JP6707856B2 - 先供給型アンダーフィル材、電子部品装置の製造方法、及び電子部品装置 - Google Patents

先供給型アンダーフィル材、電子部品装置の製造方法、及び電子部品装置 Download PDF

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Description

本発明は、先供給型アンダーフィル材、電子部品装置の製造方法、及び電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の電子部品装置の素子封止の分野では、生産性、コスト等の面から樹脂を含む封止用材料を用いて封止する手法が主流となっている。封止用材料としては、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が、作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。
COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等のベアチップ実装した電子部品装置においては、封止用材料として室温で液体のエポキシ樹脂組成物が広く使用されている。また、セラミック、ガラスエポキシ樹脂、ガラスイミド樹脂、ポリイミドフィルム等を基板とする配線基板上に電子部品をバンプ接続してなる電子部品装置(フリップチップ)では、バンプ接続した電子部品と配線基板との間隙(ギャップ)を充填するアンダーフィル材としても、室温で液体のエポキシ樹脂組成物が使用されている。ベアチップ実装では、回路形成面が充分に保護されていないため、水分及びイオン性不純物が浸入し易く、フリップチップ実装では、電子部品と配線基板とはそれぞれ熱膨張係数が異なることがあるため、接続部に熱応力が発生することがある。そのため、エポキシ樹脂組成物は電子部品を温湿度及び機械的な外力から保護するために重要な役割を果たしている。
アンダーフィル材の充填方式としては、電子部品と配線基板とを接続した後に、電子部品と配線基板とのギャップに毛細管現象を利用してアンダーフィル材を浸透させる後入れ方式と、アンダーフィル材を先に配線基板上に供給し、熱圧着して電子部品を配線基板に接続する際に、電子部品と配線基板との接続及びアンダーフィル材の硬化反応を一括して行う先供給方式とがある。
また、近年、電子部品の高集積化、多機能化、及び多ピン化に伴って、バンプの小径化及び狭ピッチ化が進んでおり、電子部品と配線基板とをリフロー炉を用いて接続する際に、冷却時に生じる応力によって接続部が破壊されてしまう事例が発生している。そのため、電子部品を配線基板に接続するとともに、アンダーフィル材による接続部の保護が可能な、先供給方式のアンダーフィル材(「先供給型アンダーフィル材」とも称される。)の要求が高まっている。
先供給方式に使用されるアンダーフィル材の硬化性が低いと熱圧着の時間が長くなり、電子部品装置、アンダーフィル材等から発生する揮発分が原因となって空孔(以下、「ボイド」とも称する)がアンダーフィル材の硬化物中に生じ易くなる。そのため、先供給方式に使用されるアンダーフィル材は、短時間で硬化可能であることが好ましい。
ボイドがアンダーフィル材の硬化物中に存在すると、熱応力により接続信頼性が低下し、水分及びイオン性不純物の浸入により耐湿信頼性が低下することから、アンダーフィル材の硬化物中におけるボイドの発生が抑制されることが求められる。
エポキシ樹脂組成物の硬化時間を短縮する方法としては、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を使用する方法(例えば、特許文献1参照)、硬化促進剤としてイミダゾール化合物の周囲を熱硬化性樹脂による被膜で被覆して得られる微細球粒子及びアミンアダクト粒子の少なくとも一方を使用する方法(例えば、特許文献2参照)等が報告されている。
また、上記の短時間硬化が可能なエポキシ樹脂組成物の他に、硬化時間の短縮が可能な反応として、ラジカル反応が挙げられる。ラジカル反応を適用したアンダーフィル材としては、ラジカル反応が可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する樹脂組成物を用いたアンダーフィル材が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
特公平7−53794号公報 特許第3446730号公報 特開2009−164477号公報
しかし、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を含有するエポキシ樹脂組成物を先供給方式のアンダーフィル材として使用しても、熱圧着による硬化には比較的長い時間が必要であるため、ボイドが発生し易い。そのため、このようなエポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として用いて得られた電子部品装置は接続信頼性が不充分である。
更に、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を用いたアンダーフィル材は、エポキシ樹脂組成物と比較して短時間硬化は可能であるものの、硬化時の収縮及び熱による伸縮量が大きいため電子部品との接着性が低く、このようなアンダーフィル材を用いて得られた電子部品装置は接続信頼性が不充分である。
そのため、先供給方式に適用され、硬化時間の短縮が可能でボイドの発生が少なく、且つ、電子部品との接着性に優れたアンダーフィル材が要求されているが、未だ得られていない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、硬化時間の短縮が可能で、ボイドの発生が少なく、且つ、電子部品との接着性に優れる先供給型アンダーフィル材、この先供給型アンダーフィル材を用い、電気的な接続信頼性に優れる電子部品装置を製造することができる電子部品装置の製造方法、及び電気的な接続信頼性に優れ、且つ、ボイドの発生が少ない電子部品装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> (A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤を含有し、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含む先供給型アンダーフィル材。
<2> 前記(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物が、下記一般式(I−1)で表される化合物である<1>に記載の先供給型アンダーフィル材。

(一般式(I−1)中、R11はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R12はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、R13は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、nはそれぞれ独立に、0〜50の数を表し、mはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
<3> 前記(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して5質量%以上である<1>又は<2>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<4> 前記(D)可とう剤が、(D1)下記一般式(I−7)又は(I−8)で表される構造単位を有する化合物を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。

(一般式(I−7)中、R71及びR72はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R73及びR74はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、p及びqはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R73とR74とは互いに異なる。R73及びR74はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)

(一般式(I−8)中、R81、R82、及びR83はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R84、R85、及びR86はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、x、y、及びzはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R84とR85とは互いに異なり、R85とR86とは互いに異なる。R84、R85、及びR86はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)
<5> 前記(D1)一般式(I−7)又は(I−8)で表される構造単位を有する化合物の重量平均分子量が、5,000〜1,000,000である<4>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<6> 前記(D1)一般式(I−7)又は(I−8)で表される化合物の含有率が、先供給型アンダーフィル材の全量に対して1質量%以上である<4>又は<5>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<7> 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物を含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
<8> 前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して30質量%以上である<7>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<9> 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートを含む<1>〜<8>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
<10> 前記(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートの含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して20質量%以上である<9>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<11> 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A3)下記一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む<1>〜<10>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。

