以下、本発明の先供給型熱硬化性アンダーフィル組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、アンダーフィル材中の各成分の量は、アンダーフィル材中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、アンダーフィル材中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
更に、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<先供給型アンダーフィル材>
本発明の先供給型アンダーフィル材は、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、及び無機充填材を含有する。本発明の先供給型アンダーフィル材は、高温領域での硬化反応の速度が速く、一方で中温領域では優れた熱安定性を有して反応の開始が抑制され、且つ硬化収縮が生じにくい。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
ラジカル重合反応は、エポキシ開環反応に比べて反応速度が速い。そのため、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性化合物を硬化性成分として含有し、ラジカル重合開始剤を硬化開始剤として含有する本発明の先供給型アンダーフィル材は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有する従来のアンダーフィル材に比較して、硬化速度が速いと推察される。
また、ラジカル重合反応を起こすラジカル反応部位(例えば、不飽和二重結合)は、エポキシ開環反応部位であるエポキシ基等とは異なり、熱に対して比較的安定であることから、中温領域に長時間放置しても反応が抑えられて安定的に存在するため、中温領域における熱安定性が向上すると考えられる。
しかしながら、ラジカル重合反応は、エポキシ開環反応に比べて硬化収縮の程度が大きく、硬化物中に大きな内部応力を生ずることがある。硬化物中の内部応力は硬化物の接着力を悪化させる原因ともなる。
そこで、本発明の先供給型アンダーフィル材では、無機充填材を含有する。無機充填材を含有することで硬化収縮が抑えられ、硬化の際に発生した応力を軽減する作用があると考えられる。硬化収縮が抑えられると、硬化後の先供給型アンダーフィル材は、被着体である電子部品及び配線基板からの剥離が抑えられて、被着体に付着した状態を維持できると考えられる。
尚、本発明の先供給型アンダーフィル材は、室温で液体であっても、フィルム状であってもよく、接着性の観点から、室温で液体であることが好ましい。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。本明細書において「室温で液体」とは、25℃で流動性を示す状態であることを意味する。更に本明細書において「液体」とは流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。本明細書において「粘度」とは、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
本明細書において「室温でフィルム状」とは、25℃において粘度が1000Pa・sを超え、そして200μm以下の厚みであることを意味する。
尚、中温領域において反応が開始しているか否かは、25℃で液体の先供給型アンダーフィル材の場合には、中温領域での加熱前後の粘度変化、示差走査熱量測定(DSC)でのピーク変化(反応挙動の変化)等により確認することができ、25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材の場合には、硬さの変化等により確認することができる。
以下、本発明の先供給型アンダーフィル材を構成する各成分について説明する。
(ラジカル重合性化合物)
本発明で用いられるラジカル重合性化合物は、特にその化合物の骨格は限定されるものではなく、分子中に不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。本発明で用いられるラジカル重合性化合物としてはレドックス重合性化合物、エマルジョン乳化重合化合物、(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。本発明で用いられるラジカル重合性化合物は、電子部品装置への適用性、硬化速度のコントロール性、アンダーフィル材のハンドリング性等を考えると(メタ)アクリレート化合物が好ましい。ラジカル重合性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリレート化合物を主成分として含むことが好ましい。
本発明の先供給型アンダーフィル材中に含有される全ラジカル重合性化合物の総量に占める(メタ)アクリレート化合物以外のその他のラジカル重合性化合物の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、実質的にその他のラジカル重合性化合物は含有されていないこと(0.1質量%以下)が好ましい。
ラジカル重合性化合物としての(メタ)アクリレート化合物は、特に限定されるものではなく、従来から公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。本発明においては、(メタ)アクリレート化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレート化合物を併用する場合の(メタ)アクリレート化合物の組み合せについては特に限定はなく、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種とを併用することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本発明において用いられる多官能(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれるアクリロイル基又はメタクリロイル基の数が2個以上の化合物であれば、特に制限はない。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ポリカーボネートアクリレート、ウレタンアクリレート、及び上記の多官能アクリレート化合物が有するアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した多官能メタクリレート化合物が挙げられる。
また、上記化合物の他、下記一般式(IV)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。中でも、下記一般式(IV)で示される液状の2官能(メタ)アクリレート化合物が、良好な熱時流動性を付与できる点で好ましい。
一般式(IV)中、R2は2価の有機基を表し、R3及びR4は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、m及びnは各々独立に1以上の整数を表す。
一般式(IV)中、R2で表される2価の有機基としては、炭素数が1〜5のアルキレン基が好ましく、一般式(IV)で表される化合物の粘度の観点から炭素数が1〜2のアルキレン基が更に好ましい。
なお、上記一般式(IV)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、下記一般式(IVa)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物又は下記一般式(IVb)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
一般式(IVa)中、R3及びR4は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、o及びpは各々独立に1以上の整数である。
一般式(IVb)中、R3及びR4は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、q及びrは各々独立に1以上の整数である。
本発明で用いられる単官能(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が1個の化合物であれば、特に制限はない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デシル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.0(2,6)]デカ−3−エン−8−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.0(2,6)]デカ−3−エン−9−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ダイマージオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート及びエチレンオキシド変性ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明において、多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種と単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種とを併用する場合、多官能(メタ)アクリレート化合物の総量と単官能(メタ)アクリレート化合物の総量との比(質量基準)(多官能(メタ)アクリレート化合物:単官能(メタ)アクリレート化合物)が、10:1〜1:2であることが好ましく、5:1〜1:1であることがより好ましく、3:1〜2:1であることが更に好ましい。
