JP6341542B2 - 光アイソレータ用光学部品 - Google Patents

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本発明は、光学用接着剤を介しファラデー回転子とガラス偏光子が貼り合わされた光アイソレータ用光学部品に係り、特に、高温高湿環境の長期耐久試験下において光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子とファラデー回転子が分離することがなく、しかも、ガラス偏光子と光学用接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡等が発生し難い光アイソレータ用光学部品の改良に関するものである。
光アイソレータは、光通信用のレーザ光源に用いられるもので、レーザ光源から出た光がレーザ光源に戻るのを防止するために用いられる。このため、レーザ光源から出た光が、光ファイバーに導かれる順方向の損失が0.5dB以下と小さく、光ファイバーからレーザ光源に導かれる逆方向の損失が40dB以上と大きい特徴を持っている。
このような特性を実現させるため、光アイソレータには偏光子とファラデー回転子が不可欠である。また、特殊なケースを除けば、少なくとも2枚の偏光子と1枚のファラデー回転子が使われる。
小型光アイソレータ用のファラデー回転子としては、現在、Bi置換型希土類ガーネットが工業的に利用可能な唯一の材料である。
また、最も一般的な偏光子としては、ガラス偏光子が用いられ、ガラス偏光子の中でも、所謂、吸収型偏光子(ガラス中のハロゲン化金属粒子を伸長して形成した微小針状金属におけるプラズモン吸収の偏光依存性を利用した吸収型偏光子)に分類されるガラス偏光子が用いられる。
そして、光アイソレータ用光学部品としての偏光子とファラデー回転子は、通常、2枚の大判偏光子(標準的には光透過面が11×11mm、厚さ0.2mm)と1枚の大判ファラデー回転子(標準的には光透過面が11×11mm、厚さ0.5mm)を、光学用接着剤を用いて「偏光子/ファラデー回転子/偏光子」の順に貼り合わせ、かつ、上記接着剤を硬化させた後、ダイシング装置を用いて切断(分割)し、チップ化して適用する方法が採られている。
尚、光学用接着剤としては、熱硬化型のエポキシ樹脂が一般的に使用されるが、UV(紫外線)硬化型の樹脂が使用される場合もある。
ところで、上記ファラデー回転子に用いられるBi置換型希土類ガーネット(以後、単に「ファラデー回転子」と略記する)の屈折率は、光通信で最も一般的な波長1.55μm帯において「2.3」で、光学用接着剤として広く用いられているエポキシ接着剤の屈折率「1.5」と一致しないため、光学用接着剤側に位置するファラデー回転子の表面には対接着剤用の反射防止膜が設けられている(特許文献1参照)。一方、上記偏光子に用いられるガラス偏光子の屈折率は、波長1.55μm帯において「1.5」であり、上記エポキシ接着剤の屈折率と概ね一致しているため、特許文献2に記載されているように光学用接着剤側に位置する偏光子の接着面に反射防止膜を設ける必要がなく、上記接着面とは反対側に位置する偏光子の表面に対空気用の反射防止膜が設けられている。
そして、接着面に対接着剤用の反射防止膜が設けられていない大判偏光子と、接着面に対接着剤用の反射防止膜が設けられている大判ファラデー回転子を、上記光学用接着剤を用いて貼り合わせ、かつ、上記接着剤を硬化させる際、温度の上昇に伴って接着剤の粘度が低下する。そして、接着剤の硬化が開始される直前の粘度とその時の荷重に依存して接着層の厚さが1〜20μm程度になる。すなわち、低粘度の接着剤を用い、荷重をかけて接着剤を硬化させた場合に最も薄い接着層が形成される。
そして、光学用接着剤を介し積層された大判偏光子(ガラス偏光子)と大判ファラデー回転子から成る積層体を、ダイシング装置を用いて「0.5mm×0.5mm」〜「1.5mm×1.5mm」程度の大きさのチップに分割した後、様々なホルダーや磁石を組み合わせて光アイソレータ製品が製造されている。
特開2003−057404号公報(段落番号0006−0007参照) 特開2013−054323号公報(段落番号0023参照)
ところで、光学用接着剤を介しファラデー回転子とガラス偏光子が貼り合わされた光アイソレータ用チップ(光アイソレータ用光学部品)は、耐久試験(環境試験)において特性を維持することが求められる。
そして、光学用接着剤を用いて組み立てられた光アイソレータ用チップ(光アイソレータ用光学部品)にとって最も過酷な環境試験は高温高湿試験である。