(一般式(I−2)中、R21はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R22は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、r及びsはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
<12> 前記(A3)一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して10質量%以上である<11>に記載の先供給型アンダーフィル材。
<13> 前記(B)反応開始剤が、有機過酸化物を含む<1>〜<12>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
<14> 前記(C)無機充填剤の体積平均粒子径が、0.1μm〜10μmである<1>〜<13>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
<15> 前記(C)無機充填剤の含有率が、先供給型アンダーフィル材の全量に対して10質量%以上である<1>〜<14>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
<16> 電子部品における配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、<1>〜<15>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、
前記供給工程の後に、前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、前記先供給型アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含む電子部品装置の製造方法。
<17> 電子部品と、
前記電子部品と対向して配置され、前記電子部品に接続部を介して接続される配線基板と、
前記電子部品と前記配線基板との間に配置される、<1>〜<15>のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を有する電子部品装置。
本発明によれば、硬化時間の短縮が可能で、ボイドの発生が少なく、且つ、電子部品との接着性に優れる先供給型アンダーフィル材、この先供給型アンダーフィル材を用い、電気的な接続信頼性に優れる電子部品装置を製造することができる電子部品装置の製造方法、及び電気的な接続信頼性に優れ、且つ、ボイドの発生が少ない電子部品装置を提供することができる。
先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程を説明する図である。
以下、本発明を適用した先供給型アンダーフィル材、電子部品装置の製造方法、及び電子部品装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。
本明細書において「液体」とは、流動性及び粘性を示し、且つ、粘性を示す尺度である粘度が25℃において、0.0001Pa・s〜1000Pa・sである物質を意味する。
本明細書において「アンダーフィル材」とは、セラミック、ガラスエポキシ樹脂、ガラスイミド樹脂、ポリイミドフィルム等を基板とする配線基板上に電子部品をバンプ接続してなる電子部品装置(フリップチップ)において、バンプ接続した電子部品と配線基板との間隙(ギャップ)に充填され、電子部品と配線基板との接続部を温度及び湿度並びに機械的な外力から保護する材料を意味する。
本明細書において「アンダーフィル材の粘度」とは、25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度で測定したときの値と定義する。詳細には、「粘度」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のレオメーターを用いて、温度25℃で測定される。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物及びメタクリル化合物の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの少なくとも一方を意味する。
[先供給型アンダーフィル材]
本実施形態の先供給型アンダーフィル材(以下、単に「本実施形態のアンダーフィル材」ともいう。)は、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤を含有し、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含む。
本実施形態のアンダーフィル材は、上記構成を採ることにより、アンダーフィル材の硬化時間の短縮が可能で、ボイドの発生が少なく(すなわち、低ボイド性であり)、且つ、電子部品との接着性に優れる硬化物を得ることができる。該硬化物により、電子部品装置の接続信頼性が向上し得る。
その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
本実施形態のアンダーフィル材に含まれる(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、ラジカル重合反応により硬化する。ラジカル重合反応はエポキシ開環反応に比較して反応速度が速い。そのため、本実施形態のアンダーフィル材は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有する従来のアンダーフィル材に比較して反応速度が速く、硬化時間を短縮することが可能であると推察される。アンダーフィル材の硬化時間が短縮することにより、アンダーフィル材等から発生する揮発分が原因となるボイドの発生を抑制することができるものと考えられる。
また、本実施形態のアンダーフィル材は、(D)可とう剤及び(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含有することにより、基材との接着性を向上することができる。これは、(D)可とう剤を含有することにより硬化物の硬化収縮及び熱伸縮が小さくなり、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物中に2級水酸基を含有することにより接着力を大きくすることができるためと推察される。更に、基材との接着性が向上することにより、アンダーフィル材と電子部品装置との間に剥離が生じるのを抑制し、電子部品と配線基板との電気的接続性が損なわれることを抑制し、電子部品装置の接続信頼性を向上することができると考えられる。
本実施形態のアンダーフィル材の粘度は、例えば、25℃で0.01Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜500Pa・sであることがより好ましく、1.0Pa・s〜100Pa・sであることが更に好ましい。本実施形態におけるアンダーフィル材の粘度の測定方法は上述の通りである。
また、アンダーフィル材の揺変指数は、例えば、0.1〜100であることが好ましく、0.5〜50であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましい。なお、本実施形態におけるアンダーフィル材の揺変指数の測定方法は、以下の通りである。
25℃に保たれたアンダーフィル材について、レオメーターを用いて5.0s−1のせん断速度及び0.5s−1のせん断速度でそれぞれ測定したときの値の比(せん断速度が0.5s−1で測定したときの粘度)/(せん断速度が5.0s−1で測定したときの粘度)を揺変指数とする。5.0s−1のせん断速度での粘度及び0.5s−1のせん断速度での粘度は、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、25℃で測定した値とする。
以下、本実施形態のアンダーフィル材に含有される必須及び任意の各成分について説明する。
<(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物>
本実施形態のアンダーフィル材は、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下、「成分(A)」とも称する)を含有し、該エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物(以下、「化合物(A1)」とも称する)を含む。化合物(A1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エチレン性不飽和二重結合とは、(B)反応開始剤を用いてラジカル反応が可能である官能基であれば特に制限されず、反応性の観点から、(メタ)アクリルロイル基であることが好ましく、(メタ)アクリルロイルオキシ基であることがより好ましい。
((A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物)
化合物(A1)を得るために使用可能なエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に制限されない。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とする、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共重合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;p−アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂及び脂環族エポキシ樹脂;及びレゾルシノール骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(A1)を得る方法は特に制限されない。化合物(A1)を得る方法としては、例えば、所定量のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを室温の状態で付加反応させる方法;各材料を加熱して付加反応させる方法;各材料に溶剤を加えて付加反応させる方法;及び各材料に一般的な反応触媒(例えば、アミン類、ホスフィン類等のルイス塩基又はその塩)を加えて付加反応させる方法が挙げられる。
化合物(A1)を得る際のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との割合は特に制限されない。エポキシ樹脂及び(メタ)アクリル酸それぞれの未反応物を少なく抑える観点から、例えば、エポキシ樹脂が有するエポキシ基1当量に対して(メタ)アクリル酸が有するカルボキシ基の当量数を0.3当量〜10.0当量の範囲に設定することが好ましく、0.5当量〜5.0当量の範囲に設定することがより好ましく、0.8当量〜3.0当量の範囲に設定することが更に好ましい。
化合物(A1)の1分子中のエチレン性不飽和二重結合数は、アンダーフィル材の硬化物の電子部品との接着性及び硬化物の硬化収縮性の観点から、例えば、1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
化合物(A1)は、下記一般式(I−1)で表される化合物であることが好ましい。

(一般式(I−1)中、R11はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、R13は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、nはそれぞれ独立に、0〜50の数を表し、mはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
一般式(I−1)において、R12で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基は、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1〜18の2価の炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれない。
12で表される炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜14の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基、ビニレン基、エチリデン基、ビニリデン基、プロペニレン基、及びブタジエニレン基が挙げられる。炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、又はヘキシレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、又はブチレン基がより好ましい。
12で表される炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜14の2価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数5〜12の2価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、及びシクロヘキシリデン基が挙げられる。
12で表される炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基は、炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、及びターフェニレン基が挙げられる。
中でも、一般式(I−1)におけるR12は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
一般式(I−1)におけるR12が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、及びイソシアネート基が挙げられる。R12は置換基を有さないことが好ましい。
一般式(I−1)において、R13で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基は、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1〜18の2価の炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれない。
13で表される炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基は、いずれも一般式(I−1)におけるR12と同義である。
13で表される脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基は、炭素数8〜18の2価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数10〜18の2価の炭化水素基であることがより好ましい。
脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレンビスフェニレン基、エチレンビスフェニレン基、プロピレンビスフェニレン基、モノメチルメチレンビスフェニレン基、ジメチルメチレンビスフェニレン基、フェニレンビスエチレン基、及びフェニレンメチレン基が挙げられる。
中でも、一般式(I−1)におけるR13は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であることがより好ましく、メチレン基、エチレン基、モノメチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ビフェニル基、又はジメチルメチレンビスフェニレン基であることが更に好ましい。
一般式(I−1)におけるR13が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、及びイソシアネート基が挙げられる。R13は置換基を有さないことが好ましい。
一般式(I−1)において、nはそれぞれ独立に0〜50の数を表す。アンダーフィル材の硬化物の柔軟性の観点から、nは0〜30の数を表すことが好ましく、0〜20の数を表すことがより好ましい。
一般式(I−1)において、mはそれぞれ独立に0〜50の数を表す。アンダーフィル材の硬化物の柔軟性の観点から、mは0〜30の数を表すことが好ましく、0〜20の数を表すことがより好ましい。
なお、括弧内の構造単位数であるn及びmは、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
一般式(I−1)で表される化合物としては、R11がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R12がそれぞれ独立に炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基であり、R13が炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であり、nがそれぞれ独立に0〜50の数を表し、mがそれぞれ独立に0〜50の数を表す化合物が好ましい。
また、一般式(I−1)で表される化合物としては、R11がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R12がそれぞれ独立に炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基であり、R13が炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数10〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であり、nがそれぞれ独立に0〜30の数を表し、mがそれぞれ独立に0〜30の数を表す化合物がより好ましい。
また、一般式(I−1)で表される化合物としては、R11が水素原子又はメチル基であり、R12がそれぞれ独立に炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基であり、R13がメチレン基、エチレン基、モノメチルメチレン基、ジメチルメチレン基、ビフェニル基、又はジメチルメチレンビスフェニレン基であり、nがそれぞれ独立に0〜20の数を表し、mがそれぞれ独立に0〜20の数を表す化合物が更に好ましい。
市販品として入手可能な化合物(A1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
・エチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト40E」)とメタクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれもメチル基であり、nがいずれも0であり、mがいずれも0であり、R13がエチレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル40EM」)
・プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト70P」)とアクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれも水素原子であり、nがいずれも0であり、mがいずれも0であり、R13がイソプロピレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル70PA」)
・トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト200P」)とアクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれも水素原子であり、R12がイソプロピレン基であり、nがいずれも0であり、mがいずれも1であり、R13がイソプロピレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル200PA」)
・グリセリンジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト80MF」)とアクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれも水素原子であり、nがいずれも0であり、mがいずれも0であり、R13が2−ヒドロキシプロピレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル80MFA」)
・ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを2mol付加したジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト3002N」)とメタクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれもメチル基であり、R12がいずれもイソプロピレン基であり、nがいずれも0であり、mがいずれも1であり、R13がジメチルメチレンビスフェニレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3002M(N)」)
・ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを2mol付加したジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社、商品名「エポライト3002N」)とアクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれも水素原子であり、R12がいずれもイソプロピレン基であり、nがいずれも0であり、mがいずれも1であり、R13がジメチルメチレンビスフェニレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3002A(N)」)
・ビスフェノールAジグリシジルエーテルとメタクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれもメチル基であり、nがいずれも0であり、mがいずれも0であり、R13がジメチルメチレンビスフェニレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3000MK」)
・ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、主成分が、一般式(I−1)において、R11がいずれも水素原子であり、nがいずれも0であり、mがいずれも0であり、R13がジメチルメチレンビスフェニレン基である化合物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3000A」)
・ビスフェノールA骨格を有するジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、オリゴマー中のアクリロイル基の官能基数が1〜2である化合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−1010」シリーズ)
・ビスフェノールA骨格を有するジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、オリゴマー中のアクリロイル基の官能基数が2である化合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−1020」シリーズ)
・フェノールノボラック骨格を有するグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、オリゴマー中のアクリロイル基の官能基数が5〜6である化合物と、20質量%のPGMAC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)とを含有する混合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−6320/PGMAC」)
・フェノールノボラック骨格を有するグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、オリゴマー中のアクリロイル基の官能基数が5〜6である化合物と、30質量%のPGMACとを含有する混合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−6340/PGMAC」)
・クレゾールノボラック骨格を有するグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物であり、オリゴマー中のアクリロイル基の官能基数が5〜6である化合物と、30質量%のPGMACとを含有する混合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−7120/PGMAC」)
・上記商品名「EA−7120/PGMAC」の無水酸変性品である混合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−7140/PGMAC」)
・上記商品名「EA−7120/PGMAC」の高分子量タイプである混合物(新中村化学工業株式会社、商品名「EA−7420/PGMAC」)
化合物(A1)の分子量は、アンダーフィル材の硬化物の強度及び柔軟性の観点から、例えば、100〜10000であることが好ましく、200〜5000であることがより好ましく、300〜3000であることが更に好ましい。
化合物(A1)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。化合物(A1)の含有率が5質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化物は電子部品との接着性に優れる傾向にある。この含有率は、通常50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
(その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物)
本実施形態のアンダーフィル材は、成分(A)として、化合物(A1)以外のその他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有していてもよい。その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材に使用されている公知の化合物が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、本実施形態のアンダーフィル材が室温で液体となるように、室温で液体のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を用いてもよいし、室温で固体のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と室温で液体のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物とを併用してもよい。
その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を1個のみ有する化合物であっても、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物であってもよい。なお、以下では、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を1個のみ有する場合を単官能と称し、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個有する場合を二官能と称し、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を3個以上有する場合を多官能と称することがある。
その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の例としては、(メタ)アクリル化合物、アリルナジイミド化合物、及びマレイミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられ、(メタ)アクリル化合物又はアリルナジイミド化合物が好ましく、(メタ)アクリル化合物がより好ましい。
(メタ)アクリル化合物としては、反応性の観点から、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。また、(メタ)アクリル化合物としては、アンダーフィル材の硬化物の柔軟性の観点から、1分子中に10個以下の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1分子中に6個以下の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。(メタ)アクリロイル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
(メタ)アクリル化合物は、アンダーフィル材の硬化物の低ボイド性及び強度の観点から、脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
(メタ)アクリル化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ダイマージオールモノアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルアクリレ−ト、テトラヒドロピラニルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、アクリロキシエチルホスフェート、アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸等の単官能アクリル化合物、
ペンテニルジアクリレート、テトラヒドロフルフリルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF型ジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジアクリレート等の二官能アクリル化合物、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート化物等の多官能アクリル化合物、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの反応生成物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンとの反応生成物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートとの反応生成物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソホロジイソシアネートとの反応生成物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートとの反応生成物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソホロジイソシアネートとの反応生成物、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、フェニルグリシジルエーテルとトルエンジイソシアネートとの反応生成物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとトルエンジイソシアネートとの反応生成物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロジイソシアネートとの反応生成物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物等のイソシアネート基を有する化合物と1分子中にエチレン性不飽和二重結合及び水酸基を有する化合物との縮合反応により得られる、1分子中にエチレン性不飽和二重結合とウレタン結合とを有する化合物、
上記した単官能アクリル化合物、二官能アクリル化合物、多官能アクリル化合物、又は1分子中にエチレン性不飽和二重結合とウレタン結合とを有する化合物が有するアクリロイル基を、メタクリロイル基に置換したメタクリル化合物などが挙げられる。
アリルナジイミド化合物としては、下記一般式(I−4)で表されるアリルナジイミド化合物が挙げられる。