本発明では、応力緩和性に優れ、接着力がより向上する観点から、官能基当量が100〜1300であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことが好ましく、官能基当量が250〜1300であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことがより好ましく、官能基当量が250〜800であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことが更に好ましく、中温領域における熱安定性及び接着力の観点から官能基当量が300〜700であるラジカル重合性化合物を1種以上含むことが特に好ましい。
一般的に、官能基当量の数値が高いほど、硬化反応によって形成された架橋構造は疎になり応力緩和性は向上するが、熱時の接着性は応力緩和性とトレードオフの関係にあるため、低下する傾向にある。また官能基数が少ない場合も同様である。応力緩和性と優れた接着性を両立する観点から、ラジカル重合性化合物の官能基数は1以上であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。これにより、応力緩和に優れ、且つ優れた接着性を有する先供給型熱硬化アンダーフィル材が得ることができる。
ここで、官能基当量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された1分子の重量平均分子量を不飽和二重結合の数で割ったものと定義する。その範囲に収まる分子であればその骨格は特定するものではない。官能基当量が上記の範囲内であるラジカル重合性化合物は、例えば、末端に官能基を有し、かつ、分子内に長鎖の主鎖を有する化合物、及び分子内に長鎖の側鎖又は枝分れした嵩高い側鎖を有する化合物が挙げられる。官能基当量が上記数値範囲内にあるラジカル重合性化合物を用いた場合、光又は熱による硬化反応によって形成された架橋構造が疎になる。末端に官能基を有し、かつ、分子内に長鎖の主鎖を有する化合物を用いた場合、官能基が末端にあるため反応点間が長くなり、これにより形成された架橋構造では応力が緩和される傾向にある。また、長い側鎖、嵩高い側鎖が存在することで、それらの周りに空間が生じ、形成された架橋構造において密な部分と疎な部分が生じる。これにより応力が緩和される傾向にある。このため、官能基当量が100〜1300であるラジカル重合性化合物を含む先供給型アンダーフィル材は、応力緩和性に優れ、接着力がより向上する。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。検量線は、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP−H、PStQuick B[東ソー(株)製、商品名])を用いて3次式で近似した。GPCの条件を、以下に示す。
装置:(ポンプ:L−2130型[(株)日立ハイテクノロジーズ製])、
(検出器:L−2490型RI[(株)日立ハイテクノロジーズ製])、
(カラムオーブン:L−2350[(株)日立ハイテクノロジーズ製])
カラム:Gelpack GL−R440 + Gelpack GL−R450 + Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成(株)製、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:25℃
官能基当量が250〜1300である(メタ)アクリレート化合物は、官能基当量が250未満である(メタ)アクリレート化合物と併用することが好ましい。官能基当量が250〜1300の(メタ)アクリレート化合物と、官能基当量が250未満の(メタ)アクリレート化合物との質量比(官能基当量250〜1300の(メタ)アクリレート化合物:官能基当量250未満の(メタ)アクリレート化合物)は、1:1〜1:10であることが好ましく、1:2〜1:9であることがより好ましく、3:7〜1:4が更に好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
本発明の先供給型アンダーフィル材に含有されるラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではなく、従来から公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、後述する有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化物と水溶性触媒との組み合わせ又は過硫酸塩と還元剤との組み合わせによるレドックス触媒などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上の併用も可能である。
中でも保管安定性の観点から、有機過酸化物を少なくとも1種含むことが好ましい。
有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−へキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
これらの中でも、特に中温領域での温度安定性の観点から、ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物内にフェニル基を有するジアルキルパーオキサイド等が好ましく、中でもジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、90℃〜150℃が好ましく、硬化性の観点から100℃〜140℃がより好ましい。10時間半減期温度が90℃以上の場合には、基板上に本発明の先供給型アンダーフィル材を供給した状態のままホットプレートのステージ上で放置しても、先供給型アンダーフィル材の硬化反応の開始が抑制される傾向にある。10時間半減期温度が150℃以下の場合には、電子部品と配線基板とを接合部を介して接合する温度での先供給型アンダーフィル材の硬化速度をより確保できる傾向にある。その結果、ボイドの発生がより抑制される傾向にある。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、下記式により算出される。
τ: 半減期、C:定数、Ea:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度
10時間半減期の場合、ラジカル重合開始剤の濃度が半分になるτ(時間因子)が50%になる絶対温度を計算によって求めることができる。ラジカル重合開始剤の濃度の測定方法は、ヨード滴定法を用いて測定を行う。
本発明の先供給型アンダーフィル材に含まれるラジカル重合開始剤の含有量は、全ラジカル重合性化合物の100質量部に対して1質量部〜20質量部が好ましく、硬化性の観点から5質量部〜10質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が20質量部以下であると、揮発分が発生しにくく硬化中のボイドの発生がより抑制される傾向にある。また、ラジカル重合開始剤の含有量が1質量部以下であると、硬化性が十分となる傾向にある。
(無機充填材)
本発明の先供給型アンダーフィル材は、無機充填材を含有する。無機充填材の種類は特に特定されるものではなく、従来公知の無機充填材を用いることができる。
無機充填材としては、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミニウム等のアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などを用いることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、微細間隙への流動性及び浸入性の観点からは球状シリカがより好ましい。また、これらの無機充填材は、必要に応じて表面をカップリング剤処理したものを用いてもよい。
無機充填材はカップリング剤で表面処理されていてもよい。無機充填材を処理するカップリング剤は、本発明の効果が達成されるものであれば特に制限されるものではない。
カップリング剤の具体例としては、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等の1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ基を有するアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン、ビニルトリメトキシシラン等の不飽和二重結合を有するシランなどの各種シラン化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタン系化合物などが挙げられる。
中でも、ボイド性の観点からは、カップリング剤としては、下記一般式(I−5)で示される化合物を含むことが好ましい。
