JP6340762B2 - アンダーフィル材を用いた電子部品装置の製造方法、アンダーフィル材、及び電子部品装置 - Google Patents
アンダーフィル材を用いた電子部品装置の製造方法、アンダーフィル材、及び電子部品装置 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、従来のエポキシ樹脂組成物を先塗布方式のアンダーフィル材として使用した場合、反応速度が遅く、熱圧着による硬化には長い時間が必要である。
また、熱圧着に時間がかかるためボイドが発生し易く、接続性及び信頼性が不充分であった。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いた従来のアンダーフィル材は、硬化時間の短縮は可能になるものの接着力が低く、このようなアンダーフィル材を用いて得られた電子部品装置は接続性及び信頼性が不充分であった。
そのため、先塗布方式に適用され、硬化時間の短縮が可能であり、かつボイドの発生を充分に低減できるアンダーフィル材が要求されているが、未だ得られていないのが現状である。
<1> 電子部品と配線基板とを接続部を介して電気的に接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であり、
前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、アンダーフィル材を付与する付与工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、かつ前記アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含み、
前記アンダーフィル材が、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含む、
電子部品装置の製造方法。
前記アンダーフィル材は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含み、かつ、
前記アンダーフィル材は、前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、前記アンダーフィル材を付与する付与工程と、前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、かつ前記アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を有する製造方法に用いられる、
アンダーフィル材。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「室温で液体」とは、25℃で流動性を示す状態であることを意味する。
本明細書において「液体」とは、流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において、0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。
本明細書において「アンダーフィル材の粘度」とは、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のレオメーターを用いて、温度25℃で測定される。
本明細書において(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の双方、又は、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基のいずれかを意味する。
本発明の電子部品装置の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」と称する。)は、電子部品と配線基板とを接続部を介して電気的に接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であり、前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方に、アンダーフィル材を付与する付与工程と、前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、かつ前記アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含み、前記アンダーフィル材が、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含む、電子部品装置の製造方法である。
本発明の製造方法における付与工程は、電子部品における配線基板と対向する面及び配線基板における電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方にアンダーフィル材を付与する工程である。
接続部の材質は特に制限されず、はんだ等に通常使用される材質から選択することができる。環境問題の観点から、Cuはんだ、Auはんだ、無鉛はんだ等を使用してもよい。バンプは電子部品側に形成されていても、基板側に形成されていてもよい。バンプと回路電極との接続には、Ag−Cu系はんだ、Sn−Cu系はんだ、Sn−Bi系はんだ等のはんだを使用してもよい。
また、アンダーフィル材の揺変指数は、0.1〜100が好ましく、0.5〜50がより好ましく、1〜10が更に好ましい。なお、本発明におけるアンダーフィル材の揺変指数の測定方法は、以下の通りである。
25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度と、0.5s−1のせん断速度で測定したときの値の比(せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度)/(せん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度)を揺変指数とする。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
本発明における接続工程は、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、かつ本発明のアンダーフィル材を硬化する工程である。
また、加圧工程及び熱処理工程以外に、接続工程は、露光工程、超音波、マイクロ波、ラジオ波等により衝撃を与える工程などの他の工程を有していてもよい。
以下、接続工程について、付与工程及び熱処理工程を含む態様を例に詳細に説明する。
加圧工程は、電子部品と配線基板とが接続部を介して対向している状態で加圧して、電子部品と配線基板との間隙に本発明のアンダーフィル材を充填し、かつ、電子部品と基板とを接続部を介して接触させる工程である。
熱処理工程は、電子部品と配線基板とが接続部を介して接触している状態で熱処理して、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、かつ本発明のアンダーフィル材を硬化する工程である。
