JP4346913B2 - 合成樹脂製キャップ、閉止装置、および容器詰め飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器口部を閉止する合成樹脂製キャップ、これを用いた閉止装置、および容器詰め飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂製キャップとしては、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを備え、天板部の内面に、容器口部に嵌入される環状の内側シール部が突出形成されたものが多く用いられている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−211605号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
キャップをいったん開栓した後に再度閉栓(以下、再栓という)した際には、内容液の発酵などにより容器内圧が高くなることがある。この場合には、キャップが容器から外れやすくなる問題があった。
このため、再栓後に容器内圧が高くなった際に、容器内のガスを外部に排出し、容器内圧を低くすることができる技術が要望されていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、未開栓時において十分な密封性を得ることができ、かつ開栓後に再度閉栓した際に容器内圧が過度に上昇するのを防ぐことができる合成樹脂製キャップ、閉止装置、および容器詰め飲料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の合成樹脂製キャップは、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを有するキャップ本体を備え、天板部の内面に、容器口部内に嵌入される環状の内側シール突起と、前記容器口部の開口端面に当接する開口端シール突起とが形成され、天板部には、内側シール突起が形成された部分と、前記周縁部との間のいずれかの位置に、この周縁部より薄く形成された薄肉部が形成され、前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の閉止装置は、容器と、その口部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた閉止装置であって、合成樹脂製キャップが、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを有するキャップ本体を備え、天板部の内面に、容器口部内に嵌入される環状の内側シール突起と、前記容器口部の開口端面に当接する開口端シール突起とが形成され、天板部には、内側シール突起が形成された部分と、前記周縁部との間のいずれかの位置に、この周縁部より薄く形成された薄肉部が形成され、前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の容器詰め飲料は、容器と、その口部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた閉止装置内に飲料が充填された容器詰め飲料であって、合成樹脂製キャップが、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを有するキャップ本体を備え、天板部の内面に、容器口部内に嵌入される環状の内側シール突起と、前記容器口部の開口端面に当接する開口端シール突起とが形成され、天板部には、内側シール突起が形成された部分と、前記周縁部との間のいずれかの位置に、この周縁部より薄く形成された薄肉部が形成され、前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、本発明の閉止装置の一実施形態を示すもので、ここに示す閉止装置は、容器20と、その口部21に装着される合成樹脂製キャップ1とから構成されている。なお、以下の説明において、内方および外方とはキャップ1の径方向の内方および外方を意味する。
容器20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂、ガラス、金属などからなるものを使用することができる。
【0009】
キャップ1は、天板部2とその周縁部2aから垂下した筒部3とを有するキャップ本体4を備えている。キャップ1は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されている。
図2に示すように、天板部2の周縁部2aの厚さAは、0.5〜2mmとすることができる。
筒部3は、水平スコア6(弱化線)によって上部の主部8と、多数の細いブリッジ7によって主部8の下端に連結されたタンパーエビデンスリング部(TEリング部)9とに区画されている。
主部8の内面には、容器口部21に形成された雄ネジ22に螺合するネジ部10が形成されている。
TEリング部9の内壁面には、キャップ1を開栓する際に容器口部21の膨出段部23に係止してTEリング部9の移動を阻止する係止手段であるタブ11が設けられている。タブ11は、起伏可能な板状に形成されている。