式(I−5)中、R7は各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の1価の炭化水素基を表す。R8は置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の2価の炭化水素基を表す。R9は、置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の1価の炭化水素基を表す。R10は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表す。nは0〜3の整数を表す。nが2又は3のとき、複数のR9は互いに同じであっても異なっていてもよい。nが0又は1のとき、複数のR10は互いに同じであっても異なっていてもよい。
一般式(I−5)における「置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の1価の炭化水素基」には、置換基を有し炭素数が1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、非置換であって炭素数が1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有し炭素数が3〜18の1価の脂環式炭化水素基、非置換であって炭素数が3〜18の1価の脂環式炭化水素基、置換基を有し炭素数が6〜18の1価の芳香族炭化水素基及び非置換であって炭素数が6〜18の1価の芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせであって炭素数の合計が1〜18の1価の炭化水素基が含まれる。
なお、炭化水素基が置換基を有する場合、当該炭化水素基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
置換基を有し炭素数が1〜18の1価の脂肪族炭化水素基及び非置換であって炭素数が1〜18の1価の脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基及び該脂肪族炭化水素基の水素原子をアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が3〜18の1価の脂環式炭化水素基及び非置換であって炭素数が3〜18の1価の脂環式炭化水素基として、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基、及び該脂環式炭化水素基の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が6〜18の1価の芳香族炭化水素基及び非置換であって炭素数が6〜18の1価の芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基等のアリール基;メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。これら芳香族炭化水素基は更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I−5)における「置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の2価の炭化水素基」には、置換基を有し炭素数が1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、非置換であって炭素数が1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有し炭素数が3〜18の2価の脂環式炭化水素基、非置換であって炭素数が3〜18の2価の脂環式炭化水素基、置換基を有し炭素数が6〜18の2価の芳香族炭化水素基及び非置換であって炭素数が6〜18の2価の芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせであって炭素数の合計が1〜18の2価の炭化水素基が含まれる。
なお、炭化水素基が置換基を有する場合、当該炭化水素基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
より具体的には、置換基を有し炭素数が1〜18である2価の脂肪族炭化水素基及び非置換であって炭素数が1〜18である2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基、ビニレン基、エチリデン基、ビニリデン基、プロペニレン基、ブタジエニレン基及び該脂肪族炭化水素基の水素原子をアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が3〜18である2価の脂環式炭化水素基及び非置換であって炭素数が1〜18である2価の脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘキシリデン基、及び該脂環式炭化水素基の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が6〜18である2価の芳香族炭化水素基及び非置換であって炭素数が1〜18である2価の脂肪族炭化水素基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等が挙げられる。これら芳香族炭化水素基は、更にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基を有していてもよい。
炭素数が1〜18である2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜18である2価の脂環式炭化水素基又は炭素数が6〜18である2価の芳香族炭化水素基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、メタクリルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等が挙げられる。
一般式(I−5)で示される化合物としては、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ジエチル−メチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1−エチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2,2’−ジメチルペンチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,2−ジメチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ジプロピルメチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(シクロペンチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(シクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−メチルシクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(4−メチルシクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベンジリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヘプチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−10−アミノデシルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノベンジルトリメトキシシラン等が挙げられる。
一般式(I−5)で示される化合物により無機充填材を表面処理すると、理由は明らかではないが、先供給型アンダーフィル材が加熱されても粘度が低下しにくくなり流動が抑えられるため、ボイドがより発生しにくく、結果としてボイド性がより向上する傾向がある。
無機充填材をカップリング剤で表面処理する場合、カップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、中温領域での反応開始の抑制効果の観点から、カップリング剤として不飽和二重結合を有するカップリング剤を用いることも好ましい。不飽和二重結合を有するカップリング剤は、(メタ)アクリロキシ基を有するシランカップリング剤であることが好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることがより好ましい。
一般式(1)中、R1は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R2は炭素数1〜30のアルキレン基を示し、R3は各々独立に炭素数1〜30のアルキル基を示す。
一般式(1)における「炭素数が1〜30のアルキレン基」には、置換基を有し炭素数が1〜30のアルキレン基、非置換であって炭素数が1〜30のアルキレン基、置換基を有し炭素数が3〜30のシクロアルキレン基、非置換であって炭素数が3〜30のシクロアルキレン基が含まれる。
なお、アルキレン基又はシクロアルキレン基が置換基を有する場合、当該アルキレン基又はシクロアルキレン基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