高湿度条件下においては、含水、加水分解等に起因して光学用接着剤の分解、変質が伴うため、光アイソレータ用チップ(光アイソレータ用光学部品)を構成するガラス偏光子とファラデー回転子が分離し、あるいは、ガラス偏光子と接着剤界面でのミクロな剥離に起因して気泡を生ずることがあり、耐久試験(環境試験)による光学的な損失変動のリスクが存在する。
そして、殆どのエポキシ樹脂では、高温高湿環境の長期耐久試験において少なからず含水が生じる。ファラデー回転子とガラス偏光子との間に介在する接着層は厚さが1〜20μm程度、面の大きさは「0.5mm×0.5mm」〜「1.5mm×1.5mm」であるため、面の大きさに較べて厚さは(500:1)程度の比率になっている。
このような薄膜の接着層が高温高湿環境に晒されると、接着層には周辺部分から水分が浸み込むことになり、特に、ガラス偏光子と接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡を発生する等の問題を引き起こす。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、高温高湿環境の長期耐久試験下において光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子とファラデー回転子が分離することがなく、しかも、ガラス偏光子と光学用接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡等が発生し難い光アイソレータ用光学部品を提供することにある。
本発明者は、高温高湿環境の上記長期耐久試験において光アイソレータ用チップ(光アイソレータ用光学部品)を構成する偏光子とファラデー回転子が分離し、あるいは、偏光子と接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡が発生してしまう原因について調査を行い、かつ、その改善策を検討した。
まず、適用された光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が長期耐久試験における温度条件を越えている場合、長期耐久試験の高温高湿度条件下において光学用接着剤の変形が起こり難いことから、ガラス偏光子またはファラデー回転子と接着剤の界面における接着強度が極めて弱くなり、光アイソレータ用チップ(光アイソレータ用光学部品)に軽く触れただけでガラス偏光子とファラデー回転子の分離が起こり易いことが確認された。
他方、適用された光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が上記長期耐久試験における温度条件より低い場合、長期耐久試験の高温高湿度条件下においてガラス偏光子と接着剤との界面における最も脆弱な部位からミクロな剥離が起こり、この剥離に起因した気泡等が生じていることが確認され、かつ、気泡が生じたガラス偏光子の表面状態を調べたところ該表面に超微細な傷が存在していることが確認された。尚、超微細な傷は、ガラス材料(ガラス偏光子)の製造過程における表面研磨処理に起因するものであり、目視にて判別できない傷であった。そして、長期耐久試験の高温高湿度条件下において超微細な傷が残るガラス偏光子の接着面と接着剤との界面周辺から水分が浸み込み易いことから、超微細な傷が上記気泡を生じさせるミクロな剥離を引き起こす原因であると考えられた。
そこで、ガラス偏光子とファラデー回転子が分離しないようにガラス転移温度(Tg)が長期耐久試験における温度条件(通常85℃)より低い光学用接着剤を適用し、かつ、ガラス偏光子表面の超微細な傷をSiO2単層膜で埋めて表面状態の改善を図ったところ、上記問題が解消されることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
少なくとも1枚のファラデー回転子と少なくとも1枚のガラス偏光子が光学用接着剤を介して貼り合わされた光アイソレータ用光学部品において、
上記光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下であり、かつ、上記光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の光アイソレータ用光学部品において、