【0010】
天板部2の内面には、容器口部21内に嵌入される環状の内側シール突起12が、下方に向けて突出形成されている。
内側シール突起12の先端部外面には、容器内面21aに当接する環状の当接凸部12aが形成されている。
内側シール突起12は、容器口部21内に嵌入した際に、当接凸部12aが容器内面21aに隙間なく当接し、この容器口部21を密封できるように形成されている。
内側シール突起12の突出長さは、1〜5mmとするのが好適である。内側シール突起12の最大外径(当接凸部12aの最大外径)は、容器口部21内径より若干大きくなるように設定するのが好ましい。
【0011】
天板部2には、内側シール突起12より外方に、容器口部21の開口端面21bに当接する開口端シール突起13と、容器口部21の外面21cに当接する外側シール突起14とが下方に向けて突出形成されている。
【0012】
天板部2下面には、内側シール突起12が形成された部分12bと、開口端シール突起13が形成された部分13aとの間に、環状の薄肉化凹部15aが形成されており、この薄肉化凹部15aが形成された部分の天板部2は、周縁部2aより薄く形成された薄肉部15となっている。
薄肉部15は、内側シール突起12が形成された部分12bの外方に隣接する位置に形成されている。
なお、薄肉部は、内側シール突起12が形成された部分12bと周縁部2aとの間のいずれかの位置に形成されていればよく、その形成位置は図示例に限定されない。
また、図示例では、薄肉部15は、天板部2の下面に設けられた薄肉化凹部15aによって形成されているが、薄肉部は天板部の上面に設けられた薄肉化凹部によって形成することもできる。
【0013】
図2に示すように、薄肉部15は、その厚さBが、天板部2の周縁部2aの厚さAよりも小さくなるように形成されている。
薄肉部15の厚さBが周縁部2aの厚さA以上となると、容器内圧上昇時に容器20内のガスが排出されにくくなる。
【0014】
薄肉部15の厚さBは、周縁部2aの厚さAに対し0.3〜0.8倍に相当する値に設定するのが好ましい。厚さBがこの範囲未満であると、薄肉部15の強度が低くなりすぎ、この範囲を越えると、容器内圧上昇時に容器20内のガスが排出されにくくなる。
薄肉部15の厚さBは、0.3〜2mm(好ましくは0.5〜1.5mm)とするのが望ましい。厚さBがこの範囲未満であると、薄肉部15の強度が低くなりすぎ、この範囲を越えると、容器内圧上昇時に容器20内のガスが排出されにくくなる。
【0015】
以下、図2および図3を参照して、キャップ1の使用方法を説明する。
図2に示すように、内溶液を充填した容器20の口部21に、キャップ1を装着する。この際、内側シール突起12を容器口部21内に挿入する。
内側シール突起12は、当接凸部12aにおいて容器内面21aに当接し、この部分をシールする。これによって容器20が密封される。
この密封状態(未開栓時)においては、開口端シール突起13が開口端面21bに当接するとともに、外側シール突起14が容器外面21cに当接する。
また、TEリング部9に設けられたタブ11は、雄ネジ22の直下に設けられた環状の膨出段部23を乗り越え、膨出段部23の下方に達する。
【0016】
容器口部21に装着されたキャップ1を開栓方向に回すと、キャップ1が上昇し、内側シール突起12が容器口部21から引き抜かれ、容器20の密封が解除される。
この際、TEリング部9内面に設けられたタブ11が膨出段部23下部に係止することから、主部8は回転に従って上昇する一方、TEリング部9は上方への移動が阻止される。その結果、キャップ1の主部8とTEリング部9とを連結しているブリッジ7に引張力が作用し、ブリッジ7が破断され、TEリング部9が主部8から切り離される。このTEリング部9の切り離しによって、キャップ1が開栓されたことが明示される。
【0017】
キャップ1をいったん開栓した後に再栓した際には、内容液の発酵などにより容器20の内圧が非常に高くなる(例えば0.4MPa以上となる)ことがある。
容器20内の圧力が上昇すると、この容器内圧によって、天板部2に対し上方への力が加えられる。
【0018】
キャップ1では、内側シール突起12より外方の天板部2に薄肉部15が形成されているため、天板部2はこの部分においてその機械的強度が低くなる。
図3に示すように、容器内圧により天板部2に上方への力が加えられると、天板部2は薄肉部15において曲げ変形し、薄肉部15より内方に位置する部分は上方に膨出変形(いわゆるドーミング)する。
これによって、天板部2は、中央部から径方向外方に向けて徐々に下降するように傾いた状態となる。
この膨出変形時における天板部2の傾き(未変形時の天板部2に対する傾き)は、変形部分の周縁に近いほど大きくなるため、薄肉部15より内方の天板部2は、薄肉部15に近いほど傾きが大きくなる。
このため、膨出変形時には、内側シール突起12が形成された部分12bは大きく傾き、これに伴って、内側シール突起12の少なくとも一部は、先端が内方に移動する方向に変位し、当接凸部12aが容器内面21aから離れる。
これによって、キャップ1の密封性が低くなり、容器内面21aと内側シール突起12との隙間を通して容器20内のガスが外部に排出されやすくなる。
