JP2017143310A - 先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくい先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物並びにそれを用いた電子部品装置及びその製造方法の提供。【解決手段】イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物並びにそれを用いた電子部品装置及びその製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び薄肉化に伴い、内蔵される半導体パッケージも小型化及び高精密化になってきている。従来の技術として、フリップチップ搭載後、チップと基板との間に封止材を充填する方法があるが、この方法の場合、チップと基板との間のギャップが小さくなってくると封止材の充填が難しくなる。そこで、先塗布方法に用いるアンダーフィル型封止材(以下、先塗布型アンダーフィル型封止材と称することがある)が検討されている。この先塗布方法は、先に基板上に封止材を付与しておき、その後フリップチップボンダーを使用しチップの搭載及びチップと基板との間の充填を一括して行うことによって、FC−BGA(Flip Chip−Ball Grid Array)、FC−CSP(Flip Chip−Chip Size Package)等を作製できる。従来のチップと基板との間に封止材を充填する方法に比べ、先塗布方法ではチップ搭載時に、チップと基板との間を先塗布型アンダーフィル型封止材で充填した後チップと基板との接続を行うため、先塗布型アンダーフィル型封止材への加熱温度は260℃前後と高くなっている。また、プロセス時間を短くするためにも、加温したステージ上で基板上に封止材を塗布することとなる。
従来の封止材として、エポキシ樹脂を硬化性成分として含有するものが知られている。例えば、エポキシ樹脂の硬化促進剤としてイミダゾール化合物を使用するエポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、エポキシ樹脂の硬化促進剤としてイミダゾール化合物の周囲を熱硬化性樹脂による被膜で被覆して得られる微細球粒子及びアミンアダクト粒子の少なくとも一方を使用するエポキシ樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が報告されている。
従来の、チップと基板との間に封止材を充填する方法で用いられるエポキシ樹脂組成物では、硬化反応の速度を速くすることが難しく、充填した封止材を硬化するには長い時間が必要となり、揮発成分によるボイドの発生が懸念されている。また加熱されたステージ上に封止材の塗布された基板を放置すると徐々に封止材の硬化が始まり、長時間放置すると封止材の粘度上昇又は半硬化によってチップの搭載が困難になることがある。
封止材の反応機構を従来のエポキシ開環反応からラジカル重合反応に変更することは、封止材の硬化反応の速度を向上するためには有効な手段である。しかし、ラジカル重合反応はエポキシ開環反応に比較して硬化収縮の程度が大きく、硬化物中に大きな内部応力を発生させることがある。硬化物中の内部応力は硬化物の接着力を悪化させる原因ともなりうる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくい先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物並びにそれを用いた電子部品装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
封止材の反応機構を従来のエポキシ開環反応からラジカル重合反応に変更することは、封止材の硬化反応の速度を向上するためには有効な手段である。しかし、ラジカル重合反応はエポキシ開環反応に比較して硬化収縮の程度が大きく、硬化物中に大きな内部応力を発生させることがある。硬化物中の内部応力は硬化物の接着力を悪化させる原因ともなりうる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくい先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物並びにそれを用いた電子部品装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、次のものに関する。
<1> イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<2> 前記イミド化合物が、下記構造式(I)及び下記構造式(V)からなる群より選択される少なくとも一種を含む<1>に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<1> イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<2> 前記イミド化合物が、下記構造式(I)及び下記構造式(V)からなる群より選択される少なくとも一種を含む<1>に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
(上記構造式において、R1及びR5は、各々独立に、芳香族炭化水素構造又は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状脂肪族炭化水素構造を含む2価の有機基を表す。)
<3> 前記ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物を少なくとも一種含む<1>又は<2>に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<4> 前記(メタ)アクリレート化合物が、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<5> 揺変付与剤を更に含有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<6> フラックス剤を更に含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<7> 前記フラックス剤が、有機酸又は有機酸塩を含む<6>に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<8> 無機充填剤を更に含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<9> 素子と、
前記素子を封止する<1>〜<8>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物の硬化物と、
を有する電子部品装置。
<10> 電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であって、
前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に<1>〜<8>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を付着させる付着工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接触させる加圧工程と、
前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接続させ、かつ、前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を硬化する熱処理工程と
を有する電子部品装置の製造方法。
<4> 前記(メタ)アクリレート化合物が、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<5> 揺変付与剤を更に含有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<6> フラックス剤を更に含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<7> 前記フラックス剤が、有機酸又は有機酸塩を含む<6>に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<8> 無機充填剤を更に含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
<9> 素子と、
前記素子を封止する<1>〜<8>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物の硬化物と、
を有する電子部品装置。
<10> 電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であって、
前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に<1>〜<8>のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を付着させる付着工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接触させる加圧工程と、
前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接続させ、かつ、前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を硬化する熱処理工程と
を有する電子部品装置の製造方法。
本発明によれば、硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくい先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物並びにそれを用いた電子部品装置及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
さらに、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、本発明において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
さらに、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物>
本発明の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある)は、イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物(以下、「特定のイミド化合物」と称することがある)と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する。
本発明の組成物は、硬化反応の速度が速く、硬化収縮が生じにくい。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
ラジカル重合反応はエポキシ開環反応に比較して反応速度が速い。そのため、本発明の組成物はエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有する従来の封止材に比較して、硬化速度が速いと推察される。
