JP6345020B2 - 成膜方法、膜及び分散液 - Google Patents

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本発明は、成膜方法、膜及び分散液に関する。
理想的なグラフェン膜は、代表的な物性として、電気伝導度が高い(〜200000cm/Vs)、光透過性に優れる(〜97.7%)、ヤング率が高い(〜1.0TPa)等の魅力的な特性を示す。このため、センサー、エネルギー貯蓄デバイス、トランジスタなどに使用する材料として様々な展開が期待されている。中でも、電極材料としての利用においては、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス素子や太陽電池素子などの様々な電子デバイスに有望である(非特許文献1)。
グラフェンを電極材料として利用するために、グラファイトを出発原料として、グラファイトを剥離させながら液体中に分散させた後、ろ過によって膜化する手法が知られている。
グラファイトからグラフェンを剥離させながら、溶液中に分散させるために用いられる液体としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)のような、汎用の有機溶剤が試みられている(非特許文献2)。しかし、このような有機溶剤では、均一に分散させられるグラフェンの濃度が低かった。一方、イオン液体である1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(非特許文献3)や、この化合物の部分骨格を複数有する構造のイオン液体を用いる(特許文献1)ことで、グラフェンを高濃度で分散させられることが報告されている。
国際公開第2013/172350号
NANO: Brief Reports and Reviews Vol. 8, No. 3 (2013) 1330001 (16 pages). Nat. Nanotechnol., 2008, 3, 563−568. J. Mater. Chem., 2011, 21, 3428−3431.
グラフェンを電極材料として工業的に利用するためには、安価かつ大量に製膜できることが望まれる。このための手法としては、グラファイトを出発原料として、酸化・還元等の処理を一切行わずに、グラフェン構造を有する構造体を剥離させながら液体中に分散させるだけでなく、シート抵抗の低い、グラフェン構造を有する膜を簡便に膜化できる技術が望まれていた。
しかし、汎用の有機溶剤では、グラフェン構造を有する構造体の分散濃度が低いため膜化が難しいという問題があった。一方、報告例のあるイオン性液体では、蒸発させることが困難であり、仮に塗布膜化ができたとしても、イオン性液体を膜から除去することができないという問題があった。
そこで、本発明は、シート抵抗の低い、グラフェン構造を有する膜を簡便に膜化できる成膜方法、該成膜方法により製造した膜及び分散液を提供することを課題とする。
本発明の第一の態様は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を用い、該化合物を揮発させる工程を含む成膜方法である。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の成膜方法により製造した膜である。
本発明の第三の態様は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液であって、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が、揮発性を有し、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が、室温で固体である、又は、室温で液体であって22℃での粘度が3mPa・s以上である、ことを特徴とする分散液である。
本発明によれば、シート抵抗の低い、グラフェン構造を有する膜を簡便に膜化できる成膜方法、該成膜方法により製造した膜及び分散液を提供することができる。
≪成膜方法≫
本発明は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を用い、該化合物を揮発させる工程を含む成膜方法である。
本発明は、好ましくは、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を基板上に塗布した後、該化合物を揮発させる工程を含む成膜方法である。
<ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物>
本発明において、ブレンステッド酸とは、プロトン供与体であり、ブレンステッド塩基とは、プロトンを受容体である。本発明におけるブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基の中和反応で得られるものであり、該化合物でブレンステッド酸・ブレンステッド塩基対を形成するものである。
本発明においてブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物は、揮発可能な化合物であれば特に限定されない。
本発明において、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の沸点は該化合物の分解点よりも低いことが好ましい。該条件を満たすことにより、例えば真空条件下や、加熱条件下において該化合物が不揮発性の分解物を生成することなく除去が可能となるため、得られる膜中の不純物が減少し、シート抵抗を低くすることができる。
沸点が分解点より低いブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の例としては、Chem.Rev., 2008, 108, 206−237、及びChem.Commun., 2006, 1905−1917を代表とする公知文献に記載されていて、沸点が分解点より低いと判断できる化合物、及びこれらの情報を元に沸点が分解点より低いと判断できる類似の化合物が挙げられる。
本発明において、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006345020
[一般式(1)中、Xは、置換基を有していてもよいカチオン性の含窒素複素環式基であり、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。]
ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物におけるブレンステッド酸・ブレンステッド塩基対の形成様式は、式(1)で表されるものに限定されない。
一般式(1)中、Xは、置換基を有していてもよいカチオン性の含窒素複素環式基である。カチオン性の含窒素複素環式基としては、特に限定されないが、イミダゾール基やトリアゾール基が挙げられる。
イミダゾール環周辺の構造例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−トリフルオロメチルイミダゾールが挙げられ、1−メチルイミダゾール、1−トリフルオロメチルイミダゾールが好ましい。
また、Xが有していてもよい置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が挙げられる。
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が挙げられる。
炭素数1〜5のフッ素化アルキル基としては、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の全部または一部をフッ素原子で置換した基が挙げられる。
一般式(1)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基が挙げられる。
炭素数1〜5のフッ素化アルキル基としては、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の全部または一部をフッ素原子で置換した基が挙げられる。
一般式(1)中、Rが有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
本発明において、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物はカルボン酸を有することが好ましい。
カルボン酸周辺の構造例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸が挙げられ、ギ酸、酢酸、及びトリフルオロ酢酸が好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006345020
[式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であり、nは0又は1である。Rは前記同様である。]
式中、R及びRの炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基についての説明は前記同様である。式中、nは0又は1である。Rは前記同様である。
本発明においては、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物はイミダゾール環を有する化合物であることが好ましく、具体的には、上記一般式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
また、本発明においてブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物としては、室温で固体である、又は、室温で液体であって22℃での粘度が3mPa・s以上であることが好ましい。
前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が該条件を満たすことにより、シート抵抗の低い膜を得ることができる。22℃での粘度として、より好ましくは5mPa・s以上である。
前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が室温で液体である場合の22℃での粘度としては、成膜しやすい観点から、1000mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以下が更に好ましい。
前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物は、室温で固体でも液体でもよいが、室温で固体であることが好ましい。この場合、後述する任意成分を混合することにより、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とその他の成分との混合物が常温で液体となることが好ましい。
ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0006345020
化合物1〜16のうち、好ましくは1〜3、5〜7、9〜11、13〜15であり、より好ましくは1〜3、13〜15である。
前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の含有比率は、分散液100質量部に対し、3〜99.99質量%が好ましく、10〜99.97質量%がより好ましく、30〜99.95質量%が更に好ましく、50〜99.9質量%が特に好ましい。
<グラフェン構造を有する構造体>
本明細書において、「グラフェン構造を有する構造体」とは、グラフェンもしくはグラフェンが積層した構造体を指す。つまり、グラフェン単層でも2層以上でもよく、グラファイトでもよい。
また、本明細書における「グラフェン構造」とは、グラフェンシートを構成するsp炭素ネットワークの末端が水素である構造を指す。
グラフェン構造を有する構造体は、一般グラファイトの他に、熱的に処理されたグラファイト、機械的に処理されたグラファイト、電気的に処理されたグラファイト、プラズマ処理されたグラファイトなどが挙げられる。好ましくは、一般グラファイト、及び機械的に処理されたグラファイトである。
前記グラフェン構造を有する構造体の含有比率は、分散液100質量部に対し、0.01〜30質量%が好ましく、0.03〜10質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が更に好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。
<任意成分>
本発明において、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液は、上記<ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物>、<グラフェン構造を有する構造体>の他に任意の成分を有していてもよい。