(一般式(I−4)中、R41は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す。)
一般式(I−4)において、R41で表される置換基を有していてもよい2価の炭化水素基は、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であることが好ましい。一般式(I−4)におけるR41は、一般式(I−1)におけるR13と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(I−4)で示されるアリルナジイミド化合物としては、例えば、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン(丸善石油化学株式会社、商品名「BANI−M」)及びN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)(丸善石油化学株式会社、商品名「BANI−X」)が市販品として入手可能である。
マレイミド化合物としては、下記一般式(I−5)又は(I−6)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。

(一般式(I−5)中、R51は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表す。)

(一般式(I−6)中、tは0以上の数を表す。)
一般式(I−5)において、R51で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基は、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基、又は脂肪族基と芳香族基との両方を有する炭素数6〜18の2価の炭化水素基であることが好ましい。一般式(I−5)におけるR51は、一般式(I−1)におけるR13と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(I−5)で示されるビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−1000」)、m−フェニレンビスマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−3000」)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−4000」)、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−5100」)、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−7000」)、及び1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−TMH」)が市販品として入手可能である。
一般式(I−6)において、tは0〜10の数を表すことが好ましく、0〜5の数を表すことがより好ましい。なお、括弧内の構造単位数であるtは、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
一般式(I−6)で示されるビスマレイミド化合物としては、例えば、フェニルメタンマレイミド(大和化成工業株式会社、商品名「BMI−2000」)が市販品として入手可能である。
本実施形態における成分(A)は、電子部品装置に対する接着性及びアンダーフィル材の硬化物の低ボイド性の観点から、その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、上記化合物のうち、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物を含むことが好ましい。
1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物の含有量が30質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化物の接着性及び低ボイド性が向上する傾向にある。1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物の含有率は、成分(A)の全量に対して、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物としては、上述の二官能(メタ)アクリル化合物を含むことがより好ましく、(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート(以下、「化合物(A2)」とも称する)及び(A3)下記一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物(以下、「化合物(A3)」とも称する)からなる群より選択される1種以上を含むことが更に好ましい。

(一般式(I−2)中、R21はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R22は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、r及びsはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
一般式(I−2)において、R22で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基は、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜18の2価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。一般式(I−2)におけるR22は、一般式(I−1)におけるR12と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(I−2)において、r及びsはそれぞれ独立に、1〜40の数を表すことが好ましく、1〜30の数を表すことがより好ましい。なお、括弧内の構造単位数であるr及びsは、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物として化合物(A2)を用いる場合、化合物(A2)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。化合物(A2)の含有率が20質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化物の低ボイド性及び強度が向上する傾向にある。化合物(A2)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物として化合物(A3)を用いる場合、化合物(A3)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。化合物(A3)の含有率が10質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化物の低ボイド性及び強度が向上する傾向にある。化合物(A3)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
成分(A)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。成分(A)の含有率が5質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化性が向上する傾向にある。成分(A)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
<(B)反応開始剤>
本実施形態のアンダーフィル材は、(B)反応開始剤(以下、「成分(B)」とも称する)を含有する。反応開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において使用可能な反応開始剤は特に制限されず、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている反応開始剤を用いることができる。ここで、本実施形態における反応開始剤とは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の硬化反応を、熱、光等のエネルギー付与に生起したラジカルにより開始させ得る化合物を意味する。また、本実施形態のアンダーフィル材が室温で液体となるように、室温で固体又は液体のいずれか一方の反応開始剤を用いてもよいし、両方を併用してもよい。
反応開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物、水溶性触媒、過酸化物、及び過硫酸塩と還元剤とを組み合わせてなるレドックス触媒が挙げられる。中でも保管安定性の観点から、反応開始剤は有機過酸化物であることが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−へキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステルが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、及びアゾジベンゾイルが挙げられる。
水溶性触媒としては、例えば、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
成分(B)の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、硬化性の観点から、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。成分(B)の含有率が0.1質量%以上であると、反応が充分に進行し、20質量%以下であると、アンダーフィル材の保管安定性が向上する傾向にある。
<(C)無機充填剤>
本実施形態のアンダーフィル材は、(C)無機充填剤(以下、「成分(C)」とも称する)を含有する。無機充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填剤を2種以上用いるとは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機充填剤を2種以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填剤を2種以上用いる場合、並びに平均粒子径及び種類の異なる無機充填剤を2種以上用いる場合が挙げられる。
本実施形態において使用可能な無機充填剤は特に制限されず、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている無機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、これらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。更に、難燃効果のある無機充填剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等を使用することができる。
中でも、無機充填剤の材質はシリカであることが好ましく、微細間隙への流動性及び浸透性の観点から、球状シリカがより好ましい。球状シリカの製造方法は特には制限されず、溶融法によって得られる溶融シリカであってもよく、爆燃法によって得られる爆燃シリカであってもよい。また、これらの無機充填剤は、必要に応じて表面をカップリング剤処理したものを用いてもよい。
本明細書において、シリカが球形であるとは、真球度が0.7以上の条件を満たすことをいう。真球度の測定方法としては、例えば、電子顕微鏡で画像処理を行い、観察される粒子の面積及び周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値とする方法を用いることができる。
無機充填剤の表面を処理するためのカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムジルコニウム化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、アルキルシランをカップリング剤として用いることが好ましい。
無機充填剤の体積平均粒子径は特に制限されない。無機充填剤の体積平均粒子径は、例えば、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.15μm〜7.5μmであることがより好ましく、0.20μm〜5.0μmであることが更に好ましい。無機充填剤の体積平均粒子径が10μm以下であれば、アンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性が向上してボイドの発生及びアンダーフィル材の未充填が起こり難くなる傾向にある。更に、電子部品と配線基板との接続部に無機充填剤が噛み込み難く、接続不良が発生し難くなる傾向にある。また、無機充填剤の体積平均粒子径が0.1μm以上であれば、大きく増粘し難くなる傾向にある。
本明細書において、無機充填剤の「体積平均粒子径」とは、下記の方法を用いて粒子径を階級、体積を度数とし、度数の累積で表記された積算分布において、積算分布が50%となる粒子径を意味する。無機充填剤の粒子径を測定する方法としては、例えば、レーザー回折、動的光散乱、小角X線散乱等の装置を用い、同時に多数の粒子を測定する方法、及び電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒子径を測定する方法が挙げられる。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィ、流体力学クロマトグラフィ等の方法を用い、粒子径を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また、測定試料がアンダーフィル材の硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
無機充填剤の最大粒子径は特に制限されない。無機充填剤の最大粒子径は、例えば、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。無機充填剤の最大粒子径が40μm以下であると、アンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性が向上してボイドの発生及びアンダーフィル材の未充填がより起こり難くなり、電子部品と配線基板との接続部に無機充填剤が噛み込み難くなり接続不良が発生し難くなる傾向にある。
無機充填剤の最小粒子径は特に制限されない。無機充填剤の最小粒子径は、例えば、0.075μm以上であることが好ましく、0.080μm以上であることがより好ましく、0.090μm以上であることが更に好ましい。無機充填剤の最小粒子径が0.075μm以上であれば、アンダーフィル材が大きく増粘し難くなる傾向にある。
成分(C)の含有率は特に制限されない。成分(C)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。成分(C)の含有率が10質量%以上であると、アンダーフィル材の硬化物の強度がより向上し、耐温度サイクル性等の信頼性が向上する傾向にある。成分(C)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
成分(C)の含有率の測定方法としては、例えば、硬化前又は硬化後のアンダーフィル材をマッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分量から算出する方法を用いることができる。
<(D)可とう剤>
本実施形態のアンダーフィル材は、(D)可とう剤(以下、「成分(D)」とも称する)を含有する。可とう剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における可とう剤としては特に制限されず、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている可とう剤を用いることができる。可とう剤としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、アクリルゴム(AR)等のゴム粒子;ポリブタジエン、マレイン酸ポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、水添ポリブタジエン等の室温で液状のポリブタジエン化合物;ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等の直鎖状のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子;該シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆した被覆シリコーンゴム粒子;及び乳化重合等で得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルとを含むコア−シェル重合体粒子が挙げられる。
本実施形態のアンダーフィル材は、フィレット形状及び低ボイド性の観点から、可とう剤として、(D1)下記一般式(I−7)又は(I−8)で表される化合物(以下、「化合物(D1)」とも称する)を含有することが好ましい。

