本発明は、ドアトリムやラゲージサイドトリム、インストルメントパネル等の車両用内装部品や、その内装部品に取り付けられるアームレスト部品やその他のオーナメント等に適用されるが、家電製品や家具など車両用以外のパネル部品に適用することも可能である。基材は、硬質ポリ塩化ビニルやポリプロピレン、ポリエチレン、ABS等の比較的硬質の合成樹脂材料が好適に用いられるが、金属等の他の材料製であっても良い。表層材は、軟質ポリ塩化ビニルやスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の各種の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。樹脂材料だけでなく、織布や不織布、編布などでも良いし、それ等に樹脂製シートを貼り合わせた積層材でも良い。
弾性変形可能なクッション層は、例えば軟質ポリウレタンフォーム等の発泡材やその他の弾性材料が用いられるが、点在形成された弾性変形可能な多数の微小突起や弾性変形可能なリブ状(薄板状)の突起などを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。微小突起は、例えば一方向へ弾性変形するように構成され、その変形方向(倒れ方向)が相違するように格子状等の所定の配置パターンに従って配置することが望ましい。このような突起は、例えば表層材の裏面に一体に設けることもできるが、表層材とは別部材として設けることも可能で、例えば表層材或いは基材に密着するように配設される板状部に多数の突起を設けたクッション材を採用することもできる。クッション材を基材に一体的に固着する場合、係止部材にもクッション材を設けることが望ましい。
基材には、係合突出部を係止する部分に開口が設けられるが、係合突出部を複数箇所に設けることも可能で、重ね合わせ複合部品全体としては、係合突出部の配設箇所に応じて複数の開口を設けることもできる。その開口に配設される係止部材は、基材と別体に構成することもできるが、インテグラルヒンジ(可撓性を有する薄肉部)を介して回動可能に連結することも可能である。また、表層材側が凹むように湾曲させられたコーナー部等の凹湾曲部では、表層材が基材から浮き上がって弛む可能性があるため、そのような凹湾曲部に係合突出部を設けて基材に係止することが望ましいが、比較的平坦な平板状部分に係合突出部を設けて基材に係止する場合にも本発明は適用され得る。
係合突出部には例えば係合穴が設けられ、係止部材に設けられた係合突起がその係合穴内に挿入されることにより、基材に対して抜け出し不能に係止されるが、軸状や板状の係合突出部の先端にT字状や大径部等の係止頭部を設け、二股状の係止部材や一対の係止部材等に抜け出し不能に係止されるように構成することもできる。係合突出部として、例えば内側が空間の門型突出部を設け、その内部空間を係合穴として用いて係止部材(係止部材に突設された係合突起を含む)が挿入されるようにすることも可能で、その場合は門型突出部を基材側へ押し込むことが可能で、クッション層による柔らかな触感を確保することができる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両用ドアトリム10を意匠面側すなわち車室内側から見た概略正面図で、図2は図1におけるII−II矢視部分の拡大断面図、すなわち車両用ドアトリム10に設けられたアームレスト部品12の縦断面図である。また、図3は、図2における III部、すなわち裏側へ凹むように緩やかに湾曲させられた凹湾曲部12rを更に拡大して示した断面図で、図4はその凹湾曲部12rを裏面側から見た斜視図であり、図3は図4におけるIII −III 矢視部分の断面図である。アームレスト部品12は車両の内装部品で重ね合わせ複合部品に相当し、ドアトリム本体14に設けられた取付穴16内に、そのドアトリム本体14の裏側(図2における右側)から嵌め込まれているとともに、周縁部に設けられた複数の取付部18を介してドアトリム本体14に一体的に組み付けられている。