前記任意の成分は、乳化剤、汎用的な有機溶剤、及びこれらの混合物などが挙げられる。好ましくは、常温常圧下において液体の化合物であり、かつ、加熱、減圧、風乾等の操作により蒸発が可能な化合物である。具体的な例としては、NMP、DMAc、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、オルトジクロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましくはNMP、DMAc、DMSOである。
前記任意の成分の含有比率は、分散液100質量部に対し、1〜90質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
前記3種の成分(<ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物>、<グラフェン構造を有する構造体>、及び<任意の成分>)の含有比率の合計は100質量%である。前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の含有比率は、前記任意の成分の含有比率より高いことが好ましい。
前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物、グラフェン構造を有する構造体、及び任意の成分はそれぞれ独立に、単一成分であっても複数成分であっても良い。
<ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液>
ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液の調製方法としては、特に限定されないが、グラフェン構造を有する構造体の分散状態を向上させるために、加熱撹拌工程、超音波洗浄機での超音波の照射工程、ホモジナイザーでの超音波処理工程、マイクロ波の照射工程、ボールミル工程、及び圧力を急激に増減させる処理工程、プラズマ処理工程のうち少なくとも1工程を有することが好ましい。これらの工程のうち、超音波洗浄機での超音波の照射工程、ホモジナイザーでの超音波処理工程、マイクロ波の照射工程が好ましい。
前記超音波洗浄機での超音波の照射工程における発振周波数としては、2k〜1000kHzが好ましく、10k〜100kHzがより好ましく、20k〜50kHzが特に好ましい。該工程における超音波照射時の温度は、0℃〜混合液を通常に加熱して到達できる温度が好ましく、20℃〜100℃がより好ましく、20℃〜30℃が特に好ましい。該工程における超音波の照射時間は、10秒〜500時間が好ましく、30秒〜24時間がより好ましく、1分〜2時間が特に好ましい。
前記ホモジナイザーでの超音波処理工程における発振周波数としては、1k〜100kHzが好ましく、2k〜50kHzがより好ましく、5k〜30kHzが特に好ましい。該工程における超音波の出力は1〜1000Wが好ましく、10〜500Wがより好ましく、50〜150Wが特に好ましい。該工程におけるホモジナイザーでの超音波照射時の温度は、0℃以上の混合液を常法により加熱して到達できる温度が好ましく、20℃〜100℃がより好ましく、20℃〜50℃が特に好ましい。該工程におけるホモジナイザーでの超音波の照射時間は、1秒〜10時間が好ましく、30秒〜2時間がより好ましく、1分〜1時間が特に好ましい。
前記マイクロ波の照射工程において、マイクロ波の照射は、照射モードとしてシングルモードでもマルチモードでもよく、シングルモードが好ましい。該工程におけるマイクロ波照射時の温度は、0℃以上の混合液を常圧又は加圧下で加熱して到達可能な温度以下が好ましく、室温以上、常圧又は加圧下で加熱して到達できる温度以下がより好ましく、100℃以上、常圧又は加圧下で到達できる温度以下が特に好ましい。該工程におけるマイクロ波照射時の圧力は、1〜100barが好ましく、1〜50barがより好ましく、1〜10barが特に好ましい。
本発明において、上記のようにして得られた分散液を基板上に塗布することが好ましい。
塗布の方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、オフセット印刷法、及びドロップキャストコート法が挙げられ、スピンコート法、キャスティング法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、オフセット印刷法、及びドロップキャストコート法が好ましい。
基板としては、分散液を塗布・乾燥させて膜を形成するための支持体の役割をするものであれば特に限定されず、ガラス基板等が挙げられる。
本発明は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を用い、該化合物を揮発させる工程を含む成膜方法である。ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物を揮発させる方法の例としては、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、窒素や空気等のガスを吹き付けて行う乾燥、及びこれらの組み合わせが挙げられ、加熱しながらの減圧乾燥が好ましい。
加熱乾燥時の温度は30℃〜300℃が好ましく、40℃〜200℃がより好ましく、50℃〜150℃が特に好ましい。
減圧乾燥時の圧力は0.000001〜10000Paが好ましく、0.0001〜100Paがより好ましく、0.01〜10Paが特に好ましい。
本発明における成膜方法の一つの具体例としては、上記1〜16に示すいずれかの化合物7gと、NMP、DMAc、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、オルトジクロロベンゼン、γ−ブチロラクトン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれるいずれか1〜2種類の化合物3gとを混合した溶液10gに、グラファイト100mgを加え、室温のままホモジナイザーにより超音波を発振周波数20kHz、出力130Wで30分間照射し、続いて、室温のまま、超音波洗浄機により超音波を発振周波数28kHz、で1時間照射し、その後、シングルモードのマイクロ波を照射して100℃、1気圧で10分間撹拌することで、分散液を得られる。この分散液を、UVオゾン処理を15分間行った50mm角のガラス基板上に100mg取り出してスピンコートを行い、圧力0.1Pa、温度110℃で10時間程度乾燥することで、膜を製造することができる。