また、本発明の組成物に含有される特定のイミド化合物は、イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと、前記構造単位を連結する有機基とを有するものである。特定のイミド化合物は、少なくとも2つの構造単位を結びつける有機基を分子中に含有する。当該有機基の存在が特定のイミド化合物に柔軟性を付与する。すなわち、前記有機基が、一般に剛直とされるイミド構造を含有する化合物に対して緩和作用を発現し、柔軟性を付与する。そのため、特定のイミド化合物を含む化合物の硬化物は柔軟性を有する。硬化物が柔軟性を有することから、硬化物の硬化収縮の程度が緩和されると推察される。
本発明の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物(以下、「本発明の組成物」と称することがある)は、イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物(以下、「特定のイミド化合物」と称することがある)と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する。
本発明の組成物は、硬化反応の速度が速く、硬化収縮が生じにくい。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
ラジカル重合反応はエポキシ開環反応に比較して反応速度が速い。そのため、本発明の組成物はエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有する従来の封止材に比較して、硬化速度が速いと推察される。
また、本発明の組成物に含有される特定のイミド化合物は、イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと、前記構造単位を連結する有機基とを有するものである。特定のイミド化合物は、少なくとも2つの構造単位を結びつける有機基を分子中に含有する。当該有機基の存在が特定のイミド化合物に柔軟性を付与する。すなわち、前記有機基が、一般に剛直とされるイミド構造を含有する化合物に対して緩和作用を発現し、柔軟性を付与する。そのため、特定のイミド化合物を含む化合物の硬化物は柔軟性を有する。硬化物が柔軟性を有することから、硬化物の硬化収縮の程度が緩和されると推察される。
本発明の組成物は室温で液体であることが好ましい。本発明の組成物が室温において液体であれば、本発明の組成物を電子部品装置のアンダーフィル材として使用する際に、取り扱いが容易になる。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。本明細書において「室温で液体」とは、25℃で流動性を示す状態であることを意味する。さらに本明細書において「液体」とは流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。本明細書において「粘度」とは、25℃に保たれた組成物について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。本明細書において「室温で液体」とは、25℃で流動性を示す状態であることを意味する。さらに本明細書において「液体」とは流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が25℃において0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。本明細書において「粘度」とは、25℃に保たれた組成物について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
以下、本発明の組成物を構成する各成分について説明する。
(特定のイミド化合物)
本発明に用いられる特定のイミド化合物は、一分子中にイミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと、前記構造単位を連結する有機基とを有する化合物であれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる特定のイミド化合物としては、ビスアリルナジイミド化合物、ビスマレイミド化合物等が挙げられる。
本発明において、特定のイミド化合物としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる特定のイミド化合物は、一分子中にイミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと、前記構造単位を連結する有機基とを有する化合物であれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる特定のイミド化合物としては、ビスアリルナジイミド化合物、ビスマレイミド化合物等が挙げられる。
本発明において、特定のイミド化合物としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特定のイミド化合物のハンドリング性、液状の先塗布型アンダーフィル組成物として使用する場合の粘度の観点から、ビスアリルナジイミド化合物及びビスマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が好ましい。
本発明において好適に使用されるビスアリルナジイミド化合物としては、下記構造式(I)で表される化合物が挙げられる。また、本発明において好適に使用されるビスマレイミド化合物としては、下記構造式(V)で表される化合物が挙げられる。
本発明の組成物に用いられる特定のイミド化合物としては、下記構造式(I)及び下記構造式(V)からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の組成物に用いられる特定のイミド化合物としては、下記構造式(I)及び下記構造式(V)からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
上記構造式において、R1及びR5は、各々独立に、芳香族炭化水素構造又は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状脂肪族炭化水素構造を含む2価の有機基を表す。
上記構造式(I)中のR1は、好ましくは、ベンゼン残基、ナフタレン残基、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状アルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−CONH−又はこれらの混合基が挙げられ、より好ましくは下記構造式(Ia)、(Ib)及び(Ic)からなる群より選択されるいずれか1種の2価の有機基が挙げられる。
構造式(Ic)において、nは1以上の整数を表す。
R1で表されるベンゼン残基、ナフタレン残基、又はアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、フェニル基等が挙げられる。
構造式(Ia)、(Ib)及び(Ic)で表される2価の有機基の中でも、R1としては下記構造式で表される2価の有機基が更に好ましい。
構造式(V)中のR5は好ましくは、ベンゼン残基、ナフタレン残基、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状アルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−CONH−、−CO2−、ビスイミド構造を有する有機基又はこれらの混合基が挙げられ、より好ましくは、上記構造式(Ia)、(Ib)及び(Ic)並びに下記構造式(Id)及び(Ie)からなる群より選択されるいずれか1種の2価の有機基が挙げられる。
構造式(Id)及び(Ie)において、nは各々独立に、1以上の整数を表す。
構造式(Ie)において、R6は直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキレン基を表す。
構造式(Ie)において、R6は直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキレン基を表す。
R5で表されるベンゼン残基、ナフタレン残基、又はアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、フェニル基、フェニルエーテル基、フェニルスルフォン基等が挙げられる。
構造式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)及び(Ie)で表される2価の有機基の中でも、化合物自身の内部応力緩和の観点から、R5としては、R6が直鎖状アルキレン基である構造式(Ie)で表される構造が更に好ましい。
R6が直鎖状アルキレン基である場合の該アルキレン基の好ましい炭素数は5〜50であり、10〜45がより好ましく、15〜40が更に好ましい。
R6が直鎖状アルキレン基である場合の該アルキレン基の好ましい炭素数は5〜50であり、10〜45がより好ましく、15〜40が更に好ましい。
本発明の組成物に含まれる、特定のイミド化合物の含有量は、特定のイミド化合物及び後述する(メタ)アクリレート化合物の合計量を100質量部としたときに、10質量部〜50質量部が好ましく、粘度低減の効果から15質量部〜40質量部がより好ましく、20質量部〜30質量部が更に好ましい。特定のイミド化合物の含有量が50質量部以下であれば、本発明の組成物の粘度が塗布に適性な範囲とされ、本発明の組成物の基板への塗布がより容易になる傾向にある。特定のイミド化合物の含有量が10質量部以上とすることで、硬化収縮に起因する接着力の低下をより抑制できる傾向にある。
((メタ)アクリレート化合物)
本発明の組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物は、特に限定されるものではなく、従来から公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。
本発明においては、(メタ)アクリレート化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレート化合物を併用する場合の(メタ)アクリレート化合物の組合せについては特に限定はないが、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを併用することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本発明の組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物は、特に限定されるものではなく、従来から公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。
本発明においては、(メタ)アクリレート化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレート化合物を併用する場合の(メタ)アクリレート化合物の組合せについては特に限定はないが、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを併用することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物又はメタクリレート化合物を意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本発明において用いられる多官能(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に含まれるアクリロイル基又はメタクリロイル基の数が2個以上の化合物であれば、特に制限はない。