上記ファラデー回転子の他方側面に光学用接着剤を介し水晶から成る波長板が貼り合わされており、かつ、光学用接着剤側に位置する波長板の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴し、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の光アイソレータ用光学部品において、
上記光学用接着剤がエポキシ系樹脂で構成されていることを特徴とするものである。
少なくとも1枚のファラデー回転子と少なくとも1枚のガラス偏光子が光学用接着剤を介して貼り合わされた本発明に係る光アイソレータ用光学部品は、
上記光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下であり、かつ、上記光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴としている。
そして、光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下で、長期耐久試験における温度条件を上記ガラス転移温度(Tg)が越えていないため、長期耐久試験の高温高湿度条件下において光学用接着剤が軟化かつ流動化し、光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子とファラデー回転子の分離現象を防止することが可能となる。
また、光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成され、ガラス偏光子表面の超微細な傷がSiO2単層膜により埋められて表面状態の改善が図られているため、長期耐久試験の高温高湿度条件下においてガラス偏光子と接着剤との界面における最も脆弱な部位(超微細な傷)からのミクロな剥離が回避され、該剥離に起因した気泡の発生も防止することが可能となる。
図1(A)は本発明の実施例1に係る光アイソレータ用光学部品が組み込まれた光アイソレータの概略斜視図、図1(B)は図1(A)の丸で囲まれたa部における拡大図、図1(C)は図1(A)の丸で囲まれたb部の拡大図。 図2(A)は比較例2に係る光アイソレータ用光学部品が組み込まれた光アイソレータの概略斜視図、図2(B)は図2(A)の丸で囲まれたa部の拡大図、図2(C)は図2(A)の丸で囲まれたb部の拡大図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(1)長期耐久試験における光アイソレータ用光学部品の故障形態
本発明者が、光学用接着剤を介しファラデー回転子とガラス偏光子が貼り合わされた従来の光アイソレータ用光学部品について様々なエポキシ系接着剤を用いて長期耐久試験を行ったところ、光アイソレータ用光学部品の故障形態には、大別すると以下の2種類が存在することが確認された。
すなわち、高温高湿環境の長期耐久試験によりガラス偏光子またはファラデー回転子と接着剤の界面における接着強度が極めて弱くなり、光アイソレータ用光学部品に軽く触れるだけでガラス偏光子とファラデー回転子が分離してしまう第一の故障形態と、高温高湿環境の長期耐久試験によりガラス偏光子と接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡が生ずる第二の故障形態である。
(2)光アイソレータ用光学部品の故障形態を引き起こす原因
(2-1)第一の故障形態を引き起こす光学用接着剤は、硬度が高く、かつ、ガラス転移温度(Tg)が85℃を越える接着剤、すなわち、長期耐久試験における温度条件(通常85℃)を越えている接着剤であることが確認された。
一方、第二の故障形態を引き起こす光学用接着剤は、比較的硬度は高いが、ガラス転移温度(Tg)が85℃以下の接着剤、すなわち、長期耐久試験における温度条件以下の接着剤であることが確認された。
(2-2)そこで、光アイソレータ用光学部品の光学用接着剤(エポキシ系接着剤)を選択する際、上記ガラス転移温度(Tg)が85℃を越える光学用接着剤とガラス転移温度(Tg)が85℃以下の光学用接着剤の何れを選択した場合に改善を図ることができるかということになる。
(2-3)上記故障形態が引き起こされる原因は以下のように理解される。
長期耐久試験の高温高湿度条件下において、光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子とファラデー回転子との間に存在する光学用接着剤の周辺部分は、含水の結果、膨潤することとなる。上記膨潤は、光学用接着剤における厚みの増加をもたらす。
そして、光学用接着剤における周辺部分の厚みが増すと、ガラス偏光子とファラデー回転子間には引き剥がす方向の応力(剥離応力)が発生する。