アームレスト部品12は、三次元的に湾曲させられた板状の基材20と、その基材20の表面22に沿って略平行に重ね合わされるように配置されたクッション材24とから構成されている。クッション材24は、基材20と略平行な板状の表層部26と、その表層部26の裏面26bに基材20側へ向かって突き出すように点在形成された多数の微小突起28とを備えており、軟質ポリ塩化ビニル等の比較的軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料にて一体成形されている。このクッション材24は、微小突起28の先端が基材20の表面22に密着する状態で、表層部26の外周端末部32が基材20の外周縁部に巻き付けられて固定されている。外周端末部32は、アームレスト部品12がドアトリム本体14の取付穴16内に嵌め込まれることにより基材20の外周縁部に押圧され、その外周縁部に密着させられた状態に保持されるが、必要に応じて接着剤等の固定手段により基材20の外周縁部に固定するようにしても良い。基材20は、上記クッション材24よりも硬質のポリプロピレン等の合成樹脂材料にて構成されており、前記取付部18は基材20に一体に設けられている。このように微小突起28の先端が基材20の表面22に接触する状態でクッション材24が基材20に配設されることにより、表層部26と基材20との間にクッション層30が形成され、表層部26の表面26aが指や手で押圧された場合に、微小突起28が表面22に押圧されて弾性変形させられることにより柔らかな触感が得られる。本実施例では、上記表層部26が表層材に相当し、表層部26の表面26aは意匠面である。
ところで、上記微小突起28は基材20の表面22に接触しているだけであるため、意匠面側が凹むように二次元的或いは三次元的に湾曲した湾曲形状部、すなわち凹湾曲部12rでは、クッション材24が基材20から浮き上がったり表面26aに弛みやしわが発生したりする可能性がある。これに対し、本実施例のアームレスト部品12は、図3に示されるように凹湾曲部12rにおける表層部26の裏面26bに、基材20側へ向かって突き出すように門型突出部40が設けられ、基材20に設けられた開口42内に挿入されるとともに係止部材44に係止されることにより、その表層部26の弛みや浮き上がり等が防止されるようになっている。なお、凹湾曲部12rよりも下方部分でL字状に曲げられたコーナー部についても、門型突出部40等を設けて基材20に係止することができるなど、門型突出部40等による表層部26の係止箇所は適宜定められる。
図5は、クッション材24を単独で示した図で、裏面26b側から見た斜視図であり、凹湾曲部12rの裏面26bには、幅方向(車両前後方向)の中央部分に門型突出部40が一体に設けられている。門型突出部40は、図5の上方から見た平面視において門形状を成すように、表層部26の裏面26bから略垂直に突き出すように設けられており、内側には前記係止部材44を挿通させることができる矩形の係合穴46が形成されている。門型突出部40の突出寸法は、微小突起28の突出寸法よりも大きく、開口42を通って基材20の裏側へ突き出すことができる。この門型突出部40は係合突出部に相当する。
一方、図6は基材20に係止部材44が設けられた部分を裏側から見た斜視図で、図7は図6におけるVII −VII 矢視部分の断面図である。この基材20には、門型突出部40に対応する部分に、その門型突出部40よりも大きい矩形の貫通穴形状の開口42が設けられ、門型突出部40を開口42内に十分な遊びを持って挿入できるようになっている。また、開口42の下側周縁部には、係止部材44がインテグラルヒンジ48を介して回動可能に連結されており、図6および図7に示すように基材20の裏側へ向かって突き出す退避位置と、図3および図4に示すように開口42内に突き出して基材20の表面22と略面一になる係止位置との間で回動可能とされている。そして、この係止部材44が門型突出部40の係合穴46内を挿通させられた状態で係止位置に保持されることにより、その門型突出部40が開口42から抜け出し不能に係止部材44に係止され、クッション材24が基材20に取り付けられる。係止部材44は、門型突出部40の係合穴46内に十分な遊びを持って挿通させられるようになっており、門型突出部40は表層部26側へ抜け出し不能であるが、基材20側へは押し込み変位可能とされている。