接続工程は、必要に応じてアンダーフィル材の硬化をより充分なものとするため、加圧工程及び熱処理工程以外の他の工程として露光工程を含んでいてもよい。露光工程は、熱処理工程における熱処理と共に行なってもよいし、熱処理工程が終了した後に別工程として行なってもよい。
なお、以下に示す実施形態においては、配線基板の電子部品と対向する側の面に本発明のアンダーフィル材を付与する態様を例に説明する。また、バンプは電子部品側に設けられており、当該バンプを介して電子部品と配線基板とが接続される。しかしながら、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図1において、1は半導体チップ(電子部品)、2ははんだバンプ(接続部)、3は接続パッド、4はソルダーレジスト、5は配線基板、6はアンダーフィル材である。
以上の工程を経ることで、本発明の電子部品装置が製造される。
本発明のアンダーフィル材は、本発明の製造方法に用いられるアンダーフィル材であり、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含む。
本発明のアンダーフィル材はエポキシ樹脂を含有する。
本発明において使用可能なエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に制限されるものではない。本発明におけるエポキシ樹脂としては、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。また、本発明のアンダーフィル材が室温で液状となるように、室温で液状のエポキシ樹脂を用いてもよいし、室温で固形のエポキシ樹脂と室温で液状のエポキシ樹脂とを併用してもよい。
これらのエポキシ樹脂は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ当量は、秤量したエポキシ樹脂をメチルエチルケトン等の溶媒に溶解させ、酢酸と臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加えた後、過塩素酸酢酸標準液によって電位差滴定することにより測定される。この滴定時には、指示薬を用いてもよい。
本発明のアンダーフィル材はエポキシ樹脂硬化剤を含有する。
本発明において使用可能なエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂と硬化反応が可能な化合物であれば特に制限されるものではない。本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤としては、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されているエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。本発明のアンダーフィル材が室温で液体となるように、室温で固体又は液体のどちらか一方のエポキシ樹脂硬化剤を用いてもよいし、両方を併用してもよい。
本発明のアンダーフィル材は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有し、該エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基を有する化合物を含む。
炭素数1〜18の2価の炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれない。
ペンテニルジアクリレート、テトラヒドロフルフリルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF型ジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート等のジアクリル化合物等の二官能アクリル化合物、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート等の多官能アクリル化合物、
上記した単官能アクリル化合物、二官能アクリル化合物、又は多官能アクリル化合物が有するアクリロイル基を、メタクリロイル基に置換したメタクリル化合物などが挙げられる。
本発明のアンダーフィル材は、無機充填剤を含有する。
本発明において使用可能な無機充填剤は、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材に、一般的に使用されている無機充填剤であれば特に制限されるものではない。無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミ、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、これらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。更に、難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。これらの無機充填剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、シリカが球形であるとは、真球度が0.7以上の条件を満たすことをいう。真球度の測定方法としては、例えば、電子顕微鏡で画像処理を行い、観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値とする方法を用いることができる。
無機充填剤の体積平均粒子径が10μm以下であれば、アンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性が向上してボイドの発生及びアンダーフィル材の未充填がより起こり難くなる傾向がある。更に、電子部品と配線基板との接続部に無機充填剤が噛み込み難く、接続不良がより発生し難くなる傾向がある。また、無機充填剤の体積平均粒子径が0.1μm以上であれば、大きく増粘し難くなる傾向がある。
本発明のアンダーフィル材は、反応開始剤を含有してもよい。
本発明のアンダーフィル材が反応開始剤を含有する場合、本発明において使用可能な反応開始剤は特に制限されず、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている反応開始剤を用いることができる。ここで、本発明における反応開始剤とは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の硬化反応を、熱、光等のエネルギー付与に生起したラジカルにより開始させうる化合物を意味する。また、本発明のアンダーフィル材が室温で液状となるように、室温で固体又は液体のどちらか一方の反応開始剤を用いてもよいし、両方を併用してもよい。
本発明のアンダーフィル材は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、必要に応じて用いられる反応開始剤、及び無機充填剤に加えて、必要に応じて、更に、各種添加剤を含んでもよい。
本発明のアンダーフィル材は、樹脂成分と無機充填剤の濡れ性向上の観点から必要に応じてカップリング剤を含有してもよい。本発明において使用可能なカップリング剤は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されるものではない。
