JP2017014453A - 先供給型アンダーフィル材、その硬化物、それを用いた電子部品装置及びその製造方法 - Google Patents

先供給型アンダーフィル材、その硬化物、それを用いた電子部品装置及びその製造方法 Download PDF

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真也 中村
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Tomoya Masuda
智也 増田
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Abstract

【課題】高温での硬化反応の速度が速く、中温領域においては優れた低吸湿性、低反応性、耐熱性を有して反応の開始が抑制され、圧着時にボイド、剥離の発生を抑制可能な先供給型アンダーフィル材、その硬化物、それを用いた電子部品装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)ラジカル重合性化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)無機充填材と、(D)可とう剤を含有し、前記(D)可とう剤が式(I)で表される先供給型アンダーフィル材。
Figure 2017014453

(R及びRはH又はメチル基;R及びRはC2p+1;pは1〜8の整数;m及びnは各々独立に正の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、先供給型アンダーフィル材、その硬化物、それを用いた電子部品装置及びその製造方法に関する。
従来から、トランジスタ、IC、LSI等の、電子部品装置の素子封止の分野では、生産性、コスト等の面から樹脂による封止が主流であり、これに用いる樹脂としてエポキシ樹脂が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂は、作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。
COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等のベアチップ実装した電子部品装置においては、室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂組成物が広く使用されている。また、セラミック、ガラス/エポキシ樹脂、ガラス/イミド樹脂、ポリイミドフィルム等を基板とする配線基板上に、半導体素子を直接バンプ接続してなる電子部品装置(フリップチップ)においても、バンプ接続した半導体素子と配線基板の間隙(ギャップ)を充填するアンダーフィル材として、室温で液状のエポキシ樹脂組成物が使用されている。
ベアチップ実装は回路形成面が充分に保護されていないため、水分及びイオン性不純物が浸入し易い。また、フリップチップ実装では、半導体素子と配線基板とでそれぞれ熱膨張係数が異なることから、接続部に熱応力が発生し易い。そのため、エポキシ樹脂組成物は、温湿度又は機械的な外力から電子部品を保護するために重要な役割を果たしている。
アンダーフィル材としては、エポキシ樹脂を硬化性成分として含有するものが知られている。例えば、エポキシ樹脂の硬化促進剤としてイミダゾール化合物を使用するエポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、エポキシ樹脂の硬化促進剤としてイミダゾール化合物の周囲を熱硬化性樹脂による被膜で被覆して得られる微細球粒子又はアミンアダクト粒子の少なくとも一方を使用するエポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が報告されている。
アンダーフィル材の充填方式としては、はんだ表面の酸化膜を除去するためにフラックス処理し、リフロー等の方法で半導体素子と配線基板とを金属接合させた後に、半導体素子と配線基板との空隙(ギャップ)に、毛細管現象を利用して、室温で液状のエポキシ樹脂組成物を浸透させるキャピラリーアンダーフィル方式が一般的である(後供給型アンダーフィル材)。通常、フラックス剤は酸性の化合物を含有しており、気泡(ボイド)及び腐食の原因となるため、半導体素子と配線基板とを接合した後に、洗浄し除去する必要がある。そのため、キャピラリーアンダーフィル方式は工程数が多くなり、生産性に劣る。また、洗浄では除去しきれずにフラックス剤の残渣が存在する場合は、電子部品装置の信頼性が低下する。また、今後益々狭ピッチ化が進むことが予測されており、ギャップが狭くなることにより、充填が不十分となりやすく、またボイドが発生しやすくなる。これらにより、半導体素子と配線基板とを接合させた後に、冷却時に生じる応力で接合部が破壊されやすくなることが懸念されている。
そこで、半導体素子と配線基板との接合の前に、液体又はフィルム状のアンダーフィル材を配線基板上に供給し、金属バンプを有する半導体素子を熱圧着して、半導体素子と配線基板との接合とアンダーフィル材の硬化反応とを一括して行う先供給方式が考案されている(先供給型アンダーフィル材)。先供給方式は、接合とともにアンダーフィル材が硬化し、すぐさま接合部が保護されるため、狭ピッチ化への対応に優れる特長がある。
特公平7−53794号公報 特許第3446730号公報
先供給型アンダーフィル材として従来のエポキシ樹脂組成物を用いようとすると、次の課題がある。
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化触媒及び硬化剤の少なくとも一方とを含有し、熱を加えることによってエポキシ基の開環重合反応が起こり高分子量化する。そのため、エポキシ樹脂組成物は硬化するまでには多少の時間が必要であり、生産性が低下する傾向がある。特に、先供給方式の場合、50〜100℃程度の中温領域のホットプレートで加熱された配線基板又は電子部品に、アンダーフィル材が供給される。そのため、硬化するまでに時間がかかると、配線基板、電子部品等の上に付着する水分、揮発性の化合物等を起因とするボイドが発生しやすい傾向がある。ボイドは剥離、クラック等の不良の原因となり、信頼性を低下させる可能性がある。
また、エポキシ樹脂組成物では、中温領域で反応が徐々に進行してしまう。その結果、粘度が上昇し、粘度上昇に伴う巻き込みボイドが発生する懸念がある。更に、中温領域でエポキシ樹脂組成物が徐々に硬化し、半導体基板と電子部品との接続が困難になることがある。
先供給方式では、パッケージ(PKG)形態によってはアンダーフィル材がホットプレート上で長時間保持されることがある。したがって、中温領域においての耐熱性も必要となっている。一方で、先述の通り、短時間での硬化も必要である。つまり、中温領域においては低吸湿性、低反応性が要求され、高温領域では速硬化性が要求されるという、相反する特徴が求められる。
アンダーフィル材の反応機構を従来のエポキシ開環反応からラジカル重合反応に変更することは、アンダーフィル材の硬化反応の速度を向上するためには有効な手段である。しかしながら、ラジカル重合の反応機構を有するアンダーフィル材であっても、中温領域で反応が徐々に進行してしまい粘度が上昇する傾向があり、粘度上昇に伴う巻き込みボイドが発生する懸念がある。
そこで、本発明は、高温での硬化反応の速度が速く、中温領域においては優れた低吸湿性、低反応性を有して反応の開始が抑制され、ホットプレート上で長時間放置された場合においても、圧着時にボイドや剥離の発生を抑制可能な先供給型アンダーフィル材、その硬化物、それを用いた電子部品装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、次のものに関する。
[1] (A)ラジカル重合性化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)無機充填材と、(D)可とう剤を含有し、前記可とう剤(D)が下記一般式(I)で表される構造単位を有する先供給型アンダーフィル材。
Figure 2017014453
(一般式(I)において、R、Rは水素またはメチル基を表し、R、RはC2p+1であり、pは1〜8の整数であり、m、nは、それぞれ独立に正の整数である。)
[2] 前記(D)可とう剤の重量平均分子量が、10,000〜200,000である、上記[1]に記載の先供給型アンダーフィル材。
[3] 上記[1]又は[2]に記載の先供給型アンダーフィル材を硬化して得られる先供給型アンダーフィル材の硬化物。
[4] 上記[3]に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物を有する電子部品装置。
[5] 電子部品と配線基板とを接合部を介して電気的に接合することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であり、前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面又は、前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方の面に、上記[1]又は[2]に記載の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを接合部を介して接合し、かつ前記先供給型アンダーフィル材を硬化する接合工程と、を含む、電子部品装置の製造方法。
[6] 電子部品と、前記電子部品と対向して配置され、前記電子部品に接合部を介して電気的に接合される配線基板と、前記電子部品と前記配線基板との間に配置される、上記[3]に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を含有する電子部品装置。
本発明によれば、高温での硬化反応の速度が速く、中温領域においては優れた低吸湿性、低反応性と耐熱性を有して反応の開始が抑制され、ホットプレート上で長時間放置された場合においても、圧着時にボイドや剥離の発生を抑制可能な先供給型アンダーフィル材、その硬化物並びにそれを用いる電子部品装置の製造方法及び電子部品装置が提供される。