上記係止部材44の基端部には、開口42の下端周縁部に当接させられることにより係止位置を越えて回動することを阻止する凸部50が設けられている。また、開口42の反対側の周縁部、すなわち上側周縁部には、係止位置まで回動させられた係止部材44の先端に係合させられることにより、その係止部材44が退避位置側へ戻り回動することを阻止する保持爪52が設けられており、上記凸部50と協働して係止部材44が係止位置に位置決めされる。係止部材44が退避位置から係止位置へ回動させられる際に、係止部材44は保持爪52と係合させられるが、何れか一方或いは両方が弾性変形させられることにより、係止部材44を係止位置まで回動させることが許容され、その係止位置で弾性的に復帰することにより戻り回動不能に係合させられる。凸部50は当接部に相当し、保持爪52は保持部に相当する。
このようなアームレスト部品12においては、図8に示すように肘や指等により車室内側から押圧荷重Fが加えられた場合には、門型突出部40が先端側へ変位させられることにより、表層部26が円滑に凹むことが可能で、周辺の微小突起28の弾性変形により所定の触感が得られる。門型突出部40の突出寸法は、図3に示されるように微小突起28を挟んで表層部26を基材20と略平行に重ね合わせることができるように定められており、微小突起28の高さ寸法分だけ門型突出部40を基材20側へ押し込みながら表層部26を凹み変形させることができる。また、門型突出部40を係止している係止部材44は凸部50および保持爪52を介して係止位置に保持されるため、例えば乗員の肘などで図2に矢印Tで示す引張荷重がクッション材24の表層部26に加えられた場合でも、門型突出部40の係止状態が適切に維持されて表層部26がずれ動くことが抑制される。
図9は、上記基材20にクッション材24を取り付ける手順を説明する図である。先ず、基材20の係止部材44を退避位置に保持した状態で、矢印Aで示すように基材20の開口42内にクッション材24の門型突出部40が挿入されるように、クッション材24を基材20の表面22側に相対的に重ね合わせる。図10は、この時の工程の断面図で、開口42は門型突出部40に比較して十分に大きいため、その門型突出部40が開口42内に挿入されるように容易に組み合わせることができる。開口42を通して門型突出部40を目視で確認しながら組み合わせることもできる。
次に、図9に矢印Bで示すように係止部材44を係止位置へ回動させるとともに、その回動過程で係止部材44を門型突出部40の係合穴46内に挿入する。図11は、この時の工程の断面図で、クッション材24の表層部26および門型突出部40を弾性変形させることにより、係止部材44を門型突出部40の係合穴46内に挿入することができる。門型突出部40は、開口42から基材20の裏側へ突き出しているため、その門型突出部40を目視で確認しながら係止部材44を門型突出部40の係合穴46内に挿入して係止することが可能である。
そして、係止部材44を係止位置まで回動させることにより、その係止部材44は凸部50および保持爪52によって係止位置に保持され、門型突出部40が係止部材44に抜け出し不能に係止される。また、その状態で表層部26の外周端末部32を基材20の外周縁部に巻き付けて固定することにより、クッション材24が基材20に取り付けられて、図2に示すアームレスト部品12が得られる。なお、図10、図11は、車両への配設姿勢に対応する断面図であり、基材20とクッション材24とを組み合わせる図9の工程では、例えば図10、図11において左方向へ90°回転させた姿勢、すなわちクッション材24を下側にした姿勢で組み合わせることもできるなど、組付工程の姿勢は適宜定められる。他の実施例も同じである。
図12〜図14は、微小突起28の一例を具体的に説明する図で、図12は表層部26の裏面26bに対して垂直方向から見た拡大平面図、図13は図12におけるXIII−XIII矢視部分の拡大縦断面図、図14は複数の微小突起28を斜め上方から見た斜視図である。これ等の図から明らかなように、多数の微小突起28は同一形状で、表層部26と平行な横断面が長手形状であり、多数の多角形の各辺がそれぞれ隣接する多角形の辺と重なる格子模様34を形成するように、その多角形の各辺を構成する位置にその辺と横断面の長手方向とが略平行になる姿勢で設けられている。本実施例では、微小突起28の横断面形状は、4隅が丸められた長方形で、その長手方向が多角形の各辺と一致する姿勢で配置されている。また、格子模様34は、図12に二点鎖線で示すように、多角形として一定の大きさの正六角形が連続して繰り返すハニカム模様で、微小突起28は、その正六角形の各辺の中央部分に一つずつ設けられている。これにより、高い密度で微小突起28を配置することが可能となり、且つ一定の配置パターンで微小突起28が設けられることにより、微小突起28の有無による反力のばらつきが抑制されて略均一な触感が得られるようになる。