置換基を有し炭素数が1〜30のアルキレン基及び非置換であって炭素数が1〜30のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基等のアルキレン基、及び該アルキレン基の水素原子をアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が3〜30のシクロアルキレン基及び非置換であって炭素数が3〜30のシクロアルキレン基として、具体的には、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基等のシクロアルキレン基、及び該シクロアルキレン基の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
一般式(1)における「炭素数1〜30のアルキル基」には、置換基を有し炭素数が1〜30のアルキル基、非置換であって炭素数が1〜30のアルキル基、置換基を有し炭素数が3〜30のシクロアルキル基、非置換であって炭素数が3〜30のアルキル基が含まれる。
なお、アルキル基又はシクロアルキル基が置換基を有する場合、当該アルキル基又はシクロアルキル基の炭素数には、置換基に含まれる炭素数は含まれないものとする。
置換基を有し炭素数が1〜30のアルキル基及び非置換であって炭素数が1〜30のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、及び該アルキル基の水素原子をアルコキシ基、アリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
置換基を有し炭素数が3〜30のシクロアルキル基及び非置換であって炭素数が3〜30のシクロアルキル基として、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、及び該シクロアルキル基の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基で置換したものが挙げられる。
R3で表されるアルキル基の炭素数は、各々独立に1〜30であり、1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。R3は、各々独立にメチル基又はエチル基であることが更に好ましい。
不飽和二重結合を有するカップリング剤で表面処理された無機充填材は、不飽和二重結合を有する基を有する無機充填材となる。
不飽和二重結合を有する基は、中温領域での反応開始の抑制効果の観点から、アクリロキシ基又はα置換アクリロキシ基を有する基であることが好ましく、下記一般式(2)で表される基であることがより好ましい。
式(2)におけるR1及びR2は、一般式(1)におけるR1及びR2とそれぞれ同義である。
カップリング剤による表面処理は、予め無機充填材に表面処理を施した後で、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤等の成分と混合してもよいし(前処理方式)、表面処理を施す前の無機充填材を、カップリング剤とともに、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤等と混合することで表面処理してもよい(別添加方式)。中温領域において優れた熱安定性を有して反応の開始を抑制する観点又はボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、無機充填材を前処理方式により準備することが好ましい。
無機充填材の表面処理量は、無機充填材に対して質量比率で0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜2.5質量%であることがより好ましい。表面処理量が無機充填材に対して質量比率で0.05質量%以上であると、電子部品の構成部材との接着性がより向上する傾向があり、5質量%以下であると、成形性及びボイド性がより向上する傾向がある。
無機充填材の平均粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがより好ましく、1μm以下とすることが更に好ましい。また、無機充填材の平均粒子径は0.1μm以上とすることが好ましい。無機充填材の平均粒子径が5μm以下であれば、本発明の先供給型アンダーフィル材の微細間隙への浸入性及び流動性がより向上して、ボイドの発生及びアンダーフィル材の未充填をより起こしにくくなり、且つ半導体素子と配線基板との接続部に無機充填材がより噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
本発明において、無機充填材の平均粒子径は、下記の方法を用いて粒径を階級、体積を度数とし、度数の累積で表記された積算分布において、積算分布が50%となる粒径を意味する。粒子の粒径を測定する方法としては、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い、同時に多数の粒子を測定する方法、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒径を測定する方法などが挙げられる。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィ、流体力学クロマトグラフィ等の方法を用い、粒子を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また測定試料が硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
無機充填材の最大粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されず、圧着する電子部品における半導体素子の隙間の大きさの観点から、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。無機充填材の最大粒子径が20μm以下であると、本発明の先供給型アンダーフィル材の微細間隙への浸入性及び流動性がより向上して、ボイドの発生及びアンダーフィル材の未充填をより起こしにくくなり、且つ電子部品と配線基板との接続部に無機充填材が噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
無機充填材の最大粒子径は、特定無機充填材の平均粒子径を測定する上記の方法で測定したときの最大の粒子径の値を示す。
本発明の先供給型アンダーフィル材における無機充填材の含有率は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されないが、本発明の先供給型アンダーフィル材中、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。また、無機充填材の含有率は、本発明の先供給型アンダーフィル材中、70質量%以下であることが好ましい。無機充填材の含有率が20質量%以上であると、本発明の先供給型アンダーフィル材の硬化物の強度がより向上し、耐温度サイクル性等の信頼性がより向上する傾向がある。
(揺変付与剤)
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合、揺変付与剤を含有してもよい。
本発明で用いられる揺変付与剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている揺変付与剤であれば特に制限されるものではない。揺変付与剤としては、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンとにより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等が挙げられる。
本発明の先供給型アンダーフィル材に揺変付与剤を含有することによって、先供給方式の液体のアンダーフィル材として使用した場合に、ボイド性がより向上する傾向がある。すなわち、配線基板に先供給型アンダーフィル材を付与したときに、先供給型アンダーフィル材が形状を保持できずに流動してしまうとボイドを巻き込みやすくなる傾向があるが、揺変付与剤を含有することによって、先供給型アンダーフィル材がより流動しにくくなり、ボイド性がより向上する傾向がある。
上記揺変付与剤の中でも、取扱い性、成形性及びボイドの発生の低減の観点から、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等を用いることが好ましい。
長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩としては、例えば、ANTI−TERRA−U100(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能であり、不飽和ポリカルボン酸ポリマーとしては、例えば、BYK−P105(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能である。