25℃で液体のアンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程を説明する断面図である。 25℃でフィルム状のアンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程を説明する断面図である。
以下、本発明の先供給型アンダーフィル材、その硬化物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、アンダーフィル材中の各成分の量は、アンダーフィル材中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、アンダーフィル材中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
更に、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<先供給型アンダーフィル材>
本発明の先供給型アンダーフィル材は、(A)ラジカル重合性化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)無機充填材と、一般式(I)で表される特定の(D)可とう剤を含有する。本発明の先供給型アンダーフィル材は、圧着時にボイドの発生を抑制でき、高温での硬化反応の速度が速く、中温領域(50〜100℃程度)においては優れた耐熱性を有する。すなわち、中温領域において反応の開始が抑制される。その理由は以下のように推察される。
ラジカル重合反応は、エポキシ開環反応に比べて反応速度が速い。そのため、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性化合物を硬化性成分として含有し、ラジカル重合開始剤を硬化開始剤として含有する本発明の先供給型アンダーフィル材は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有する従来のアンダーフィル材に比較して、硬化速度が速いと推察される。
また、本発明の先供給型アンダーフィル材は、一般式(I)で示される構造単位を有する(D)可とう剤を含有する。特定の(D)可とう剤は、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性化合物に対する濡れ性が高く、相溶性に優れ、熱安定性が向上する。また、不飽和二重結合を有する基は、エポキシ基等とは異なり、熱に対して比較的安定であることから、中温領域に長時間放置しても反応が抑えられて安定的に存在するため、耐熱性が向上すると考えられる。
尚、本発明の先供給型アンダーフィル材は、室温で液体であっても、フィルム状であってもよく、室温で液体であることが好ましい。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。本明細書において「室温で液体」とは、25℃で流動性を示す状態であることを意味する。更に本明細書において「液体」とは流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において0.0001〜1000Pa・sである物質を意味する。本明細書において「粘度」とは、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
尚、中温領域において反応が開始しているか否かは、25℃で液体の先供給型アンダーフィル材の場合には、中温領域での加熱前後の粘度変化、示差走査熱量測定(DSC)でのピーク変化(反応挙動の変化)等により確認することができ、25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材の場合には、硬さの変化等により確認することができる。
以下、本発明の先供給型アンダーフィル材を構成する各成分について説明する。
(A)ラジカル重合性化合物
本発明で用いられるラジカル重合性化合物は、特にその化合物の骨格は限定されるものではなく、分子中に不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。本発明で用いられるラジカル重合性化合物としてはレドックス重合性化合物、エマルジョン乳化重合化合物、(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。本発明で用いられるラジカル重合性化合物は、電子部品装置への適用性、硬化速度のコントロール性、アンダーフィル材のハンドリング性を考えると(メタ)アクリレート化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の先供給型アンダーフィル材中に含有される全ラジカル重合性化合物の総量に占める(メタ)アクリレート化合物以外のその他のラジカル重合性化合物の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、実質的にその他のラジカル重合性化合物は含有されていないことが好ましい。
ラジカル重合性化合物としての(メタ)アクリレート化合物は、特に限定されるものではなく、従来から公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。本発明においては、(メタ)アクリレート化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレート化合物を併用する場合の(メタ)アクリレート化合物の組み合せについては特に限定はなく、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを併用することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味し、(メタ)アクリル基とは、アクリル基又はメタクリル基を意味する。
本発明において用いられる多官能(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれるアクリル基又はメタクリル基の数が2個以上の化合物であれば、特に制限はない。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ポリカーボネートアクリレート、ウレタンアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリメタクリレート、ポリカーボネートメタクリレート、及びウレタンメタクリレートが挙げられる。
また、上記化合物の他、下記構造式(II)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。中でも、下記構造式(II)で示される液状の2官能(メタ)アクリレート化合物が、良好な熱時流動性を付与できる点で好ましい。
なお、下記構造式(II)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、下記構造式(III)で示される2官能(メタ)アリレート化合物又は下記構造式(IV)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
Figure 2017014453
構造式(II)中、Rは2価の有機基を表し、R及びRは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、m及びnは各々独立に1以上の整数を表す。
構造式(II)中、Rで表される2価の有機基としては、炭素数が1〜5のアルキレン基が好ましく、添加する化合物の粘度の観点から1〜2がより好ましい。
Figure 2017014453
構造式(III)中、R、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、m及びnは各々独立に1以上の整数である。
Figure 2017014453
構造式(IV)中、R、Rは各々独立に水素原子又はメチル基を表し、p及びqは各々独立に1以上の整数である。
本発明で用いられる単官能(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれるメタクリル基の数が1個の化合物であれば、特に制限はない。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−8−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−9−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ダイマージオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート及びエチレンオキシド変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)クリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステルが挙げられる。
本発明において、多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを併用する場合、多官能(メタ)アクリレート化合物の合計量と単官能(メタ)アクリレート化合物の合計量の比(質量基準)が10:1〜1:2であることが好ましく、5:1〜1:1であることがより好ましく、3:1〜2:1であることが更に好ましい。
本発明では、応力緩和性に優れ、接着力がより向上する観点から、官能基当量が100〜1300(g/官能基eq)であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことが好ましく、官能基当量が250〜800であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことがより好ましく、耐熱性及び接着力の観点から官能基当量が300〜700であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことが更に好ましい。