(一般式(I−7)中、R71及びR72はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R73及びR74はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、p及びqはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R73とR74とは互いに異なる。R73及びR74はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)

(一般式(I−8)中、R81、R82、及びR83はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R84、R85、及びR86はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、x、y、及びzはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R84とR85とは互いに異なり、R85とR86とは互いに異なる。R84、R85、及びR86はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)
一般式(I−7)において、R73で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基は、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1〜18の1価の炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれない。
73で表される炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜14の1価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜10の1価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、及びビニル基が挙げられる。炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、又はヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はブチル基がより好ましい。
73で表される炭素数3〜18の1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜14の1価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数3〜12の1価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数3〜18の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
73で表される炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基は、炭素数6〜14の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、及びターフェニル基が挙げられる。
中でも、一般式(I−7)におけるR73は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の1価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
一般式(I−7)におけるR73が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、及びイソシアネート基が挙げられる。R73は置換基を有さないことが好ましい。
一般式(I−7)において、R74で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基は、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。一般式(I−7)におけるR74は、一般式(I−7)におけるR73と同義であり、好ましい範囲も同じである。但し、R73とR74とは互いに異なる。
一般式(I−7)において、p及びqはそれぞれ独立に、正数を表す。なお、括弧内の構造単位数であるp及びqは、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
一般式(I−7)で表される化合物としては、R71及びR72がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R73及びR74がそれぞれ独立に炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、p及びqがそれぞれ独立に正数である化合物が好ましい。
また、一般式(I−7)で表される化合物としては、R71及びR72がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R73及びR74がそれぞれ独立に炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基であり、p及びqがそれぞれ独立に正数である化合物がより好ましい。
また、一般式(I−7)で表される化合物としては、R71がメチル基であり、R73がメチル基であり、pが正数であるポリメタクリル酸メチルと、R72が水素原子又はメチル基であり、R74が炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基であり、qが正数であるポリ(メタ)アクリル酸アルキルとの、ジブロック共重合体であることが更に好ましい。
例えば、ポリメタクリル酸メチルのガラス転移温度は100℃〜120℃であり、ポリアクリル酸ブチルのガラス転移温度は−40℃〜50℃であり、両ポリマーをブロック化することで、ポリメタクリル酸メチルが有する透明性及び耐光性に優れるという特長と、ポリアクリル酸ブチルが有する柔軟性及び接着性に優れるという特長との、双方の特長を有することができると推察される。
一般式(I−7)において、複数存在するR73及びR74は、それぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。変性としては、例えば、極性基変性及びカルボキシ変性が挙げられる。
一般式(I−7)で表される化合物の重量平均分子量は、熱収縮性及び接着力の観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜700,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000以上であると硬化収縮が低下し、靭性が高くなり、接続信頼性を向上する効果が大きくなり、重量平均分子量が1,000,000以下であると粘度上昇を抑制し低ボイド性を保持できる傾向にある。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、標準ポリスチレンの5サンプルセット(PStQuick MP−H、PStQuick B(東ソー株式会社、商品名)を用いて3次式で近似した検量線により換算された値である。GPCの条件を以下に示す。
ポンプ:L−2130型(株式会社日立ハイテクノロジーズ、商品名)
検出器:L−2490型RI(株式会社日立ハイテクノロジーズ、商品名)
カラムオーブン:L−2350(株式会社日立ハイテクノロジーズ、商品名)
カラム:Gelpack GL−R440+Gelpack GL−R450+Gelpack GL−R400M(計3本)(日立化成株式会社、商品名)
カラムサイズ:10.7mm(内径)×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:0.05mL/分
測定温度:25℃
市販品として入手可能な一般式(I−7)で表される化合物としては、例えば、R71がメチル基であり、R73がメチル基であるポリメタクリル酸メチルと、R72が水素原子であり、R74がブチル基であるポリアクリル酸ブチルとのジブロック共重合体(株式会社クラレ、商品名「クラリティ LA1114」)及びポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルとのジブロック共重合体を極性基変性した化合物(アルケマ株式会社、商品名「ナノストレングス D51N」)が挙げられる。
一般式(I−8)において、R84、R85、及びR86で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基は、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。一般式(I−8)におけるR84、R85、及びR86は、一般式(I−7)におけるR73と同義であり、好ましい範囲も同じである。但し、R84とR85とは互いに異なり、R85とR86とは互いに異なる。
一般式(I−8)において、x、y、及びzはそれぞれ独立に、正数を表す。なお、括弧内の構造単位数であるx、y、及びzは、単一の分子については整数値を示すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を示す。
一般式(I−8)で表される化合物としては、R81、R82、及びR83がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R84、R85、及びR86がそれぞれ独立に炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、x、y、及びzがそれぞれ独立に正数である化合物が好ましい。
また、一般式(I−8)で表される化合物としては、R81、R82、及びR83がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R84、R85、及びR86がそれぞれ独立に炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基であり、x、y、及びzがそれぞれ独立に正数である化合物がより好ましい。
また、一般式(I−8)で表される化合物としては、R81及びR83がメチル基であり、R84及びR86がメチル基であり、x及びzが正数であるポリメタクリル酸メチルと、R82が水素原子又はメチル基であり、R85が炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基であり、yが正数であるポリ(メタ)アクリル酸アルキルとのトリブロック共重合体であることが更に好ましい。
一般式(I−8)において、複数存在するR84、R85、及びR86は、それぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。変性としては、例えば、極性基変性及びカルボキシ変性が挙げられる。
一般式(I−8)で表される化合物の重量平均分子量は、熱収縮性及び接着力の観点から、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜700,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000以上であると硬化収縮が低下し、靭性が高くなり、接続信頼性を向上する効果が大きくなり、重量平均分子量が1,000,000以下であると粘度上昇を抑制し低ボイド性を保持できる傾向にある。
市販品として入手可能な一般式(I−8)で表される化合物としては、例えば、R81及びR83がメチル基であり、R84及びR86がメチル基であるポリメタクリル酸メチルと、R82が水素原子であり、R85がブチル基であるポリアクリル酸ブチルとのトリブロック共重合体(アルケマ株式会社、商品名「ナノストレングス M22」、「ナノストレングス M51」、「ナノストレングス M52」、「ナノストレングス M53」、「ナノストレングス M75」、「ナノストレングス M85」、「ナノストレングス SM5590」、「ナノストレングス SM6290」)(株式会社クラレ、商品名「クラリティ LA2140」、「クラリティ LA2250」、「クラリティ LA2330」、「クラリティ LA4285」)、ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルとのトリブロック共重合体を極性基変性した化合物(アルケマ株式会社、商品名「ナノストレングス M22N」、「ナノストレングス M52N」)、及びポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルとのトリブロック共重合体をカルボキシ変性した化合物(アルケマ株式会社、商品名「ナノストレングス SM4032XM10」、「ナノストレングス M75M」、「ナノストレングス M85M」)が挙げられる。
可とう剤として化合物(D1)を用いる場合、化合物(D1)の含有率は、可とう剤の全量に対して、例えば、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。化合物(D1)の含有率が50質量%以上であると、フィレット形状及び低ボイド性に優れる傾向にある。また、化合物(D1)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、1質量%以上であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
成分(D)の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、1質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましい。成分(D)の含有率が1質量%以上であるとアンダーフィル材の硬化物の硬化収縮及び熱伸縮を小さくする効果が向上する傾向にあり、成分(D)の含有率が30質量%以下であるとアンダーフィル材の粘度が維持され、成形性が保持される傾向にある。
<各種添加剤>
本実施形態のアンダーフィル材は、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤に加えて、必要に応じて、各種添加剤を更に含有してもよい。