本発明のアンダーフィル材は、フラックス機能を付与するために必要に応じてフラックス剤を含有してもよい。
本発明におけるフラックス剤としては、従来から当技術分野で用いられてきたハロゲン化水素酸アミン塩等を用いてもよい。その他、本発明における好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシ基を有する化合物、トリメリット酸等のカルボンキシル基を含む酸無水物、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、1分子にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物などが挙げられる。
本発明のアンダーフィル材は、耐熱衝撃性向上及び電子部品に対する応力低減等の観点から、必要に応じて可とう剤を含有してもよい。可とう剤としては特に制限はない。
なお、エポキシ樹脂〔(A)成分〕の一態様である前記エポキシ樹脂とゴム粒子との反応により得られた変性エポキシ樹脂は、可とう剤として含有されるゴム粒子には包含されない。
シリコーンゴム粒子としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等の直鎖状のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子;該シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆したもの、乳化重合等で得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルを含むコア−シェル重合体粒子などが挙げられる。これらのシリコーンゴム粒子の形状は無定形であっても球形であってもよく、アンダーフィル材の成形性の観点からその粘度を低く抑えるためには、球形のシリコーンゴム粒子を用いることが好ましい。
シリコーンゴム粒子は、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、信越化学工業株式会社等から市販品が入手可能である。
本発明のアンダーフィル材は、形状保持性を向上させる観点から、必要に応じて揺変付与剤を含有してもよい。揺変付与剤としては、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等が挙げられる。
シリカ粒子の表面を処理するためのカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムジルコニウム化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、アルキルシランをカップリング剤として用いることが好ましい。
本発明のアンダーフィル材は、フィレット性を向上させる観点から必要に応じて界面活性剤を含有してもよい。
本発明において使用可能な界面活性剤は、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤であれば特に制限されるものではない。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系、グリセリン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルアミン系、アルキルアルカノールアミド系、ポリエーテル変性シリコーン系、アラルキル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系、ポリアクリル系等の界面活性剤が挙げられ、中でもポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン系界面活性剤が、アンダーフィル材の表面張力低減に効果的である傾向にある。
これらの界面活性剤は、市販品として、BYK−307、BYK−333、BYK−377、BYK−323(ビックケミー・ジャパン株式会社商品名)等が入手可能である。
これらのオルガノシロキサンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社、商品名BY16−799、BY16−871、BY16−004、信越化学工業株式会社、商品名X−22−1821、KF−8010等が、市販品として入手可能である。
本発明のアンダーフィル材は、耐湿性、及び高温放置特性を向上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤を含有してもよい。
(一般式(II−1)中、xは0<x≦0.5であり、mは正数である。)
BiOx(OH)y(NO3)z (II−2)
(一般式(II−2)中、xは0.9≦x≦1.1、yは0.6≦y≦0.8、zは0.2≦z≦0.4である。)
イオントラップ剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、イオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、前記無機充填剤と同様の方法を用いて測定される。
本発明のアンダーフィル材は、上記各種成分を均一に分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって、本発明のアンダーフィル材を得ることができる。
本発明の製造方法により製造された電子部品装置、及び本発明のアンダーフィル材を用いて製造された電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本発明のアンダーフィル材で封止して得られる電子部品装置などが挙げられる。
本発明のアンダーフィル材は、硬化時間を短縮することが可能となり、かつボイドの発生を低減できることから、バンプのピッチ幅の狭いフリップチップボンディング用途にも好適に用いることができる。本発明のアンダーフィル材は、例えば、バンプのピッチ幅が10μm〜200μmのバンプ接続に特に好適である。
(A)エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量160g/eqのビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、商品名「YDF−8170C」)
・エポキシ樹脂2:ゴム粒子(アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合物(JSR株式会社、商品名「XER−91P」))をビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、商品名「YDF−8170C」)に質量比1/4で予め加熱混融し分散させた、エポキシ当量200g/eqの変性エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂硬化剤1:5−ヒドロキシイソフタル酸と2−エチル−4−メチルイミダゾールとを含有する包接錯体(日本曹達株式会社、開発品名「HIPA−2E4MZ」)