一般的に、官能基当量の数値が高いほど、硬化反応によって形成された架橋構造は疎になり応力緩和性は向上するが、応力緩和性とトレードオフの関係にある熱時の優れた接着性は低下する傾向にある。また官能基数が少ない場合も同様である。応力緩和性と優れた接着性を両立する観点から、ラジカル重合性化合物の官能基数は1〜3であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。これにより、応力緩和に優れ、且つ、優れた接着性を有する先供給型アンダーフィル材が得ることができる。
ここで、官能基当量とは、理論分子量を官能基数で除した値又はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された1分子の重量平均分子量を不飽和二重結合の数で割ったものと定義する。その範囲に収まる分子であればその骨格は特定するものではない。官能基当量が上記の範囲内であるラジカル重合性化合物は、例えば、末端に官能基を有し、かつ、分子内に長鎖の主鎖を有する化合物、分子内に長鎖の側鎖又は枝分れした嵩高い側鎖を有する化合物等が挙げられる。官能基当量が上記数値範囲内にあるラジカル重合性化合物を用いた場合、光又は熱による硬化反応によって形成された架橋構造が疎になる。末端に官能基を有し、かつ、分子内に長鎖の主鎖を有する化合物を用いた場合、官能基が末端にあるため反応点間が長くなり、これにより応力が緩和される傾向にある。また、長い側鎖、嵩高い側鎖が存在することで、それらの周りに空間が生じ、密な部分と疎な部分が生じる。これにより応力が緩和される傾向にある。このため、官能基当量が100〜1300であるラジカル重合性化合物を含む先供給型アンダーフィル材は、応力緩和性に優れ、接着力がより向上する。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、高速液体クロマトグラフィー(例えば、株式会社島津製作所製、製品名「C−R4A」)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP−H、PStQuick B[東ソー株式会社製、商品名])を用いて3次式で近似した。GPCの条件を、以下に示す。
装置:(ポンプ:L−2130型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])、
(検出器:L−2490型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])、
(カラムオーブン:L−2350[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])
カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成株式会社製、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:0.05mL/分
測定温度:25℃
官能基当量が250〜1300g/eqである(メタ)アクリレート化合物は、官能基当量が250未満である(メタ)アクリレート化合物と併用することが好ましい。官能基当量が250〜1300の(メタ)アクリレート化合物と、官能基当量が250未満の(メタ)アクリレート化合物との質量比は、1:1〜1:10であることが好ましく、1:2〜1:9であることがより好ましく、1:4〜3:7が更に好ましい。
(B)ラジカル重合開始剤
本発明の先供給型アンダーフィル材に含有される(B)成分のラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではなく、従来から公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、後述する有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレリニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒と過酸化物の組み合わせ又は過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上の併用も可能である。
中でも保管安定性の観点から、有機過酸化物を少なくとも一種含むことが好ましい。
有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−へキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
これらの中でも、特に中温領域での温度安定性の観点から有機過酸化物内にフェニル基を有するジアルキルパーオキサイド等が好ましく、中でもジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。
本発明の先供給型アンダーフィル材に含まれるラジカル重合開始剤の含有量は、全ラジカル重合性化合物の100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、硬化性の観点から0.5〜10質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が20質量部以下であると、揮発分が発生しにくく硬化中のボイドの発生がより抑制される傾向にある。また、ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性が十分となる傾向にある。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、90〜150℃が好ましく、硬化性の観点から100〜140℃がより好ましい。10時間半減期温度が90℃以上であれば、基板上に本発明の先供給型アンダーフィル材を供給した状態のままホットプレートのステージ上で放置しても、先供給型アンダーフィル材の硬化反応の開始が抑制される傾向にある。10時間半減期温度が150℃以下であれば、電子部品と配線基板とを接合部を介して接合する温度での先供給型アンダーフィル材の硬化速度をより確保できる傾向にある。その結果、ボイドの発生がより抑制される傾向にある。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、下記式により算出される。半減期温度は市販品のカタログに記載されているので、それを参照にしてもよい。
Figure 2017014453
τ: 半減期、C:定数、Ea:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度
10時間半減期の場合、半分の濃度になるτ(時間因子)が50%になる絶対温度を計算によって求めることができる。濃度の測定方法は、ヨード滴定法を用いて測定を行う。
(C)無機充填材
本発明の先供給型アンダーフィル材は、(C)成分として、無機充填材を含有する。
無機充填材としては、例えば、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミナ等のアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維を用いることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、微細間隙への流動性及び浸透性の観点からは球状シリカがより好ましい。
充填材は、中温領域での反応開始抑制効果の観点から、カップリング剤で処理されていることが好ましい。無機充填材の表面を処理するためのカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムジルコニウム化合物等の公知のカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、アクリロキシ基又はα置換アクリロキシ基を有する基であることが好ましく、下記一般式(V)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2017014453
一般式(V)中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基を示す。
一般式(V)における「Rの炭素数が1〜30のアルキレン基」には、置換基を有し炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基、非置換であって炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基、置換基を有し炭素数が3〜30の脂環式炭化水素基、非置換であって炭素数が3〜30の脂環式炭化水素基が含まれる。
なお、アルキレン基が置換基を有する場合、当該アルキレン基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
置換基を有し炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基及び非置換であって炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基等の脂肪族炭化水素基、及び該脂肪族炭化水素基をアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が3〜30の脂環式炭化水素基及び非置換であって炭素数が3〜30の脂環式炭化水素基として、具体的には、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基等の脂環式炭化水素基、及び該脂環式炭化水素基をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