添加剤としては、カップリング剤、フラックス剤、揺変付与剤、界面活性剤、イオントラップ剤等の各種の添加剤が挙げられる。本実施形態のアンダーフィル材は、以下の添加剤に限定することなく必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
(カップリング剤)
本実施形態のアンダーフィル材は、樹脂成分と無機充填剤の濡れ性向上の観点から必要に応じてカップリング剤を含有してもよい。本実施形態において使用可能なカップリング剤は、本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限されるものではない。
カップリング剤としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、又は3級アミノ基を有するシラン化合物から選択される少なくとも1種のシラン化合物、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、及びアルミニウム−ジルコニウム化合物が挙げられる。
本実施形態のアンダーフィル材は、カップリング剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態のアンダーフィル材がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、無機充填剤の全量に対して、例えば、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜2.5質量%であることがより好ましい。カップリング剤の含有率が0.05質量%以上であればアンダーフィル材の硬化物と配線基板又は電子部品との接着性が向上する傾向にあり、カップリング剤の含有率が5質量%以下であれば成形性が向上し、ボイドの発生が低減される傾向にある。
(フラックス剤)
本実施形態のアンダーフィル材は、フラックス機能を付与するために必要に応じてフラックス剤を含有してもよい。
フラックス剤としては、例えば、従来から当技術分野で用いられているハロゲン化水素酸アミン塩が挙げられる。その他、好ましいフラックス剤としては、電気特性の観点から、例えば、ヒドロキシ安息香酸等のフェノール性水酸基とカルボキシ基とを有する化合物、トリメリット酸等のカルボキシ基を有する酸無水物、アビエチン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸等の有機酸、及び1分子にアルコール性水酸基を2個以上有する化合物が挙げられる。
本実施形態のアンダーフィル材は、フラックス剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態のアンダーフィル材がフラックス剤を含有する場合、フラックス剤の含有率は、フラックス機能が発現する量であれば特に制限はない。フラックス剤の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。フラックス剤の含有率が0.1質量%以上であればアンダーフィル材と配線基板及び電子部品における接続部との濡れ性が高まり、配線基板及び電子部品との接続性が向上する傾向があり、フラックス剤の含有率が10質量%以下であればボイドの発生が低減され、耐マイグレーション性等の信頼性が向上する傾向にある。
(揺変付与剤)
本実施形態のアンダーフィル材は、形状保持性を向上させる観点から、必要に応じて揺変付与剤を含有してもよい。揺変付与剤としては、例えば、ひまし油に水素を添加することにより得られる水素添加ひまし油化合物、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入することにより得られる酸化ポリエチレン化合物、植物油脂肪酸とアミンとにより合成されるアマイドワックス化合物、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーとの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、及び破砕シリカが挙げられる。
アンダーフィル材が揺変付与剤を含有することによって、ボイドの巻き込みを抑制することができる。すなわち、配線基板又は電子部品にアンダーフィル材を供給したときに、アンダーフィル材が形状を保持できずに流動してしまう場合はボイドを巻き込みやすくなる傾向があるが、揺変付与剤を含有することによって、アンダーフィル材が流動し難くなり、ボイドの巻き込みが抑制される傾向がある。
揺変付与剤の中でも、取扱い性、成形性、及び低ボイド性の観点から、長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーとの塩、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、微粉末シリカ、破砕シリカ等のシリカ粒子が好ましく、形状保持性の観点から、微粉末シリカであることがより好ましい。
長鎖ポリアミノアマイドと酸ポリマーとの塩としては、例えば、「ANTI−TERRA−U100」(ビックケミー・ジャパン株式会社、商品名)が市販品として入手可能であり、不飽和ポリカルボン酸ポリマーとしては、例えば、「BYK−P105」(ビックケミー・ジャパン株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。
微粉末シリカの平均粒子径は5nm〜200nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。
微粉末シリカとしては、シリコーンオイル又はカップリング剤で表面を処理したシリカ粒子を用いてもよい。
シリカ粒子の表面を処理するためのカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムジルコニウム化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、アルキルシランをカップリング剤として用いることが好ましい。
シリコーンオイル又はカップリング剤で表面を処理した微粉末シリカとしては、例えば、平均粒子径が12nmであり、ジメチルシランで表面処理をした「R974」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が12nmであり、トリメチルシランで表面処理をした「RX200」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が12nmであり、ジメチルシロキサンで表面処理をした「RY200」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が14nmであり、ジメチルシロキサンで表面処理をした「R202」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が12nmであり、アミノシランで表面処理をした「RA200H」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が12nmであり、アルキルシランで表面処理をした「R805」(日本アエロジル株式会社、商品名)、平均粒子径が12nmであり、メタクリロキシシランで表面処理をした「R7200」(日本アエロジル株式会社、商品名)、及び平均粒子径が50nmであり、フェニルシランで表面処理をした「YA050C−SP3」(株式会社アドマテックス、商品名)が市販品として入手可能である。
破砕シリカは、平均粒子径が10μm以下であることが好ましく、7.5μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。また、表面をシリコーンオイル又はカップリング剤で処理した破砕シリカを用いてもよい。破砕シリカとしては、例えば、「MC3000」(株式会社アドマテックス、商品名)が市販品として入手可能である。
本明細書において、微粉末シリカ及び破砕シリカの「平均粒子径」とは、電子顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒子径を測定し、それらの算術平均によって得られる粒子径を意味する。微粉末シリカ及び破砕シリカの粒子径を測定する方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いて画像化し、粒子1つ1つの粒子径を測定する方法などが挙げられる。液相遠心沈降、フィールドフロー分別、粒子径排除クロマトグラフィ、流体力学クロマトグラフィ等の方法を用い、粒子径を測定する前に100μm以上の粒子を分離する前処理を行ってもよい。また、測定試料がアンダーフィル材の硬化物である場合は、例えば、マッフル炉等で800℃以上の高温で処理した後に残渣として得られる灰分を上記の方法で測定することができる。
本実施形態のアンダーフィル材は、揺変付与剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態のアンダーフィル材が揺変付与剤を含有する場合、揺変付与剤の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。揺変付与剤の含有率が0.1質量%以上であれば揺変付与剤の含有に期待される所期の効果が発揮され易くなり、揺変付与剤の含有率が20質量%以下であれば、アンダーフィル材の粘度変動が抑制され、成形性がより向上する傾向にある。
(界面活性剤)
本実施形態のアンダーフィル材は、フィレット性を向上させる観点から、必要に応じて界面活性剤を含有してもよい。
本実施形態において使用可能な界面活性剤は特に制限されず、例えば、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されている非イオン性の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、アラルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン界面活性剤、及びポリアクリル界面活性剤が挙げられる。中でも、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤及びアラルキル変性シリコーン界面活性剤が、アンダーフィル材の表面張力低減に効果的である傾向にある。
これらの界面活性剤は、市販品として、「BYK−307」、「BYK−333」、「BYK−377」、「BYK−323」(ビックケミー・ジャパン株式会社、商品名)等が入手可能である。
本実施形態のアンダーフィル材は、界面活性剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態のアンダーフィル材が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有率は、アンダーフィル材の全量に対して、例えば、0.001質量%〜0.1質量%であることが好ましく、0.005質量%〜0.075質量%であることがより好ましい。界面活性剤の含有率が0.001質量%以上であればフィレット性が向上する傾向にある。
(イオントラップ剤)
本実施形態のアンダーフィル材は、耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤を含有してもよい。
本実施形態において使用可能なイオントラップ剤は、電子部品装置の製造用途に用いられるアンダーフィル材において、一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではない。イオントラップ剤としては、例えば、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物が挙げられる。
Mg1−aAl(OH)(COa/2・uHO (II−1)
(一般式(II−1)中、aは0<a≦0.5であり、uは正数である。)
BiO(OH)(NO (II−2)
(一般式(II−2)中、bは0.9≦b≦1.1、cは0.6≦c≦0.8、dは0.2≦d≦0.4である。)
イオントラップ剤は、市販品として入手可能である。例えば、一般式(II−1)で表される化合物としては、例えば、「DHT−4A」(協和化学工業株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。また、一般式(II−2)で表される化合物としては、例えば、「IXE500」(東亞合成株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。
イオントラップ剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のアンダーフィル材は、イオントラップ剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態のアンダーフィル材がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有率は、成分(A)の全量に対して、例えば、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましく、1.0質量%〜3.0質量%であることがより好ましい。また、イオントラップ剤の平均粒子径は0.1μm〜3.0μmであることが好ましく、最大粒子径は10μm以下であることが好ましい。
なお、イオントラップ剤の平均粒子径及び最大粒子径は、無機充填剤と同様の方法を用いて測定される。
本実施形態のアンダーフィル材は、その他の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、難燃剤、希釈剤などを必要に応じて使用することができる。
<アンダーフィル材の製造方法>
本実施形態のアンダーフィル材は、上記各種成分を分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって、本実施形態のアンダーフィル材を得ることができる。
[電子部品装置の製造方法]
本実施形態の電子部品装置の製造方法(以下、適宜「本実施形態の製造方法」とも称する)は、電子部品における配線基板と対向する側の面及び配線基板における電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、本実施形態のアンダーフィル材を供給する供給工程と、供給工程の後に、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含む。