例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート及びトリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリメタクリレートが挙げられる。
例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート及びトリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリメタクリレートが挙げられる。
また、上記化合物の他、下記構造式(IV)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。
中でも、良好な熱時流動性を付与できる観点から、下記構造式(IV)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましく、下記構造式(IV)で示される液体の2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることがより好ましい。
中でも、良好な熱時流動性を付与できる観点から、下記構造式(IV)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましく、下記構造式(IV)で示される液体の2官能(メタ)アクリレート化合物を用いることがより好ましい。
なお、下記構造式(IV)で表される2官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、下記構造式(IVa)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物及び下記構造式(IVb)で示される2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
構造式(IV)中、R2は2価の有機基を表し、R3及びR4は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、m及びnは各々独立に1以上の整数を表す。
構造式(IV)中、R2で表される2価の有機基としては、炭素数が1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数が1〜5のアルキレン基がより好ましく、添加する化合物の粘度の観点から炭素数が1〜2のアルキレン基が更に好ましい。R2で表されるアルキレン基の水素原子は、アルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
構造式(IVa)中、R3は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、m及びpは各々独立に1以上の整数である。
構造式(IVb)中、R4は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、q及びrは各々独立に1以上の整数である。
本発明で用いられる単官能アクリレート化合物としては、1分子中に含まれるアクリロイル基の数が1個の化合物であれば、特に制限はない。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−8−イルオキシエチルアクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−9−イルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ダイマージオールモノアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、テトラヒドロピラニルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、アクリロキシエチルホスフェート、アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート及びエチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールアクリレートが挙げられる。
本発明で用いられる単官能メタクリレート化合物としては、1分子中に含まれるメタクリロイル基の数が1個の化合物であれば、特に制限はない。例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメタクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−8−イルオキシエチルメタクリレート、2−(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−9−イルオキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ダイマージオールモノメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−シアノエチルメタクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレ−ト、ジシクロペンタニルメタクリレ−ト、ジシクロペンテニルメタクリレ−ト、テトラヒドロピラニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート及びエチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールメタクリレートが挙げられる。
本発明の組成物に含まれる(メタ)アクリレート化合物の含有量は、上述の特定のイミド化合物及び(メタ)アクリレート化合物の合計量を100質量部としたときに、50質量部〜90質量部の添加が好ましく、粘度低減の効果から60質量部〜80質量部の添加が更に好ましい。(メタ)アクリレート化合物の含有量が50質量部以上であれば、本発明の組成物の粘度が塗布に適性な範囲とされ、本発明の組成物の基板等への塗布がより容易になる傾向にある。
本発明において、多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを併用する場合、多官能(メタ)アクリレート化合物の合計量と単官能(メタ)アクリレート化合物の合計量の比(質量基準)が10:1〜1:2であることが好ましく、5:1〜1:1であることがより好ましく、3:1〜2:1であることが更に好ましい。
(その他のラジカル重合成分)
本発明の組成物は、特定のイミド化合物及び(メタ)アクリレート化合物以外のその他のラジカル重合成分を含有してもよい。その他のラジカル重合成分としては、酸化還元反応(レドックス反応)成分、エマルション重合成分等が挙げられる。
本発明の組成物中に含有される全ラジカル重合成分(つまり、特定のイミド化合物、(メタ)アクリレート化合物及びその他のラジカル重合成分)の合計量に占めるその他のラジカル重合成分の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、実質的にその他のラジカル重合成分は含有されていないことが好ましい。
本発明の組成物は、特定のイミド化合物及び(メタ)アクリレート化合物以外のその他のラジカル重合成分を含有してもよい。その他のラジカル重合成分としては、酸化還元反応(レドックス反応)成分、エマルション重合成分等が挙げられる。
本発明の組成物中に含有される全ラジカル重合成分(つまり、特定のイミド化合物、(メタ)アクリレート化合物及びその他のラジカル重合成分)の合計量に占めるその他のラジカル重合成分の含有率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、実質的にその他のラジカル重合成分は含有されていないことが好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
本発明の組成物に含有されるラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではなく、従来から公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、後述する有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレリニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒と過酸化物の組み合わせ又は過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等が挙げられる。中でも保存安定性の観点から、ラジカル重合開始剤として有機過酸化物を少なくとも一種含むことが好ましい。
本発明の組成物に含有されるラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではなく、従来から公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、後述する有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレリニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒と過酸化物の組み合わせ又は過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等が挙げられる。中でも保存安定性の観点から、ラジカル重合開始剤として有機過酸化物を少なくとも一種含むことが好ましい。
有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−へキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。
これらの中でも、硬化性と保存安定性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート等が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネートがより好ましい。
これらの中でも、硬化性と保存安定性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネート等が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネートがより好ましい。