不飽和二重結合を有するカップリング剤による表面処理は、予め無機充填材に表面処理を施した後で、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤等の成分と混合してもよいし(前処理方式)、表面処理を施す前の無機充填材を、不飽和二重結合を有する化合物とともに、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤等と混合することで表面処理してもよい(別添加方式)。中温領域において優れた耐熱性を有して反応の開始を抑制する観点からは、無機充填材を前処理方式により準備することが好ましい。
不飽和二重結合を有する化合物は、カップリング剤であってもよく、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤であることが好ましく、下記一般式(VI)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2017014453
一般式(VI)中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基を示し、Rは各々独立に炭素数1〜30のアルキル基を示す。
一般式(VI)におけるR及びRは、一般式(V)におけるR及びRとそれぞれ同義である。
一般式(VI)におけるRは、各々独立に炭素数1〜30のアルキル基を示し、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましい。
無機充填材の表面処理量は、無機充填材に対して質量比率で0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましい。表面処理量が無機充填材に対して質量比率で0.05質量%以上であると、電子部品の構成部材との接着性がより向上する傾向があり、5質量%以下であると、成形性、ボイド性及び中温領域での耐熱性がより向上する傾向がある。
無機充填材の平均粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがより好ましく、1μm以下とすることが更に好ましい。また、無機充填材の平均粒子径は0.1μm以上とすることが好ましい。無機充填材の平均粒子径が5μm以下であれば、本発明の先供給型アンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性がより向上して、ボイド及び未充填をより起こしにくくなり、且つ半導体素子と配線基板との接続部に無機充填材がより噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
本発明において、無機充填材の平均粒子径は、下記の方法を用いて粒径を階級、体積を度数とし、度数の累積で表記された積算分布において、積算分布が50%となる粒径を意味する。粒子の粒径を測定する方法としては、例えば、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い一括して多数の粒子を測定する方法、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒径を測定する方法等が挙げられる。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィー、流体力学クロマトグラフィー等の方法を用い、粒子を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また測定試料が硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
無機充填材の最大粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、圧着する電子部品における半導体素子の隙間の大きさの観点から20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。無機充填材の最大粒子径が20μm以下であると、本発明の先供給型アンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性がより向上して、ボイド及び未充填をより起こしにくくなり、且つ電子部品と配線基板との接続部に無機充填材が噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
無機充填材の最大粒子径は、以下の方法で測定される。
機充填剤の粒径を測定する方法としては、例えば、レーザー回折、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い同時に多数の粒子を測定する方法、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒径を測定する方法等が挙げられる。
本発明の先供給型アンダーフィル材の無機充填材の含有率は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、本発明の先供給型アンダーフィル材中、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。また、無機充填材の含有率は、本発明の先供給型アンダーフィル材中、70質量%以下であることが好ましい。無機充填材の含有率が20質量%以上であると、本発明の先供給型アンダーフィル材の硬化物の強度がより向上し、耐温度サイクル性等の信頼性がより向上する傾向がある。
本発明の先供給型アンダーフィル材では、本発明の効果が達成される範囲内であれば、無機充填材以外のその他の無機充填材を用いてもよい。全無機充填材中のその他の無機充填材の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましく、実質、その他の無機充填材を含まないこと(0.1質量%以下)が特に好ましい。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤の種類は特に特定するものではなく、従来公知の重合禁止剤を用いることができる。
重合禁止剤を含有する場合、該材料の含有率は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、本発明の先供給型アンダーフィル材中、0.05〜1質量%であることが好ましく、0.08〜0.7質量%であることがより好ましく、0.1〜0.5質量%であることが更に好ましい。重合禁止剤の含有率が0.05質量%以上であると、耐熱性がより向上する傾向があり、1質量%以下であると、ラジカル重合反応が阻害されにくい傾向にある。
(D)可とう剤
本発明の先供給型アンダーフィル材は、(D)成分の可とう剤を含有する。可とう剤はブロック共重合体であり、下記一般式(I)で表される構造単位を有する。
Figure 2017014453
(一般式(I)において、R、Rは水素またはメチル基を表し、R、RはC2p+1であり、pは1〜8の整数であり、m、nはそれぞれ独立に正の整数である。)
本発明で用いる可とう剤はポリメタクリル酸メチルとポリアルキル(メタ)アクリレートのブロック共重合体である。
そして、可とう剤は、重合平均分子量が10,000〜200,000であると好ましく、部分的に酸変性されていても良い。本発明で用いる可とう剤は、耐熱衝撃性向上及び電子部品に対する応力低減等の観点から用いる。
本発明で用いる可とう剤を構成するポリメタクリル酸メチルのTgは105℃であり、ポリメタクリル酸−n−ブチルのTgは、20℃、ポリメタクリル酸−t−ブチルのTgは、107℃、ポリメタクリル酸−iso−ブチルのTgは、48℃であるので、これらを考慮して組成比を決める。メタクリル酸メチルとメタクリル酸−n−ブチルの共重合体の場合、組成により共重合体のTgを20〜105℃の値にとることができる。
メタクリル酸メチルの透明性、耐光性とアクリル酸ブチルの柔軟性、接着性等、双方の特徴を有するメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体として、アルケマ社製のD51N、クラレ社製のLA1114が市販され、それを用いることができる。また、本発明の可とう剤を用いると、フィレット形状やPKGの外観に優れるという特徴も発現する。
上記アクリル系ブロック共重合体は、公知、慣用のブロック共重合体の製造方法により製造することができる。上記アクリル系ブロック共重合体の製造方法としては、アクリル系ブロック共重合体の分子量、分子量分布及び末端構造などを制御のしやすさの観点で、リビング重合(リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合など)が好ましい。上記リビング重合は公知、慣用の方法により実施可能である。
可とう剤として一般式(I)で表される構造単位を有する共重合体の粒子を用いる場合、該粒子の体積平均粒子径は、アンダーフィル材を充分変性するためには微細であることが好ましい。粒子の体積平均粒子径は0.05〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1〜5μmの範囲であることがより好ましい。粒子の体積平均粒子径が0.05μm以上であるとアンダーフィル材への分散性がより向上する傾向がある。粒子の体積平均粒径が10μm以下であると、低応力化改善効果がより向上する傾向があり、アンダーフィル材としての微細間隙への浸透性及び流動性が向上し、ボイド及び未充填を招き難くなる傾向がある。
粒子の体積平均粒子径は、前述の(C)無機充填材と同様の方法を用いて測定される。
本発明で用いる可とう剤の含有率は、アンダーフィル材の全量に対し1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。可とう剤の含有率が1質量%以上であると可とう剤の含有により得られる低応力化改善効果がより向上する傾向があり、可とう剤の含有率が30質量%以下であるとアンダーフィル材の初期の粘度が維持され、成形性が保持される傾向がある。
可とう剤として一般式(I)で表される構造単位を有する共重合体以外に、ゴム粒子を併用してもよい。ゴム粒子としては、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材に、一般的に使用されているゴム粒子を用いることができる。