本実施形態の製造方法は、電子部品における配線基板と対向する側の面及び配線基板における電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に本実施形態のアンダーフィル材を供給した後で、電子部品と配線基板との接続部を介した接続とアンダーフィル材の硬化とを行う先供給方式を適用した製造方法である。電子部品と配線基板との接続及びアンダーフィル材の硬化は、一括して行ってもよいし、別個に行ってもよい。製造工程の簡略化の観点からは、電子部品と配線基板との接続及びアンダーフィル材の硬化は一括して行うことが好ましい。
本実施形態の製造方法は、先供給方式を適用した電子部品装置の製造方法であり、供給工程において所定の組成を有する本実施形態のアンダーフィル材を用いることにより、アンダーフィル材の硬化時間の短縮が可能で、ボイドの発生が少なく、且つ、電子部品との接着性に優れることから、電気的な接続信頼性に優れた電子部品装置を製造することができる。この理由について、本発明者らは以下のように考える。
すなわち、本発明者らが得た知見によれば、アンダーフィル材が(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含むことにより、先供給方式を適用した電子部品装置の製造方法におけるアンダーフィル材の硬化時間が短縮され、ボイドの発生が抑制される傾向にある。
一方、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を使用すると、アンダーフィル材が電子部品との接着性に劣る傾向がある。アンダーフィル材が電子部品との接着性に劣る傾向があると、電子部品装置の製造工程においてリフロー処理が行われた際にアンダーフィル材と電子部品との間に剥離が生じやすくなる傾向があり、その剥離箇所を起因として電子部品と配線基板との電気的接続性が損なわれ、電気的な接続信頼性に優れる電子部品装置を製造することが難しくなる。
本実施形態においては、アンダーフィル材が、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含有し、更に(D)可とう剤を含有する。かかる構成により、本実施形態においては、アンダーフィル材の硬化時間の短縮、それによるボイド発生の抑制、及び電子部品との高接着性が達成される。これは、アンダーフィル材が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物及び(D)可とう剤を含有することにより、アンダーフィル材の硬化物の接着性が向上するためであると本発明者らは考えている。
以下、本実施形態の製造方法が有する各工程について説明する。
<供給工程>
本実施形態の製造方法における供給工程は、電子部品における配線基板と対向する面及び配線基板における電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面にアンダーフィル材を供給する工程である。
供給工程におけるアンダーフィル材としては、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤を含有し、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含むアンダーフィル材が用いられる。
供給工程に用いるアンダーフィル材は、本実施形態のアンダーフィル材であり、その詳細については上述の通りである。
配線基板は、基材上に接続用の電極を含む導体配線が形成されてなる。配線基板を構成する基材の種類は特に制限されず、FR−4(Flame Retardant-4)、FR−5(Flame Retardant-5)等の繊維基材を含む有機基板、繊維基材を含まないビルドアップ型の有機基板、ポリイミド、ポリエステル等の有機フィルム、アルミナ、ガラス、シリコン等の無機材料などを含む基材が挙げられる。なお、無機材料としては、シリコン等の半導体チップも含まれる。導体配線の種類は、特に限定されず、電子部品における配線基板に適用し得る導体配線を用いることができる。配線基板における導体配線は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の手法により形成されていてもよい。
電子部品は特に制限されず、樹脂等によってパッケージングされていない半導体チップそのもの、CSP(Chip Scale Package)、BGA(Ball Grid Array)等と呼ばれている半導体パッケージなどを用いることができる。
配線基板は後記する接続工程において接続部を介して電子部品と接続される。
接続部の材質は特に制限されず、はんだ等に通常使用される材質から選択することができる。環境問題の観点から、Cuはんだ、Auはんだ、無鉛はんだ等を使用してもよい。バンプは電子部品側に形成されていても、基板側に形成されていてもよい。バンプと回路電極との接続には、Ag−Cu系はんだ、Sn−Cu系はんだ、Sn−Bi系はんだ等のはんだを使用してもよい。
アンダーフィル材を配線基板又は電子部品に供給する方法は特に制限されない。アンダーフィル材を配線基板又は電子部品に供給する方法としては、例えば、エアーディスペンサー、ジェットディスペンサー、スクリュー型ディスペンサー、オーガータイプディスペンサー等のディスペンサーを用いる方法、注型を用いる方法、及びスクリーン印刷等の印刷を用いる方法が挙げられる。アンダーフィル材を供給する際のボイドの巻き込みを低減する観点からは、ディスペンサーを用いる方法が好ましい。
アンダーフィル材を配線基板又は電子部品に供給する際の態様は特に制限されない。アンダーフィル材を配線基板の上に供給する場合は、例えば、電子部品の搭載位置の全体に供給する態様、電子部品の搭載位置に対応する四角形の対角線に沿った2本の線からなるクロス形状に供給する態様、1つのクロス形状に更に他のクロス形状を45°ずらして重ねた形状に供給する態様、及び電子部品の搭載位置の中心に一点で供給する態様が挙げられる。信頼性の観点からアンダーフィル材のクリーピング等を抑制するためには、クロス形状又は1つのクロス形状に更に他のクロス形状を45°ずらして重ねた形状で供給することが好ましい。配線基板に基板電極が設けられている場合は、基板電極が設けられた箇所を含む電子部品の搭載位置にアンダーフィル材を供給することが好ましい。
アンダーフィル材を配線基板又は電子部品の上に供給する際の温度は、アンダーフィル材の性質等に応じて選択することができる。アンダーフィル材及び基板表面の温度は、それぞれ25℃〜150℃であることが好ましく、吐出安定性の観点からは25℃〜100℃であることがより好ましい。
ディスペンサーのニードル径は特に制限されず、アンダーフィル材を供給する際の気泡の巻き込みの程度及び吐出安定性を考慮して選択することが好ましい。具体的には、本実施形態の製造方法においてアンダーフィル材を吐出する場合には、0.1mm〜1.0mmの径のニードルを用いることが好ましく、0.2mm〜0.5mmの径のニードルを用いることがより好ましい。
<接続工程>
本実施形態の製造方法における接続工程は、供給工程の後に、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、本実施形態のアンダーフィル材を硬化する工程である。
本実施形態の製造方法における接続工程は、より具体的には、電子部品と配線基板とを接続部を介して対向している状態で加圧して、電子部品と配線基板との間隙に本実施形態のアンダーフィル材を充填し、且つ、電子部品と配線基板とを接続部を介して接触させる加圧工程と、電子部品と配線基板とが接続部を介して接触している状態で熱処理して、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、本実施形態のアンダーフィル材を硬化する熱処理工程と、を含むことが好ましい。
また、加圧工程及び熱処理工程以外に、接続工程は、露光工程、超音波、マイクロ波、ラジオ波等により衝撃を与える工程などの他の工程を含んでいてもよい。
以下、接続工程について、加圧工程及び熱処理工程を含む態様を例に詳細に説明する。
<<加圧工程>>
加圧工程は、電子部品と配線基板とが接続部を介して対向している状態で加圧して、電子部品と配線基板との間隙に本実施形態のアンダーフィル材を充填し、且つ、電子部品と配線基板とを接続部を介して接触させる工程である。
加圧工程において、電子部品と配線基板とが接続部を介して対向している状態で加圧して、電子部品と配線基板とを接続部を介して接触させる。この方法としては特に制限はない。電子部品と配線基板とを接続部を介して接触させる方法の例としては、フリップチップボンダーを使用する方法が挙げられる。
加圧工程においては加熱が行われてもよい。加圧工程においては、加圧と加熱とが同時に行われてもよいし、加圧及び加熱のいずれか一方を先に開始してもよいし、加圧及び加熱のいずれか一方を先に終了してもよい。
加圧工程におけるアンダーフィル材の温度(以下、適宜「充填温度」とも称する)は、電子部品と配線基板との間隙にアンダーフィル材を充分に充填し得る粘度を維持し得る温度であれば特に限定されない。充填温度は、例えば、25℃〜150℃であり、40℃〜125℃であることが好ましく、50℃〜100℃であることがより好ましい。アンダーフィル材の充填温度が25℃以上であると、アンダーフィル材の流動性が充分に得られる傾向にある。アンダーフィル材の充填温度が150℃以下であると、アンダーフィル材の硬化反応の進行に伴う粘度の上昇が抑制されて充分な流動性を確保できる傾向にある。加圧工程におけるアンダーフィル材の充填温度は、アンダーフィル材の良好な流動性が得られる範囲であれば一定であっても、変化してもよい。
加圧工程においては、アンダーフィル材が液状を維持できる粘度において、アンダーフィル材が増粘してもよい。ここで、アンダーフィル材が液状であるとは、アンダーフィル材の粘度が1000Pa・s以下であることを意味する。アンダーフィル材の粘度の測定方法は上述の通りである。
加圧工程において、電子部品と配線基板とに付与される圧力の大きさは、一般的なフリップチップの実装工程と同様に、バンプの数又は高さのばらつき、加圧による接続部又は接続部を受ける配線基板上の配線の変形量等を考慮して設定することができる。具体的には、例えば、接続部1個あたりが受ける荷重が0.01g〜100g程度になるように設定することが好ましい。
<<熱処理工程>>
熱処理工程は、電子部品と配線基板とが接続部を介して接触している状態で熱処理して、電子部品と配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、本実施形態のアンダーフィル材を硬化する工程である。
熱処理の方法は、特に制限されない。熱処理の方法としては、例えば、フリップチップボンダーと配線基板又は電子部品との接触部を加熱する方法、及びリフロー炉を用いる方法が挙げられる。電子部品の位置ずれを起こし難いという観点から、熱処理の方法としては、フリップチップボンダーと配線基板又は電子部品との接触部を加熱する方法が好ましい。
熱処理工程は、電子部品と配線基板との接続部を介した接続を確保する観点から、接続部を構成する材料の融点以上であり、且つ、アンダーフィル材が熱硬化し得る温度で行われることが好ましい。すなわち、配線基板上の配線等と電子部品との間で接続部が形成され、且つ、アンダーフィル材が熱硬化して接続部の補強が可能となる温度で行われることが好ましい。
熱処理(加熱)温度は、例えば、150℃〜300℃であることが好ましく、200℃〜280℃であることがより好ましく、220℃〜260℃であることが更に好ましい。この熱処理により、アンダーフィル材が硬化する。
熱処理は、生産性の向上の観点からは、短時間で行われることが好ましい。具体的には、熱処理工程における昇温速度が10℃/秒以上であることが好ましく、20℃/秒以上であることがより好ましく、30℃/秒以上であることが更に好ましい。昇温速度の上限は特には制限されないが、一般に200℃/秒以下であってもよい。
熱処理時間は、接続部を構成する材料及びアンダーフィル材に含有される成分の種類により異なり、配線基板上の配線等と電子部品との間で接続部が形成され、且つ、アンダーフィル材が熱硬化して接続部の補強が可能となる時間であれば特に制限はない。
生産性の向上の観点からは、熱処理時間は、短時間であるほど好ましい。接続部がはんだである場合には、熱処理時間は60秒以下であることが好ましく、45秒以下であることがより好ましく、30秒以下であることが更に好ましい。銅−銅又は銅−金の金属接続の場合は、熱処理時間は30秒以下であることが好ましい。熱処理時間の下限は特には制限されないが、一般に0.1秒以上であってもよい。
熱処理工程において、アンダーフィル材の硬化物中のボイドの発生を抑制する観点から、アンダーフィル材の200℃でのゲル化時間は5.0秒以下であることが好ましい。200℃でのゲル化時間の下限は特には制限されないが、一般に1秒以上であってもよい。
アンダーフィル材の200℃でのゲル化時間は、JIS K 6910(2007年度)又はISO 10082(1999)に準拠して測定される。具体的には、200℃の熱板上に0.5gのアンダーフィル材を滴下し、スパチュラで広がりすぎないようにかき混ぜる。滴下した後、アンダーフィル材の粘度が上がり、スパチュラを上に持ち上げたときに糸引き無くアンダーフィル材が切断されるまでの時間をゲル化時間とする。
熱処理工程においては、上記の熱処理を行った後に、必要に応じてアンダーフィル材の硬化を充分なものとするため、更に、100℃〜200℃の範囲で、0.1時間〜10時間の熱処理(後加熱処理)を行ってもよい。
<<露光工程>>
接続工程は、必要に応じてアンダーフィル材の硬化をより充分なものとするため、加圧工程及び熱処理工程以外の他の工程として露光工程を含んでいてもよい。露光工程は、熱処理工程における熱処理と共に行ってもよいし、熱処理工程が終了した後に別工程として行ってもよい。
露光工程における露光処理を熱処理工程における熱処理と共に行う場合、熱処理及び露光処理はこれらの処理の開始及び終了を同時としてもよいし、いずれか一方の処理を先に開始してもよいし、いずれか一方の処理を後に終了してもよい。
露光工程における露光処理は、露光によりアンダーフィル材を硬化し得る処理であれば特に制限されない。露光処理に適用される光源、露光波長、露光時間等の各種の露光条件及び露光装置は、アンダーフィル材に含有される成分に応じて、適宜選択することができる。
<<製造方法の実施形態の例>>