本発明の組成物に含まれるラジカル重合開始剤の含有量は、全ラジカル重合成分の100質量部に対して1質量部〜20質量部が好ましく、硬化性の観点から5質量部〜10質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が20質量部以下であると、揮発分が発生しにくく硬化中のボイドの発生がより抑制される傾向にある。また、ラジカル重合開始剤の含有量を1質量部以上とすることで、硬化性がより良好となる傾向にある。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、90℃〜150℃が好ましく、硬化性の観点から100℃〜140℃がより好ましい。10時間半減期温度が90℃以上であれば、基板上に本発明の組成物を塗布した状態のままステージ上で放置したときに本発明の組成物の粘度がより上昇しにくい傾向にある。10時間半減期温度が、150℃以下であれば、チップを圧着する温度での本発明の組成物の硬化速度をより確保できる傾向にある。その結果、ボイドの発生がより抑制される傾向にある。
ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上の併用も可能である。
ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし2種以上の併用も可能である。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は、下記式により算出される。
ここで、τ: 半減期、C:定数、Ea:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度を表す。
10時間半減期の場合、濃度が半分になるτ(時間因子)が50%になる絶対温度を計算によって求めることができる。濃度の測定は、ヨード滴定法を用いて行う。
10時間半減期の場合、濃度が半分になるτ(時間因子)が50%になる絶対温度を計算によって求めることができる。濃度の測定は、ヨード滴定法を用いて行う。
(揺変付与剤)
本発明の組成物は、揺変付与剤を含有してもよい。
本発明で用いられる揺変付与剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている揺変付与剤であれば特に制限されるものではない。例えば、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ及び破砕シリカが挙げられる。
本発明の組成物は、揺変付与剤を含有してもよい。
本発明で用いられる揺変付与剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている揺変付与剤であれば特に制限されるものではない。例えば、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ及び破砕シリカが挙げられる。
本発明の組成物に揺変付与剤を含有することによって、先塗布型アンダーフィル型封止材として使用した場合に、ボイド性がより向上する傾向がある。すなわち、配線基板に封止材を塗布したときに、封止材が形状を保持できずに流動してしまう場合はボイドを巻き込みやすくなる傾向があるが、揺変付与剤を含有することによって、封止材がより流動しにくくなり、ボイド性がより向上する傾向がある。尚、本明細書において「ボイド性」とは、先塗布型アンダーフィル型封止材が形状を保持できるため流動しにくくなり、半導体素子を圧着するときに発生する組成物の流動に起因する巻きこみボイドを抑制することを意味する。
上記の揺変付与剤の中でも、取扱い性、成型性及びボイドの発生の低減の観点から、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等を用いることが好ましく、揺変付与剤から発生する揮発分や組成物への分散性の観点から微粉末シリカ、破砕シリカであることが好ましい。尚、一般に、微粉末シリカは溶融シリカを粉砕したものであり、破砕シリカは結晶性シリカを粉砕したものでありうる。
長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩としては、例えば、ANTI−TERRA−U100(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能であり、不飽和ポリカルボン酸ポリマーとしては、例えば、BYK−P105(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能である。
長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩としては、例えば、ANTI−TERRA−U100(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能であり、不飽和ポリカルボン酸ポリマーとしては、例えば、BYK−P105(ビックケミー・ジャパン(株)商品名)が市販品として入手可能である。
上記の微粉末シリカは、平均一次粒子径が5nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。また、表面をシリコーンオイル又はカップリング剤で処理したものを用いてもよい。微粉末シリカとしては、平均一次粒径が12nmで、ジメチルシランで表面処理をしたR974(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が12nmで、トリメチルシランで表面処理をしたRX200(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が12nmでジメチルシロキサンで表面処理をしたRY200(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が14nmでジメチルシロキサンで表面処理をしたR202(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が12nmでアミノシランで表面処理をしたRA200H(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が12nmでアルキルシランで表面処理をしたR805(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が12nmでメタクリロキシシランで表面処理をしたR7200(日本アエロジル(株)、商品名)、平均一次粒径が50nmでありフェニルシランで表面処理をしたYA050C−SP3(アドマテックス(株)、商品名)等が市販品として入手可能である。中でも、組成物に(メタ)アクリレート化合物を含んでいることから、アルキルシラン、メタクリルシラン等で表面処理した微粉末シリカであることが好ましい。
上記の破砕シリカとしては、平均粒子径が10nm以下であることが好ましく、7.5nm以下がより好ましい。破砕シリカの平均粒子径としては、組成物中への分散性及びシリカ自身の凝集の抑制の観点から5nm以上であることが好ましい。また、破砕シリカの表面をシリコーンオイル又はカップリング剤処理したものを用いてもよい。破砕シリカとしては、例えば、MC3000(アドマテックス(株)商品名)が市販品として入手可能である。
本発明において、微粉末シリカの平均一次粒子径及び破砕シリカの平均粒子径は、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒径を測定し、それらの算術平均によって得られる粒径を意味する。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィ、流体力学クロマトグラフィ等の方法を用い、粒子を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また測定試料が硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
本発明の組成物が揺変付与剤を含有する場合、揺変付与剤は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物が揺変付与剤を含有する場合の揺変付与剤の含有率はラジカル重合成分の全量に対して1質量%〜100質量%であることが好ましく、3質量%〜80質量%がより好ましい。揺変付与剤の含有率が1質量%以上であれば、塗布後の先塗布型アンダーフィル型封止材の形状が大きく変わることを抑制し、周囲の電子部品装置の汚染を低減することができる。揺変付与剤の含有率が100質量%以下であれば、本発明の組成物の粘度が高くなり過ぎず、成形性がより向上する傾向がある。
(フラックス剤)
本発明の組成物は、フラックス剤を含有してもよい。
本発明の組成物にフラックス機能を付与するために、必要に応じてフラックス剤を使用することができる。本発明において使用可能なフラックス剤は、従来から用いられてきたハロゲン化水素酸アミン塩等を用いることができる。本発明において好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物、トリメリット酸等のカルボキシ基を含む酸無水物、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、1分子にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物、金属スルホン酸塩、金属カルボニル酸塩等の有機酸塩、キノリノール誘導体などが挙げられる。
より好ましくは、有機酸又は有機酸塩が挙げられる。
本発明の組成物は、フラックス剤を含有してもよい。
本発明の組成物にフラックス機能を付与するために、必要に応じてフラックス剤を使用することができる。本発明において使用可能なフラックス剤は、従来から用いられてきたハロゲン化水素酸アミン塩等を用いることができる。本発明において好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物、トリメリット酸等のカルボキシ基を含む酸無水物、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、1分子にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物、金属スルホン酸塩、金属カルボニル酸塩等の有機酸塩、キノリノール誘導体などが挙げられる。
より好ましくは、有機酸又は有機酸塩が挙げられる。
本発明の組成物がフラックス剤を含有する場合、本発明のフラックス剤は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物がフラックス剤を含有する場合、フラックス剤の配合率はフラックス機能が発現する量であれば特に制限ないが、本発明の組成物の全量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。フラックス剤の配合率が0.1質量%以上であれば、はんだの濡れ性が十分であり接続抵抗がより低くなる傾向がある。フラックス剤の配合率が10質量%以下であればボイドがより発生しにくくなり、耐マイグレーション性等の信頼性がより向上する傾向がある。
(無機充填剤)
本発明の組成物は、無機充填剤を含有してもよい。
本発明において使用可能な無機充填剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている無機充填剤であれば特に制限されるものではない。例えば、球形シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミナ等のアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の粉体、これらを球形化したビーズ、又は、ガラス繊維が挙げられる。これらの無機充填剤は1種単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでもシリカが好ましく、微細間隙への流動性及び浸透性の観点からは球形シリカがより好ましい。また、これらの無機充填剤は、必要に応じて表面をカップリング剤処理したものを用いてもよい。