好適なゴム粒子の例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、一般式(I)で表される構造単位を有する共重合体以外のアクリルゴム(AR)等のゴム粒子が挙げられる。
また、好適なゴム粒子の他の例としては、シリコーンゴム粒子が挙げられる。
シリコーンゴム粒子としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等の直鎖状のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子;該シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆したもの、乳化重合等で得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルを含むコア−シェル重合体粒子等が挙げられる。これらのシリコーンゴム粒子の形状は無定形であっても球形であってもよく、アンダーフィル材の成形性の観点からその粘度を低く抑えるためには、球形のシリコーンゴム粒子を用いることが好ましい。
シリコーンゴム粒子は、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、信越化学工業株式会社等から市販品が入手可能である。
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合、揺変付与剤を含有してもよい。
本発明で用いられる揺変付与剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている揺変付与剤であれば特に制限されるものではない。揺変付与剤としては、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等が挙げられる。
本発明の先供給型アンダーフィル材に揺変付与剤を含有することによって、先供給方式の液体のアンダーフィル材として使用した場合に、ボイド性がより向上する傾向がある。すなわち、配線基板にアンダーフィル材を塗布したときに、アンダーフィル材が形状を保持できずに流動してしまうとボイドを巻き込みやすくなる傾向があるが、揺変付与剤を含有することによって、アンダーフィル材がより流動しにくくなり、ボイド性がより向上する傾向がある。
上記揺変付与剤の中でも、取扱い性、成形性及びボイドの発生の低減の観点から、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等を用いることが好ましい。
長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩としては、例えば、ANTI−TERRA−U100(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)が市販品として入手可能であり、不飽和ポリカルボン酸ポリマーとしては、例えば、BYK−P105(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。
揺変付与剤としての微粉末シリカは、平均一次粒子径が5〜200nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。また、表面をシリコーンオイル又はカップリング剤で処理したものを用いてもよい。微粉末シリカとしては、平均一次粒径が12nmで、ジメチルシランで表面処理したR974(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が12nmで、トリメチルシランで表面処理したRX200(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が12nmで、ジメチルシロキサンで表面処理したRY200(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が14nmで、ジメチルシロキサンで表面処理したR202(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が12nmで、アミノシランで表面処理したRA200H(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が12nmで、アルキルシランで表面処理したR805(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が12nmで、メタクリロキシシランで表面処理したR7200(日本アエロジル株式会社製、商品名)、平均一次粒径が50nmでありフェニルシランで表面処理したYA050C−SP3(アドマテックス株式会社製、商品名)等が市販品として入手可能である。
揺変付与剤としての破砕シリカは、平均粒子径が10nm以下であることが好ましく、7.5nm以下がより好ましく、5.5nm以下が更に好ましい。また、樹脂内部への分散性及び破砕シリカ自身の凝集性の観点から、破砕シリカの平均粒子径は4.5nm以上であることが好ましい。また、破砕シリカの表面をシリコーンオイル又はカップリング剤処理したものを用いてもよい。破砕シリカとしては、例えば、MC3000(アドマテックス株式会社製、商品名)が市販品として入手可能である。
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃でフィルム状の場合、高分子成分を含有することが好ましい。
本発明で用いられる高分子成分は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている高分子成分であれば特に制限されるものではない。高分子成分としては、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルゴムが挙げられる。これらの中でも耐熱性及びフィルム形成性に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム、シアネートエステル樹脂及びポリカルボジイミド樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びアクリルゴムがより好ましい。これらの高分子成分は1種単独で又は2種以上の混合物又は共重合体として使用することもできる。高分子成分は市販品を用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。より具体的には、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モル又はほぼ等モル混合し(各成分の添加順序は任意)、反応温度を80℃以下、好ましくは0〜60℃に設定して付加反応させるとよい。なお、アンダーフィル材の諸特性の低下を抑えるため、上記のテトラカルボン酸二無水物は無水酢酸で再結晶精製処理されていることが好ましい。
高分子成分のガラス転移温度(Tg)は、アンダーフィル材の貼付性に優れる観点から、100℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。Tgが100℃以下である場合には、電子部品に形成されたバンプや、配線基板に形成された電極や配線パターン等の凹凸をアンダーフィル材により埋め込み易くなり、気泡が残存することがなくボイドが発生しにくい傾向がある。なお、上記Tgとは、DSC(示差走査熱量計、Differential scanning calorimetry、パーキンエルマー社、DSC−7型)を用いて、サンプル量10mg、昇温速度10℃/分、測定雰囲気:空気の条件で測定したときのTgである。
良好なフィルム形成性を示すために、高分子成分の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,000以上であることが好ましく、30,000以上がより好ましく、40,000以上が更に好ましく、50,000以上が特に好ましい。重量平均分子量が10,000以上であると、フィルム形成性及び耐熱性が向上する傾向がある。
高分子成分の含有量は特に制限されないが、フィルム状を良好に保持する観点から、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、高分子成分を含有する場合、1〜500質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましく、10〜200質量部であることが更に好ましい。高分子成分の含有量が1質量部以上であると、フィルム形成性の向上効果が得られ易い傾向があり、500質量部以下であると、アンダーフィル材の硬化性が向上し、接着力が向上する傾向がある。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、フラックス剤を含有してもよい。
本発明の先供給型アンダーフィル材にフラックス機能を付与するために、必要に応じてフラックス剤を使用することができる。本発明において使用可能なフラックス剤は、従来から用いられてきたハロゲン化水素酸アミン塩等を用いることができる。本発明において好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から例えば、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物、トリメリット酸等のカルボキシ基を含む酸無水物、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、1分子にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物、金属スルホン酸塩、金属カルボニル酸塩等の有機酸塩、キノリノール誘導体などが挙げられる。より好ましくは、有機酸又は有機酸塩が挙げられる。