・エポキシ樹脂硬化剤2:マイクロカプセル化されたアミンをビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂に分散させたエポキシ樹脂硬化剤(旭化成ケミカルズ株式会社、商品名「ノバキュアHXA3792」)
・エポキシ樹脂硬化3:無水酸当量234g/eqの環状酸無水物(三菱化学株式会社、商品名「YH306」)
(c1)エチレン性不飽和二重結合を1つのみ有する化合物
・アクリル化合物1:グリシジルメタクリレート(共栄社化学株式会社、商品名「ライトエステルG」)(メタクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物)
・アクリル化合物2:ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成株式会社、商品名「FA−513AS」
(c2)エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物
・アクリル化合物3:イソシアヌル酸変性多官能アクリレート(日立化成株式会社、開発品名「FA−731AT」)
・アクリル化合物4:ビスフェノールF型エチレンオキシド変性ジアクリレート(日本化薬株式会社、商品名「KAYARAD R−712」)
・アクリル化合物5:ジシクロペンタジエン変性ジアクリレート(新中村化学株式会社、商品名「A−DCP」)
・アリルナジイミド化合物:ビスアリルナジイミド(丸善石油化学株式会社、商品名「BANI−M」)
・無機充填剤:体積平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μm、表面をカップリング剤処理した球状溶融シリカ粒子(アドマテックス株式会社、商品名「SE−2050−SEJ」)
・反応開始剤:1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(化薬アクゾ株式会社、商品名「トリゴノックス22−70E」)
・カップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・フラックス剤:アジピン酸
・可とう剤:カルボキシ基末端ブタジエン−アクリロニトリル−メタクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体(ピイ・ティ・アイ・ジャパン株式会社、商品名「CTBNX 1009SP」)
・揺変付与剤:体積平均粒子径12nmの粉末シリカ(日本アエロジル株式会社、商品名「R−805」)
上記の成分をそれぞれ表1及び表2に示す質量部で配合し、三本ロール及びらいかい機にて混練分散した後、真空脱泡して、実施例及び比較例のアンダーフィル材を作製した。なお表中の配合単位は質量部である。
200℃の熱板上に0.05mlのアンダーフィル材を滴下し、スパチュラで広がりすぎないようにかき混ぜた。滴下した後、アンダーフィル材の粘度が上がり、スパチュラを上に持ち上げた時に糸引きなく切れるまでの時間をゲル化時間(秒)とした。
レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、商品名「AR2000」)を用い、25℃に保たれたアンダーフィル材について、せん断速度が5.0s−1で測定したときの値を粘度(Pa・s)とした。尚、レオメーターとして、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着したものを用い、温度25℃で測定した。
シリコンウエハ上にSiN膜を成膜した試験片の表面に、アンダーフィル材を直径3mm高さ3mmに成形した試験片を作製し、ボンドテスター(DAGE社、商品名「DS100」)を用いて、ヘッドスピード50μm/sec、25℃の条件でせん断応力をかけ、試験片がSiN膜から剥離する強度(MPa)を測定した。測定値を接着力とした。
熱機械分析装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、商品名「TMAQ400」)を用い、アンダーフィル材を175℃、1時間の条件で硬化した試験片を荷重1g、測定温度−30℃〜220℃、昇温速度5℃/分の条件で測定した。ガラス転移温度以下の熱膨張係数をCTE1、ガラス転移温度以上の熱膨張係数をCTE2とした。
配線基板(サイズ:14mm×14mm×0.30mm、コア層:E−679FG(日立化成株式会社商品名)、ソルダーレジスト:AUS−308(太陽ホールディングス株式会社商品名)、基板メッキ:Ni(5.0μm)+Pd(0.30μm)+Au(0.35μm))のチップ搭載部に、ディスペンサー(ニードル径0.3mm)を用いて、アンダーフィル材を1つのクロス形状に更に他のクロス形状を45°ずらして重ねた形状になるように約3mg塗布した。50℃に加熱したステージ上にアンダーフィル材を塗布した配線基板を置き、チップ(サイズ:7.3mm×7.3mm×0.15mm、バンプ:銅(高さ30μm)+はんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)、バンプピッチ:80μm、バンプ数:328)を搭載し、加重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、175℃、1時間の条件で硬化することで半導体装置を得た。
−評価基準−
A:ボイド面積が全面積の1%以下
B:ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下
C:ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下
D:ボイド面積が全面積の20%を超える
上記方法にて作製した半導体装置を、120℃で12時間加熱乾燥した後、30℃、70%RHの条件下で192時間吸湿させ、遠赤外線加熱方式のリフロー炉(予熱150℃〜180℃で50秒、ピーク温度:260℃、250℃以上の加熱時間40秒)中を3回通した後、超音波探傷装置を用いて観察を行った。その後、アンダーフィル材とチップ及び基板との剥離、アンダーフィル材のクラックの有無を確認し、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を耐リフロー性とした。
比較例1及び2と実施例を比較すると、実施例は接着力が高く、耐リフロー性が優れていることが分かる。これは実施例のアンダーフィル材中には接着力に優れるエポキシ樹脂を含有しているためであると考えられる。
比較例3と実施例を比較すると、実施例はゲル化時間が同等か又は短く、ボイド性が優れていることが分かる。これは実施例のアンダーフィル材中には硬化性に優れるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有しているためであると考えられる。
2 はんだバンプ(接続部)
3 接続パッド
4 ソルダレジスト
5 配線基板
6 アンダーフィル材
Claims (15)