本発明の組成物は、無機充填剤を含有してもよい。
本発明において使用可能な無機充填剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている無機充填剤であれば特に制限されるものではない。例えば、球形シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミナ等のアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の粉体、これらを球形化したビーズ、又は、ガラス繊維が挙げられる。これらの無機充填剤は1種単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでもシリカが好ましく、微細間隙への流動性及び浸透性の観点からは球形シリカがより好ましい。また、これらの無機充填剤は、必要に応じて表面をカップリング剤処理したものを用いてもよい。
本発明の組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の平均粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されないが、5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがより好ましく、1μm以下とすることが更に好ましい。また、無機充填剤の平均粒子径は0.1μm以上とすることが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が5μm以下であれば、本発明の組成物の微細間隙への浸透性及び流動性がより向上してボイドの発生及び未充填をより起こしにくくなると共に、半導体素子と配線基板との接続部に無機充填剤がより噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
本発明の組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤の含有率は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されないが、本発明の組成物全量に対して20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。また、無機充填剤の含有量は、本発明の組成物全量に対して70質量%以下であることが好ましい。無機充填剤の含有量が20質量%以上であれば、本発明の組成物の硬化物の強度がより向上し、耐温度サイクル性等の信頼性がより向上する傾向がある。無機充填剤の含有量が70質量%以下であれば、粘度が低減し、塗布が容易になる傾向がある。
本発明で用いられる無機充填剤の最大粒子径は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されないが、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。無機充填剤の最大粒子径が20μm以下であれば、本発明の組成物の微細間隙への浸透性及び流動性がより向上してボイドの発生及び未充填をより起こしにくくなるとともに、半導体素子と配線基板との接続部に無機充填剤が噛み込みにくくなり、接続不良がより発生しにくくなる傾向がある。
本発明の無機充填剤の「平均粒子径」とは、下記の方法を用いて粒子径を階級、体積を度数とし、度数の累積で表記された積算分布において、積算分布が50%となる粒子径を意味する。無機充填剤の粒子径を測定する方法としては、レーザー回折、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い、同時に多数の粒子を測定する方法、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒子径を測定する方法などが挙げられる。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィ、流体力学クロマトグラフィ等の方法を用い、粒子を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また測定試料が硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
本発明の組成物が無機充填剤を含有する場合、無機充填剤はカップリング剤で表面処理されていてもよい。本発明において無機充填剤を処理するカップリング剤は、本発明の効果が達成されるものであれば特に制限されるものではない。
カップリング剤の具体例としては、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等の1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基からなる群より選択される少なくとも一種のアミノ基を有するアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシランなどの各種シラン化合物、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタン系化合物などが挙げられる。
カップリング剤の具体例としては、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等の1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基からなる群より選択される少なくとも一種のアミノ基を有するアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシランなどの各種シラン化合物、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタン系化合物などが挙げられる。
中でも、ボイド性の観点からは、下記一般式(I−5)で示される化合物を含むことが好ましい。
式(I−5)中、R7は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の1価の炭化水素基を表す。R8は置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の2価の炭化水素基を表す。R9は各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数が1〜18の1価の炭化水素基を表す。R10は各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表す。nは0〜3の整数を表す。
一般式(I−5)で示される化合物としては、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(ジエチル−メチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1−エチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2,2’−ジメチルペンチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,2−ジメチルプロピリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ジプロピルメチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(シクロペンチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(シクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−メチルシクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(4−メチルシクロヘキシリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベンジリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ヘプチリデン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−10−アミノデシルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノベンジルトリメトキシシラン等が挙げられる。
一般式(I−5)で示される化合物により無機充填剤を表面処理することで、理由は明らかではないが、本発明の組成物が加熱されても粘度が低下しにくくなり流動しないため、ボイドがより発生しにくく、結果としてボイド性がより向上するといえる。
本発明の組成物が無機充填剤を含有する場合において、無機充填剤をカップリング剤で表面処理する場合、カップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物が無機充填剤を含有する場合において、無機充填剤をカップリング剤で表面処理する場合、カップリング剤の処理量は無機充填剤に対して質量比率で0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜2.5質量%がより好ましい。カップリング剤の処理量が無機充填剤に対して質量比率で0.05質量%以上であれば電子部品の構成部材との接着性がより向上する傾向があり、5質量%以下であれば成形性及びボイド性がより向上する傾向がある。
(イオントラップ剤)
本発明の組成物は、耐湿性及び高温放置特性をより向上させる観点から必要に応じてイオントラップ剤を使用することができる。本発明において使用可能なイオントラップ剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではなく、例えば、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が挙げられる。
本発明の組成物は、耐湿性及び高温放置特性をより向上させる観点から必要に応じてイオントラップ剤を使用することができる。本発明において使用可能なイオントラップ剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではなく、例えば、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が挙げられる。
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O (II−1)
(式(II−1)中、xは0<x≦0.5であり、mは正数である。)
BiOx(OH)y(NO3)z (II−2)
(式(II−2)中、xは0.9≦x≦1.1、yは0.6≦y≦0.8、zは0.2≦z≦0.4である。)
(式(II−1)中、xは0<x≦0.5であり、mは正数である。)
BiOx(OH)y(NO3)z (II−2)