本発明の先供給型アンダーフィル材がフラックス剤を含有する場合、フラックス剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の先供給型アンダーフィル材がフラックス剤を含有する場合、フラックス剤の含有率はフラックス機能が発現する量であれば特に制限はなく、本発明の先供給型アンダーフィル材中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。フラックス剤の含有率が0.1質量%以上であると、はんだの濡れ性が十分であり接続抵抗がより低くなる傾向がある。フラックス剤の含有率が10質量%以下であると、ボイドがより発生しにくくなり、耐マイグレーション性等の信頼性がより向上する傾向がある。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、耐湿性及び高温放置特性をより向上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤を含有することができる。本発明において使用可能なイオントラップ剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではなく、例えば、下記一般式(VII)又は(VIII)で表される化合物が挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO ・・・(VII)
BiO(OH)(NO ・・・(VIII)
一般式(VII)中、xは0<x≦0.5であり、mは正数である。
一般式(VIII)中、xは0.9≦x≦1.1、yは0.6≦y≦0.8、zは0.2≦z≦0.4である。
上記のイオントラップ剤は市販品として入手可能である。例えば、上記一般式(VII)の化合物は、協和化学工業株式会社製、商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、上記一般式(VIII)の化合物は、東亞合成株式会社製、商品名IXE500として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の先供給型アンダーフィル材がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有率はラジカル重合性化合物全量に対して、0.1〜5.0質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。また、イオントラップ剤の平均粒子径は0.1〜3.0μmが好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。
本発明で用いる場合のイオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、前記無機充填材と同様の方法を用いて測定される。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、25℃で液体の場合、フィレット性をより向上させる観点から、必要に応じて界面活性剤を使用することができる。
本発明において使用可能な界面活性剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤であれば特に制限されるものではない。非イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、アラルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン界面活性剤、ポリアクリル界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。なかでもポリエーテル変性シリコーン界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン界面活性剤が本発明の先供給型アンダーフィル材の表面張力低減に効果がある。
これらの界面活性剤は、市販品としてBYK−307、BYK−333、BYK−377、BYK−323(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)等が入手可能である。
また、界面活性剤としてシリコーン変性エポキシ樹脂を用いることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は、室温(25℃)で液状であることが好ましい。エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとしては、アミノ基、カルボキシ基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等を1分子中に少なくとも1個有するジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノシロキサンは、市販品として東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名BY16−799、BY16−871、BY16−004、信越化学工業株式会社製、商品名X−22−1821、KF−8010等が入手可能である。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したオルガノシロキサンの重量平均分子量は、500〜5,000の範囲が好ましく、1,000〜3,000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が500以上であると、樹脂との相溶性が過剰に向上することが抑制され、添加剤としての効果がより発揮されやすい傾向にある。重量平均分子量が5,000以下であると、樹脂との相溶性の低下が抑えられ、シリコーン変性エポキシ樹脂の硬化物からの分離及び染み出しが発生しにくく、接着性及び外観をより損なわない傾向にある。
上記シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂としては、本発明の先供給型アンダーフィル材に相溶するものであれば特に制限されず、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの一種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂は、室温で液状のものが好ましい。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤などを必要に応じて使用することができる。
本発明の先供給型アンダーフィル材の揺変指数は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
本発明におけるアンダーフィル材の揺変指数は、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s−1のせん断速度での粘度)/(5.0s−1のせん断速度での粘度)の値とした。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
25℃で液体のアンダーフィル材は、25℃における粘度が、10〜150Pa・sであることが好ましく、20〜130Pa・sであることがより好ましく、30〜110Pa・sであることが更に好ましい。また、50〜100℃程度の中温領域における粘度は0.1〜20Pa・sであることが好ましく、0.5〜15Pa・sであることがより好ましく、1〜10Pa・sであることが更に好ましい。硬化の際の高温領域における粘度は、0.1〜10Pa・sであることが好ましく、0.3〜8Pa・sであることがより好ましく、0.5〜5Pa・sであることが更に好ましい。
<本発明の先供給型アンダーフィル材の製造方法>
(25℃で液体の先供給型アンダーフィル材の製造方法)
25℃で液体の先供給型アンダーフィル材は、上記各種成分を分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いて調製してもよい。一般的な手法として、所定の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって、液体の先供給型アンダーフィル材を得ることができる。
(25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材の製造方法)
25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材は、上記成分を含めば、いかなる手法を用いて作製してもよい。例えば、所定の成分を秤量し、攪拌混合、混錬等により、溶解又は分散させて、樹脂ワニスを調製する。その後、離型処理を施した基材フィルム上に、樹脂ワニスをナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター等を用いて塗布した後、加熱により有機溶媒を除去することにより、基材フィルム上にフィルム状のアンダーフィル材が得られる。
樹脂ワニスの調製に用いる有機溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、及び酢酸エチルが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス調製の際の攪拌混合や混錬は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材フィルムとしては、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム及びポリエーテルイミドフィルムを例示できる。基材フィルムは、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合、それぞれの層は、互いに異なる材質であってもよいし、同じ材質であってもよい。
基材フィルムへ塗布した樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させる際の乾燥条件は、有機溶媒が十分に揮発する条件とすることが好ましく、具体的には、50〜200℃、0.1〜90分間の加熱を行うことが好ましい。