微小突起28はまた、先端側へ向かうに従って断面積が小さくなる緩やかな先細形状を成しているとともに、図13から明らかなように、中心線Sが基端部における表層部26の法線方向Oから所定の傾斜角度αだけ傾斜させられている。これにより、表層部26が押圧されて微小突起28の先端が基材20の表面22に押圧されると、その先端が表面22に沿って滑り移動しながら白抜き矢印で示す一方向へ撓み変形させられる。すなわち、微小突起28は、表層部26に対して垂直な軸線(法線方向O)まわりの剛性が異方性を有し、その垂直方向へ押圧された場合に一方向へ撓み変形させられるように構成されている。このように、多数の微小突起28がそれぞれ一方向へ撓み変形させられることにより、常に略一定の触感が安定して得られるようになる。上記傾斜角度αは、微小突起28が適切に撓み変形させられるように、例えば10°≦α≦30°程度の範囲内で適当に定められる。
ここで、本実施例のアームレスト部品12は、基材20に設けられた開口42に係止部材44が配設されており、表層部26の裏面26bに設けられた門型突出部40はその開口42内に挿入されて係止部材44に係止されるため、大き目の開口42を設けることにより、その開口42内に門型突出部40を容易に挿入して係止部材44に係止することが可能で、門型突出部40を介してクッション材24を基材20に取り付ける取付作業を容易に行うことができる。
また、門型突出部40が開口42内に挿入され、基材20の裏側へ突き出す状態で、係止部材44を退避位置から係止位置へ回動させることにより、その門型突出部40が係止部材44に係止されるため、開口42から基材20の裏側へ突き出す門型突出部40を目視で確認しながら係止部材44を門型突出部40の係合穴46内に挿入して係止することが可能で、この点でも取付作業が容易になる。
また、門型突出部40を抜け出し不能に係止部材44に係止できれば良く、門型突出部40の係合穴46内に係止部材44が遊びを持って挿通させられているため、図8に示すように門型突出部40を基材20側へ押し込みながら表層部26を基材20に対して接近する方向へ弾性変形させることが可能で、門型突出部40が設けられた取付部分においても、他の部分と同様にクッション層30による柔らかな触感を確保することができる。
また、係止部材44が退避位置と係止位置との間で回動可能にインテグラルヒンジ48を介して基材20に連結されているため、係止部材44の位置ずれが防止されるとともに部品点数が少なくなり、クッション材24の取付作業が一層容易になるとともに、基材20および係止部材44を単一の成形型で成形することが可能で製造コストが低減される。
また、退避位置から係止位置へ回動させられた係止部材44は、凸部50および保持爪52によって機械的にその係止位置に保持されるため、クッション材24の取付作業が一層容易になるとともに、門型突出部40が係止部材44を介して基材20に適切に係止され、例えば図2に示すようにクッション材24の表層部26に引張荷重Tが加えられた場合に表層部26がずれ動くことが抑制される。
また、表層部26側が凹むように曲げられた凹湾曲部12rではクッション材24が基材20から浮き上がって表層部26が弛み易いが、その凹湾曲部12rに門型突出部40が設けられて基材20に係止されるようになっているため、表層部26の弛みが適切に防止される。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図15は前記図4に対応する斜視図で、図16は前記図9に対応する斜視図である。このアームレスト部品60は、前記実施例に比較して、係合突出部としてT字形状のT字型突出部62が設けられているとともに、開口42の周縁部に係止部材64および保持爪66が2組設けられている点が相違する。表層部26の裏面26bに設けられたT字型突出部62は、裏面26bから略垂直に突き出す突出軸部62aと、その突出軸部62aの先端に直交するように設けられた係止頭部62bとを備えている。2組の係止部材64および保持爪66は、前記実施例の係止部材44および保持爪52と同様に構成されているが、突出軸部62aを挿通可能な離間寸法を隔てて並列に設けられており、その突出軸部62aから両側へ突き出す係止頭部62bと係合させられることにより、T字型突出部62を抜け出し不能に係止する。2つの係止部材64は、その中間部分において連結部68を介して互いに連結されており、インテグラルヒンジ48を介して略一体的に回動させられるようになっている。