揺変付与剤としての微粉末シリカは、平均一次粒子径が5nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。また、表面をシリコーンオイル又はカップリング剤で処理したものを用いてもよい。微粉末シリカとしては、平均一次粒径が12nmで、ジメチルシランで表面処理したR974(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が12nmで、トリメチルシランで表面処理したRX200(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が12nmでジメチルシロキサンで表面処理したRY200(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が14nmでジメチルシロキサンで表面処理したR202(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が12nmでアミノシランで表面処理したRA200H(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が12nmでアルキルシランで表面処理したR805(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が12nmでメタクリロキシシランで表面処理したR7200(日本アエロジル(株)商品名)、平均一次粒径が50nmでありフェニルシランで表面処理したYA050C−SP3(アドマテックス(株)商品名)等が市販品として入手可能である。
揺変付与剤としての破砕シリカは、平均一次粒子径が5nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。また、破砕シリカの表面をシリコーンオイル又はカップリング剤処理したものを用いてもよい。破砕シリカとしては、例えば、MC3000(アドマテックス(株)商品名)が市販品として入手可能である。
(高分子成分)
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃でフィルム状の場合、高分子成分を含有することが好ましい。
本発明で用いられる高分子成分は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている高分子成分であれば特に制限されるものではない。高分子成分としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びアクリルゴムが挙げられる。これらの中でも耐熱性及びフィルム形成性に優れる観点から、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シアネートエステル樹脂及びポリカルボジイミド樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びアクリル樹脂がより好ましい。これらの高分子成分は1種単独で又は2種以上の混合物又は共重合体として使用することもできる。高分子成分は市販品を用いてもよいし、合成したものを用いてもよい。
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。より具体的には、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モル又はほぼ等モル混合し(各成分の添加順序は任意)、反応温度を80℃以下、好ましくは0℃〜60℃に設定して付加反応させるとよい。なお、アンダーフィル材の諸特性の低下を抑えるため、上記のテトラカルボン酸二無水物は無水酢酸で再結晶精製処理されていることが好ましい。
高分子成分のガラス転移温度(Tg)は、アンダーフィル材の貼付性に優れる観点から、100℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。Tgが100℃以下である場合には、電子部品に形成されたバンプや、配線基板に形成された電極、配線パターン等の凹凸にアンダーフィル材を埋め込み易くなり、気泡が残存することがなくボイドが発生しにくくなる傾向がある。なお、上記Tgとは、DSC(パーキンエルマー社、DSC−7型)を用いて、サンプル量10mg、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で測定したときのTgである。
良好なフィルム形成性を示すために、高分子成分の重量平均分子量は、GPC測定におけるポリスチレン換算で10000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましく、40000以上であることが更に好ましく、50000以上であることが特に好ましい。重量平均分子量が10000以上であると、フィルム形成性及び耐熱性が向上する傾向がある。
先供給型アンダーフィル材が高分子成分を含有する場合、高分子成分の含有量は特に制限されないが、フィルム状を良好に保持する観点から、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、1質量部〜500質量部であることが好ましく、5質量部〜300質量部であることがより好ましく、10質量部〜200質量部であることが更に好ましい。高分子成分の含有量が1質量部以上であると、フィルム形成性の向上効果が得られ易い傾向があり、500質量部以下であると、アンダーフィル材の硬化性が向上し、接着力が向上する傾向がある。
(フラックス剤)
本発明の先供給型アンダーフィル材は、フラックス剤を含有してもよい。
本発明の先供給型アンダーフィル材にフラックス機能を付与するために、必要に応じてフラックス剤を使用することができる。本発明において使用可能なフラックス剤は、従来公知のハロゲン化水素酸アミン塩等を用いることができる。本発明において好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシ基とを有する化合物、トリメリット酸等のカルボキシ基を含む酸無水物、アビエチン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、1分子にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物、金属スルホン酸塩、金属カルボニル酸塩等の有機酸塩、キノリノール誘導体などが挙げられ、より好ましくは、有機酸及び有機酸塩が挙げられる。
本発明の先供給型アンダーフィル材がフラックス剤を含有する場合、本発明のフラックス剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の先供給型アンダーフィル材がフラックス剤を含有する場合、フラックス剤の含有率はフラックス機能が発現する量であれば特に制限はなく、本発明の先供給型アンダーフィル材中、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。フラックス剤の含有率が0.1質量%以上であると、はんだの濡れ性が十分であり接続抵抗がより低くなる傾向がある。フラックス剤の含有率が10質量%以下であると、ボイドがより発生しにくくなり、耐マイグレーション性等の信頼性がより向上する傾向がある。
(イオントラップ剤)
本発明の先供給型アンダーフィル材は、耐湿性及び高温放置特性をより向上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤を使用することができる。本発明において使用可能なイオントラップ剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではなく、例えば、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が挙げられる。
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O ・・・(II−1)
BiOx(OH)y(NO3)z ・・・(II−2)
式(II−1)中、xは0<x≦0.5であり、mは正数である。
式(II−2)中、xは0.9≦x≦1.1、yは0.6≦y≦0.8、zは0.2≦z≦0.4である。
上記のイオントラップ剤は市販品として入手可能である。例えば、上記一般式(II−1)の化合物は、協和化学工業(株)商品名DHT−4Aとして入手可能である。また、上記一般式(II−2)の化合物は、東亞合成(株)商品名IXE500として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の先供給型アンダーフィル材がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有率はラジカル重合性化合物全量に対して、0.1質量%〜5.0質量%が好ましく、1.0質量%〜3.0質量%以下がより好ましい。また、イオントラップ剤の平均粒径は0.1μm〜3.0μmが好ましく、最大粒子径は10μm以下が好ましい。
本発明のイオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、前記無機充填材と同様の方法を用いて測定される。
(界面活性剤)
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合、フィレット性をより向上させる観点から必要に応じて界面活性剤を使用することができる。