- 電子部品と配線基板とを接続部を介して電気的に接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であり、
前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、アンダーフィル材を付与する付与工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、かつ前記アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含み、
前記アンダーフィル材が、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含み、前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物以外に、(メタ)アクリル化合物、アリルナジイミド化合物、及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物を含み、
前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物が、下記一般式(I−1)で表される化合物を含む、
電子部品装置の製造方法。
一般式(I−1)中、R 11 は水素原子又はメチル基を表す。 - 前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物の含有率が、前記(A)エポキシ樹脂及び前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して10質量%以上である請求項1に記載の電子部品装置の製造方法。
- 前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(c1)エチレン性不飽和二重結合を1つのみ有する化合物と(c2)エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物とを含む請求項1又は請求項2に記載の電子部品装置の製造方法。
- 前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物に対する前記(A)エポキシ樹脂の質量比〔(A)/(C)〕が0.4〜1.6である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電子部品装置の製造方法。
- 前記(D)無機充填剤の体積平均粒子径が、0.1μm〜10μmである請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の電子部品装置の製造方法。
- 前記(D)無機充填剤の含有率が、前記アンダーフィル材の全量に対して20質量%以上である請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の電子部品装置の製造方法。
- 前記(A)エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂とゴム粒子との反応物である変性エポキシ樹脂を含む請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の電子部品装置の製造方法。
- 電子部品と配線基板とを接続部を介して電気的に接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法に用いられるアンダーフィル材であり、
前記アンダーフィル材は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物及び(D)無機充填剤を含有し、かつ前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物を含み、前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物以外に、(メタ)アクリル化合物、アリルナジイミド化合物、及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる1以上の化合物を含み、前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物が、下記一般式(I−1)で表される化合物を含み、かつ、
前記アンダーフィル材は、前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、前記アンダーフィル材を付与する付与工程と、前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、かつ前記アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を有する製造方法に用いられる、
アンダーフィル材。
一般式(I−1)中、R 11 は水素原子又はメチル基を表す。 - 前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合とエポキシ基とを有する化合物の含有率が、前記(A)エポキシ樹脂及び前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して10質量%以上である請求項8に記載のアンダーフィル材。
- 前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(c1)エチレン性不飽和二重結合を1つのみ有する化合物と(c2)エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物とを含む請求項8又は請求項9に記載のアンダーフィル材。
- 前記(C)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物に対する前記(A)エポキシ樹脂の質量比〔(A)/(C)〕が0.4〜1.6である請求項8、請求項9又は請求項10に記載のアンダーフィル材。
- 前記(D)無機充填剤の体積平均粒子径が、0.1μm〜10μmである請求項8、請求項9、請求項10又は請求項11に記載のアンダーフィル材。
- 前記(D)無機充填剤の含有率が、アンダーフィル材の全量に対して20質量%以上である請求項8、請求項9、請求項10、請求項11又は請求項12に記載のアンダーフィル材。
- 前記(A)エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂とゴム粒子との反応物である変性エポキシ樹脂を含む請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12又は請求項13に記載のアンダーフィル材。
- 請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13又は請求項14に記載のアンダーフィル材を用いて製造された前記アンダーフィル材の硬化物を電子部品と配線基板との接続部に有する電子部品装置。
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