このアームレスト部品60においても、先ず、図16に矢印Aで示すように、基材20の開口42内にクッション材24のT字型突出部62が挿入されるように、クッション材24を基材20の表面22側に相対的に重ね合わせ、続いて、矢印Bで示すように2つの係止部材64を退避位置から係止位置へ回動させるとともに、その回動過程でT字型突出部62の係止頭部62bを2つの係止部材64に係止する。例えば、T字型突出部62を、突出軸部62aの軸まわりに90°捩じるなど弾性変形させることにより、2つの係止部材64を係止頭部62bの下側へ挿入し、その係止部材64に係止頭部62bを係止することができる。そして、係止部材64を係止位置まで回動させることにより、その係止部材64は保持爪66および前記凸部50によって係止位置に保持され、T字型突出部62が係止部材64に抜け出し不能に係止される。
本実施例においても、表層部26の裏面26bに設けられたT字型突出部62が開口42内に挿入されて係止部材64に係止されるため、大き目の開口42を設けることにより、その開口42内にT字型突出部62を容易に挿入できるとともに、係止部材64を退避位置から係止位置へ回動させる際に、開口42から基材20の裏側へ突き出すT字型突出部62を目視で確認しながら係止部材64に係止頭部62bを係止することができるため、T字型突出部62を介してクッション材24を基材20に取り付ける取付作業を容易に行うことができるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
図17のアームレスト部品70は、図3の実施例に比較して、係止部材72が基材20と別個に構成されているとともに、係合突出部として板状突出部74が表層部26の裏面26bに設けられている点が相違している。アームレスト部品70の基本形状は前記アームレスト部品12と同じで、凹湾曲部70rを備えており、図17はその凹湾曲部70r付近の縦断面図で、図3に対応する断面図である。図18はクッション材24を単独で示した斜視図で、図19は基材20および係止部材72を示す斜視図であり、図17は図19のXVII−XVII矢視部分に対応する部分のアームレスト部品70の断面図である。図20は、図19におけるXX−XX矢視部分に対応する部分のアームレスト部品70の断面図である。
図18から明らかなように、クッション材24の表層部26の裏面26bには、幅方向(車両前後方向)に長い長手板状の板状突出部74が裏面26bに沿って一体に設けられている。その板状突出部74には、その長手方向すなわちクッション材24の幅方向に離間して複数(実施例では2つ)の係合穴76が設けられている。係合穴76は、前記実施例の係合穴46と同様に表層部26の裏面26bに達するように設けられており、微小突起28の高さ寸法よりも長く、板状突出部74を基材20側へ押し込みながら、微小突起28の高さ寸法分だけ表層部26を凹み変形させることができる。板状突出部74は係合突出部に相当する。
図19の(a) は基材20の斜視図で、(b) は基材20と別体に構成された板状の係止部材72の斜視図である。基材20には、前記板状突出部74を遊びを持って挿入することができる横長の貫通穴形状の開口78が設けられているとともに、係止部材72は開口78と略同じ幅寸法を有する長手形状を成しており、基材20の裏側から開口78内へ挿入して組付位置に配置できる。組付位置は、係止部材72が基材20の表面22と略面一になる位置で、係止部材72の両側部には、図20に示されるように基材20の裏側の面に当接させられることにより、係止部材72が表面22側へ突き抜けることを阻止して上記組付位置に位置決めする一対の当接部80が側方へ突き出すように設けられている。係止部材72は略長方形で、その下端部には、前記2つの係合穴76に対応して2つの係合突起82が下方へ突き出すように設けられており、その係合突起82が係合穴76内に挿入されることにより、板状突出部74が係止部材72に抜け出し不能に係止される。