本発明において使用可能な界面活性剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤であれば特に制限されるものではない。非イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、アラルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン界面活性剤、ポリアクリル界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。なかでも、表面張力の低減の観点からは、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン界面活性剤が好ましい。
これらの界面活性剤は、市販品としてBYK−307、BYK−333、BYK−377、BYK−323(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)等が入手可能である。
また、界面活性剤としてシリコーン変性エポキシ樹脂を用いることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は、室温(25℃)で液状であることが好ましい。エポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとしては、アミノ基、カルボキシ基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等を1分子中に少なくとも1個有するジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノシロキサンは、市販品として東レ・ダウコーニング(株)商品名BY16−799、BY16−871、BY16−004、信越化学工業(株)商品名X−22−1821、KF−8010等が入手可能である。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したオルガノシロキサンの重量平均分子量は、500〜5000の範囲が好ましく、1000〜3000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が500以上であると、樹脂との相溶性が過剰に向上することが抑制され、添加剤としての効果がより発揮されやすい傾向にある。重量平均分子量が5000以下であると、樹脂との相溶性の低下が抑えられ、シリコーン変性エポキシ樹脂の硬化物からの分離及び染み出しが発生しにくく、接着性及び外観をより損なわない傾向にある。
上記シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂としては、本発明の先供給型アンダーフィル材に相溶するものであれば特に制限されず、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる、線状脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂は、室温で液状のものが好ましい。
(その他の成分)
本発明の先供給型アンダーフィル材は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤などを必要に応じて含有することができる。
(物性)
本発明の先供給型アンダーフィル材は、ボンディング性を向上させる観点から、下記条件を満たしていることが好ましい。その条件とは即ち、先供給型アンダーフィル材の1mgを、表面にSiN層を有する縦7mm、横7mm、厚み625μmの半導体素子(以下この半導体素子を「特定半導体素子」と称する)におけるSiN層上に供給し、特定半導体素子を260℃の熱板上にて10秒間加熱し冷却した後で、供給した先供給型アンダーフィル材が特定半導体素子に付着している、というものである。
本発明の先供給型アンダーフィル材は、硬化収縮が抑えられているため、硬化条件としてはかなり高温である260℃から冷却しても、半導体素子から剥離することなく付着させることが可能である。そのため、本発明の先供給型アンダーフィル材は、上記条件を満たすことができる。上記条件を満たす先供給型アンダーフィル材は、実装でのボンディング性に優れている。
本発明において「付着している」とは、アンダーフィル材を特定半導体素子上で硬化させた後に、その特定半導体素子を空中で180°逆さにしても、硬化したアンダーフィル材が、その特定半導体素子から外れ落ちない状態のことを指す。
本発明の先供給型アンダーフィル材において、より付着性を高める方策としては、無機充填材の含有率を調整して硬化収縮を抑えること、ラジカル重合性化合物にエポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等の官能基を導入して被着体への接着性を高めること、ラジカル重合性化合物の官能基当量を大きくすること、などが挙げられる。特に官能基当量が250〜1300の(メタ)アクリレートを少なくとも1種含むことで更にその付着力が向上し、半導体素子からの脱離がより困難となる傾向がある。
本発明の先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合には、揺変指数は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
本発明におけるアンダーフィル材の揺変指数は、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s−1のせん断速度での粘度)/(5.0s−1のせん断速度での粘度)の値である。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
25℃で液体のアンダーフィル材は、25℃における粘度が、0.01Pa・S〜1000Pa・Sであることが好ましく、0.1Pa・S〜500Pa・Sであることがより好ましく、1.0Pa・S〜100Pa・Sであることが更に好ましい。また、硬化反応が開始する温度に達する前の50℃〜200℃程度での粘度は、0.001Pa・S〜100Pa・Sであることが好ましく、0.005Pa・S〜50Pa・Sであることがより好ましく、0.01Pa・S〜10Pa・Sであることが更に好ましい。
<本発明の先供給型アンダーフィル材の製造方法>
25℃で液体の先供給型アンダーフィル材は、上記成分を分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いて調製してもよい。一般的な手法として、所定の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって、液体の先供給型アンダーフィル材を得ることができる。
25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材は、上記成分を含めば、いかなる手法を用いて作製してもよい。例えば、所定の成分を秤量し、攪拌混合、混錬等により、溶解又は分散させて、樹脂ワニスを調製する。その後、離型処理を施した基材フィルム上に、樹脂ワニスをナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター等を用いて塗布した後、加熱により有機溶媒を除去することにより、基材フィルム上にフィルム状のアンダーフィル材が得られる。
樹脂ワニスの調製に用いる有機溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス調製の際の攪拌混合又は混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材フィルムとしては、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルムなどを例示できる。基材フィルムは、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合、それぞれの層は、互いに異なる材質であってもよいし、同じ材質であってもよい。
基材フィルムへ塗布した樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させる際の乾燥条件は、有機溶媒が十分に揮発する条件とすることが好ましく、具体的には、50℃〜200℃、0.1分間〜90分間の加熱を行うことが好ましい。
尚、ボンディング性の高い先供給型アンダーフィル材を得るための、先供給型アンダーフィル材の製造方法としては、下記付着試験の結果をフィードバックさせる方法が挙げられる。
(付着試験)
(1)縦7mm、横7mm、厚み625μmの大きさで、表面にSiN層を有する特定半導体素子を準備する。
(2)先供給型アンダーフィル材の1mgを、特定半導体素子のSiN層上に供給する。
(3)特定半導体素子を260℃の熱板上にて10秒間加熱し冷却する。
(4)先供給型アンダーフィル材が特定半導体素子に付着しているか否かを判断する。
付着しているか否かは、特定半導体素子を空中で180°逆さにして、硬化したアンダーフィル材がその特定半導体素子から外れ落ちるか否かによって判断する。
上記の付着試験に合格しない先供給型アンダーフィル材は、無機充填材の配合量の調整等を行った後で、再度、付着試験を行う。付着試験に合格するまで、この操作を繰り返すことで、ボンディング性の高い先供給型アンダーフィル材を製造することができる。
<電子部品装置及びその製造方法>
本発明の電子部品装置は、電子部品と、電子部品と対向して配置され、電子部品に接合部を介して電気的に接合される配線基板と、電子部品と配線基板との間に配置される本発明の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を有する。