(式(II−2)中、xは0.9≦x≦1.1、yは0.6≦y≦0.8、zは0.2≦z≦0.4である。)
上記のイオントラップ剤としては、例えば、上記一般式(II−1)の化合物は市販品として(協和化学工業(株)、商品名「DHT−4A」)として入手可能である。また、上記一般式(II−2)の化合物は市販品として(東亞合成(株)、商品名「IXE500」)として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられ、これらを1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有率はラジカル重合成分全量に対して0.1質量%〜5.0質量%が好ましく、1.0質量%〜3.0質量%以下がより好ましい。また、イオントラップ剤の平均粒径は0.1μm〜3.0μmが好ましく、最大粒径は10μm以下が好ましい。
本発明のイオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、前記無機充填剤と同様の方法を用いて測定される。
本発明のイオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、前記無機充填剤と同様の方法を用いて測定される。
(界面活性剤)
本発明の有機樹脂組成物は、フィレット性をより向上させる観点から必要に応じて界面活性剤を使用することができる。
本発明において使用可能な界面活性剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤であれば特に制限されるものではない。非イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、アラルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン界面活性剤、ポリアクリル界面活性剤等が挙げられる。中でもポリエーテル変性シリコーン界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン界面活性剤が、本発明の組成物の表面張力の低減により優れる傾向がある。
これらの界面活性剤は、市販品としてBYK−307、BYK−333、BYK−377、BYK−323(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名)等が入手可能である。
本発明の有機樹脂組成物は、フィレット性をより向上させる観点から必要に応じて界面活性剤を使用することができる。
本発明において使用可能な界面活性剤は、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤であれば特に制限されるものではない。非イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、アラルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン界面活性剤、ポリアクリル界面活性剤等が挙げられる。中でもポリエーテル変性シリコーン界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン界面活性剤が、本発明の組成物の表面張力の低減により優れる傾向がある。
これらの界面活性剤は、市販品としてBYK−307、BYK−333、BYK−377、BYK−323(ビックケミー・ジャパン(株)、商品名)等が入手可能である。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤としてシリコーン変性エポキシ樹脂を用いることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂はエポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンとエポキシ樹脂との反応物として得ることができる。シリコーン変性エポキシ樹脂は、室温で液状であることが好ましい。ここでエポキシ基と反応する官能基を有するオルガノシロキサンを例示すれば、アミノ基、カルボキシ基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基等を1分子中に少なくとも1個有するジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。これらのオルガノシロキサンは、市販品として東レ・ダウコーニング(株)商品名BY16−799、BY16−871、BY16−004、信越化学工業(株)商品名X−22−1821、KF−8010等が入手可能である。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したオルガノシロキサンの重量平均分子量としては500〜5000の範囲が好ましく、1000〜3000の範囲がより好ましい。重量平均分子量が500以上であれば樹脂との相溶性が過剰に向上することが抑制され添加剤としての効果がより発揮されやすい傾向にある。重量平均分子量が5000以下であれば樹脂との相溶性が悪化せずシリコーン変性エポキシ樹脂の硬化物からの分離及び染み出しが発生しにくく、接着性及び外観をより損なわない傾向にある。
上記シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂としては、本発明の組成物に相溶するものであれば特に制限されるものではなく、電子部品用有機樹脂組成物に一般的に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとする、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる、線状脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン変性エポキシ樹脂を得るために用いるエポキシ樹脂は、室温で液状のものが好ましい。
本発明の組成物は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、希釈剤などを必要に応じて使用することができる。
本発明の組成物の揺変指数は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
本発明における組成物の揺変指数は、25℃に保たれた組成物について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s−1のせん断速度での粘度)/(5.0s−1のせん断速度での粘度)の値とした。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
本発明における組成物の揺変指数は、25℃に保たれた組成物について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s−1のせん断速度での粘度)/(5.0s−1のせん断速度での粘度)の値とした。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
<本発明の組成物の製造方法>
本発明の組成物は、上記各種成分を分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって本発明の組成物を得ることができる。
本発明の組成物は、上記各種成分を分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって本発明の組成物を得ることができる。
<電子部品装置及びその製造方法>
本発明の電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する本発明の組成物の硬化物と、を有するものである。ここで、「素子を封止する」とは、少なくとも素子の接続部を封止することを意味する。
本発明の組成物を用いて得られる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本発明の組成物で封止して得られる電子部品装置などが挙げられる。
特にリジッド若しくはフレキシブル配線板又はガラス上に形成した配線に半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした半導体装置が対象となる。具体的な例としてはフリップチップBGA、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等の半導体装置が挙げられ、本発明の組成物は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。
本発明の電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する本発明の組成物の硬化物と、を有するものである。ここで、「素子を封止する」とは、少なくとも素子の接続部を封止することを意味する。
本発明の組成物を用いて得られる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本発明の組成物で封止して得られる電子部品装置などが挙げられる。
特にリジッド若しくはフレキシブル配線板又はガラス上に形成した配線に半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした半導体装置が対象となる。具体的な例としてはフリップチップBGA、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等の半導体装置が挙げられ、本発明の組成物は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。
本発明の組成物が特に好適なフリップチップの分野としては、配線基板と半導体素子を接続するバンプ材質がSn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体素子であり、従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだによるバンプ接続をしたフリップチップに対しても良好な信頼性を維持できる。
本発明の組成物を用いて電子部品を封止する方法としては、電子部品の配線基板と対向する側の面及び配線基板の電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に本発明の組成物を塗布し、電子部品を熱圧着して接続する際に、電子部品と配線基板との金属バンプを介した接続と本発明の組成物の硬化とを一括して行う先塗布方式が挙げられる。
以下、先塗布方式による電子部品装置の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の先塗布法式による電子部品装置の製造方法は、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接続することで電子部品装置を製造するものであって、前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に本発明の組成物を付着させる付着工程と、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に本発明の組成物を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接触させる加圧工程と、前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接続させ、かつ、本発明の組成物を硬化する熱処理工程とを有していてもよい。