<電子部品装置及びその製造方法>
本発明の電子部品装置は、電子部品と、前記電子部品と対向して配置され、前記電子部品に接合部を介して電気的に接合される配線基板と、前記電子部品と前記配線基板との間に配置される本発明の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を有する。
本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて得られる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本発明の先供給型アンダーフィル材で封止して得られる電子部品装置等が挙げられる。
特にリジッド若しくはフレキシブル配線板又はガラス板上に形成した配線に、半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした電子部品装置が対象となる。具体的な例としては、フリップチップBGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等の電子部品装置が挙げられ、本発明の先供給型アンダーフィル材は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。
本発明の先供給型アンダーフィル材が特に好適なフリップチップの分野としては、配線基板と電子部品の半導体素子を接続する接続部のバンプ材質がSn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体素子であり、従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだによるバンプ接続をしたフリップチップに対しても良好な信頼性を維持できる。
本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて電子部品を封止する方法としては、電子部品における配線基板と対向する側の面又は配線基板における電子部品と対向する側の面の少なくとも一方の面に、本発明の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、電子部品と配線基板とを接合部を介して接合し、かつ先供給型アンダーフィル材を硬化する接合工程と、を含む方式が挙げられる。供給工程において、先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合には、先供給型アンダーフィル材を塗布し、25℃でフィルム状の場合には、貼付する。また、接合工程において電子部品と配線基板との接続は、アンダーフィル材の硬化と一括して行ってもよい。
以下、先供給方式による電子部品装置の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の先供給方式による電子部品装置の製造方法は、電子部品と配線基板とを接続部の金属バンプを介して接合することで電子部品装置を製造するものであって、前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面又は前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に本発明の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、前記電子部品と前記配線基板とを前記接続部の金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に本発明の先供給型アンダーフィル材を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記接続部の金属バンプを介して接触させる加圧工程と、前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記接続部の金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記前記電子部品と前記配線基板とを前記接続部の金属バンプを介して接合させ、かつ、本発明の先供給型アンダーフィル材を硬化する接合工程(熱処理工程)とを有していてもよい。
以下、図面を参照しながら先供給方式による電子部品装置の製造方法について説明する。
図1は、25℃で液体の先供給型アンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程断面図である。なお、図1の電子部品装置の製造方法においては、配線基板の電子部品と対向する側の面に先供給型アンダーフィル材を付着させる態様について説明する。また、金属バンプは電子部品側に設けられており、当該金属バンプを介して電子部品と配線基板とが接合される。しかし、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1において、1は半導体チップ(電子部品)、2ははんだバンプ、3は接続パッド、4はソルダーレジスト、5は配線基板、6は封止材(本発明の先供給型アンダーフィル材)である。
まず、図1(a)において、配線基板5の接続パッド3の設けられた側(配線基板5の半導体チップ1と対向する側)の面に本発明の先供給型アンダーフィル材である封止材6を塗布する(付着工程)。封止材6の塗布方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられる。封止材6の塗布領域としては、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の全域に塗布してもよいし、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布してもよい。封止材6を配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布することで配線基板5と半導体チップ1とをはんだバンプ2を介して接触させる際に封止材6が流動して配線基板5と半導体チップ1との間に充填されるため好ましい。封止材6の配線基板5への塗布パターンとしては、配線基板5の半導体チップ1の配置される領域の対角線に沿ってクロス形もしくダブルクロス形が好ましい。
次いで、図1(b)において、半導体チップ1と配線基板5とをはんだバンプ2を介して加圧しながら対向させることで、半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させ、かつ、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる(加圧工程)。
半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの荷重量が0.001〜100Nが好ましく、0.005〜50Nがより好ましく、0.01〜10Nが更に好ましい。
また、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの荷重量が0.002〜200Nが好ましく、0.01〜100Nがより好ましく、0.02〜20Nが更に好ましい。この加圧条件下において、後述の熱処理工程での半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とのはんだバンプ2を介した接合を実施してもよい。
前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とがはんだバンプ2を介して加圧して接触する状態で熱処理して半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接合させ、かつ、封止材6を硬化する(熱処理工程)。
加熱条件としては、150〜350℃が好ましく、220〜300℃がより好ましく、240〜270℃が更に好ましい。この際に、封止材6が硬化する。
更に、必要に応じて封止材6の硬化を充分なものとするため、120〜200℃の範囲で0.5〜6時間加熱してもよい。
以上の工程を経ることで、本発明の電子部品装置が製造される。
図2は、25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、配線15を有する基板20上に、接続バンプ30を形成する位置に開口を有するソルダーレジスト60を形成する。このソルダーレジスト60は必ずしも設ける必要はない。基板20上にソルダーレジストを設けることにより、配線15間のブリッジの発生を抑制し、接続信頼性及び絶縁信頼性を向上させることができる。ソルダーレジスト60は、例えば、市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキを用いて形成することができる。市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキとしては、具体的には、SRシリーズ(日立化成株式会社製、商品名)及びPSR4000−AUSシリーズ(太陽インキ製造株式会社製、商品名)が挙げられる。
次に、図2(a)に示すように、ソルダーレジスト60の開口に接続バンプ30を形成する。そして、図2(b)に示すように、接続バンプ30及びソルダーレジスト60が形成された基板20上に、フィルム状の本発明のアンダーフィル材(以下、場合により「フィルム状アンダーフィル材」という。)40を貼付する。フィルム状アンダーフィル材40の貼付は、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等によって行うことができる。フィルム状アンダーフィル材40の供給面積や厚みは、半導体チップ(電子部品)10及び基板20のサイズや、接続バンプ30の高さによって適宜設定される。
上記のとおりフィルム状アンダーフィル材40を基板20に貼り付けた後、半導体チップ10の配線15と接続バンプ30とをフリップチップボンダー等の接続装置を用いて、位置合わせする。続いて、半導体チップ10と基板20とを接続バンプ30の融点以上の温度で加熱しながら圧着し、図2(c)に示すように、半導体チップ10と基板20とを接続すると共に、フィルム状アンダーフィル材40によって半導体チップ10及び基板20間の空隙を封止充填する。以上により、電子部品装置600が得られる。