本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて得られる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本発明の先供給型アンダーフィル材で封止して得られる電子部品装置などが挙げられる。
特にリジッド若しくはフレキシブル配線板又はガラス板上に形成した配線に、半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした電子部品装置が対象となる。具体的な例としてはフリップチップBGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等の電子部品装置が挙げられ、本発明の先供給型アンダーフィル材は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。
本発明の先供給型アンダーフィル材が特に好適なフリップチップの分野としては、配線基板と半導体素子を接続するバンプ材質がSn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体素子であり、従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだによるバンプ接続をしたフリップチップに対しても良好な信頼性を維持できる。
本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて電子部品を封止する方法としては、電子部品における配線基板と対向する側の面及び配線基板における電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、本発明の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、電子部品と配線基板とを接合部を介して接合し、かつ先供給型アンダーフィル材を硬化する接合工程と、を含む方式が挙げられる。供給工程において、先供給型アンダーフィル材が25℃で液体の場合には、先供給型アンダーフィル材を塗布し、25℃でフィルム状の場合には、先供給型アンダーフィル材を貼付する。また、接合工程において電子部品と配線基板との接続は、アンダーフィル材の硬化と一括して行ってもよい。
以下、先供給方式による電子部品装置の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の先供給方式による電子部品装置の製造方法は、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接合することで電子部品装置を製造するものであって、電子部品の配線基板と対向する側の面及び配線基板の電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に本発明の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、電子部品と配線基板との間隙に本発明の先供給型アンダーフィル材を充填させ、かつ、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接触させる加圧工程と、加圧工程中及び加圧工程後の少なくとも一方で、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接合させ、かつ、本発明の先供給型アンダーフィル材を硬化する熱処理工程とを有していてもよい。
以下、図面を参照しながら先供給方式による電子部品装置の製造方法について説明する。
図1は、25℃で液体の先供給型アンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程断面図である。なお、図1の電子部品装置の製造方法においては、配線基板の電子部品と対向する側の面に先供給型アンダーフィル材を付着させる態様について説明する。また、金属バンプは電子部品側に設けられており、当該金属バンプを介して電子部品と配線基板とが接合される。しかし、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1において、1は半導体チップ(電子部品)、2ははんだバンプ、3は接続パッド、4はソルダーレジスト、5は配線基板、6は封止材(本発明の先供給型アンダーフィル材)である。
まず、図1(a)において、配線基板5の接続パッド3の設けられた側(配線基板5の半導体チップ1と対向する側)の面に本発明の先供給型アンダーフィル材である封止材6を塗布する(供給工程)。封止材6の塗布方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられる。封止材6の塗布領域としては、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の全域に塗布してもよいし、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布してもよい。封止材6を配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布することで配線基板5と半導体チップ1とをはんだバンプ2を介して接触させる際に封止材6が流動して配線基板5と半導体チップ1との間に充填されるため好ましい。封止材6の配線基板5への塗布パターンとしては、配線基板5の半導体チップ1の配置される領域の対角線に沿ってクロス形又はダブルクロス形が好ましい。
尚、封止材6を塗布する付着工程に先んじて、前述の付着試験の結果をフィードバックさせて、付着性の高い先供給型アンダーフィル材を選別又は調製する工程を行ってもよい。これにより、付着性がより高く、より信頼性に優れる電子部品装置が得られる。
次いで、図1(b)において、半導体チップ1と配線基板5とをはんだバンプ2を介して加圧しながら対向させることで、半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させ、かつ、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる(加圧工程)。
半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.001N〜100Nが好ましく、0.005N〜50Nがより好ましく、0.01N〜10Nが更に好ましい。
また、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.002N〜200Nが好ましく、0.01N〜100Nがより好ましく、0.02N〜20Nが更に好ましい。この加圧条件下において、後述の熱処理工程での半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とのはんだバンプ2を介した接合を実施してもよい。
加圧工程中及び加圧工程後の少なくとも一方で、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とがはんだバンプ2を介して加圧して接触する状態で熱処理して半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接合させ、かつ、封止材6を硬化する(熱処理工程)。
加熱条件としては、150℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましく、240℃〜260℃が更に好ましい。この際に、封止材6が硬化する。
更に、必要に応じて封止材6の硬化を充分なものとするため、120℃〜200℃の範囲で0.5時間〜6時間加熱してもよい。
以上の工程を経ることで、本発明の電子部品装置が製造される。
図2は、25℃でフィルム状の先供給型アンダーフィル材を用いる先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、配線15を有する基板20上に、接続バンプ30を形成する位置に開口を有するソルダーレジスト60を形成する。このソルダーレジスト60は必ずしも設ける必要はない。しかしながら、基板20上にソルダーレジストを設けることにより、配線15間のブリッジの発生を抑制し、接続信頼性及び絶縁信頼性を向上させることができる。ソルダーレジスト60は、例えば、市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキを用いて形成することができる。市販のパッケージ用ソルダーレジスト用インキとしては、具体的には、SRシリーズ(日立化成(株)、商品名)及びPSR4000−AUSシリーズ(太陽インキ製造(株)、商品名)が挙げられる。
次に、図2(a)に示すように、ソルダーレジスト60の開口に接続バンプ30を形成する。そして、図2(b)に示すように、接続バンプ30及びソルダーレジスト60が形成された基板20上に、フィルム状の本発明のアンダーフィル材(以下、場合により「フィルム状アンダーフィル材」という。)40を貼付する。フィルム状アンダーフィル材40の貼付は、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等によって行うことができる。フィルム状アンダーフィル材40の供給面積及び厚みは、半導体チップ(電子部品)10及び基板20のサイズ、並びに接続バンプ30の高さによって適宜設定される。