以下、本実施形態の製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。図面における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
なお、以下に示す実施形態は、配線基板の電子部品と対向する側の面に本実施形態のアンダーフィル材を供給する態様の一例である。また、バンプは電子部品側に設けられており、当該バンプを介して電子部品と配線基板とが接続される。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
図1は、先供給方式による電子部品装置の製造方法の工程説明図である。
本実施形態では、図1に示す通り、はんだバンプ(接続部)2を備える半導体チップ(電子部品)1、接続パッド3及びソルダーレジスト4を備える配線基板5、並びにアンダーフィル材6を使用している。
まず、図1(a)に示すように、配線基板5の接続パッド3の設けられた側(配線基板5の半導体チップ1と対向する側)の面に、アンダーフィル材6を供給する(供給工程)。次いで、図1(b)に示すように、半導体チップ1と配線基板5とをはんだバンプ2を介して対向させ、加圧することで、半導体チップ1と配線基板5との間隙にアンダーフィル材6を充填し、且つ、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接触させる(加圧工程)。
次いで、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とがはんだバンプ2を介して加圧され接触している状態で熱処理を行って、半導体チップ1と配線基板5の接続パッド3とをはんだバンプ2を介して接続し、且つ、アンダーフィル材6を硬化する(熱処理工程)。
以上の工程を経ることで、本実施形態の電子部品装置が製造される。
[電子部品装置]
本実施形態の電子部品装置は、電子部品と、電子部品と対向して配置され、電子部品に接続部を介して接続される配線基板と、電子部品と配線基板との間に配置される、本実施形態のアンダーフィル材の硬化物と、を有する。本実施形態の電子部品装置は、本実施形態の電子部品装置の製造方法によって製造し得る。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材(配線基板)に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本実施形態のアンダーフィル材で封止して得られる電子部品装置等が挙げられる。
電子部品装置としては、特にリジッド及びフレキシブル配線板並びにガラス上に形成した配線に半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした半導体装置が対象となる。具体的な例としては、フリップチップBGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、COF(Chip On Film)等の半導体装置が挙げられ、本実施形態のアンダーフィル材は信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。
本実施形態のアンダーフィル材は、硬化時間を短縮することが可能であり、且つ、ボイドの発生を低減できることから、バンプのピッチ幅の狭いフリップチップボンディング用途にも好適に用いることができる。本実施形態のアンダーフィル材は、例えば、バンプのピッチ幅が10μm〜200μmのバンプ接続に特に好適である。
本実施形態のアンダーフィル材が特に好適なフリップチップの分野としては、配線基板と半導体素子とを接続するバンプ材質が、Sn−Ag−Cuはんだ等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体素子であり、従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだバンプ接続をしたフリップチップに対しても良好な信頼性を維持できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜12、比較例1〜11]
<(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物>
・ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3000A」)
・ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを2mol付加したジグリシジルエーテルとアクリル酸との付加反応物(共栄社化学株式会社、商品名「エポキシエステル3002A(N)」)
・エポキシアクリレート化合物(ダイセル・オルネクス株式会社、商品名「EBECRYL 3708」)
<(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート>
・トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(新中村化学工業株式会社、商品名「A−DCP」)
<(A3)一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物>
・ビスフェノールA型エチレンオキサイド変性ジアクリレート(新中村化学工業株式会社、商品名「ABE−300」)
・ビスフェノールA型エチレンオキサイド変性ジアクリレート(日立化成株式会社、商品名「FA−321A」)
<(A)その他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物>
・2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸(共栄社化学株式会社、商品名「HOA−MPE(N)」)
・EO,PO変性ウレタンジメタクリレート(新中村化学工業株式会社、商品名「UA−13」)
<(B)反応開始剤>
・ジクミルパーオキサイド(化薬アクゾ株式会社、商品名「Perkadox BC−FF」)
<(C)無機充填剤>
・体積平均粒子径0.5μm、最大粒子径5μm、表面をカップリング剤処理した球状シリカ粒子(株式会社アドマテックス、商品名「SE−2050−SMJ」、「SE−2050−SEJ」)
<(D)可とう剤>
・ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルとのジブロック共重合体を極性基変性した化合物(アルケマ株式会社、商品名「ナノストレングス D51N」、重量平均分子量:35,000)
:ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルとのトリブロック共重合体(株式会社クラレ、商品名「クラリティ LA2250」、重量平均分子量:52,000)
:マレイン酸変性ポリブタジエン(巴工業株式会社、商品名「RICON 130MA8」)
<その他の樹脂、硬化剤等>
(エポキシ樹脂)
・エポキシ当量160g/eqのビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社、商品名「YDF−8170C」)
(エポキシ硬化剤)
・無水酸当量234g/eqの環状酸無水物(三菱化学株式会社、商品名「YH−306」)
(硬化触媒)
・2−エチル−4−メチルイミダゾール
<その他の各種添加剤>
(カップリング剤)
・メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(揺変付与剤)
・体積平均粒子径12nmの粉末シリカ(日本アエロジル株式会社、商品名「R−805」)
上記の成分をそれぞれ表1〜表2に示す質量部で配合し、三本ロール及びらいかい機にて混練分散した後、真空脱泡して、実施例及び比較例のアンダーフィル材を作製した。表1に示す「(C)無機充填剤量」及び「(D)可とう剤量」は、アンダーフィル材の全質量に対する含有率(質量%)である。
実施例及び比較例によって得たそれぞれのアンダーフィル材を、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表3〜表4に示す。
(1)ゲル化時間
200℃の熱板上に0.5gのアンダーフィル材を滴下し、スパチュラで広がりすぎないようにかき混ぜた。滴下した後、アンダーフィル材の粘度が上がり、スパチュラを上に持ち上げた時に糸引き無くアンダーフィル材が切断されるまでの時間をゲル化時間(秒)とした。
(2)粘度
レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、商品名「AR2000」)を用い、25℃に保たれたアンダーフィル材について、せん断速度が5.0s−1で測定したときの値を粘度(Pa・s)とした。なお、レオメーターとして、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着したものを用い、温度25℃で測定した。
(3)接着力
シリコンウエハ上にSiN膜を成膜し、その表面にアンダーフィル材を直径3mm、高さ3mmに成形した試験片を作製し、ボンドテスター(DAGE社、商品名「DS100」)を用いて、ヘッドスピード50μm/sec、25℃の条件でせん断応力をかけ、試験片がSiN膜から剥離したときの強度(MPa)を接着力とした。
(4)ボイド性
配線基板のチップ搭載部に、ディスペンサー(ニードル径:0.3mm)を用いて、アンダーフィル材をクロス形状に塗布し、更に他のクロス形状を45°ずらして重ねるように塗布した(合計塗布量:約3mg)。50℃に加熱したステージ上にアンダーフィル材を塗布した配線基板を置き、配線基板上にチップを搭載し、加重:7.5N、温度/時間:260℃/5秒の条件で熱圧着を行い、その後、165℃、30分間の条件でアンダーフィル材を硬化することで半導体装置(電子部品装置)を得た。
半導体装置の作製に用いた配線基板は、サイズが縦14mm、横14mm、厚み0.30mmであり、コア層がE−679FG(日立化成株式会社、商品名)であり、ソルダーレジストがAUS−308(太陽ホールディングス株式会社、商品名)であり、基板メッキがNi(5.0μm)、Pd(0.30μm)、Au(0.35μm)の順に積層されていた。
半導体装置の作製に用いたチップは、サイズが縦7.3mm、横7.3mm、厚み0.15mmであり、バンプが銅(高さ30μm)とはんだ(材質:SnAg、高さ:15μm)とからなり、バンプピッチが80μmであり、バンプ数が328であった。
それぞれのアンダーフィル材について、上記の方法にて半導体装置を作製し、超音波探傷装置(日立建機株式会社、商品名「AT−5500」)を用いて観察を行い、ボイドの有無を、下記の4段階の評価基準にて区分けし、ボイド性の指標とした。
−評価基準−
A:ボイド面積が全面積の1%以下
B:ボイド面積が全面積の1%を超え5%以下
C:ボイド面積が全面積の5%を超え20%以下
D:ボイド面積が全面積の20%を超える
(5)フィレットクラック性
上記方法にて作製した半導体装置を、顕微鏡を用いて観察を行い、フィレットクラックの有無を、下記の4段階の評価基準にて区分けし、フィレットクラック性の指標とした。
−評価基準−
A:フィレットクラックが発生していない
B:フィレットクラックの数が1個〜2個
C:フィレットクラックの数が3個〜4個
D:フィレットクラックの数が5個以上
(6)耐リフロー性
上記方法にて作製した半導体装置を、120℃で12時間加熱乾燥した後、30℃、70%RHの条件下で192時間吸湿させた。その後、遠赤外線加熱方式のリフロー炉(予熱150℃〜180℃で50秒、ピーク温度:260℃、250℃以上の加熱時間40秒)中を3回通した後、超音波探傷装置を用いて観察を行った。アンダーフィル材とチップ及び基板との剥離の有無並びにアンダーフィル材のクラックの有無を確認し、(不良パッケージ数)/(評価パッケージ数)を耐リフロー性の指標とした。
実施例1〜12はいずれも、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤を含有し、且つ、(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含むアンダーフィル材を使用している。
表3〜表4に示される評価結果から以下のことが分かる。
実施例1〜12におけるアクリル系のアンダーフィル材と比較例1におけるエポキシ系のアンダーフィル材とを比較すると、比較例1のアンダーフィル材は、ゲル化時間が実施例1〜12のアンダーフィル材の2秒に対し8秒と長い。比較例1のアンダーフィル材の接着力は、実施例1〜12のアンダーフィル材の10.0MPa〜12.5MPaに対し14.0MPaと高い。比較例1のアンダーフィル材は、接着力は高いが、ボイド性及び耐リフロー性で非常に劣る。
一方、実施例1〜12のアンダーフィル材は、比較例1のアンダーフィル材に対し、ゲル化時間が短く、粘度が低く、ボイド性及び耐リフロー性に優れる。また、実施例1〜12のアンダーフィル材は、ゲル化時間が短いことから、実装時間の短縮が可能となり生産性が向上すると考えられる。
アクリル系のアンダーフィル材は、実施例1〜12のように、成分(D)及び化合物(A1)を含有させることで接着力を高めることができる。成分(D)及び化合物(A1)を含有すると、硬化時の収縮及び熱による伸縮量が小さくなり、且つ、電子部品との接着性が高くなることで、電子部品と配線基板との電気的接続性が損なわれることを抑制し、電子部品装置の接続信頼性をより向上することができる。
実施例1〜12のアンダーフィル材と、実施例1〜12の化合物(A1)を含有しない比較例3〜8のアンダーフィル材とを比較すると、比較例3〜8のアンダーフィル材は、接着力が低く、耐リフロー性に劣っており、且つ、ボイド性及びフィレットクラック性に劣っている。
実施例1〜12のアンダーフィル材と、実施例1〜12の成分(D)を含有しない比較例9〜11のアンダーフィル材とを比較すると、比較例9〜11のアンダーフィル材は、接着力が若干低く、耐リフロー性に劣っており、且つ、ボイド性及びフィレットクラック性にも若干劣っている。
実施例1〜12のアンダーフィル材と、実施例1〜12の成分(D)及び化合物(A1)を含有しない比較例2のアンダーフィル材とを比較すると、比較例2のアンダーフィル材は、接着力がかなり低く、耐リフロー性に大きく劣っており、且つ、フィレットクラック性も大きく劣っている。
1 半導体チップ(電子部品)
2 はんだバンプ(接続部)
3 接続パッド
4 ソルダーレジスト
5 配線基板
6 アンダーフィル材

