θ 円周角
1 装着筒部
2 注出筒
3 環状底壁
4 下筒部
5 凹溝
7 口部
8 嵌合溝(溝)
9 外側筒部
10 内側筒部
11 蓋係合部
12 膨出部
13 係止突条
14 縮径突部
15 スリット溝
16,18 薄肉弱化部
17 切り込み部
19 切欠き凹面
20 係合凸条
21 当接面
22 上筒部
23 縮径部
24 開口筒部
25 リップ部(先端開口部)
30 頂壁
31 側周壁
32 嵌合筒
34 摘み部
35 係合溝
37 環状溝
38 乗り越え突条
39 下傾斜面
40 回り止め突部
50 有底内筒
51 外筒
52 密封溝
53 外周壁
54 環状壁
55 嵌着係合部
56 段部
57 上傾斜面
58 切欠き部
59 押圧突条
60 封緘筒
61 弱化連結部
62 係合凸部(係合部)
63 傾斜面
64 上端
Claims (6)
- 容器本体の口部に装着され、内容液の注出口を形成する注出筒を有するキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連設された上蓋と、注出口を密閉する移行中栓とからなり、
移行中栓は、注出筒の内周に嵌合し注出口を密閉する有底内筒と、有底内筒外周面との間に注出筒の先端開口部を挟持する内周面を有し、先端開口部を液密に嵌合する溝を形成して垂設される外筒と、外筒の外側で注出筒外周側に垂下した外周壁と、これらの有底内筒、外筒、外周壁を連設する環状壁とを備えた嵌着部と、嵌着部下端に連設された封緘筒とからなり、
封緘筒は、注出筒外周に係合可能な係合部を有し、ヒンジ側の所定円弧範囲に形成された弱化連結部を介して外周壁下端に連設されており、
上蓋の頂壁下面からは外周壁に係合する嵌合筒が垂設されていることを特徴とする移行中栓付きヒンジキャップ。 - 弱化連結部が形成される円弧範囲は、中心角が約180°であることを特徴とする請求項1記載の移行中栓付きヒンジキャップ。
- 封緘筒の係合部は、注出筒外周に突設された係合凸条の下面に係合可能な係合凸部であり、封緘筒の上端部は嵌合筒の下端が当接可能な位置に配置され、上蓋が完全に閉じられたときに係合凸部が係合凸条を乗り越えているように嵌合筒の長さが設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の移行中栓付きヒンジキャップ。
- 外周壁外周面には、嵌合筒内周面に設けられた環状溝に嵌合する嵌着係合部が設けられ、環状壁上面には、嵌着係合部が環状溝に嵌合したとき、上蓋の頂壁裏面に当接する略環状の押圧突条が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移行中栓付きヒンジキャップ。
- 押圧突条の一部に径方向に切り欠かれた切欠き部が設けられ、上蓋の裏面に該切欠き部に嵌合して径方向に延びる回り止め突部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の移行中栓付きヒンジキャップ。
- 注出筒外周には、閉蓋時に外周壁下端と当接可能に配置された当接面が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の移行中栓付きヒンジキャップ。
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