このとき、ガラス転移温度(Tg)が85℃を越える光学用接着剤は、長期耐久試験の温度環境(85℃)下において軟化かつ流動化して変形することが困難なため、上記剥離応力の作用により接着強度が最も脆弱なガラス偏光子の接着面と光学用接着剤との界面から面的な剥離が起こりガラス偏光子とファラデー回転子が分離し易くなる。
他方、ガラス転移温度(Tg)が85℃以下の光学用接着剤は、長期耐久試験の温度環境(85℃)下において接着剤が軟化かつ流動化する一方、ガラス偏光子とファラデー回転子間の上記剥離応力が流動化した接着剤の圧力を下げるように作用して最も脆弱な部分からミクロな剥離を起こすが、上記接着剤の流動性が高いために接着剤内に気泡を生じさせて平均的な密度を低下させ、力学的な平衡状態に至らしめる。すなわち、ガラス偏光子と接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡を生じさせる。
(3)本発明に係る光アイソレータ用光学部品
(3-1)少なくとも1枚のファラデー回転子と少なくとも1枚のガラス偏光子が光学用接着剤を介して貼り合わされた本発明に係る光アイソレータ用光学部品は、上記光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下であり、かつ、上記光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴としている。
(3-2)上記ガラス偏光子の主成分はSiO2であり光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜を形成すると、ガラス転移温度(Tg)が85℃を越える光学用接着剤を適用した場合、接着強度を高く保つことができるが、上述したように長期耐久試験の温度環境(85℃)下において軟化かつ流動化して変形することが困難なため部分的な剥離が発生する。
(3-3)他方、光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成され、ガラス転移温度(Tg)が85℃以下の光学用接着剤を適用した場合、長期耐久試験の温度環境(85℃)下において接着剤が軟化かつ流動化するため接着強度が高く、しかもガラス偏光子表面の超微細な傷が上記SiO2単層膜により埋められて表面状態の改善が図られているため、長期耐久試験の高温高湿度条件下においてガラス偏光子と接着剤との界面における最も脆弱な部位(超微細な傷)からのミクロな剥離が回避され、該剥離に起因した気泡の発生も防止される。
尚、SiO2膜の屈折率は、波長1.55μm帯において「1.5」であり、ガラス偏光子および光学用接着剤(エポキシ系接着剤)と屈折率が整合しているため反射防止膜を形成する必要はない。
(4)変形例に係る光アイソレータ用光学部品
少なくとも1枚のファラデー回転子と少なくとも1枚のガラス偏光子が光学用接着剤を介し貼り合わされ、光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下で、上記光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成されている本発明に係る光アイソレータ用光学部品においては、上記ファラデー回転子の他方側面に光学用接着剤を介し水晶から成る波長板を貼り合わせ、かつ、光学用接着剤側に位置する波長板の表面にSiO2単層膜が形成された構造を採用してもよい。
上記構造を採用した場合、高温高湿環境の長期耐久試験下において光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子、ファラデー回転子および水晶から成る波長板が分離することがなく、しかも、上記波長板と光学用接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡等が発生し難い光アイソレータ用光学部品を提供することが可能となる。
尚、水晶から成る波長板が組み込まれた上記光アイソレータ用光学部品は、例えば、波長可変機能と高速変調機能を合わせたレーザ光源に用いることができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例と比較例の内容に限定されるものではない。
[実施例1]