本発明の先塗布法式による電子部品装置の製造方法は、電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接続することで電子部品装置を製造するものであって、前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に本発明の組成物を付着させる付着工程と、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に本発明の組成物を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接触させる加圧工程と、前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接続させ、かつ、本発明の組成物を硬化する熱処理工程とを有していてもよい。
以下、図面を参照しながら先塗布方式による電子部品装置の製造方法について説明する。なお、以下の電子部品装置の製造方法においては、配線基板の電子部品と対向する側の面に本発明の組成物を付着させる態様について説明する。また、金属バンプは電子部品側に設けられており、当該金属バンプを介して電子部品と配線基板とが接続される。しかし、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
図1は、先塗布方式による電子部品装置の製造方法の工程説明図である。
図1において、1は半導体チップ(電子部品)、2ははんだバンプ、3は接続パッド、4はソルダーレジスト、5は配線基板、6は封止材(本発明の組成物)である。
図1は、先塗布方式による電子部品装置の製造方法の工程説明図である。
図1において、1は半導体チップ(電子部品)、2ははんだバンプ、3は接続パッド、4はソルダーレジスト、5は配線基板、6は封止材(本発明の組成物)である。
まず、図1(a)において、配線基板5の接続パッド3の設けられた側(配線基板5の半導体チップ1と対向する側)の面に本発明の組成物である封止材6を塗布する(付着工程)。封止材6の塗布方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられる。封止材6の塗布領域としては、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の全域に塗布してもよいし、配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布してもよい。封止材6を配線基板5の接続パッド3の設けられた領域の一部に塗布することで配線基板5と半導体チップ1とをはんだバンプ2を介して接触させる際に封止材6が流動して配線基板5と半導体チップ1との間に充填されるため好ましい。封止材6の配線基板5への塗布パターンとしては、配線基板5の半導体チップ1の配置される領域の対角線に沿ってクロス形又はダブルクロス形が好ましい。
次いで、図1(b)において、半導体チップ1と配線基板5とをはんだバンプ2を介して加圧しながら対向させることで、半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させ、かつ、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる(加圧工程)。
半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.001N〜100Nが好ましく、0.005〜50Nがより好ましく、0.01N〜10Nが更に好ましい。
また、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.002N〜200Nが好ましく、0.01N〜100Nがより好ましく、0.02N〜20Nが更に好ましい。この加圧条件下において、後述の熱処理工程での半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とのはんだバンプ2を介した接続を実施してもよい。
半導体チップ1と配線基板5との間隙に封止材6を充填させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.001N〜100Nが好ましく、0.005〜50Nがより好ましく、0.01N〜10Nが更に好ましい。
また、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる際の加圧条件としては、1つのバンプあたりの加重量が0.002N〜200Nが好ましく、0.01N〜100Nがより好ましく、0.02N〜20Nが更に好ましい。この加圧条件下において、後述の熱処理工程での半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とのはんだバンプ2を介した接続を実施してもよい。
前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とがはんだバンプ2を介して加圧して接触する状態で熱処理して半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接続させ、かつ、封止材6を硬化する(熱処理工程)。
加熱条件としては、150℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましく、240℃〜260℃が更に好ましい。この際に、封止材6が硬化する。
さらに、必要に応じて封止材6の硬化を充分なものとするため、120℃〜200℃の範囲で0.5時間〜6時間加熱してもよい。
以上の工程を経ることで、本発明の電子部品装置が製造される。
加熱条件としては、150℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましく、240℃〜260℃が更に好ましい。この際に、封止材6が硬化する。
さらに、必要に応じて封止材6の硬化を充分なものとするため、120℃〜200℃の範囲で0.5時間〜6時間加熱してもよい。
以上の工程を経ることで、本発明の電子部品装置が製造される。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜30及び比較例1〜3]
実施例及び比較例に使用した成分は以下の通りである。
(A)ビスアリルナジイミド化合物:BANI−M(丸善石油化学(株)、(4,4’−ジフェニルメタンビスアリルナジイミド))
(B)ビスマレイミド化合物:BMI−1500(エア・ブラウン(株)、(下記構造式で表される化合物))
実施例及び比較例に使用した成分は以下の通りである。
(A)ビスアリルナジイミド化合物:BANI−M(丸善石油化学(株)、(4,4’−ジフェニルメタンビスアリルナジイミド))
(B)ビスマレイミド化合物:BMI−1500(エア・ブラウン(株)、(下記構造式で表される化合物))
(C)アクリレート化合物:A−DCP(新中村化学工業(株)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)
(D)メタクリレート化合物:FA−512M(日立化成(株)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)
(E)無機充填剤
無機充填剤:平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μmの溶融シリカ(アドマテックス(株)、商品名「SE2050−SEJ」)
(F)揺変付与剤
揺変付与剤:平均粒子径が12nmで、アルキルシランで表面処理をした微粉末シリカ(日本アエロジル(株)、商品名「R−805」)
(G)ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤1:カヤヘキサAD(化薬アクゾ(株)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、10時間半減期温度:118℃)
(H)フラックス剤
フラックス剤:アジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)、アジピン酸)
(D)メタクリレート化合物:FA−512M(日立化成(株)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)
(E)無機充填剤
無機充填剤:平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μmの溶融シリカ(アドマテックス(株)、商品名「SE2050−SEJ」)
(F)揺変付与剤
揺変付与剤:平均粒子径が12nmで、アルキルシランで表面処理をした微粉末シリカ(日本アエロジル(株)、商品名「R−805」)
(G)ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤1:カヤヘキサAD(化薬アクゾ(株)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、10時間半減期温度:118℃)
(H)フラックス剤
フラックス剤:アジピン酸(旭化成ケミカルズ(株)、アジピン酸)
上記の成分をそれぞれ表1〜表5に示す含有量又は含有比率になるように配合し、三本ロール及びらいかい機にて混練分散した後、真空脱泡して、実施例及び比較例の組成物を作製した。なお、表中のphrは質量部を、wt%は質量%を意味する。
実施例及び比較例の組成物を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表6〜表10に示す。
(1)粘度及びチクソ性
レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)商品名AR2000)を用い、25℃に保たれた組成物について、せん断速度が5.0s−1で測定したときの値を粘度とした。また、25℃に保たれた組成物について、せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度とせん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度の比(せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度)/(せん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度)をチクソ性とした。
レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)商品名AR2000)を用い、25℃に保たれた組成物について、せん断速度が5.0s−1で測定したときの値を粘度とした。また、25℃に保たれた組成物について、せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度とせん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度の比(せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度)/(せん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度)をチクソ性とした。
