JP5496547B2 - 注出栓 - Google Patents

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Description

本発明は、プルリングにより閉塞壁を引きちぎって開栓するとともに、容器を傾けることによって内容物を注出する容器に装着して好適な注出栓に関するものであり、とくに高温の内容物を充填する容器の口部との連係部位におけるシール性のより一層の改善を図ろうとするものである。
醤油やドレッシング等の調味材を入れる容器は、その口部に、プルリングの引き起こしにより閉塞壁部を引きちぎって開封するバージンタイプの注出栓が装着されており、容器内の内容物を使い切るまでの間はねじ込み式のキャップやアンダーカット、あるいはヒンジタイプのキャップを注出栓に適合させて容器を密封状態に保持するようになっている。
ところで、この種の注出栓は、ベースに設けられた内筒と外筒の相互間に下向きに開放された環状溝を形成し、この環状溝に、容器の口部に入れ込んで打栓、嵌合させて固定保持するものであり、その相互間でのシールは、内筒と容器の口部とが主に面接触することにより維持されていたが、とくに高温の内容物が充填される容器においては、熱(熱履歴)の影響を受けて内筒が内側へ向けて倒れ込んでシール面の接触面積が減少してシール性が劣化する傾向にあり、その部位から内容物が漏れ出すことも懸念された。
この点に関する先行技術としては、容器の口部に嵌合させる内筒にU字状溝を形成して注出筒壁とで半径方向に二重リング構造とした合成樹脂キャップが知られており(例えば、特許文献1参照)、高温の内容物を充填する場合において生じていた上述のような不具合については改善される傾向にはあるものの、かかる合成樹脂キャップは、U字状溝を形成した分だけ、プルリングによって引きちぎる隔壁の面積が小さくなる(注出口の面積が小さくなる。)ので、内容物の効率的な排出が行えるとは言い難いこと、また、プルリングの直径が小さくなるのが避けられないことから指が掛け難くなる等、未だ改善の余地が残されていた。
実用新案登録第2589341号明細書
本発明の課題は、高温の内容物が充填される容器においても確実なシールが実現できる注出栓を提案するところにある。
本発明は、内筒と外筒を同心二重配置にしてその相互間に下向きに開放された環状溝を形成し該環状溝に容器の口部を打栓、嵌合させて固定保持するベースと、このベースに一体的に設けられ、プルリングによる閉塞壁の引きちぎりによって注出経路を形成して容器内の内容物の排出を可能とする注出筒と、この注出筒を覆い隠す収納空間を有し、ベースに連係して固定されるキャップとを備えた注出栓であって、
前記注出筒の下部に一体に垂下、保持され、下方に向けて徐々に薄くなるとともに内筒の内側壁に接近する方向に傾斜して設けられて前記内筒の内側壁との相互間に下向きに開放された環状溝を形成するとともに、ベースの、容器の口部における打栓、嵌合に際してベースの内筒の内側壁が内側に変形して下端縁と当接し、その相互間に環状の断熱閉空間を形成するリップを設けたことを特徴とする注出栓である。
ベースの内筒の内側壁には、リップの下端縁との当接を可能とする環状突起を設けるのが好ましい。
注出栓を容器の口部に打栓、嵌合させた際に、注出筒の下部に設けたリップの下端縁がベースの内筒の内側壁に当接してその相互間に環状の断熱閉空間が形成されるため、容器に高温の内容物が充填されてもその熱が内筒に伝達されにくくなり、内筒の倒れ込みによってシール性が劣化することがない。
内筒の内側壁に環状突起を設けておくことで打栓の際にリップの下端縁を内筒の内側壁に確実に当接させることができるうえ、断熱閉空間のスペースの拡大(容積が大となる。)が可能となりシール性の改善効果が高まる。
本発明にしたがう注出栓の実施の形態を断面で示した図である。 図1に示した注出栓を容器の口部に打栓、嵌合させた状態を示した図である。 本発明にしたがう注出栓の他の実施の形態を示した図である。 図3に示した注出栓を容器の口部に打栓、嵌合させた状態を示した図である。
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう注出栓の実施の形態を断面で示した図であり、図2は、図1に示した注出栓を容器の口部に打栓、嵌合させた状態を示した図である。
図1、2における1は、注出栓の基本骨格をなすベースである。このベース1は、内筒1aと外筒1bを同心二重配置にしてその上端を相互に連結してその間に下向きに開放された環状溝1cを形成しており、ここに容器の口部を入れ込んで所望の締め代のもとに打栓、嵌合させることによって注出栓を容器の口部に固定保持する。