上記開口78の下端縁には、係合突起82に対応して2つのポケット状の受け部84が設けられており、係合突起82の先端部はその受け部84内に挿入される。これにより、係合突起82から板状突出部74が抜け出すことが確実に阻止されるとともに、係止部材72の下端部が基材20の裏側へ離脱することが阻止される。開口78の上端縁には、基材20の裏側から開口78内の組付位置へ挿入された係止部材72の上端縁と係合させられることにより、その係止部材72が基材20の裏側へ離脱することを阻止する保持爪86が設けられている。係止部材72が基材20の裏側から開口78内に挿入される際に、係止部材72は保持爪86と係合させられるが、何れか一方或いは両方が弾性変形させられることにより、係止部材72を組付位置まで挿入することが許容され、その組付位置で弾性的に復帰することにより係止部材72が基材20の裏側へ離脱することが阻止される。保持爪86は保持部に相当し、この保持爪86、受け部84、および前記当接部80により、係止部材72を組付位置に機械的に保持する保持機構が構成されている。
このようなアームレスト部品70は、図21に示すように板状突出部74を基材20側へ押し込みながら表層部26を基材20に対して接近する方向へ弾性変形させることが可能で、板状突出部74が設けられた取付部分においても、他の部分と同様にクッション層30による柔らかな触感を確保することができる。また、板状突出部74を係止している係止部材72は当接部80、受け部84、および保持爪86によって組付位置に保持されるため、乗員の肘などで図2に示す引張荷重Tが表層部26に加えられた場合でも、板状突出部74の係止状態が適切に維持されて表層部26がずれ動くことが抑制される。
図22は、クッション材24を基材20に組み付ける際の手順を説明する図で、先ず、(a) に示すように基材20の開口78内に板状突出部74が挿入されるように、クッション材24を基材20の表面22側に重ね合わせる。板状突出部74よりも十分に大きな開口78を設けることができるため、その板状突出部74が開口78内に挿入されるように容易に組み合わせることができる。開口78を通して板状突出部74を目視で確認しながら組み合わせることもできる。次に、(b) に示すように係止部材72を基材20の裏側から開口78内の組付位置へ挿入するとともに、その挿入過程で係止部材72の係合突起82を板状突出部74の係合穴76内に挿入する。具体的には、先ず、係止部材72の下端部を開口78内に挿入するとともに、クッション材24の表層部26および板状突出部74を弾性変形させて、その係合穴76内に係合突起82を挿入する。そして、その係合突起82の先端を受け部84内に挿入した状態で、係止部材72の上側を矢印Cで示すように開口78内に押し込むことにより、開口78内の組付位置に組み付けることができる。板状突出部74は基材20の裏側へ突き出しているため、その板状突出部74を目視で確認しながら係止部材72の係合突起82を板状突出部74の係合穴76内に挿入して係止することができる。
本実施例においても、表層部26の裏面26bに設けられた板状突出部74が開口78内に挿入されて係止部材72に係止されるため、大き目の開口78を設けることにより、その開口78内に板状突出部74を容易に挿入できるとともに、係止部材72を基材20の裏側から開口76内の組付位置へ挿入する際に、開口78から基材20の裏側へ突き出す板状突出部74を目視で確認しながら係合突起82を係合穴76内に挿入することができるため、板状突出部74を介してクッション材24を基材20に取り付ける取付作業を容易に行うことができるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。
また、係止部材72が開口78内の組付位置へ挿入されると、その係止部材72は当接部80、受け部84、および保持爪86によって機械的にその組付位置に保持されるため、クッション材24の取付作業が一層容易になるとともに、板状突出部74が係止部材72を介して基材20に適切に係止され、例えば図2に示すようにクッション材24の表層部26に引張荷重Tが加えられた場合に表層部26がずれ動くことが抑制される。