(2)接続性
配線基板(サイズ:14mm×14mm×0.30mm、コア層:E−679FG(日立化成(株)商品名)、ソルダーレジスト:AUS−308(太陽ホールディングス(株)商品名)、基板メッキ:Ni(5.0μm)+Pd(0.30μm)+Au(0.35μm)のチップ搭載部に、ディスペンサーを用いて、組成物を約3mg塗布した。80℃に加熱したステージ上に組成物を塗布した配線基板を置き、チップ(サイズ:7.3mm×7.3mm×0.15mm、バンプ:銅(高さ30μm)+はんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)、バンプピッチ:80μm、バンプ数:328)を搭載し、加重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、165℃、1時間の条件で硬化することで半導体装置を得た。
それぞれの組成物について、上記の方法にて半導体装置を作製し、配線及び接続部の断線有無を導通試験によって確認を行い、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を接続性とした。
配線基板(サイズ:14mm×14mm×0.30mm、コア層:E−679FG(日立化成(株)商品名)、ソルダーレジスト:AUS−308(太陽ホールディングス(株)商品名)、基板メッキ:Ni(5.0μm)+Pd(0.30μm)+Au(0.35μm)のチップ搭載部に、ディスペンサーを用いて、組成物を約3mg塗布した。80℃に加熱したステージ上に組成物を塗布した配線基板を置き、チップ(サイズ:7.3mm×7.3mm×0.15mm、バンプ:銅(高さ30μm)+はんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)、バンプピッチ:80μm、バンプ数:328)を搭載し、加重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、165℃、1時間の条件で硬化することで半導体装置を得た。
それぞれの組成物について、上記の方法にて半導体装置を作製し、配線及び接続部の断線有無を導通試験によって確認を行い、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を接続性とした。
(3)ボイド性
上記方法にて作製した半導体装置を、超音波探傷装置AT−5500(日立建機(株))を用いて観察を行い、ボイドの有無をA(ボイド面積が全面積の1%以下)、B(ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下)、C(ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下)、D(ボイド面積が全面積の20%を超える)の4段階にて区分けし、ボイド性とした。
上記方法にて作製した半導体装置を、超音波探傷装置AT−5500(日立建機(株))を用いて観察を行い、ボイドの有無をA(ボイド面積が全面積の1%以下)、B(ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下)、C(ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下)、D(ボイド面積が全面積の20%を超える)の4段階にて区分けし、ボイド性とした。
(4)耐リフロー性
上記方法にて作製した半導体装置を、120℃/12時間加熱乾燥した後、30℃、70%RHの条件下に192時間放置し、遠赤外線加熱方式のリフロー炉(予熱150℃〜180℃で50秒、ピーク温度260℃、250℃以上の加熱時間40秒)中を3回通した。その後、超音波探傷装置を用いて観察を行った。組成物の硬化物とチップ及び基板との剥離、組成物の硬化物のクラックの有無を確認し、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を耐リフロー性とした。
上記方法にて作製した半導体装置を、120℃/12時間加熱乾燥した後、30℃、70%RHの条件下に192時間放置し、遠赤外線加熱方式のリフロー炉(予熱150℃〜180℃で50秒、ピーク温度260℃、250℃以上の加熱時間40秒)中を3回通した。その後、超音波探傷装置を用いて観察を行った。組成物の硬化物とチップ及び基板との剥離、組成物の硬化物のクラックの有無を確認し、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を耐リフロー性とした。
組成物の硬化反応の速度が速い場合、接続性に優れる評価結果が得られる。その理由は、はんだが溶けたときに周辺部の成分がある程度硬化していることからはんだが流れることなく基板接続部周辺にとどまるためである。
また、組成物の硬化収縮が生じにくい場合、耐リフロー性に優れる評価結果が得られる。その理由は、硬化収縮の低減により硬化物内部の残留応力が緩和され接着強度が増すためである。
実施例の評価結果から明らかなように、本発明の組成物を用いて形成された半導体装置は、接続性及び耐リフロー性に優れる。このことから、本発明の組成物は硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくいことがわかる。
一方、比較例の組成物では、半導体装置の作製においてディスペンスノズルから組成物を吐出することができず、先塗布型アンダーフィル型封止材として不適切であった。
また、組成物の硬化収縮が生じにくい場合、耐リフロー性に優れる評価結果が得られる。その理由は、硬化収縮の低減により硬化物内部の残留応力が緩和され接着強度が増すためである。
実施例の評価結果から明らかなように、本発明の組成物を用いて形成された半導体装置は、接続性及び耐リフロー性に優れる。このことから、本発明の組成物は硬化反応の速度が速く、硬化収縮の生じにくいことがわかる。
一方、比較例の組成物では、半導体装置の作製においてディスペンスノズルから組成物を吐出することができず、先塗布型アンダーフィル型封止材として不適切であった。
1 半導体チップ(電子部品)
2 はんだバンプ
3 接続パッド
4 ソルダレジスト
5 配線基板
6 封止材
2 はんだバンプ
3 接続パッド
4 ソルダレジスト
5 配線基板
6 封止材
Claims (10)
- イミド構造と炭素炭素二重結合とを含む構造単位の少なくとも2つと前記構造単位を連結する有機基とを有するイミド化合物と、(メタ)アクリレート化合物と、ラジカル重合開始剤と、を含有する先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 前記イミド化合物が、下記構造式(I)及び下記構造式(V)からなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
(上記構造式において、R1及びR5は、各々独立に、芳香族炭化水素構造又は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状脂肪族炭化水素構造を含む2価の有機基を表す。) - 前記ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物を少なくとも一種含む請求項1又は請求項2に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 前記(メタ)アクリレート化合物が、一分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種と、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一種とを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 揺変付与剤を更に含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- フラックス剤を更に含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 前記フラックス剤が、有機酸又は有機酸塩を含む請求項6に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 無機充填剤を更に含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物。
- 素子と、
前記素子を封止する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物の硬化物と、
を有する電子部品装置。 - 電子部品と配線基板とを金属バンプを介して接続することで電子部品装置を製造する電子部品装置の製造方法であって、
前記電子部品の前記配線基板と対向する側の面及び前記配線基板の前記電子部品と対向する側の面の少なくとも一方に請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を付着させる付着工程と、
前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧しながら対向させることで、前記電子部品と前記配線基板との間隙に前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を充填させ、かつ、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接触させる加圧工程と、
前記加圧工程中及び前記加圧工程後の少なくとも一方で、前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して加圧して接触する状態で熱処理して前記電子部品と前記配線基板とを前記金属バンプを介して接続させ、かつ、前記先塗布型熱硬化性アンダーフィル組成物を硬化する熱処理工程と
を有する電子部品装置の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JP2020084125A (ja) * | 2018-11-30 | 2020-06-04 | 日立化成株式会社 | 硬化性組成物及びその硬化物、並びに半導体用配線層 |
JP2020136430A (ja) * | 2019-02-18 | 2020-08-31 | 日立化成株式会社 | 配線層間絶縁層形成用感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体用配線層、半導体用配線層積層体 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013035868A1 (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-14 | ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン | 電子装置用組成物 |
-
2017
- 2017-05-16 JP JP2017097711A patent/JP2017143310A/ja active Pending
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