Claims (16)

  1. (A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、(B)反応開始剤、(C)無機充填剤、及び(D)可とう剤を含有し、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物を含み、前記(D)可とう剤が、(D1)下記一般式(I−7)又は(I−8)で表される構造単位を有するブロック共重合体を含む先供給型アンダーフィル材。

    (一般式(I−7)中、R 71 及びR 72 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R 73 及びR 74 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、p及びqはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R 73 とR 74 とは互いに異なる。R 73 及びR 74 はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)

    (一般式(I−8)中、R 81 、R 82 、及びR 83 はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R 84 、R 85 、及びR 86 はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基を表し、x、y、及びzはそれぞれ独立に、正数を表す。但し、R 84 とR 85 とは互いに異なり、R 85 とR 86 とは互いに異なる。R 84 、R 85 、及びR 86 はそれぞれ独立に、部分的に変性されていてもよい。)
  2. 前記(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物が、下記一般式(I−1)で表される化合物である請求項1に記載の先供給型アンダーフィル材。


    (一般式(I−1)中、R11はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R12はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、R13は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、nはそれぞれ独立に、0〜50の数を表し、mはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
  3. 前記(A1)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加反応物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して5質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の先供給型アンダーフィル材。
  4. 前記(D1)一般式(I−7)又は(I−8)で表される構造単位を有する化合物の重量平均分子量が、5,000〜1,000,000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  5. 前記(D1)一般式(I−7)又は(I−8)で表される化合物の含有率が、先供給型アンダーフィル材の全量に対して1質量%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  6. 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  7. 前記1分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して30質量%以上である請求項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  8. 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートを含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  9. 前記(A2)トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートの含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して20質量%以上である請求項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  10. 前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、(A3)下記一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。


    (一般式(I−2)中、R21はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R22は置換基を有していてもよい炭素数1〜18の2価の炭化水素基を表し、r及びsはそれぞれ独立に、0〜50の数を表す。)
  11. 前記(A3)一般式(I−2)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有率が、前記(A)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の全量に対して10質量%以上である請求項10に記載の先供給型アンダーフィル材。
  12. 前記(B)反応開始剤が、有機過酸化物を含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  13. 前記(C)無機充填剤の体積平均粒子径が、0.1μm〜10μmである請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  14. 前記(C)無機充填剤の含有率が、先供給型アンダーフィル材の全量に対して10質量%以上である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材。
  15. 電子部品における配線基板と対向する側の面及び前記配線基板における前記電子部品と対向する側の面からなる群より選択される少なくとも一方の面に、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材を供給する供給工程と、
    前記供給工程の後に、前記電子部品と前記配線基板とを接続部を介して接続し、且つ、前記先供給型アンダーフィル材を硬化する接続工程と、を含む電子部品装置の製造方法。
  16. 電子部品と、
    前記電子部品と対向して配置され、前記電子部品に接続部を介して接続される配線基板と、
    前記電子部品と前記配線基板との間に配置される、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の先供給型アンダーフィル材の硬化物と、を有する電子部品装置。
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