本実施形態の電子部品装置の製造方法では、位置合わせをした後に仮固定し(電子部品接着剤を介している状態)、リフロー炉で加熱処理することによって、接続バンプ30を溶融させて半導体チップ10と基板20とを接続してもよい。仮固定の段階では、金属接合を形成することが必ずしも必要ではないため、上記の加熱しながら圧着する方法に比べて低荷重、短時間、低温度による圧着でよく、生産性が向上すると共に接続部の劣化を抑制することができる。
また、半導体チップ10と基板20とを接続した後、オーブン等で加熱処理を行って、更に接続信頼性及び絶縁信頼性を高めてもよい。加熱温度は、フィルム状アンダーフィル材の硬化が進行する温度が好ましく、完全に硬化する温度がより好ましい。加熱温度及び加熱時間は適宜設定され、好適な加熱条件は、25℃で液状の先供給型アンダーフィル材の場合と同様である。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜12及び比較例1〜13]
実施例及び比較例に使用した成分は以下の通りである。尚、表1中、「−」は、その成分を含有しないことを意味する。
実施例及び比較例に用いた原材料を下記に示す。
(A)ラジカル重合性化合物
・アクリル化合物1:A−DCP(新中村化学工業株式会社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)
・アクリル化合物2:DCP(新中村化学工業株式会社製、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)
・アクリル化合物3:ABE−300(新中村化学工業株式会社製、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)
・アクリル化合物4:UA−13(新中村化学工業株式会社製、ウレタンアクリレート)
・アクリル化合物5:HOA−MPE(N)(共栄社化学株式会社製、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸)
・アクリル化合物6:4HBAGE(日本化成株式会社製、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル)
(D)可とう剤
・可とう材1:D51N(アルケマ社製、変性ポリメタクリル酸メチル−ポリブチルアクリレートブロック共重合体)
・可とう材2:LA1114(株式会社クラレ製、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)のブロック共重合体)
・可とう材3:RICON130MA8(クレイバレー社製、マレイン酸変性液状ポリブタジエン)
・可とう材4:YSレジン TO−85(ヤスハラケミカル株式会社製、芳香族変性テルペン重合体)
・可とう材5:L−5(日塗化学株式会社製、クマロン−インデン−スチレン共重合体)
(B)ラジカル重合開始剤、(C)無機充填材及びその他の添加剤
・添加剤1:Parkadox BC−FF(火薬アクゾ株式会社製、ジクミルパーオキサイド)
・添加剤2:SUMIRIZER GM(住友化学株式会社製、2−t−ブチル−6−(3−t−butyl−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート)
・添加剤3:アジピン酸(旭化成ケミカルズ株式会社製)
・添加剤4:OFS−6030(東レ・ダウコーニング株式会社製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
・添加剤5:R805(日本アエロジル株式会社製、体積平均粒子径12nmの粉末シリカ)
・無機充填材:SE−2050−SMJ(株式会社アドマテックス製、体積平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μmでメタクリレートシランカップリング処理(3−メタクリロキシプロピル基を有するシランカップリング剤により処理)された球状シリカ)
上記の成分をそれぞれ表1〜表2に示した質量部で配合し、三本ロール及び、らいかい機にて混練分散した後、真空脱泡して、実施例及び比較例のアンダーフィル材を作製した。尚、表中の配合単位は質量部である。
Figure 2017014453
Figure 2017014453
実施例1〜12及び比較例1〜13のアンダーフィル材を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表3〜4に示した。
(ボイド性)
配線基板(サイズ:縦14mm、横14mm、厚み0.30mm、コア層:E−679FG(高Tgガラスエポキシ多層材料、日立化成株式会社製、商品名)、ソルダーレジスト:AUS−308(太陽インキ製造株式会社製、商品名)、基板メッキ:Ni(5.0μm)+Pd(0.30μm)+Au(0.35μm))のチップ搭載部に、ディスペンサー(ニードル径0.3mm)を用いて、アンダーフィル材を1つのクロス形状に更に他のクロス形状を45°ずらして重ねた形状になるように約3mg塗布し、70℃に加熱したステージ上にアンダーフィル材を塗布した配線基板を置いた。ステージ上に5分、30分、60分、90分放置した後、チップ(サイズ:縦7.3mm、横7.3mm、厚み0.15mm、バンプ:銅(高さ30μm)+はんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)、バンプピッチ:80μm、バンプ数:328)を搭載し、荷重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、175℃、1時間の条件で硬化することで半導体装置を得た。得られた電子部品装置を、超音波探傷装置AT−5500(日立建機株式会社製)を用いて観察し、下記基準で放置後のボイド性を評価した。
A:ボイド面積が全面積の1%以下
B:ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下
C:ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下
D:ボイド面積が全面積の20%を超える
Figure 2017014453
Figure 2017014453
実施例の評価結果から明らかなように、本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて形成された電子部品装置は、放置時間を長くした場合においてもボイド占有率が小さく、ボイドレス性及びステージ安定性に優れることがわかる。すなわち、可とう材としてポリメタクリル酸メチル−ポリブチルアクリレート2元共重合体を用いた先供給型アンダーフィル材は優れたボイドレス性と作業性を発現可能である。
一方、比較材で可とう材として液状ポリブタジエン、芳香族変性テルペン重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体を用いた先供給型アンダーフィル材は、放置時間が短い場合には良好なボイドレスを示すが、放置時間が長くなるに従い、ボイド占有率が増加し、ステージ安定性に劣ることがわかる。
尚、実施例1〜12では、25℃において液体のアンダーフィル材を用いたが、25℃でフィルム状のアンダーフィル材を用いた場合も同様の効果が得られる。
1 半導体チップ(電子部品)
2 はんだバンプ
3 接続パッド
4 ソルダーレジスト
5 配線基板
6 封止材
10 半導体チップ(電子部品)
15 配線
20 基板
30 接続バンプ
40 フィルム状アンダーフィル材
60 ソルダーレジスト
600 電子部品装置

Claims (6)

  1. (A)ラジカル重合性化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)無機充填材と、(D)可とう剤を含有し、前記(D)可とう剤が下記一般式(I)で表される構造単位を有する先供給型アンダーフィル材。
    Figure 2017014453
    (一般式(I)において、R、Rは水素またはメチル基を表し、R、RはC2p+1であり、pは1〜8の整数であり、m、nはそれぞれ独立に正の整数である。)
  2. 前記(D)可とう剤の重量平均分子量が、10,000〜200,000である請求項1に記載の先供給型アンダーフィル材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の先供給型アンダーフィル材を硬化して得られる先供給型アンダーフィル材の硬化物。
  4. 請求項3に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物を有する電子部品装置。
  5. 電子部品と配線基板とを接合部を介して電気的に接合することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であり、
    前記電子部品における前記配線基板と対向する側の面又は、前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方の面に、請求項1又は請求項2に記載の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、
    前記電子部品と前記配線基板とを接合部を介して接合し、かつ前記先供給型アンダーフィル材を硬化する接合工程と、を含む、電子部品装置の製造方法。
  6. 電子部品と、前記電子部品と対向して配置され、前記電子部品に接合部を介して電気的に接合される配線基板と、前記電子部品と前記配線基板との間に配置される、請求項3に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を有する電子部品装置。
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