また、係合穴76の大きさを適当に定めることにより、図21に示すように板状突出部74を基材20側へ押し込みながら表層部26を基材20に対して接近する方向へ弾性変形させることが可能で、板状突出部74が設けられた取付部分においても、他の部分と同様にクッション層30による柔らかな触感を確保することができる。
また、基材20の開口78内の組付位置へ相対的に挿入された係止部材72が表面22側へ突き抜けることを阻止する当接部80と、組付位置へ挿入された係止部材72が裏側へ離脱することを阻止する受け部84および保持爪86と、を有して、係止部材72を開口78内の組付位置に保持する保持機構が構成されているため、その保持機構を簡単で且つ安価に構成できる。
また、本実施例では係止部材72が基材20と別体に構成されているため、直線状のインテグラルヒンジ48を介して係止部材44が基材20に連結されている前記実施例に比較して、基材20の形状の自由度、更にはアームレスト部品70の形状の自由度が高くなる。
図23のアームレスト部品90は、上記図17のアームレスト部品70に比較して、板状突出部74と並列に板状突出部92が設けられており、それ等の板状突出部74、92が単一の係止部材94に係止されるようになっている点が、主な相違点である。アームレスト部品90の基本形状は前記アームレスト部品12と同じで、凹湾曲部90rを備えており、図23はその凹湾曲部90r付近の縦断面図で、図3に対応する断面図である。図24はクッション材24を単独で示した斜視図で、図25は基材20および係止部材94を示す斜視図であり、図23は図25のXXIII −XXIII 矢視部分に対応する部分のアームレスト部品90の断面図である。
図24から明らかなように、クッション材24の表層部26の裏面26bには、前記板状突出部74と並列に並ぶように上方に離間して板状突出部92が設けられている。本実施例では、一対の板状突出部74、92が略平行に設けられているとともに、それ等の板状突出部74、92にはそれぞれ係合穴76、96が長手方向すなわちクッション材24の幅方向に離間して3つずつ設けられている。板状突出部74、92は、何れも係合突出部に相当する。
図25の(a) は基材20の斜視図で、(b) は基材20と別体に構成された板状の係止部材94の斜視図である。係止部材94は、前記一対の板状突出部74、92の間に配設されるとともに、基材20の開口78内の組付位置に組み付けられて、それ等の板状突出部74、92を抜け出し不能に係止するものである。係止部材94の下端部には、前記係止部材72と同様に係合突起82が下方へ向かって突設され、板状突出部74に設けられた係合穴76内に挿入されるが、本実施例では係合穴76に対応して係合突起82も3つ設けられている。基材20の開口78の下端縁にも、係合突起82に対応して前記受け部84が3つ設けられている。
係止部材94の上端部には、係合突起82と対称的に3つの係合突起98が上方へ向かって突設され、板状突出部92に設けられた係合穴96内に挿入されるようになっている。基材20の開口78の上端縁には、係合突起98を挿入可能な矩形の切欠100が係合突起98に対応して3つ設けられており、係止部材94が基材20の表面と略面一になる組付位置へ挿入できるようになっている。また、それ等の切欠100には、前記保持爪86と同様の断面形状の保持爪102が設けられており、係合突起98の先端と係合させられることにより係止部材94を組付位置に保持するようになっている。保持爪102は保持部に相当し、受け部82および当接部80と共に保持機構を構成している。なお、本実施例では、当接部80が上下に分離して2つずつ設けられている。