従って、キャップ1では、未開栓時において十分な密封性を得ることができ、かつ再栓後に容器20の内圧が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0019】
これに対し、薄肉部15が形成されていない場合には、容器内圧上昇時に、天板部2全体が膨出変形するため、内側シール突起12が形成された部分12bの傾きが小さくなり、内側シール突起12が内方に変位しにくくなる。従って、容器20内のガスが排出されにくくなる。
【0020】
上記閉止装置では、果汁飲料、茶飲料、コーヒー飲料等の飲料を容器20に充填し、口部21にキャップ1を装着することによって、飲料が充填された容器詰め飲料を得ることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の合成樹脂製キャップにあっては、天板部の内側シール突起が形成された部分と周縁部との間のいずれかの位置に、周縁部より薄く形成された薄肉部が形成されているので、容器内圧が上昇したときに、薄肉部より内方の天板部が上方に膨出変形する。
このため、天板部は、内側シール突起が形成された部分の傾きが大きくなり、内側シール突起は、先端が内方に移動する方向に変位しやすくなる。
よって、容器内面に当接した部分の内側シール突起の少なくとも一部が容器内面から離れ、容器内のガスが外部に排出されやすくなる。
従って、未開栓時において十分な密封性を得ることができ、かつ再栓後に容器の内圧が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のキャップの一実施形態を示す断面図である。
【図2】 図1に示すキャップの要部拡大図である。
【図3】 図1に示すキャップの要部拡大図である。
【符号の説明】
1・・・キャップ、2・・・天板部、2a・・・周縁部、3・・・筒部、4・・・キャップ本体、12・・・内側シール突起、12b・・・内側シール突起が形成された部分、15・・・薄肉部、21・・・容器口部
Claims (3)
- 天板部(2)とその周縁部(2a)から垂下した筒部(3)とを有するキャップ本体(4)を備え、
天板部(2)の内面に、容器口部(21)内に嵌入される環状の内側シール突起(12)と、前記容器口部の開口端面(21b)に当接する開口端シール突起(13)とが形成され、
天板部(2)には、内側シール突起(12)が形成された部分(12b)と、前記周縁部(2a)との間のいずれかの位置に、この周縁部(2a)より薄く形成された薄肉部(15)が形成され、
前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする合成樹脂製キャップ。 - 容器と、その口部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた閉止装置であって、
合成樹脂製キャップが、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを有するキャップ本体を備え、
天板部の内面に、容器口部内に嵌入される環状の内側シール突起と、前記容器口部の開口端面に当接する開口端シール突起とが形成され、
天板部には、内側シール突起が形成された部分と、前記周縁部との間のいずれかの位置に、この周縁部より薄く形成された薄肉部が形成され、
前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする閉止装置。 - 容器と、その口部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた閉止装置内に飲料が充填された容器詰め飲料であって、
合成樹脂製キャップが、天板部とその周縁部から垂下した筒部とを有するキャップ本体を備え、
天板部の内面に、容器口部内に嵌入される環状の内側シール突起と、前記容器口部の開口端面に当接する開口端シール突起とが形成され、
天板部には、内側シール突起が形成された部分と、前記周縁部との間のいずれかの位置に、この周縁部より薄く形成された薄肉部が形成され、
前記薄肉部は、前記内側シール突起が形成された部分と前記開口端シール突起が形成された部分との間に、前記薄肉部より内方に位置する部分の前記天板部より薄く、かつ容器内圧上昇の際に前記部分の前記天板部が膨出変形可能となるよう形成されていることを特徴とする容器詰め飲料。
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JP5173560B2 (ja) * | 2008-04-25 | 2013-04-03 | 株式会社Csiジャパン | 合成樹脂製キャップ、閉止装置、および飲料入り閉止装置 |
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- 2003-01-21 JP JP2003012106A patent/JP4346913B2/ja not_active Expired - Lifetime
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