尚、フィルム状アンダーフィル材40を貼付する工程に先んじて、前述の付着試験の結果をフィードバックさせて、付着性の高いフィルム状アンダーフィル材40を選別又は作製する工程を行ってもよい。これにより、付着性がより高く、より信頼性に優れる電子部品装置が得られる。
フィルム状アンダーフィル材40を基板20に貼り付けた後、半導体チップ10の配線15と接続バンプ30とをフリップチップボンダー等の接続装置を用いて、位置合わせする。続いて、半導体チップ10と基板20とを接続バンプ30の融点以上の温度で加熱しながら圧着し、図2(c)に示すように、半導体チップ10と基板20とを接続すると共に、フィルム状アンダーフィル材40によって半導体チップ10及び基板20間の空隙を封止充填する。以上により、電子部品装置600が得られる。
本実施形態の電子部品装置の製造方法では、位置合わせをした後に仮固定し(電子部品接着剤を介している状態)、リフロー炉で加熱処理することによって、接続バンプ30を溶融させて半導体チップ10と基板20とを接続してもよい。仮固定の段階では、金属接合を形成することが必ずしも必要ではないため、上記の加熱しながら圧着する方法に比べて低荷重、短時間、低温度による圧着でよく、生産性が向上すると共に接続部の劣化を抑制することができる。
また、半導体チップ10と基板20とを接続した後、オーブン等で加熱処理を行って、更に接続信頼性及び絶縁信頼性を高めてもよい。加熱温度は、フィルム状アンダーフィル材の硬化が進行する温度が好ましく、完全に硬化する温度がより好ましい。加熱温度及び加熱時間は適宜設定され、好適な加熱条件は、25℃で液状の先供給型アンダーフィル材の場合と同様である。
次に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜9及び比較例1〜2]
実施例及び比較例に使用した成分は以下の通りである。尚、表1及び2中、「−」は、その成分を含有しないことを意味する。
・アクリレート1:UA−4200(新中村化学工業(株)、ウレタンアクリレート、官能基当量:650)
・アクリレート2:A−DCP(新中村化学工業(株)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、官能基当量:155)
・メタクリレート3:DCP(新中村化学工業(株)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、官能基当量:169)
・エポキシ樹脂1:YDF−8170C(新日鉄住金化学(株)、ビスフェノールFタイプエポキシ、エポキシ当量:160g/eq)
・ラジカル重合開始剤:Perkadox−BC−FF(化薬アクゾ(株)、ジクミルパーオキサイド、10時間半減期温度:117℃)
・硬化剤1:YH−307(三菱化学(株)、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロぺニル)−1,2,3,4−テトラハイドロフタル酸無水物及び1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2,2,2]オクタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物の混合物、無水酸当量:234g/eq)
・硬化促進剤:2E4MZ(四国化成(株)、2−エチル−4−メチルイミダゾール)
・無機充填材:平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μmでメタクリレートシランカップリング処理(3−メタクリロキシプロピル基を有するシランカップリング剤により処理)された球状シリカ((株)アドマテックス社、商品名:SE−2050−SMJ)
・揺変付与剤:平均粒子径が12nmで、アルキルシランで表面処理したシリカ粒子(日本アエロジル(株)、商品名「R−805」)
・フラックス剤:アジピン酸
実施例及び比較例のアンダーフィル材を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表3及び表4に示す。
(1)SiN層に対する付着性
半導体素子であるSiN(7mm×7mm、厚さ625μm)のチップ上に、アンダーフィル材を1mg塗布し、260℃で10秒間加熱して硬化させた。硬化したアンダーフィル材を備える半導体素子を半導体素子が下になるように反転させ、下記基準で付着性を評価した。
A:硬化したアンダーフィル材は、半導体素子を反転させても剥がれず、且つピンセットで摘まんでも半導体素子から剥がれなかった。
B:硬化したアンダーフィル材は、半導体素子を反転させたときには剥がれないが、ピンセットで摘まんだときに剥がれた。
C:硬化したアンダーフィル材は、半導体素子を反転させたときに剥がれた。
(2)接続性
配線基板のチップ搭載部に、ディスペンサーを用いて、アンダーフィル材を約3mg塗布した。80℃に加熱したステージ上にアンダーフィル材を塗布した配線基板を置き、チップを搭載し、加重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、165℃、1時間の条件で硬化することで電子部品装置を得た。
尚、配線基板としては、サイズ:14mm×14mm×0.30mm、コア層:E−679FG(日立化成(株)商品名)、ソルダーレジスト:AUS−308(太陽インキ(株)商品名)、基板メッキ:Ni(5.0μm)+Pd(0.30μm)+Au(0.35μm)を用いた。また、チップとしては、サイズ:7.3mm×7.3mm×0.15mm、バンプ:銅(高さ30μm)+はんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)、バンプピッチ:80μm、バンプ数:328を用いた。
それぞれのアンダーフィル材について、上記の方法にて電子部品装置を作製し、配線及び接続部の断線の有無を導通試験によって確認を行い、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を接続性とした。
(3)ボイド性
接続性の評価で示した方法により作製した電子部品装置を、超音波探傷装置AT−5500(日立建機(株))を用いて観察を行い、下記基準でボイド性を評価した。
A:ボイド面積が全面積の1%以下
B:ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下
C:ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下
D:ボイド面積が全面積の20%を超える
(4)1時間放置後のボイド性
接続性の評価での電子部品装置の作製方法と同様にして、但し、70℃に加熱したステージ上にアンダーフィル材を塗布した後、1時間放置してから圧着を行うように変更して、電子部品装置を作製した。この電子部品装置を、超音波探傷装置AT−5500(日立建機(株))を用いて観察し、ボイド面積が全体の1%を超えるものを不良パッケージとして、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を示した。
(5)耐リフロー性
接続性の評価で示した方法により作製した電子部品装置を、120℃で12時間加熱乾燥した後、30℃、70%RHの条件下に192時間放置し、遠赤外線加熱方式のリフロー炉(予熱150℃〜180℃で50秒、ピーク温度260℃、250℃以上の加熱時間40秒)中を3回通した。その後、超音波探傷装置を用いて観察を行った。硬化したアンダーフィル材とチップ及び基板との剥離、硬化したアンダーフィル材のクラックの有無を確認した。剥離及びクラックの少なくとも一方が発生したものを不良パッケージとし、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を耐リフロー性として評価した。
アンダーフィル材の硬化反応の速度が速い場合、接続性に優れる評価結果が得られる。その理由は、はんだが溶けたときに周辺部の樹脂がある程度硬化していることからはんだが流れることなく基板接合部周辺にとどまるためであると考えられる。
また、先供給型アンダーフィル材の硬化収縮が生じにくい場合、電子部品装置の表面のSiN層に対して優れた接着力を示し、かつ、耐リフロー性の評価においても優れた評価結果が得られる。その理由は、硬化収縮の低減により樹脂内部の残留応力が緩和され、エポキシ基のように接着力を増強する官能基がなくとも接着強度が増すためであると考えられる。
実施例の評価結果から明らかなように、本発明の先供給型アンダーフィル材を用いて形成された電子部品装置は、接続性及び耐リフロー性に優れる。このことから、本発明の先供給型アンダーフィル材は硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくいことがわかる。
一方、比較例1のアンダーフィル材では、実装実験においては、所定の条件でチップ圧着すると半硬化の状態となり、70℃の中温領域で1時間放置後では硬化してしまいチップを圧着することができず、先供給方式のアンダーフィル材としての性能に劣っていた。比較例2のアンダーフィル材では、硬化反応が遅く硬化時間が260℃10秒では不足であり、硬化することはなかった。また圧着試験においても、比較例2のアンダーフィル材では硬化せず先供給方式のアンダーフィル材としては適していなかった。
尚、実施例1〜9では、25℃において液体のアンダーフィル材を用いたが、25℃でフィルム状のアンダーフィル材を用いた場合も同様の効果が得られる。