図26は、クッション材24を基材20に組み付ける際の手順を説明する図で、先ず、(a) に示すように基材20の開口78内に板状突出部74、92が挿入されるように、クッション材24を基材20の表面22側に重ね合わせる。板状突出部74、92よりも十分に大きな開口78を設けることができるため、その板状突出部74、92が開口78内に挿入されるように容易に組み合わせることができる。開口78を通して板状突出部74、92を目視で確認しながら組み合わせることもできる。次に、(b) に示されるように、係止部材94の下端部を開口78内に挿入するとともに、クッション材24の表層部26および板状突出部74を弾性変形させて、その係合穴76内に係合突起82を挿入する。そして、その係合突起82の先端を受け部84内に挿入した状態で、(c) に矢印Dで示すように係止部材94の上側が開口78に向かうように回動させ、その過程でクッション材24の表層部26および板状突出部92を弾性変形させて、その係合穴96内に係合突起98を挿入し、そのまま係止部材94を開口78内に押し込んで組付位置に組み付ける。板状突出部74、92は、何れも開口78から基材20の裏側へ突き出しているため、その板状突出部74、92を目視で確認しながら係止部材94の係合突起82、98を板状突出部74、92の係合穴76、96内に挿入して係止することができる。
本実施例においても、前記図17のアームレスト部品70と同様の作用効果が得られる。加えて、本実施例では、一対の板状突出部74、92が並列に並ぶように上下に離間して設けられているとともに、その板状突出部74、92には長手方向に離間して係合穴76、96が複数設けられている一方、係止部材94の上下両端部にはそれぞれ複数の係合突起82、98が設けられて係合穴76、96に挿入されるようになっているため、広い範囲で表層部26が基材20から浮き上がらないように係止され、クッション材24が凹湾曲部90rの凹湾曲形状に倣って湾曲するように適切に取り付けられる。
図27は、前記図17のアームレスト部品70の変形例で、図17におけるXXVII −XXVII 矢視断面に相当する断面図であり、板状突出部74に設けられた係合穴76の幅寸法wが係止部材72の係合突起82よりも十分に大きい場合である。このようにすれば、基材20に対して板状突出部74が幅方向へ相対変位することが許容され、表層部26と共に板状突出部74がその幅方向へ熱膨張したり収縮したりした場合に、基材20との熱膨張差、収縮差に起因して複数箇所の係合穴76と係合突起82との係合で表層部26に波打ちが生じたり突っ張ったりすることが抑制される。図27の(a) は常温時の状態で、(b) は高温時に板状突出部74が表層部26と共に幅方向へ熱膨張した状態である。
図28のアームレスト部品110は、前記図3の実施例に比較して、クッション材24の表層部26の表面26a側に織布、不織布、軟質合成樹脂材料等の表皮112が設けられている場合である。この表皮112は、例えばインサート成形によりクッション材24の成形と同時に成形して一体的に固着することができるが、クッション材24とは別に成形して接着剤等により固着することもできる。他の実施例についても、同様にクッション材24の表層部26に表皮112を設けることが可能である。
図29のアームレスト部品120は、前記図3の実施例に比較して、多数の微小突起28が設けられたクッション材122が逆向きに配設されているとともに、その多数の微小突起28の先端に密着するように表層材として表皮124が取り付けられている場合で、その表皮124の裏面に係合突出部として前記門型突出部40と同様の門型突出部126が設けられ、前記係止部材44に係止されている。クッション材122は、基材20の表面22に固着される平板状の板状部128に多数の微小突起28が一体に設けられたもので、クッション層として機能する。係止部材44にも、クッション材122と同様に構成されたクッション材123が固着されている。他の実施例についても、上記クッション材122、123および表皮124を用いて同様に構成することが可能である。
図30のアームレスト部品130は、上記図29の実施例に比較して、クッション材122、123の代わりに軟質ポリウレタンフォーム等の発泡材132が用いられた場合で、この発泡材132がクッション層として機能する。この発泡材132は、例えば表皮124の裏面に固着することができるが、前記クッション材122、123と同様に基材20および係止部材44に対して別々に固着することも可能である。他の実施例についても、上記発泡材132および表皮124を用いて同様に構成することが可能である
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。