本発明の成膜方法によれば、揮発可能なブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物と、グラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を用いることにより、グラフェン構造を有する構造体を高い分散濃度で塗布することができる。また、該分散液を塗布した後、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物を容易に除去することができる。これにより、シート抵抗の低い、グラフェン構造を有する膜を簡便に成膜することが可能となる。
≪膜≫
本発明はまた、上記成膜方法により製造した膜を提供する。
本発明の膜の一態様は、グラフェン構造を有する膜、又はグラフェンとグラファイトの混合物の膜である。
本発明の膜は、バイオセンサー、エネルギー貯蓄デバイス、トランジスタ、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子、及び太陽電池素子などの材料として使用することができる。とりわけ、シート抵抗が低いので、電極材料として、酸化インジウムスズ(ITO)電極の代替材料としての使用が期待される。
また、本発明は、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液であって、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が、揮発性を有し、前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が、室温で固体である、又は、室温で液体であって22℃での粘度が3mPa・s以上である、ことを特徴とする分散液を提供する。
本発明の分散液において、ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物、グラフェン構造を有する構造体についての説明は前記同様である。
本発明の分散液を塗布することで、基板上にグラフェン構造を有する構造体を主成分とする膜が得られるので、これに付着した揮発可能な成分を除去することで、シート抵抗の低い膜を作成することができる。
次に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、粘度測定には株式会社SECONIC製ビスコメイト粘度計VM−100Aを用いた。シート抵抗の測定は三菱化学アナリテック社製のLoresta−AX(MCP−370)を用いた。超音波処理には株式会社エスエムテー製の超音波発振器(SC−616−3C)を用い、発振周波数は28kHzとした。UVオゾン処理には、セン特殊光源株式会社製の卓上型光表面処理装置(照射装置:PL16−110A、ランプ:SUV 110GS−36、電源:UE1101N−4)を用いた。
前記のN−methylimidazolium trifluoroacetate(以下、「[Hmim][TFA]」と記載することがある。)及びN−methylimidazolium asetate(以下、「[Hmim][acetate] 」と記載することがある。)を、Chem.Commun., 2006, 1905−1917.に記載の方法で合成した。該文献によれば、[Hmim][TFA]の融点は51℃、沸点は255℃であり、[Hmim][acetate] の融点は−23℃、沸点は160℃である。
[実施例1]
[Hmim][TFA]にNMP(和光純薬社製)を40wt%混合した溶液1gに、グラフェンナノプレートレット(XG sciences社製のxGnP Graphene Nanoplateletsを使用。厚さ1〜20nm、幅1〜50μm)2mgを加え、超音波処理を1時間行い、分散液を得た。この分散液を、UVオゾン処理を15分間行ったガラス基板上に15mg取り出してドロップキャストし、圧力1Pa、温度110℃で8時間乾燥して膜を作成した。
[実施例2]
実施例1で用いた[Hmim][TFA]にNMPを40wt%混合した溶液を、[Hmim][acetate]とした以外は実施例1と同様にして膜を作成した。
[比較例1]
実施例2で用いた[Hmim][acetate]を、以下に構造を示す[C4mim][TfN](Merck社製)とした以外は実施例2と同様にして膜を作成する操作を行ったが、[C4mim][TfN]が揮発せず、膜化できなかった。
[C4mim][TfN]の構造を以下に示す。
Figure 0006345020
[比較例2]
実施例2で用いた[Hmim][acetate]を、NMPとした以外は実施例2と同様にして膜を作成した。
[シート抵抗の測定]
実施例1、実施例2、比較例2で作成した膜のシート抵抗値はそれぞれ95Ω/□、340Ω/□、540Ω/□(それぞれ3回測定の平均値)であった。
[粘度の測定]
22℃における[Hmim][acetate]、NMP、水の粘度はそれぞれ8、2、1mPa・sであった。なお、[Hmim][TFA]は室温で固体である。
これらの結果から、本発明の成膜方法によって、シート抵抗の低い膜が作製できることが分かった。

Claims (5)

  1. ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物とグラフェン構造を有する構造体とを含む分散液を用い、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、若しくはガスを吹き付けて行う乾燥、又はこれらの組み合わせにより該化合物を揮発させる工程を含む成膜方法。
  2. 前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物の沸点が、該化合物の分解点よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物がカルボン酸を有する化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成膜方法。
  4. 前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物がイミダゾール環を有する化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. 前記ブレンステッド酸とブレンステッド塩基からなる化合物が、室温で固体である、又は、室温で液体であって22℃での粘度が3mPa・s以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の成膜方法。
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