光透過面が11mm角である2枚の大判ガラス偏光子[HOYA CANDE OPTRONICS(株)社製 商品名「CUPO」]2、4と、光透過面が11mm角である1枚の大判ファラデー回転子[(株)グラノプト社製 「型番GTD1310LE」]3と、ガラス転移温度(Tg)が85℃以下の光学用接着剤[住友金属鉱山(株)社製エポキシ接着剤 製品名「EK-7030n」,ガラス転移温度(Tg)=70℃]を用意し、上記大判ガラス偏光子2、4の一方の面に対空気用反射防止膜5、8をそれぞれ形成し、かつ、他方の面にSiO2単層膜6、7をそれぞれ形成すると共に、上記大判ファラデー回転子3の両面に対接着剤用反射防止膜9、10を形成した。
そして、上記光学用接着剤11を用いて「大判ガラス偏光子2/大判ファラデー回転子3/大判ガラス偏光子4」の順に貼り合わせ、かつ、120℃の温度で上記接着剤11を加熱硬化させた後、切断後の光透過面が1.0mm角になるようにダイシング装置を用いて切断(分割)、チップ化し、光アイソレータ用光学部品を製造した。
そして、得られた光アイソレータ用光学部品の上下に磁石12、12を配置して、図1に示す実施例1に係る光アイソレータ1を作製した。
このようにして作製された実施例1に係る光アイソレータ1を使用し、温度85℃、湿度80%の環境下に2000時間晒す高温高湿試験を実施したところ、2000時間が経過してもSiO2単層膜6、7と接着剤11の界面にミクロな剥離による気泡の発生はなく、かつ、光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子2、4とファラデー回転子3が分離することもなかった。
[比較例1]
ガラス転移温度(Tg)が85℃を越える光学用接着剤[Epoxy Technology,Inc製 商品名「EPO−TEK 353ND」,ガラス転移温度(Tg)=90℃]を適用した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る光アイソレータを作製した。
そして、実施例1と同様、温度85℃、湿度80%の環境下に2000時間晒す高温高湿試験を実施しところ、1000時間経過時にSiO2単層膜と接着剤との界面においてチップ(1.0mm角)面積の1/4に部分剥離(分離)が確認され、かつ、2000時間経過時にはチップ(1.0mm角)面積の1/2まで部分剥離(分離)が拡大した。
[比較例2]
光学用接着剤側に位置する表面にSiO2単層膜が形成されていないガラス偏光子を適用した以外は実施例1と同様にして、図2(A)に示す比較例2に係る光アイソレータを作製した。
そして、実施例1と同様、温度85℃、湿度80%の環境下に2000時間晒す高温高湿試験を実施しところ、1000時間経過時にガラス偏光子2、4と接着剤11の界面においてチップ(1.0mm角)面積の1/3にミクロな剥離による気泡が確認され、かつ、2000時間経過時にはチップ(1.0mm角)面積の1/2までミクロな剥離による気泡が拡大した。
本発明に係る光アイソレータ用光学部品によれば、高温高湿環境の長期耐久試験下において光アイソレータ用光学部品を構成するガラス偏光子とファラデー回転子が分離することがなく、しかも、ガラス偏光子と光学用接着剤界面でのミクロな剥離に起因した気泡等が発生し難いため、耐久試験(環境試験)に晒される光アイソレータ用光学部品として用いられる産業上の利用可能性を有している。
1 光アイソレータ
2 ガラス偏光子
3 ファラデー回転子
4 ガラス偏光子
5 対空気用反射防止膜
6 SiO2単層膜
7 SiO2単層膜
8 対空気用反射防止膜
9 対接着剤用反射防止膜
10 対接着剤用反射防止膜
11 光学用接着剤
12 磁石

Claims (3)

  1. 少なくとも1枚のファラデー回転子と少なくとも1枚のガラス偏光子が光学用接着剤を介して貼り合わされた光アイソレータ用光学部品において、
    上記光学用接着剤のガラス転移温度(Tg)が85℃以下であり、かつ、上記光学用接着剤側に位置するガラス偏光子の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴とする光アイソレータ用光学部品。
  2. 上記ファラデー回転子の他方側面に光学用接着剤を介し水晶から成る波長板が貼り合わされており、かつ、光学用接着剤側に位置する波長板の表面にSiO2単層膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ用光学部品。
  3. 上記光学用接着剤がエポキシ系樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光アイソレータ用光学部品。
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