また、2は、ベース1の上部に一体的に設けられた注出筒、3は注出筒2の内側に設けられた閉塞壁である。この閉塞壁3は、薄肉部からなる引きちぎり予定部位3aを介して注出筒2の内側に一体連結しており、その上面部には、支柱3bを介してプルリング3cが配置されている。
4は、ヒンジhを介して開閉可能にベース1の上端外縁部に一体連結したキャップである。このキャップ4は、注出筒2を取り囲む周壁4aと、この周壁4aの上端部に連結してその内側に注出筒2の収納空間Mを形成する天板4bから構成されており、該天板4bの下面には、キャップ4を閉じた際に注出筒2の内周面に嵌合してシールする垂下筒体4cが設けられている。
5は、注出筒2の下部(引きちぎり予定部位3aに隣接した縁部)に垂下、保持された環状のリップである。このリップ5は、ベース1の、容器の口部における打栓、嵌合に際して内筒1aの内側壁が内側に変形して下端縁5aと当接し、その相互間に環状の断熱閉空間Nを形成する(図2参照)。
ベース1が容器の口部に取り付けられる前においては、図1に示すように、リップ5と内筒1aの内側壁との相互間には、下向きに開放された環状溝が形成されるにすぎないが、ベース1が容器の口部に打栓、嵌合されると、図2に示すように、その嵌合代(締め代)tの分だけ内筒1aが近接する変形を伴うため内筒1aの内側壁がリップ5の下端縁5aに当接することとなり(シール性を確保するため内筒1aの内側壁が容器の口部より径方向に大きく設定して嵌合させるようになっている。)、容器に高温の内容物が充填されても、その熱は内筒1aへと伝達され難くなる結果、容器の口部との間におけるシール性が低下することがなくなる。
ベース1の打栓、嵌合前において形成されるリップ5と内筒1aの内側壁との間における隙間は、ベース1の打栓、嵌合時における内筒1aと容器の口部との締め代tよりも小さくしておくことが肝要であり、これにより内筒1の内側壁とリップ5の当接が確実になる。
図3は、内筒1aの内側壁に環状突起6を設けるとともに、その環状突起6から内筒1aの付け根部(上端部)に至るまでの領域の肉厚gを、図1に示したものと比較して薄肉化した、本発明にしたがう他の実施の形態を示した図である。内筒1aの内側壁に環状突起6を設けておくことにより、ベース1を容器の口部に打栓、嵌合させる際に、リップ5の下端縁5aに当接し易くなり、しかも図4に示すように、内筒1aの薄肉化により断熱閉空間Nの容積の拡大が図られ、内容物のもつ熱の影響をさらに小さくすることが可能となり、より高いシールが実現できる。
本発明の実施の形態では、ヒンジhを介してベース1にキャップ4を取り付けたものを例として示したが、ねじ止め式のキャップを適用してもよい。また、ベース1の外筒1bは、容器を廃棄するに際して注出栓を容器の口部から取り外しし易くするため、薄肉の壁部を折り返して二重にした環状体にて構成できるが(図1参照)、外筒1bは、単一の壁部で構成してもよくこの点については限定はされない。
高温の内容物を充填する容器につき、該容器の口部との連結部位においてシール性の劣化を伴うことのない注出栓が提供できる。
1 ベース
1a 内筒
1b 外筒
1c 環状溝
2 注出筒
3 閉塞壁
3a 引きちぎり予定部位
3b 支柱
3c プルリング
4 キャップ
4a 周壁
4b 天板
4c 垂下筒体
5 リップ
5a 下端縁
6 環状突起
h ヒンジ
M 収納空間
N 断熱閉空間

Claims (2)

  1. 内筒と外筒を同心二重配置にしてその相互間に下向きに開放された環状溝を形成し該環状溝に容器の口部を打栓、嵌合させて固定保持するベースと、このベースに一体的に設けられ、プルリングによる閉塞壁の引きちぎりによって注出経路を形成して容器内の内容物の排出を可能とする注出筒と、この注出筒を覆い隠す収納空間を有し、ベースに連係して固定されるキャップとを備えた注出栓であって、
    前記注出筒の下部に一体に垂下、保持され、下方に向けて徐々に薄くなるとともに内筒の内側壁に接近する方向に傾斜して設けられて前記内筒の内側壁との相互間に下向きに開放された環状溝を形成するとともに、ベースの、容器の口部における打栓、嵌合に際してベースの内筒の内側壁が内側に変形して下端縁と当接し、その相互間に環状の断熱閉空間を形成するリップを設けたことを特徴とする注出栓。
  2. 前記ベースの内筒の内側壁に、リップの下端縁との当接を可能とする環状突起を設けた、請求項1記載の注出栓。
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